特許第5863568号(P5863568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5863568レーザ光照射方法およびレーザ光照射装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863568
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】レーザ光照射方法およびレーザ光照射装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20160202BHJP
   B23K 26/046 20140101ALI20160202BHJP
【FI】
   B23K26/00 M
   B23K26/00 N
   B23K26/046
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-126525(P2012-126525)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-248656(P2013-248656A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】光田 隆彦
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−218402(JP,A)
【文献】 特開平07−051877(JP,A)
【文献】 特開平08−174255(JP,A)
【文献】 特開2002−035980(JP,A)
【文献】 特開2011−056536(JP,A)
【文献】 特開2009−119491(JP,A)
【文献】 特開2005−193464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光学系を通してレーザ光を集光し被処理体に照射するレーザ照射方法であって、
前記被処理体に照射される前記レーザ光の照射出力と前記被処理体に照射される前記レーザ光の焦点位置と、前記被処理体に照射される前記レーザ光のビームサイズをそれぞれ検出し、前記焦点位置検出と前記ビームサイズ検出では、前記レーザ光による同一のビームプロファイルを用いて検出を行うものであり、
前記レーザ光の照射出力前記レーザ光の焦点位置および前記レーザ光のビームサイズの前記検出結果に基づき、前記レーザ光の照射出力と、前記レーザ光の焦点位置と、前記レーザ光のビームサイズとがそれぞれ同時に所定条件を満たすように調整することを特徴とするレーザ光照射方法。
【請求項2】
前記レーザ光の焦点位置調整は、前記レーザ光学系の調整により行うことを特徴とする請求項に記載のレーザ光照射方法。
【請求項3】
前記レーザ光のビームサイズ調整は、前記レーザ光学系の調整により行うことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ光照射方法。
【請求項4】
前記レーザ光の照射出力調整は、前記レーザ光が出力されるレーザ光出力源の出力調整および、前記レーザ光出力源から出力されたレーザ光の光量調整の一方または両方により行うことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のレーザ光照射方法。
【請求項5】
レーザ光を出力するレーザ光出力源と、
前記レーザ光出力源により出力された前記レーザ光を集光して被処理体に導くレーザ光学系と、
前記被処理体に照射される前記レーザ光の照射出力を検出する照射出力検出部と、
前記被処理体に照射される前記レーザ光の焦点位置を検出する焦点位置検出部と、
前記被処理体に照射される前記レーザ光のビームサイズを検出するビームサイズ検出部と、
前記照射出力検出部による前記レーザ光の照射出力の前記検出結果と、前記焦点位置検出部による前記レーザ光の焦点位置の前記検出結果と、前記ビームサイズ検出部による前記レーザ光のビームサイズの検出結果とを受け、前記各検出結果に基づき、前記レーザ光の照射出力と、前記レーザ光の焦点位置と、前記レーザ光のビームサイズとがそれぞれ同時に所定条件を満たすように調整する制御を行う制御部と、を有し、前記焦点位置検出部と前記ビームサイズ検出部とは、前記レーザ光による同一のビームプロファイルを用いて前記各検出を行うものであることを特徴とするレーザ光照射装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記レーザ光学系の調整を制御することにより前記レーザ光の焦点位置調整を行うものであることを特徴とする請求項記載のレーザ光照射装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記レーザ光学系の調整を制御することにより前記レーザ光のビームサイズ調整を行うものであることを特徴とする請求項5または6に記載のレーザ光照射装置。
【請求項8】
前記レーザ光学系は、出射端に集光部材を有し、
前記制御部は、前記集光部材の位置変更により前記調整を制御することを特徴とする請求項記載のレーザ光照射装置。
【請求項9】
前記レーザ光学系は、前記集光部材の入射側前方側にテレスコープを有し、
前記制御部は、前記テレスコープの位置変更により前記調整を制御することを特徴とする請求項記載のレーザ光照射装置。
【請求項10】
前記レーザ光出力源から出力された前記レーザ光の減衰率を調整可能な可変減衰器を有し、
前記制御部は、前記レーザ光出力源の出力調整および前記可変減衰器による前記レーザ光の減衰率調整の一方または両方を制御することにより、前記レーザ光の照射出力調整を行うことを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載のレーザ光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光学系を通してレーザ光を被処理体に照射するレーザ光照射方法およびレーザ光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程におけるウエハ活性化処理などには、高出力レーザを用いたレーザ光照射装置が用いられている。このようなレーザ光照射装置では、レンズなどの光学部材を含む光学系を通してレーザ光を導いている。この際に、レーザ光がレーザ光学系を構成するレンズなどの光学部材を通過して光学部材がレーザ光で加熱されることで、照射されるレーザ光の焦点位置やビームサイズが変化する熱レンズ効果という現象が発生する。熱レンズ効果が発生すると、結果的に被処理体に対するレーザ光の照射条件が変化する。
このため、レーザ光照射装置によるレーザ光の照射条件を安定化するには、熱レンズ効果により変化したレーザ光の焦点位置やビームサイズを調整して、焦点位置、ビームサイズなどの照射条件を一定に保つことが望ましい。これまで、熱レンズ効果によるレーザ光の照射条件の変化を抑制する技術としては、例えば特許文献1、2などに提案されているものがある。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来のレーザ加工装置を示す概略図である。
レーザ発振器101は、リアミラー103と出力鏡104とを有する光共振器102を備えている。レーザ発振器101の出力鏡104から出力されるレーザビームの光路上には、コリメーション光学系105および集光光学系108を順次介して被加工物109が配置されている。コリメーション光学系105は、コリメーションレンズ106、107により構成され、一方のコリメーションレンズ107には、これを移動する駆動ステージ110が設けられている。さらに、コリメーション光学系105と集光光学系108との間には、ハーフミラー111が配置されている。
ハーフミラー111の反射側には、ハーフミラー111により反射されたレーザビームの一部を反射して分岐するハーフミラー112、113がそれぞれ配置されている。ハーフミラー112、113に対しては、それぞれハーフミラー112、113により分岐されたレーザビームが入射するパワーメータ114、115が設けられている。
パワーメータ114、115には、パワーメータ114、115によるレーザビームの入射パワーの測定結果に基づき、駆動ステージ110によるコリメーションレンズ107の移動量を制御するフィードバック回路116が接続されている。
【0004】
上記レーザ加工装置では、被加工物109に照射されるレーザビームの焦点位置が熱レンズ効果により変化すると、その焦点位置の変化は、ハーフミラー111およびハーフミラー112、113により分岐されてパワーメータ114、115に入射するレーザビームの入射パワーの変化という形で検出される。フィードバック回路116では、パワーメータ114、115で検出された入射パワーの変化を補正するようにコリメーションレンズ307の移動量にフィードバックし、その移動量だけ駆動ステージ110によりコリメーションレンズ107が移動される。こうして、被加工物109に照射されるレーザビームの焦点位置が補正される。
【0005】
また、図6は、特許文献2に記載された従来のレーザ加工装置を示す概略図である。
図示するように、レーザ発振器201は、リアミラー203と出力鏡204とを有する光共振器202を備えている。レーザ発振器201の出力鏡204から出力されるレーザビームの光路上には、コリメーション光学系205および集光光学系208を順次介して被加工物209が配置されている。コリメーション光学系205は、コリメーションレンズ206、207により構成され、一方のコリメーションレンズ207には、これを移動する駆動ステージ210が設けられている。
さらに、集光光学系208を保持する鏡筒211には、集光光学系208に入射するレーザビームの外側のごく一部を分岐するハーフミラー212が設けられている。ハーフミラー212により分岐されたレーザビームは、レーザ加工装置に設けられたパワーメータ215に入射される。
パワーメータ215にはフィードバック回路214が接続されており、フィードバック回路214は、パワーメータ215によるレーザビームの入射パワーの測定結果に基づき、駆動ステージ210によるコリメーションレンズ207の移動量を制御する。
【0006】
上記レーザ加工装置では、被加工物209に照射されるレーザビームのビームサイズが熱レンズ効果により変化すると、そのビームサイズの変化は、ハーフミラー212により分岐されてパワーメータ215に入射するレーザビームの入射パワーの変化という形で検出される。フィードバック回路214では、パワーメータ215で検出された入射パワーの変化を補正するようにコリメーションレンズ207の位置を駆動ステージ210によりフィードバック制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−185860号公報
【特許文献2】特開平7−185861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した従来の各レーザ加工装置では、熱レンズ効果によるレーザ光の焦点位置やビームサイズの変化を、レーザ光のパワーの変化という形で検出している。このため、例えば、レンズの透過率の低下など、熱レンズ効果以外の要因により照射されるレーザ光のパワーに変化が生じた場合に、装置が誤動作するおそれがあり、レーザ光の照射条件を安定化することが難しい。
また、照射ビームプロファイルを測定して焦点位置やサイズをレンズを動かして調整することも従来から行われているが、レンズを動かすと光学系の効率が変化してレーザ照射出力および熱レンズ効果の状態も変化することがあり、装置の照射条件を安定化することは同様に難しい。
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、レーザ光の照射条件を安定化することができるレーザ光照射方法およびレーザ光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明のレーザ光照射方法のうち、第1の本発明は、レーザ光学系を通してレーザ光を集光し被処理体に照射するレーザ照射方法であって、
前記被処理体に照射される前記レーザ光の照射出力と前記被処理体に照射される前記レーザ光の焦点位置と、前記被処理体に照射される前記レーザ光のビームサイズをそれぞれ検出し、前記焦点位置検出と前記ビームサイズ検出では、前記レーザ光による同一のビームプロファイルを用いて検出を行うものであり、
前記レーザ光の照射出力前記レーザ光の焦点位置および前記レーザ光のビームサイズの前記検出結果に基づき、前記レーザ光の照射出力と、前記レーザ光の焦点位置と、前記レーザ光のビームサイズとがそれぞれ同時に所定条件を満たすように調整することを特徴とする。
【0012】
の本発明のレーザ光照射方法は、前記第の本発明において、前記レーザ光の焦点位置調整は、前記レーザ光学系の調整により行うことを特徴とする。
【0013】
の本発明のレーザ光照射方法は、前記第1または第2の本発明において、前記レーザ光のビームサイズ調整は、前記レーザ光学系の調整により行うことを特徴とする。
【0014】
の本発明のレーザ光照射方法は、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記レーザ光の照射出力調整は、前記レーザ光が出力されるレーザ光出力源の出力調整および前記レーザ光出力源から出力されたレーザ光の光量調整の一方または両方により行うことを特徴とする。
【0015】
の本発明のレーザ光照射装置は、レーザ光を出力するレーザ光出力源と、
前記レーザ光出力源により出力された前記レーザ光を集光して被処理体に導くレーザ光学系と、
前記被処理体に照射される前記レーザ光の照射出力を検出する照射出力検出部と、
前記被処理体に照射される前記レーザ光の焦点位置を検出する焦点位置検出部と、
前記被処理体に照射される前記レーザ光のビームサイズを検出するビームサイズ検出部と、
前記照射出力検出部による前記レーザ光の照射出力の前記検出結果と、前記焦点位置検出部による前記レーザ光の焦点位置の前記検出結果と、前記ビームサイズ検出部による前記レーザ光のビームサイズの検出結果とを受け、前記各検出結果に基づき、前記レーザ光の照射出力と、前記レーザ光の焦点位置と、前記レーザ光のビームサイズとがそれぞれ同時に所定条件を満たすように調整する制御を行う制御部と、を有し、前記焦点位置検出部と前記ビームサイズ検出部とは、前記レーザ光による同一のビームプロファイルを用いて前記各検出を行うものであることを特徴とする。
【0018】
の本発明のレーザ光照射装置は、前記第の本発明において、前記制御部は、前記レーザ光学系の調整を制御することにより前記レーザ光の焦点位置調整を行うものであることを特徴とする。
【0019】
の本発明のレーザ光照射装置は、前記第5または第6の本発明において、前記制御部は、前記レーザ光学系の調整を制御することにより前記レーザ光のビームサイズ調整を行うものであることを特徴とする。
【0020】
の本発明のレーザ光照射装置は、前記第の本発明において、前記レーザ光学系は、出射端に集光部材を有し、
前記制御部は、前記集光部材の位置変更により前記調整を制御することを特徴とする。
【0021】
の本発明のレーザ光照射装置は、前記第の本発明において、前記レーザ光学系は、前記集光部材の入射側前方側にテレスコープを有し、
前記制御部は、前記テレスコープの位置変更により前記調整を制御することを特徴とする。
【0022】
10の本発明のレーザ光照射装置は、前記第5〜第9の本発明のいずれかにおいて、前記レーザ光出力源から出力された前記レーザ光の減衰率を調整可能な可変減衰器を有し、
前記制御部は、前記レーザ光出力源の出力調整および前記可変減衰器による前記レーザ光の減衰率調整の一方または両方を制御することにより、前記レーザ光の照射出力調整を行うことを特徴とする。
【0023】
本発明のレーザ光出力源は、その種別が特に限定されるものではないが、レーザ照射を実施すべき処理内容などに応じて適宜選定することができる。例えば、レーザ光出力源としては、連続発振出力源、パルス発振出力源のいずれであってもよく、レーザ発振媒体も特に限定される。
【0024】
また、レーザ光を集光して被処理体に導くレーザ光学系も、特に限定されるものではなく、必要とされるレーザ光の照射条件などに応じてレンズ、ミラー、ホモジナイザなどの光学部材を適宜選定して構成することができる。
例えば、レーザ光学系は、少なくともその出射端に、被処理体にレーザ光を集光する集光部材を設けることができ、さらに、集光部材の入射前方側に、レーザビームを所望の強度分布に変形するテレスコープを設けることができる。なお、テレスコープは、集光部材の直前に位置することが必要とされるものでない。
【0025】
上記レーザ光の焦点位置調整やレーザ光のビームサイズ調整は、上記レーザ光学系の調整により行うことができる。レーザ光学系の調整は、例えば、レーザ光学系を構成するレンズその他の光学部材の位置や方向などを調整することにより行うことができる。
【0026】
また、被処理体に照射されるレーザ光の照射出力の調整は、例えば、レーザ光が出力されるレーザ光出力源の出力調整およびレーザ光出力源から出力されたレーザ光の光量調整の一方または両方により行うことができる。レーザ光の光量調整は、例えば、可変減衰器によりレーザ光の減衰率を調整することにより行うことができる。
【0027】
上記レーザ光の照射出力を検出する照射出力検出部は、レーザ光の照射出力を測定可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、パワーメータにより構成することができる。測定位置も特に限定されないが、被処理体に照射されるレーザ光と同じか、ほぼ同等の照射出力が得られる位置で測定するのが望ましい。これにより被照射体に実際に照射されるレーザ光の照射出力と同じか、それに近い測定結果を得ることができる。実際の照射出力と異なる測定結果を得る場合にも、測定結果と実際の照射出力との相関関係を把握しておくことで、実際の照射出力を知ることができる。
【0028】
また、上記レーザ光の焦点位置を検出する焦点位置検出部は、レーザ光の焦点位置を測定可能なものであれば、その構成が特に限定されるものではない。例えば、ビームプロファイルを撮像可能なカメラなどを用いて測定することができる。ビームプロファイルの観察により、レーザ光の焦点位置を検出することができる。その際に、カメラをレーザ光の光軸方向に沿って移動して焦点位置を測定してもよい。レーザ光の焦点位置の測定箇所は本発明としては特に限定されるものではなく、被処理体に照射されるレーザ光の焦点位置を結果的に把握可能であれば測定位置は限定されない。
【0029】
また、上記レーザ光のビームサイズを検出するビームサイズ検出部は、レーザ光のビームサイズを測定可能なものであれば特に限定されるものではない。レーザ光のビームプロファイルを撮像可能なカメラなどを用いることができる。レーザ光の焦点位置とビームサイズは、カメラなどで取得した同一のビームプロファイルを用いて測定することができる。レーザ光のビームサイズの測定箇所は本発明としては特に限定されるものではなく、被処理体に照射されるレーザ光のビームサイズを結果的に把握可能であれば測定位置は限定されない。
【0030】
上述したレーザ光の照射出力、焦点位置、ビームサイズの調整は、制御部により制御して実施することができる。制御部は、例えば、CPUとこれを動作させるプログラムとを主構成とし、該プログラムを格納したROMやワークエリアとなるRAM、前記した照射条件の基準値を格納しておく不揮発のフラッシュメモリなどの記憶部を備えたものにより構成することができる。
制御部は、上記レーザ光の照射出力および焦点位置の検出結果、またはこれらに加えてレーザ光のビームサイズの検出結果を受け、該検出結果に基づき、レーザ光の照射出力と焦点位置とが、またはこれらに加えてビームサイズとが、それぞれ同時に所定の条件を満たすように調整する制御を行う。
【0031】
例えば、制御部は、レーザ光学系の調整を制御することによりレーザ光の焦点位置やレーザ光のビームサイズ調整を行うことができる。
また、レーザ光の照射出力の調整は、レーザ光出力源の出力調整や可変減衰器によるレーザ光の減衰率調整により行うことができ、いずれか一方、または両方により行うことができる。照射出力の調整は、所定の基準により行うことができ、例えば、エネルギーの積分値やエネルギーの最大値を基準として行うことができ、本発明としては特定の基準に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、レーザ光学系を通してレーザ光を集光し被処理体に照射するレーザ光照射方法であって、前記被処理体に照射される前記レーザ光の照射出力と前記被処理体に照射される前記レーザ光の焦点位置とをそれぞれ検出し、前記レーザ光の照射出力および前記レーザ光の焦点位置の前記検出結果に基づき、前記レーザ光の照射出力と、前記レーザ光の焦点位置とがそれぞれ同時に所定条件を満たすように調整するので、レーザ光学系に熱レンズ効果が発生した場合を含めて、レーザ光の照射条件を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態のレーザ光照射装置におけるレーザ光照射状態を示す概略図である。
図2】同じく、レーザ光照射装置におけるレーザ光照射条件の調整状態を示す概略図である。
図3】同じく、レーザ光照射方法におけるレーザ光の照射条件の調整手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施形態のレーザ光照射方法におけるレーザ光の照射条件の調整手順を示すフローチャートである。
図5】従来のレーザ加工装置の一例を示す概略図である。
図6】従来のレーザ加工装置の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の一実施形態について図1図3に基づいて説明する。
レーザ光照射装置1は、レーザ光を出力する本発明のレーザ光出力源に相当するレーザ発振器2を備えている。レーザ発振器2は、注入ガス量や放電電圧を調整することでレーザ光の出力を調整することが可能になっている。レーザ発振器2としては、例えばガス励起のパルス発振出力源を用いることができる。ただし、本発明としてはこれに限定されず、連続発振出力源であってもよく、レーザ出力媒体もガスに限定されない。
【0035】
レーザ発振器2は、レーザ光照射装置1全体を制御する制御部3に制御可能に接続されており、制御部3により、レーザ発振器2の出力調整が可能になっている。制御部3は、CPUおよびこれを動作させるプログラム、不揮発メモリなどを備える記憶部などにより構成することができる。記憶部には、本発明が調整対象とするレーザ光の照射出力と、レーザ光の焦点位置、レーザ光のビームサイズなどに関する所定条件を予め記憶することができる。所定条件は、レーザ光の照射出力、レーザ光の焦点位置、レーザ光のビームサイズなどそのものであってもよく、また、これらに関連付けられた数値などであってもよい。
【0036】
レーザ発振器2から出力されたレーザ光4が進行する光路上には、レーザ光4の透過減衰率を調整可能な可変減衰器5が配置されている。可変減衰器5の構成は特に限定されるものではなく、既知のものを用いることができる。
可変減衰器5は、制御部3に制御可能に接続されており、制御部3により、可変減衰器5におけるレーザ光4の減衰率すなわち透過するレーザ光4の光量を調整することができる。
【0037】
可変減衰器5の出射側の光路上には、レーザ光4のビーム整形、偏向、集光などを行うレーザ光学系6が設けられている。レーザ光学系6は、この形態では、入射端側から、レンズ60、テレスコープ61、集光レンズ62などを有しているが、本発明としては、その構成が特に限定されるものではない。
【0038】
テレスコープ61は、レーザ光4の光路に沿って当該テレスコープ61を移動可能にする駆動部63に取り付けられている。また、集光レンズ62は、レーザ光4の光路に沿って当該集光レンズ62を移動可能にする駆動部64に取り付けられている。
駆動部63、64は、制御部3に制御可能に接続されており、制御部3は、駆動部63を制御してテレスコープ61の位置調整が可能になっており、駆動部64を制御して集光レンズ62の位置調整が可能になっている。
【0039】
レーザ光学系6の出射側には、レーザ光4の光路上に、レーザ光4の一部を反射して取り出すためのビームスプリッタ7が配置されている。レーザ光4の大部分が透過するビームスプリッタ7の透過側には、開口部8が配置されて、その透過方向にステージ9が位置できるように水平移動可能なステージ9が配置されている。開口部8は、レーザ光4のビーム断面形状の整形を行うマスク(図示しない)などに設けられている。
ステージ9上には、レーザ光4を照射すべき被処理体10が載置される。ステージ9は、レーザ光4を被処理体10に走査しつつ照射可能なように、また、レーザ光4の照射条件を調整する際に、後述のパワーメータ13およびカメラ14と干渉しないように、水平面内で移動できるように図示しない移動装置が設けられている。なお、この形態では、レーザ光4の照射条件を調整する際に、被処理体10へのレーザ光照射を止めてステージ9を横方向に移動させて退避させているが、被処理体10へのレーザ光照射を行いつつレーザ光4の照射条件を調整できるように構成することも可能である。
【0040】
ビームスプリッタ7でレーザ光4の一部が反射する反射方向には、ビームスプリッタ7で反射したレーザ光4aを下方側に反射するミラー11が配置されている。ミラー11の下方側には、水平に移動可能なシャッター12が配置されている。シャッター12は、被処理体10にレーザ光4が照射されている際には、ミラー11の反射方向に位置してミラー11における反射光の光路を閉め、レーザ光4の照射条件を調整する際には、ミラー11の反射方向から側方に退避して、ミラー11で反射したレーザ光4aの光路を開ける。シャッター12の移動は、制御部3により制御することができる。
【0041】
ステージ9の側方には、パワーメータ13と、カメラ14とが水平方向に移動可能に配置されている。パワーメータ13は本発明の照射出力検出部に相当し、カメラ14は本発明の焦点位置検出部及びビームサイズ検出部の一部を構成する。
【0042】
パワーメータ13は、図2に示すように、レーザ光4の照射条件を調整する際に、開口部8を経たレーザ光4の光路上に移動して、レーザ光4を受光してその照射出力を検出する。パワーメータ13の受光面は、被照射体10の照射面よりもやや低い位置にあるが、被処理体10の照射面上を想定した測定を行うことができる。測定結果と照射面上の照射出力とは、予め相関関係を得ておくことで、測定結果から照射面上の照射出力を判定し、照射出力の所定条件に調整することができる。また、測定位置における測定結果を基にして適正な所定条件を定めることができる。パワーメータ13は、レーザ光4の照射出力の検出結果を送信可能に制御部3に接続されている。
【0043】
カメラ14は、図2に示すように、レーザ光4の照射条件を調整する際に、ミラー11の反射方向の光路上に移動して、ミラー11で反射したレーザ光4aのビームプロファイルを撮影する。カメラ14は、レーザ光4aのビームプロファイルの観察結果を送信可能に制御部3に接続されている。なお、カメラ14は、スプリッタ7、ミラー11を経た光路長を考慮して、被処理体10への照射面とほぼ一致する位置に配置される。これによりカメラ14で撮像されるビームプロファイルは、照射面上とほぼ同じになる。
パワーメータ13およびカメラ14は、これらを水平方向に移動可能な駆動部15に接続されている。駆動部15は、制御部3に制御可能に接続されており、制御部3の制御によってパワーメータ13およびカメラ14とが、測定位置と退避位置との間で一体に移動する。
【0044】
次に、レーザ光照射装置1におけるレーザ光4の照射条件の調整手順について図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。照射条件の調整手順は、制御部3により実行される。
なお、被処理体10は、特に種別、用途などが限定されるものではないが、例えば、イオン注入などによりドーパントが導入されたシリコンウエハなどの半導体ウエハを用いることができる。この場合、半導体ウエハにレーザ光4が照射されることにより、ドーパントが活性化される。
【0045】
レーザ光照射装置1では、レーザ光4の照射条件として、レーザ光の照射出力、焦点位置、およびビームサイズが設定されている。レーザ光4の照射条件の調整は、レーザ光照射装置1の設置時や、所定の時間毎や、処理ロット数毎に行うことができる。その頻度や機会は本発明としては特に限定されるものではない。
【0046】
先ず、レーザ光照射装置1では、可変減衰器5とレーザ光照射出力との関係を示す較正データを収集する(ステップs1)。
較正データの収集は、パワーメータ13を用いて行うことができる。この際には、レーザ光4が所定の焦点位置およびビームサイズで被処理体に照射されるように、レーザ光学系6の調整がなされている。レーザ光学系6の調整は、後述するようにカメラ14を用いたビームプロファイルの観察により行うことができる。
【0047】
較正データの収集に際しては、レーザ光4の照射位置からステージ9を退避させ、駆動部15によってパワーメータ13を水平に移動させ開口部8の出射側に位置させる。この状態で、レーザ発振器2からレーザ光4を出力し、光学系6を通して開口部8を透過したレーザ光4をパワーメータ13に入射する。パワーメータ13の測定結果は、制御部3に送信される。制御部3では、この際に可変減衰器5の調整とパワーメータ13によって測定される結果とを関連付けることで照射出力Pに関する較正データを得ることができる。
【0048】
次いで、照射出力基準値(P)を設定する(ステップs2)。照射出力基準値(P)は、この際に設定してもよく、また、記憶部などに格納された照射出力に関する所定条件を読み出して設定をしてもよい。
続いて、レーザ光4の照射出力Pが設定した基準値Pになるように、制御部3により可変減衰器5の減衰率を調整し(ステップs3)、レーザ光4の照射出力Pを調整する。 なお、可変減衰器5の減衰率の調整に代えて、またはこれともに、制御部3によりレーザ発振器2の出力の調整を行うことにより、レーザ光4の照射出力Pの調整を行うようにしてもよい。
【0049】
次いで、パワーメータ13によりレーザ光4の照射出力Pが測定され(ステップs4)、該測定結果が制御部3に送信される。制御部3では、パワーメータ13により測定された照射出力Pが基準値Pになっているかを判定する(ステップs5)。照射出力Pが基準値Pになっていなければ(ステップs5、No)、ステップs1に戻り、上記手順が繰り返し行われる。
【0050】
一方、ステップs5の判定で、照射出力Pが基準値Pになっていると判定されると(ステップs5、Yes)、ビームスプリッタ7で取り出され、ミラー11で反射されたレーザ光4aのビームプロファイルがカメラ4により撮像され、制御部3に送信されてビームプロファイルが観察される(ステップs6)。この際に、シャッター12は開かれている。
カメラ14は、パワーメータ13を駆動部15で移動させた際に上記測定位置に位置しており、パワーメータ13による照射出力の測定とともに、または測定後直ちに、ビームプロファイルを取得することができる。
【0051】
制御部は、ビームプロファイルの観察に基づいてレーザ光4の焦点位置を測定する(ステップs7)。焦点位置の測定方法は特に限定されるものではなく、ビームサイズから焦点位置を推定したり、またカメラ14を光路に沿って移動させてビームサイズが最小となる位置を焦点位置に決定したりすることができる。
次いで、焦点位置が基準値(Z)であるかを判定する(ステップs8)。例えば、焦点位置の所定条件は、予め記憶部などに格納されており、これを読み出して観察結果と比較することで上記判定を行うことができる。
【0052】
焦点位置が基準値(Z)である場合(ステップs8、Yes)、レーザ光の照射出力と焦点位置とが同時に所定条件を満たすため、処理を終了する。
また、焦点位置が基準値(Z)でない場合(ステップs8、No)、カメラ14と制御部3でビームプロファイルを観察しつつ、駆動部64によって集光レンズ62を光路上に沿って移動させ、焦点位置が基準値(Z)となるように集光レンズ62の位置を調整する(ステップs9)。この際の移動量は、予め焦点位置のズレ量との相関関係を得ておき、この相関関係に基づいて調整することもできる。また、ステップs7〜s9のループにおいて、焦点位置が基準値(Z)となった後、ステップs5に移行するようにしてもよい。
【0053】
次いで、パワーメータ13による測定に基づいて、照射出力が基準値(P)であるかを判定する(ステップs5)。ここで、照射出力が基準値(P)であれば(ステップs5、Yes)、ビームプロファイル観察(ステップs6)、焦点位置測定(ステップs7)、焦点位置判定(ステップs8)を経て、焦点位置が基準値(Z)を満たしていることから処理を終了する。焦点位置調整後、照射出力が基準値(P)でないと判定されると(ステップs5、No)、照射出力の較正(ステップs1)に戻り、照射出力調整、焦点の調整の手順が繰り返され、レーザ光の照射出力と焦点位置が同時に所定条件を満たすことで処理を終了する。
【0054】
この形態によれば、レーザ光が熱レンズ効果による影響を受けて変動するような場合であっても、レーザ光の照射出力および焦点位置を所定の条件に短時間で設定して照射条件を最適化することができ、また、最適化された照射条件を維持して被処理体に対するレーザ光の照射を実施することができる。
【0055】
このレーザ光4の照射条件を調整する処理を行った後、パワーメータ13およびカメラ14が退避位置に戻されるとともに、被処理体10が載置されたステージ9が退避位置からレーザ光4の照射位置に移動される。ステージ9が照射位置に移動された後、ステージ9上の被処理体10に対して、調整された照射条件でレーザ光4の照射が実施され、所望の処理が行われる。これにより、安定した状態で処理を行うことが可能になり、レーザ光4の照射条件を適宜時機に調整することで、安定した状態を長期に亘り維持することができる。
【0056】
次に、他の形態の調整処理の手順を図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
図3のフローで示される処理では、レーザ光の照射条件と焦点位置とが同時に所定の条件を満たすことを調整の条件としたが、これに合わせてビームサイズが同時に所定条件を満たすことを条件にして調整を行うようにしてもよい。以下、説明する。
【0057】
なお、この形態のステップs1〜s8では、図3の手順のステップs1〜s8と同じ内容であり、その説明を簡略にして、以下、順に説明する。
先ず、レーザ光照射装置1では、可変減衰器5とレーザ光照射出力との関係を示す較正データを収集しておく(ステップs1)。
次いで、照射出力基準値(P)を設定する(ステップs2)。
続いて、レーザ光4の照射出力Pが設定した基準値Pになるように、制御部3により可変減衰器5の減衰率を調整し(ステップs3)、レーザ光4の照射出力Pが調整される。 なお、可変減衰器5の減衰率の調整に代えて、またはこれともに、制御部3によりレーザ発振器2の出力の調整を行うことにより、レーザ光4の照射出力Pの調整を行うようにしてもよい。
【0058】
次いで、パワーメータ13によりレーザ光4の照射出力Pが測定され(ステップs4)、該測定結果が制御部3に送信される。制御部3では、パワーメータ13により測定された照射出力Pが基準値Pになっているかを判定する(ステップs5)。照射出力Pが基準値Pになっていなければ(ステップs5、No)、ステップs1に戻り、上記手順が繰り返し行われる。
【0059】
一方、ステップs5の判定で、照射出力Pが基準値Pになっていると判定されると(ステップs5、Yes)、ビームスプリッタ7で取り出され、ミラー11で反射されたレーザ光4aのビームプロファイルがカメラ4により撮影され、制御部3に送信されてビームプロファイルが観察される(ステップs6)。
カメラ14は、パワーメータ13を駆動部15で移動させた際に上記測定位置に位置しており、パワーメータ13による照射出力の測定とともに、または測定後直ちに、ビームプロファイルを取得することができる。
【0060】
制御部3は、ビームプロファイルの観察に基づいてレーザ光4の焦点位置を測定する(ステップs7)。次いで、焦点位置が基準値(Z)であるかを判定する(ステップs8)。焦点位置が基準値(Z)である場合(ステップs8、Yes)、さらに、ビームサイズ(S)を測定する(ステップs10)。ビームサイズの測定は、カメラ14で取得したビームプロファイルを利用して制御部3により判定することができる。すなわち、同じ構成で、レーザ光の焦点位置の測定とビームサイズの測定とを行うことができる。
次いで、ビームサイズSが基準値(S)であるかを判定する(ステップs11)。
例えば、ビームサイズの所定条件は、予め記憶部などに格納されており、これを読み出して測定結果と比較することで上記判定を行うことができる
ビームサイズが基準値(S)を満たす場合(ステップs11、Yes)、レーザ光の照射出力と焦点位置とビームサイズが同時に所定条件を満たすため、処理を終了する。
【0061】
一方、ステップs8で、焦点位置が基準値(Z)でない場合(ステップs8、No)、カメラ14と制御部3でビームプロファイルを観察しつつ、駆動部64によって集光レンズ62を光路上に沿って移動させ、焦点位置が基準値(Z)となるように集光レンズ62の位置を調整する(ステップs9からステップs7、8へ)。
【0062】
一方、ステップs11でビームサイズが基準値(S)でない場合(ステップs11、No)、カメラ14と制御部3でビームプロファイルを観察しつつ、駆動部63によってテレスコープ61を光路上に沿って移動させ、ビームサイズが基準値(S)となるようにテレスコープ61の位置を調整する(ステップs12)。この際の移動量は、予めビームサイズのズレ量との相関関係を得ておき、この相関関係に基づいて調整することもできる。また、ステップs10〜s12のループにおいて、ビームサイズが基準値(S)となった後、ステップs5に移行するようにしてもよい。
【0063】
次いで、パワーメータ13による測定に基づいて、照射出力が基準値(P)であるかを判定する(ステップs5)。ここで、照射出力が基準値(P)であれば(ステップs5、Yes)、ビームプロファイル観察(ステップs6)、焦点位置測定(ステップs7)、焦点位置判定(ステップs8)、ビームサイズ測定(ステップs10)、ビームサイズ判定(ステップs11)を経て、焦点位置が基準値(Z)を満たし、ビームサイズが基準値(S)を満たしていることから処理を終了する。
【0064】
焦点位置調整、ビームサイズ調整後、照射出力が基準値(P)でないと判定されると(ステップs5、No)、照射出力の較正(ステップs1)に戻り、照射出力調整、焦点の調整、ビームサイズの調整の手順が繰り返され、レーザ光の照射出力と焦点位置とビームサイズが同時に所定条件を満たすことで処理を終了する。
【0065】
このレーザ光4の照射条件を調整する処理を行った後、パワーメータ13およびカメラ14が退避位置に戻されるとともに、被処理体10が載置されたステージ9が退避位置からレーザ光4の照射位置に移動される。ステージ9が照射位置に移動された後、ステージ9上の被処理体10に対して、調整された照射条件でレーザ光4の照射が実施され、所望の処理が行われる。これにより行うことで、安定した状態で処理を行うことが可能になり、レーザ光4の照射条件を適宜時機に調整することで、安定した状態を長期に亘り維持することができる。
【0066】
本実施形態では、レーザ光の照射出力および焦点位置ならびにビームサイズを所定の条件に短時間で設定して照射条件をさらに最適化することができ、また、さらに最適化された照射条件を維持して被処理体に対するレーザ光の照射を実施することができる。
【0067】
各実施形態では、被処理体10としてドーパントが導入された半導体ウエハに対して、レーザ光4を照射してドーパントの活性化を行う場合には、上記のようにして照射出力を一定に維持してレーザ光を半導体ウエハに照射することで、半導体ウエハのシート抵抗値を基準値に維持することができる。また、上記のようにしてビーズサイズをも一定に維持してレーザ光をウエハに照射することで、半導体ウエハのシート抵抗値をさらに確実に基準値に維持することができる。また、上記のようにして焦点位置を一定に維持してレーザ光を照射することで、ドーパントを活性化した半導体ウエハのシート抵抗値の均一性を向上することができる。
【0068】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 レーザ光照射装置
2 レーザ発振器
3 制御部
4 レーザ光
4a レーザ光
5 可変減衰器
6 レーザ光学系
60 レンズ
61 テレスコープ
62 集光レンズ
63 駆動部
64 駆動部
7 ビームスプリッタ
8 開口部
9 ステージ
10 被処理体
11 ミラー
12 シャッター
13 パワーメータ
14 カメラ
15 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6