(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記孔開き板状材料は、前記第1の主面および前記第2の主面の少なくともいずれかの上に形成された突起物の高さが前記孔開き板状材料の厚さの50%以下であり、蓄電デバイスに用いられる集電体である請求項1に記載の孔開き板状材料。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施形態1:孔開き板状材料]
図1−
図5を参照して、本発明の一実施形態である孔開き板状材料10は、第1の主面11から第1の主面11と反対側の主面である第2の主面12まで貫通する少なくとも1つの貫通孔10wを有し、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点(この点は、たとえば、
図1−
図5における垂直投影像10wfの輪郭上の点である点P
mに該当する。以下同じ。)におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(この平面を垂直平面という。以下同じ。)における貫通孔10wの断面の形状において、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの幅である最小幅W
Sの端部P
m,P
nを与える孔表面13上の最小幅部P
Sm,P
Snと、貫通孔10wの孔表面13が第1の主面11上で終端となる第1の主面部P
11m,P
11nと、を有し、第1の主面部P
11m,P
11nから最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分に第1の凸状曲線部13cam,13canを含み、第1の凸状曲線部13cam,13canの少なくとも一部は、第1の主面11上における孔表面13以外の非孔表面11m,11n(以下、第1の主面11上の非孔表面11m,11nともいう)の表面性状を有する。
【0023】
本実施形態の孔開き板状材料10は、貫通孔10wの上記断面の形状において、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの幅である最小幅W
Sの端部を与える孔表面13上の最小幅部P
Sm,P
Snと、貫通孔10wの孔表面13が第1の主面11上で終端となる第1の主面部P
11m,P
11nと、を有し、第1の主面部P
11m,P
11nから最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分に第1の凸状曲線部13cam,13canを含む。
【0024】
貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点におけるその輪郭の接線とは、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上の任意の点のうちのある点におけるその輪郭の接線をいう。上記点におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(垂直平面)における貫通孔10wの断面の形状において、貫通孔10wを形成する孔表面13の幅は、孔開き板状材料10の厚さ方向に一定ではなく変動し、最小幅W
Sと最大幅W
Lとを有する。ここで、最小幅W
Sとは、貫通孔13の第1の主面11への垂直投影像10wfの上記垂直平面上での幅である。かかる最小幅W
Sの端部P
m,P
nは孔表面13上の最小幅部P
Sm,P
Snにより与えられる。また、最大幅W
Lの端部は、貫通孔10wの孔表面13が第1の主面11に到達して終端となる部分である第1の主面部P
11m,P
11nにより与えられる。
【0025】
第1の凸状曲線部13cam,13canは、第1の主面部P
11m,P
11nと最小幅部P
Sm,P
Snをそれぞれ結んだ直線に対して、凸状の曲線であれば制限はなく、楕円弧状の曲線であっても、放物線状の曲線であってもよい。ここで、曲線には、直線を含み、不連続な変化をする線をも含む。また、かかる曲線から形成される曲面は、平面を含み、不連続な変化をする面をも含む。
【0026】
第1の凸状曲線部13cam,13canは、第1の主面11上の第1の主面部P
11m,P
11nから貫通孔10wの最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分において連続した曲率変化をする部分を有しているため、第1の主面11上の第1の主面部P
11m,P
11nから貫通孔10wの最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分に含まれる孔表面13の第1の凸状曲線部13cam,13canの少なくとも一部が第1の主面11上の非孔表面11m,11n(第1の主面11上における孔表面以外の非孔表面11m,11n)の表面性状を、そのままの状態で有する場合に加えて、海島状態のように不均一に分散した状態、任意に特定される一方向に一次元的に均一に分散した状態、または任意に特定される二方向に二次元的に均一に分散した状態で、有することができる。このため、孔表面13の一部においても第1の主面11上における非孔表面11m,11nと同様の表面特性を有する孔開き板状材料10が得られる。
【0027】
本実施形態の孔開き板状材料10において、第1の主面11上の非孔表面11m,11nの表面性状とは、板状材料そのもの本来の表面性状(本来の表面の性質、形状および/または構造)に加えて、付加された表面性状(付加された表面の性質、形状および/または構造)を含む。ここで、付加された表面性状とは、たとえば、(1)ロール加工などにより非意図的または意図的に形成されたストライプ状またはエンボス状の形状による表面形状、(2)キレート処理または加工、放電処理または加工、導電性高分子膜の形成などの化学的、電気的あるいは電気化学的な処理または加工により形成された性質による表面形状、(3)塗布、めっき、スパッタリング、CVD(化学気相堆積)、溶着または蒸着などによる膜形成による構造による表面形状、(4)ブラスター処理、電解エッチング処理または化学エッチング処理などによる表面粗化された形状または構造による表面形状、などが挙げられる。
【0028】
このような孔開き板状材料10は、キャパシタ、二次電池などの蓄電デバイスの特性を向上させるために付加された特別の性質、形状および/または構造が付加された第1の主面の表面性状が孔表面13の少なくとも一部にまで及ぶため、蓄電デバイスに用いられる集電体として好適に用いることができる。
【0029】
具体的には、第1の主面11に複数の微細孔や陥没部を設ける方法を用いて粗面化し電極活物質スラリーを塗布して電極活物質層を形成する際にスラリーに含まれるバインダーが第1の主面11の表面に強く結着することで電極活物質層の第1の主面11からの剥離や脱落を防止する機能、第1の主面11に低電気抵抗物質を塗布して電極活物質層と第1の主面11の接触抵抗を低減する機能、第1の主面11の表面に施したその他の特定の性状または表面肌を未加工のまま保持した状態を貫通孔の孔表面の一部に拡大する機能、および第1の主面11に施された電極活物質スラリーの濡れ性の良さ(スラリーはじき防止)を発現させる機能の少なくともひとつの機能をそれぞれが孔内で占める割合に応じて有する孔開き板状材料10が得られる。
【0030】
また、孔開き板状材料10の一方の面に電極活物質のスラリーを塗布する際には貫通孔の一方の主面側の開口幅が他方の主面側の開口幅に比べて狭くなっていることによりスラリーが貫通孔を通り抜けて滴り落ちることを防止しつつ、一方の主面側にスラリーを塗布して乾燥した後に他方の主面側からスラリーを塗布して充填する際に、貫通孔内の残存する空隙を最小限に留めるべく孔内にスムーズに、かつ、当該スラリーを均質な状態で導入できる漏斗形状のもつ機能を有する貫通孔10wを有する孔開き板状材料10を提供することができる。
【0031】
(貫通孔の断面形状)
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10において、貫通孔10wの断面形状は、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(垂直平面)における貫通孔10wの断面の形状を意味し、上記の最小幅部P
Sm,P
Snと、上記の第1の主面部P
11m,P
11nと、を有し、第1の主面部P
11m,P
11nから最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分に第1の凸状曲線部13cam,13canを含み、孔表面13の第1の凸状曲線部13cam,13canの少なくとも一部が第1の主面11上の非孔表面11m,11nの表面性状を有するものであれば、特に制限はなく、たとえば、以下の断面形状が挙げられる。なお、上記最小幅W
Sが貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの上記垂直平面上での幅であることから、最小幅W
Sの端部を与える最小幅部P
Sm,P
Snは、孔開き板状材料10の厚さ方向に同じ高さの位置にあるとは限らない。
【0032】
図1を参照して、貫通孔10wの第1の断面形状は、上記垂直平面上において、第1の主面部P
11m,P
11nから最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分に第1の凸状曲線部13cam,13canのみを含む形状である。かかる第1の断面形状においては、第1の主面部P
11m,P
11nにおいて最大幅W
Lとなり、第2の主面部P
12m,P
12nにおいて最小幅部P
Sm,P
Snが現れ最小幅W
Sとなる。第2の主面部P
12m,P
12nは、貫通孔10wの孔表面13が第2の主面12上で終端となる部分をいう。
【0033】
図2を参照して、貫通孔10wの第2の断面形状は、上記垂直平面上において、第1の凸状曲線部13cam,13canと第1の主面11に対して垂直な直線である直線部13sm,13snとを含む形状である。この直線部13sm,13snは、上記の断面において、第1の凸状曲線部13cam,13canの終端から第2の主面部P
12m,P
12nに至る部分に形成される。かかる第2の断面形状においては、第1の主面部P
11m,P
11nにおいて最大幅W
Lとなり、第1の凸状曲線部13cam,13canと直線部13sm,13snとの接続点から第2の主面部P
12m,P
12nまでの間に亘って最小幅部P
Sm,P
Snが現れ最小幅W
Sとなる。
【0034】
図3を参照して、貫通孔10wの第3の断面形状は、上記垂直平面上において、第1の凸状曲線部13cam,13canと第2の凸状曲線部13cbm,13cbnとを含む形状である。この第2の凸状曲線部13cbm,13cbnは、上記の断面において、貫通孔10wの最小幅部P
Sm,P
Snから第2の主面部P
12m,P
12nに至る部分に形成される。かかる第3の断面形状においては、第1の主面部P
11m,P
11nにおいて最大幅W
Lとなり、第1の凸状曲線部13camと第2の凸状曲線部13cbmとの接続点に最小幅部P
Smが現れ、第1の凸状曲線部13canと第2の凸状曲線部13cbnとの接続点に最小幅部P
Snが現れ、最小幅部P
Sm,P
Snにより最小幅W
Sが与えられる。かかる第3の断面形状においては、第1の主面部P
11m,P
11nにおいて最大幅W
Lとなり、最小幅W
Sを与える最小幅部P
Sm,P
Snは、第1の主面部P
11m,P
11nと第2の主面部P
12m,P
12nとの間に、一方の第1の凸状曲線部13camおよび第2の凸状曲線部13cbmと他方の第1の凸状曲線部13canおよび第2の凸状曲線部13cbnとの曲率の違いに応じて、孔開き板状材料10の厚さ方向に同じまたは異なった高さの位置に現れる。
【0035】
図4を参照して、貫通孔10wの第4の断面形状は、上記垂直平面上において、貫通孔10wを形成する孔表面13における一方の断面形状と他方の断面形状とが互いに異なっている断面形状であって、一方の断面形状が第1の凸状曲線部13camのみを含む第1の断面形状であり、他方の断面形状が第1の凸状曲線部13canと第2の凸状曲線部13cbnとを含む第3の断面形状である。かかる第4の断面形状においては、第1の主面部P
11m,P
11nにおいて最大幅W
Lとなり、最小幅W
Sを与える最小幅部P
Sm,P
Snは、第1の断面形状側の最小幅部P
Smが第2の主面部P
12mに現われ、第3の断面形状側の最小幅部P
Snが第1の凸状曲線部13canと第2の凸状曲線部13cbnとの接続点に現われ、孔開き板状材料10の厚さ方向に異なった高さの位置に現れる。
【0036】
図5を参照して、貫通孔10wの第5の断面形状は、上記垂直平面上において、貫通孔10wを形成する孔表面13における一方の断面の形状と他方の断面の形状とが互いに異なっている断面形状であって、一方の断面形状が第1の凸状曲線部13camと直線部13smとを含む第2の断面形状であり、他方の断面形状が第1の凸状曲線部13canと第2の凸状曲線部13cbnとを含む第3の断面形状である。かかる第5の断面形状においては、第1の主面部P
11m,P
11nにおいて最大幅W
Lとなり、最小幅W
Sを与える最小幅部P
Sm,P
Snは、第2の断面形状側の最小幅部P
Smが第1の凸状曲線部13camと直線部13smとの接続点から第2の主面部P
12m,P
12nまでの間に亘って現われ、第3の断面形状側の最小幅部P
Snが第1の凸状曲線部13canと第2の凸状曲線部13cbnとの接続点に現われ、孔開き板状材料10の厚さ方向に同じまたは異なった高さの位置に現れる。
【0037】
本実施形態の孔開き板状材料10において、貫通孔10wの孔表面13の断面形状が、上記の第1から第5の断面形状のいずれか、または、その他のここでは図示していない断面形状となるかは、孔開き板状材料10の物性および厚さ、板状材料に貫通孔を形成する際に加える圧力の大きさおよび圧力の加え方に応じて異なる。
【0038】
上記の第1から第5の少なくともいずれかの断面形状であらわされた場合の孔開き板状材料10は、第1の主面11上の第1の主面部P
11m,P
11nから貫通孔10wの最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分において連続した曲率変化をする部分を有する第1の凸状曲線部13cam,13canを有するため、第1の主面部P
11m,P
11nから貫通孔10wの最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分に含まれる孔表面13の第1の凸状曲線部13cam,13canの少なくとも一部が第1の主面11上の非孔表面11m,11nの表面性状を、そのままの状態で有する場合に加えて、海島状態のように不均一に分散した状態、任意に特定される一方向に一次元的に均一に分散した状態、または任意に特定される二方向に二次元的に均一に分散した状態で、有することができる。
【0039】
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10においては、特に制限はないが、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(垂直平面)における貫通孔10wの断面の形状において、第1の主面部P
11m,P
11nを通り第1の主面11に垂直な法線N
11m,N
11nを引き、最小幅部P
Sm,P
Sn(最小幅部P
Sm,P
Snが長さを有する場合は、その第1の主面11に最も近い点とする。)から法線N
11m,N
11nに下ろした垂線の足P
FSm,P
FSnから第1の主面部P
11m,P
11nまでの第1の線分長さL1m,L1nは、第1の主面11上の非孔表面11m,11nの表面性状を有する部分を含む第1の凸状曲線部13cam,13canを大きくする観点から、孔開き板状材料10の厚さTの20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
【0040】
ここで、孔開き板状材料10の厚さTは、第1の主面部の任意の点からその点を通り第1の主面11に垂直な法線が第2の主面12に到達する点までの距離と定義する。たとえば、
図1−
図5に示される貫通孔10wの断面形状においては、孔開き板状材料10の厚さTは、第1の主面部P
11mから第1の主面部P
11mを通り第1の主面11に垂直な法線N
11mが第2の主面12に到達する点P
N12mまでの距離となる。また、孔開き板状材料10の第1の主面部の任意の点における厚さTの分布は、特に制限はないが、安定した物性を提供する観点から、最小厚さT
minに対する最大厚さT
maxの比T
max/T
minが1.00以上1.15以下であることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態の孔開き板状材料10においては、特に制限はないが、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(垂直平面)における貫通孔10wの断面の形状において、第1の主面部P
11m,P
11nを通り第1の主面11に垂直な法線N
11m,N
11nを引き、最小幅部P
Sm,P
Sn(最小幅部P
Sm,P
Snが長さを有する場合は、その第1の主面11に最も近い点とする。)から法線N
11m,N
11nに下ろした垂線の長さである第3の線分長さL3m,L3nは、特に制限はないが、孔表面の漏斗状に開いた部分の比率を高めることにより電極活物質の充填率を高める観点から、孔開き板状材料10の厚さTの10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、開孔率が大きい場合に隣接する孔との間で最大幅W
Lの領域が重なることにより厚さTが減じることを防止する観点から、孔開き板状材料10の厚さTの500%以下であることが好ましく、300%以下であることがより好ましく、200%以下であることがさらに好ましい。ここで、孔開き板状材料10の厚さTの定義および孔開き板状材料10の第1の主面部の任意の点における厚さTの分布については、上記のとおりである。
【0042】
図3−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10は、特に制限はないが、電極活物質スラリーを塗布する際により小さな径の孔が求められた際に、ダイの孔径よりも小さな最小幅部を形成できる観点から、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(垂直平面)における貫通孔10wの断面の形状において、貫通孔10wの孔表面13が第2の主面12上で終端となる第2の主面部P
12m,P
12nをさらに有し、最小幅部P
Sm,P
Snから第2の主面部P
12m,P
12nに至る部分に第2の凸状曲線部13cbm,13cbnをさらに含むことが好ましい。第2の主面部P
12m,P
12nとは、貫通孔10wの孔表面13が第2の主面12上で終端となる部分をいい、その部分が尖った形状でその部分の前後において接線の傾きが急激に変化する場合、その部分が尖りのない形状でその部分の前後において接線の傾きが徐々に変化する場合を含む。
【0043】
また、本実施形態の孔開き板状材料10においては、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(垂直平面)における貫通孔10wの断面の形状において、第1の主面部P
11m,P
11nを通り第1の主面11に垂直な法線N
11m,N
11nを引き、最小幅部P
Sm,P
Sn(最小幅部P
Sm,P
Snが長さを有する場合は、その第1の主面11に最も近い点とする。)から法線N
11m,N
11nに下ろした垂線の足P
FSm,P
FSnから第2の主面部P
12m,P
12nから法線N
11m,N
11nに下ろした垂線の足P
F12m,P
F12nまでの第2の線分長さL2m,L2nは、特に制限はないが、第1の主面11上の非孔表面11m,11nの表面性状を含む第1の凸状曲線部がより多く存在することで貫通孔内にこれらの表面性状が提供する効果がより発現する観点から、孔開き板状材料10の厚さTの80%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。ここで、孔開き板状材料10の厚さTの定義および孔開き板状材料10の第1の主面部の任意の点における厚さTの分布については、上記のとおりである。
【0044】
(貫通孔の平面形状)
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10において、その貫通孔10wの平面形状(貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの形状をいう、以下同じ。)は、閉じた曲線で構成されるものであれば特に制限はなく、円、楕円、多角形、不定形のいずれであってもよい。
【0045】
(貫通孔の平面大きさ)
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10において、その貫通孔10wの平面大きさ(貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの大きさをいう、以下同じ。)は、特に制限はないが、低コストで加工ができかつ電極活物質スラリーの保持性能を高める観点から、貫通孔10wの孔面積(貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの面積をいう、以下同じ。)と等面積の円の径が、20μm以上2mm以下が好ましく、40μm以上500μm以下がより好ましく、60μm以上300μm以下がさらに好ましい。
【0046】
(孔開き板状材料の開孔率)
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10において、その開孔率は、特に制限はないが、孔開き板状材料の表面性状を面積的に有効に利用し、あるいはリチウムイオン系蓄電デバイスにおいて負極活物質の容量向上を可能とするリチウムイオンのプレドープを利用する場合の効率を高め、さらに板状材料10の機械的強度を確保する観点から、1%以上70%以下が好ましく、5%以上50%以下がより好ましく、8%以上35%以下がさらに好ましい。
【0047】
(孔開き板状材料の厚さ)
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10において、その厚さTは、特に制限はないが、蓄電デバイスの作製の際のハンドリング性を高めかつ蓄電デバイスの体積当たりおよび/または質量当たりの容量を高くする観点から、1μm以上3mm以下が好ましく、3μm以上100μm以下がより好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましい。
【0048】
(孔開き板状材料の材料)
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10は、特に制限はないが、蓄電デバイスの集電体として用いる観点から、少なくとも表面が導電体で形成されていることが好ましい。すなわち、本実施形態の孔開き板状材料10は、表面および内部の全体が導電体で形成されている材料であっても、表面のみが導電体で形成されている材料であってもよい。ここで、導電体は、特に制限はないが、導電性が高くかつ板状化および開孔が容易な観点から、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、銀、金などが好ましい。
【0049】
(孔開き板状材料の主面の平坦性)
図1−
図5を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10は、剥離や脱落防止のために意図的に付加した大きな反りやバリなどの外部に突き出した部分を持たないことが好ましい。薄い電極活物質層を突き抜けてしまうリスクを回避する観点から、第1の主面11および第2の主面12の少なくともいずれかの上に形成された突起物の高さは、板状材料10の厚さTに対して、50%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
【0050】
[実施形態2:孔開き板状材料の製造方法]
図6および
図7を参照して、本発明の別の実施形態である孔開き板状材料10の製造方法は、実施形態1の孔開き板状材料10の製造方法であって、孔111wとその孔111wの周111rを形成するエッジ111eとを有するダイ111上に板状材料1をその第2の主面側がダイ111に接触するように配置し、板状材料1側およびダイ111側の少なくとも一方から、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズよりも大きいサイズの領域に圧力を加えて、ダイ111のエッジ111eで板状材料1を切断することにより、貫通孔10wを板状材料1に形成する。
【0051】
本実施形態の孔開き板状材料10の製造方法によれば、ダイ111上に板状材料1を配置し、板状材料1側およびダイ111側の少なくとも一方から、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズよりも大きいサイズの領域に同時にまたは順次圧力を加えて、ダイ111のエッジ111eに沿って板状材料1を切断することにより、ダイ111の孔111wの形状および大きさに対応した貫通孔10wを板状材料に形成することにより、低コストでかつ高効率で孔開き板状材料10を製造することができる。
【0052】
本実施形態の孔開き板状材料10の製造方法においては、板状材料1側およびダイ111側の少なくとも一方から、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズよりも大きいサイズの領域に圧力を加えることにより、板状材料1が変形して、ダイ111のエッジ111e部に集中した応力により板状材料1が押し切られることにより、孔開き板状材料10が得られる。
【0053】
したがって、
図1−
図7を参照して、得られる孔開き板状材料10において、ダイ111と接触していた第2の主面12における貫通孔10wの第2の主面部P
12m,P
12nにおける形状および大きさはダイ111の孔111wの形状および大きさとほぼ同じである。貫通孔10wの最小幅部P
Sm,P
Snにおける最小幅W
Sは、貫通孔10wの第2の主面部P
12m,P
12nにおける幅から板状材料の厚さを引いた大きさ以上であり、かつ、貫通孔10wの第1の主面部P
11m,P
11nにおける最大幅W
L未満となる。
【0054】
本実施形態の孔開き板状材料10の製造方法において、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズよりも大きいサイズの領域への圧力の加え方は、特に制限はなく、たとえば、
図6に示すように、板状材料1の上記領域に加圧により変形可能な第1の固体131を接触させることによることができる。また、
図7に示すように、板状材料1の上記領域に加圧により変形可能な第1の固体131を接触させ、第1の固体131に回転が可能な第1の補助固体151をさらに接触させ、かつ、ダイ111に回転が可能な第2の補助固体152をさらに接触させて、第1の補助固体151および第2の補助固体152を回転させながら板状材料1に対して相対的に移動させることにより行なうことができる。また、変形可能な第1の固体131は、さらに複数の層状またはブロック状の変形可能な固体やこれに変形しない固体を追加したもので構成することができる。これらの製造方法について、以下に具体的に説明する。
【0055】
図6を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10の製造方法のある例は、孔111wとその孔111wの周111rを形成するエッジ111eとを有するダイ111の上に板状材料1を配置し、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズ(たとえば面積)よりも大きいサイズ(たとえば面積)の領域に、圧力により変形可能な第1の固体131を接触させることにより、板状材料1側およびダイ111側の少なくとも一方から圧力を同時に加えて、ダイ111のエッジ111eに沿って板状材料1を切断することにより、ダイ111の孔111wの形状およびサイズ(たとえば面積)に対応する形状および大きさ(たとえば面積)の貫通孔10wを板状材料1に形成する。
【0056】
具体的には、
図6を参照して、孔111wとその孔111wの周111rを形成するエッジ111eとを有するダイ111の上に板状材料1を配置する。板状材料1のダイ111の孔111wのサイズよりも大きいサイズの領域の上に、圧力を加えることにより変形可能な第1の固体131を配置する。第1の固体131上に加圧プレス137を配置する。
【0057】
次に、加圧プレス137により第1の固体131に圧力を加える。圧力を加えられた第1の固体131は、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズよりも大きいサイズの領域に接触することにより、かかる領域に圧力を加える。かかる圧力により、第1の固体131におけるダイ111の孔11w上に位置する部分がダイ111側に凸状に変形するため、板状材料1におけるダイ111の孔111w上に位置する部分が、孔111wの内部まで押し込まれる。このため、板状材料1におけるダイ111の孔111wの周111rを形成するエッジ111eに接触する部分が、エッジ111eに押し付けられるため、エッジ111eにより切断される。
【0058】
ここで、第1の固体131とは、圧力を加えることにより変形可能な固体であれば特に制限はなく、金属、セラミックス、ガラス、樹脂、ゴムなどの材料の種類を問わない。板状材料の孔開けは、板状材料の材質の種類を考慮しても通常、−20℃以上200℃以下で行なわれるため、かかる温度範囲で圧力を加えることにより変形可能な固体が好ましい。
【0059】
ここで、ダイ111の材質は、特に制限はないが、板状材料1に貫通孔10wを形成する観点から、合金工具鋼、超鋼合金などが好適である。ダイホルダ113の材質は、特に制限はないが、機械的強度および耐久性が高い観点から、機械構造用炭素鋼などが好適である。ダイ111の孔111wの周111rは、任意の閉じた曲線であれば足り、円、楕円、多角形、不定形と、その形状を問わない。ダイ111の孔面積と等面積の円の径は、低コストで加工でき、かつ、電極活物質スラリーの性能を保持する観点から、20μm以上2mm以下が好ましく、40μm以上500μm以下がより好ましく、60μm以上300mm以下がさらに好ましい。
【0060】
なお、
図6においては、孔111wを有するダイ111上に板状材料1を配置し、板状材料1上に第1の固体131を配置し、第1の固体131上に加圧プレス137を配置し、ダイ111側を固定して、板状材料1側から圧力を加える場合を記載している。図示しないが、加圧プレス上に孔を有するダイを配置し、孔を有するダイ上に板状材料を配置し、板状材料上に第1の固体を配置し、板状材料側を固定して、孔を有するダイ側から圧力を加えることもできる。また、加圧プレス上に孔を有するダイを配置し、孔を有するダイ上に板状材料を配置し、板状材料上に第1の固体を配置し、第1の固体上に加圧プレスを配置して、孔を有するダイ側および板状材料側の両方から圧力を加えることもできる。
【0061】
図7を参照して、本実施形態の孔開き板状材料10の製造方法の別の例は、孔111wとその孔111wの周111rを形成するエッジ111eとを有するダイ111の上に板状材料1を配置し、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズ(たとえば面積)よりも大きいサイズ(たとえば面積)の領域に圧力により変形可能な第1の固体131を接触させ、第1の固体131に回転が可能な第1の補助固体151をさらに接触させ、かつ、ダイ111に回転が可能な第2の補助固体152をさらに接触させて、第1の固体131およびダイ111を介在させてそれらの間の板状材料1に圧力をかけつつかつ第1の補助固体151および第2の補助固体152をそれぞれの回転軸151r、152rを中心として回転させながら板状材料1に対して相対的に移動させることにより、板状材料1側およびダイ111側の少なくとも一方から圧力を順次加えて、ダイ111のエッジ111eに沿って板状材料1を切断することにより、ダイ111の孔111wの形状およびサイズ(たとえば面積)に対応する形状および大きさ(たとえば面積)の貫通孔10wを板状材料1に形成する。
【0062】
ここで、回転が可能な第1の補助固体151および第2の補助固体152は、上記の回転および相対移動ができるものであれば特に制限はないが、回転および相対移動が容易な観点から、ロールであることが好ましい。
【0063】
また、第1の補助固体151および第2の補助固体152を回転させながら板状材料1に対して相対的に移動させる方法は、特に制限はなく、ダイ111、板状材料1および第1の固体131の積層体に対して第1の補助固体151および第2の補助固体152を移動させてもよく、第1の補助固体151および第2の補助固体152に対してダイ111、板状材料1および第1の固体131の積層体を移動させてもよい。すなわち、ダイ111、板状材料1および第1の固体131の積層体、第1の補助固体151、ならびに第2の補助固体152の少なくともひとつを動かすことにより、第1の補助固体151および第2の補助固体152を回転させながら板状材料1に対して相対的に移動させれば足りる。第1の補助固体151および第2の補助固体152の回転の周期は、同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
上記のような製造方法で得られる実施形態1の孔開き板状材料10は、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの輪郭上のある点におけるその輪郭の接線とその点で垂直に交わる平面(垂直平面)における貫通孔10wの断面の形状において、貫通孔10wの第1の主面11への垂直投影像10wfの幅である最小幅W
Sの端部P
m,P
nを与える孔表面13上の最小幅部P
Sm,P
Snと、貫通孔10wの孔表面13が第1の主面11上で終端となる第1の主面部P
11m,P
11nと、を有し、第1の主面部P
11m,P
11nから最小幅部P
Sm,P
Snに至る部分に第1の凸状曲線部13cam,13canを含み、第1の凸状曲線部P
11m,P
11nの少なくとも一部は、第1の主面11上における孔表面13以外の非孔表面11m,11n(第1の主面11上の非孔表面11m,11n)の表面性状を有し、二次電池、キャパシタなどの蓄電デバイスの特性を向上させるために付加された特別の性質、形状および/または構造が付加された第1の主面11上の非孔表面11m,11nの表面性状が孔表面13の少なくとも一部にまで及び、また、第1の主面11および第2の主面12においても突起物となるバリもほとんどないため、蓄電デバイスに用いられる集電体として好適に用いることができる。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
図7を参照して、直径が200μmの孔111wを有するステンレス製のダイ111上に、板状材料1として第1の主面に加圧によりストライプ状の凹凸が形成された厚さ20μmの集電体用アルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製1N30−H18)を、第2の主面側がダイ111に接触するように配置した。その板状材料1の第2の主面と反対側の主面である第1の主面上に、第1の固体131として加圧により変形可能な厚さ0.3mmの合成樹脂板を配置した。その第1の固体131に第1の補助固体151である直径200mmのロール接触させ、ダイ111に第2の補助固体152である直径200mmのロールを接触させて、第1の固体131、板状材料1およびダイ111の積層体が第1の補助固体151と第2の補助固体152との間に挟まれるように、第1の補助固体151および第2の補助固体152を配置した。
【0066】
次に、第1の補助固体151および第2の補助固体152に4kN/cmの線圧を加えながら回転させることにより、圧力を第1の固体131、板状材料1、およびダイ111に加え、これにより、第1の固体131を介在させて、板状材料1におけるダイ111の孔111wのサイズよりも大きなサイズの領域に圧力を加えて、板状材料1に貫通孔をあけることにより孔開き板状材料を得た。
【0067】
得られた孔開き板状材料の貫通孔について、その全景の写真を
図8に、その一部の写真を
図9に、その一部の断面の写真を
図10に示した。得られた孔開き板状材料の貫通孔は、第1の主面部における最大幅径が232μmであり、最小幅部における最小幅径が195μmであった。
【0068】
図8および
図9を参照して、得られた孔開き板状材料において、第1の主面上の非孔表面に形成されていたストライプ状の凹凸が孔表面にも見られた。すなわち、孔表面の第1の凸状曲線部の少なくとも一部は、第1の主面上の非孔表面の表面性状を有していた。また、バリもほとんど見られなかった。
【0069】
また、
図10を参照して、孔開き板状材料の貫通孔の一部の断面において、貫通孔を形成する孔表面は、第1の主面上の第1の主面部から貫通孔の最小幅部に至る部分に第1の凸状曲線部を含み貫通孔の最小幅部から第2の主面上の第2の主面部に至る部分に第2の凸状曲線部をさらに含む第3の断面形状を有していた。ここで、第1の主面部を通り第1の主面に垂直な法線を引き、最小幅部から法線に下ろした垂線の足から第1の主面部までの第1の線分長さ(以下、単に第1の線分長さという)は、孔開き板状材料の厚さの70%であった。また、第1の主面部を通り第1の主面に垂直な法線を引き、最小幅部から法線に下ろした垂線の足から第2の主面部から法線に下ろした垂線の足までの第2の線分長さ(以下、単に第2の線分長さという)は、孔開き板状材料の厚さの30%であった。また、第1の主面部を通り第1の主面に垂直な法線を引き、最小幅部から法線に下ろした垂線の長さである第3の線分長さ(以下、単に第3の線分長さという)は、孔開き板状材料の厚さの80%であった。
【0070】
(実施例2)
板状材料として第1の主面に電解エッチングにより凹凸が形成された厚さ20μmの集電体用アルミニウム箔(日本蓄電器工業株式会社製20C054)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、孔開き板状材料を得た。
【0071】
得られた孔開き板状材料の貫通孔について、その全景の写真を
図11に、その一部の写真を
図12に示した。得られた孔開き板状材料の貫通孔は、第1の主面部における最大幅径が212μmであり、最小幅部における最小幅径が192μmであった。
【0072】
図11および
図12を参照して、得られた孔開き板状材料において、第1の主面上の非孔表面に形成されていた凹凸が孔表面にも見られた。すなわち、孔表面の第1の凸状曲線部の少なくとも一部は、第1の主面上の非孔表面の表面性状を有していた。また、バリもほとんど見られなかった。
【0073】
(
参考例3)
板状材料として第1の主面に電解法によりエンボス状の凹凸が形成された厚さ10μmの集電体用銅箔(古河電気工業株式会社製NC−WS)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、孔開き板状材料を得た。
【0074】
得られた孔開き板状材料の貫通孔について、その全景の写真を
図13に、その一部の写真を
図14に、その一部の断面の写真を
図15に示した。得られた孔開き板状材料の貫通孔は、第1の主面部における最大幅径が222μmであり、最小幅部における最小幅径が200μmであった。
【0075】
図13および
図14を参照して、得られた孔開き板状材料において、第1の主面上の非孔表面に形成されていたエンボス状の凹凸が孔表面にも見られた。すなわち、孔表面の第1の凸状曲線部の少なくとも一部は、第1の主面上の非孔表面の表面性状を有していた。また、バリもほとんど見られなかった。
【0076】
また、
図15を参照して、孔開き板状材料の貫通孔の一部の断面において、貫通孔を形成する孔表面は、第1の主面上の第1の主面部から貫通孔の最小幅部に至る部分に第1の凸状曲線部を含み貫通孔の最小幅部から第2の主面の第2の主面部に至る部分に直線部をさらに含む第2の断面形状を有していた。ここで、第1の線分長さは、孔開き板状材料の厚さの60%であった。また、第3の線分長さは、孔開き板状材料の厚さの100%であった。
【0077】
(
参考例4)
板状材料として第1の主面に電解法によりエンボス状の凹凸が形成された厚さ15μmの集電体用銅箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、孔開き板状材料を得た。
【0078】
得られた孔開き板状材料の貫通孔について、その全景の写真を
図16に、その一部の写真を
図17に、その一部の断面の写真を
図18に示した。得られた孔開き板状材料の貫通孔は、第1の主面部における最大幅径が231μmであり、最小幅部における最小幅径が199μmであった。
【0079】
図16および
図17を参照して、得られた孔開き板状材料において、第1の主面上の非孔表面に形成されていたエンボス状の凹凸が孔表面にも見られた。すなわち、孔表面の第1の凸状曲線部の少なくとも一部は、第1の主面上の非孔表面の表面性状を有していた。また、バリもほとんど見られなかった。
【0080】
また、
図18を参照して、孔開き板状材料の貫通孔の別の一部の断面において、貫通孔を形成する孔表面は、第1の主面上の第1の主面部から貫通孔の最小幅部に至る部分に第1の凸状曲線部のみを含む第1の断面形状を有していた。ここで、第1の線分長さは、孔開き板状材料の厚さの100%であった。また、第3の線分長さは、孔開き板状材料の厚さの64%であった。
【0081】
(
参考例5)
板状材料として第1の主面に圧延法によりストライプ状の凹凸が形成された厚さ10μmのステンレス箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、孔開き板状材料を得た。
【0082】
得られた孔開き板状材料の貫通孔について、その全景の写真を
図19に、その一部の写真を
図20に示した。得られた孔開き板状材料の貫通孔は、第1の主面部における最大幅径が215μmであり、最小幅部における最小幅径が198μmであった。
【0083】
図19および
図20を参照して、得られた孔開き板状材料において、第1の主面上の非孔表面に形成されていたストライプ状の凹凸が孔表面にも見られた。すなわち、孔表面の第1の凸状曲線部の少なくとも一部は、第1の主面上の非孔表面の表面性状を有していた。また、バリもほとんど見られなかった。
【0084】
(実施例6)
板状材料として第1の主面にカーボンコートを施し導電性と表面の凹凸が付された厚さ21μmの集電体用カーボンコートアルミニウム箔(昭和電工パッケージング株式会社製SDX−PM)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、孔開き板状材料を得た。
【0085】
得られた孔開き板状材料の貫通孔について、その全景の写真を
図21に、その一部の写真を
図22に、その一部の断面の写真を
図23に示した。得られた孔開き板状材料の貫通孔は、第1の主面部における最大幅径が213μmであり、最小幅部における最小幅径が197μmであった。
【0086】
図21および
図22を参照して、得られた孔開き板状材料において、第1の主面上の非孔表面に形成されていた凹凸が孔表面にも見られた。すなわち、孔表面の第1の凸状曲線部の少なくとも一部は、第1の主面上の非孔表面の表面性状を有していた。また、バリもほとんど見られなかった。
【0087】
また、
図23を参照して、孔開き板状材料の貫通孔の一部の断面において、貫通孔を形成する孔表面は、第1の主面部から貫通孔の最小幅部に至る部分に第1の凸状曲線部を含み貫通孔の最小幅部から第2の主面部に至る部分に第2の凸状曲線部をさらに含む第3の断面形状を有していた。ここで、第1の線分長さは、孔開き板状材料の厚さの63%であった。また、第2の線分長さは、孔開き板状材料の厚さの37%であった。また、第3の線分長さは、孔開き板状材料の厚さの83%であった。
【0088】
(比較例1)
直径302μmの孔を有するステンレス製のダイ上に、板状材料として電解法により第1の主面にエンボス状の凹凸が形成された厚さ15μmの集電体用銅箔を配置し、第2の主面側がダイに接触するように配置した。その板状材料1の第2の主面と反対側の主面である第1の主面に直径300μmのパンチを配置して、パンチング法により、孔開き板状材料を得た。
【0089】
得られた孔開き板状材料の貫通孔について、その全景の写真を
図24に、その一部の写真を
図25に、その一部の断面の写真を
図26に示した。得られた孔開き板状材料の貫通孔は、第1の主面部における最大幅径が311μmであり、最小幅部における最小幅径が300μmであった。
【0090】
図24−
図26を参照して、孔開き板状材料の貫通孔の孔表面には、パンチング法特有のダレが認められたが、孔表面の主たる部分を占めるせん断面および破断面には第1の主面上の非孔表面に形成されていたエンボス状の凹凸は認められなかった。また、第1の主面上の第1の主面部から最小幅部に至るダレの第1の主面に垂直な方向の高低差の板状材料の厚さに対する比率は18%であった。
【0091】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。