(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863710
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】プリント配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20160204BHJP
【FI】
H05K1/02 J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-124424(P2013-124424)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-2188(P2015-2188A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2014年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真一
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−517370(JP,A)
【文献】
特開2009−010218(JP,A)
【文献】
実開昭60−016577(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/11
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の入力側配線パターンと、前記一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第1配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと、前記他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第1配線パターンとを接続する1対のラインと、一の入力側配線パターンと、前記一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第2配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと前記他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第2配線パターンとを接続する1対のラインと、を含むプリント配線基板であって、
前記一の入力配線パターンと前記他の入力配線パターンとの間の距離、及び前記一の出力側第1配線パターンと前記他の出力側第1配線パターンとの間の距離、並びに前記一の出力側第2配線パターンと前記他の出力側第2配線パターンとの間の距離は一定であり、
前記一の入力側配線パターンと、前記一の出力側第1配線パターン、又は前記一の出力側第2配線パターンと、の何れか一方を接続するための電子部品を実装するパッドが設けられ、
前記一の入力側配線パターンと前記一の出力側第2配線パターンとを接続するために実装する電子部品は、前記他の入力側配線パターンと、前記他の出力側第1配線パターンとを接続するための電子部品を実装するパッド間を跨ぐことを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
前記一の入力側配線パターンに対応するパッドと前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドとを結ぶ直線と直交し、かつ前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドを通る直線との距離が、前記一の入力側配線パターンに対応するパッドよりも大となるように、前記他の入力側配線パターンに対応するパッドが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記一の入力側配線パターンに対応するパッドと前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドとを結ぶ直線と直交し、かつ前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドを通る直線との距離が、前記他の出力側第1配線パターンに対応するパッド、前記一の出力側第2配線パターンに対応するパッド、及び前記他の出力側第2配線パターンに対応するパッドの順に大となるよう、各パッドが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記プリント配線基板は、マザーボード基板であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項5】
前記電子部品は、面実装型の電子部品、又はリード型の電子部品であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のプリント配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータ(以下、PCともいう。)を一例とする情報処理装置において使用され、電子装置を構成するための主要な電子回路基板であるマザーボード(以下、MBともいう。)基板に載置される部品の搭載位置の変更を加味して、これに合った予備パターンを、主パターンとは別に予め設けておくことが、一般的な配線パターンの設計として行われている。
【0003】
具体的には、チップ型の部品を実装することにより、特性の異なる複数の信号を切り替える回路がプリント基板上に設計される場合には、これ等の信号を切り替える組み合わせの数に応じてチップ型の部品を実装するためのパッドがそれぞれ設けられている。
【0004】
ここで、従来におけるMB基板上の配線パターンの構成について図面を用いて説明する。
図3は、従来のMB基板に載置される部品の搭載位置、及び線間距離を加味して、予備パターンを、主パターンとは別に予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した(a)基板表面から見た平面図、(b)基板裏面から見た平面図である。また、
図4は、従来のMB基板に載置される部品の搭載位置、及び線間距離を加味して、予備パターンを、主パターンとは別に予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した基板側面から見た断面図である。
【0005】
図3、及び
図4に示すように、MB基板の基板表面には、入力AIN1から出力AOUT1へ信号を伝達するために、チップ型部品31を実装するためにパッド301、302が設けられており、AIN1−AOUT1のラインと距離D(以下、この距離を線間距離という。)だけ離れた入力AIN2から出力AOUT2へ信号を伝達するために、チップ型部品32を実装するためにパッド303、304が設けられている。
【0006】
このMB基板には、AIN1−AOUT1のラインと、AIN2−AOUT2のラインとからなる2本で一対の信号(以下、この信号を差動信号という。)が存在する。そして、これら一対の差動信号は、信号間のインピーダンスを制御するために、線間距離Dを一定に保持する必要がある。
【0007】
そして、このような制約を有する差動信号を、線間距離Dを維持したまま、主パターンと予備パターンとを分岐させるためには、MB基板の表面と裏面とを用いて
図4に示すように配線パターンのレイアウト設計を行う必要があった。すなわち、主パターンとして、基板表面に、AIN1−AOUT1とAIN2−AOUT2とからなるラインを設け、予備パターンとして、基板裏面に、AIN4−AOUT4とAIN3−AOUT3とからなるラインを設けると共に、AIN1とAIN3、及びAIN2とAIN4とを、それぞれスルーホール(貫通ビア)310で接続するというレイアウト設計が行われていた。
【0008】
そして、MB基板上に載置される部品の搭載位置の変更に応じて、主パターンを使用する場合には、MB基板表面のパッド301、302間にチップ型部品31を実装すると共に、パッド303、304間にチップ型部品32を実装する。他方、予備パターンを使用する場合には、MB基板裏面のパッド305、306間にチップ型部品33を実装すると共に、パッド307、308間にチップ型部品34を実装することとしていた。さらに、主パターン、及び予備パターンを複数設ける必要がある場合には、AIN1−AOUT1とAIN2−AOUT2とからなる一対のラインを複数設けると共に、AIN4−AOUT4とAIN3−AOUT3とからなる一対のラインを複数設けていた。
【0009】
次に、特許文献1に記載されたプリント基板について、
図5を用いて説明する。
図5は、従来のプリント基板におけるパッドの構成を示した平面図(その1)である。
図5において、入力AIN1と出力AOUT1とを電気的に導通させ、出力AOUT2を採用しない場合には、チップ型部品51がパッド501とパッド502との間に接続され、入力AIN1と出力AOUT2とを電気的に導通させ、出力AOUT1を採用しない場合には、チップ型部品52がパッド502とパッド503との間に接続され、入力AIN1と出力AOUT2とを電気的に導通させている。このように、共有されるパッド502を設けることにより、部品実装に要する領域を縮小させている。
【0010】
さらに、特許文献2に記載されたプリント基板について、
図6を用いて説明する。
図6は、従来のプリント基板におけるパッドの構成を示した平面図(その2)である。
図6において、第1のパッド601と第2のパッド602との間にチップ型部品61を実装する場合には、入力AIN1から出力AOUT1へ信号が伝達され、第2のパッド602と第3のパッド603との間にチップ型部品62を実装する場合には、入力AIN1から出力AOUT2へ信号が伝達される。これにより、取付対象とされなかった選択用の部品の配置スペースが、他の取付部品の配置スペースを奪うことなく効率的な部品配置、及び基板サイズの小型化が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−332371号公報
【特許文献2】特開2005−057011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記
図3、
図4に示した従来のMB基板のレイアウト設計では、MB基板の表面側、又は裏面側の何れかの面のパッドにチップ型部品を実装したとしても、スルーホール(貫通ビア)310の部分において余剰ラインが発生してしまうという問題があった。そして、この余剰ラインの存在は、信号反射の発生に伴う信号品質を劣化させる要因となっていた。また、上述した線間距離Dを一定に保持した状態で、MB基板の片面側に、主パターンと予備パターンとを同時にレイアウトすることができないという問題もあった。さらに、主パターン、又は予備パターンの何れかを選択してチップ型部品を実装することとなるため、選択対象とならなかったパターン、及びチップ型部品を実装するためのスペースが、他の取り付け部品の配置スペースを奪うこととなり、結果的に基板面積の縮小化を図ることができないという問題もあった。
【0013】
また、特許文献1に記載された技術では、入力AIN1と出力AOUT1とを接続する信号の流れと、AIN1と出力AOUT2とを接続する信号の流れとが、反対方向である。このように、パッドの切り替えによって入力から出力へ流れる信号の方向が異なると、配線パターンの引き回し、及び部品のレイアウト配置が難しくなり、配線パターン領域に余裕がないMB基板のようなプリント基板においては設計上の融通性に欠けるという問題がある。
【0014】
さらに、特許文献2に記載された技術では、パッドの接続を切り替えても、入力AIN1から出力AOUT1へ流れる信号と、入力AIN1から出力AOUT2に流れる信号とは、同一方向である。しかしながら、削減されるスペースはパッド1個分の部品配置領域に留まる。そのため、出力AOUT1、及び出力AOUT2が占有する配線パターン領域を大幅に削減することは困難であり、配線パターンの占有面積を極力減らしたいMB基板のようなプリント基板においては、実現性が困難であるという課題がある。
【0015】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、電子部品の搭載位置を予め互いにずらして配線パターンの設計を行うことにより、配線パターン、及びチップ型部品を効率的に配置し、基板面積の縮小化を図ると共に、線間距離を一定に保持した状態で、余剰配線領域を低減し、併せて基板の片面実装に伴う薄型化を図ることが可能なプリント配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明におけるプリント配線基板は、一の入力側配線パターンと、前記一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第1配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと、前記他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第1配線パターンとを接続
する1対のラインと、一の入力側配線パターンと、前記一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第2配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと前記他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第2配線パターンとを接続する
1対のラインと、を含むプリント配線基板であって、前記一の入力配線パターンと前記他の入力配線パターンとの間の距離、及び前記一の出力側第1配線パターンと前記他の出力側第1配線パターンとの間の距離、並びに前記一の出力側第2配線パターンと前記他の出力側第2配線パターンとの間の距離は一定であり、前記一の入力側配線パターンと、前記一の出力側第1配線パターン、又は前記一の出力側第2配線パターンと、の何れか一方を接続するための電子部品を実装するパッドが設けられ、前記一の入力側配線パターンと前記一の出力側第2配線パターンとを接続するために実装する電子部品は、前記他の入力側配線パターンと、前記他の出力側第1配線パターンとを接続するための電子部品を実装するパッド間を跨ぐことを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載のプリント配線基板は、請求項1に記載のプリント配線基板において、前記一の入力側配線パターンに対応するパッドと前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドとを結ぶ直線と直交し、かつ前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドを通る直線との距離が、前記一の入力側配線パターンに対応するパッドよりも大となるように、前記他の入力側配線パターンに対応するパッドが設けられていることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項3に記載のプリント配線基板は、請求項1又は2に記載のプリント配線基板において、前記一の入力側配線パターンに対応するパッドと前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドとを結ぶ直線と直交し、かつ前記一の出力側第1配線パターンに対応するパッドを通る直線との距離が、前記他の出力側第1配線パターンに対応するパッド、前記一の出力側第2配線パターンに対応するパッド、及び前記他の出力側第2配線パターンに対応するパッドの順に大となるよう、各パッドが設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項4に記載のプリント配線基板は、請求項1から3の何れか1項に記載のプリント配線基板において、前記プリント配線基板は、マザーボード基板であることを特徴とする。
【0020】
そして、請求項5に記載のプリント配線基板は、請求項1から4の何れか1項に記載のプリント配線基板において、前記電子部品は、面実装型の電子部品、又はリード型の電子部品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電子部品の搭載位置を予め互いにずらして配線パターンの設計を行うことにより、配線パターン、及びチップ型部品を効率的に配置し、基板面積の縮小化を図ると共に、線間距離を一定に保持した状態で、余剰配線領域を低減し、併せて基板の片面実装に伴う薄型化を図ることが可能なプリント配線基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態におけるプリント配線基板に載置される部品の搭載位置を加味して、主パターンと予備パターンとを予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した平面図(その1)である。
【
図2】本発明の実施形態におけるプリント配線基板に載置される部品の搭載位置を加味して、主パターンと予備パターンとを予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した平面図(その2)である。
【
図3】従来のMB基板に載置される部品の搭載位置、及び線間距離を加味して、予備パターンを、主パターンとは別に予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した(a)基板表面から見た平面図、(b)基板裏面から見た平面図である。
【
図4】従来のMB基板に載置される部品の搭載位置、及び線間距離を加味して、予備パターンを、主パターンとは別に予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した基板側面から見た断面図である。
【
図5】従来のプリント基板におけるパッドの構成を示した平面図(その1)である。
【
図6】従来のプリント基板におけるパッドの構成を示した平面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。本発明の内容を簡潔に説明すると、一の入力側配線パターンと、一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第1配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと、他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第1配線パターンとを接続し、一の入力側配線パターンと、一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第2配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第2配線パターンとを接続するプリント配線基板であって、一の入力配線パターンと他の入力配線パターンとの間の距離、及び一の出力側第1配線パターンと他の出力側第1配線パターンとの間の距離、並びに一の出力側第2配線パターンと他の出力側第2配線パターンとの間の距離は一定であり、一の入力側配線パターンと、一の出力側第1配線パターン、又は一の出力側第2配線パターンと、の何れか一方を接続するための電子部品を実装するパッドが設けられ、一の入力側配線パターンと一の出力側第2配線パターンとを接続するために実装する電子部品は、他の入力側配線パターンと、他の出力側第1配線パターンとを接続するための電子部品を実装するパッド間を跨ぐことにより、配線パターン、及びチップ型部品を効率的に配置し、基板面積の縮小化を図ると共に、線間距離を一定に保持した状態で、余剰配線領域を低減し、併せて基板の片面実装に伴う薄型化を図ることができるのである。
【0024】
まず、
図1を用いて本発明の実施形態におけるプリント配線基板の部品の搭載位置について説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるプリント配線基板に載置される部品の搭載位置を加味して、主パターンと予備パターンとを予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した平面図(その1)である。
図1を参照すると、本発明の実施形態におけるプリント配線基板は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)を代表とする情報処理装置のMB基板に用いられる。
【0025】
図1において、MB基板の片面には、主パターンとして、入力BIN1から出力BOUT10へ信号を伝達するためにチップ型部品11を実装するために設けられた入力BIN1に対応するパッド101、出力BOUT10に対応するパッド102、及び入力BIN2から出力BOUT20へ信号を伝達するためのチップ型部品12を実装するために設けられた入力BIN2に対応するパッド103、出力BOUT20に対応するパッド104が設けられている。そして、BIN1−BOUT10のラインと、BIN2−BOUT20のラインとからなる一対のラインは、線間距離Dを一定に保持した状態でレイアウト設計が行われている。
【0026】
次に、MB基板上の配線パターンの切り替えに応じて、プリント配線基板の部品の搭載位置が変更される場合について説明する。
図2は、本発明の実施形態におけるプリント配線基板に載置される部品の搭載位置を加味して、主パターンと予備パターンとを予め設けたときのMB基板に設けられたパッドの構成を示した平面図(その2)である。
【0027】
図2において、MB基板における主パターンが設けられた面との同一面には、予備パターンとして、入力BIN1から出力BOUT30へ信号を伝達するためにチップ型部品21を実装するために設けられた入力BIN1に対応するパッド101、出力BOUT30に対応するパッド105、及び入力BIN2から出力BOUT40へ信号を伝達するためのチップ型部品22を実装するために設けられた入力BIN2に対応するパッド103、出力BOUT40に対応するパッド106が設けられている。そして、BIN1−BOUT30のラインと、BIN2−BOUT40のラインとからなる一対のラインは、線間距離Dを一定に保持した状態でレイアウト設計が行われている。なお、主パターン、及び予備パターンを複数設ける必要がある場合には、BIN1−BOUT10/BIN2−BOUT20とからなる一対のライン、及びBIN1−BOUT30/BIN2−BOUT40とからなる一対のラインを複数設ければ良い。
【0028】
そして、ここで注意すべき点は、
図1に示した入力BIN1、BIN2から出力BOUT10、BOUT20へ信号を伝達する経路と、
図2に示した入力BIN1、BIN2から出力BOUT30、BOUT40へ信号を伝達する経路とは、それぞれ何れか一方を選択するようにプリント基板の配線が設計されているという点である。
【0029】
すなわち、入力BIN1は、出力BOUT10又はBOUT30、入力BIN2は、出力BOUT20又はBOUT40の何れか一方に接続され、入力BIN1に対して出力BOUT10が接続されたときは、BIN2はBOUT20に接続され、入力BOUT1に対して出力BOUT30が接続されたときは、BIN2はBOUT40に接続される。
【0030】
そして、本発明の実施形態におけるプリント配線基板におけるチップ型部品を実装するために設けられたパッドの配置は、以下の特徴を有している。
図1、及び
図2に示すように、例えば、入力BIN1から出力BOUT30に接続するパッド101、及び105に実装されるチップ型部品21は、入力BIN2から出力BOUT20に接続するパッド103、104の間を跨ぐということである。
【0031】
これは、入力BIN2から出力BOUT40に接続するパッド103、及び106に実装されるチップ型部品22と、図示しない入力から出力BOUT30に接続するパッド106との関係についても同様なことがいえる。
【0032】
そして、入力BIN1に対応するパッド101と出力BOUT10に対応するパッド102とを結ぶ直線と直交し、かつ出力BOUT10に対応するパッド102を通る直線との距離が、入力BIN1に対応するパッド101よりも大となるように、入力BIN2に対応するパッド103が設けられているのである。すなわち、入力BIN2に対応するパッド103は、入力BIN1に対応するパッド101よりも、
図1及び
図2において左側にずれて設けられているのである。
【0033】
さらに、入力BIN1に対応するパッド101と出力BOUT10に対応するパッド102とを結ぶ直線と直交し、かつ出力BOUT10に対応するパッド102を通る直線との距離が、出力BOUT20に対応するパッド104、出力BOUT30に対応するパッド105、及び出力BOUT
40に対応するパッド106の順に大となるよう、各パッドが設けられているのである。
【0034】
このように、一の入力側の配線パターンと、一の出力側の第2の配線パターンとを接続するために実装されるチップ型電子部品は、他の入力側配線パターンと、他の出力側の第1の配線パターンとを接続するためのチップ型電子部品が実装されるパッド間を跨ぐことにより、配線パターン、及びチップ型部品を効率的に配置し、基板面積の縮小化を図ることが可能となるのである。また、チップ型部品の搭載位置を予めずらして配線パターンの設計を行い、主パターンと予備パターンとの間でチップ型部品の実装方向を変えることにより、一対のライン間における線間距離を一定に保持したまま、従来技術において必要とされていた余剰配線領域を大幅に低減すると共に、基板の片面のみを用いたレイアウト設計を行うことによる薄型化されたプリント配線基板が得られるのである。
【0035】
なお、上記説明では、チップ型電子部品が実装されるパッドが、平面図上左方向にずらして形成される例について説明しているが、チップ型電子部品が実装されるパッドが、平面図上右方向にずらして形成される場合についても同様である。
【0036】
また、上記説明では、プリント配線基板に実装される電子部品として、チップ型電子部品、すなわち面実装タイプの電子部品を具体例に挙げて説明しているが、プリント配線基板に実装される電子部品は、面実装タイプの電子部品に限定されることなく、アキシャル部品やラジアル部品等のリード型の電子部品についても本発明を適用可能であることは勿論である。
【0037】
以上説明してきたように、本発明によれば、一の入力側配線パターンと、一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第1配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと、他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第1配線パターンとを接続し、一の入力側配線パターンと、一の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す一の出力側第2配線パターンとを接続するとき、他の入力側配線パターンと他の入力側配線パターンに流れる信号と同一方向に信号を流す他の出力側第2配線パターンとを接続するプリント配線基板であって、一の入力配線パターンと他の入力配線パターンとの間の距離、及び一の出力側第1配線パターンと他の出力側第1配線パターンとの間の距離、並びに一の出力側第2配線パターンと他の出力側第2配線パターンとの間の距離は一定であり、一の入力側配線パターンと、一の出力側第1配線パターン、又は一の出力側第2配線パターンと、の何れか一方を接続するための電子部品を実装するパッドが設けられ、一の入力側配線パターンと一の出力側第2配線パターンとを接続するために実装する電子部品は、他の入力側配線パターンと、他の出力側第1配線パターンとを接続するための電子部品を実装するパッド間を跨ぐことにより、配線パターン、及びチップ型部品を効率的に配置し、基板面積の縮小化を図ると共に、線間距離を一定に保持した状態で、余剰配線領域を低減し、併せて基板の片面実装に伴う薄型化を図ることができるのである。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
11、12、21、22 チップ型部品
101、102、103、104、105、106 パッド