【実施例1】
【0014】
実施例1の薬液供給装置Bを備えた接着剤塗布装置Aの概要を示した
図1において、
1は金属製の棒状の剛体であり、充分な機械的強度を備えている。
2は前記剛体の途中に設けられた支点であり、この支点2を中心にして、前記剛体1はある程度の範囲で回動可能に支持されている。前記支点2は支柱21によって支持されている。
3は接着剤の主剤が貯留された第1薬液タンクであり、前記剛体1の、前記支点2から第1距離L1の位置P1に吊り下げられている。
4は接着剤の硬化剤が貯留された第2薬液タンクであり、前記剛体1の、前記支点2から第2距離L2の位置P2に固定されている。
なお、
図1においては、前記支点2は前記第1距離の位置P1と前記第2距離の位置P2の間に位置している。
【0015】
第1薬液タンク3に貯留されている主剤は、供給ポンプ5によって吸引されて主剤供給管51を経由して混合部8に供給される。前記供給ポンプ5とその吸引配管は、第1薬液タンクから独立して支持されている。
前記供給ポンプ5は、混合部8の混合薬液の液面レベルが所定のレベル以下に低下したことをレベル検知器81が検知し、その結果で、制御手段82によって、主剤を吸引開始するように制御されている。
【0016】
第2薬液タンク4に貯留されている硬化剤は、硬化剤供給部6を経由して、前記混合部8に滴下されるように構成されている。
硬化剤供給部6は、第2薬液タンクの底面に開口した供給チューブの一部をバネ等で常時押圧して閉じた状態として供給停止し、電磁ソレノイド等で押圧開放して供給開始するようにチューブバルブ機構が構成されている。
【0017】
混合部8は、互いに接する2つの塗布ロール83、84の間に形成されており、混合された接着剤が2つの塗布ロール83、84の表面を介して、接着剤塗布対象の合板材料に塗布されるように構成されている。
【0018】
また、前記剛体1の初期バランス状態を微調整するためのバランス調整用錘11、12を備えている。
【0019】
7は、第1薬液タンクが軽くなって前記剛体1のバランスが崩れたときに導通する検知接点71を備えた検知手段である。
【0020】
以上のように構成された接着剤塗布装置Aは、剛体1、第1薬液タンク3、第2薬液タンク4、第1薬液薬ポンプ5、硬化剤供給部6とを備えた薬液供給装置Bを含み、さらに、混合部8を備えて、2つの塗布ロール83、84によって、接着剤塗布対象の合板材料に塗布するように構成されている。
【0021】
次に、上記構成の接着剤塗布装置Aを用いて、所定の混合比率の接着剤を塗布する場合の、設定方法と、動作を説明する。
例えば、使用する接着剤の主剤と硬化剤の混合比が、重量比でW1:W2の場合で説明する。
この場合、前記第1距離L1と前記第2距離L2の比が、前記重量比W1:W2の逆、つまりW2:W1となるように第1距離L1を決定し、その位置に第1薬液タンク3を吊り下げる。
なお、この状態で前記剛体1の左右バランスが釣り合っていない場合には、2つのバランス調整用錘11、12の位置を、剛体1に沿って移動させて、釣り合う状態に設定する。
【0022】
この状態で、前記塗布作業を開始すると、まず、前記レベル検知器81が、混合部8の混合薬液の液面レベルが所定のレベル以下であることを検知するので、その結果で、制御手段82によって前記供給ポンプ5が作動開始し、主剤を吸引開始する。
主剤の吸引供給によって、第1薬液タンク3が軽くなると、剛体1のバランスが崩れて第2薬液タンク側が下がるので、検知手段7の検知接点71が閉じる。
前記検知接点71が閉じることで、硬化剤供給部6においては供給チューブの一部を押圧状態から押圧開放状態に移行させ、硬化剤を供給開始する。
【0023】
硬化剤が供給されて、第2薬液タンク4の重さが軽くなり、剛体1が再びバランスすると、前記検知接点71が開くので、硬化剤供給部6においては供給チューブの一部を押圧開放状態から押圧状態に移行させ、硬化剤の供給を停止する。
このように、剛体1がバランスした状態に保たれるように、硬化剤が滴下供給される。即ち、主剤と硬化剤とは、剛体1がバランスした状態になるような供給比、即ち、第1距離L1と第2距離L2によって決定された混合比で供給されるのである。
その後、混合部8の液面レベルが上昇して、供給停止レベルまで上昇すると、レベル検知器81が検知して、供給ポンプ5が停止して、主剤の供給が停止する。そして、第2薬液タンク4の方が軽くなるので、前記検知接点71が開いて硬化剤の供給も停止する。
【0024】
以上のようにして、主剤と硬化剤とが所定の混合比で供給され、混合された接着剤は塗布ロールによって塗布されるのである。
例えば、主剤Sgの重さに対して、硬化剤をDgの重さで供給して、S:Dの混合比となるように供給したい場合には、
S×L1=D×L2
が成り立って、剛体1の左右の回転モーメントが打ち消しあうように設定する。
【0025】
従って、主剤100gに対して、硬化剤を5g供給して、20:1の混合比となるように供給したい場合、第2距離L2=1000mmとすると、第1距離L1=D×L2/S=5×1000/100=50mmとなる。
即ち、第1距離L1=50mmの位置に、第1薬液タンク3を吊り下げればよいのである。
以上の構成の接着剤塗布装置Aによれば、
主剤の供給開始後、わずか数秒後に硬化剤の滴下が開始され、混合部8への供給はほぼ同時となった。
【0026】
また、以上の構成の接着剤塗布装置Aによれば、
主剤を供給開始してから後、検知接点71が閉じない場合は、剛体1の動作異常もしくは主剤切れであると判断でき、検知接点71が閉じ続ける場合は、硬化剤切れであると判断できるので、点検や薬液の補充が速やかに且つ適切に行える。
また、
図6で示すように、第2薬液タンク4は、硬化剤缶を開けて、開口部をキャップ状の受け皿41に押し当てて、受け皿の流出管42に接続したチューブ43から供給するような簡単な構成としたので、硬化剤缶のまま、缶が空になったら交換して使い捨てが可能であり、メンテナンスが容易である。また、前記チューブ42の交換も容易である。なお、缶には空気孔を設けると供給がスムーズになる。
【0027】
なお、前記チューブ43は、供給する硬化剤の影響で硬くなるので、適宜交換する必要がある。しかし、第2薬液タンク4に硬化剤が残った状態で前記チューブ43を前記受け皿の流出管42から引き抜いて交換すると硬化剤が流出するので、前記受け皿の流出管42には、
図6に示したような流出防止弁44を設けるとよい。
キャップ状の受け皿41は、第2薬液タンクとしての硬化剤缶のキャップを改造したもの、もしくはキャップと同様の構造のものであり、硬化剤缶の開口部に密閉状態で装着可能となっている。
前記キャップ状の受け皿41の内側にはシール機能を備えた樹脂製の内蓋を備え、前記キャップ状の受け皿41と前記内蓋には例えば真鍮製の流出管42を貫通させ、前記受け皿41と前記流出管42とは半田付けし、前記内蓋と前記流出管とはゴム糊によって接着した。
前記流出管42には、頭部が前記流出管の内径より大きく、軸が磁性体金属からなる漏れ止め弁44が挿し込まれている。前記漏れ止め弁44を押し上げると、前記頭部が持ち上がり、流出管42から硬化剤が流出可能となり、前記漏れ止め弁44が下降すると、前記頭部が前記流出管42を塞ぎ硬化剤の流出が不可能となる。
前記漏れ止め弁44を押し上げた状態で、前記流出管42の外側に磁石45を保持させることによって、前記漏れ止め弁44の下降を止め、流出可能な状態を保つことができ、前記流出管42の外側から前記磁石45を引き離すことで、前記漏れ止め弁44を下降させて硬化剤が流出しないように流出管42を塞ぐことができる。
以上の構成によって、チューブ43を交換する際には、磁石45を引き離して硬化剤の流出を止めた状態で交換することが可能となった。
なお、必要に応じて上記構造のキャップ状の受け皿は複数個準備しておけばメンテナンスも楽に行える。
【0028】
前記検知接点71の電極間のギャップは、配合比率、支点からの距離、目標とする感度、等の条件により例えば0.3mm〜2mm範囲とするが、条件によっては、チューブバルブ開閉の振動が剛体のバランス応答に共振して、検知接点が開閉を繰り返して安定しない場合がある。この場合には、検知接点の開閉信号が短時間で繰り返されることになり、硬化剤供給部6の電磁ソレノイド等の制御上の問題が発生する。
そこで、検知接点の開閉信号の入力処理において遅延回路を設けたり、硬化剤供給部の電磁ソレノイドへの出力信号を、オフディレイ処理やワンショット処理等を施してから出力することによって、
精度を維持したまま安定した動作を実現することが可能となった。
【実施例2】
【0029】
実施例1では、剛体が長くなるので、支点を剛体の端に置くことで、剛体の全長を短くし得る実施例2を、以下に説明する。
図2に示したように、支点を剛体の端に設定し、支点から第1距離L1の位置に、第1薬液タンク3を吊り下げるロープを、定滑車で反転させて固定する。
支点から第2距離L2の位置には第2薬液タンク4を取り付ける。
さらに、実施例1と同様に、供給ポンプ5、硬化剤供給部6、検知手段7、混合部8等を備える。
【0030】
実施例1と実施例2の違いは、支点と第1距離の位置とが入れ替わっている点である。第2薬液タンク4で発生するモーメントは、剛体を右回りに回転させようとするものであるから、打ち消すためには、第1薬液タンク3で、剛体を右回りに回転させようとするモーメントを発生させる必要がある。そのために、第1薬液タンク3を吊り下げるロープを滑車で反転させて剛体1を引き上げるように固定したのである。
実施例2によれば、剛体1の全長を短くできるので、装置全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0031】
図3には、剛体と第1薬液タンク3、第2薬液タンク4の関係例を示した。
図3(A)は前記実施例1に対応する構成であり、
図3(B)は前記実施例2に対応する構成である。
図3(C)は、第2薬液タンク4を吊り下げるロープを滑車を介して剛体の第2距離の位置に固定した構成である。支点は剛体の端に設定した。
図3(D)は、第1薬液タンク3を吊り下げるロープを滑車を介して剛体の第1距離の位置に固定し、第2薬液タンク4を吊り下げるロープを滑車を介して剛体の第2距離の位置に固定した構成である。支点は第1距離の位置と第2距離の位置の間に設定した。
この場合も剛体の全長を短くすることができる。
【0032】
図1に示した棒状の剛体の例では、バランス状態において、第2薬液タンク4の重心が、支点2の位置より高い場合があるが、
図4に示した剛体の例のように、バランス状態において、第2薬液タンク4の重心が、支点2の位置より低くなるように構成してもよい。
以下に、
図1の場合と
図4の場合の違いを説明する。
図5の(A)に示したように、
図1の例のように、第2薬液タンク4の重心が、支点2の位置より高い場合には、
第1薬液が供給されて第1薬液タンク3側が相対的に軽くなると、第2薬液タンク4が支点2の高さと同じレベルに向かって下降する。このような下降動作においては、第2薬液タンク4の重心位置の水平方向距離は、支点2から僅かに(ΔL
2)離れることになる。従って、支点2と第2薬液タンク4の間に配設されている検知手段7の検知接点71が閉じやすくなり、速やかに第2薬液の供給を開始する。
【0033】
逆に、第2薬液が供給されて第2薬液タンク4側が相対的に軽くなると、第2薬液タンク4が上昇し、第2薬液タンク4の重心位置の水平方向距離は、支点2から僅かに近づくことになるので、検知手段7の検知接点71は開きやすくなり、速やかに第1薬液の供給を停止する。
従って、第1薬液と第2薬液の重さの微小な変化を感度良く検知して検知手段を作動させたい場合には、
図1のように第2薬液タンク4の重心位置を支点2の高さより高くするとよい。
特に、配合比の比率差が大きい場合、検知手段の高感度、高速応答、安定動作が必要な時に、上記構成が有効である。
なお、第1薬液の重量が第2薬液より十分に大きいため、系全体の重心は、支点2より低い位置にあり、剛体1は十分に安定した状態となっている。
【0034】
図5の(B)に示したように、
図4の例のように、第2薬液タンク4の重心が、支点2の位置より低い場合には、
第1薬液が供給されて第1薬液タンク3側が相対的に軽くなると、第2薬液タンク4が下降する。このような下降動作においては、第2薬液タンク4の重心位置の水平方向距離は、支点2から僅かに(−ΔL
2)近づくことになるので、検知手段7の検知接点71が閉じ難くなり、第2薬液は速やかには供給開始されない。
従って、第1薬液と第2薬液の重さの微小な変化に敏感には反応し難くなるので、安定したバランスによって、検知手段の感度を抑え、過敏な応答を防ぐことが可能となる。
【0035】
なお、剛体を分割構成して、互いの端部をリンク部材で接続しても良い。また、剛体に代えて複数の円形歯車を組み合わせても良い。さらにまた、固定滑車だけでなく、動滑車も組み合わせることで、剛体の全長を短くすることも可能である。