(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863877
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
B62M 17/00 20060101AFI20160204BHJP
B62M 11/16 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
B62M17/00 D
B62M11/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-101363(P2014-101363)
(22)【出願日】2014年5月15日
(65)【公開番号】特開2015-217742(P2015-217742A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2014年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】513286166
【氏名又は名称】介▲隆▼興齒輪股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】劉 仁熾
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−127384(JP,A)
【文献】
特表平11−501108(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3146138(JP,U)
【文献】
特開平08−133164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 11/16−11/18,17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の変速器の支持装置と駆動装置との間で動力を伝達する動力伝達装置であって、
自転車の変速器のハブは、両端が第一側蓋と第二側蓋により支持されている固定軸に組み付けられており、自由に前記固定軸を中心として回転可能であり、
前記第一側蓋は固定されており、回転せず且つ外部動力の入力端となり、少なくとも一つの貫通穴を有し、駆動装置が貫通して設置されており、
外部動力は、前記駆動装置を経由して前記貫通穴を貫通して前記第一側蓋の内側の設置空間に位置する前記変速器を回転させ、
前記駆動装置は、駆動ギヤと従動ギヤを含み、
旋回動力を伝動する前記駆動ギヤは、前記第一側蓋の外側に設置されており、
前記従動ギヤは前記第一側蓋の内側の前記ハブの内側の前記変速器の空間の中に設置されており、
前記第一側蓋の外側に設置されている前記駆動ギヤは、前記第一側蓋に設けている少なくとも一つの貫通穴を貫通してから直接に前記従動ギヤと咬みあって連動し、
前記従動ギヤは環状ギヤであり、
前記環状ギヤは、一方の面が前記駆動ギヤの歯と咬み合う歯面であり、他方の面が前記変速器と咬み合って連動する歯面であることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
外部動力入力端である前記第一側蓋の外部には外部動力を伝動する前記駆動ギヤを組み付ける基台が設置されており、
前記駆動ギヤは、ベアリングにより前記基台の中に組み付けられ定位されており、
前記駆動ギヤが組み付けられている前記第一側蓋は少なくとも一つの貫通穴を有することを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記従動ギヤは、内側の縁部に支持され前記固定軸に設けられている固定基台、ならびに、前記従動ギヤの外側の縁部に環設されている可動基台およびベアリングにより、側蓋の内側の前記変速器が位置する空間に定位されている請求項1記載の動力伝達装置。
【請求項4】
自転車の変速器の支持装置と駆動装置との間で動力を伝達する動力伝達装置であって、
自転車の変速器のハブは、両端が第一側蓋と第二側蓋により支持されている固定軸に組み付けられており、自由に前記固定軸を中心として回転可能であり、
前記第一側蓋は固定されており、回転せず且つ外部動力の入力端となり、少なくとも一つの貫通穴を有し、駆動装置が貫通して設置されており、
外部動力は、前記駆動装置を経由して前記貫通穴を貫通して前記第一側蓋の内側の設置空間に位置する前記変速器を回転させ、
前記駆動装置は、駆動ギヤ、従動ギヤ、前記第一側蓋の前記貫通穴の中に設けられている従動ギヤアセンブリを含み、
前記従動ギヤは、前記第一側蓋の内側の前記ハブの前記変速器が位置する空間の中に設けられており、前記変速器と咬みあって連動し、
前記従動ギヤアセンブリは、前記第一側蓋の前記貫通穴を貫通して定位されている回転軸を有し、前記回転軸の両端に第一ギヤおよび第二ギヤが固設されており、
前記第一ギヤは前記第一側蓋の前記貫通穴を貫通し前記駆動ギヤと咬み合い、
前記第二ギヤは前記第一側蓋の前記貫通穴の内側で前記従動ギヤと咬み合うことを特徴とする動力伝達装置の動力入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自転車はチェンを有するタイプおよびチェンレスのタイプがある。足踏みにより自転車のクランクが回転すると、クランクとクランク軸が動力を伝達し、後輪に伝達された動力により自転車が前進する。変速器を設けることで、使用者は自転車の速度をコントロールすることができる。
【0003】
自転車の変速器は、従来の外部ギヤ切り換えタイプから現在のハブ(hub)の内部に設置されているタイプに発展している。
【0004】
しかしながら、従来の技術では、各種の変速器の動力伝達はチェンで行っている。この技術は、チェンレスの自転車に適用することができない。又、チェンレス自転車に適用できる変速器は開発されていない。
【0005】
図1に示すように、従来のハブの内部に設けられている変速器は、ハブA1が両側蓋A2とA3とにより固定軸A4に組み付けられている。各側蓋A2とA3とハブA1の間には自由回転するベアリングA5が設置されている。動力入力側の側蓋A2と固定軸A4との間にはベアリングA6が設置されている。自由に回転可能な側蓋A2は外部の動力をハブA1の内部の変速器に伝達する。よって、変速器が回転し、自転車の速度を制御する。このような従来の変速器のハブの支持構造、および、側蓋の動力伝達方式では、ベアリングA6を増設しなければ側蓋A2が回転できない。また、支持装置は、更に精密度が高く且つ更に複雑な構造でなければ、精確かつ安定的に動力を伝達することができない。よって、部品が複雑となり、コストが高くなり、製造工数がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−257472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、状出の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、自転車のハブの内部に設けられている変速器にも適用可能である動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による動力伝達装置において、自転車の変速器のハブは、両端が第一側蓋と第二側蓋により支持されている固定軸に組み付けられており、自由に固定軸を中心として回転可能である。第一側蓋は、固定されており、回転せず且つ外部動力の入力端となり、少なくとも一つの貫通穴を有し、駆動装置が貫通して設置されている。外部動力は、駆動装置を経由して貫通穴を貫通して第一側蓋の内側の設置空間に位置する変速器を回転させる。これにより、自転車の変速器が設置しているハブの簡単な支持装置が形成され、外部の動力を伝達することで、部品の設置が精確かつ簡単となるようにすることができる。
【0009】
第一側蓋を貫通して設置されている駆動装置は直接または間接に動力を伝達し変速器を伝転させる。駆動装置が直接に動力を変速器に伝達する時、この駆動装置は駆動ギヤおよび従動ギヤを含む。回転動力を伝達する駆動ギヤは第一側蓋の外側に設置され、従動ギヤは第一側蓋の内側のハブの中の変速器が設置されている空間のなかに設置されており変速器と咬み合って連動する。第一側蓋の外側に設置されている駆動ギヤは第一側蓋の貫通穴を経由して従動ギヤと咬み合って連動する。これにより、チェンレス自転車の変速器のハブの支持装置および駆動装置の動力伝達に適用できる。
【0010】
駆動装置が間接に動力を伝達することで変速器を駆動する時、駆動装置は、駆動ギヤと、従動ギヤと、第一側蓋の少なくとも一つの貫通穴を貫通して設置されている従動ギヤアセンブリと、を含む。従動ギヤは第一側蓋の内側のハブの内部変速器が設けられている空間の中に設置されており、変速器と咬み合って連動する、従動ギヤアセンブリは、第一側蓋の少なくとも一つの貫通穴を貫通する回転軸、ならびに、回転軸の両末端に組み付けられている第一ギヤおよび第二ギヤを有する。第一ギヤは、第一側蓋の少なくとも一貫通穴の外側に位置し駆動ギヤと咬み合う。第二ギヤは第一側蓋の少なくとも一つの貫通穴の内側に位置し従動ギヤと咬み合う。よって、チェン連動の自転車の変速器のハブの支持装置および駆動装置の動力伝達に適用できる。
【0011】
本発明による動力伝達装置は、第一側蓋と第二側蓋とベアリングで構成され、部品が簡単で空間を有効に利用している。駆動装置は、第一側蓋に形成されている貫通穴を貫通し、ハブの内部の変速器と咬み合って連動するのであまり大きい空間を必要とせず全体性と実用性が良好である。部品が少なく簡単且つ迅速で組み合わせ可能であり、製造コストが低く、産業上の利益が高くなる。
【0012】
本発明は、その構造が簡単で、空間を有効に利用することができる。また、本発明による動力伝達装置は全体性と実用性を有する。よって、組み合わせが迅速であり、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の第一実施形態による動力伝達装置を示す模式図である。
【
図3】本発明の第一実施形態による動力伝達装置を示す模式図である。
【
図4】本発明の第一実施形態による動力伝達装置を示す断面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態による動力伝達装置の側蓋と駆動ギヤと従動ギヤセンブリを示す断面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態による動力伝達装置の組み合わせ状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態による動力伝達装置の側蓋を示す平面図である。
【
図9】本発明の第一実施形態による動力伝達装置の従動ギヤセンブリを示す断面図である。
【
図11】本発明の第二実施形態による動力伝達装置を示す模式図である。
【
図12】本発明の第二実施形態による動力伝達装置を示す断面図である。
【
図13】本発明の第二実施形態による動力伝達装置の側蓋と駆動ギヤと従動ギヤセンブリと従動ギヤとを示す断面図である。
【
図14】本発明の第二実施形態による動力伝達装置の側蓋と従動ギヤセンブリとを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一実施形態)
図2は本発明の第一実施形態を示す。変速器2のハブ3は、両側が第一側蓋4および第二側蓋5に支持されている固定軸1に組み付けられており、固定軸1を中心として自由に回転する。第一側蓋4は、外部動力の入力端となり、固定軸1に固定され回転しない。同時に、第一側蓋4は少なくとも一つの貫通穴を有し、駆動装置Aが貫通して設置されている。外部動力はこの駆動装置Aを経由して第一側蓋4の貫通穴43を貫通してから、第一側蓋4の内側にある変速器2の設置空間に位置する変速器2を回転させる。
【0015】
図3、4および
図11、12は、異なる方式の動力入力方式を示している。その中の第一側蓋4は固定軸1に固定されて回転せず、且つ第一側蓋4は少なくとも一つの貫通穴43を有し、駆動装置Aが貫通して設置されていることを同一の特徴とする。
【0016】
図3と
図4は本実施形態の第一側蓋4を示し、中に変速器2が設置されているハブ3は、両側が第一側蓋4および第二側蓋5に支持されている固定軸1に組み付けられ、自由に固定軸1を中心として回転できる。第一側蓋4は外部動力の入力端となり、固定軸1に固設されて回転しない。第一側蓋4は、少なくとも一つの貫通穴43を有し、駆動装置Aが貫通して設置されている。外部動力は、駆動装置Aを経由して固定されている第一側蓋4の貫通穴43を貫通して第一側蓋4の内側の変速器2を回転させる。駆動装置Aは、べべルギヤアセンブリか、正面ギヤアセンブリか、ハイポイドギヤアセンブリ(hypoid gear set)か、交錯軸螺旋ギヤアセンブリか、を使用して軸が交差している。第一実施形態の駆動装置Aは、駆動ギヤ6と従動ギヤ7を含み、外部回転動力を受ける駆動ギヤ6は第一側蓋4の外側に設置され、従動ギヤ7は第一側蓋4の内側のハブ3の中の変速器2の空間の中に設置される変速器2と咬み合って連動する。第一側蓋4の外側に設置される駆動ギヤ6は第一側蓋4の貫通穴43を貫通して、従動ギヤ7と咬み合って連動する。この第一実施形態はチェンレス自転車の変速器2のハブ3の支持装置と駆動装置Aの動力入力方法に適用することができる。
【0017】
図4〜
図8が示すように、外部動力入力端の第一側蓋4は固定軸1に固定されて回転しない。更に第一側蓋4の外部には、基台41の中にベアリング42を介して駆動ギヤ6が組み付けられている。又第一側蓋4は少なくとも一つの貫通穴43を有する。駆動ギヤ6はこの貫通穴43を貫通して第一側蓋4の内側にはいり、変速器2と咬み合っている従動ギヤ7と咬み合う。
【0018】
更に
図9と
図10が示すように、第一側蓋4の内側に設置されている従動ギヤ7は環状であり、一方の面に駆動ギヤ6の歯61と咬み合う面71を有する。
図5と
図6が示すように、従動ギヤ7は、固定軸1に組み付けられている固定基台8が従動ギヤ7の内側の縁部に設置されており、ベアリング10を介して組み付けられている。
図4が示すように、従動ギヤ7が封鎖されたあとは、従動ギヤ7の外縁に設置されている可動基台9とベアリング10に包囲される。従動ギヤ7は、第一側蓋4の内側のハブ3の内部の変速器2の空間に定位され、第一側蓋4の外部の駆動ギヤ6とその内側の変速器2との間で咬み合って連動する。
【0019】
その外、外部動力入力端の第一側蓋4は直接固定軸1に固定されて動かない。更に第一側蓋4の中心軸孔44に少なくとも一本以上の係止リブ441が設けられており、係止リブ441を固定軸1の係止溝11の中にはめて置けば、第一側蓋4は固定軸1に確実に固定されて動かない。
【0020】
(第二実施形態)
図11と
図12は本発明の第二実施形態を示す。変速器2を設置するハブ3はその両側が第一側蓋4と第二側蓋5とで架空的に固定軸1に組み付けられて自由に固定軸1を中心として回転できる。第一側蓋4は外部動力入力端となり、固定軸1に固定されている。外部動力は駆動装置Aを経由して、固定されている第一側蓋4の貫通穴43を貫通して第一側蓋4の内側の変速器2の設置空間に伸入し、変速器2を駆動回転する。
【0021】
第二実施形態の駆動装置Aは、べべルギヤアセンブリか、正面ギヤアセンブリか、ハイポイドギヤアセンブリか、螺旋ギヤアセンブリかで構成されており、駆動装置Aの入力端と出力端の軸が平行または同軸となるよう設けられており、変速器2を駆動回転する。駆動装置Aは駆動ギヤ6と従動ギヤ7と第一側蓋4の貫通穴43を貫通する従動ギヤアセンブリとを含む。従動ギヤ7はハブ3の中に設置されている変速器2の空間の中に設置されており、変速器2と咬み合って連動する。従動ギヤアセンブリは回転軸101を含み、第一側蓋4の貫通穴43を貫通して設置されている。また、回転軸101の両端に組み付けられている第一ギヤ102と第二ギヤ103とを含む。第一ギヤ102は第一側蓋4の貫通穴43の外側に位置し駆動ギヤ6と咬み合う。第二ギヤ103は貫通穴43の内側に位置し、従動ギヤ7と咬み合う。この第二実施形態はチェンを有する自転車の変速器2のハブの支持装置と駆動装置Aの動力入力方法に適用することができる。
また、固定基台8は、その中心軸孔81に少なくとも一本以上の係止リブ82が設置されており、この係止リブ82は固定軸1の予定場所にある係止溝の中にはめられている。それで固定基台8は固定軸1に固定して組み付けられている。
【符号の説明】
【0022】
1 固定軸、
11 係止溝、
2 変速器、
3 ハブ、
4 第一側蓋、
41 基台、
42 ベアリング、
43 貫通穴、
44 軸孔、
441 係止リブ、
5 第二側蓋、
6 駆動ギヤ、
61 歯、
7 従動ギヤ、
71 歯面、
72 歯面、
8 固定基台、
81 軸孔、
82 係止リブ、
9 可動基台、
10 ベアリング、
101 従動ギヤセンブリ回転軸、
102 第一ギヤ、
103 第二ギヤ、
A 駆動装置、
A1 ハブ、
A2 側蓋、
A3 側蓋、
A4 固定軸、
A5 ベアリング、
A6 ベアリング。