特許第5863695号(P5863695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5863695インクジェット装置、インク循環装置およびインクジェット記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863695
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】インクジェット装置、インク循環装置およびインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/18 20060101AFI20160204BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20160204BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   B41J2/18
   B41J2/175 121
   B41J2/175 171
   B41J2/01 451
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-72330(P2013-72330)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-195932(P2014-195932A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】原 千弘
(72)【発明者】
【氏名】廣木 正士
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩由
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−058008(JP,A)
【文献】 特開2010−247373(JP,A)
【文献】 特開2009−285846(JP,A)
【文献】 特開2009−173267(JP,A)
【文献】 特開2006−213061(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/018585(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐き出す複数のノズルに通じるインク室と、前記インク室の反対側に位置された端部と、を有するインクジェットヘッドと、
インクを蓄えるインクタンクを有するとともに、前記インクタンク内のインクを前記インクジェットヘッドの前記インク室との間で強制的に循環させるように構成されたインク循環モジュールと、を含み、
前記インク循環モジュールが前記インクジェットヘッドの前記端部に直付けされて前記インクジェットヘッドと一体化され、
前記インクタンクは、前記インクタンクに蓄えられたインクの液面に臨む空気室を有し、
前記インク循環モジュールは、前記空気室の空気圧を調整する圧力調整機構を有するインクジェット装置。
【請求項2】
請求項に記載のインクジェット装置において、
前記インク循環モジュールは、前記空気室の空気圧を検出する圧力センサを備え、当該圧力センサが検出した空気圧に基づいて前記圧力調整機構を制御するように構成されたインクジェット装置。
【請求項3】
請求項に記載のインクジェット装置において、
前記圧力センサは、前記空気室に臨む検出端子を有し、当該検出端子と前記空気室との間にラビリンス構造を有するシール部が設けられたインクジェット装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット装置において、
前記インクタンクは、前記インクジェットヘッドの前記端部と向かい合う底部を有し、前記インクタンクの前記底部の厚さが前記インクジェットヘッドの前記端部の厚さよりも小さく形成されたインクジェット装置。
【請求項5】
請求項に記載のインクジェット装置において、
前記インクジェットヘッドの前記端部に、フレキシブルプリント配線板が引き出されるスロットが設けられ、当該スロットが前記インクタンクの前記底部と隣り合うインクジェット装置。
【請求項6】
インクが循環されるインク室を有するインクジェットヘッドに用いるインク循環装置であって、
循環用のインクを蓄えるインクタンクを有するとともに、前記インクタンク内のインクを前記インクジェットヘッドの前記インク室との間で強制的に循環させるように構成され、前記インク室の反対側に位置された前記インクジェットヘッドの端部に直付けされて前記インクジェットヘッドと一体化され、
前記インクタンクは、前記インクタンクに蓄えられたインクの液面に臨む空気室を有し、
前記空気室の空気圧を調整する圧力調整機構を有するインク循環装置。
【請求項7】
記録媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路を搬送される前記記録媒体に向けてインクを吐き出す前記請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載されたインクジェット装置と、
を具備したインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インク循環形のインクジェット装置、インク循環形のインクジェットヘッドに用いるインク循環装置およびインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インク循環形のインクジェットヘッドを有するインクジェット装置は、インクがノズルの付近に滞留することなく循環する。このため、インクの変質および沈降を防ぐことができ、インクの吐出信頼性が向上する。
インク循環形のインクジェットヘッドは、インクを供給する供給配管および余剰のインクを排出する還流配管を介してインクタンクに接続されている。インクタンクは、インクジェットヘッドに分配されるインクを蓄える要素であって、インクジェットヘッドから離れた場所に据え付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4433760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のインクジェット装置によると、インクを蓄える容量の大きなインクタンクおよびインクタンクとインクジェットヘッドとの間でインクを循環させる専用の配管を必要とする。
【0005】
この結果、インクジェットヘッドの周囲にインクタンクを設置するスペースおよび配管を引き回すスペースを確保しなくてはならず、インクジェット装置の大型化を招く要因となるといった課題がある。
【0006】
本発明の目的は、インクを循環させる構成でありながら、小型化を達成できるインクジェット装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、インクジェット装置は、インクジェットヘッドとインク循環モジュールと、を備えている。インクジェットヘッドは、インクを吐き出す複数のノズルに通じるインク室と、前記インク室の反対側に位置された端部と、を有する。前記インク循環モジュールは、インクを蓄えるインクタンクを有するとともに、当該インクタンク内のインクを前記インクジェットヘッドの前記インク室との間で強制的に循環させるように構成されている。前記インク循環モジュールは、前記インクジェットヘッドの前記端部に直付けされて前記インクジェットヘッドと一体化されている。前記インクタンクは、前記インクタンクに蓄えられたインクの液面に臨む空気室を有し、前記インク循環モジュールは、前記空気室の空気圧を調整する圧力調整機構を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るインクジェット記録装置を概略的に示す側面図である。
図2】実施形態に係るインクジェット装置の正面図である。
図3】実施形態に係るインクジェット装置を背後から見た背面図である。
図4】インク供給口、インク排出口およびアクチュエータのインク溝の位置関係を示すインクジェットヘッドの平面図である。
図5図4のF5−F5線に沿う断面図である。
図6図5のF6−F6線に沿う断面図である。
図7】インクジェットヘッドの端部にインク循環装置を直付けしたインクジェット装置の側面図である。
図8】インクジェットヘッドの端部にインク循環装置を直付けしたインクジェット装置の斜視図である。
図9図2の矢印F9の方向から見たインクジェット装置の側面図である。
図10図2の矢印F10の方向から見たインクジェット装置の側面図である。
図11】(A)は、インクを吸引する際の動作状態を概略的に示す圧電ポンプの断面図である。(B)は、インクを吐出する際の動作状態を概略的に示す圧電ポンプの断面図である。
図12】チューブポンプの構造を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、インクジェット記録装置1の一例を概略的に示している。インクジェット記録装置1は、箱形の筐体2を備えている。給紙カセット3、排紙トレイ4、搬送路5および保持ドラム6が筐体2の内部に収容されている。
【0011】
給紙カセット3は、記録媒体の一例である用紙Sを収容する要素であって、筐体2の底部に配置されている。排紙トレイ4は、筐体2の上部に設けられている。
【0012】
搬送路5は、給紙カセット3に連続する上流部5aと、排紙トレイ4に連続する下流部5bとを備えている。給紙カセット3に収容された用紙Sは、ローラ7により一枚づつ搬送路5の上流部5aに送り出される。
【0013】
保持ドラム6は、給紙カセット3と排紙トレイ4との間に配置されている。給紙カセット6から搬送路5の上流部5aに送り出された用紙Sは、保持ドラム6の外周面6aを経由して搬送路5の下流部5bに導かれる。具体的には、保持ドラム6は、その外周面6aに用紙Sを保持した状態で周方向に一定の速度で回転するように構成されている。
【0014】
図1に示すように、保持ドラム6の周囲に、用紙押圧装置8、画像形成装置9、除電装置10およびクリーニング装置11が配置されている。
【0015】
用紙押圧装置8は、搬送路5の上流部5aから保持ドラム6の外周面6aに供給された用紙Sを保持ドラム6の外周面6aに押し付ける。保持ドラム6の外周面6aに押し付けられた用紙Sは、静電力により保持ドラム6の外周面6aに吸着される。
【0016】
画像形成装置9は、保持ドラム6の外周面6aに吸着された用紙Sに画像を形成するための要素である。本実施形態の画像形成装置9は、例えばシアン画像を形成する第1のインクジェット装置12A、マゼンダ画像を形成する第2のインクジェット装置12B,イエロー画像を形成する第3のインクジェット装置12Cおよびブラック画像を形成する第4のインクジェット装置12Dを備えている。
【0017】
第1ないし第4のインクジェット装置12A,12B,12C,12Dは、保持ドラム6の回転方向に間隔を存して配列されている。保持ドラム6の回転方向は、保持ドラム6の外周面6aに沿って搬送される用紙Sの搬送方向と言い換えることができる。
【0018】
除電装置10は、画像が形成された用紙Sの除電を行うとともに、除電後に用紙Sを保持ドラム6の外周面6aから剥離させる機能を有する。保持ドラム6の外周面6aから剥離された用紙Sは、搬送路5の下流部5bを通って排紙トレイ4に導かれる。
【0019】
クリーニング装置11は、用紙Sが剥離された保持ドラム6の外周面6aを清掃する機能を有する。クリーニング装置11は、保持ドラム6の外周面6aに接する位置と、保持ドラム6の外周面6aから離脱する位置との間で移動可能となっている。
【0020】
さらに、本実施形態のインクジェット記録装置1は、用紙Sを反転させる反転装置13を備えている。反転装置13は、除電装置10により保持ドラム6の外周面6aから剥離された用紙Sを反転させて搬送路5の上流部5aに戻す。これにより、用紙Sは、表と裏が反転された状態で再び保持ドラム6の外周面6aに供給される。よって、用紙Sの表と裏の両面に所望の画像を形成することができる。
【0021】
画像形成装置9を構成する第1ないし第4のインクジェット装置12A,12B,12C,12Dは、基本的に共通の構成を有している。そのため、本実施形態では、第1のインクジェット装置12Aの構成を代表して説明する。
【0022】
本実施形態によると、第1のインクジェット装置12Aは、複数用意されているとともに、例えば用紙Sが搬送される方向と直交する方向に一列もしくはジグザグ状に配列されている。
【0023】
図2および図3に示すように、各インクジェット装置12Aは、インク循環形のインクジェットヘッド15および密閉形のインク循環装置16を備えている。インクジェットヘッド15は、ヘッド本体17、マニフォルド18およびヘッドカバー19を備えている
図4ないし図6に示すように、ヘッド本体17は、基板20、枠部材21、ノズルプレート22および一対のアクチュエータ23a,23bを有している。基板20は、細長いフラットな下面20aを有する矩形状の要素である。
【0024】
複数のインク供給口24および複数のインク排出口25が基板20に形成されている。インク供給口24は、基板20の中央部で基板20の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。インク排出口25は、インク供給口24を挟むように基板20の長手方向に間隔を存して二列に並んでいる。
【0025】
枠部材21は、インク供給口24およびインク排出口25を取り囲むように基板20の下面20aに接着されている。ノズルプレート22は、枠部材21に接着されて基板20の下面20aと向かい合っている。
【0026】
図4に示すように、一対のノズル列27a,27bがノズルプレート22に形成されている。ノズル列27a,27bは、ノズルプレート22の長手方向に延びるように、互いに間隔を存して配列されている。
【0027】
ノズル列27a,27bは、夫々複数のノズル28を有している。ノズル28は、ノズル列27a,27b毎にノズルプレート22の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。基板20、枠部材21およびノズルプレート22は、互いに協働してインク室29を構成している。インク供給口24およびインク排出口25は、夫々インク室29に開口されている。
【0028】
アクチュエータ23a,23bは、インク室29に収容されている。一方のアクチュエータ23aは、インク供給口24と一方のインク排出口25との間に位置するように基板20の下面20aに接着されている。他方のアクチュエータ23bは、インク供給口24と他方のインク排出口25との間に位置するように基板20の下面20aに接着されている。
【0029】
アクチュエータ23a,23bは、夫々ノズル列27a,27bに沿って延びる細長い本体30を備えている。図6に示すように、本体30は、二枚の圧電板31a,31bで構成されている。圧電板31a,31bは、夫々の分極方向が圧電板31a,31bの厚さ方向に沿って逆向きとなるように張り合わされている。
【0030】
図4ないし図6に示すように、複数のインク溝32が本体30に形成されている。インク溝32は、本体30の長手方向に間隔を存して配列されているとともに、本体30の表面および側面に連続して開口されている。本体30のうちインク溝32の間に位置された部分は、隣り合うインク溝32の間を隔てる隔壁33として機能している。
【0031】
ノズルプレート22は、本体30の表面に開口されたインク溝32の開口端を閉じている。インク溝32とノズルプレート22とで規定された空間は、複数の圧力室34を構成している。圧力室34は、ヘッド本体17のインク室29に通じている。
【0032】
圧力室34を規定するインク溝32の内面に電極35が設けられている。隣り合うインク溝32の電極35は、電気的に独立するように隔壁33によって切り離されている。電極35は、配線パターン36を含んでいる。配線パターン36は、本体30の側面から基板20の下面20aに至るように電極35から引き出されている。
【0033】
配線パターン36の先端部は、インク室29の外で複数の第1のフレキシブルプリント配線板37に接続されている。第1のフレキシブルプリント配線板37は、インクジェットヘッド15を駆動する駆動回路を搭載したプリント回路板に電気的に接続されている。プリント回路板は、図2に示す第2のフレキシブルプリント配線板38に電気的に接続されている。
【0034】
図5に示すように、前記マニフォルド18は、ヘッド本体17の基板20の上面20bに固定されている。マニフォルド18は、インク供給口24にインクを供給する分配通路40と、インク排出口25から排出されたインクが流入する還流通路41とを備えている。分配通路40は、インク供給管42に接続されている。還流通路41は、インク戻し管43に接続されている。インク供給管42およびインク戻し管43は、マニフォルド18から上方に向けて突出されている。
【0035】
前記ヘッドカバー19は、四角い箱形の形状を有するとともに、マニフォルド18、第1のフレキシブルプリント配線板37、インク供給管42およびインク戻し管43を取り囲んでいる。
【0036】
ヘッドカバー19の上端は、樹脂製のトッププレート44で塞がれている。トッププレート44は、複数のねじ45でヘッドカバー19の上端に固定されている。そのため、トッププレート44は、インク室29を有するヘッド本体17の反対側に位置されて、インクジェットヘッド15の端部15aを構成している。
【0037】
図2および図7に示すように、インク供給管42およびインク戻し管43は、トッププレート44を貫通してインクジェットヘッド15の端部15aの上に突出されている。インク供給管42およびインク戻し管43は、トッププレート44の長手方向に並んでいるとともに、インク供給管42がトッププレート44の中央部寄りに位置されている。
【0038】
図8に最もよく示されるように、トッププレート44は、スロット46を有している。スロット46は、第2のプリント配線板38をインクジェットヘッド15の外に引き出すための要素である。スロット46は、トッププレート44の長手方向に延びているとともに、トッププレート44の中央部よりもトッププレート44の一側部の方向に片寄っている。
【0039】
図2図7および図8に示すように、ヘッド本体17は、一対のブラケット47a,47bを備えている。ブラケット47a,47bは、ヘッドカバー19の長手方向に沿う両端部からヘッドカバー19の外側に向けて水平に突出されている。
【0040】
さらに、インクジェットヘッド15は、フレーム48を介してインクジェット記録装置1のベースプレート49に固定されている。フレーム48は、ブラケット47a,47bの下面にねじ50で固定されて、ヘッドカバー19の下端部を取り囲んでいる。
【0041】
本実施形態によると、インクジェットヘッド15の駆動回路は、例えばインクジェット記録装置1の制御部から入力される印字信号に基づいて、インクジェットヘッド15の電極35に駆動電圧を印加する。
【0042】
この結果、隣り合う電極35の間に電位差が生じ、これら電極35に対応する隔壁33に電界が発生する。したがって、圧力室34を間に挟んで隣り合う隔壁33がシェアモード変形により圧力室34の容積を増やす方向に湾曲する。
【0043】
この後、電極35に対する駆動電圧の印加を遮断すると、隔壁33が初期の形状に復帰するように変位する。隔壁33が変位することでインク室29から圧力室34に供給されたインクが加圧される。加圧されたインクの一部は、インク滴となってノズル28から用紙Sに向けて吐出される。
【0044】
一方、前記インク循環装置16は、インクジェットヘッド15の圧力室29に強制的にインクを循環させるための要素であって、インク循環モジュールと言い換えることができる。図7ないし図9に示すように、インク循環装置16は、インクタンク51、圧電ポンプ52および圧力調整機構53を主要な要素として備えている。
【0045】
インクタンク51は、例えば樹脂材料により成形されている。インクタンク51は、タンク本体54とサイドカバー55とで構成されている。タンク本体54は、底部56および起立部57を有している。底部56は、トッププレート44の上面に沿って水平に延びている。
【0046】
図7ないし図10に示すように、タンク本体54の底部56の一端に一対の支持部58a,58bが形成されている。支持部58a,58bは、夫々前記ねじ45を利用してトッププレート44の上面に固定されている。底部54の他端に円盤状の座部60が形成されている。座部60は、トッププレート44の上面に重ねられている。
【0047】
起立部57は、底部56の一端から立ち上げられている。起立部57の側面と底部56の上面とで規定されるコーナ部62は、円弧状に湾曲された形状を有している。さらに、起立部57の上部に、コーナ部62の上に張り出す拡張部63が形成されている。拡張部63の底63aは、コーナ部62の上端に向けて傾いている。このため、コーナ部62および拡張部63は、タンク本体54の一側部に窪み部64を規定している。
【0048】
タンク本体54は、拡張部63から底部56に至る凹所66を有している。凹所66は、タンク本体54の表面に開口されている。サイドカバー55は、凹所66を覆うようにタンク本体54の表面に接着されている。サイドカバー55は、凹所66と協働してインク充填室67を構成している。
【0049】
図7に示すように、タンク本体54をトッププレート44の上面に固定した状態では、インクジェットヘッド15のインク供給管42がタンク本体54の座部60および底部56を液密に貫通してインク充填室67の底に直に導入されている。
【0050】
前記圧電ポンプ52は、インクジェットヘッド15のインク室29とインクタンク51との間でインクを強制的に循環させる循環ポンプの一例である。図11は、圧電ポンプ52の一例を概略的に開示している。図11に示すように、圧電ポンプ52は、偏平なポンプケーシング70と、ポンプケーシング70に収容されたフィルム状の圧電振動素子71と、を備えている。
【0051】
インク入口72およびインク出口73がポンプケーシング70に形成されている。インク入口72およびインク出口73は、互いに向かい合うとともに、ポンプケーシング70から互いに反対側に向けて突出されている。
【0052】
圧電振動素子71は、ポンプケーシング70の内部をポンプ室74と大気圧室75とに仕切っている。インク入口72は、第1の逆止弁76aを介してポンプ室74に通じている。インク出口73は、第2の逆止弁76bを介してポンプ室74に通じている。
【0053】
図11(A)に示すように、吸引状態では、圧電振動素子71が大気圧室75に向けて変形する。この結果、ポンプ室74の容積が増大してポンプ室74が負圧となる。これにより、第1の逆止弁76aが開くとともに、第2の逆止弁76bが閉じる。よって、ポンプ室74にインク入口72を通じてインクが吸い込まれる。
【0054】
図11(B)に示すように、吐出状態では、圧電振動素子71がポンプ室74に向けて反転するように変形する。この結果、ポンプ室74に吸い込まれたインクが加圧される。これにより、第1の逆止弁76aが閉じるともに、第2の逆止弁76bが開く。よって、ポンプ室74で加圧されたインクがインク出口73から吐出される。このような動作を繰り返すことで、インクがポンプ室74から継続して吐出される。
【0055】
図2図3図7および図8に示すように、圧電ポンプ52は、ポンプケーシング70の一部がインクタンク51の窪み部64に入り込むように、複数のねじ77を介してタンク本体54に支持されている。
【0056】
言い換えると、圧電ポンプ52は、インクタンク51に食い込むような形態でタンク本体54に支持されている。このため、圧電ポンプ52は、タンク本体54のデッドスペースに収められて、インクタンク51と一体化されている。
【0057】
図7に示すように、圧電ポンプ52がインクタンク51に支持された状態では、圧電ポンプ52のインク入口72がインクジェットヘッド15のインク戻し管43を指向するように、ポンプケーシング70から斜め下向きに突出されている。インク入口72とインク戻し管43との間は、中継管80で接続されている。
【0058】
さらに、圧電ポンプ52のインク出口73は、インクタンク51の拡張部63を指向するように、ポンプケーシング70から斜め上向きに突出されている。インク出口73は、拡張部63の底63aを液密に貫通してインクタンク51の内部に直に差し込まれている。
【0059】
このため、圧電ポンプ52のインク出口73から吐出されたインクは、インクタンク51のインク充填室67に直接的に供給される。インク充填室67に蓄えられたインクの液面Lは、インク出口73よりも上方に位置されている。
【0060】
この際、インク出口73がインクの液面Lを指向していると、インク出口73から吐き出されるインクにより液面Lが攪拌されて、気泡が発生する要因となる。インク中に気泡が混入すると、気泡がインクジェットヘッド15のノズル28を塞いでノズル28から安定してインクを吐出させることができなくなる。
【0061】
この対策として、本実施形態では、インクタンク51に差し込まれたインク出口73にガイド管81が接続されている。ガイド管81は、インク充填室67内で下向きに反転されて、その開口端81aがインク充填室67の底を指向している。
【0062】
このため、圧電ポンプ52のインク吐出口73からインク充填室67に供給されるインクは、ガイド管81に案内されてガイド管81の開口端81aからインク充填室67の底に向けて吐き出される。したがって、インク充填室67に供給されるインクが液面Lに向かうことはなく、液面Lが揺れたり、波立つのを防止できる。
【0063】
さらに、インク充填室67の上部に液面Lの上限を示す第1の指標82aと、液面Lの下限を示す第2の指標82bと、が設けられている。第1の指標82aおよび第2の指標82bは、夫々凹所66の内面から突出された先細り状の突起で構成されている。
【0064】
図7および図8に示すように、インクタンク51の上端に空気室83が設けられている。空気室83は、タンク本体54の拡張部63に位置されてインク充填室67に蓄えられたインクの液面Lに臨んでいる。
【0065】
一対の通気管84a,84bおよびインク補給管85がタンク本体54の拡張部63に取り付けられている。通気管84a,84bおよびインク補給管85は、インクタンク51の外に突出されている。通気管84a,84bの一端は、空気室83に開口されている。インク補給管85の一端は、液面Lの付近でインク充填室67に開口されている。
【0066】
前記圧力調整機構53は、空気室83の空気圧を制御することで、インク充填室67からインクジェットヘッド15のノズル28に供給されるインクの圧力を調節するための要素である。
【0067】
具体的には、圧力調整機構53は、空気室83にインクタンク51の外部の空気を強制的に送り込んだり、空気室83の空気を抜きながら空気室83の負圧調整が可能なチューブポンプ87を含んでいる。チューブポンプ87は、タンク本体54の拡張部63から圧電ポンプ52を通り越して水平に延びるポンプホルダー88の先端部に保持されている。そのため、本実施形態によると、チューブポンプ87は、圧電ポンプ52を間に挟んでインクタンク51の拡張部63と向かい合っている。
【0068】
図12は、チューブポンプ87の一例を概略的に開示している。図12に示すように、チューブポンプ87は、弾力性を有するチューブ90と、チューブ90をしごく加圧機構91とを備えている。
【0069】
チューブ90は、円弧状のチューブホルダー92に沿うように湾曲されている。チューブ90の一端は、一方の通気管84aを介して空気室83に通じている。チューブ90の他端は、オーバーフローパイプ93を介してインク回収トレイ94に通じているとともに、大気中に開放されている。
【0070】
加圧機構91は、回転軸96、ローラ支持板97および四つの加圧ローラ98を備えている。回転軸96は、チューブホルダー92に対し同心状に配置されている。ローラ支持板97は、回転軸96に同軸状に固定されて、回転軸96と一緒に回転する。加圧ローラ98は、ローラ支持板97の外周部に支持されているとともに、ローラ支持板97の周方向に互いに間隔を存して並んでいる。
【0071】
ローラ支持板97が回転軸96に追従して回転すると、複数の加圧ローラ98がチューブホルダー92に沿うように公転する。具体的には、図12に示すように、三つの加圧ローラ98がチューブホルダー92と向かい合う位置までローラ支持板97が回転すると、チューブ90の三箇所が加圧ローラ98とチューブホルダー92との間で挟持されて閉止される。
【0072】
このため、チューブ90の長さ方向に隣り合う二か所に密閉空間90a,90bが形成される。密閉空間90a,90bは、加圧ローラ98の公転に伴ってチューブ90の長さ方向に移動するとともに、加圧ローラ98がチューブホルダー92から外れた時に、チューブ90の内部空間に開放される。
【0073】
したがって、図12の矢印A方向(時計回り方向)に加圧ローラ98が公転した時には、空気室83内の空気がチューブ90の密閉空間90a,90bに取り込まれるとともに、オーバーフローパイプ93を経て大気中に放出される。この結果、空気室83の空気を連続的に抜き去ることができ、空気室83の負圧調整が実行される。大気に放出された空気中に含まれるインクは、インク回収トレイ94によって回収される。
【0074】
一方、図12の矢印B方向(反時計回り方向)に加圧ローラ98が公転した時には、インクジェットヘッド15の外の空気がオーバーフローパイプ93からチューブ90の密閉空間90a,90bに取り込まれる。取り込まれた空気は、一方の通気管84aを介して空気室83に強制的に送り込まれる。よって、空気室83の圧力を高めることができる。
【0075】
図7ないし図9に示すように、空気室83が位置されたインクタンク51の上端に圧力センサ101が組み込まれている。圧力センサ101は、空気室83の空気圧を検出するための要素であって、本実施形態では、圧力センサ101として圧電素子を用いている。圧電素子は、感度調整および検出範囲の設定等を電圧又は周波数の変更で簡単に行えるので、例えばインクの粘度あるいはインク流量が変化した場合でも容易に対応することができる。
【0076】
圧力センサ101の検出端子102は、空気室83の端部に露出されている。この際、空気圧を検出する圧力センサ101は、インクのような液体が付着すると誤作動を引き起こすので、圧力センサ101の検出端子102と空気室83との間にラビリンス構造を有するシール部103が設けられている。
【0077】
具体的には、空気室83に臨むタンク本体54の内面に凸部104が形成されている。凸部104は、タンク本体54の内面からサイドカバー55に向けて一体的に張り出している。凸部104は、圧力センサ101の検出端子102が差し込まれた挿入孔105と、蛇行したシール溝106と、を有している。
【0078】
挿入孔105は、凸部104の先端面に開口されているとともに、挿入孔105の開口端がサイドカバー55で液密に閉じられている。シール溝106は、凸部104の先端面に形成されて、サイドカバー55で液密に閉じられている。シール溝106の一端は、挿入口105に通じているとともに、シール溝106の他端は、空気室83に通じている。
【0079】
このため、圧力センサ101の検出端子102は、シール溝106を介して実際の空気室83の空気圧を検出する。シール溝106は、蛇行状に繰り返し屈曲されているので、例えばインクタンク51に蓄えられたインクが空気室83に向けて飛散したとしても、インクはシール溝106によって遮られる。よって、インクが圧力センサ101の検出端子102に到達するのを防ぐことができる。
【0080】
圧力センサ101で検出された空気室83の空気圧は、圧力調整機構53が有するポンプ制御部にフィードバックされる。空気室83の空気圧は、インクジェットヘッド15のノズル28に供給されるインクの圧力と比例関係にある。そのため、圧力センサ101で検出された空気室83の空気圧が予め決められた値よりも低い場合、ポンプ制御部は、インクジェットヘッド15の外の空気を空気室83に供給するようにチューブポンプ87を制御する。
【0081】
一方、圧力センサ101で検出された空気室83の空気圧が予め決められた値よりも高い場合、ポンプ制御部は、空気室83の空気を抜き去るようにチューブポンプ87を制御する。
【0082】
この結果、空気室83の空気圧が予め決められた値に調節され、インクジェットヘッド15のノズル28に供給されるインクの圧力が適正となるように管理される。
【0083】
本実施形態のように、空気室83の空気圧に基づいてノズル28に供給されるインクの圧力を管理する場合は、実際にインクジェットヘッド15にインクを循環させて、空気室83の空気圧とノズル28に供給されるインクの圧力との関係を示す制御テーブルを作成し、当該制御テーブルに基づいてチューブポンプ87を制御することが望ましい。
【0084】
さらに、インクジェットヘッド15のインク室29の上流側の圧力および下流側の圧力を二つの圧力センサを用いて検出し、二つの圧力センサの検出結果に基づいてノズル28に供給されるインクの圧力を管理するようにしてもよい。
【0085】
図8および図9に示すように、大気開放用の電磁弁108が他方の通気管84bに取り付けられている。電磁弁108は、常閉形であって、例えば圧力センサ101の検出範囲を設定する時に、空気室83を大気開放するために開方向に操作される。
【0086】
さらに、タンク本体54の拡張部63から突出されたインク補給管85は、インク補給路110を介してインク補給タンク111に接続されている。インク補給路110は、常閉形の電磁弁112を備えている。インク補給タンク111は、補給用のインクを蓄えているとともに、タンク内が正圧に保たれている。このため、電磁弁112を開くと、インク補給タンク111に蓄えられたインクがインク補給管85からインクタンク51のインク充填室67に補給される。
【0087】
インク充填室67にインクが補給されると、液面Lの上昇に伴って空気室83の空気圧が上昇する。空気室83の空気圧が上昇すると、空気室83の空気を抜き去るようにチューブポンプ87が動作する。この結果、空気室83の空気圧が予め決められた値に復帰する。
【0088】
図3に示すように、インクタンク51、圧電ポンプ52および圧力調整機構53を含むインク循環装置16は、インクジェットヘッド15のブラケット47a,47bの先端の間を結ぶ幅寸法Wの範囲内に収まっている。
言い換えると、ブラケット47a,47bの真上にインク循環装置16が大きく張り出していない。このため、例えばブラケット47a,47bをねじ50でフレーム48に固定したり、あるいは固定を解除する時に、ねじ50を操作するドライバーのような工具がインク循環装置16と干渉し難くなる。
【0089】
さらに、図9および図10に示すように、インク循環装置16の主要部となるインクタンク51の底部56の厚さT1は、インクジェットヘッド15の端部15aの厚さT2よりも小さく形成されている。そのため、トッププレート44に設けられたスロット46は、インクタンク51の底部56で覆われることなく当該底部56と隣り合っている。
【0090】
この結果、スロット46からインクジェットヘッド15の外に引き出された第2のフレキシブルプリント配線板38の引き回しがインクタンク51によって邪魔されることはない。
【0091】
このような実施形態において、圧電ポンプ52が動作すると、図5に矢印で示すように、インク循環装置16のインクタンク51に蓄えられたインクがインクジェットヘッド15のインク供給管42からマニフォルド18の分配通路40、基板20のインク供給口24を通じてヘッド本体17のインク室29に到達する。
【0092】
インク室29に達したインクは、アクチュエータ23a,23bの圧力室34およびノズル28に充填されるとともに、アクチュエータ23a,23bの動作に伴って加圧される。加圧されたインクの一部は、インク滴となってノズル28から用紙Sに向けて吐出される。
【0093】
ノズル28から吐出されずに圧力室34に残った余剰のインクは、図5に矢印で示すように、圧力室34からインク室29を経由して基板20のインク排出口25に向かうとともに、マニフォルド18の還流通路41、インク戻し管43を通って圧電ポンプ52のインク入口72からポンプ室74に吸い込まれる。
【0094】
ポンプ室74に吸い込まれたインクは、圧電振動素子71の変位により再び加圧されてインク出口73からインクタンク51に送り出される。このような動作を繰り返すことで、インクがインクジェットヘッド15のインク室29を循環する。よって、画像形成時においては、インクがノズル28の付近に滞留せずにノズル28に供給され続ける。
【0095】
本実施形態によると、インク循環装置16を構成するインクタンク51の底部56がインクジェットヘッド15のトッププレート44にねじ45で固定され、当該インクタンク51に圧電ポンプ52および圧力調整機構53のようなその他の構成要素が組み付けられている。
【0096】
すなわち、インクジェットヘッド15のインク室29にインクを循環させるために必須の要素がインクジェットヘッド15のトッププレート44に直付けされて、インクジェットヘッド15と一体化されている。
【0097】
したがって、循環用のインクを蓄える大容量のタンクおよびタンクとインクジェットヘッド15との間を結ぶ配管類が不要となる。それとともに、インクジェットヘッド15の周囲にタンクを設置するスペースおよび数多くの配管を引き回すスペースを確保する必要もない。
【0098】
よって、インクジェットヘッド15にインクを循環させる構成でありながら、第1ないし第4のインクジェット装置12A,12B,12C,12Dを小型化することが可能となり、インクジェット記録装置1のコンパクト化に貢献する。
【0099】
さらに、本実施形態によれば、インクジェットヘッド15にインクを循環させるための経路をインクジェットヘッド15の上部に集約することができ、インク循環用の経路長を従来よりも格段に短くすることができる。
【0100】
この結果、インク循環用の経路に滞留するインクの量が少なくなり、インク消費量およびインクジェットヘッド15のメンテナンス時に廃棄されるインク量を低減できる。よって、インクジェット記録装置1のランニングコストを抑制することが可能となり、経済的である。
【0101】
加えて、循環用のインクを蓄えたインクタンク51をインクジェットヘッド15と一体化したことで、印字初期にインクジェットヘッド15のインク室29に充填するインク量を少なくできる。さらに、短時間のうちにインクの充填が完了し、印字動作に速やかに移行することができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]インクを吐き出す複数のノズルに通じるインク室と、前記インク室の反対側に位置された端部と、を有するインクジェットヘッドと、インクを蓄えるインクタンクを有するとともに、前記インクタンク内のインクを前記インクジェットヘッドの前記インク室との間で強制的に循環させるように構成されたインク循環モジュールと、を含み、インク循環モジュールが前記インクジェットヘッドの前記端部に直付けされて前記インクジェットヘッドと一体化されたインクジェット装置。
[2][1]に記載のインクジェット装置において、前記インクタンクは、前記インクタンクに蓄えられたインクの液面に臨む空気室を有し、前記インク循環モジュールは、前記空気室の空気圧を調整する圧力調整機構を有するインクジェット装置。
[3][2]に記載のインクジェット装置において、前記インク循環モジュールは、前記空気室の空気圧を検出する圧力センサを備え、当該圧力センサが検出した空気圧に基づいて前記圧力調整機構を制御するように構成されたインクジェット装置。
[4][3]に記載のインクジェット装置において、前記圧力センサは、前記空気室に臨む検出端子を有し、当該検出端子と前記空気室との間にラビリンス構造を有するシール部が設けられたインクジェット装置。
[5][1]ないし[4]のいずれか一項に記載のインクジェット装置において、前記インクタンクは、前記インクジェットヘッドの前記端部と向かい合う底部を有し、前記インクタンクの前記底部の厚さが前記インクジェットヘッドの前記端部の厚さよりも小さく形成されたインクジェット装置。
[6][5]に記載のインクジェット装置において、前記インクジェットヘッドの前記端部に、フレキシブルプリント配線板が引き出されるスロットが設けられ、当該スロットが前記前記インクタンクの前記底部と隣り合うインクジェット装置。
[7]インクが循環されるインク室を有するインクジェットヘッドに用いるインク循環装置であって、循環用のインクを蓄えるインクタンクを有するとともに、前記インクタンク内のインクを前記インクジェットヘッドの前記インク室との間で強制的に循環させるように構成され、前記インク室の反対側に位置された前記インクジェットヘッドの端部に直付けされて前記インクジェットヘッドと一体化されたインク循環装置。
[8]記録媒体が搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送される前記記録媒体に向けてインクを吐き出す前記[1]ないし[6]のいずれか一項に記載されたインクジェット装置と、を具備したインクジェット記録装置。
【符号の説明】
【0103】
1…インクジェット記録装置、5…搬送路、12A,12B,12C,12D…第1ないし第4のインクジェット装置、15…インクジェットヘッド、15a…端部、16…インク循環装置(インク循環モジュール)、28…ノズル、29…インク室、51…インクタンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12