特許第5863810号(P5863810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863810
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】メカニカルシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20160204BHJP
【FI】
   F16J15/34 E
   F16J15/34 K
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-533568(P2013-533568)
(86)(22)【出願日】2012年8月3日
(86)【国際出願番号】JP2012069791
(87)【国際公開番号】WO2013038832
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】特願2011-200726(P2011-200726)
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100096873
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 廣泰
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀和
【審査官】 本庄 亮太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−298123(JP,A)
【文献】 特開2003−97727(JP,A)
【文献】 特開平4−185976(JP,A)
【文献】 特開2010−19373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割された分割体を組み合わせることにより環状の密封環が構成される分割型密封環を備えるメカニカルシールにおいて、
前記密封環には、該密封環の中心軸線に対して垂直な垂直面と、外周側において前記垂直面から遠ざかるにつれて縮径するテーパ面とが設けられており、
前記垂直面側を支持する支持部材と前記テーパ面を支持する押え部材によって、前記密封環の外周側が挟み込まれることで複数の前記分割体が位置決めされた状態で固定されるメカニカルシールであって、
前記支持部材と前記垂直面との間に弾性部材が配置されることによって、前記垂直面は該弾性部材を介して支持されると共に、前記テーパ面は前記押え部材の内周側のテーパ面が直接面接触した状態で支持されることを特徴とするメカニカルシール。
【請求項2】
前記テーパ面は、前記密封環における摺動面に近付くにつれて拡径するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項3】
内周側に密封対象流体が密封されるように構成されており、前記垂直面及びテーパ面は、密封対象流体に接触しない位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のメカニカルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割型密封環を備えたメカニカルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
メカニカルシールにおいては、装着性等の観点から、密封環(シールリング)が分割されており、取り付け箇所に取り付ける際に、これら分割された分割体を組み合わせることによって、環状の密封環を構成する技術が知られている。ここで、メカニカルシールにおける密封環はSiCやアルミナなどのセラミックス(塑性材料)で構成される場合が多く、この場合には分割体同士をボルトなどの締結具を用いて固定させることはできない。そのため、複数の部材を用いて、複数の分割体を位置決めさせつつ固定する構造が採用される。以下、図5を参照して、従来例に係る分割型密封環の固定構造について説明する。
【0003】
図5(a)に示す分割型密封環310においては、分割型密封環310を構成する2つの分割体が、支持部材320と押え部材330によって位置決めされた状態で固定される。すなわち、分割型密封環310における密封環の中心軸線に対して垂直な垂直面311が支持部材320の端面321により支持された状態で、外周側のテーパ面312が押え部材330の内周側のテーパ面331によって押え付けられることで、2つの分割体が位置決めされた状態で固定される。ここで、この分割型密封環310の場合には、垂直面311が支持部材320の端面321に直接面接触した状態で密着し、かつテーパ面312も押え部材330の内周側のテーパ面331に直接面接触した状態で密着する構成が採用されている。
【0004】
図5(b)に示す分割型密封環410においても、同図(a)に示す分割型密封環310の場合と同様に、分割型密封環410における密封環の中心軸線に対して垂直な垂直面411が支持部材420の端面421により支持された状態で、外周側のテーパ面412が押え部材430の内周側のテーパ面431によって押え付けられることで、2つの分割体が位置決めされた状態で固定される。ここで、この分割型密封環410の場合には、垂直面411と支持部材420の端面421との間、及びテーパ面412と押え部材430の内周側のテーパ面431との間に、それぞれ弾性部材440,450が設けられる構成が採用されている。
【0005】
上記図5(a)に示す分割型密封環310の場合、2つの分割体は支持部材320と押え部材330によって直接締め付けられるため、締め付け力が大き過ぎると歪が生じて分割部分に段差が生じてしまい漏れの原因となる。また、このような不具合を防ぐために締め付け力を小さくした場合には、密封対象流体の圧力によって分割部分から漏れが生じてしまうおそれがある。
【0006】
そして、図5(b)に示す分割型密封環410の場合、2つの分割体は、垂直面411とテーパ面412が、弾性部材440,450を介して締め付けられるため、上記のような歪の問題はない。しかしながら、垂直面411とテーパ面412のいずれについても弾性部材440,450を介して締め付けられるため、分割型密封環410の姿勢が安定し難く、傾いてしまってシール性を低下させる原因となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平04−185976号公報
【特許文献2】特開2010−19373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、密封環を構成する分割体の位置決め精度の向上を図ったメカニカルシールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0010】
すなわち、本発明のメカニカルシールは、
分割された分割体(2つに分割された分割体の他、3つ以上に分割された分割体の場合も含む)を組み合わせることにより環状の密封環が構成される分割型密封環を備えるメカニカルシールにおいて、
前記密封環には、該密封環の中心軸線に対して垂直な垂直面と、外周側において前記垂直面から遠ざかるにつれて縮径するテーパ面とが設けられており、
前記垂直面側を支持する支持部材と前記テーパ面を支持する押え部材によって、前記密封環の外周側が挟み込まれることで複数の前記分割体が位置決めされた状態で固定されるメカニカルシールであって、
前記支持部材と前記垂直面との間に弾性部材が配置されることによって、前記垂直面は該弾性部材を介して支持されると共に、前記テーパ面は前記押え部材の内周側のテーパ面が直接面接触した状態で支持されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、密封環は、その外周側に設けられたテーパ面が、押え部材の内周側のテーパ面によって直接面接触した状態で支持されるので、軸方向及び径方向の両方向に対して的確に位置決めがなされる。また、密封環は、その垂直面が、支持部材によって、弾性部材を介して支持されるので、押え部材によって比較的強く押え付けられても歪んでしまうことを抑制できる。従って、分割部分に段差が生じてしまうことを抑制できる。
【0012】
前記テーパ面は、前記密封環における摺動面に近付くにつれて拡径するように構成されているとよい。
【0013】
これにより、密封対象流体の流体圧力が高くなるにつれてテーパ面に作用する反力は、分割体の締め付け力を高める方向に作用する。
【0014】
内周側に密封対象流体が密封されるように構成されており、前記垂直面及びテーパ面は、密封対象流体に接触しない位置に設けられているとよい。
【0015】
例えば、垂直面やテーパ面を密封環の外周側に設け、これら垂直面やテーパ面が密封環(及びその他のシール)によって密封された領域外の位置に設けられるようにすることで、密封対象流体に接触しないようにすることが可能である。なお、「その他のシール」とは、例えば、密封環と密封環が装着される相手側の部材(ハウジングや軸)との間の隙間を封止するシールである。
【0016】
これにより、分割体の締め付け部分においては、密封対象流体による影響を受けない。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、密封環を構成する分割体の位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例に係るメカニカルシールの装着状態を示す模式的断面図である。
図2】本発明の実施例に係る回転環を概略的に示した平面図である。
図3】本発明の実施例に係る支持部材の平面図である。
図4】本発明の実施例に係る押え部材の平面図である。
図5】従来例に係る分割型密封環の固定構造を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(実施例)
図1図4を参照して、本発明の実施例に係るメカニカルシールについて説明する。
【0021】
<メカニカルシール>
特に、図1を参照して、本発明の実施例に係るメカニカルシールの全体構成等について説明する。図1は本発明の実施例に係るメカニカルシールの装着状態を示す模式的断面図である。なお、図1中のメカニカルシールは、回転軸の中心軸線を通る面で切断した断面を示しているが、説明の便宜上、切断位置(周方向の切断位置)については、必要に応じて変えている。すなわち、メカニカルシールを構成する複数の部材や各部材の部位において、特徴的な部分が示されるように、切断位置を適宜変えている。
【0022】
本実施例に係るメカニカルシールは、回転環ユニット100と固定環ユニット200とを備えたアウトサイドシールである。すなわち、回転軸500とハウジング600との間の環状隙間に封止されている密封対象流体(R)が、内周側から外周側に漏れるのをメカニカルシールによって防ぐものである。また、本実施例に係るメカニカルシールは静止形のシールであり、固定環側にスプリングなどの作動部が備えられている。
【0023】
回転環ユニット100は、環状の密封環としての回転環110と、回転環110を位置決め固定するための支持部材120及び押え部材130と、回転環110と支持部材120との間に設けられる環状の弾性部材140とを備えている。回転環110は、分割された2つの分割体を組み合わせることにより環状の密封環が構成される分割型密封環であり、その外周側が支持部材120と押え部材130によって挟み込まれることで、2つの分割体が位置決めされた状態で固定される。なお、支持部材120は押え部材130に対してボルトB1によって固定される。
【0024】
このように構成される回転環ユニット100は、回転軸500に取り付けられる。すなわち、回転軸500に固定されたカラー150に取り付けられたドライブピン160が、押え部材130に設けられている貫通孔131に挿入されることによって、回転環ユニット100は回転軸500に取り付けられる。なお、回転環110の内周側には段差部114が形成されており、この段差部114にOリングO1が装着されることで、回転軸500の外周面と回転環110の内周面との間の環状隙間が封止される。
【0025】
また、固定環ユニット200も、回転環ユニット100と同様に、環状の密封環としての固定環210と、固定環210を位置決め固定するための支持部材220及び押え部材230と、固定環210と支持部材220との間に設けられる環状の弾性部材240とを備えている。固定環210は、分割された2つの分割体を組み合わせることにより環状の密封環が構成される分割型密封環であり、その外周側が支持部材220と押え部材230によって挟み込まれることで、2つの分割体が位置決めされた状態で固定される。なお、支持部材220は押え部材230に対してボルトB2によって固定される。
【0026】
このように構成される固定環ユニット200は、ハウジング600に取り付けられる。すなわち、ハウジング600の端面に取り付けられたドライブピン260が、押え部材230に設けられている貫通孔231に挿入されることによって、固定環ユニット200はハウジング600に取り付けられる。なお、固定環210の外周側には環状溝214が形成されており、この環状溝214にOリングO2が装着されることで、ハウジング600の内周面と固定環210の外周面との間の環状隙間が封止される。
【0027】
また、押え部材230にはスプリングを支持するための支持穴238が設けられており、この支持穴238にスプリング250が装着されている。これにより、固定環ユニット200は回転環ユニット100側に押圧されている。つまり、固定環ユニット200は、ハウジング600に対して、回転方向についてはドライブピン260によって移動しないように規制されているが、軸方向については移動可能に構成されている。そして、固定環ユニット200は回転環ユニット100側に押圧されるので、回転環110のシール端面111と、固定環210のシール端面211とが離れてしまうことはない。なお、回転環110のシール端面111と固定環210のシール端面211はいずれも先端に向かうにつれて先細りする構成となっており、シール幅はいずれも1〜3mm程度に設定される。
【0028】
以上のように構成されるメカニカルシールによれば、回転軸500の回転に伴って回転環ユニット100も回転し、回転環110のシール端面111と固定環210のシール端面211とが密着した状態を保ちながら摺動する。従って、密封対象流体(R)の外周側への漏れを抑制することができる。なお、回転軸500の外周面と回転環110の内周面との間、及びハウジング600の内周面と固定環210の外周面との間は、上記の通り、それぞれOリングO1,O2によって封止されており、これらの隙間からの密封対象流体(R)の漏れも抑制されている。このような構成により、本実施例に係るメカニカルシールにおいては、密封対象流体(R)が接する部材は、回転環110と、固定環210と、OリングO1,O2のみである。
【0029】
<メカニカルシールの構成部材>
図1図4を参照して、メカニカルシールを構成する部材について、より詳細に説明する。本実施例に係るメカニカルシールを構成する円環状の部材のうち、OリングO1,O2,弾性部材140,240を除く部材は、装着性の観点(必要性)から、いずれも2つの分割体を組み合わせることによって環状の部材となる二つ割構造である。なお、OリングO1,O2,弾性部材140,240については、周方向の1か所に切断部(合口)を有する構造である。
【0030】
また、回転環ユニット100と固定環ユニット200は、基本的な構成は同一である。すなわち、回転環ユニット100を構成する回転環110と固定環ユニット200を構成する固定環210とは、断面形状は異なるものの、機能的な部分については同様の構成を備えている。また、回転環ユニット100を構成する支持部材120と固定環ユニット200を構成する支持部材220は全く同一の部品を用いている。更に、回転環ユニット100を構成する押え部材130と固定環ユニット200を構成する押え部材230についても全く同一の部品を用いている。従って、以下の説明においては、説明を簡略化するために、回転環ユニット100側の構成部品についてのみ説明する。
【0031】
図2は回転環110を概略的に示した平面図である。この回転環110はSiCやアルミナなどのセラミックス(塑性材料)によって構成される。そして、この回転環110は、例えば、環状の部材を引っ張ることによって2つに分割した2つの分割体から構成される。また、回転環110には、回転環110の中心軸線(回転軸500の中心軸線に一致)に対して垂直な垂直面112と、外周側において垂直面112から遠ざかるにつれて縮径するテーパ面113とが設けられている(図1参照)。なお、詳細説明は省略するが、固定環210も回転環110と同様に、セラミックス(塑性材料)によって構成され、かつ垂直面及びテーパ面も設けられている(図1参照)。
【0032】
図3は支持部材120の平面図である。支持部材120は金属製の部材であり、2つの分割体を組み合わせることによって環状の部材が構成される。そして、支持部材120は、回転環110の垂直面112を支持する支持面121と、複数の貫通孔122とを備えている。支持面121は回転軸500の中心軸線に対して垂直な面で構成される。複数の貫通孔122には、上述したボルトB1の軸部が挿通される。なお、上記の通り、固定環ユニット200の支持部材220は支持部材120と同一の部品が用いられる。
【0033】
図4は押え部材130の平面図である。押え部材130は金属製の部材であり、2つの分割体を組み合わせることによって環状の部材が構成される。そして、押え部材130は、ドライブピン160が挿通される貫通孔131と、ボルトB1のネジ部がねじ込まれるネジ穴132と、分割体同士を固定するためのボルト133,134と、これらのボルト133,134用のネジ穴135,136とを備えている。また、押え部材130の内周側にはテーパ面137が設けられている。
【0034】
この押え部材130を構成する2つの分割体は、上記の通り、ボルト133,134によって固定される。これらのボルト133,134のうちの一方はリーマボルトであり、2つの分割体は一体化されて、押え部材130は1部品からなる部材と同様の機能を発揮する。そして、上記のテーパ面137は、2つの分割体が一体化された状態で、超精密に面仕上げが施される。すなわち、このテーパ面137は、そのテーパ角度が回転環110の外周側のテーパ面113のテーパ角度と等しくなるように精密に仕上げられている。
【0035】
平面図については図示しないが、弾性部材140はPTFEなどの樹脂材によって構成されており、この弾性部材140は周方向の1か所に切断部(合口)を有し、その切断部を合わせることによって環状の部材が構成される。また、この弾性部材140は、回転環110における垂直面112の内周側に沿って設けられた環状溝に装着される。なお、固定環ユニット200を構成する弾性部材240についても同様であり、弾性部材140と同一の部品を用いている。
【0036】
回転環ユニット100を組み立てる場合、まず、2つの分割体を組み合わせることで環状の回転環110を形成させ、弾性部材140を回転環110の垂直面112に密着させるように装着する。その状態で、回転環110のテーパ面113に、押え部材130のテーパ面137が直接面接触するように、押え部材130を組み立てる。そして、この押え部材130に対して、ボルトB1によって、支持部材120を固定させる。これにより、回転環110は、垂直面112側を支持する支持部材120とテーパ面113を支持する押え部材130によって、回転環110の外周側が挟み込まれることで2つの分割体(回転環110を構成する2つの分割体)が位置決めされた状態で固定される。そして、本実施例に係る回転環110においては、支持部材120と垂直面112との間に弾性部材140が配置されることによって、垂直面112は弾性部材140を介して支持される。また、回転環110のテーパ面113は押え部材130の内周側のテーパ面137が直接面接触した状態で支持される。なお、固定環ユニット200の組み立てについても、回転環ユニット100の場合と同様である。
【0037】
<本実施例に係るメカニカルシールの優れた点>
本実施例に係るメカニカルシールによれば、密封環としての回転環110及び固定環210は、その外周側に設けられたテーパ面が、押え部材130,230の内周側のテーパ面によって直接面接触した状態で支持される。これにより、回転環110及び固定環210は、軸方向及び径方向の両方向に対して的確に位置決めがなされる。従って、回転環110及び固定環210の傾きなどの位置ずれを抑制することができる。
【0038】
また、回転環110及び固定環210は、その垂直面が、支持部材120,220によって、弾性部材140,240を介して支持されるので、押え部材130,230によって比較的強く押え付けられても歪んでしまうことを抑制できる。従って、分割部分に段差が生じてしまうことを抑制できる。また、締め付け力の誤差を許容することができる。更に、密封対象流体(R)の流体圧力の変動に伴って、回転環110及び固定環210に対して作用する力(2つの分割体を引き離そうとする力)の変動についても許容することができる。
【0039】
また、本実施例に係るメカニカルシールにおいては、密封対象流体(R)が接する部材は、回転環110と、固定環210と、OリングO1,O2のみであり、回転環110及び固定環210における垂直面及びテーパ面は、密封対象流体(R)に接触しない位置に設けられている。そのため、回転環110及び固定環210をそれぞれ構成する2つの分割体の締め付け部分は、密封対象流体(R)による影響を受けない。従って、密封対象流体(R)が接触することによる締付面の精度の低下や、密封対象流体(R)に含まれるスラリーの締付面への入り込みや、密封対象流体(R)による弾性部材140,240の劣化の問題は生じない。
【0040】
本実施例に係るメカニカルシールにおいては、回転環110及び固定環210における外周側の各テーパ面は、摺動面(シール端面111とシール端面211との摺動面)に向かうにつれて拡径するように構成されている。これにより、密封対象流体(R)の流体圧力が高くなるにつれて各テーパ面に作用する反力は、回転環110及び固定環210をそれぞれ構成する2つの分割体の締め付け力を高める方向に作用する。従って、密封性をより高めることができる。
【符号の説明】
【0041】
100 回転環ユニット
110 回転環
111,211 シール端面
112 垂直面
113 テーパ面
114 段差部
120,220 支持部材
121 支持面
122 貫通孔
123 テーパ面
130,230 押え部材
131 貫通孔
132 ネジ穴
133,134 ボルト
135,136 ネジ穴
137 テーパ面
140,240 弾性部材
150 カラー
160 ドライブピン
200 固定環ユニット
210 固定環
214 環状溝
231 貫通孔
238 支持穴
250 スプリング
260 ドライブピン
500 回転軸
600 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5