【実施例】
【0016】
図1は、本願発明の実施の形態に係る建造物1を説明する図である。
図1(a)は、建造物1の側面図である。建造物1(本願請求項の「建造物」の一例)は、内部に、果樹11(本願請求項の「果樹」の一例であり、果樹11が育成する領域が、本願請求項の「植物育成領域」の一例である。)が存在する。果樹は、例えば、梅の木やオリーブである。これらの樹木は、動物や日陰に強く、さらに、抗菌・殺菌作用があることから、多重型農業設備に適したものとなる。また、建造物1の内部には、家畜(本願請求項の「家畜」の一例)が存在し、家畜を飼育するための空間である。家畜は、例えば、ニワトリである。
【0017】
建造物1は、屋根3(本願請求項の「屋根」の一例)と、外壁5(本願請求項の「外壁」の一例)を備える。外壁5は、果樹11が育成する領域を囲う。そして、外壁5は、例えば、金網であり、網目を家畜の大きさよりも小さくして、家畜が通過して外に出ないようにしている。なお、鳥インフルエンザ等を予防するため、野鳥の糞などが入らないように、アクリル板などを設置するようにしてもよい。また、法律上、農地として認められるためには、一見して植物を育成するスペースであることが明らかである必要がある。金網であれば、一見して農地であることが明らかとなる。
【0018】
屋根3は、透過部7(本願請求項の「透過部」の一例)と、不透過部9
1及び9
2(本願請求項の「不透過部」の一例)を備える。透過部7は、太陽光が建造物1の内部に透過する部分である。透過した太陽光は、少なくとも、果樹11が育成する領域に射す。不透過部9
1及び9
2は、太陽光を透過しない部分である。不透過部9
1及び9
2は、外壁5から張り出した部分が存在する。透過部7は、例えば金網によって、網目を家畜の大きさよりも小さくして、家畜が通過して外に出ないようにすることができる。また、鳥インフルエンザ等を予防するため、アクリル板などを設置するようにしてもよい。
【0019】
不透過部9
1及び9
2には、それぞれ、太陽光パネル13
1及び13
2(本願請求項の「光電変換手段」の一例)が存在する。太陽光パネル13
1及び13
2は、不透過部9
1及び9
2のうち、外壁5から張り出した部分にも、設置されている。
【0020】
例えば、透過部7を東西に連続して形成することにより、不透過部9
1及び9
2が存在しても、太陽光は、外壁5を透過したものも含めて果樹11を育成する領域を射すことができる。このように、本願発明において、透過部7を、屋根3の一方の端から他方の端へ(東西に)連続して形成し、外壁5において、透過部7の下の部分は、光を透過するものとしてもよい。
【0021】
また、屋根3は、南向きに傾斜させて、太陽光が植物育成領域に射しやすくなるとともに、太陽光発電の効率を上げるようにしてもよい。さらに、建造物1を複数設けることにより、大規模に発電して、スマートグリッドを実現することも可能になる。
【0022】
図1(b)は、建造物1の平面図である。果樹11
1及び11
2に太陽光が射すよう、透過部7が形成されている。不透過部9
1及び9
2には、それぞれ、太陽光パネル13
1及び13
2が存在する。
【0023】
図2は、本願発明に係る建造物が設置される土地の一例を示す図である。太陽光発電装置は、発電効率を高めるため、平坦な土地に隙間なく設置されるのが一般的である。しかしながら、そのような土地の形状のみに依存して設置場所を選定すると、設置可能な土地が限定される。例えば山の斜面等の土地に設置することは困難になる。
【0024】
本願発明に係る建造物は、土地の形状の変化を吸収して、太陽光発電を効率よく実現することが可能である。すなわち、
図2にあるように、例えば段々畑のように、土地に高低差のある部分L
aと高低差のない部分L
b及びL
cがあり、高低差のない部分L
b及びL
cに植物を育成する領域を設ける。そうすると、土地の高低差のある部分L
aは、太陽光を照射しなくても、植物の育成に大きな影響はない。そのため、屋根において、高低差があり植物育成領域でない部分に対して照射する太陽光に対して、不透過部を設け、ここに太陽光発電装置を設け、太陽光発電するようにする。
図2では、土地L
aの真上から土地L
aに対して照射する太陽光を考慮し、その上空の屋根の部分R
aを不透過部とし、ここで太陽光発電をする例を示している。
【0025】
そして、屋根の高低差H
Rは、土地の高低差H
Lよりも小さくすることにより、太陽光発電を効率よく実現する。すなわち、効率よい太陽光発電を実現するためには、太陽光発電装置が平面状に広がればよく、その土地の形状のみに依存するものではない。そこで、
図2の建造物15では、太陽光発電装置を設置する屋根が、平面状に広がるようにする。屋根に高低差を設ける場合には、屋根の形状を変更してもよく、また、例えば
図2にあるように、高い屋根と低い屋根を設け、高い方の屋根の軒を利用して、軒の部分に不透過部を設けて太陽光発電装置を設置し、ここで太陽光発電を行うようにしてもよい。