(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
なお、以下の説明では、本発明の実施の形態に係る検査装置10に対し、検査対象となるプリント基板Wが搬送される方向をX軸とし、このX軸に直交する水平方向をY軸とし、上下方向をZ軸とする直交座標系に基づいて、各部を説明する。プリント基板Wには、多数の電子部品Cが実装されており、通電部部分がはんだ付けされている。本実施形態に係る検査装置10は、各電子部品Cの各はんだ付け部分を主な検査対象部として、プリント基板Wの合否を検査するように構成されている装置である。
【0020】
図1を参照して、検査装置10は、鉛等でシールドされたハウジング11を備えている。ハウジング11は、略立方体であり、その正面11aがY軸方向の一端側に向いている。ハウジング11の両側部には、基板Wを搬出入する一対の基板搬送コンベア12、14が併設されている。基板搬送コンベア12、14は、何れもベルトコンベア対12a、12b、14a、14bで構成されている。基板搬送コンベア12、14は、設置される設備の仕様に応じて、一方が基板搬入コンベアを構成し、他方が基板搬出コンベアを構成する。検査装置10が設置される設備では、基板搬入コンベアから搬入されたプリント基板Wがハウジング11内で検査され、その後、検査装置10から基板搬出コンベアに搬出される構成になっている。図示の例では、
図1の右側の基板搬送コンベア12を搬入側、左側の基板搬送コンベア14を搬出側としている。ハウジング11が各基板搬送コンベア12、14と対向する壁11b、11cには、シャッタ機構がそれぞれ設けられており、このシャッタ機構によって開閉される開口11d、11e(
図2参照)からプリント基板Wが搬出入されるように構成されている。本実施形態において、ハウジング11内には、装置全体の制御を司る制御ユニット600が設けられている。また、ハウジング11の正面には、制御ユニット600と接続された表示パネル610や、キーボード620が取り付けられている。また、ハウジング11の頂部には、動作状況を示すランプ611が立設されている。さらに、制御ユニット600の基板搬送方向上流側には、電源装置630が設置されている。
【0021】
図2を参照して、ハウジング11内には、検査装置10に設けられる各装置を支持する構造体20が構成されている。構造体20は、ハウジング11の底部を構成する基台21と、基台21の上部に立設されて対をなし、それぞれ、X軸方向の一端側と他端側の内壁部分を補強する一対のゲート部22、23と、各ゲート部22、23の上部中央に固定された一対のフレーム部24、25と、両フレーム部24、25間に掛け渡された梁30とを含んでいる。これら構造体20の各部は、何れも種々の鋼材や板金部材を組み合わせたものである。
【0022】
基台21には、X軸方向の中央部分が、矩形に窪んでY軸方向に沿って延びる底部21aが形成されている。底部21a内には、後述するX線カメラユニット40が配置される(
図3参照)。基台21の底部21aの両側には、一部がX軸方向にそって中央側に突出し、Y軸方向に沿って水平に延びる棚部21bが一体に設けられている。棚部21bの上面には、それぞれゲート部22、23と対向するY軸レール26、27が設けられている。各レール26、27は、後述するテーブル駆動機構100の可動フレーム111を介して、基板テーブル60をY軸方向に沿って前後に移動するためのものである。
【0023】
各ゲート部22、23は、ハウジング11の対応する開口11d、11eを跨ぐゲート型に形成されており、それぞれハウジング11の対応する壁11b、11cに設けられたシャッタ機構を内蔵している。
【0024】
各フレーム部24、25は、その下部が、対応するゲート部22、23の上部に溶接されているとともに、その上面部が、上記梁30のX軸方向両端部にそれぞれ溶接されている。そして、フレーム部24、25は、これらゲート部22、23、梁30とともに、堅固なフレーム構造を構築している。
【0025】
梁30は、詳しくは後述する、X線照射ユニット160を担持する構造体である。X線照射ユニット160は、次に説明するX線カメラユニット40とともに、本発明の撮像装置を構成するユニットの一例である。
【0026】
図3を参照して、X線カメラユニット40は、基台21の底部21aに固定配置され、Y軸方向に間隔を隔ててそれぞれがX軸方向に延びる一対のX軸ガイドレール41、42と、両X軸ガイドレール41、42上にガイドされてX軸方向に移動するX軸スライドテーブル43と、X軸スライドテーブル43の下部に設けられ、当該X軸スライドテーブル43をX軸方向に沿って駆動するX軸ボールねじ機構44と、X軸スライドテーブル43の上部に固定されて対をなし、それぞれY軸方向に沿って延びる一対のY軸ガイドレール45、46と、両Y軸ガイドレール45、46にガイドされてY軸方向に移動するY軸スライドテーブル47と、Y軸スライドテーブル47の下部に設けられ、当該Y軸スライドテーブル47をY軸方向に沿って駆動するY軸ボールねじ機構48と、Y軸スライドテーブル47上に設けられたX線カメラ50とを備えている。
【0027】
X軸ガイドレール41、42は、底部21aの中央部分において、幾分後方寄りに配設され、この位置で、X軸スライドテーブル43をX軸方向に沿って往復移動可能に
ガイドしている。
【0028】
X軸スライドテーブル43は、Y軸方向に長く延びる平面視長方形に形成されている。
【0029】
X軸ボールねじ機構44は、底部21aに取り付けられるX軸モータ44aと、このX軸モータ44aによって回転駆動されるボールねじ44bと、ボールねじ44bに螺合し、且つ、X軸スライドテーブル43の底面に固定されるナットユニット44cを備えており、ボールねじ44bの回転によってナットユニット44cがX軸方向に沿って移動することにより、X軸スライドテーブル43をX軸方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0030】
Y軸ガイドレール45、46は、X軸スライドテーブル43の幅方向(X軸方向)に間隔を隔ててY軸方向に沿い、X軸スライドテーブル43の略全長にわたって延びている。これら両Y軸ガイドレール45、46は、Y軸スライドテーブル47をY軸方向に沿って前後に往復移動可能にガイドしている。
【0031】
Y軸スライドテーブル47は、平面で見て、X軸方向が僅かに長く設定された長方形の部材であり、その上面に、X線カメラ50を担持している。従って、X線カメラ50は、X軸スライドテーブル43とY軸スライドテーブル47の移動によって、底部21a上で前後左右(XY軸方向)に自在移動することが可能になっている。また、Y軸スライドテーブル47上に載置されることにより、X線カメラ50は、基台21の棚部21bよりも幾分上方に突出している。
【0032】
Y軸ボールねじ機構48は、X軸スライドテーブル43の後端部に取り付けられるY軸モータ48aと、このY軸モータ48aによって回転駆動されるボールねじ48bと、ボールねじ48bに螺合し、且つ、Y軸スライドテーブル47の底面に固定されるナットユニット48cを備えており、ボールねじ48bの回転によってナットユニット48cがY軸方向に沿って移動することにより、Y軸スライドテーブル47をY軸方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0033】
次に、
図4〜
図6を参照して、基板テーブル60は、本体部分となる枠体61と、枠体61上でプリント基板Wを搬送/保持するコンベアユニット70と、コンベアユニット70に設けられた基板搬送コンベア73、74を駆動するコンベア駆動機構80と、コンベアユニット70の対向間隔を変更する間隔調整機構90とを備えている。また、本実施形態に係る検査装置10には、基板テーブル60をX軸方向とY軸方向とに駆動するためのテーブル駆動機構100が設けられている。
【0034】
枠体61は、後述するテーブル駆動機構100の可動フレーム111に連結されて、XY軸方向に移動可能に配置されている。図示の通り、枠体61は、X軸方向に延びる一対のX軸片62、63と、このX軸片62、63の両端部分に設けられてY軸方向に延びる一対のY軸片64、65とを一体に備えた四角形の枠状に形成されており、その中央部分には、X線を透過させる開口66を区画している。
【0035】
枠体61のY軸片64、65の上面には、それぞれY軸レール67、68が固定されている。両Y軸レール67、68には、コンベアユニット70が搭載されている。コンベアユニット70は、プリント基板WをX軸方向に沿って搬送するためのものである。
【0036】
コンベアユニット70は、Y軸方向において、前後に配置される一対のフレーム体71、72と、各フレーム体71、72に設けられた基板搬送コンベア73、74と、一方のフレーム体(図示の例では、Y軸方向において、後側に配置されるフレーム体)72に付設される図略のクランプユニットとを備えている。
【0037】
各フレーム体71、72は、それぞれ、X軸方向に沿って延び、端部が枠体61から突出するX軸フレーム71a、72aと、X軸フレーム71a、72aの上面に固定され、側部が開口66側に突出する抑えプレート71b、72bを備えている。X軸フレーム71a、72aは、それぞれY軸方向に沿って前後に移動することができるように、Y軸レール67、68にガイドされている。そのため、各プレート71b、72bは、対応するX軸フレーム71a、72aと一体的に、Y軸方向に沿って移動する。
【0038】
基板搬送コンベア73、74は、各フレーム体71、72が、互いに対向する面に沿って配設された多数のローラ74aと、各ローラ74aに巻回されたベルト74bとによって構成されている。
図5では、手前側の基板搬送コンベア73のローラ、およびベルトは、隠れているが、これらは、後ろ側の基板搬送コンベア74のローラ74a、ベルト74bと同一仕様に設定のものである。
【0039】
クランプユニットは、Z軸方向にロッドを進退させるエアシリンダと、このエアシリンダのロッドの進退によって昇降するクランプとを有しており、エアシリンダによってクランプが上昇し、各フレーム体71、72の各抑えプレート71b、72bとクランプとの間でプリント基板WのY方向の両端部をそれぞれ上下に挟持し保持することができるようになっている。プリント基板Wは、クランプユニットによって各抑えプレート71b、72bとクランプとの間で
保持されているときは、コンベアユニット70によって搬送されている間ときよりも幾分上方に浮き上がった位置で止定される構成になっている。
【0040】
コンベア駆動機構80は、枠体61の手前側のX軸方向一端部分に取り付けられ、Y軸回りの動力を出力するモータ81と、Y軸方向に沿って両基板搬送コンベア73、74間に配置され、モータ81によってY軸回りに回転駆動される駆動シャフト82と、駆動シャフト82に連結されて基板搬送コンベア73、74毎に設けられ、対応する基板搬送コンベア73、74のベルト74bに動力を出力する出力プーリ83(基板搬送コンベア74のもののみ図示)とを備えている。モータ81に駆動される駆動シャフト82は、断面が多角形に形成されており、各出力プーリ83は、駆動シャフト82との相対的な回転が規制された状態で、駆動シャフト82に対し、Y軸方向に沿って相対的に移動可能に連結されている。図示の例では、枠体61のY軸片65に取り付けられた軸受84により、駆動シャフト82が滑らかに回転自在に支持されている。
【0041】
間隔調整機構90は、両フレーム体71、72のX軸方向両側に配設され、それぞれY軸方向に沿って延びる両ねじボルト91と、後ろ側のフレーム体72の背面に設けられ、双方の両ねじボルト91、91に同一方向の回転力を伝達する動力伝達ユニット92と、後ろ側のフレーム体72のX軸方向他端側に取り付けられ、動力伝達ユニット92に対し、Y軸回りの回転力を出力するモータ93とを備えている。両ねじボルト91
には、
そのY軸方向中央部を境に右ねじと左ねじとが対称に形成されており、それぞれフレーム体71、72に取り付けられたナット機構94、95に螺合している。そして、両ねじボルト91は、一方向(例えば、時計回り方向)に回転することによって、ナット機構94、95と協働し、
図6の仮想線で示すように、両フレーム体71、72が互いに接近する方向に引き寄せるとともに、他方向(例えば、反時計回り方向)に回転することによって、
図6の実線で示すように、両フレーム体71、72が互いに離反する方向に引き離すように構成されている。
【0042】
次に、
図4及び
図9を参照して、テーブル駆動機構100は、基板テーブル60をX軸方向に沿って駆動するX軸駆動ユニット110と、このX軸駆動ユニット110を介して、基板テーブル60をY軸方向に駆動するY軸駆動ユニット140(
図4参照)とを備えている。
【0043】
X軸駆動ユニット110は、基板テーブル60の枠体61の下面に配置される可動フレーム111と、可動フレーム111上にY軸方向に間隔を隔てて配置され、基板テーブル60をX軸方向に沿ってガイドする一対のX軸レール112、113と、後方のX軸レール113の後ろ側に並設されたX軸ボールねじ機構114とを備えている。可動フレーム111は、枠体61と同様に、中央が開口している枠状の構造体である。X軸ボールねじ機構114は、X軸方向に沿って延びるボールねじ114aと、このボールねじ114aに螺合するナット部(図示せず)と、ボールねじ114aをX軸回りに駆動するX軸モータ114bとを備えている。ナット部は、基板テーブル60の枠体61に固定されており、ボールねじ114aの回転力を受けて、可動フレーム111に対し、相対的に基板テーブル60をX軸方向に移動する力を伝達する。従って、X軸モータ114bが回転し、ボールねじ114aが回転すると、ナット部からX軸方向の力を受けて、基板テーブル60は、X軸方向に往復移動することができるようになっている。
【0044】
図4を参照して、Y軸駆動ユニット140は、棚部21bに設けられた前記一対のY軸レール26、27と、X軸方向において基板搬送方向下流側のY軸レール
27の内側(X軸方向において、基板搬送方向上流側のY軸レール
26に対向する側)に並設されたY軸ボールねじ機構141とを備えている。Y軸レール26、27は、それぞれ可動フレーム111をY軸方向に往復移動可能にガイドしている。Y軸ボールねじ機構141は、Y軸方向に沿って延びるボールねじ141aと、このボールねじ141aに螺合する図略のナット部と、ボールねじ141aを回転駆動するY軸モータ141bとを備えている。ボールねじ141aは、図略の軸受によって、棚部21b上で回転自在に支持されている。ナット部は、可動フレーム111の下面に固定され、ボールねじ141aの回転力を受けて、可動フレーム111を介し、基板テーブル60をY軸方向に駆動する力を伝達するものである。従って、Y軸モータ141bが回転し、ボールねじ141aが回転すると、ナット部からY軸方向の力を受けて、基板テーブル60は、可動フレーム111を介し、Y軸方向に往復移動することができるようになっている。
【0045】
次に、本実施形態においては、基板テーブル60に保持されたプリント基板Wの電子部品の高さを検出するために、センサユニット120が可動フレーム111に取り付けられている。
【0046】
図4〜
図7を参照して、センサユニット120の筐体121は、可動フレーム111の後ろ側のフレーム片上の略中央部分に立設されている。センサユニット120は、箱型の筐体121に、二つの反射式光電スイッチ120A、120Bが設けられたものである。各光電スイッチ120A、120Bは、何れも発光部122と受光部123とを有している。これら光電スイッチ120A、120Bは、何れもセンサユニット120の組付時において、基板テーブル60の前方に向けられている。光電スイッチ120A、120Bの具体的な仕様は、プリント基板W上の電子部品の高さを検出可能なものであれば、可視光線、紫外線、赤外線等、各波長域の光や、或いは、一般のランプ、LED、レーザ光等、何らかの「光」の変化を利用するものであってもよい。本明細書では、光電スイッチ120A、120Bが照射するこれら種々の光を「照射光」と総称する。
【0047】
光電スイッチ120A、120Bの発光部122が照射した光を受光部123に反射するために、基板テーブル60の前側のX軸片62上には、ミラー125が立設されている。ミラー125は、X軸方向に沿って、概ね開口66の全長にわたって設けられている。上述したように、本実施形態においては、X軸駆動ユニット110は、可動フレーム111上でプリント基板Wを保持している基板テーブル60をX軸方向に沿って往復移動することができる。この往復移動の際に、各光電スイッチ120A、120Bの発光部122から照射された照射光L1、L2が、電子部品の側方から照射され、ミラー125に反射されて受光部123に受光されることにより、プリント基板WのX軸方向全長にわたって、電子部品の高さを検出することができる。
【0048】
さらに、
図7に示すように、光電スイッチ120A、120Bは、上下高さを違えて設けられている。上側の光電スイッチ120Aは、本発明の「中間センサ」の一例である。また、下側の光電スイッチ120Bは、本発明の「下センサ」の一例である。
【0049】
図8を参照して、本実施形態においては、検査対象となっているプリント基板Wに実装される電子部品Cの中で高さが最小の電子部品C(
図8の例では、(5)の電子部品C)に接近可能な対向間隔である最小接近間隔と、検査対象となっているプリント基板Wに実装される電子部品の中で高さが最大の電子部品C(
図8の例では、(4)の電子部品C)を撮像するときに接近可能な対向間隔である最大接近間隔と、前記最大接近間隔と前記最小接近間隔との間の対向間隔である中間接近間隔とが予め設定されている。
【0050】
中間センサとしての光電スイッチ120Aは、中間接近間隔に対応する高さで電子部品C(
図8の例では(4)の電子部品C)を検出する位置に取り付けられている。また、下センサとしての光電スイッチ120Bは、最小接近間隔の高さで電子部品C(
図8の例では(5)以外の電子部品C)を検出する位置に取り付けられている。これら光電スイッチ120A、120Bによる検出結果に基づき、検査装置10の制御ユニット600は、撮像装置の構成要素であるX線照射ユニット160が当該プリント基板Wに接近することのできる高さを規制する。この高さは、電子部品Cのうち、最も高い電子部品(図示の例では、(4)で示す電子部品)よりも上側(図示の例では、最大接近間隔)に設定される。
【0051】
センサユニット120がプリント基板W全体を走査するために、制御ユニット600は、テーブル駆動機構100を駆動し、プリント基板Wとセンサユニット120を相対的にX軸方向に沿って移動させる。具体的には、テーブル駆動機構100の可動フレーム111上に設置されたX軸ボールねじ機構114を作動させ、可動フレーム111上で基板テーブル60を往復移動させる。この移動時においては、プリント基板Wとセンサユニット120とが相対的に移動し、センサユニット120は、プリント基板WのX軸方向の全長にわたって、プリント基板Wの表面を走査することができる。このように本実施形態では、テーブル駆動機構100が、本発明の変位手段を構成している。
【0052】
次に、基板テーブル60に保持されたプリント基板Wを透過検査するためのX線照射ユニット(撮像装置の構成要素の一例)160について説明する。X線照射ユニット160は、X線源を昇降することでX線画像の倍率を変更可能とするX線源支持機構150に担持されている。そこで、まず、このX線源支持機構150について、先に説明する。
【0053】
図9を参照して、X線源支持機構150は、梁30の背面に固定された板状の支持プレート151と、この支持プレート151の背面に固定され、Z軸方向に沿って延びる一対の昇降レール152、153と、昇降レール152、153に連結された昇降スライダ154と、昇降スライダ154を上下駆動する図略のボールねじ機構とを備えている。支持プレート151は、梁30とともに構造体20を構成する板金部材であり、図示の例では、梁30に対し、堅固に固定されている。支持プレート151には、図略のストッパが設けられており、このストッパで規定されるストローク範囲において、昇降スライダ154は、Z軸方向に昇降可能にガイドされている。上記ストローク範囲は、制御ユニット600によって規制される範囲内において、検査装置10のX線画像に要請される所要の倍率に基づいて決定される。
【0054】
また、本実施形態の検査装置10は、X線をプリント基板Wに対して所定の仰角(例えば、45°)で照射し、斜めから検査対象部を撮像した斜視撮像を実行するように構成されている。この斜視撮像においては、接写ポジションで撮像するように制約条件が制御ユニット600に設定されている。また、斜視撮像においては、プリント基板Wは、テーブル駆動機構100により、ハウジング11の平面上、広範な範囲で移動することが可能になっている。
【0055】
X線照射ユニット160は、ハウジング161と、このハウジング161内に収容されている図略の高電圧発生ユニットと、この高電圧発生ユニットから給電されてX線を照射するX線照射装置とを備えた公知の構成のものである。
【0056】
プリント基板W上の各部位に対して全方位の所定の複数の仰角のX線傾斜画像を得るために、テーブル駆動機構100により基板テーブル60がX軸方向、Y軸方向に移動制御され、X線カメラユニット40においてX線カメラ50がX軸方向、Y軸方向に移動制御される。
【0057】
検査装置10には、全体を制御する制御ユニット600が装備されている。
【0058】
図10を参照して、制御ユニット600は、マイクロプロセッサ等で具体化される主制御部(CPU)601を備えており、この主制御部601に、記憶装置602、X線画像ボード603、駆動系ボード605、センサ系ボード606、表示ボード607、入力ボード608、通信ボード609等が接続されている。
【0059】
記憶装置602は、ROM、RAM、補助記憶装置等によって具体化されるものであり、検査装置10の各部を制御し、検査を実行するために必要なプログラムやマスターデータ、検査対象となるプリント基板W並びに実装部品、検査項目等、検査対象品のマスターデータ、並びに検査対象項目に対する検査仕様等を定めたトランザクションデータ等が記憶されている。この記憶装置602には、
図8で説明した最小接近間隔、最大接近間隔、中間接近間隔の設定値が予め記憶されている。記憶装置602は、本発明の「記憶手段」の一例である。具体例としては、最小接近間隔は、6.5mmの電子部品との干渉を回避可能な間隔(例えば、9mm)に設定される。また、最大接近間隔は、40mmの電子部品との干渉を回避可能な間隔(例えば、50mm)に設定される。さらに、中間接近間隔は、15mmの電子部品との干渉を回避可能な間隔(例えば、25mm)に設定される。
【0060】
X線画像ボード603は、X線カメラ50と主制御部601を接続するためのインターフェースであり、このX線画像ボード603を通して、主制御部601は、X線カメラ50が撮像したX線画像に基づき、検査対象品の透過検査を実行することができるようになっている。
【0061】
駆動系ボード605は、検査装置10に設けられている各種モータ類(例えば、ボールねじ機構44、114、141、155、185の各X軸モータ44a、141b、114b、144b、155b、185b等)や、クランプユニットのアクチュエータ等と主制御部601を接続するためのインターフェースであり、この駆動系ボード605を通して、主制御部601は、各種モータ類の回転方向、回転量、回転速度、動作タイミング等を制御したり、或いは、クランプユニットのエアシリンダの開閉動作を制御することができるようになっている。
【0062】
センサ系ボード606は、検査装置10に設けられている各種のセンサ類と主制御部601とを接続するインターフェースであり、このセンサ系ボード606を通して主制御部601は、各種のセンサ類が検出した検出結果に基づき、各部の動作タイミングやプリント基板Wの有無等を検出することができるようになっている。上述したセンサユニット120の各光電スイッチ120A、120Bが検出した信号は、このセンサ系ボード606を介して、主制御部601に接続される。主制御部601は、各光電スイッチ120A、120Bの検出に基づき、X線照射ユニット160の昇降量を制御する。
【0063】
表示ボード607は、検査装置10の正面に取り付けられた表示パネル610やランプ611と主制御部601とを接続するインターフェースであり、この表示ボード607を通して、主制御部601は、制御情報を表示パネル610にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)で表示したり、或いは、検査装置10の頂部に設けたランプ611(
図1参照)を点滅したりすることができるようになっている。
【0064】
入力ボード608は、検査装置10の正面に取り付けられたキーボード620等のポインティングディバイスと主制御部601とを接続するインターフェースであり、この入力ボード608を通して、主制御部601は、ユーザが操作したキーボード620等のデータを受け付けることができるようになっている。
【0065】
通信ボード609は、検査装置10が設置される設備の生産プログラムを管理するホストコンピュータとデータの通信を実行するためものであり、この通信ボード609を通して主制御部601は、LAN及び/またはWANでホストコンピュータと接続され、検査対象となるプリント基板Wの品番等、検査対象項目に関する情報を取得することができるようになっている。
【0066】
記憶装置602に記憶されているプログラム等に基づき、主制御部601は、検査装置10の各部を以下の手順で制御する。
図11は、1枚のプリント基板Wを検査する工程を1つの単位として示すフローチャートである。
【0067】
図11を参照して、まず、プリント基板Wを検査装置10のハウジング11内に搬入する基板搬入工程(ステップS1)が実行される。
【0068】
ステップS1の基板搬入工程では、上流工程を終了したプリント基板Wが基板搬送コンベア12から搬送される。搬送されたプリント基板Wが検出されると、制御ユニット600は、基板搬入口としての開口11dのシャッタ機構が開き、開口11dを開放して、プリント基板Wを受け入れる。このとき、基板テーブル60は、X軸ボールねじ機構114のX軸モータ114bに駆動されて、開口11d側に移動し、基板搬送コンベア12から搬入されたプリント基板Wを受け入れるようになっている。多品種少量生産の環境で、本検査装置10が使用される場合には、搬入されるプリント基板Wの幅がまちまちであるが、この基板搬入工程では、基板テーブル60の間隔調整機構90が作動し、事前にホストコンピュータから取得した通信データに基づき、搬入されるプリント基板Wの幅に適合する寸法に、コンベアユニット70の両フレーム体71、72の対向間隔を調整している。開口11dから搬入されたプリント基板Wは、コンベアユニット70のコンベア駆動機構80によって基板テーブル60上に搬入される。搬入後は、X線撮像時のX線が漏洩しないように、搬入側のシャッタ機構が作動して、開口11dを再び閉じる。
【0069】
搬入されたプリント基板Wは、制御ユニット600の制御により、所定位置に移動したところで、コンベアユニット70の両フレーム体71、72間にクランプされ、保持される。このとき、制御ユニット600は、クランプが完了するタイミングをモニタする(ステップS2)。クランプが完了した場合(ステップS2において、YESの場合)、制御ユニット600は、プリント基板Wの電子部品Cの高さを検出する(ステップS3)。ステップS3の工程では、制御ユニット600は、X軸ボールねじ機構114のX軸モータ114bを作動させる。基板テーブル60の動作としては、例えば、一旦、基板テーブル60を基板搬出口としての開口11e側へ往動させ、次いで、基板搬入口としての開口11d側に復動させるようにすればよい。その場合には、基板テーブル60が復動するタイミングで、センサユニット120がプリント基板W上の電子部品Cの高さを検出することができる。センサユニット120が、プリント基板WのX軸方向全長にわたってプリント基板Wの走査を終了すると、制御ユニット600は、必要に応じて、基板テーブル60を再度、往動させ、所要の位置で、X線撮像にプリント基板Wを供する。無論、基板テーブル60の動作は、上記と逆であってもよい。すなわち、一旦、基板テーブル60を開口11d側へ復動させ、次いで、開口11d側に往動させ、基板テーブル60が往動するタイミングで、プリント基板W上の電子部品Cの高さをセンサユニット120が検出するようにしてもよい。本実施形態では、プリント基板Wの搬入が終了し、基板テーブル60にプリント基板Wが保持されてから、センサユニット120による電子部品Cの高さの検出が実行されるので、プリント基板Wの搬入時の高さとプリント基板Wのクランプ時の高さが異なる場合であっても、正確に電子部品Cの高さを検出することができる。
【0070】
電子部品Cの高さの検出が終了すると、制御ユニット600は、部品高さ判定サブルーチンを実行する(ステップS4)。このサブルーチンにより、X線照射ユニット160がプリント基板Wに最も接近することのできる間隔(以下、「制限間隔」という)が設定される。すなわち、制御ユニット600は、高さが検出された電子部品Cのうち、最も高い電子部品C(
図8の例では、(6)の電子部品C)よりも上側に、制限間隔を設定する。
【0071】
図12を参照して、部品高さ判定サブルーチン(ステップS4)では、まず、中間センサとしての光電スイッチ120Aの検出状態が判定される(ステップS41)。この光電スイッチ120AがONの状態であるとき、すなわち、光電スイッチ120Aが電子部品Cを検出している場合、制限間隔は、
図8に示す最大接近間隔となる(ステップS42)。一方、ステップS41の判定で、中間センサとしての光電スイッチ120AがOFFの状態であるとき、すなわち、光電スイッチ120Aが電子部品Cを検出していない場合、制御ユニット600は、さらに、下センサとしての光電スイッチ120Bの検出状態を判定する(ステップS43)。ステップS43の判定で、仮に光電スイッチ120BがONの状態であるとき、すなわち、光電スイッチ120Bが電子部品Cを検出している場合、制限間隔は、
図8に示す中間接近間隔となる(ステップS44)。一方、ステップS43の判定で、下センサとしての光電スイッチ120BがOFFの状態であるとき、すなわち、光電スイッチ120Bが電子部品Cを検出していない場合、制限間隔は、
図8に示す最小接近間隔となる(ステップS45)。ステップS42、S44、またはS45を実行した後、制御ユニット600は、部品高さ判定サブルーチン(ステップS4)を終了し、元のメインルーチンに復帰する。
【0072】
その後、制御ユニット600は、部品検査工程に移行する(ステップS5)。この部品検査工程では、X線照射ユニット160並びにX線カメラユニット40により、プリント基板Wの検査要部を透過撮像し、必要に応じて、接写を実行する。この接写時には、センサユニット120によって、判定された最も高い電子部品C(
図8の例では、(4)の電子部品C)よりも上側に、X線照射ユニット160の接近することのできる高さが規制されるので、X線照射ユニット160が電子部品Cと干渉する恐れはない。
【0073】
撮像が終了した場合、制御ユニット600は、検査後のプリント基板Wを搬出位置に移動する処理を実行する(ステップS6)。この搬出移動動作では、テーブル駆動機構100のX軸駆動ユニット110が再び作動し、基板テーブル60をX軸方向に沿って基板搬送方向下流側(図示の例では、開口11eに近づく方向。
図2等参照)に駆動する。そして、基板テーブル60が基板搬出口としての開口11eに臨み、基板テーブル60の移動が停止すると、今度は、基板テーブル60のクランプが解除され、搬出動作が実行される。この搬出動作では、搬出側のシャッタ機構が作動して、開口11eを開く。その後、コンベア駆動機構80が基板搬送コンベア73、74を作動させ、検査済のプリント基板Wを搬出側の基板搬送コンベア14に搬出する。搬出後は、シャッタ機構を作動させて、開口11eを閉じるとともに、次の動作に移行するために、テーブル駆動機構100のX軸駆動ユニット110が再び作動し、基板テーブル60をX軸方向に沿って基板搬送方向上流側(図示の例では、開口11dに近づく方向。
図2等参照)に駆動する。
【0074】
以上説明したように第1の実施形態においては、撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160による撮像に先立って、プリント基板Wに実装された電子部品Cの高さが検出される。電子部品Cとの干渉を避けるため、撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160がプリント基板Wに接近することのできる位置は、高さが検出された電子部品Cのうち、最も高い電子部品Cよりも上側に規制される。従って、撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160がプリント基板Wに実装された電子部品Cと干渉することを確実に防止することができる。ここで、電子部品Cの高さを検出する際には、センサユニット120の照射光L1、L2が基板テーブル60に保持されているプリント基板Wの面に沿う方向に沿って照射される。これとともに、センサユニット120とプリント基板Wとは、テーブル駆動機構100によってプリント基板Wの面に沿い、且つ照射光L1、L2の方向と交差する方向に相対移動する。このセンサユニット120とプリント基板Wとの相対移動により、プリント基板Wの面全体が走査され、プリント基板Wに実装されている電子部品Cの高さをもれなく検出することが可能となる。「面に沿う方向」は、面と平行であることが好ましいが、プリント基板Wと交差しない程度に微小な傾きがあってもよいことを意味する。また、「交差する方向」は、直角に交差していることが好ましいが、プリント基板Wの表面を全体にわたって走査することができるのであれば、必ずしも、直角である必要はない。
【0075】
また、本実施形態では、検査対象となっているプリント基板Wに実装される電子部品Cの中で高さが最小の電子部品C(
図8の例では、(5)の電子部品C)に接近可能な対向間隔として予め設定されている最小接近間隔と、検査対象となっているプリント基板Wに実装される電子部品の中で高さが最大の電子部品C(
図8の例では、(4)の電子部品C)を撮像するときに接近可能な対向間隔として予め設定されている最大接近間隔と、前記最大接近間隔と前記最小接近間隔との間の対向間隔として予め設定される中間接近間隔とを記憶する記憶手段として記憶部602をさらに備え、センサユニット120は、検査対象となっているプリント基板Wに実装される電子部品Cの中で、最小接近間隔に対応する高さで電子部品Cの高さを検出する下センサとしての光電スイッチ120Bと、中間接近間隔に対応する高さで電子部品Cの高さを検出する中間センサとしての光電スイッチ120Aとを含んでいる。このため本実施形態では、
図12のフローチャートに示したように、二つの光電スイッチ120A、120Bによって、種々の対向間隔に適合する電子部品Cの高さを検出し、段階的に撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160がプリント基板Wに接近可能な対向間隔を決定することができる。従って、必要以上に撮像装置の接写機能を抑制することが防止される。
【0076】
特に本実施形態では、制御ユニット600は、光電スイッチ120Aが中間接近間隔において電子部品Cを検出している場合には、制限間隔を最大接近間隔に設定し、光電スイッチ120Aが中間接近間隔において電子部品Cを検出していない場合であって、光電スイッチ120Bが最小接近間隔において電子部品Cを検出しているときは、制限間隔を最大接近間隔に設定し、光電スイッチ120Bが最小接近間隔において電子部品Cを検出していない場合には、制限間隔を最小接近間隔に設定するものである。このため本実施形態では、光電スイッチ120Aと光電スイッチ120Bの検出態様に応じて、X線照射ユニット160が規制される高さを最大接近間隔、中間接近間隔、最小接近間隔の別に、適格に仕分けし、必要以上に撮像装置の接写機能を抑制することが防止される。なお、図示の実施形態では、中間接近間隔を単一の寸法としているが、本発明は、上述した実施形態に限らない。中間センサを構成する光電スイッチを複数個設け、複数の中間接近間隔を設定してもよい。
【0077】
また、本実施形態では、プリント基板Wを保持する基板テーブル60と、基板テーブル60を当該基板テーブル60が保持しているプリント基板Wの面に沿って撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160と相対的に駆動するテーブル駆動機構100とをさらに備えている。このテーブル駆動機構100は、駆動手段として基板テーブル60の移動することによって、変位手段として、センサユニット120とプリント基板Wとを相対変位させる。このため本実施形態では、テーブル駆動機構100によって、基板テーブル60と撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160とを相対的に駆動することにより、撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160は、種々の仰角からX線を照射して、基板テーブル60に保持されているプリント基板Wの検査要部を斜視撮像することができる。そして、テーブル駆動機構100は、変位手段として、センサユニット120とプリント基板Wとを相対変位させることになるので、撮像前に基板テーブル60と撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160とが相対的に移動するのを利用して、プリント基板Wを走査することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、基板テーブル60が担持しているプリント基板Wの面に沿って、当該基板テーブル60と相対的に変位可能に基板テーブル60を担持する可動フレーム111を当該基板テーブル60の下側に設け、センサユニット120は、可動フレーム111に取り付けられ、発光部と受光部が一体に設けられた反射式の光電スイッチ120A、120Bであり、基板テーブル60には、当該基板テーブル60が保持しているプリント基板Wを挟んでセンサユニット120と対向する位置において、当該基板テーブル60と可動フレーム111とが相対変位する全ストロークにわたっての発光部122から照射された照射光L1、L2を受光部123に反射するミラー125が取り付けられている。このため本実施形態では、可動フレーム111に取り付けられた反射式の光電スイッチ120A、120Bと基板テーブル60に設けたミラー125とによって、コンパクトなレイアウトでプリント基板Wの表面を走査することが可能となる。
【0079】
上述した実施の形態は、本発明の好ましい一例に過ぎず、本発明は、上述した実施形態に限定されない。
【0080】
次に、本発明の別の実施形態として、
図13以下に示す第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、
図1以下に示した第1の実施形態と同等の部材には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0081】
まず、
図13及び
図14を参照して、各図に示す第2の実施形態では、基板搬送方向下流側のフレーム部25の下面には、センサユニット500が垂下しているとともに、基板搬送方向上流側のフレーム部24の下面には、センサユニット500と協働して作動するミラーユニット520が垂下している。センサユニット500と、ミラーユニット520は、基板テーブル60がハウジング11の開口11d、11eとX軸方向に対向する位置にある場合に、この基板テーブル60から前方にずれた位置でX軸方向に沿って対向している。センサユニット500と、ミラーユニット520とが取り付けられている位置は、プリント基板Wの搬出入経路からは外れているが、プリント基板WをX線照射ユニットで照射する際には、平面でみて、プリント基板Wが移動する空間内に配置されている。
【0082】
図15及び
図16を参照して、センサユニット500は、フレーム部25の下面に垂設される取付板501と、取付板501に固定されたベース板502と、ベース板502に固定されたエアシリンダ503と、エアシリンダ503によって上下に駆動される昇降体504と、昇降体504の上端に固定されたドグ505と、ドグ505の上限高さを検出する上スイッチ506と、ドグ505の下限高さを検出する下スイッチ507と、図略のハーネスを接続するコネクタ508と、昇降体504の側部に固定されたスライダ509と、スライダ509を上下にガイドするように連結され、ベース板502に固定されたガイドレール510と、昇降体504の背面に取り付けられたブラケット511とを備えている。そして、このブラケット511の下部に、取り付け金具512、513を介して、センサユニット120としての光電スイッチ120A、120Bが固定されている。
【0083】
取付板501は、長方形の板材であり、図略の金具を介してフレーム部25の下面に取り付けられている。この取付状態において、取付板501は、長辺が前後に延びている。なお、取付板501には、マトリックス状に多数の取付孔が形成されており、任意の取付孔に所要の部品を取り付けることができるようになっている。ベース板502は、取付板501の後端部分に接合し、ビス止めされている板金部材である。エアシリンダ503は、ロッドを上向きにした姿勢で、ベース板502に固定されている。上記ロッドには、エアシリンダ503の背面側に配置された昇降体504が連結されている。昇降体504は、エアシリンダ503のロッドにより、エアシリンダ503の背面側で昇降する。ドグ505は、昇降体504の上端部分と概ね水平になって、昇降体504と一体化されている。ドグ505の前端部は、エアシリンダ503よりも前方に突出している。上スイッチ506及び下スイッチ507は、何れもドグ504の先端部に対し、上下に対向する位置に配設されている。これら上スイッチ506及び下スイッチ507は、図略のハーネスを介して制御ユニット600のセンサ系ボード606に接続され、制御ユニット600の主制御部601に信号を出力することができるようになっている。一方、制御ユニット600は、これら上スイッチ506及び下スイッチ507の出力に基づいて、エアシリンダ503を制御することができるように構成されている。コネクタ508は、取付板501の前部に固定されている。コネクタ508に接続されるハーネスには、光電スイッチ120A、120Bと接続される信号線も含まれている。光電スイッチ120A、120Bの出力は、上記ハーネス、コネクタ508を介して、制御ユニット600のセンサ系ボード606に接続され、制御ユニット600の主制御部601に信号を出力することができるようになっている。
【0084】
次に、
図17(A)(B)を参照して、ミラーユニット520は、フレーム部24の下面に垂設されるベース板522と、ベース板522に固定されたエアシリンダ523と、エアシリンダ523によって上下に駆動される昇降体524と、昇降体524の上端に固定されたドグ525と、ドグ525の上限高さを検出する上スイッチ526と、ドグ525の下限高さを検出する下スイッチ527と、昇降体524の側部に固定されたスライダ529と、スライダ529を上下にガイドするように連結され、ベース板522に固定されたガイドレール530と、昇降体524の背面に取り付けられたブラケット531とを備えている。そして、このブラケット
531の下部に、取り付け金具532を介して、反射部材533が固定されている。
【0085】
ベース板522は、図略の金具を介してフレーム部24の下面に取り付けられている。ベース板522は、取付時において、基板搬送方向(X軸方向)に沿って長辺が延びる板金部材である。なお、ベース板522の基板搬送方向下流側部分には、マトリックス状に多数の取付孔が形成されており、任意の取付孔に所要の部品を取り付けることができるようになっている。エアシリンダ523は、ロッドを上向きにした姿勢で、ベース板522に固定されている。上記ロッドには、エアシリンダ523の基板搬送方向上流側に配置された昇降体524が連結されている。昇降体524は、エアシリンダ523のロッドにより、エアシリンダ523の背面側で昇降する。ドグ525は、昇降体524の上端部分と概ね水平になって、昇降体524と一体化されている。ドグ525の先端部は、エアシリンダ523よりも基板搬送方向上流側に突出している。上スイッチ526及び下スイッチ527は、何れもドグ524の先端部に対し、上下に対向する位置に配設されている。これら上スイッチ526及び下スイッチ527は、図略のハーネスを介して制御ユニット600のセンサ系ボード606に接続され、制御ユニット600の主制御部601に信号を出力することができるようになっている。一方、制御ユニット600は、これら上スイッチ526及び下スイッチ527の出力に基づいて、エアシリンダ523を制御することができるように構成されている。ここで、制御ユニット600は、センサユニット500のエアシリンダ503と、ミラーユニット520のエアシリンダ523とを同期させる。従って、各エアシリンダ503、523は、制御ユニット600の制御により、同時に昇降体504、524を同一方向に上昇または降下させる。ブラケット531の取付金具532は、Y軸方向において前後に拡がる底板部を備えている。反射部材533は、この底板部の底面に接合する接合部533aと、接合部533aの端縁から垂下するミラー部533bとを有している。ミラー部533bは、組付時において、センサユニット500の両光電スイッチ120A、120BとX軸方向に沿って対向する位置に設けられている。従って、センサユニット500の各光電スイッチ120A、120Bからの照射光L1、L2は、
図13、
図14、
図18、
図19に示したように、基板搬送方向下流側から上流側に照射され、ミラー部533bによって、基板搬送方向上流側から下流側に反射される。
【0086】
上述したように、センサユニット500とミラーユニット520は、平面でみて、検査時にプリント基板Wが移動する空間内に配置されている。そのため、センサユニット500とミラーユニット520は、それぞれ、昇降体504、524を昇降させるエアシリンダ503、523を備えている。各エアシリンダ503、523がそのロッドを伸張させ、昇降体504、524を上昇させた場合、昇降体504、524にそれぞれ設けられているセンサユニット120または反射部材533は、基板テーブル60に保持されているプリント基板Wよりも上方に位置し、基板テーブル60が何れの位置に移動しても、当該プリント基板Wと干渉することはない。一方、各エアシリンダ503、523がそのロッドを縮退させ、昇降体504、524を降下させた場合、
図14に示したように、センサユニット120及び反射部材533は、予め設定された高さで、基板搬送方向に対向し、照射光L1、L2によって、当該プリント基板W上の電子部品Cの高さを検出し得るようになっている。このように、第2の実施形態では、それぞれの各エアシリンダ503、523で昇降体504、524を降下させることにより、プリント基板Wが検査時に移動する空間内に入り込んで照射光を照射する検査位置(検査高さ)と、空間外に退出する退出位置(退出高さ)との間で変位するように検出手段を移動する検出移動手段を構成している。
【0087】
さらに、
図20を参照して、
図13以下に示す第2の実施形態においては、ステップS2とステップS3の間に検出手段降下工程(ステップS11)を設け、さらに、ステップS3とステップS4の間に、検出手段上昇工程(ステップS12)を設けている点が第1の実施形態と相違している。また、ステップS3のプリント基板Wの電子部品Cの高さを検出する工程では、基板テーブル60を駆動する方向が第1の実施形態と相違している。次に、これらの相違点について説明する。
【0088】
図13、
図14、
図18、
図19に示したように、センサユニット500とミラーユニット520とは、互いに基板搬送方向(X軸方向)に沿って対向し、走査時には、基板テーブル60と概ね同じ高さでプリント基板Wに対向する。従って、これらセンサユニット500及びミラーユニット520と、基板テーブル60との干渉を避けるため、第2の実施形態では、初期状態において、エアシリンダ503、523のロッドを上方に伸張させ、昇降体504、524を上方に退避させている。その状態で、プリント基板Wの搬入工程(ステップS1)が実行されるので、プリント基板Wは、これらセンサユニット500及びミラーユニット520と干渉することなく、ハウジング11内の所定位置に搬入される。次いで、基板テーブル60によって、クランプが完了した場合(ステップS2において、YESの場合)、制御ユニット600は、エアシリンダ503、523のロッドを下方に縮退させ、昇降体504、524を降下させる(ステップS11)。この降下動作により、センサユニット500の照射光L1、L2は、基板テーブル60に保持されているプリント基板Wの表面よりも上方で、X軸方向に沿って照射される。
【0089】
この状態で、制御ユニット600は、プリント基板Wの電子部品Cの高さを検出する(ステップS3)。このとき、制御ユニット600は、Y軸ボールねじ機構141を作動させ、可動フレーム111を介して基板テーブル60を前方に移動する。これにより、基板テーブル60は、
図18の状態から
図19の状態に前進する。この前進によって、センサユニット500の光電スイッチ120A、120Bは、プリント基板Wの幅方向(Y軸方向)全長にわたり、プリント基板Wを走査する。これにより、プリント基板Wに実装された全ての電子部品Cの高さを検出することができる。
【0090】
そして、電子部品Cの高さを検出し終えた後、制御ユニット600は、エアシリンダ503、523のロッドを上方に伸張させ、昇降体504、524を上方に退避させる(ステップS12)。これにより、後続する部品検査工程(ステップS5)において、基板テーブル60が何れの方向に移動したとしても、基板テーブル60がセンサユニット500やミラーユニット520と干渉する恐れはない。
【0091】
このように、第2の実施形態では、エアシリンダ503、523等によって、センサユニット120等を移動する検出移動手段をさらに備えている。このため第2の実施形態では、プリント基板Wの検査前にセンサユニット120によってプリント基板Wの表面を走査する場合には、当該プリント基板Wが検査時に移動する空間内に入り込む検査位置で照射光L1、L2を照射することができるので、可及的にプリント基板Wの高さに近いレベルで電子部品Cの高さを検出することができる。従って、小型の電子部品Cが採用されているプリント基板Wについても、撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160が接近可能な対向間隔を可及的に狭く設定し、接写機能の制約を低減することができる。一方、プリント基板Wの検査中においては、前記空間外にセンサユニット500及びミラーユニット520が退避するので、検査中のプリント基板Wとセンサユニット500とが干渉したり、或いは、プリント基板Wとミラーユニット520とが干渉したりすることを確実に防止することができる。
【0092】
また、各実施形態では、X線カメラ50を基板テーブル60の下方に配置し、X線照射ユニット160を基板テーブル60の上方に配置しているが、X線カメラ50を基板テーブル60の上方に配置し、X線照射ユニット160を基板テーブル60の下方に配置してもよい。
【0093】
また、本実施形態では、撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160を採用した例を示しているが、撮像装置としては、これらX線カメラユニット40等に代えて、或いは、これらX線カメラユニット40等と併用される光学カメラであってもよい。
【0094】
また、本発明の具体例として、基板テーブル60がプリント基板Wを搬入する際の高さと、撮像装置によって検査するときの高さが同一である場合には、センサユニット120は、基板テーブル60が搬入口(開口11d)から移動する際に当該基板テーブル60の移動方向と交差する方向に照射光L1、L2を照射するものであってもよい。その場合には、プリント基板Wの搬入時の移動を利用して電子部品Cの高さを検出することができるので、プリント基板Wの搬送後、速やかに撮像装置としてのX線カメラユニット40並びにX線照射ユニット160によるプリント基板Wの撮像処理を実行することができる。
【0095】
さらに、別の態様(以下、第3の実施形態)として、所要の接近間隔を予め設定しておき、この接近間隔にX線照射ユニット160が接近できない場合には、警報を発するように構成されていてもよい。
【0096】
具体的には、表示パネル610や、キーボード620等によって所要の接近間隔を入力し、記憶装置602に予め記憶(登録)できるようにする。その場合、表示パネル610、キーボード620、記憶装置602等は、所要の接近間隔を予め設定可能な設定手段を構成する。そして、接近間隔を設定した場合には、上述した
図11または
図20のフローチャートの一部を
図21のように変更して実行する。
【0097】
図21を参照して、
図11または
図20のステップS4を実行した後、制御ユニット60は、記憶装置602に記憶されている接近間隔にX線照射ユニット160が接近できるかどうかをセンサユニット120の検出結果に基づいて判定する(ステップS20)。ステップS4では、
図12に示したように、制限間隔を最小接近間隔、中間接近間隔、最大接近間隔の何れか一つに決定しているので、制御ユニット60は、ステップS4のサブルーチンで設定された制限間隔を記憶装置602に記憶されている接近間隔と比較し、制限間隔が接近間隔以下の場合には、接近可能と判定し、制限間隔が接近間隔を越えている場合には、接近不可と判定する。
【0098】
接近可能と判定した場合、制御ユニット60は、
図11または
図20で示した処理と同様に、ステップS5、S6を実行する。一方、ステップS20の判定において、接近不可と判定した場合、すなわち、記憶装置602に記憶されている接近間隔にX線照射ユニット160が接近することができない、と判定した場合、制御ユニット60は、ランプ611を作動させ、警報を報知する(ステップS21)。その後、制御ユニット60は、検査を中断して、予め設定されたプログラムに基づき、エラー処理を実行する(ステップS22)。このエラー処理では、装置の停止、判定結果の表示、処理の継続をユーザに求める操作用GUIの表示等が含まれる。第3の実施形態では、ステップS22を終了した後、処理を終了する。
【0099】
このように、第3の実施形態では、所要の接近間隔を予め設定可能な設定手段(表示パネル610、キーボード620、記憶装置602等)と、センサユニット120の検出結果に基づいて、X線照射ユニット160が接近間隔に接近できるか否かを判定する判定手段(制御ユニット60)と、判定手段が、接近間隔に撮像装置が接近できないと判定した場合に警告を報知する報知手段(ランプ611)とをさらに備えている。このため、第3の実施形態では、例えば、ユーザが所要の基板の検査基準に対応する接近間隔を予め設定することができる。制御ユニット60は、センサユニット120の検出結果に基づいて、接近間隔にX線照射ユニット160が接近できるかどうかを判定する。仮に、X線照射ユニット160が接近間隔に接近できないと判定した場合、ランプ611が警告を報知する。よって、検査装置のユーザは、自己が設定した接近間隔で電子部品を撮像することができないことを知ることができるので、検査項目等について、何らかの措置を講じることができる。
【0100】
その他、本発明の特許請求の範囲内で、種々の変更が可能であることは、いうまでもない。