(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記媒体は、前記プロテクトノッチのノッチ凸部が露出するノッチ収容穴が形成されているボックス状の媒体ハウジングを有し、前記ノッチ収容穴の前記変位方向の両側端部が前記ハンドアクセッサと対向する方向に拡開した形状に形成されており、
前記ハンドアクセッサは、前記媒体の前記ノッチ収容穴の傾斜した前記両側端部と前記ノッチ凸部との間隙に前記ノッチ係合部を圧入する、
請求項4に記載のライブラリ装置。
前記媒体収容手段は、前記ハンドアクセッサが対向する一面に前記プロテクトノッチが位置するように前記媒体を収容する請求項1ないし5の何れか一項に記載のライブラリ装置。
前記媒体の着脱方向と前記プロテクトノッチの変位方向とに直交する方向の両側で前記ハンドアクセッサを移動させるアクセッサ移送機構も有する、請求項1ないし7の何れか一項に記載のライブラリ装置。
【背景技術】
【0002】
現在、アクセス頻度が低い大容量データを保存するため、テープライブラリ装置などのライブラリ装置が使用されている。このようなライブラリ装置では、ボックス状の媒体に収容されている磁気テープなどに電子データを記録しておく。
【0003】
一般的なライブラリ装置では、複数の媒体が直方体状のマガジンに左右方向に配列されて収容され、このマガジンがライブラリ装置本体のマガジン収納部に左右方向に挿入されて収容される。
【0004】
このようなライブラリ装置では、ハンドアクセッサが左右方向に移送され、このハンドアクセッサに内蔵されているアクセッサピッカが前後方向に変位する。そこで、ライブラリ装置にマガジン収納部で収容されているマガジンを出し入れするときは、出し入れするマガジンの位置までハンドアクセッサが移送され、このハンドアクセッサから突出するアクセッサピッカが媒体を出し入れする。
【0005】
このように取り出された媒体がハンドアクセッサによりドライブユニットまで移送されることで、このドライブユニットにより媒体にデータ記録などが実行される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ただし、記録データを保存したいなどのため、データ記録を禁止したい媒体をライブラリ装置に収容することもある。そこで、一般的な媒体には、データの記録許可と記録禁止とを切換設定するプロテクトノッチが変位自在に装着されている。
【0007】
このプロテクトノッチは、手動操作によりデータ記録の禁止位置と許可位置とに変位される。そして、このような媒体がライブラリ装置に装填されると、ドライブユニットはプロテクトノッチが禁止位置にあるか許可位置にあるかを検知し、禁止位置にある場合のみデータの記録が実行される。なお、上述のようなプロテクトノッチは、通常は媒体の前面に左右方向に変位自在に装着されている。
【0008】
また、ライトプロテクトスイッチを備えるメモリカードを挿入可能とされたメモリカードコネクタにおいて、メモリカードが挿入されることで当接部がライトプロテクトスイッチを書き込み禁止位置へと移動させるものがある。
【0009】
このようなメモリカードコネクタでは、ライトプロテクトスイッチを書き込み禁止位置に自動的に移動させることができるので、誤操作によるデータ消失を確実に防止することができる(例えば、特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の一形態に関して図面を参照して以下に説明する。ただし、本実施の形態に関して前述した一従来例と同一の部分に関しては、同一の名称を使用して詳細な説明は省略する。
【0026】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0027】
さらに、本実施の形態では前後上下左右の方向を規定しているが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0028】
また、本実施の形態で云う前後上下左右の方向とは、完全に幾何学的に直交している必要はなく、相対的に前後上下左右となる方向となっていればよく、例えば、各方向が任意の方向に傾斜していてもよい。例えば、本発明で云う上下方向に移動するとは、移動の結果として位置が上下方向に相違する状態となることを意味しており、移動の方向そのものが厳密に鉛直方向である必要はない。
【0029】
本実施の形態のライブラリ装置1000は、いわゆるテープライブラリ装置であり、
図1ないし
図9に示すように、電子データが記録されている磁気テープ1101が、媒体1100の媒体ハウジング1110に収容されている。
【0030】
そして、本実施の形態のライブラリ装置1000は、
図10および
図11に示すように、公知のディープタイプかつ多層構造に形成されている。このため、本実施の形態のライブラリ装置1000は、
図10に示すように、直方体状の媒体収容手段であるマガジン1200に媒体1100を、左右方向に五列、前後方向に二個、上下方向に二段(図示せず)、配列して着脱自在に収容する。
【0031】
さらに、本実施の形態のライブラリ装置1000には、
図11に示すように、複数のマガジン1200が個々に収容される複数のマガジン収納部1010が、ライブラリ装置本体1020に上下方向に四段に配列されて形成されている。
【0032】
このため、上下方向に配列されている複数のマガジン収納部1010の各々に複数のマガジン1200が個々に収容されると、多数の媒体1100が前後左右上下方向に配列されて収容されることになる。
【0033】
このようにライブラリ装置本体1020の内部に収容された媒体1100をハンドアクセッサ1300が移送する。このハンドアクセッサ1300は、
図11に示すように、上下方向に細長い正面形状が矩形枠状の、アクセッサ移送手段の一部であるアクセッサリフト1400で上下方向に移動自在に支持されている。
【0034】
このアクセッサリフト1400は、アクセッサ移送手段の一部であるリフト移動機構1401により、左右方向に移動自在に支持されている。より具体的には、アクセッサリフト1400は、上部および下部の各々が上部ガイドレールおよび下部ガイドレール(ともに図示せず)により、左右方向にスライド自在に支持されている。
【0035】
さらに、このスライド自在に支持されたアクセッサリフト1400を左右方向に移動させる、他方駆動手段である上部駆動機構1410、および、一方駆動手段である下部駆動機構1420が、形成されている。
【0036】
これらの上部駆動機構1410および下部駆動機構1420は、例えば、ラックアンドピニオンからなり、下部駆動機構1420のみ駆動モータ1421が搭載されている。しかし、上部駆動機構1410および下部駆動機構1420は、駆動連動手段であるドライブシャフト(図示せず)で連結されているので、機械的に連動してアクセッサリフト1400の上部および下部を左右方向に各々駆動する。
【0037】
このアクセッサリフト1400に上下自在に支持されているハンドアクセッサ1300は、
図1ないし
図10に示すように、ボックス状のアクセッサ本体1310にアクセッサピッカ1320が内蔵されている。
【0038】
このアクセッサピッカ1320は、アクセッサ本体1310に前後方向に変位自在に収容されており、媒体1100に係脱自在に係合する媒体係合爪1321が後面右方から後方に突設されている。
【0039】
より具体的には、媒体1100は、
図1および
図12等に示すように、上下方向に扁平なボックス状の媒体ハウジング1110を有しており、媒体ハウジング1110の右側側面の下方に、アクセッサ係合孔1112が平面形状が矩形の凹部として形成されている。
【0040】
そこで、ハンドアクセッサ1300の媒体係合爪1321は、
図1等に示すように、媒体1100のアクセッサ係合孔1112に右方から係脱自在に係合する形状に形成されている。また、媒体1100は、
図1ないし
図9および
図12に示すように、この媒体ハウジング1110の前面にプロテクトノッチ1120が左右方向に変位自在に装着されている。
【0041】
より具体的には、媒体ハウジング1110の前面左方に、左右方向に細長いノッチ収容穴1111が形成されており、このノッチ収容穴1111に平板状のプロテクトノッチ1120が左右方向にスライド自在に収容されている。
【0042】
このプロテクトノッチ1120は、上述のように平板状の左右方向に細長いノッチ本体1121を有しており、このノッチ本体1121の前面右方にノッチ凸部1122が当接されている。このノッチ凸部1122は、
図1等に示すように、矩形の平面形状に形成されている。また、媒体ハウジング1110のノッチ収容穴1111は、
図1(b)等に示すように、ノッチ収容穴1111の前面開口の左右端部が前方に拡開した平面形状に形成されている。
【0043】
本実施の形態のライブラリ装置1000の媒体1100では、例えば、
図1等に示すように、プロテクトノッチ1120が左方に位置してノッチ収容穴1111が開口された状態で記録許可となり、
図4等に示すように、プロテクトノッチ1120が右方に位置してノッチ収容穴1111が閉止された状態で記録禁止となる。
【0044】
そして、本実施の形態のライブラリ装置1000では、
図1ないし
図10に示すように、ハンドアクセッサ1300の後面左方にノッチ係合部1322が突設されている。このノッチ係合部1322は、前述のようにライブラリ装置本体1020に収容された媒体1100のプロテクトノッチ1120に係脱自在に係合する。
【0045】
より詳細には、ノッチ係合部1322は、ノッチ凸部1122に左右方向から係合する凸状の平面形状に形成されている。ただし、ノッチ係合部1322は、少なくとも後端が先鋭な平面形状である半円状に形成されている。
【0046】
なお、
図9に示すように、ノッチ係合部1322は、媒体係合爪1321が媒体1100に係脱するときにプロテクトノッチ1120に干渉しない位置に形成されている。また、詳細には後述するが、ハンドアクセッサ1300は、媒体1100のノッチ収容穴1111の傾斜した左右端部とノッチ凸部1122との間隙にノッチ係合部1322を前方から圧入する。
【0047】
なお、本実施の形態のライブラリ装置1000では、
図10に示すように、例えば、マガジン収納部1010の右方に、媒体1100にデータ記録を実行するドライブユニット1530が配置されている。
【0048】
また、本実施の形態のライブラリ装置1000は、
図13に示すように、媒体特定手段である入力操作部1510と、アクセッサ制御部1520と、を有する。入力操作部1510は、タッチパネルやキーボードなどからなり、収容されている多数の媒体1100から記録禁止と記録許可とを設定変更する個体を特定する入力操作を受け付ける。
【0049】
アクセッサ制御部1520は、入力データに対応して適正な出力データを生成する論理回路や、適正なコンピュータプログラムが実装されているマイクロコンピュータなどからなり、上述の入力操作特定された媒体1100のプロテクトノッチ1120を、左右移動するハンドアクセッサ1300のノッチ係合部1322で左右方向に変位させる。
【0050】
なお、アクセッサ制御部1520がマイクロコンピュータからなる場合、そのコンピュータプログラムは、例えば、記録禁止か記録許可かを設定変更する媒体1100を特定する入力操作を認識すること、この認識結果に対応してリフト移動機構1401とアクセッサリフト1400とを駆動して特定された媒体1100の位置にハンドアクセッサ1300を配置すること、この配置されたハンドアクセッサ1300を駆動してアクセッサピッカ1320を後方に突出させること、このアクセッサピッカ1320を突出させたハンドアクセッサ1300を上述の認識結果に対応して左右方向に所定距離のみ変位させること、この左右変位が完了したハンドアクセッサ1300にアクセッサピッカ1320を収容すること、をライブラリ装置1000に実行させるように記述されている。
【0051】
上述のような構成において、本実施の形態のライブラリ装置1000も、ディープタイプの多層構造のテープライブラリ装置であり、磁気テープ1101が収容されている複数の媒体1100がマガジン1200に前後上下方向に配列されて収容され、複数のマガジン1200が上下方向に配列されている複数のマガジン収納部1010に個々に収容される。
【0052】
このように前後上下方向に配列されて収容された多数の媒体1100がハンドアクセッサ1300によりドライブユニット1530まで移送され、このドライブユニット1530で媒体1100にデータ記録が実行される。
【0053】
ただし、このドライブユニット1530は、媒体1100のプロテクトノッチ1120の左右位置を光学センサや圧電センサなどで検知し、プロテクトノッチ1120が記録禁止の右方に配置されているとデータ記録を実行せず、記録許可の左方に配置されているとデータ記録を実行する。
【0054】
このプロテクトノッチ1120は、通常は手動操作により左右移動されてデータ記録の禁止位置と許可位置との一方に配置される。しかし、ライブラリ装置1000に収容されている媒体1100の記録禁止と記録許可とを設定変更したい場合もある。
【0055】
このような場合、本実施の形態のライブラリ装置1000では、作業者(図示せず)は入力操作部1510に、記録禁止か記録許可かを設定変更する媒体1100を特定する入力操作を実行する。
【0056】
すると、
図14に示すように、これを検知したライブラリ装置1000は(ステップS1)、入力操作に対応してアクセッサ制御部1520で媒体1100を特定する(ステップS3)。その入力操作が記録許可を記録禁止に変更する場合(ステップS4−Y)、リフト移動機構1401とアクセッサリフト1400とが駆動され、
図1に示すように、特定された媒体1100のノッチ収容穴1111の左端とプロテクトノッチ1120のノッチ凸部1122の左面との間隙に、ノッチ係合部1322が対向する位置にハンドアクセッサ1300が配置される(ステップS5)。
【0057】
つぎに、上述のように配置されたハンドアクセッサ1300からアクセッサピッカ1320が後方に突出される(ステップS6)。このため、
図2に示すように、媒体1100のノッチ収容穴1111の左端とプロテクトノッチ1120のノッチ凸部1122の左面との間隙に、アクセッサピッカ1320のノッチ係合部1322が圧入される。
【0058】
このような状態で、ハンドアクセッサ1300が、リフト移動機構1401によりアクセッサリフト1400とともに右方に所定距離のみ変位される(ステップS7)。このため、
図3に示すように、媒体1100のプロテクトノッチ1120が、左方の許可位置から右方の禁止位置に変位する。
【0059】
上述の右方変位が完了すると、後方に突出していたアクセッサピッカ1320が前方に変位してハンドアクセッサ1300に収容される(ステップS8)。このため、
図4に示すように、アクセッサピッカ1320のノッチ係合部1322が、媒体1100のプロテクトノッチ1120から離脱する。
【0060】
本実施の形態のライブラリ装置1000では、上述のような処理動作により、プロテクトノッチ1120が左方の許可位置から右方の禁止位置に変位するので、これで媒体1100が記録許可から記録禁止に設定変更される。
【0061】
一方、
図14に示すように、前述の入力操作が記録禁止を記録許可に変更する場合(ステップS4−N)、やはりリフト移動機構1401とアクセッサリフト1400とが駆動され、
図5に示すように、特定された媒体1100のノッチ収容穴1111の右端とプロテクトノッチ1120のノッチ凸部1122の右面との間隙に、ノッチ係合部1322が対向する位置にハンドアクセッサ1300が配置される(ステップS9)。
【0062】
つぎに、上述のように配置されたハンドアクセッサ1300からアクセッサピッカ1320が後方に突出される(ステップS10)。このため、
図6に示すように、媒体1100のノッチ収容穴1111の右端とプロテクトノッチ1120のノッチ凸部1122の右面との間隙に、アクセッサピッカ1320のノッチ係合部1322が圧入される。
【0063】
このような状態で、ハンドアクセッサ1300が、リフト移動機構1401によりアクセッサリフト1400とともに左方に所定距離のみ変位される(ステップS11)。このため、
図7に示すように、媒体1100のプロテクトノッチ1120が、右方の禁止位置から左方の許可位置に変位する。
【0064】
上述の左方変位が完了すると、後方に突出していたアクセッサピッカ1320が前方に変位してハンドアクセッサ1300に収容される(ステップS12)。このため、
図8に示すように、アクセッサピッカ1320のノッチ係合部1322が、媒体1100のプロテクトノッチ1120から離脱する。
【0065】
本実施の形態のライブラリ装置1000では、上述のような処理動作により、プロテクトノッチ1120が右方の禁止位置から左方の許可位置に変位するので、これで媒体1100が記録禁止から記録許可に設定変更される。
【0066】
本実施の形態のライブラリ装置1000では、上述のように媒体1100を収容したまま、記録禁止と記録許可とを設定変更することができる。このため、従来のように煩雑な手動操作を必要とすることがない。
【0067】
つまり、本実施の形態のライブラリ装置1000では、収容されている媒体1100の記録禁止と記録許可とを設定変更するために、ライブラリ装置本体からマガジン1200を手動操作で取り出し、このマガジン1200から媒体1100を手動操作で取り出し、その媒体1100のプロテクトノッチ1120を手動操作で変位させ、この手動操作でプロテクトノッチ1120を変位させた媒体1100を、マガジン1200に手動操作で装填しなおし、このマガジン1200をライブラリ装置本体に手動操作で装填しなおす必要がない。
【0068】
このため、上述のような煩雑な作業が必要なく、間違った媒体1100が設定変更されたり、設定変更された媒体1100がマガジン1200の間違った位置に装填されることも防止できる。
【0069】
しかも、上述のように媒体1100がマガジン1200でライブラリ装置1000に装填された場合に実行されるインベントリ処理も発生しないので、ライブラリ装置1000に収容されている媒体1100の記録禁止と記録許可との設定変更を極めて迅速に変更することができる。
【0070】
特に、本実施の形態のライブラリ装置1000は、
図10に示すように、複数の媒体1100がマガジン1200に前後方向にも配列されて着脱自在に収容される、ディープタイプからなる。
【0071】
このようなディープタイプのライブラリ装置1000では、マガジン1200に前後方向に配列されて収容されている媒体1100を個々に出し入れするために、インベントリ処理に多大な時間が必要となる。しかし、これが本実施の形態のライブラリ装置1000では必要ないので、収容されている媒体1100の記録禁止と記録許可との設定変更を極めて迅速に変更することができる。
【0072】
また、本実施の形態のライブラリ装置1000では、従来と同様にハンドアクセッサ1300には、媒体1100に係脱自在に係合するアクセッサピッカ1320が前後方向に変位自在に内蔵されており、このアクセッサピッカ1320の後面にノッチ係合部1322が形成されている。このため、ノッチ係合部1322をプロテクトノッチ1120に係合させるために専用の機構を増設する必要がなく、簡単な改造でライブラリ装置1000を実現することができる。
【0073】
なお、アクセッサピッカ1320が媒体係合爪1321をアクセッサ係合孔1112に係合させて媒体1100を出し入れするとき、
図9に示すように、ノッチ係合部1322はプロテクトノッチ1120に干渉しない位置に形成されている。このため、アクセッサピッカ1320が媒体係合爪1321をアクセッサ係合孔1112に係合させて媒体1100を出し入れするときにプロテクトノッチ1120が変位されることがない。
【0074】
なお、上述のようにアクセッサピッカ1320が媒体係合爪1321をアクセッサ係合孔1112に係合させるとき、ノッチ係合部1322は媒体1100の前面に当接する。しかし、ノッチ係合部1322は短小なので媒体1100の出し入れに問題となることはない。
【0075】
また、ノッチ係合部1322の後端は先鋭な半円状の平面形状に形成されているので、前述のようにノッチ収容穴1111の左右端部とノッチ凸部1122の左右側面との間隙に円滑に圧入することができる。
【0076】
さらに、ノッチ収容穴1111の左右端部が前方に拡開した平面形状に形成されているので、ハンドアクセッサ1300は、媒体1100のノッチ収容穴1111の傾斜した左右端部とノッチ凸部1122との間隙にノッチ係合部1322を前方から容易に圧入することができる。
【0077】
しかも、上述のように後端が半円状の平面形状のノッチ係合部1322は、前述のようにアクセッサピッカ1320が媒体係合爪1321をアクセッサ係合孔1112に係合させるときに媒体1100の前面に当接しても、この媒体1100の前面を損傷することを防止できる。
【0078】
さらに、本実施の形態のライブラリ装置1000は前述のように多層構造であるので、
図11に示すように、媒体1100は上下方向にも複数が配列されて収容される。そして、ハンドアクセッサ1300を上下自在に支持しているアクセッサリフト1400は、前述のように正面形状が矩形の枠状に形成されている。
【0079】
このため、アクセッサリフト1400は、上部と下部とに左右方向で逆側に応力が作用すると変形したり傾斜する懸念がある。しかし、本実施の形態のライブラリ装置1000では、上述のようにプロテクトノッチ1120を押圧するハンドアクセッサ1300の応力は、ハンドアクセッサ1300を支持しているアクセッサリフト1400の下部と上部とに下部駆動機構1420と上部駆動機構1410とから共通に作用する。
【0080】
このため、ハンドアクセッサ1300がアクセッサリフト1400の上方に位置する場合でも、下部駆動機構1420と上部駆動機構1410との動力とプロテクトノッチ1120の反力とにアクセッサリフト1400が変形や傾斜し、ハンドアクセッサ1300がプロテクトノッチ1120を左右移動できないことが防止されている。
【0081】
つまり、本実施の形態のライブラリ装置1000は、多層構造でも、ハンドアクセッサ1300が任意の媒体1100のプロテクトノッチ1120を確実に左右移動させることができる。このため、矩形の枠状に形成されているアクセッサリフト1400を、変形したり傾斜しないように補強する必要もなく、既存のアクセッサリフト1400を利用することができる。
【0082】
しかも、本実施の形態のライブラリ装置1000のリフト移動機構1401では、下部駆動機構1420が駆動源を具備しており、ドライブシャフトで下部駆動機構1420と上部駆動機構1410との駆動を機械的に連動させる。このため、下部駆動機構1420と上部駆動機構1410との両方に駆動源を搭載する必要がなく、上部駆動機構1410を小型化することができる。
【0083】
さらに、本実施の形態のライブラリ装置1000では、ハンドアクセッサ1300が対向する一面にプロテクトノッチ1120が位置するように、マガジン1200が媒体1100を収容する。
【0084】
このため、本実施の形態のライブラリ装置1000では、マガジン1200に媒体1100が収容されたまま、そのプロテクトノッチ1120をハンドアクセッサ1300で変位させることができる。
【0085】
また、本実施の形態のライブラリ装置1000では、マガジン1200への媒体1100の着脱方向とプロテクトノッチ1120の変位方向とが直交している。このため、プロテクトノッチ1120をハンドアクセッサ1300が変位させるときに、媒体1100がマガジン1200に支持されて変位することを防止できる。
【0086】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、前記形態ではライブラリ装置1000が多層構造でディープタイプであることを例示したが、このような形態に限定する必要はない。
【0087】
例えば、ライブラリ装置が多層構造ではなく一層構造であるならば、アクセッサリフト1400は必要なく、その上部と下部とを連動して駆動する下部駆動機構1420と上部駆動機構1410とも一方のみあればよい。
【0088】
また、前記形態ではライブラリ装置1000のハンドアクセッサ1300のノッチ係合部1322が、プロテクトノッチ1120のノッチ凸部1122に左右方向から係合する一個の凸部からなることを例示した。
【0089】
しかし、
図15に例示するように、ハンドアクセッサ1300のノッチ係合部1322が、プロテクトノッチ1120のノッチ凸部1122に左右両側から係合する一対の凸部で形成されていてもよい。
【0090】
この場合、ハンドアクセッサ1300の
図1に例示した初期位置と
図8に例示した終了位置とを同一にすることができるとともに、
図4に例示した終了位置と
図5に例示した初期位置とを同一にすることができるので、ハンドアクセッサ1300の位置制御を簡単とすることができる。
【0091】
さらに、上記形態の媒体1100では、プロテクトノッチ1120が左方に位置してノッチ収容穴1111が開口された状態で記録許可となり、プロテクトノッチ1120が右方に位置してノッチ収容穴1111が閉止された状態で記録禁止となることを例示した。
【0092】
しかし、プロテクトノッチ1120が左方に位置してノッチ収容穴1111が開口された状態で記録禁止となり、プロテクトノッチ1120が右方に位置してノッチ収容穴1111が閉止された状態で記録許可となってもよい。