(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線LANを介して接続しているアクセスポイントへ、自装置を介して前記アクセスポイントと通信を行う無線端末の台数に関する情報を送信し、前記無線端末の台数が予め定められた台数よりも多い場合、無線中継機の優先度を、前記無線端末の台数が前記予め定められた台数よりも小さい他の無線中継機に設定した優先度よりも高くなるように決定された優先度に関する情報を前記アクセスポイントから受信する通信部と、
前記アクセスポイントと通信を行う際に用いる無線リソースとして、前記優先度に応じた無線リソースを設定する無線リソース設定部と、を備える無線中継機。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる通信システムの構成例について説明する。
図1の通信システムは、アクセスポイント100、無線中継機150、無線中継機155及び無線端末160〜無線端末180を有している。
【0015】
アクセスポイント100は、無線LAN通信において、接続する無線端末の認証処理等を実行し、親機もしくは無線親機等とも称される。アクセスポイント100は、例えば、無線ルータもしくはモバイルルータ等と称されてもよい。アクセスポイント100は、例えば、インターネットと、無線端末等との間の通信を中継する装置として用いられてもよい。無線端末160〜無線端末180は、アクセスポイント100と無線LANを介して接続し、子機もしくは無線子機等とも称される。無線端末160〜無線端末180は、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、ゲーム機及び家庭電化製品等であってもよい。
【0016】
無線中継機150は、アクセスポイント100及び無線端末160〜180と無線LANを介して接続する。また、無線中継機155も、アクセスポイント100及び無線端末と無線LANを介して接続する。無線中継機150及び無線中継機155は、無線端末とアクセスポイント100との間の通信を中継する。無線中継機150及び無線中継機155は、例えば、データ転送機能を有するコンピュータ装置等であってもよい。
【0017】
続いて、アクセスポイント100の構成例について説明する。アクセスポイント100は、通信部110、優先度決定部120及び無線リソース設定部130を有している。通信部110は、無線LANを介して接続している無線中継機150から、無線中継機150を介してアクセスポイント100と通信を行う無線端末の台数に関する情報を受信する。
【0018】
無線端末160〜無線端末180は、アクセスポイント100との距離が遠い場合もしくはアクセスポイント100が出力する電波を受信することができない場合等に、無線中継機150を介してアクセスポイント100と通信を行う。また、無線中継機150は、無線端末160〜無線端末180とアクセスポイント100との間の通信を中継する。無線中継機150は、アクセスポイント100からの指示に応じて、もしくは、自律的に、現在接続している無線端末の数に関する情報をアクセスポイント100へ送信する。
【0019】
優先度決定部120は、無線中継機150に接続している無線端末の台数が予め定められた台数よりも多い場合、無線中継機150の優先度を、接続している無線端末の台数が予め定められた台数よりも少ない無線中継機155に設定した優先度よりも高い優先度に決定する。つまり、優先度決定部120は、複数の無線中継機に優先度を設定する際に、それぞれの無線中継機に接続している無線端末の数が多いほど、高い優先度を設定する。
【0020】
無線リソース設定部130は、無線中継機150と通信を行う際に用いる無線リソースとして、優先度決定部120において設定された優先度に応じた無線リソースを設定する。例えば、無線リソース設定部130は、優先度が高い無線中継機と通信する際には、高速通信を行うことができるよう、多くの無線リソースを割り当て、優先度が低い無線中継機と通信する際には、少ない無線リソースを割り当てるようにしてもよい。
【0021】
以上説明したように、
図1のアクセスポイント100を用いることによって、他の無線中継機よりも多くの無線端末と接続する無線中継機に対する優先度を、他の無線中継機よりも高く設定することができる。
【0022】
さらに、アクセスポイント100は、優先度に応じた無線リソースの割り当て制御を行うことによって、優先度の高い無線中継機に対しては、多くの無線リソースを割り当てる制御を行うことができる。これによって、無線中継機は、接続する無線端末が増加した場合においても、アクセスポイント100と高品質な通信を行うことができる。その結果、アクセスポイント100と無線端末160〜無線端末180との間の通信における通信品質の劣化を防止することができる。
【0023】
(実施の形態2)
続いて、
図2を用いて本発明の実施の形態2にかかるアクセスポイント100の詳細な構成例について説明する。アクセスポイント100は、データ処理装置1及び記憶装置2を有している。さらに、データ処理装置1は、子機情報要求部11、無線優先度決定部12、中継機優先度通知部13及び無線リソース設定部14を有している。さらに、記憶装置2は、無線子機管理テーブル21、無線優先度管理テーブル22及び無線設定記憶部23を有している。
【0024】
無線子機管理テーブル21は、各無線中継機と接続している無線端末の台数に関する情報を記憶している。無線優先度管理テーブル22は、無線中継機と無線優先度を関連付けて記憶している。無線設定記憶部23は、各中継機と無線通信を行うために必要な無線リソースの設定情報を記憶している。
【0025】
子機情報要求部11は、アクセスポイント100と通信を確立している各無線中継機に対して、それぞれの無線中継機に接続している無線端末の台数に関する情報の送信を要求する。例えば、子機情報要求部11は、定期的に各無線中継機に対して接続している無線端末の台数に関する情報の送信を要求してもよく、アクセスポイント100の管理者等から入力された指示に応じて、接続している無線端末の台数に関する情報の送信を要求してもよい。
【0026】
子機情報要求部11は、無線中継機から、接続している無線端末の台数に関する情報を含む応答メッセージが送信された場合、無線中継機と、その無線中継機に接続されている無線端末の台数に関する情報とを関連づけて、無線子機管理テーブル21に保存する。
【0027】
無線優先度決定部12は、無線子機管理テーブル21に保存されている無線中継機に接続している無線端末の台数を参照し、それぞれの無線中継機の無線優先度を決定する。無線優先度決定部12は、決定した無線優先度を、それぞれの無線中継機と関連付けて、無線子機管理テーブル21及び無線優先度管理テーブル22に保存する。
【0028】
中継機優先度通知部13は、無線子機管理テーブル21を参照し、それぞれの無線中継機へ、決定した無線優先度に関する情報を送信する。無線リソース設定部14は、無線優先度管理テーブル22を参照し、通信する無線中継機ごとに、無線リソースを設定する。また、無線リソース設定部14は、無線リソースの設定情報を、無線設定記憶部23に保存する。
【0029】
無線リソースは、例えば、無線通信に使用するアンテナ数もしくは無線帯域等であってもよい。無線リソース設定部14は、アンテナ数及び無線帯域を設定してもよく、いずれか一方を設定してもよい。例えば、優先度が高く設定されている場合、無線リソース設定部14は、使用するアンテナ数を増やし、さらに、使用する無線帯域を広帯域化してもよい。
【0030】
続いて、
図3を用いて本発明の実施の形態2にかかる無線中継機150の構成例について説明する。なお、無線中継機155は、無線中継機150と同様の構成であるため詳細な説明を省略する。
【0031】
無線中継機150は、データ処理装置3及び記憶装置4を有している。さらに、データ処理装置3は、子機情報通知部31及び無線リソース設定部32を有している。記憶装置4は、無線接続情報記憶部41、無線中継設定記憶部42及び無線子機管理テーブル43を有している。
【0032】
無線接続情報記憶部41は、アクセスポイント100との無線接続に必要な設定情報を記憶している。例えば、無線接続情報記憶部41は、アクセスポイント100との間の通信において用いられる無線リソースに関する情報を記憶している。
【0033】
無線中継設定記憶部42は、無線端末と通信する際に必要な設定情報を記憶している。例えば、無線中継設定記憶部42は、無線端末との間の通信において用いられる無線リソースに関する情報を記憶している。無線子機管理テーブル43は、無線中継機150に接続している無線端末の台数に関する情報を記憶している。
【0034】
子機情報通知部31は、無線子機管理テーブル43を参照し、無線中継機150に接続している無線端末の台数に関する情報をアクセスポイント100へ送信する。子機情報通知部31は、アクセスポイント100から情報の送信を要求された場合に、無線端末の台数に関する情報をアクセスポイント100へ送信してもよい。もしくは、子機情報通知部31は、自律的に、無線端末の台数に関する情報をアクセスポイント100へ送信してもよい。この時、子機情報通知部31は、定期的にアクセスポイント100へ情報を送信してもよく、任意のタイミングにアクセスポイント100へ情報を送信してもよい。
【0035】
無線リソース設定部32は、アクセスポイント100から送信された無線中継機150の優先度に従い、アクセスポイント100との通信に用いる無線リソースを設定する。また、無線リソース設定部32は、設定した無線リソースに関する情報を無線接続情報記憶部41に保存する。無線接続情報記憶部41には、優先度と、無線リソースの設定情報とが関連付けて記憶されていてもよい。この場合、無線リソース設定部32は、無線接続情報記憶部41を参照して、自装置の優先度に対応付けられている無線リソースを設定する。
【0036】
続いて、
図4を用いて本発明の実施の形態2にかかるアクセスポイント100における無線リソースの設定処理の流れについて説明する。
【0037】
アクセスポイント100及び無線中継機150を操作するユーザは、アクセスポイント100もしくは無線中継機150の無線設定ボタン等を操作し、アクセスポイント100と無線中継機150との間の無線接続設定を行っているとする。
【0038】
無線接続設定は、WPS(Wi-Fi Protected Setup)もしくはアクセスポイント100が提供しているその他の無線簡易接続方式が用いられる。例えば、無線接続設定は、アクセスポイント100及び無線中継機150のボタン操作により、無線LAN機器同士の暗号化設定及びSSID(Service Set Identifier)など無線接続に必要な設定を容易に行える方式が一般的である。
【0039】
例えば、無線接続設定は、無線中継機のボタン操作により無線中継機が無線接続要求としてProbe Requestを送信することによって開始されてもよい。Probe Requestのパラメータに、無線中継機のMACアドレス(Media Access Control Address)及び無線中継機機能が有効であることを示す識別子が含まれてもよい。また、無線接続設定は、そのほかのプロトコルを用いて実施されてもよい。
【0040】
アクセスポイント100は、Probe Requestに対する応答として、Probe Responseを送信して応答を行ってもよい。Probe Responseのパラメータに、アクセスポイント100に接続するための無線設定や無線中継機が無線中継機能動作時に周囲の無線端末と無線通信するために必要なSSIDや暗号化設定等の無線中継設定が含まれてもよい。また、Prpbe Responseの代わりに、Beaconなどそのほかのプロトコルが用いられてもよい。ここでは、無線簡易接続により無線接続設定を行う例を説明したが、無線中継機または無線ルータのHTTPブラウザや専用のアプリケーションなどを用いて、ユーザが無線接続設定及び無線中継機設定を含む設定要求を行ってもよい。
【0041】
図4に戻り、はじめに、子機情報要求部11は、無線子機管理テーブル21に登録されているすべての無線中継機へ、無線中継機に接続している無線端末の台数に関する情報の送信を要求する(S11)。
【0042】
ここで、
図5を用いて、無線子機管理テーブル21について説明する。無線子機管理テーブル21は、アクセスポイント100に接続している無線端末及び無線中継機を管理している。無線子機管理テーブル21は、無線端末及び無線中継機の接続しているSSID、無線端末か無線中継機かを示す子機種別、無線中継機と接続している無線端末の台数を示す子機台数及び無線優先度を用いて、無線端末及び無線中継機を管理している。
【0043】
アクセスポイント100は、例えば、SSID1(5GHz帯)、SSID2(無線中継機用、5GHz帯)、SSID3(2.4GHz帯)及びSSID4(無線中継機用、2.4GHz帯)の4つを有する。無線子機管理テーブル21においては、SSID1が1、SSID2が2、SSID3が3、SSID4が4の値によって示されている。
【0044】
子機種別は、例えば、1が無線中継機であることを示し、0が無線端末であることを示す。子機種別において無線中継機であることが示されている場合、子機台数及び無線優先度に関する情報も設定されている。無線中継機であるか否かは、無線端末がデータ中継機能を有するか否かに基づいて決定されてもよい。例えば、データ中継機能を有する無線端末は、無線中継機と決定されてもよい。データ中継機能を有するか否かについては、無線端末が、アクセスポイント100へ通知する。無線優先度は、例えば、1〜3の値が用いられており、1が高優先、2が通常、3が低優先とする。
【0045】
図4に戻り、子機情報要求部11は、例えば、1時間に1回等定期的に、無線中継機に対して情報の送信を要求し、無線中継機に接続している無線端末の台数を監視してもよい。子機情報要求部11は、情報の送信を要求する際に、専用のパケットを無線中継機へ送信してもよい。例えば、子機情報要求部11は、プロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)を使用し、TCPのデータ用ヘッダに無線設定情報を含む専用のパケットを送信してもよい。
【0046】
次に、子機情報要求部11は、複数の無線中継機から送信された、それぞれの無線中継機に接続している無線端末の台数に関する情報を受信する(S12)。次に、無線優先度決定部12は、接続している無線端末の台数に関する情報を用いて、それぞれの無線中継機の無線優先度を決定する(S13)。
【0047】
ここで、アクセスポイント100における無線優先度の決定処理について説明する。
図5を参照すると、アクセスポイント100における、SSID1(5GHz帯)には無線端末が0台、SSID2(無線中継機用、5GHz帯)には無線中継機が3台、SSID3(2.4GHz帯)には無線端末が3台、SSID4(無線中継機用、2.4GHz帯)には無線端末が0台無線接続している。ただし無線中継機配下の無線端末台数を考慮すると、SSID2には無線端末が6台、SSID3には無線端末が3台無線接続しており、アクセスポイント100を経由する無線端末の総接続台数は9台となる。
【0048】
図5においては、MACアドレスがAA:AA:AA:11:22:33である無線中継機150には無線端末が4台、CC:CC:CC:77:88:99である無線中継機151には無線端末が2台、DD:DD:DD:11:22:33である無線中継機155には無線端末が0台無線接続していることを示している。
【0049】
アクセスポイント100に接続している全無線中継機配下の無線端末の合計に対する各無線中継機配下の無線端末の割合を「各無線中継機配下の無線端末÷無線ルータ配下の全無線中継機配下の無線端末」によりを計算すると、無線中継機150は0.67(=4/6)、無線中継機151は0.33(=2/6)、無線中継機155は0(=0/6)となる。無線優先度は上記値が0.1未満は3(低優先)、0.1以上0.4未満は2(通常)、0.4以上1以下は1(高優先)とする。このように無線優先度を定める場合、無線中継機150は1(高優先)、無線中継機151は2(通常)、無線中継機155は3(低優先)となる。
【0050】
次に、中継機優先度通知部13は、無線子機管理テーブル21を参照し、アクセスポイント100に接続している無線中継機へ、決定した無線優先度に関する情報を送信する(S14)。中継機優先度通知部13は、子機情報要求部11と同様に、専用のTCPパケットを用いて、無線優先度に関する情報をアクセスポイント100から無線中継機に送信する。
【0051】
次に、無線リソース設定部14は、無線優先度管理テーブル22を参照して、無線優先度が変更された無線中継機が存在するか否かを判定する(S15)。例えば、アクセスポイント100は、定期的に、それぞれの無線中継機から、接続している無線端末の台数に関する情報を受信し、無線端末の台数に応じて、無線中継機の無線優先度を変更しているとする。このような場合、無線端末の台数の増減に応じて、それぞれの無線中継機の無線優先度が高くなる、もしくは、低くなることがある。無線中継機に接続している無線端末の台数に変化がない場合、無線中継機の無線優先度は変更されない。
【0052】
無線リソース設定部14は、無線優先度が変更された無線中継機が存在すると判定した場合、変更された無線優先度に応じて、無線中継機と通信する際に用いる無線リソースの設定を変更する。無線リソース設定部14は、無線優先度に変更のあった無線中継機ごとに、無線リソースの設定を変更する(S16)。無線リソース設定部14は、無線優先度が変更された無線中継機が存在しないと判定した場合、無線リソースの設定を変更することなく処理を終了する。
【0053】
ここで、無線リソースの設定について具体的に説明する。無線リソースを設定するとは、例えば、無線中継機との間の無線通信においてサポートする無線規格、アンテナ数及び帯域を設定することであってもよい。
【0054】
一般的に無線の速度は、無線規格、アンテナ数及び帯域によって決定する。無線規格は、例えば、IEEE802.11ac、IEEE802.11nもしくはIEEE802.11g等によって示される。アンテナ数は、無線通信で使用するアンテナの本数である。アンテナ数が1であればデータの送信に1本、データの受信に1本を使用することを示す。帯域は、20MHz、40MHzもしくは80MHzなど無線通信で使用する帯域幅を示す。
【0055】
アンテナの本数が多いほど、さらに、帯域幅が大きくなるほど、無線の通信速度は理論的に速くなる。一般的に、無線通信において、送信機及び受信機の双方において複数のアンテナを使い、無線通信における複数のアンテナによる通信品質を向上させる技術としてMIMO(Multiple input and Multiple Output)が提案されている。本実施の形態において、複数のアンテナを使用する場合、MIMOを利用し、複数のアンテナによる無線通信を行うとする。
【0056】
本実施の形態においては、アクセスポイント及び無線中継機は、無線規格としてIEEE802.11ac及びIEEE802.11nをサポートするものとする。アンテナは、最大3本使用可能なものとする。帯域は、20MHz、40MHz、80MHzを使用可能とする。また、無線優先度の値毎に、使用する無線規格、アンテナ数及び帯域が関連付けられているとする。
【0057】
続いて、
図6を用いて本発明の実施の形態2にかかる無線中継機150における無線リソース設定処理の流れについて説明する。アクセスポイント100及び無線中継機150を操作するユーザは、アクセスポイント100もしくは無線中継機150の無線設定ボタン等を操作し、アクセスポイント100と無線中継機150との間の無線接続設定を行っているとする。
【0058】
はじめに、子機情報通知部31は、アクセスポイント100からの要求に応じて、無線子機管理テーブル43において管理されている無線端末の台数に関する情報をアクセスポイント100へ送信する(S21)。
【0059】
無線中継機150は、無線中継機配下に接続した無線端末に関する情報を無線子機管理テーブル43に記憶することにより管理を行う。無線子機管理テーブル43は、無線中継機150に無線接続している無線端末のMACアドレス等の情報を管理し、無線中継機150に接続している無線端末の台数の判別を可能としている。
【0060】
子機情報通知部31は、専用のTCPパケットを無線中継機150からアクセスポイント100へ送信することによって、無線端末の台数に関する情報を送信する。もしくは、子機情報通知部31は、TCPパケットに限定せず、UDPなど他の異なるプロトコルやProbe RequestやProbe Responseなどの無線区間のパケットに無線端末の情報をパラメータに付加することによって、無線端末の台数に関する情報を送信してもよい。
【0061】
次に、子機情報通知部31は、アクセスポイント100から送信された、無線優先度に関する情報を受信する(S22)。
【0062】
次に無線リソース設定部32は、受信した無線優先度が、現在の無線優先度から変更されているか否かを判定する(S23)。無線リソース設定部32は、受信した無線優先度が、現在の無線優先度から変更されていると判定した場合、変更された無線優先度に応じて、アクセスポイント100と通信する際に用いる無線リソースの設定を変更する(S24)。無線リソース設定部32は、受信した無線優先度が変更されていないと判定した場合、処理を終了する。
【0063】
無線リソース設定部32は、変更した無線リソースに関する情報を無線子機管理テーブル43へ保存する。
【0064】
例えば、無線リソース設定部32は、無線優先度が3(低優先)である場合、送受信アンテナを各1本ずつ使用し、さらに、帯域を20MHzとする構成としてもよい。また、無線優先度が2(通常)である場合、送受信アンテナを各2本ずつ使用し、さらに、帯域を40MHzとする構成とし、無線優先度が1(高優先)である場合、送受信アンテナを各3本ずつ使用し、さらに、帯域を80MHzとする構成としてもよい。複数のアンテナを使用する際に、MIMOを利用することによって、複数アンテナにおいて異なるデータを送信し、複数のアンテナにおいてデータを受信することが可能となるため、通信の高速化を実現することができる。
【0065】
続いて、
図7を用いて、アクセスポイント100、無線中継機150、無線中継機151、無線中継機155及び無線端末の接続構成例について説明する。
図5を参照すると、無線中継機150は、無線優先度が1(高優先)のため、アンテナを3本使用して通信を行う。無線中継機151は、アンテナを3本使用可能ではあるが、無線優先度が2(通常)のためアンテナを2本使用して通信を行う。無線中継機155は、アンテナを3本使用可能ではあるが、優先度が3(低優先)のためアンテナを1本使用して通信を行う。理論的にアンテナの本数が多いほど、無線の通信速度は理論的に速くなるため、高優先の無線中継機150が、低優先の無線中継機155と比べて無線速度は速くなる。
【0066】
アクセスポイント100が無線中継機側より多いアンテナ数及び帯域に通信が可能な場合であっても、アクセスポイント100は、無線中継機側のアンテナ数及び帯域に合わせて無線通信を行う。そのため、無線による通信速度は、無線中継機側のアンテナ数及び帯域の仕様により変動する。
【0067】
また、複数のアンテナを用いるMIMOのダイバーシティ技術を利用することによって、無線中継機は、利用可能なアンテナの電波受信状態を考慮し、電波が強いアンテナを選択する。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる通信システムを用いることによって、アクセスポイント100に複数の無線中継機が接続している環境において、無線中継機配下の無線端末の台数に応じて、無線中継機の無線優先度を変更することができる。さらに、無線中継機の無線優先度に従って、無線中継機は、アクセスポイント100との通信に使用するアンテナ数の設定を変更する。これにより、アクセスポイント100及び無線中継機の間の無線通信速度が変更し、無線端末の台数に応じた優先的な通信を可能とする。
【0069】
アクセスポイント100が、無線中継機配下の無線端末と無線通信を行っている最中に、アクセスポイント100及び無線中継機の無線優先度の変更によるアンテナ等の無線設定の変更が行われることがある。このような場合、無線通信に使用するアンテナの切り替えが生じるために無線通信が一時的に切断される場合がある。そのため、無線中継機が無線通信のトラフィックを監視し、設定変更を実施可否の判断のための通信量の閾値を設けてもよい。無線中継機は、実際の通信量が閾値を以下になったときに無線設定を変更することにより、無線設定変更による通信の切断の影響を緩和することができる。
【0070】
無線中継機が、接続している無線端末の台数に関する情報をアクセスポイント100へ送信するタイミングとして、アクセスポイント100が、定期的に無線中継機に無線端末の台数に関する情報を問い合わせることにより、無線中継機が、無線端末の台数に関する情報を応答してもよい。もしくは、無線中継機配下の無線端末の接続数が変更された場合に、無線中継機が自発的に、アクセスポイント100に無線端末の台数に関する情報の通知を行ってもよい。
【0071】
アクセスポイント100は、無線中継機配下の無線端末の台数が変更されたタイミングを契機として、他のすべての無線中継機に無線端末の台数に関する情報の送信を要求することにより、動的に無線優先度の管理及び更新を行ってもよい。
【0072】
また、本実施の形態においては、アンテナ及び帯域を変更することによって無線速度を調整しているが、無線端末に公開するBeacon のSupported Rateなど伝送レートを示すパラメータを本来の機能よりも低い値を通知し、無線中継機との通信速度に優劣をつけて調整してもよい。
【0073】
また、本実施の形態においては、無線優先度に応じて送信アンテナと受信アンテナの本数を設定しているが、無線中継機の送信アンテナのみ本数変更し、受信アンテナは変更しないなど、アクセスポイント100への通信負荷のみ抑制し、アクセスポイント100から送信されるデータの受信に関しては通常の構成で行ってもよい。
【0074】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、アクセスポイント及び無線中継機における処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。)
【0075】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0076】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0077】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0078】
(付記1)無線LANを介して接続している無線中継機から、前記無線中継機を介して自装置と通信を行う無線端末の台数に関する情報を受信する通信部と、前記無線端末の台数が予め定められた台数よりも多い場合、前記無線中継機の優先度を、前記無線端末の台数が前記予め定められた台数よりも小さい他の無線中継機に設定した優先度よりも高い優先度に決定する優先度決定部と、前記無線中継機と通信を行う際に用いる無線リソースとして、前記優先度決定部において設定された優先度に応じた無線リソースを設定する無線リソース設定部と、を備えるアクセスポイント。
(付記2)前記無線リソース設定部は、前記無線リソースとして、無線通信に使用するアンテナ数及び無線帯域の少なくとも一方を設定する、付記1に記載のアクセスポイント。
(付記3)前記無線リソース設定部は、優先度が高い場合、優先度が低い場合よりも無線通信に使用するアンテナ数を増加する、及び、優先度が低い場合よりも無線帯域を広帯域にすることの少なくとも一方を実施する、付記2に記載のアクセスポイント。
(付記4)前記優先度決定部は、決定した優先度に関する情報を前記無線中継機へ送信する、付記1乃至3のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(付記5)前記無線リソース設定部は、前記無線中継機との通信量が閾値を下回った時に、前記無線リソースを変更する、付記1乃至4のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(付記6)前記通信部は、前記無線中継機から、定期的に前記無線中継機を介して自装置と通信を行う無線端末の台数に関する情報を受信する、又は、前記無線中継機に接続する無線端末の情報が変更された場合に前記無線中継機を介して自装置と通信を行う無線端末の台数に関する情報を受信する付記1乃至5のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(付記7)前記無線LANを介して複数の無線中継機と接続している場合、前記優先度決定部は、自装置と通信を行う無線端末の合計台数に対するそれぞれの無線中継機に接続されている無線端末の数の割合に応じて、それぞれの無線中継機の優先度を決定する、付記1乃至6のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
(付記8)無線LANを介して接続しているアクセスポイントへ、自装置を介して前記アクセスポイントと通信を行う無線端末の台数に関する情報を送信し、前記無線端末の台数が予め定められた台数よりも多い場合、無線中継機の優先度を、前記無線端末の台数が前記予め定められた台数よりも小さい他の無線中継機に設定した優先度よりも高くなるように決定された優先度に関する情報を前記アクセスポイントから受信する通信部と、前記アクセスポイントと通信を行う際に用いる無線リソースとして、前記優先度に応じた無線リソースを設定する無線リソース設定部と、を備える無線中継機。
(付記9)前記無線リソース設定部は、前記無線リソースとして、無線通信に使用するアンテナ数及び無線帯域の少なくとも一方を設定する、付記8に記載の無線中継機。
(付記10)前記無線リソース設定部は、優先度が高い場合、優先度が低い場合よりも無線通信に使用するアンテナ数を増加する、及び、優先度が低い場合よりも無線帯域を広帯域にすることの少なくとも一方を実施する、付記9に記載の無線中継機。
(付記11)無線LANを介して接続している無線中継機から、前記無線中継機を介して自装置と通信を行う無線端末の台数に関する情報を受信し、前記無線端末の台数が予め定められた台数よりも多い場合、前記無線中継機の優先度を、前記無線端末の台数が前記予め定められた台数よりも小さい他の無線中継機に設定した優先度よりも高い優先度に決定し、前記無線中継機と通信を行う際に用いる無線リソースとして、前記優先度決定部において設定された優先度に応じた無線リソースを設定する、無線リソース設定方法。
(付記12)無線LANを介して接続している無線中継機から、前記無線中継機を介して自装置と通信を行う無線端末の台数に関する情報を受信し、前記無線端末の台数が予め定められた台数よりも多い場合、前記無線中継機の優先度を、前記無線端末の台数が前記予め定められた台数よりも小さい他の無線中継機に設定した優先度よりも高い優先度に決定し、前記無線中継機と通信を行う際に用いる無線リソースとして、優先度に応じた無線リソースを設定することをコンピュータに実行させるプログラム。
【解決手段】本発明にかかるアクセスポイント100は、無線LANを介して接続している無線中継機150から、無線中継機150を介して自装置と通信を行う無線端末の台数に関する情報を受信する通信部110と、無線端末の台数が予め定められた台数よりも多い場合、無線中継機150の優先度を、無線端末の台数が予め定められた台数よりも小さい他の無線中継機に設定した優先度よりも高い優先度に決定する優先度決定部120と、無線中継機150と通信を行う際に用いる無線リソースとして、優先度決定部120において設定された優先度に応じた無線リソースを設定する無線リソース設定部110と、を備える。