(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数区画の単位容量洗濯洗剤物品であって、
a)前記物品の1〜70重量%のアニオン性又は非イオン性界面活性剤と、
b)漂白剤系と、
前記漂白剤系が、水溶性又は分散性フィルム内に封入された
(i)カチオン、双極性イオン、及びこれらの混合物の群から選択されるアリールイミニウムイオンからなる有機漂白触媒であって、前記物品が0.01〜10重量%のアリールイミニウムイオンを含んでなる、触媒と、
(ii)フタルイミドペルオキシカプロン酸(PAP)、過カルボン酸及びその塩、過炭酸及びその塩、ペルイミド酸及びその塩、ペルオキシモノ硫酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される活性化過酸素源とを含み、
前記物品に含まれる前記アニオン性又は非イオン性界面活性剤の少なくとも50重量%、並びに前記物品に含まれる前記アリールイミニウムイオンの少なくとも80重量%が、単位容量洗濯洗剤物品に含まれる第1の流体含有区画に含まれ、
前記アリールイミニウムイオンが、
a)
【化1】
(
図1中、
(i)R
1は、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、イソ−ノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシル及びイソ−ペンタデシルからなる群から選択され、
(ii)R
2は独立して、H、3〜12個の炭素原子を含む分枝状アルキル基、及び1〜12個の炭素原子を含む直鎖アルキル基からなる群から選択され)、
b)
【化2】
3−(3,4−ジヒドロイソキノリニウム)プロパンスルホネート、
及びこれらの混合物からなる群から選択される双極性イオンであり、
前記第1の流体含有区画が5〜7のpHを有し、
前記物品に含まれる少なくとも80重量%の前記活性化
過酸素源は、第2の区画に含まれ、
前記第2の区画は、前記物品に含まれるアリールイミニウムイオンの10重量%未満を含んでなり、
前記第2の区画が7〜8.5のpHを有する、単位容量洗濯洗剤物品。
前記漂白活性化剤が、ノナノイルオキシベンゼンスルフォネート(NOBS)、ナトリウム4−(イソノナノイルオキシ)ベンゼンンスルフォネート(イソ−NOBS)、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の単位容量洗濯洗剤物品。
前記漂白活性化剤が、ナトリウム4−(イソノナノイルオキシ)ベンゼンンスルフォネート(イソ−NOBS)であり、前記単位容量洗濯洗剤物品が、リパーゼ酵素を更に含む、請求項2に記載の単位容量洗濯洗剤物品。
香料マイクロカプセルを更に含み、前記香料マイクロカプセルの壁材料が、ホルムアルデヒドで架橋されたメラミン、ポリ尿素、ホルムアルデヒドで架橋された尿素、グルタルアルデヒドで架橋された尿素を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単位容量洗濯洗剤物品。
リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクテートリアーゼ、キシログルカナーゼ、及びこれらの混合物からなる群から選択される洗浄性酵素を更に含み、前記過酸素源の一部が、
a)前記活性化過酸素源の少なくとも50重量%が固体であること、
b)前記活性化過酸素源の少なくとも50重量%が、水溶性又は分散性バリアによって封入されていること、及び
c)前記活性化過酸素源の少なくとも50重量%が、前記洗浄性酵素を25重量%未満で含む前記第2の区画内にあること、からなる群から選択される手段によって、前記洗浄性酵素から物理的に分離されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の単位容量洗濯洗剤物品。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用するとき、「単位容量洗濯洗剤物品」とは、単一使用形態での任意の洗濯処理用組成物を指す。本発明の単位容量洗濯洗剤物品は、少なくとも1つの「流体含有区画」を含み、必要に応じて固体成分を含んでよい。固体成分が存在する場合、固体成分は個別の区画内にあるか、流体充填区画内に懸濁されているか、又はペーストの部分として存在する。流体充填区画とは、例えば衣類などの繊維を湿潤させることが可能な流体を含む単位容量洗濯洗剤物品の仕切を指す。用語、流体は、液体、ゲル及びペーストのような形態を含む。流体含有区画内に収容される流体は、固体又は気体を適宜分割された形態で含み得るが、錠剤又は顆粒等の、全体として非流動性である形態は除外する。
【0007】
本明細書で使用される全てのパーセンテージ、比及び比率は、別に特記されない限り、単位容量洗濯洗剤物品の封入部分の重量%である(必要に応じて複数の区画の重量%も含める)。つまり、封入材料の重量は除外するものである。全ての平均値は、別に明示的に指示されない限り、封入部分の「重量で」計算されるものである。別に特記されない限り、pHは、取扱説明書により較正された、ゲル充填プローブ(Orion Triode Combination pH/ATCプローブ、# 9107WPモデル)を装備したThermo Electron Corporation Orion 216S pH計を使用して、21℃で、ニートな組成物で測定される。
【0008】
単位容量洗濯洗剤物品:
本発明の単位容量洗濯洗剤物品は、単一で使用が容易な剤形で、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤と、アリールイミニウムイオンと、活性化過酸素源とを含む。このような単位容量物品は、漂白成分の正確な容量が供給されることを確実にするという効果を有する。最適な漂白性能のために、アリールイミニウムイオンと活性化過酸素源の量、及びそれらの比が、注意深く制御されることが好ましい。単位容量洗濯洗剤物品はまた、アニオン性非石鹸界面活性剤;他の界面活性剤、特に追加の非イオン性界面活性剤;非アミノ官能性有機溶媒、及び改善された洗浄及び布地ケアのための洗濯助剤を含むことが好ましい。
【0009】
単位容量洗濯洗剤物品は、1つ以上の区画を含む。化学的に不適合性の成分を分離するという理由で、又は成分の一部分を初期又は後期に洗濯水に放出させることが望ましい場合に、複数区画の単位容量形態が望ましい。
【0010】
アニオン性及び非イオン性界面活性剤:
本発明の洗剤組成物は、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤を好ましくは1重量%〜70重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%、最も好ましくは15重量%〜45重量%含む。
【0011】
アニオン性界面活性剤:本発明の単位容量洗濯洗剤物品は、好ましくは、1〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%の1種以上のアニオン性界面活性剤を含む。好ましいアニオン性界面活性剤は、C11〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩、C10〜C20分枝鎖及びランダムアルキル硫酸塩、C10〜C18アルキルエトキシ硫酸塩、中鎖分枝状アルキル硫酸塩、中鎖分枝状アルキルアルコキシ硫酸塩、1〜5エトキシ単位を含むC10〜C18アルキルアルコキシカルボン酸塩、変性アルキルベンゼンスルホン酸塩、C12〜C20メチルエステルスルホン酸塩、C10〜C18 α−オレフィンスルホン酸塩、C6〜C20スルホコハク酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。しかしながら、W.M.Linfield,Marcel Dekker編「Surfactant Science Series」、Vol.7に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知のあらゆるアニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。しかしながら、本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1種のスルホン酸界面活性剤(例えば線状アルキルベンゼンスルホン酸など)、又は水溶性の塩形態を含む。
【0012】
本明細書に用いるのに好適なアニオン性スルホン酸塩又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、直鎖又は分岐鎖のC5〜C20、より好ましくはC10〜C16、最も好ましくはC11〜C13アルキルベンゼンスルホン酸塩、C5〜C20アルキルエステルスルホン酸塩、C6〜C22一級又は二級アルカンスルホン酸塩、C5〜C20スルホン化ポリカルボン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。上記界面活性剤は、2−フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性硫酸塩としては、9〜22個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルケニル部分を有する、一級及び二級アルキル硫酸塩;β−分枝状アルキルサルフェート界面活性剤;及びこれらの混合物が挙げられる。中鎖分岐アルキル硫酸塩又はスルホン酸塩もまた、本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤である。好ましいものはC5〜C22の、好ましくはC10〜C20の中鎖分岐アルキル一級硫酸塩である。混合物を使用する場合、アルキル部分の炭素原子の好適な平均合計数は、好ましくは14.5〜17.5の範囲内である。好ましいモノ−メチル−分岐型一級アルキル硫酸塩は、3−メチル〜13−メチルペンタデカノール硫酸塩、対応するヘキサデカノール硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ジメチル誘導体、又は軽度に分岐を有する他の生分解性のアルキル硫酸塩も同様に使用することができる。本明細書で使用するための他の好適なアニオン性界面活性剤としては、脂肪族メチルエステルスルホン酸塩及び/又はアルキルエトキシ(alkyl ethyoxy)硫酸塩(AES)及び/又はアルキルポリアルコキシル化カルボン酸塩(AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤の混合物を使用することもできる(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩とAESとの混合物)。
【0013】
アニオン性界面活性剤は、典型的にはアルカノールアミン又はアルカリ金属(ナトリウム及びカリウムなど)との塩形態で存在する。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルカノールアミン(モノエタノールアミン又はトリエタノールアミンなど)で中和され、液相中に完全に可溶性である。
【0014】
非イオン性界面活性剤:本発明の単位容量洗濯洗剤物品は、1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%の非イオン性界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、いわゆるピークの狭いアルキルエトキシレートを含むC12〜C18アルキルエトキシレート(「AE」)、C6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合物)、C6〜C12アルキルフェノールのブロック型アルキレンオキシド縮合体、C8〜C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic(登録商標)−BASF Corp.)、並びに半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な非イオン性界面活性剤の広範囲にわたる開示は、米国特許第3,929,678号に見出すことができる。
【0015】
米国特許第4,565,647号に開示されているようなアルキル多糖もまた本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤である。アルキルポリグルコシド界面活性剤もまた好適である。いくつかの実施形態では、好適な非イオン性界面活性剤としては、式R1(OC
2H
4)
nOHのものが挙げられ、式中、R1は、C10〜C16アルキル基又はC8〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり5〜20モルのエチレンオキシドとC12〜C15アルコール、例えば、アルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドとC12〜C13アルコールの縮合生成物であってもよい。別の好適な非イオン性界面活性剤としては、次の式のポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【化1】
式中、RはC9〜C17アルキル又はアルケニルであり、R1はメチル基であり、Zは還元糖又はそのアルコキシル化誘導体由来のグリシジルである。実施例としては、N−メチルN−1−デオキシグリシチルココアミド及びN−メチルN−1−デオキシグリシチルオレアミドが挙げられる。
【0016】
漂白剤系
単位容量洗濯洗剤物品は、有機漂白触媒と、活性化過酸素源とを含む。このような有機漂白触媒は、特に低温における漂白性能を改善する。それらは、活性化過酸素源からの酸素原子を受け取ることが可能で、その酸素原子を酸化可能な基質に移動させる。
【0017】
本発明の有機漂白触媒は、アリールイミニウムイオンを含む。アリールイミニウムイオンは、カチオン、双極性イオン、又はそれらの混合物であり得る。アリールイミニウムイオンの洗濯水全体への迅速な分布を確実にするために、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは100重量%のアリールイミニウムイオンが、単位容量洗濯洗剤物品の流体含有区画に含まれる。単位容量洗濯洗剤物品は、アリールイミニウムイオンを0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜2重量%含む。単位容量洗濯洗剤物品は、活性化過酸素源を0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%含んでよい。本発明のアリールイミニウムイオンは、過酸のような活性化過酸素源と反応して、アリールオキサジリジニウムイオンを形成し、これが酸化可能な基質を漂白する。
【0018】
アリールイミニウムイオンの効果を最大化させるために、かつその分解を最小化させるために、単位容量洗濯洗剤物品は、2:1〜1:500、好ましくは1:1〜1:100、より好ましくは1:5〜1:50、更により好ましくは1:10〜1:30の活性化過酸素源に対するアリールイミニウムイオンの重量比を含むことが好ましい。
【0019】
これに加えて、アリールイミニウムイオン(及び得られたアリールオキサジリジニウムイオン)の安定性は、典型的には洗濯液中で認められる希釈操作での洗濯温度によって影響される。5℃〜30℃のようなより低い洗濯温度では、40℃以上を超えるようなより高い洗濯温度と比較して、有機漂白触媒の分解速度は低減される。これとは対照的に、漂白活性化剤の存在下又は不在下での過酸化物のような典型的漂白剤は、低い選択温度では効率が劣る。したがって、アリールイミニウムイオンは、低温での洗濯用途のための漂白系の有効性を改善する上で特に有用である。
【0020】
本発明で使用されるための漂白系はまた、漂白活性化剤、金属含有漂白触媒、マクロ多環式剛性リガンドの遷移金属複合体、及びこれらの混合物のような他の漂白剤を含んでよい。
【0021】
1)有機漂白触媒:
アリールイミニウム双極性イオン:好適なアリールイミニウム双極性イオンは、以下からなる群から選択され得る。
【0022】
a)
【化2】
(
図1中、R
1は、H、3〜24個の炭素原子を含む分枝状アルキル基、及び1〜24個の炭素原子を含む直鎖アルキル基からなる群から選択される。好ましくは、R
1は、6〜18個の炭素原子を含む分岐鎖アルキル基、又は5〜18個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり、より好ましくは、R
1は、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、イソ−ノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシル及びイソ−ペンタデシルからなる群から選択され、R
2は、独立して、H、3〜12個の炭素原子を含む分枝状アルキル基、及び1〜12個の炭素原子を含む直鎖アルキル基からなる群から選択される。好ましくは、R
2は、独立して、H及びメチル基から選択され、nは0〜1の整数であり)、
b)
【化3】
3−(3,4−ジヒドロイソキノリニウム)プロパンスルホネート、
及びこれらの混合物。
【0023】
より好ましくは、アリールイミニウム双極性イオンは以下の構造を有する:
【化4】
(
図3中、R
1は、9〜24個の炭素原子を含む分枝状アルキル基又は11〜24個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり、好ましくは各R
1は、9〜18個の炭素原子を含む分枝状アルキル基、又は11〜18個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり、より好ましくは、各R
1は、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、イソ−ノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシル、及びイソ−ペンタデシルからなる群から選択される)。好適なアリールイミニウム双極性イオンとしては、表1a、表1bに表示されたもの、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましいアリールイミニウム双極性イオンは、表1bに表示されたもの、及びそれらの混合物である。最も好ましいものは、3−(3,4−ジヒドロイソキノリニウム)プロパンスルホネートの分子内塩、硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−ブチル−オクチルオキシメチル)−エチル]エステル、及びこれらの混合物である。有機漂白触媒の好適なその他の例は、米国特許第5,576,282号及び同第5,817,614号、欧州特許第923,636B1号、PCT国際公開特許WO 2001/16263 A1、同WO 2000/42156 A1、同WO 2007/001262 A1に見出すことができる。
【0024】
アリールイミニウムカチオン:好適なカチオン及びポリカチオンは、以下の構造を有するアリールイミニウムイオンを含む:
【化5】
(
図4中、R
3は、独立して、H及びメチル基からなる群から選択される。好ましくは、R
3はHである。R
4とR
5は、独立して、H、3〜12個の炭素原子を含む分枝状アルキル基、及び1〜12個の炭素原子を含む直鎖アルキル基からなる群から選択される。好ましくは、R
4とR
5はH又はメチルであり、より好ましくは、R
4とR
5はHである。X
−は荷電平衡対イオンであり、好ましくは漂白剤適合性対イオンである)。好適なアリールイミニウムカチオンとしては、表2に表示されたもの、及びそれらの混合物が挙げられる。最も好ましいものは、N−メチル−3,4−ジヒドロイソキノリニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−3,4−ジヒドロイソキノリニウムp−トルエンスルフォネート、及びこれらの混合物である。
【0025】
アリールイミニウムイオンを含む流体含有区画が、9未満、好ましくは8.5未満、より好ましくは8未満、更に好ましくは7未満のニートなpHを有する場合に、アリールイミニウムイオンの安定性が改善される。別の好ましい実施形態では、アリールイミニウムイオンを含む流体含有区画のpHは、5〜7である。
【0026】
2)活性化過酸素源:
活性化過酸素源は、酸化可能な基質に移動される酸素原子を供給し、このような活性化過酸素源は、漂白系の本質的な特徴である。活性化過酸素源は、予備形成された過酸、過酸化水素源、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
使用前の改善された安定性のために、活性化過酸素源と有機漂白剤触媒が化学的に相互作用することが不可能であるように、活性化過酸素源は、アリールイミニウムイオンから少なくとも部分的に物理的に分離されていることが好ましい。一実施形態では、活性化過酸素源の少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%が固体である。このような実施形態では、アリールイミニウムイオンによる過酸素源の触媒分解反応は、固相−液相境界によって阻害される。別の実施形態では、活性化過酸素源の少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%が、活性化過酸素源の大部分をアリールイミニウムイオンから隔離するよう維持するような水溶性又は分散性バリアによって封入されている。好適な水溶性又は分散性バリア材料としては、炭水化物、天然又は合成ゴム、キチン及びキトサン、セルロース及びセルロース誘導体、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、合成及び天然ワックス、ゼラチン、アルギン酸塩、アクリル系ポリマー及びその誘導体、デンプン材料、無機コーティング(ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、ゼオライト、アルミナ及びこれらの混合物)、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、脂肪酸、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ尿素、ポリエステル並びにこれらの混合物が挙げられる。さらに別の実施形態では、活性化過酸素源の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは100重量%が、アリールイミニウムイオンを25重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは1重量%未満で含む異なる区画内にある。
【0028】
同様な手段によって、活性化過酸素源は、漂白剤に感受性のある酵素及び香料のような成分から物理的に分離され得る。このような実施形態は、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクテートリアーゼ、キシログルカナーゼ、及びこれらの混合物からなる群から選択される洗浄性酵素を更に含み、その中で、活性化過酸素源の少なくとも一部が、活性化過酸素源の少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%が、固体であること、活性化過酸素源の少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%が、水溶性又は分散性バリアによって封入されていること、及び活性化過酸素源の少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%が、洗浄性酵素を25重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは1重量%未満で含む異なる区画内にあること、からなる群から選択される手段によって、洗浄性酵素から物理的に分離される単位容量洗濯洗剤物品を含む。他のこのような実施形態では、単位容量洗濯洗剤物品は、香料を更に含み、この中で、活性化過酸素源の少なくとも一部が、少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%の活性化過酸素源が固体であること、少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%の活性化過酸素源が、水溶性又は分散性バリアによって封入されていること、及び少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは100重量%の活性化過酸素源が、香料を25重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは1重量%未満で含む異なる区画内にあること、からなる群から選択される手段によって、香料から物理的に分離されている。
【0029】
予備形成された過酸:好適な予備形成された過酸には、フタルイミドペルオキシカプロン酸(PAP)、過カルボン酸及びその塩、過炭酸及びその塩、ペルイミド酸及びその塩、ペルオキシモノ硫酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。フタルイミドペルオキシカプロン酸(PAP)が好ましい。ペルオキシモノ硫酸の好適な塩は、カリウムペルオキシモノ硫酸塩(カリウムモノ過硫酸塩)、又はその三重塩:2KHSO
5・KHSO
4・K
2SO
4である。
【0030】
予備形成された過酸を含む流体含有区画の安定性は、4〜10、好ましくは6.5〜9、より好ましくは7〜8.5のニートなpHを有することによって改善される。例えば、フタルイミドペルオキシカプロン酸のような過酸は、このようなpH範囲で、開環しにくい。このpH範囲では、過酸の大部分がプロトン化されていて、結果として過酸の稼働率がより遅くなると考えられている。このことが、有機漂白剤ブースタが基質全体に分布するためにより長い時間をもたらし、改善された汚れ漂白へと導く。
【0031】
単位容量洗濯洗剤物品において、予備形成された過酸は、単位容量洗濯洗剤物品の封入部分の0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%、最も好ましくは2重量%〜4重量%の濃度で存在し得る。あるいは、主に漂白添加剤としての使用のための単位容量洗濯洗剤物品に関しては、より高い濃度の過酸が存在してもよい。例えば、このような組成物は、予備形成された過酸を10重量%〜40重量%、好ましくは15重量%〜30重量%、より好ましくは15重量%〜25重量%で含んでもよい。改善された安定性を有する複数区画の一実施形態では、予備形成された過酸の少なくとも80重量%が、アリールイミニウムイオンを25重量%未満で含む1つの区画内に封入されている。
【0032】
過酸化水素源:好適な過酸化水素源には、過酸化物、過塩、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の実施形態は、過酸化水素源を0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%含み得る。
【0033】
過酸化水素は、既知の最も強力な酸化剤のうちの1つである。これは、他の多くの過酸素源と比較して織物繊維損傷を起こすことが少ない非常に選択的な漂白剤であり、並びに織物染料、洗剤酵素及び蛍光増白剤への攻撃性が少ない傾向にある。本発明の単位容量洗濯洗剤物品に組み込まれる場合、0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%の過酸化水素の添加量濃度が好ましい。好適な過酸化物はまた、目に見える染み又はフィルミングを生じないジアシル過酸化物のような有機過酸化物を含む。1つの例は過酸化ジベンゾイルである。他の好適な過酸化水素源は、Kirk Othmer’s Encyclopaedia of Chemical Technology,4th Ed(1992,John Wiley & Sons),Vol.4,pp.271〜300「Bleaching Agents(Survey)」に詳説されている。
【0034】
好適な過塩としては、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩が挙げられる。過炭酸塩と過ホウ酸塩が好ましい。過炭酸塩は、その速い溶解速度、環境によりやさしい特性、並びに炭酸塩も遊離させる一方で、同時に過酸化水素を生成する利点のために特に好ましい。したがって、それらは過ホウ酸塩よりも高いpHと、有効な過加水分解とをもたらす。過炭酸ナトリウムが、好適な過炭酸塩である。過ホウ酸ナトリウムのような過ホウ酸塩源は、良好な安定性及び選択性を有する。他の好ましい過ホウ酸塩としては、四水和物及び/又は一水和物が挙げられる。改善された安定性のために、過塩はコーティングされてもよい。
【0035】
3)他の漂白剤:
漂白活性化剤:本発明の漂白系は、過塩及び/又は過酸化物と組み合わせて、漂白活性化剤で製剤化され得る。過塩、特に過炭酸塩及び/又は過ホウ酸塩が好ましい。好適な過酸化物の例は、ジベンゾイル過酸化物である。使用の際に、漂白活性化剤は、ノナノイルオキシベンゼンスルフォネート(NOBS)、ナトリウム4−(イソノナノイルオキシ)ベンゼンスルフォネート(イソ−NOBS)、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。これらは、0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜8重量%の濃度で存在し得る。リパーゼ酵素が単位容量洗濯洗剤物品に組み込まれる場合、ナトリウム4−(イソノナノイルオキシ)ベンゼンスルフォネートが特に好ましく、何故なら、他の漂白活性化剤と異なり、それがリパーゼとの高度な適合性を有するためである。イソ−NOBSから生じたC9ペルオキシ酸とのイソ−NOBSの反応から形成されたジアシル過酸化物(DAP)もまた、リパーゼとの適合性がある。他の好適な漂白活性化剤は、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4−ニトロベンゾイルカプロラクタム、3−クロロベンゾイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルフォネート(BOBS)、安息香酸フェニル(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルフォネート(C10−OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイルオキシベンゼンスルフォネート(C8−OBS)、ペルヒドロ化性エステル及びこれらの混合物、あるいは、ベンゾイルカプロラクタム及びベンゾイルバレロラクタム、4−[N−(ノナオイル)アミノヘキサノイルオキシ]−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(NACA−OBS)(米国特許第5,523,434号参照)、ドデカノイルオキシ−ベンゼンスルフォネート(LOBS又はC12−OBS)、10−ウンデセノイルオキシベンゼンスルホネート(10位に不飽和を有するUDOBS又はC11−OBS)、及びデカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。例えば四級置換漂白活性化剤などの好適な漂白活性化剤の非限定的な例は、米国特許第6,855,680号に記載されている。あるいは、アリールイミニウムイオンは、漂白活性化特性を援用するように選択されてもよい。
【0036】
金属含有漂白触媒:好ましい漂白触媒としては、マンガン及びコバルト含有漂白触媒が挙げられる。他の好適な金属含有漂白触媒としては、規定された漂白触媒活性の、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオンなどの遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムカチオンなど、ほとんど又は全く漂白触媒活性を有さない補助的な金属カチオン、並びに触媒及び補助的な金属カチオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性塩を含む触媒系が挙げられる。好適な触媒系は、米国特許第4,430,243号に開示されている。
【0037】
遷移金属複合体:本明細書における単位容量洗濯洗剤物品は、好ましくは、マクロ多環式剛性リガンドの遷移金属複合体を含む漂白触媒を含む。使用される量としては、単位容量洗濯洗剤物品の封入部分の、好ましくは0.0001重量%〜5重量%、より好ましくは0.001重量%〜2重量%、最も好ましくは0.01重量%〜1重量%である。
【0038】
洗濯助剤:
本発明の単位容量洗濯洗剤物品はまた、追加の界面活性剤、非アミノ官能性有機溶媒、酵素、酵素安定剤、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー、粘土汚れ洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、汚れ懸濁ポリマー、漂白剤系、蛍光増白剤、色相染料、粒子材料、香料及び他の悪臭制御剤、ヒドロトロープ、抑泡剤、布地ケア有益剤、pH調整剤、移染防止剤、保存料、非織物直接染料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される従来の洗濯洗剤成分を含み得る。使用することのできる追加成分の一部を、以下の通りに更に詳細に記載する:
追加の界面活性剤:本発明の単位容量洗濯洗剤物品は、以下のものからなる群から選択された追加の界面活性剤を含有する:アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性及び/又は双極性イオン性界面活性剤及びこれらの混合物。
【0039】
好適なカチオン性界面活性剤は、水溶性、水分散性、又は非水溶性であり得る。このようなカチオン性界面活性剤は、少なくとも1個の四級化窒素と、少なくとも1個の長鎖ヒドロカルビル基を有する。2個、3個又は更には4個の長鎖ヒドロカルビル基を含む化合物もまた含まれる。例としては、C12アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩、又はそれらのヒドロキシアルキル置換された類似体が挙げられる。本発明は、カチオン性界面活性剤を1%以上含んでよい。
【0040】
組成物に使用するのに好適な両性洗浄界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として幅広く記載される界面活性剤が挙げられ、この界面活性剤では、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つは8〜18個の炭素原を含有し、1つはカルボキシ、スルフォネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。本発明での使用に好適な両性洗浄界面活性剤としては、限定するものではないが:ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
単位容量洗濯洗剤物品で用いるのに好適な双極性イオン洗浄性界面活性剤は当該技術分野において周知であり、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられ、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは8〜18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。ベタインなどの双極性イオン性界面活性剤もまた、本発明に好適である。更に、以下の式を有するアミンオキシド界面活性剤もまた本発明の組成物に有用である:R(EO)
x(PO)
y(BO)
zN(O)(CH
2R’)
2・qH2O。Rは、飽和又は不飽和の、線状又は分岐鎖であることができる比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16一級アルキルである。R’は短鎖部分であり、好ましくは水素、メチル及び−CH
2OHから選択される。x+y+zが0とは異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、BOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12〜C14アルキルジメチルアミンオキシドで示される。
【0042】
本組成物に用いるのに好適な他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual(M.C.Publishing Co.出版)、及び米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されている。
【0043】
水及び/又は非アミノ官能性有機溶媒:単位容量洗濯洗剤物品の流体含有区画は、水を好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、最も好ましくは10重量%未満で含む。あるいは、流体含有区画は、ほぼ完全に非水性であり得、非アミノ官能性有機溶媒を、好ましくは2重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%含む。このような流体含有区画は、例えば、他の原料物質と共に導入される水をほとんど含まなくてもよい。
【0044】
本明細書で使用するとき、「非アミノ官能性有機溶媒」は、アミノ官能基を含まない任意の有機溶媒を指す。好ましい非アミノ官能性有機溶媒としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、グリコール、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。極めて好ましいものは、溶媒の混合物、特に、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールなどのジオール、及びグリセロールのうちの2つ以上の混合物である。同様に好ましいのは、プロパンジオール、及びジエチレングリコールとプロパンジオールとの混合物であり、その場合、該混合物はメタノール又はエタノールを含有しない。したがって、本発明の単位容量洗濯洗剤物品の実施形態としては、プロパンジオールは使用されるが、メタノール及びエタノールは使用されない実施形態が含まれ得る。
【0045】
好ましい非アミノ官能性有機溶媒は、周囲温度及び周囲気圧(すなわち、21℃及び1大気圧)で液体であり、かつ炭素、水素及び酸素を含有する。非アミノ官能性有機溶媒は、外部構造化系のプレミックスの調製時に、あるいは最終単位容量洗濯洗剤物品中に存在し得る。
【0046】
酵素:本発明の単位容量洗濯洗剤物品は、クリーニング性能及び/又は布地ケア利益をもたらす洗浄性酵素を0.0001重量%〜8重量%含んでもよい。このような組成物は、6〜10.5の組成物pHを有することが好ましい。好適な酵素は、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクテートリアーゼ、キシログルカナーゼ、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。好ましい酵素の組み合せは、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、及びアミラーゼなどの従来の洗浄性酵素の混合物を含む。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号でより詳細に記載されている。
【0047】
酵素安定剤:酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物及び置換されたホウ酸、芳香族ホウ酸エステル、ペプチド及びペプチド誘導体、ポリオール、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物[例えば、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル、アルコール、又はアルコールアルコキシレート]、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボン酸塩、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3−アミノ−プロピル−ドデシルアミン又は塩;及びこれらの混合物のようなあらゆる既知の安定剤系を使用して安定化できる。
【0048】
付着助剤ポリマー:好ましくは、単位容量洗濯洗剤物品は、付着助剤ポリマーを0.1%〜7%、より好ましくは0.2%〜3%含む。本明細書で使用するとき、「付着助剤ポリマー」は、洗濯時の、布地ケア有益剤の布地への付着を有意に増加させる、任意のカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの混合物を指す。好適な付着助剤ポリマーは、カチオン性多糖及び/又はコポリマーを含むことができる。本明細書で使用するとき、「布地ケア有益剤」は、布地ケア効果をもたらすことのできる、任意の物質を指す。布地ケア効果の非限定例としては、布地の柔軟化、色保護、色復元、毛玉/毛羽立ちの軽減、抗摩擦、抗しわが挙げられるが、これらに限定されない。布地ケア有益剤の非限定例としては、シリコーン誘導体、油性糖誘導体、分散性ポリオレフィン、ポリマーラテックス、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
洗浄ポリマー:本明細の単位容量洗濯洗剤物品は、0.01重量%〜20重量%の1種以上の洗浄ポリマーを任意に含有してもよく、その洗浄ポリマーは、表面及び布地の広範な汚れ洗浄並びに/又は汚れの懸濁をもたらす。任意の好適な洗浄ポリマーを使用することができる。有用な洗浄ポリマーは、米国特許出願公開第2009/0124528A1号に記載されている。洗浄ポリマーの有用な部類の非限定例としては、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー;粘土汚れ洗浄ポリマー;汚れ放出ポリマー;及び汚れ懸濁ポリマーが挙げられる。
【0050】
蛍光増白剤:これらは、織物のための蛍光白色化剤としても知られている。好ましい濃度は、単位容量洗濯洗剤物品の封入部分の0.001重量%〜2重量%である。好適な増白剤は、例えば、欧州特許第686691B号に開示されており、疎水性の種類のもの、並びに親水性の種類のものが挙げられる。Brightener 49は、本発明で使用するのに好ましい。
【0051】
色相染料:色相染料又は布地陰影染料は、単位容量洗濯洗剤物品において有用な洗濯助剤である。好適な染料としては、色相効果又は陰影効果を有する青色染料及び/又はバイオレット染料が挙げられる。例えば、国際特許出願公開第2009/087524 A1号、同第2009/087034A1号、及びそれらの引用文献を参照されたい。本発明に好適である近年の開発としては、亜鉛又はアルミニウムの中心原子を有するスルホン酸塩化フタロシアニン染料が挙げられる。本明細書の単位容量洗濯洗剤物品は、布地色相染料を0.00003重量%〜0.1重量%、好ましくは0.00008重量%〜0.05重量%含んでよい。
【0052】
粒子状物質:単位容量洗濯洗剤物品は、例えば粘土、抑泡剤、香料(香料マイクロカプセル)、漂白剤及び酵素のようなカプセル化酸化感応性及び/又は熱感応性成分、あるいは雲母、色素粒子等を含むパール化剤のような美的助剤の粒子状物質を含み得る。好適な濃度は、単位容量洗濯洗剤物品の封入部分の0.0001重量%〜10重量%、又は0.1重量%〜5重量%である。
【0053】
香料及び臭気制御剤:好ましい実施形態では、単位容量洗濯洗剤物品は、遊離及び/又はマイクロカプセル化された香料を含む。存在する場合、遊離香料は、典型的には、単位容量洗濯洗剤物品の封入部分の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%の濃度で組み込まれている。
【0054】
香料原料物質の少なくとも一部を香料マイクロカプセル中に封入することによって、香料原料物質は、漂白剤系による酸化から保護され得る。存在する場合、香料マイクロカプセルは、香料原料物質を壁材料で少なくとも部分的に取り囲むことによって形成される。好ましくは、マイクロカプセル壁材料は、ホルムアルデヒドで架橋されたメラミン、ポリ尿素、ホルムアルデヒドで架橋された尿素又はグルテルアルデヒドで架橋された尿素を含む。好適な芳香剤マイクロカプセル及び芳香剤ナノカプセルには、以下の文献に述べられるものが挙げられる。すなわち、米国特許出願公開第2003215417 A1号、同第2003216488 A1号、同第2003158344 A1号、同第2003165692 A1号、同第2004071742 A1号、同第2004071746 A1号、同第2004072719 A1号、同第2004072720 A1号、欧州特許出願公開第1393706 A1号、米国特許出願公開第2003203829 A1号、同第2003195133 A1号、同第2004087477 A1号、同第20040106536 A1号、米国特許第6645479号、同第6200949号、同第4882220号、同第4917920号、同第4514461号、米国再発行特許第RE 32713号、米国特許第4234627号。
【0055】
他の実施形態では、単位容量洗濯洗剤物品は、米国特許第5,942,217号に記載された、非複合型シクロデキストリンのような臭気抑制剤を含む。他の好適な臭気抑制剤としては、米国特許第5,968,404号、同第5,955,093号、同第6,106,738号、同第5,942,217号、及び同第6,033,679号に記載されているものが挙げられる。
【0056】
ヒドロトロープ:単位容量洗濯洗剤物品の封入部分は、典型的にヒドロトロープを有効量で、好ましくは15重量%まで、より好ましくは1重量%〜10重量%、最も好ましくは3重量%〜6重量%で含み、これによって、流体洗濯洗剤組成物は水中に共存可能となる。本明細書における使用に適したヒドロトロープとしては、米国特許第3,915,903号に開示されているような、アニオン型のヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
外部構造化系:外部構造化系とは、組成物の洗浄性界面活性剤の何らかの構造化効果から独立して、すなわち洗浄性界面活性剤以外により、流体を安定化させるのに十分な降伏応力又は低せん断粘度のいずれかをもたらす、化合物又は化合物の混合物を指す。本発明の任意の区画内の流体は、外部構造化系を0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%含み得る。好適な外部構造化系としては、非ポリマー結晶質のヒドロキシ官能性構造剤、ポリマー構造剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
好ましくは、外部構造化系は、21℃、20s
−1で1〜1500cpsの高せん断粘度、並びに5000cpsより大きい低せん断での粘度(21℃、0.05s
−1で)を付与する。粘度は、直径40mmの平板鋼製スピンドル及び間隙サイズ500μmを使用するTA instruments製のAR 550レオメーターを使用して測定される。20s
−1での高せん断粘度、及び0.5s
−1での低せん断粘度は、21℃における3分間の0.1s
−1〜25s
−1の対数せん断速度曲線から得ることができる。
【0059】
外部構造化系は、0.01重量%〜1重量%の非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造剤を含んでもよい。このような非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造剤は、予め乳化が可能な結晶化可能グリセリドを一般に含み、最終の単位容量洗濯洗剤物品中への分散を補助する。好適な結晶化可能なグリセリドとしては、流体洗剤組成物内で結晶化させることができるという条件で、硬化ヒマシ油つまり「HCO」又はその誘導体が挙げられる。好適な外部構造化系の他の実施形態は、0.01重量%〜5重量%の天然由来及び/又は合成のポリマー構造剤を含んでもよい。好適な天然由来のポリマー構造剤としては:ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な多糖誘導体としては:ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム及びこれらの混合物が挙げられる。好適な合成ポリマー構造剤としては:ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
単位容量パウチ材料:
単位容量区画の内容物は、一般的に成分を一緒に混合することによって調製され得る。単位容量区画の内容物は、水溶性又は分散性フィルム内に封入される。水溶性又は分散性フィルムは、好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%又はさらに少なくとも95%の水溶解度を有する。水溶解度は、本明細書に記載された方法によって測定される:5.0グラム±0.1グラムの水溶性又は分散性フィルムを、予め重量測定された400mlビーカー中に添加し、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これは、600rpmに設定された磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌される。次いで、最大で20マイクロメートルの孔径を有する焼結ガラスフィルターを通して混合物を濾過する。回収した濾液からいずれかの従来法によって水を乾燥させ、残った材料の重量を測定する(これが溶解又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散度%を計算することができる。
【0061】
水溶性又は分散性フィルムとしての使用に適した好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩類、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムのような天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びこれらの組み合わせから選択される。しかしながら、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、又はこれらの混合物を含むフィルムは高溶解度であるため、本発明での使用に特に好ましい。このようなフィルムが素早く溶解することで、アリールイミニウムイオンが迅速かつ均一に洗濯水全体に分布することができる。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えばPVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量、好ましくは1000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、更により好ましくは20,000〜150,000の重量平均分子量を有することができる。
【実施例】
【0062】
【表1】
【表2】
【表3】
【0063】
実施例1a及び1b:ポリビニルアルコールフィルム内に封入された、本発明の単一区画単位容量洗濯洗剤物品。
【表4】
1 国際特許出願公開第2006/120405 A1号の方法による封入
2 アミラーゼ及びプロテアーゼ
【0064】
実施例2a及び2b:ポリビニルアルコールフィルム内に封入された、本発明の単一区画単位容量洗濯洗剤物品。
【表5】
【0065】
実施例3a、3b及び3c:活性化過酸素源が、他の洗濯成分とは別の区画内にある、ポリビニルアルコールフィルム内に封入された本発明の2区画単位容量洗濯洗剤物品。
【表6】
【表7】
2 アミラーゼ及びプロテアーゼ
3 Solvay,Aussimontより供給されたEureco W(商標)
【0066】
実施例4:活性化過酸素源及び有機触媒が個別の区画内にある、ポリビニルアルコールフィルム内に封入された、本発明の2区画単位容量洗濯洗剤物品。
【表8】
2 アミラーゼ及びプロテアーゼ
【0067】
実施例5a及び5b:活性化過酸素源及び有機触媒が個別の区画内にある、ポリビニルアルコールフィルム内に封入された、本発明の2区画単位容量洗濯洗剤物品。
【表9】
2 アミラーゼ及びプロテアーゼ
【0068】
実施例6:活性化過酸素源、有機触媒、並びに酵素が個別の区画内にある、ポリビニルアルコールフィルム内に封入された、本発明の3区画単位容量洗濯洗剤物品。
【表10】
2 アミラーゼ及びプロテナーゼ
【0069】
実施例7a及び7b:活性化過酸素源が他の活性成分から分離されている、ポリビニルアルコールフィルム内に封入された、本発明の2区画単位容量洗濯洗剤物品。
【表11】
2 アミラーゼ及びプロテアーゼ
4 Caroat(Evonik Industries AG;Rellinghauser Strabe 1;45128 Essen,Germany)−カリウムペルオキシモノサルフェート
【0070】
実施例1aの組成物のpHをpH 7、8、及び9に調節し(HCl又はNaOHのいずれかを使用して)、21℃及び更に32℃で2週間貯蔵後に残存するアリールイミニウムイオンのパーセンテージを測定することによって、異なるpHでのアリールイミニウムイオンの安定性が評価された:
【表12】
【0071】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。