(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る薬品管理システムにおいては、目的とする試料容器を探す際にはトレイに配置された試料容器を一つ一つ目で確認し探索する必要があり、試料容器の管理作業が繁雑で非効率であるという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、トレイ等に載置された複数の試料容器の中から目的とする試料容器を容易に特定することができる試料載置場所読取装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、
複数の試料容器を識別するための識別情報を符号化した容器識別部を有し、載置場所を仕切りで区画してある収納筐に載置された試料容器の載置場所を読み取る試料載置場所読取装置において
、特定の試料容器の識別情報を記憶する識別情報記憶部と、載置された複数の試料容器を撮像する撮像部と、該撮像部にて撮像された画像に含まれる容器識別部の画像を復号することにより、前記複数の試料容器の載置場所をそれぞれ特定する載置場所特定部と、前記画像に含まれる容器識別部の識別情報と、前記識別情報記憶部が記憶する識別情報とを比較する比較部と、前記識別情報記憶部が記憶する識別情報に対応する容器識別部を有する試料容器を特定する試料特定部と、前記撮像部にて撮像された画像に、前記試料特定部にて特定された試料容器の載置場所を示す載置場所指摘画像を重畳させる指摘画像重畳部とを備え
、前記載置場所特定部は、前記撮像部にて撮像された画像における各区画に、前記容器識別部の中心部が含まれているか否かを判定する判定部を備え、一の区画に前記容器識別部の中心部が含まれている場合、該容器識別部に対応する試料容器の載置場所として該一の区画を特定するようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る試料載置場所読取装置は、複数の試料容器を識別するための識別情報を符号化した容器識別部を有する試料容器の載置場所を読み取る試料載置場所読取装置において、複数の試料容器は各試料容器を識別するための識別情報を符号化した容器識別部を有し、特定の試料容器の識別情報を記憶する識別情報記憶部と、載置された複数の試料容器を撮像する撮像部と、該撮像部にて撮像された画像に含まれる容器識別部の画像を復号することにより、前記複数の試料容器の載置場所をそれぞれ特定する載置場所特定部と、前記画像に含まれる容器識別部の識別情報と、前記識別情報記憶部が記憶する識別情報とを比較する比較部と、前記識別情報記憶部が記憶する識別情報に対応する容器識別部を有する試料容器を特定する試料特定部と、前記撮像部にて撮像された画像に、前記試料特定部にて特定された試料容器の載置場所を示す載置場所指摘画像を重畳させる指摘画像重畳部と、前記撮像部にて撮像された試料容器の画像上又は該試料容器の載置場所の画像上に、該試料容器の容器識別部に対応する試料情報を示す画像を重畳させる重畳部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、前記撮像部にて撮像される画像は動画であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、複数の試料容器の載置場所を仕切りで区画してあり、識別情報を符号化した収納筐識別部を有する収納筐と、前記撮像部にて撮像された動画の画像に含まれる収納筐識別部の画像を復号する復号部とを備え、前記試料特定部は、前記復号部によって復号された識別情報が変化した場合、試料容器を特定するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、前記収納筐識別部は指向性を有し、所定の位置及び向きに配された前記収納筐を撮像して得られる画像における各区画の位置を示した区画位置情報を記憶する区画位置記憶部と、前記撮像部にて撮像された収納筐識別部の画像に基づいて、前記収納筐が配された位置及び向きを特定する収納筐位置特定部とを備え、前記載置場所特定部は、前記収納筐位置特定部にて特定された位置及び方向、前記区画位置記憶部が記憶する区画位置情報、並びに前記撮像部にて撮像された画像における容器識別部の位置に基づいて、前記複数の試料容器が載置されている区画を特定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、前記収納筐は、試料容器が配されていないことを示す空所識別部を各区画の上側に有し、前記撮像部にて撮像された画像に含まれる空所識別部を判別することにより、前記複数の試料容器が載置されていない区画を特定する空所特定部を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、試料容器は、該試料容器が前記区画に載置されていることを示す特徴部分を有し、前記空所特定部は、前記撮像部にて撮像された画像に含まれる試料容器の特徴部分を判別することにより、空所で無い区画を特定するようにしてあり、前記載置場所特定部は、空所では無い区画の画像に含まれる容器識別部を再度判別するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、載置された複数の試料容器を照明する照明部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る試料載置場所読取装置は、前記撮像部による撮像条件を変更する撮像条件変更部を備え、前記撮像部は、異なる複数の撮像条件下で前記試料容器を撮像するようにしてあり、前記載置場所特定部は、異なる複数の撮像条件下で撮像された画像に基づいて、前記複数の試料容器の載置場所をそれぞれ特定するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るコンピュータプログラムは、複数の試料容器を識別するための識別情報を符号化した容器識別部を有
し、載置場所を仕切りで区画してある収納筐に載置された試料容器の載置場所をコンピュータに特定させるコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータを、載置された複数の試料容器を撮像して得られた画像に含まれる容器識別部の画像を復号することにより、前記複数の試料容器の載置場所をそれぞれ特定する載置場所特定部と、前記画像に含まれる容器識別部の識別情報と、特定の試料容器の識別情報とを比較する比較部と、前記特定の識別情報に対応する容器識別部を有する試料容器を特定する試料特定部と、前記画像に、前記試料特定部にて特定された試料容器の載置場所を示す載置場所指摘画像を重畳させる指摘画像重畳部として機能させ
、前記載置場所特定部は、前記撮像部にて撮像された画像における各区画に、前記容器識別部の中心部が含まれているか否かを判定し、一の区画に前記容器識別部の中心部が含まれている場合、該容器識別部に対応する試料容器の載置場所として該一の区画を特定するようにしてあることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、複数の試料容器を識別するための識別情報を符号化した容器識別部を有する試料容器の載置場所をコンピュータに特定させるコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、載置された複数の試料容器を撮像して得られた画像に含まれる容器識別部の画像を復号することにより、前記複数の試料容器の載置場所をそれぞれ特定する載置場所特定部と、前記画像に含まれる容器識別部の識別情報と、特定の試料容器の識別情報とを比較する比較部と、前記特定の識別情報に対応する容器識別部を有する試料容器を特定する試料特定部と、前記画像に、前記試料特定部にて特定された試料容器の載置場所を示す載置場所指摘画像を重畳させる指摘画像重畳部と、前記撮像部にて撮像された試料容器の画像上又は該試料容器の載置場所の画像上に、該試料容器の容器識別部に対応する試料情報を示す画像を重畳させる重畳部として機能させることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、載置された複数の試料容器を撮像する。試料容器は各試料容器を識別するための容器識別部を有するため、撮像された画像に含まれる容器識別部の画像を復号することによって、複数の試料容器の載置場所をそれぞれ特定することが可能である。
そして、識別情報記憶部は、特定の試料容器の識別情報を記憶している。特定の試料容器は、例えば、使用者が合成実験に使用する予定の試薬が入った試料容器、廃棄する試料容器、特定の使用者が使用している試料容器、特定の用途の試料容器などである。比較部は、識別情報記憶部が記憶する識別情報と、容器識別部から復号した識別情報とを比較する。試料特定部は、両識別情報が一致している試料容器を特定し、指摘画像重畳部は特定した試料容器の載置場所を示す載置場所指摘画像を、試料容器を撮像した画像に重畳させる。
【0019】
本発明にあっては、複数の試料容器を撮像した動画に載置場所指摘画像が重畳される。
【0020】
本発明にあっては、試料容器が載置される収納筐の種類が変化した場合、特定の試料容器の特定及び載置場所指摘画像の重畳処理を行う。
【0021】
本発明にあっては、撮像部に対する収納筐の位置及び向きに拘わらず、試料容器の載置場所を特定することが可能である。
【0022】
本発明にあっては、収納筐は、試料容器が配されていないことを示す空所識別部を各区画の上側に有するため、撮像部にて撮像された画像に含まれる空所識別部を判別することにより、複数の試料容器が載置されていない区画を特定することが可能である。区画に試料容器が載置された場合、空所識別部が試料容器によって隠れ、容器識別部が撮像されるようになる。
【0023】
本発明にあっては、試料容器の特徴部分を判別することによって、空所では無い区画を特定することが可能である。撮像条件によっては、容器識別部の判別に失敗することがあり、この場合、空所識別部の判別が行われる。しかし、容器識別部の判別に失敗した区画には空所識別部の画像が含まれていない。この場合、空所識別部の読み取りを何度も試みるよりも、試料容器の特徴部分を読み取って、空所では無い区画であると判定する方が処理時間が短縮される。
【0024】
本発明にあっては、長尺の容器を収納筐に立てた場合、撮像して得た画像における試料容器の容器識別部の画像が、該試料容器が配されている区画からはみ出ることがあるが、容器識別部の中心部と、区画との位置関係から試料容器の載置場所を特定することにより、載置場所を誤り無く特定することが可能である。
【0025】
本発明にあっては、収納筐及び該収納筐に載置された複数の試料容器を照明することにより、試料容器が載置されている区画の特定精度又は特定処理速度が向上する。
【0026】
本発明にあっては、異なる複数の撮像条件下で収納筐及び該収納筐に載置された複数の試料容器を撮像し、複数の画像に基づいて試料容器が載置されている区画を特定する。従って、試料容器が載置されている区画の特定精度、特定に要する処理時間を短縮することが可能である。つまり、試料容器が載置されている区画の特定が困難な1枚の画像のみを用い、長い時間をかけて容器識別部を判別するよりも、区画毎に複数の画像の中から容器識別部の判別が短時間で可能な画像を選択して容器識別部を判別した方が短時間で試料容器が載置されている区画を特定することが可能である。なお、本発明には一の区画を特定する場合に一の画像から容器識別部を判別し、他の区画を特定する場合、他の画像から容器識別部を判別する処理も含まれる。
【0027】
本発明にあっては、収納筐及び該収納筐に載置されている試料容器の画像上に、各試料容器に収容されている試料の情報を示した画像を重畳させる。従って、試料載置場所読取装置の使用者は、収納筐に載置されている試料容器の内容物を容易に把握することが可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、トレイ等に載置された複数の試料容器の中から目的とする試料容器を容易に特定することができる。
また、入出庫する対象の試料容器を載置し、又は取り出す前後で、該試料容器の載置位置を確認することができるため、試料容器の載置位置の誤り、取り出す試料容器の取り違いを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施の形態に係る試料管理装置(試料載置場所読取装置)の一構成例を示した模式図である。本発明の実施の形態に係る試料管理装置は、試料容器4の載置場所を管理する管理PC(Personal computer)1と、トレイ3に載置された複数の試料容器4を撮像する撮像装置2と、コードリーダ5とを備える。
【0031】
図2は、トレイ3の一構成例を示した斜視図、
図3は、トレイ3の一構成例を示した平面図である。トレイ3は、浅底の平皿状をなし、略矩形の底部30及び該底部30の周縁に設けられた側壁31を有する。また、トレイ3は、複数の試料容器4が各別に載置されるよう、仕切り32で縦横に区画されている。トレイ3の形状及び仕切り方は特に限定されず、ハニカム状にトレイ3を仕切っても良いし、均等な格子状にトレイ3を仕切っても良い。トレイ3を丸型に形成しても良い。
更に、試料容器4が載置されていないことを示す空所識別コード部(空所識別部)34が各区画の上面に貼付されている。空所識別コード部34は、例えばデータマトリクス、QRコード(登録商標)等の二次元コードが印刷されたシールであり、各区画に貼付されている空所識別コード部34は同一のもので良い。なお、二次元コードは空所識別コード部34の一例であり、ある区画が空所であることを示すことができれば、その態様は限定されない。
更にまた、
図1には一つのトレイ3のみを図示しているが、通常、複数のトレイ3を用いて試料容器4を保管しているため、複数の各トレイ3を識別する必要がある。そこで、トレイ3の上面であって、載置された試料容器4によって隠れ無い適宜箇所には、複数のトレイ3をそれぞれ識別するためのトレイ識別情報を符号化したトレイ識別コード部(収納筐識別部)33が設けられている。トレイ識別コード部33は、例えば指向性を有するバーコードである。なお、バーコードはトレイ識別コード部33の一例であり、複数あるトレイ3をそれぞれ識別し、トレイ3の位置及び方向を特定することが可能であれば、その形態は特に限定されない。なお、複数のトレイ3は、図示しない収納棚に収納されている。
【0032】
試料容器4は、創薬研究や化学物質の分析等を行う際に使用される試料が入れられたバイアルビン(市販試薬のバイアルビンを含む)、テストチューブ、エッペンチューブ、マイクロチューブ等である。試料容器4は、有底円筒状の本体部と、本体部の上側の開口を閉じる蓋体とで構成されている。本体部の底部30の形状は平坦である必要は無く、下方へ尖った形状であっても良い。蓋体は上面を有しており、該蓋体の上面には、複数の各試料容器4を識別するための識別情報を符号化した試料識別コード部(容器識別部)41が貼付されている。試料識別コード部41は、例えばデータマトリクス、QRコード等の二次元コードが印刷されたシールである。なお、試料識別コード部41は、複数の試料容器4を識別することができれば十分であるが、試料容器4に入れられている試料の情報、例えば化学物質名、化学構造式等の情報を含ませても良い。以下の説明では、試料識別コード部41に、各試料容器4を識別するための情報に加えて化学物質名、化学構造式等の情報が含まれているものとする。
【0033】
撮像装置2は、正面側に開口を有する中空略直方体の筐体21を備える。具体的には、筐体21は、略長方形の背面板と、背面板の両側に設けられた側板と、天板と、正面側の上部を覆う正面板とを備え、正面側下部に略方形の開口部が形成されている。筐体21は外乱光が内部に入らないように、遮光性を有する部材で構成すると良い。一方、筐体21の内部に配されたトレイ3を外部から視認し易いように透明又は半透明の部材で筐体21を構成するのが望ましい。筐体21を構成する天板の内面側には、筐体21内部の底部分が撮像領域となるような姿勢で撮像部22が取り付けられている。つまり、筐体21内部の底部分に配されたトレイ3及び該トレイ3に載置された複数の試料容器4を上側から撮像できるように撮像部22が取り付けられている。撮像部22は、例えばCCDカメラであり、ピント調整機能、コントラスト調整機能等を有する。
筐体21の両側壁の内面には、撮像部22による撮像領域を照明する照明部23がそれぞれ設けられている。照明部23は、例えば、トレイ3及び該トレイ3に載置された複数の試料容器4を上側から照明する発光ダイオードである。具体的には、長尺の基板に複数の発光ダイオードが並設されており、該基板が筐体21の側壁に取り付けられている。照明部23には、発光ダイオードの明るさを調整する照明制御部23aが接続されている。
撮像部22及び照明制御部23aは、図示しない通信インタフェースを有しており、該通信インタフェースを介して管理PC1と有線ケーブルで接続されている。撮像部22は、管理PC1から送信された制御データに基づいて、撮像部22のピント調整、コントラスト調整を行い、照明制御部23aは照明部23の明るさ調整などを行う。撮像条件の調整後、撮像部22は、トレイ3を撮像し、撮像した動画の画像のデータを管理PC1へ送信する。
【0034】
図4は、管理PC1の内部構成を示したブロック図である。
管理PC1は、該管理PC1の各構成部の動作を制御するCPU11を備えたコンピュータである。CPU11には、バスを介してROM12、RAM13、入力部14、表示部15、第1インタフェース16、第2インタフェース17a、第3インタフェース17b及び記憶部18が接続されている。
【0035】
ROM12は、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶したマスクROM、EEPROM等の不揮発性メモリである。
RAM13は、CPU11の演算処理を実行する際に生ずる各種データを一時記憶するDRAM、SRAM等の揮発性メモリである。
入力部14は、管理PC1を操作するためのキーボード、マウス等で構成されており、試料容器4の入出庫、廃棄などの指示を受け付ける。
表示部15は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT等で構成されており、撮像部22にて撮像された画像等を表示する。
第1インタフェース16は、撮像部22の動作を制御するための制御データを撮像装置2へ送信し、撮像部22にて撮像された画像のデータを受信するインタフェースであり、各種データの送受信はCPU11によって制御される。
第2インタフェース17aは、照明制御部23aへ制御データを送信し、照明部23の動作を制御するためのインタフェースである。
第3インタフェース17bは、コードリーダ5によって読み取った情報を受信するインタフェースであり、各種データの送受信はCPU11によって制御される。
記憶部18は、コンピュータを、試料管理装置を構成する管理PC1として機能させるためのコンピュータプログラム19aを記憶するハードディスク、不揮発性半導体メモリ等である。また、記憶部18は、試料容器4の載置場所、つまり、試料が載置されているトレイ3及び区画を示した試料情報18aと、複数種類の各トレイ3がどのように区画されているのかを示した区画位置情報18bと、複数のトレイ3それぞれが収納されている棚の場所を示したトレイ棚情報18cと、特定の試料容器4を指摘するための識別情報を含む特定試料情報18dとを記憶する。各情報の詳細は後述する。
なお、コンピュータプログラム19aは、CPU11が図示しない外部記憶装置の動作を制御することによって、該コンピュータプログラム19aをコンピュータ読み取り可能に記録したCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray Disc)等の記録媒体19から読み出され、記憶部18に記憶される。また、言うまでもなく、光ディスク及び光ディスクドライブは、記録媒体19及び外部記憶装置の一例であり、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等にコンピュータプログラム19aをコンピュータ読み取り可能に記録し、前記外部記憶装置にて読み出すように構成しても良い。また、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係るコンピュータプログラム19aをダウンロードするようにしても良い。
【0036】
コードリーダ5は、試料容器4の試料識別コード部41を読み取り、CPU11は、該試料容器4の識別情報を第3インタフェース17bを介して取得する。
【0037】
図5は、試料情報18aのデータレイアウト構成を概念的に示した説明図である。試料情報18aは、複数の列(フィールド)、例えば「登録日時」、「トレイ識別コード」、「載置位置」、「試料識別コード」、「化学物質名」、「分子式」、「化学構造式」、「入出庫状況」及び「廃棄期限」列等から構成されており、各行(レコード)は、各列に対応した情報を有する。
「登録日時」列は、新たに試料容器4が初めてトレイ3に載置されたときの日時を格納する。「トレイ識別コード」列は、試料容器4が載置されているトレイ3に貼付されているトレイ識別コード部33から読み取られたトレイ識別コードを格納する。「載置位置」列は、試料容器4が載置されている区画を特定する記号を格納する。
図5に示した例ではトレイ3の区画は、アルファベット1文字と、数字1文字の組み合わせで特定されている。「試料識別コード」列は、試料容器4に貼付された試料識別コード部41から読み取られた情報を格納する。「化学物質名」列は、試料容器4に入れられた試料の内容を示した化学物質名を格納する。「分子式」列は、試料容器4に入れられた試料の内容を表示した分子式を格納する。「化学構造式」列は、試料容器4に入れられた試料の内容を表示した化学構造式を格納する。「入出庫状況」列は、該当する試料容器4がトレイ3に載置されて収納棚に収納されている入庫状態か、トレイ3から試料容器4が持ち出された出庫状態かを示す情報を格納する。「廃棄期限」列は、試料容器4に入れられた試料の廃棄期限が登録されている。
【0038】
区画位置情報18bは、複数の各トレイ3がどのように区画されているかを示す情報である。例えば、区画位置情報18bは、所定の位置及び向きに配されたトレイ3を撮像して得られる画像における各区画の位置を座標で示した情報である。区画位置情報18bは、トレイ3を導入した際、使用者が入力部14を用いて区画の情報を入力し、記憶部18に記憶させる。
【0039】
トレイ棚情報18cは、例えば、トレイ識別コードと、該トレイ識別コードが付されたトレイ3が収納されている収納棚における棚の位置を示した情報とを対応付けた情報である。トレイ棚情報18cは、新たにトレイ3を導入した際、使用者が入力部14を用いて該トレイ3を収納する棚の位置を入力し、記憶部18に記憶させる。
【0040】
特定試料情報18dは、例えば、新たに入庫する試料容器4の識別情報、廃棄すべき試料容器4の識別情報、出庫する試料容器4の識別情報等、特定の試料容器4の識別情報を含む。なお、入出庫及び廃棄する試料容器4の識別情報は、使用者が管理PC1に入力しても良いし、CPU11が廃棄すべき試料容器4を試料情報に基づいて判別するように構成しても良い。また、使用者を認証管理している場合においては、使用者の識別情報と、該使用者が取り扱っている試料容器4の識別情報とを対応付けて記憶部18に記憶させ、CPU11が認証した使用者の識別情報と対応付けられている試料容器4の識別情報を特定し、特定された識別情報を特定試料情報18dとして記憶部18に記憶させるように構成しても良い。
なお、一例として、特定試料情報18dを記憶部18が記憶する例を説明したが、特定試料情報18dをRAM13、その他の記憶装置に記憶させるように構成しても良い。
【0041】
次に、管理PC1のCPU11によって実現される機能を、試料管理装置の使用方法と合わせて説明する。
図6及び
図7は、CPU11の処理手順を示したフローチャートである。管理PC1のCPU11は、記憶部18が記憶するコンピュータプログラム19aをRAM13に読み出して実行することによって、以下の処理を実行する。使用者は、入力部14にて検索対象の設定を行うことができ、管理PC1のCPU11は、入力部14にて検索対象の設定を受け付ける(ステップS11)。検索対象としては、例えば、新規入庫する試料容器4、出庫する試料容器4、入庫すべき試料容器4、廃棄すべき試料容器4などの設定を行う。
【0042】
次いで、CPU11は、RAM13又は記憶部18が一時記憶している第1及び第2画像をクリアする(ステップS12)。第1画像、第2画像については後述する。そして、CPU11は、照明部23を点灯させ、撮像部22のピント及びコントラストを調整し、撮像部22にトレイ3を撮像させる(ステップS13)。CPU11は、撮像したトレイ3の画像を第1画像としてRAM13又は記憶部18に記憶させ(ステップS14)、第1画像を表示部15に表示させる(ステップS15)。
【0043】
そして、CPU11は、撮像部22にて撮像された動画の第1画像に含まれるトレイ識別コード部33を復号し(ステップS16)、トレイ3が検知されたか否かを判定する(ステップS17)。トレイ3が検知されていないと判定した場合(ステップS17:NO)、CPU11は処理をステップS13へ戻す。トレイ3が検知されたと判定した場合(ステップS17:YES)、CPU11は、撮像部22にて撮像されたトレイ識別コード部33の画像に基づいて、トレイ3が配された位置及び向きを特定する(ステップS18)。トレイ識別コード部33は指向性を有しているため、CPU11は、トレイ識別コード部33の画像に基づいて、撮像装置2の筐体21に対するトレイ3の位置及び向きを特定することができる。
【0044】
次いで、CPU11は、特定されたトレイ3の位置及び向きが、所定の位置範囲内であるか否かを判定する(ステップS19)。所定の位置範囲外と判定した場合(ステップS19:NO)、CPU11は、トレイ3の位置及び向きのエラー表示を行い(ステップS20)、処理をステップS13に戻す。所定の位置範囲内であると判定した場合(ステップS19:YES)、CPU11は、第1及び第2画像を比較することにより、第1画像にて特定されたトレイ3が、記憶済みの第2画像にて特定されるトレイ3と同じであるか否かを判定する(ステップS21)。もちろん、第1及び第2画像に含まれるトレイ識別コード部33の情報も比較して、第1画像にて特定されたトレイ3が、記憶済みの第2画像にて特定されるトレイ3と同じであるか否かを判定しても良い。同一のトレイ3を続けて読み取るような場合、トレイ識別コード部33の情報に変化は無いが、トレイ3の画像はある程度変化するため、第1及び第2画像の変化を検出することによって、出し入れされたトレイ3の変化をより確実に検出することができる。また、筐体21に入った使用者の手の画像によって、第1画像及び第2画像の変化があったと誤判断しないよう、トレイ3の輪郭を抽出し、該輪郭の移動及び向きの変化を検出すると良い。
なお、初めてステップS21を実行する場合、第2画像を記憶していないため、否と判定される。第1画像のトレイ3が、第2画像のトレイ3と同じであると判定した場合(ステップS21:YES)、CPU11は、処理をステップS13へ戻す。
【0045】
第1画像のトレイ3が、第2画像のトレイ3と異なると判定した場合(ステップS21:NO)、つまり、撮像装置2の筐体21に異なるトレイ3が挿入された場合、CPU11は、現在の重畳画像をクリアし(ステップS22)、図示しない時計部を用いて計時を開始し(ステップS23)、第1画像の内容を第2画像として記憶する(ステップS24)。重畳画像については後述する。
【0046】
次いでCPU11は、第2画像中に含まれるトレイ識別コード部33の識別情報に基づいて、区画位置情報の中から、該トレイ識別コード部33に対応するトレイ仕切り種別を取得する(ステップS25)。つまり、CPU11は、第2画像中にあるトレイ3がどのように区画されているかを特定する。
【0047】
そして、CPU11は、第2画像中の各区画の試料識別コード部41又は空所識別コード部34を復号し(ステップS26)、ステップS18で特定したトレイ3の位置及び方向、ステップS25で特定したトレイ3の区画に関する情報、並びに撮像部22にて撮像された画像における試料識別コード部41又は空所識別コード部34の位置に基づいて、複数の試料容器4が載置されている区画を特定する(ステップS27)。以下、試料容器4の載置場所の特定方法について説明する。
【0048】
図8は、試料容器4の載置場所を特定する方法を概念的に示した説明図である。CPU11は、撮像部22にて撮像された画像に含まれる試料識別コード部41を判別することにより、複数の試料容器4がそれぞれ載置されている区画を特定する。具体的には、CPU11は、ステップS18の処理で特定されたトレイ3の位置及び向きの情報、並びに区画位置情報18bに基づいて、トレイ3の各区画と対応する画像上の領域を特定する。そして、CPU11は、撮像部22にて撮像された画像における各区画に、試料識別コード部41の中心部が含まれているか否かを判定する。かかる処理を実行するCPU11は、撮像部22にて撮像された画像における各区画に、試料容器識別コード部の中心部が含まれているか否かを判定する判定部に相当する。一の区画に前記試料識別コード部41の中心部が含まれている場合、該試料識別コード部41に対応する試料容器4が載置されている場所として該一の区画を特定するようにしてある。
図8に示すように、トレイ3の端側にある区画に載置された試料容器4は斜めから撮像されるため、試料容器4の蓋体に貼付された試料識別コード部41の画像が区画の画像からはみ出てしまう。従って、試料識別コード部41の頂点又は試料識別コード部41の全体が区画に収まっているか否かを判定すると、試料容器4の載置場所を誤判定するおそれがある。このため、試料識別コード部41の略中央部が区画に収まっているか否かを判定することによって、試料容器4の載置場所を判定するようにしてある。同様の処理を全ての区画について実行する。なお、試料識別コード部41の読み取りの処理を行う時間は所定時間に制限されており、試料識別コード部41の読み取りに失敗した場合、後述するように空所識別コード部34を判別する処理を実行する。
【0049】
次いで、CPU11は、撮像部22にて撮像された画像に含まれる空所識別コード部34を判別することにより、試料容器4が載置されていない区画を特定する。かかる処理を実行するCPU11は、複数の試料容器4が載置されていない区画を特定する空所特定部として機能する。
【0050】
図7に戻り、CPU11は、試料識別コード部41及び空所識別コード部34の復号に成功したか否か、つまり全ての区画において試料識別コード部41及び空所識別コード部34のいずれかを復号できたか否かを判定する(ステップS28)。
【0051】
復号に失敗したと判定した場合(ステップS28:NO)、CPU11は、ステップS23で計時を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS29)。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS29:YES)、CPU11は、警告メッセージを表示部15に表示するなどして警告を発し(ステップS30)、処理を終える。ステップS23で計時を開始してから所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS29:NO)、CPU11は、撮像条件の変更を行い(ステップS31)、異なる複数の撮像条件下でトレイ3及び試料容器4を撮像部22に撮像させ(ステップS32)、第2画像の内容を更新し(ステップS33)、処理をステップS24へ戻す。そして、CPU11は、復号に失敗した区画について、試料識別コード部41又は空所識別コード部34の復号処理を実行する。撮像条件としては、例えば、照明部23の明るさ、撮像部22のピント及びコントラストなどを変更する。撮像条件を変更する場合、予め実験的に定められた良好な所定撮像条件から開始し、始めは撮像条件の変更幅を大きく、徐々に変更条件の変更幅を小さくしながら前記処理撮像条件に近づけていくように撮像条件を変更すると良い。例えば、照明部23の明るさが256階調で、所定撮像条件での照明部23の階調値が128である場合、始めは階調値128から開始し、次いで、階調値192、64、160、96、144、122の順で明るさを変更すると良い。コントラスト、その他の撮像条件についても同様である。
【0052】
復号に成功したと判定した場合(ステップS28:YES)、CPU11は、特定試料情報18dの中から、ステップS11で設定された識別情報を読み出し、第2画像に含まれる容器識別コード部の識別情報と、前記読み出した識別情報とを比較し(ステップS34)、検索対象の試料容器4が載置された区画を特定する(ステップS35)。
【0053】
次いで、CPU11は、特定された区画、つまり、検索対象の試料容器4が載置された区画を指摘する載置場所指摘画像73を含む重畳画像を記憶し、該重畳画像をトレイ3の動画の画像に重畳させる(ステップS36)。載置場所指摘画像73(
図9参照)は、例えば、区画を囲む枠画像である。枠画像の色は、目立ちやすい色で表示すると良い。なお、枠画像は一例であり、検索対象の試料容器4が載置されている区画を目立たせることができる画像であれば、特にこれに限定されない。
【0054】
次いで、CPU11は、各区画に対応する試料識別コード部41と、
図5に示した試料情報18aとに基づいて、各区画に載置された試料容器4に入れられた試料の化学物質名及び化学構造式を特定し、撮像部22にて撮像された各区画の画像上に、該区画に載置されている試料容器4の試料識別コード部41に対応する化学物質名又は化学構造式の画像を重畳させ(ステップS37)、処理をステップS13へ戻す。ステップS36及びステップS37で重畳された載置場所指摘画像、化学物質名又は化学構造式の画像は、重畳画像として、RAM13又は記憶部18が一時的に記憶する。処理を戻した後も、異なるトレイ3が検出されるまで、載置場所指摘画像73、化学物質名又は化学構造式が表示された状態で保持され、ステップS11以降の処理が実行される。
なお、ここでは、入庫対象、廃棄対象等の一種類のカテゴリーに属する試料容器4を、一種類の載置場所指摘画像で指摘する構成を説明したが、他種類のカテゴリーに属する試料容器4を、カテゴリー毎に異なる複数種類の載置場所指摘画像によって表示するように構成しても良い。具体的には、CPU11は、第1のカテゴリーに属する試料容器4の載置場所を指摘するための第1載置場所指摘画像をトレイ3の撮像画像に重畳する手段と、第2のカテゴリーに属する試料容器4の載置場所を指摘するための第2載置場所指摘画像をトレイ3の撮像画像に重畳する手段として機能する。第2載置場所指摘画像は、第1載置場所指摘画像と異なる。
【0055】
図9は、トレイ3及び試料容器4の画像に重畳された載置場所指摘画像73の一例を示した説明図、
図10は、トレイ3及び試料容器4の画像を表示部15に表示する方法を概念的に示した説明図である。
図9Aに示すように、特定された区画には、該区画を囲むような枠状の載置場所指摘画像73が重畳表示される。また、トレイ3の動画70の画像上に載置場所指摘画像73が重畳表示されるため、特定の試料容器4を確認しながらトレイ3から取り出すことができ、試料容器4が取り出された後も、
図9Bに示すように載置場所指摘画像73の重畳表示を維持するように構成されているため、載置場所指摘画像73を用いて試料容器4が取り出されていることを再確認することもできる。
また、
図9及び
図10に示すように、撮像部22にて撮像された動画70の各区画の画像上に、該区画に載置されている試料容器4の試料識別コード部41に対応する試料情報、好適には化学物質名又は化学構造式の画像71、72が重畳表示される。試料管理装置の使用者は、画面に表示されたトレイ3の画像、化学物質名又は化学構造式の画像71、72などを用いて所望の試料容器4を探し当てることができる。
なお、検索対象となっていない試料容器4が誤って取り出された場合、誤った試料容器4が取り出されたことを通知、例えば誤った試料容器4が取り出されたことを示す警告画像を表示部15に表示するように構成しても良い。具体的には、CPU11は、試料容器4が載置されている区画を特定する処理を定期的に又は常時実施することにより、試料容器4が取り出された区画を特定し、試料容器4が取り出された区画が、検索対象の試料容器4が載置された区画であるか否かを判定し、否と判定した場合、誤った試料容器4が取り出されたことを通知する処理を実行する。
【0056】
一方、CPU11は、特定されたトレイ識別コード部33の識別情報と、載置位置、即ち試料容器4が載置されている区画を示した情報と、試料識別コード部41の識別情報とを対応付けて記憶部18に記憶させることにより、試料の入出庫及び廃棄を管理する処理を行っている。また、試料識別コード部41に含まれる化学物質名及び化学構造式を読み取り、読み取った各情報も、試料識別コード部41に対応付けて記憶部18に記憶させている。なお、試料容器4を廃棄する場合、試料容器4の管理内容を確実にするため、コードリーダ5を用いて廃棄する試料容器4の試料識別コード部41を読み取り、廃棄の指示を入力部14にて受け付けた場合、試料情報18aから該試料識別コード部41の情報を記憶部18から削除するように構成しても良い。もちろん、廃棄する試料容器4を並べたトレイ3を試料管理装置に撮像させ、複数の試料容器4の情報を一括して削除するように構成することも可能である。また、試料容器4の管理内容を確実にするために、試料容器4を複数方向から撮像、例えば、トレイ3の上方及び側方から試料容器4を撮像し、撮像した各画像に基づいて、試料容器4の載置位置を特定するように構成しても良い。更に、トレイ3の重量を検出する重量センサーを備え、試料容器4の撮像画像と、重量センサーの検出結果とに基づいて、試料容器4の取り出し、載置を判定するように構成しても良い。
【0057】
本実施の形態に係る試料管理装置によれば、トレイ3等に載置された複数の試料容器4の中から目的とする試料容器4の載置場所を載置場所指摘画像73によって指摘するように構成しているため、使用者は容易に目的とする試料容器4を見つけることができる。
【0058】
また、試料容器4を入出庫する際、定められた区画に試料を対応付けて載置されていなくても、トレイ3の各区画にどのような試料容器4が載置されているか、空所であるかを特定し、記憶することができる。従って、試料管理装置の使用者は、入出庫作業時に試料容器4と、該試料容器4が配されるべき区画とを正確に対応付ける作業を行わずとも、試料管理装置により試料容器4の載置場所を管理することができる。例えば、使用者は、出庫した試料容器4を元の区画に載置しなくても、試料管理装置は、試料容器4の載置場所が変更されたことを認識して記憶部18に各試料容器4がどの区画に載置されているのかを示した試料情報18aを更新することができる。また、試料容器4の載置場所の誤り、コードの読み取り忘れによって、試料容器4が紛失するミスを軽減することができる。
【0059】
更に、試料容器4を入出庫する際、試料容器4に貼付された試料識別コード部41を各別にコードリーダ5で読み取る必要が無く、トレイ3全体を試料管理装置に撮像させるのみで、各試料容器4の載置場所を読み取り、管理させることができる。
【0060】
更にまた、本実施の形態では、空所識別コード部34を用いて試料容器4が載置されていない区画を特定するように構成してあるため、試料容器4の載置場所の特定を速やかに行うことができる。一般的に試料識別コード部41が無いことを判別するためには、コードの読み取りミスを避けるためにあらゆる方向から画像解析を実行する必要があり、非常に長い処理時間を要する。ところが、空所識別コード部34をトレイ3の各区画に貼付しておけば、短時間で空所を判別することができる。
なお、本実施の形態では、試料容器4を上側から撮像するように構成してあるため、試料容器4を各区画に載置することで空所識別コード部34を覆い隠すことができ、上述の効果を実現できる。
【0061】
更にまた、本実施の形態では、試料容器4の蓋体に貼付された試料識別コード部41を撮像する構成であるため、試料識別コード部41を試料容器4の底部に貼付する場合に比べて、試料容器4の底部の形状に制約が無く、試料容器4の選択自由度を向上させることができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、空所識別コード部34をトレイ3の底部30に貼付する例を説明したが、空所識別コード部34を貼付しないように試料管理装置を構成しても良い。
【0063】
また、本実施の形態では、トレイ識別コード部33を用いて各トレイ3を識別するように構成してあるが、トレイ3に載置されている複数の試料容器4に貼付された試料識別コードを用いて該トレイ3の特徴量、つまり該トレイ3がどのような用途で用いられているかといった傾向を算出し、該特徴量を用いて複数のトレイ3を判別するように構成しても良い。例えば、試料容器4に貼付された試料識別コードに含まれる情報を要素としたベクトルを計算し、各トレイ3のベクトル量が互に近似している場合、同一のトレイ3と判別するようにすれば良い。
【0064】
更に、本実施の形態において外光がトレイ3に入射しないように遮光板を適宜箇所に設けても良い。
【0065】
更にまた、空所識別コード部34として二次元コードを例示したが、トレイ3を撮像した画像から各区画が空所であることを判別することができれば、これに限定されず、図形、記号、模様、色彩等であっても良い。同様に、試料識別コード部41として二次元コードを例示したが、トレイ3を撮像した画像から各試料容器4を判別することができれば、これに限定されず、図形、記号、模様、色彩等であっても良い。
【0066】
(変形例1)
図11は、変形例1に係る空所識別部134の一例を示した説明図である。
図11に示すように、空所識別部134は、円弧と、丸状の点で構成されている。以下、主に試料容器104の特定に係るCPU11の動作を説明する。管理PC1のCPU11は、試料識別コード部41の読み取りに失敗した場合、円弧及び点からなる空所識別部134をトレイ103の画像から判別することによって、空所の区画を判別する。
ところで、ある区画に試料容器104が載置されているにも拘わらず、撮像条件が良好では無かったために、試料識別コード部41の読み取りに失敗している場合、該区画の空所識別部134は当然に読み取ることができず、空所識別部134の読み取りに時間を浪費してしまうことがある。そこで、CPU11は、空所識別部134の読み取りにも失敗した場合、前記区画の画像に試料容器104の特徴部分42、例えば試料容器104の輪郭に対応する円環の曲線が含まれているか否かを判別する。CPU11は、前記区画の画像に含まれる特徴部分42を判別した場合、該区画には試料容器104があると認識し、この区画に対する空所の特定処理を停止する。管理PC1のCPU11は、撮像条件が変更された後、空所では無い区画であって、未だ試料識別コード部41が読み取られていない区画の画像から、再び、試料識別コード部41の読み取りを実行する。
このように構成することによって、試料容器104の載置場所をより高速に読み取ることができる。
【0067】
(変形例2)
図12は、試料容器4及び載置方法の他の例を示した斜視図、
図13は、試料容器4の斜視図である。変形例2に係る試料容器4は扁平略直方体形状であり、内部には縦横に区画された多数の試料容器部が形成されている。試料容器4の側面には、該試料容器4を識別するための識別情報を符号化した試料識別コード部41が設けられている。
変形例2に係る試料管理装置は、
図12に示すように上下左右に載置された複数の試料容器4を撮像装置222にて撮像し、実施の形態と同様の処理を実行するように構成されている。但し、変形例2においては、トレイ3が存在しないため、トレイ3の識別は行わない。CPU11は、撮像した画像に含まれる各試料容器4の試料識別コード部41を復号し、特定の試料容器4を特定し、特定された試料容器4の載置場所を示す載置場所指摘画像273を、撮像画像した動画270(
図14参照)の画像に重畳させる処理を実行する。
【0068】
図14は、試料容器4の画像に重畳された載置場所指摘画像273の一例を示した説明図である。
図14に示すように、CPU11は、特定の試料容器4を指摘する載置場所指摘画像273、例えば試料容器4を囲む枠画像を、撮像された画像に重畳表示させる。
【0069】
変形例2のように、直方体形状の試料容器4を縦横に載置するような場合であっても、本発明を適用し、特定の試料容器4を指摘することができるため、使用者は容易に目的とする試料容器4を見つけることができる。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。