(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863791
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】比色センサを有する血液培養ボトル用検出装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20160204BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12Q1/04
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-520793(P2013-520793)
(86)(22)【出願日】2011年7月19日
(65)【公表番号】特表2013-541321(P2013-541321A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】US2011044454
(87)【国際公開番号】WO2012012377
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】61/400,001
(32)【優先日】2010年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502073946
【氏名又は名称】ビオメリュー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【弁理士】
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード ジー クレイ
【審査官】
吉門 沙央里
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05013155(US,A)
【文献】
米国特許第06815211(US,B1)
【文献】
特表2008−508506(JP,A)
【文献】
THURMAN C.THORPE, et al,,BacT/Alert: an Automated Colorimetric Microbial Detection System,Journal of Clinical Microbiology,1990年 7月,Vol.28, No.7 ,P.1608-1612
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液培養ボトル内の試料媒体のpH又はCO2の変化に起因する色の変化の影響を受ける比色センサが組み込まれた血液培養ボトル用の検出装置であって、該検出装置は、
前記比色センサを照らすセンサLEDと、
前記比色センサを照らす基準LEDと、
前記センサLED及び前記基準LEDを選択的且つ交互に作動させる制御回路と、
前記センサLED及び前記基準LEDが前記比色センサを選択的且つ交互に照らす間に、前記比色センサからの反射率を測定して、前記反射率に基づいて輝度信号を生成する、光検出器と、を備え、
前記基準LEDは、照射のピーク波長が、前記基準LEDの照射から前記光検出器が決定した前記輝度信号が前記比色センサの前記色の変化により実質的に影響されないように選択される、ことを特徴とする、検出装置。
【請求項2】
前記基準LEDは、照射のピーク波長が750nm及び900nmの間であることを特徴とする、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記輝度信号を受信するコンピュータを更に備え、該コンピュータは、前記検出装置に関して、前記基準LEDについての輝度信号間の較正関係を、定位置からの前記ボトルの距離の関数として保存することを特徴とするメモリを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記メモリは、前記センサLEDについての輝度信号間の較正関係を、前記定位置からの前記ボトルの距離の関数として更に保存し、
前記コンピュータは、前記ボトルが前記定位置から遠ざかった位置に配置されたことに起因する前記センサLEDからの信号の輝度の低下を、前記センサLEDと前記基準LEDとの較正関係に従って補償することを特徴とする、
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
血液培養ボトル内の試料媒体のpH又はCO2の変化に起因する色の変化の影響を受ける、前記血液培養ボトルに組み込まれた比色センサの検出方法であって、該検出方法は、
血液培養ボトル内の試料媒体のpH又はCO2の変化に起因する色の変化の影響を受ける比色センサを組み込んだ前記血液培養ボトルを設けるステップと、
センサLED及び基準LEDによって、前記比色センサを交互且つ反復的に照らすステップと、
前記センサLED及び前記基準LEDによって前記比色センサを照らしたことによる前記比色センサからの反射率を、応答して前記反射率に基づいて輝度信号を生成する光検出器で測定するステップと、を含み、
前記基準LEDは、照射のピーク波長が、前記基準LEDの照射から前記光検出器が決定した前記輝度信号が前記比色センサの前記色の変化により実質的に影響されないように選択される、ことを特徴とする、方法。
【請求項6】
前記基準LEDは、照射のピーク波長が750nm及び900nmの間であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記センサLED、前記基準LED、及び前記光検出器に関して、前記基準LEDについての輝度信号間の較正関係を、定位置からの前記ボトルの距離の関数として、コンピュータメモリに保存するステップを更に含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記センサLED、前記基準LED、及び前記光検出器に関して、前記センサLEDについての輝度信号間の較正関係を、前記定位置からの前記ボトルの距離の関数として、前記コンピュータメモリに保存するステップを更に含むことを特徴とする、請求項5、6、又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ボトルが前記定位置から遠ざかった位置に配置されたことに起因する前記センサLEDからの信号の輝度の低下を、前記センサLEDと前記基準LEDとの較正関係に従って補償するステップを更に含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記補償するステップは、前記基準LEDについての前記較正関係を用いて前記ボトルの移動量を算出し、前記光検出器からの前記輝度信号を調整して、前記移動量によって前記ボトルの前記移動を修正するステップを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記輝度信号の前記低下を補償した後に、前記センサLEDによる前記比色センサの照射に起因する前記比色センサからの前記反射率に少なくとも部分的に基づいて、前記ボトル内の細菌の増殖を判定するステップを更に含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記センサLEDによる前記比色センサの照射に起因する前記比色センサからの前記反射率に少なくとも部分的に基づいて、前記ボトル内の細菌の増殖を判定するステップを更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
定位置からの前記ボトルの距離の関数である、前記センサLED、前記基準LED、及び前記光検出器に関する、前記基準LEDについての輝度信号間の較正関係を決定するステップを更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2010年7月20日出願の、発明の名称が「比色センサを有する血液培養ボトル用検出装置(Detector Arrangement for Blood Culture Bottles With Colorimetric Sensors)」である、米国仮特許出願第61/400,001号の優先権の利益を主張し、参照によりその開示全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
微生物の存在確認のための血液培養用のボトルや、そのようなボトルを非侵襲的に分析するための関連機器は、本技術分野において知られており、特許文献に記載されている。例えば、特許文献1(米国特許第5,858,769号)、特許文献2(米国特許第5,795,773号)、特許文献3(米国特許第4,945,060号)、特許文献4(米国特許第5,094,955号)、特許文献5(米国特許第5, 164,796号)、特許文献6(米国特許第5,217,876号)、特許文献7(米国特許第5,856,175号)がある。これらの特許文献に開示のボトル及び機器は、BacT/ALERTという登録商標の下、本出願人により市販され、商業的な成功を収めている。
【0003】
これらの血液培養機器において記載されたボトルは、ボトル底部において試料媒体と接触するように配置された比色センサを用いて、細菌の増殖の有無を判定する。臨床/工業試料がボトル内の液体培養培地に添加されると、培養が行われ、増加した微生物の数に応じて二酸化炭素濃度が上昇する。なお、二酸化炭素は細菌増殖の呼吸副産物である。あるいは、微生物の増殖に関連して培地のpHが変化することも、センサによってモニタリングすることができる。BacT/ALERTセンサの基本的な操作及びモニタリング用の電気系統は、特許文献3(米国特許第4,945,060号)や、非特許文献1(Thorpeら、「BacT/ALERT:自動比色微生物検出システム(BacT/Alert: an Automated Colorimetric Microbial Detection System)」、Journal of Clinical Microbiology、1990年7月、1608〜1612頁)に記載されている。特許文献3及び非特許文献1は、参照により本明細書に援用する。
【0004】
特許文献3に記載されている基本的な比色センサシステムを添付の
図1に示す。赤色発光ダイオード(LED)(4)は、BacTボトル(1)の底部に向けて発光している。比色センサ(2)は、ボトル(1)の底部に被着されている。LED光は、ボトル(1)の底面に対して45°の角度で入射する。光の大部分はボトル本体を透過し、比色センサ(2)上に入射する。光の一部は、プラスチックのボトル材質及びセンサ(2)でボトル底面に対して45°で、入射光とは反対方向に反射する(例えば、反射角は入射角に等しい)。残りの光の大部分は、センサの表面及び内部で散乱する。センサ(2)は、ボトル内のCO
2の濃度が0%から100%の間で変化することに従って、青から黄色にその色を変える。シリコン光検出器(5)は、LEDからの光がセンサと作用する、センサ(2)内の領域を継続的に監視する(即ち、散乱輝度信号を継続的にモニタリングする)。光検出器によって検出される散乱光の輝度は、ボトル(1)内のCO
2レベルに比例する。また、
図1は、電源(6)、電圧電流変換器(7)、及びローパスフィルタ(8)を含む関連電気系統も示す。
【0005】
図2は、
図1の光検出器(5)が受け取った信号のプロットである。データは、
図1の光検出器(5)の位置において、光ファイバープローブを用いて収集された。光ファイバープローブは、可視光分光計に接続され、可視光分光計は、輝度(反射単位)及び波長の関数として、散乱光を表示する。各曲線の形状は、特定のCO
2レベルにおける比色センサ(2)の反射率でLED輝度分布を畳み込んだものである。
【0006】
図1のシリコン光検出器(5)を光ファイバープローブと置き変えた場合、光検出器によって光電流が生成されるが、かかる光電流は
図2に示される、集積波長信号に比例する。言い換えると、シリコン光検出器(5)は、スペクトル応答を光電流に集積する。同様に、この光電流は、相互インピーダンス増幅器を用いて電圧信号に変換される。
【0007】
図1のBacT/ALERTセンサシステムは、ロバストであり、長年にわたり血液培養システムに用いられてきたが、かかるセンサシステムには改善の余地があった。まず、血液培養ボトル(1)がセル内で動いてしまうと(例えば、z軸方向に移動して光検出器の位置から 遠ざかってしまうと)、システムは、(これまで実施されてきたように)この移動を輝度の低下として検出してしまう。しかし、このような輝度の低下は、機器によってボトル内におけるCO
2レベルの低下として解釈されてしまうが、実際に起きている事実ではないことがある。このような影響は、二酸化炭素含有量が増加することに従ってボトルの反射率が増加する影響(細菌の増殖を意味する)とは逆であり、システムは、その分析対象のボトルにおいて増殖が生じていないものとして扱う可能性がある(即ち、偽陰性状態となる)。
【0008】
同様に、臨床検査室において機器が老朽化すると、光学システムに塵が集積し、あるいは、時間と共に光学材料の透過性が劣化する。例えば、プラスチックは老朽化すると、光、微粒子の集積(塵)、及びクリーナの繰り返し使用したことの影響により、透過性が減少する。これらの影響は、読取値には影響しないが、システム応答のドリフトとして現れうる。定期的に較正試験を実施すれば、このようなドリフトを補償することは可能である。従って、特に、ボトルが完全に凹部に入っていない状態(光学検出器装置からz軸方向に幾らかずれている状態)であって、基準位置、又は定位置にない状態の場合に、光学システムの透過率をリアルタイムでモニタリングし、誤差原因の幾つかを調節・補償することができるようにすることに関して、長い間要望され、且つ満足されてこなかったニーズがあった。
【0009】
本発明に関連する他の従来技術としては、以下のものが挙げられる。それらは、特許文献8(米国特許第7,193,717号);特許文献9(米国特許第5,482,842号);特許文献10(米国特許第5,480,804号);特許文献11(米国特許第5,064,282号);特許文献12(米国特許第5,013,155号);特許文献13(米国特許第6,096,2726号);特許文献14(米国特許第6,665,061号);特許文献15(米国特許第4,248,536号)、及び、特許文献16(1994年11月24日に公開された国際公開第94/26874号)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,858,769号
【特許文献2】米国特許第5,795,773号
【特許文献3】米国特許第4,945,060号
【特許文献4】米国特許第5,094,955号
【特許文献5】米国特許第5, 164,796号
【特許文献6】米国特許第5,217,876号
【特許文献7】米国特許第5,856,175号
【特許文献8】米国特許第7,193,717号
【特許文献9】米国特許第5,482,842号
【特許文献10】米国特許第5,480,804号
【特許文献11】米国特許第5,064,282号
【特許文献12】米国特許第5,013,155号
【特許文献13】米国特許第6,096,2726号
【特許文献14】米国特許第6,665,061号
【特許文献15】米国特許第4,248,536号
【特許文献16】国際公開第94/26874号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Thorpeら、「BacT/ALERT:自動比色微生物検出システム(BacT/Alert: an Automated Colorimetric Microbial Detection System)」、Journal of Clinical Microbiology、1990年7月、1608〜1612頁
【発明の概要】
【0012】
本明細書は、改良された、比色センサが組み込まれた血液培養ボトル用の検出装置を開示する。
【0013】
本明細書において開示される検出装置は、光検出器、センサLED及び基準LED、並びに、当該センサLED及び基準LEDを選択的且つ交互に作動させて比色センサを照らす制御回路を備える。センサLEDは、
図1に示すLEDと同様に機能して、比色センサの色の変化を測定するために用いられる。光検出器は輝度の変化を監視することによって、センサLEDによって照らされたときの比色センサからの反射率をモニタリングする。基準LEDは、照射のピーク波長が、基準LEDの照射による光検出器の輝度読取値が比色センサの色の変化により実質的に影響されないように選択される。そのため、基準LEDにより照射されている間の光検出器の読取値がボトル内のCO
2濃度の変化により影響されないので、基準LEDを基準として用いることができる。本発明者らにより、近赤外波長(LEDのピーク波長(λ)は、750nm〜950nm)が、基準LEDに適していることが明らかになった。
【0014】
基準LEDは、ボトルと検出装置の部分との間の距離の変化、周辺光条件の変化、又は、センサLED、ボトル、及び光検出器の間の物理的光路内の何かの変化の有無を判別するために有利である。基準LEDにおける変化は、比色センサの状態に依存するものではないが、基準LEDは、微生物の増殖に無関係の光学システム内における変化についての情報を提供することができ、そのような増殖に無関係のシステムの変化を、増殖に関係のある変化から区別することができる。このような特徴は、システムにおける偽陽性率を低減して、検知精度及び信頼性を改善することに寄与する。
【0015】
使用に際して、センサLED及び基準LEDは、交互且つ反復的に(例えば、時分割多重方式で)点灯される。そのような連続照射による光検出器信号は、コンピュータに提供される。コンピュータは、基準LEDが照明した際の光検出器信号の変化をモニタリングする。この変化は、ボトルの位置の変化又は光学システムにおける変化を示唆する。コンピュータは、例えば、検出システム内においてボトル位置が定位置又は基準位置からずれた場合に、得られたセンサLED及び基準LED信号の間の較正関係に従ってセンサLED信号を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】米国特許第4,945,060号に記載の血液収集ボトル用の、既知のセンサ及び検出装置を示す図である。
【
図2】
図1の光検出器の位置での分光計による比色センサの反射率を、波長及びCO
2濃度の関数として示したプロットである。
【
図3】本発明による血液収集ボトル用のセンサ及び検出装置を示す図である。
【
図4】ボトル内のCO
2範囲が1〜100%で、センサLED及び基準LEDで比色センサを照明した場合の、
図3に示す光検出器からの輝度信号のプロットを示すグラフである。
【
図5】ボトルが
図3に示す検出システムに最も近い指定位置に配置された状態である基準位置又は定位置からのボトルの移動の関数として、センサLED及び基準LEDについての光検出器輝度信号を示すグラフである。
【
図6】ボトルで微生物が増殖状態にある間のセンサLED及び基準LEDについての光検出器輝度信号を、時間の関数として示すグラフである。
【
図7】
図3のセンサ装置を操作する電気系統のブロック図である。
【
図8】
図3の基準LED及センサLEDの負荷サイクルを示すグラフであり、時分割多重方式の操作を示すグラフである。パルス幅は、負荷サイクルを示すが、正確な縮尺ではない。1つの可能性がある実施形態では、パルス占有率は33%であり、1/3の時間は基準LEDが点灯されており、1/3の時間はセンサLEDが点灯されており、1/3の時間は、いずれのLEDも点灯されておらず、「暗」測定が実施可能となっている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、非液体エマルジョンセンサ(non-Liquid Emulsion Sensor:LES)の変化を補償するための光源として、光学システムにおいて第2のLEDを使用することを伴う。
図3に、光学構成のブロック図を示す。この構成は、ボトル1内に組み込まれた比色LES2を有する試験ボトル1のための構成である。この構成は、センサLED4、IR基準LED10、及び、輝度信号を生成する光検出器5を含む。LED4及び10は、
図3に示すように、ボトル底面に対して共に45度で配置されている。ボトル底部及びLES2の反射率は、制御回路(
図7の42)によって、連続して測定される。制御回路は、センサLED及び基準LEDを選択的且つ交互に作動させる。例えば、センサ(赤色)LED4が作動され、反射信号が光検出器5によって測定される。そして、センサLED4は消灯する。そして、基準LED10が点灯し、同じ光検出器5が反射光を測定する。そして、基準LED10が消灯し、プロセスが繰り返される。このような方法は、時分割多重方式とも称され、
図8を参照して後述する。
【0018】
上述のように、LED4及び10は、ボトルの底に対して角度45度で傾斜されている。これは、ボトルの底面からの反射光が光検出器5に強く入射しないようにするためである。入射角=反射角であるため、ボトル底部に当った光は45度で出射し、光検出の読取値に強く影響しない(LESからの散乱光のみが必要な光である)。LEDは、空間放射角が15〜17度である。すなわち、LEDはピーク放射及び半値全幅(半値出力での全幅角度)で定義される円錐状に光を放射する。この円錐の角度は、15〜24度である。
【0019】
様々な色のLEDについて試験を実施した結果、近赤外(IR)LED(ピーク波長750〜950nm)反射率は、LEDの色の変化によって僅かにしか影響を受けなかった。他の波長光は、CO
2レベルが0%から100%に変化すると、反射率に正又は負の変動があった。表1に示すように、このような影響は、約750nm(近赤外LED)を超える波長で最小化した。
【0020】
表1:センサ(赤色)LED及び基準(近赤外)LEDによる、CO
2濃度を上昇させたボトルの光検出器出力値(ボルト)
【表1】
【0021】
図4は、表1に対応するグラフである。基準センサの光検出器読取値は、ライン20としてプロットし、センサLEDの光検出読取値はライン22としてプロットした。グラフを参照すると、ボトル中の二酸化炭素レベルをCO
20%からCO
2100%に上昇させたことに従って、赤色LED信号22について大幅な増加が見られた(約0.6ボルトから約2ボルトに変化した)。このとき、基準LED信号20は、2.32ボルトから2.29ボルトへ変化した(30mVの変化があった)。従って、基準LED信号20は、LESに色変化が生じても、非常に安定していた。
【0022】
光学信号の変化を、光学システムに対するボトル位置の関数として解析するために、BacT/ALERTボトルに取り付けたディジタルマイクロメータによって、較正/試験固定具を構成した。このボトルを、BacT/ALERTラックアセンブリ内の基準位置(定位置)に配置させて、可能な限り光学システムに近づけた。反射率の読取値を取得し、マイクロメータを調整することによってボトルを移動させた。マイクロメータは、z軸方向の移動を正確に微調整して(即ち、マイクロメータによって光学システムから遠ざける方向にボトルを移動させて)、移動による影響を定量化することができる。移動量の関数として正規化した光学系における変化を、ライン20としてプロットした基準LEDで照らして得た光検出器信号及びライン22としてプロットしたセンサLEDの光検出器信号と共に、
図5に示す。移動によって光検出器によって受信された信号が線形変化することがわかる。センサLED信号22及び基準LED信号20は変化の傾斜が異なるが、それぞれ線形であるため、例えば、ボトルが定位置(基準位置)から移動したことに起因する信号LEDの変化を補償するための関係を、基準LED検出器出力の変化の関数として得ることができる。
図5に示すグラフに関して式を算出し、算出した式を以下の表2に適合度変数(R2)と共に示す。
【0023】
[表2]
検出器出力(信号)=0.2652−0.2554x R2=0.9963
検出器出力(基準)= 0.5621−0.2384x R2=0.9999
但し、x=線形移動距離(インチ)
【0024】
従って、基準LEDの出力輝度の変化をマッピングすることによって、移動量の値を決定することができる。信号LEDの出力に移動量の値を適用することで、輝度減少量を定量化して補償することができる。
【0025】
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を接種材料として、血液培養ボトルに接種して、ボトル内で出芽酵母が増殖する間にセンサLED及び基準LEDを用いて比色センサをモニタリングすることにより、
図3に示す検出装置の性能試験を実施した。
図6に、酵母の増殖の増殖曲線を示す。
図6において、誘導期、対数期、及び静止期を示す。増殖する間(LESセンサの応答が変化する間)、基準LED信号20には変化がないが、微生物増殖の結果としてCO
2濃度が変化したことに起因して、センサLED信号22は変化した。曲線20が平坦であるということは、基準LEDが照明している間の光検出器読取値がLESの色の変化に対して不感受性であることを証明している。さらに、このことは、微生物増殖によって影響を受けていない場合の光学システムにおける変化をモニタリングする能力を証明するものである。
【0026】
図7は、
図3に示す実施形態における電気系統30のブロック図である。電気系統30は、「光学ネスト(nest)」を含み、該光学ネストは、センサLED4、基準LED10、及び光検出器5を含む。光検出器の出力は、A/Dコンバーター34にてディジタル信号に変換され、データ取得システム36に供給される。データ取得システムは、制御回路及びLEDドライバを含むLED制御盤42に信号を送り、LED制御盤42は、導体44及び46を介して信号を送出して、LED4及び10が時分割多重方式で点灯するように制御する。データ取得システムからの光検出器信号は、コンピュータ38に送られる。なお、コンピュータ38は、
図3及び7の光学ネスト32が組み込まれた機器の一部であり得る。なお、フィルタや電流−電圧変換器のような付随的な電子機器は図示しないが、上述の電気系統内に存在しても良い。
【0027】
メモリ40は、
図5に示すような曲線に基づいて得られる、表2を参照して説明したような、較正定数、並びに、基準LED及び信号LED出力値の間の関係を保存する。例えば、メモリ40は、センサLEDについての輝度信号の間の較正関係を、定位置からのボトルの距離の関数として(
図5のプロット22)保存する。そして、コンピュータ38は、定位置から遠ざかった距離にボトルが配置されたことに起因するセンサLEDからの輝度信号の低下を、センサLED及び基準LEDの較正関係に従って補償する。
【0028】
図8は、
図3に示す基準LED10及びセンサLED4の負荷サイクルのグラフであり、時分割多重方式の駆動を示す。センサLEDのオンオフ状態をライン50として、基準LEDのオンオフ状態をライン52として示す。パルス幅は負荷サイクルを示すが、正確な縮尺ではなく、可変である。1つの可能性のある実施形態では、パルス占有率は33%であり、1/3の時間は基準LEDが点灯されており、1/3の時間はセンサLEDが点灯されており、1/3の時間は、いずれのLEDも点灯されておらず、「暗」測定が実施可能となっている。
【0029】
図3に示す装置によって、塵、ドリフト、光学システムにおける変化、及びビームパス中の光学材料の老朽化も補償することができる。これらは、長期間(数ヶ月単位)にわたって発生するため、非常にゆっくりとした変化でありうる。初期較正からデータ点を保存し(例えば、
図5から導き)、光検出器信号を近赤外LED10の出射レベルを初期値と比較して、光学システムにおける劣化メカニズムを補償することによって、補償を実施する。この変化は、センサLED4にも適用することができる。比較的短期間のドリフトについては、近赤外LED10について変化をモニタリングして(細菌増殖サイクルにわたって非常に安定しているべきである)、近赤外LEDの性能におけるあらゆる変化に応じて、例えば、保存された較正関係を用いて、センサLEDの光検出器読取値を調整することができる。
【0030】
添付の請求項に、本開示に係る発明をさらに記載する。