(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極と、前記アークによって生じた被溶接物の溶融池に向かってシールドガスを放出するトーチノズルとが設けられた溶接用トーチと、
前記溶接用トーチに取付治具を介して取り付けられた送給ヘッドの先端部から前記被溶接物の溶融池に向かって溶接ワイヤーを送給するワイヤー送給装置と、
前記溶接用トーチに電力及びシールドガスを供給する溶接電源装置とを備え、
前記溶接用トーチは、先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチのうち、少なくともその一部を流用したものからなることを特徴とする非消耗電極式の半自動溶接システム。
前記溶接用トーチは、前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコンタクトチップと、前記変換用のコンタクトチップに前記非消耗電極を取り付ける固定治具とを備えることによって、少なくとも前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるトーチボディ、トーチノズル及びハンドルを流用したものからなることを特徴とする請求項1に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
前記溶接用トーチは、前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持すると共に、前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコレットボディとを備えることによって、少なくとも前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるトーチボディ、トーチノズル及びハンドルを流用したものからなることを特徴とする請求項1に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
前記溶接用トーチは、前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持するコレットボディと、前記コレットボディに取り付けられると共に、前記シールドガスを放出するトーチノズルと、前記コレットボディが取り付けられると共に、前記トーチボディの代わりに前記ハンドルに取り付けられる変換用のトーチボディとを備えることによって、少なくとも前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるハンドルを流用したものからなることを特徴とする請求項1に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
前記ワイヤー送給装置は、前記消耗電極式又は非消耗電極式の半自動溶接システムが備えるワイヤー送給装置の少なくとも一部を流用したものからなることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
前記溶接電源装置に接続されて、前記溶接用トーチ内を流れる冷却液を循環させることによって、前記溶接用トーチを冷却する冷却装置を備えることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチを、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極を備える非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコンタクトチップと、
前記変換用のコンタクトチップに前記非消耗電極を取り付ける固定治具とを備えることを特徴とする変換用アダプタキット。
先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチを、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極を備える非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持すると共に、前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコレットボディとを備えることを特徴とする変換用アダプタキット。
先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチを、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極を備える非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持するコレットボディと、
前記コレットボディが取り付けられると共に、前記トーチボディの代わりに前記ハンドルに取り付けられる変換用のトーチボディとを備えることを特徴とする変換用アダプタキット。
【背景技術】
【0002】
金属や非鉄金属などを母材として用いた構造物(被溶接物)の溶接には、従来よりTIG溶接(Tungsten Inert Gas welding)又はプラズマアーク溶接等のGTAW(Gas Tungsten Arc welding)と呼ばれる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。
【0003】
また、MIG溶接(Metal Inert Gas welding)、MAG溶接(Metal Active Gas welding)又は炭酸ガスアーク溶接等のGMAW(Gas Metal Arc welding)と呼ばれる消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。なお、消耗電極式のガスシールドアーク溶接は、消耗電極となる溶接ワイヤーの送給を自動で行いながら、溶接を手動で行うため、半自動アーク溶接とも呼ばれている。
【0004】
これらの溶接方法では、一般に溶接用トーチを使用し、電極と被溶接物との間でアークを発生させて、このアークの熱により被溶接物を溶かして溶融池(プール)を形成しながら溶接が行われる。また、溶接中は電極の周囲を囲むトーチノズルからシールドガスを放出し、このシールドガスで大気(空気)を遮断しながら溶接が行われる。
【0005】
ここで、
図13A及び
図13Bに示すように、従来より使用されている汎用のTIG溶接用トーチ100について説明する。なお、
図13Aは、このTIG溶接用トーチ100の側面図であり、
図13Bは、このTIG溶接用トーチ100の要部断面図である。
【0006】
このTIG溶接用トーチ100は、
図13A及び
図13Bに示すように、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極101と、非消耗電極101を内側に挿入した状態で支持するコレット102と、非消耗電極101を先端側から突出させた状態でコレット102を内側に保持するコレットボディ103と、コレットボディ103が取り付けられるトーチボディ104と、非消耗電極101の周囲を囲んだ状態でコレットボディ103に取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズル105と、トーチボディ104とトーチノズル105との間に配置される前側ガスケット106と、トーチボディ104との間に後側ガスケット107を配置した状態で取り付けられるトーチキャップ108と、トーチボディ104が取り付けられると共に、使用者が把持するハンドル109とを概略備えている。
【0007】
そして、このTIG溶接用トーチ100では、溶接ケーブルCを接続した後、トーチノズル105からシールドガスを放出しながら、非消耗電極101と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。
【0008】
一方、
図14に示すように、従来より使用されている汎用のMIG(又はMAG)溶接用トーチ200について説明する。なお、
図14は、このMIG(又はMAG)溶接用トーチ200の一例を示す側面図である。なお、
図14では、この溶接用トーチ200の一部を切り欠いて示している。
【0009】
このMIG(又はMAG)溶接用トーチ200は、
図14に示すように、被溶接物との間でアークを発生させる消耗電極201と、消耗電極201を案内しながら、その先端側から送り出すコンタクトチップ202と、コンタクトチップ202が取り付けられるトーチボディ203と、コンタクトチップ202の周囲を囲んだ状態でトーチボディ203に取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズル204と、トーチボディ203が取り付けられると共に、使用者が把持するハンドル205とを概略備えている。
【0010】
そして、このMIG(又はMAG)溶接用トーチ200では、溶接ケーブルCを接続した後、トーチノズル204からシールドガスを放出しながら、消耗電極201と被溶接物との間でアークを発生させて溶接が行われる。また、このMIG(又はMAG)溶接用トーチ200では、消耗電極201自体をアーク中で溶融させながら溶接が行われるため、ハンドル205の内側を通して消耗電極201が自動で送給される仕組みとなっている。
【0011】
ところで、TIG溶接では、比較的に薄肉な薄板を対象として溶接を行うため、使用電流が50〜200Aの範囲で溶接が行われる。したがって、厚肉な被溶接物を対象として溶接を行う場合には、溶着量が不足するため、複数回のパスで溶接を行う必要がある。
【0012】
例えば、高い強度が求められる水平すみ肉溶接をTIG溶接で行った場合には、溶融量が不足するため、継手性能を得るのに脚長及びのど厚が必要となる。この場合、溶加材を供給することで、その脚長及びのど厚を確保することになる。
【0013】
また、手動によるTIG溶接の場合、溶加材として溶接ワイヤーを用いて、一部に自動で供給する方法が用いられるものの、そのほとんどが手動で溶接ワイヤーを供給している。
【0014】
溶接ワイヤーを自動で送給する手段としては、TIG溶接用ロボットなどの自動機がある。そして、このような手段をTIG用溶接トーチに取り付けて、溶接ワイヤーの送給を自動で行いながら、TIG溶接を行うTIG溶接装置も提案されている(例えば、特許文献1〜4を参照。)。
【0015】
一方、TIG溶接よりも高速且つ高溶着で溶接を行う必要がある場合には、MAG溶接のような消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられる。MAG溶接では、シールドガスに不活性ガスと炭酸ガスを混合して使用することで、溶接部分の溶け込みを深くすることが可能である。
【0016】
また、MAG溶接では、使用電流が100〜500Aの範囲で溶接が行われるため、厚板を対象とした溶接に適している。MAG溶接では、消耗電極となる溶接ワイヤーをコンタクトチップの先端部から送り出すMAG溶接用トーチを用いて、溶接ワイヤーの送給を自動で行い、このワイヤー自体をアーク中で溶融させながら溶接が行われる。
【0017】
このように、非消耗電極式のガスシールドアーク溶接(例えば、TIG溶接)と、消耗電極式のガスシールドアーク溶接(例えば、MIG溶接やMAG溶接)では、被溶接物や板厚などにより棲み分けがなされている。このため、これらの溶接装置を対象する被溶接物に合わせて複数用意しておく必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、上述したTIG溶接では、溶着量の増加を図るため、高電流を流しつつ、溶加材(溶加棒)の供給を手動で行いながら、上述した汎用のTIG溶接用トーチ100を用いて溶接を行おうとすると、溶加材の供給が間に合わなくなることがあった。この場合、使用者が左右の手で溶加材の供給とTIG溶接用トーチ100の操作を同時に行わなければならず、そのための熟練技術が必要となる。
【0020】
また、高電流を流したTIG溶接の場合、溶接用トーチ100のハンドル109がアークに近くなるため、手を火傷してしまう可能性がある。また、トーチノズル105が熱で破損する可能性も高くなる。
【0021】
一方、溶接ワイヤーの送給を自動で行うため、上述した汎用のTIG溶接用トーチ100にワイヤー狙いガイドを取り付けて半自動のTIG溶接を行った場合には、このワイヤー狙いガイドを取り付けたトーチ周りが大きくなり、使い勝手が非常に悪くなる。
【0022】
また、半自動のTIG溶接で高電流を流した場合も、溶接トーチを手動で操作することから、手を火傷してしまう可能性がある。さらに、ワイヤー狙いガイドの樹脂部分が溶けてしまい、高電流での溶接に耐えられなくなるおそれもある。
【0023】
これに対して、上述したMAG溶接では、高電流且つ高溶着の溶接が可能である。しかしながら、MAG溶接では、溶接中にスラグや金属粒など(スパッタという。)が飛散し易く、溶接後に後処理が必要となる。また、溶接部の仕上がりがTIG溶接ほど美しくはならず、溶接欠陥も発生し易いなどの問題がある。
【0024】
また、シールドガスに酸素や炭酸を添加した混合ガス(MAG溶接)や、100%の炭酸ガス(炭酸ガスアーク溶接)を使用すると、気孔などの溶接欠陥が発生してしまう材質のものには使用できなくなる。
【0025】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、高速且つ高溶着の溶接を可能とした非消耗電極式の半自動溶接システム、並びにそのような半自動溶接システムにおいて、消耗電極式の溶接用トーチを非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキット、並びにそのような変換用アダプタキットが取り付けられた溶接用トーチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
(1) 被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極と、前記アークによって生じた被溶接物の溶融池に向かってシールドガスを放出するトーチノズルとが設けられた溶接用トーチと、
前記溶接用トーチに取付治具を介して取り付けられた送給ヘッドの先端部から前記被溶接物の溶融池に向かって溶接ワイヤーを送給するワイヤー送給装置と、
前記溶接用トーチに電力及びシールドガスを供給する溶接電源装置とを備え、
前記溶接用トーチは、先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチのうち、少なくともその一部を流用したものからなることを特徴とする非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
2) 前記溶接用トーチは、前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコンタクトチップと、前記変換用のコンタクトチップに前記非消耗電極を取り付ける固定治具とを備えることによって、少なくとも前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるトーチボディ、トーチノズル及びハンドルを流用したものからなることを特徴とする前記(
1)に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
3) 前記溶接用トーチは、前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持すると共に、前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコレットボディとを備えることによって、少なくとも前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるトーチボディ、トーチノズル及びハンドルを流用したものからなることを特徴とする前記(
1)に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
4) 前記溶接用トーチは、前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持するコレットボディと、前記コレットボディに取り付けられると共に、前記シールドガスを放出するトーチノズルと、前記コレットボディが取り付けられると共に、前記トーチボディの代わりに前記ハンドルに取り付けられる変換用のトーチボディとを備えることによって、少なくとも前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるハンドルを流用したものからなることを特徴とする前記(
1)に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
5) 前記送給ヘッドは、前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるコンタクトチップを流用したものからなることを特徴とすることを特徴とする前記(1)〜(
4)の何れか一項に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
6) 前記送給ヘッドは、前記取付治具の位置を変更することによって、前記溶接ワイヤーの送給位置が調整可能とされていることを特徴とする前記(1)〜(
5)の何れか一項に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
7) 前記溶接電源装置は、前記消耗電極式の半自動溶接システムが備える溶接電源装置の少なくとも一部を流用したものからなることを特徴とする前記(1)〜(
6)の何れか一項に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
8) 前記溶接電源装置は、その定格出力電流の最大値が200A以上であることを特徴とする前記(
7)に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
9) 前記ワイヤー送給装置は、前記消耗電極式又は非消耗電極式の半自動溶接システムが備えるワイヤー送給装置の少なくとも一部を流用したものからなることを特徴とする前記(1)〜(
8)の何れか一項に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
10) 前記溶接電源装置に接続されて、前記溶接用トーチ内を流れる冷却液を循環させることによって、前記溶接用トーチを冷却する冷却装置を備えることを特徴とする前記(1)〜(
9)の何れか一項に記載の非消耗電極式の半自動溶接システム。
(
11) 先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチを、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極を備える非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコンタクトチップと、
前記変換用のコンタクトチップに前記非消耗電極を取り付ける固定治具とを備えることを特徴とする変換用アダプタキット。
(
12) 先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチを、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極を備える非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持すると共に、前記コンタクトチップの代わりに前記トーチボディに取り付けられる変換用のコレットボディとを備えることを特徴とする変換用アダプタキット。
(
13) 先端部から消耗電極を送り出すコンタクトチップと、前記コンタクトチップが取り付けられるトーチボディと、前記トーチボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズルと、前記トーチボディが取り付けられると共に、使用者が把持するハンドルとを備える消耗電極式の溶接用トーチを、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極を備える非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキットであって、
前記非消耗電極を内側に挿入した状態で支持するコレットと、
前記非消耗電極を先端側から突出させた状態で前記コレットを内側に保持するコレットボディと、
前記コレットボディが取り付けられると共に、前記トーチボディの代わりに前記ハンドルに取り付けられる変換用のトーチボディとを備えることを特徴とする変換用アダプタキット。
(
14) 更に、非消耗電極を備えることを特徴とする前記(
11)〜(
13)の何れか一項に記載の変換用アダプタキット。
(
15) 更に、先端部から溶接ワイヤーを送り出す送給ヘッドと、前記送給ヘッドを前記溶接用トーチに取り付ける取付治具とを備えることを特徴とする前記(
11)〜(
14)の何れか一項に記載の変換用アダプタキット。
(
16) 前記送給ヘッドは、前記消耗電極式の溶接用トーチが備えるコンタクトチップを流用したものからなることを特徴とする前記(
15)に記載の変換用アダプタキット。
(
17) 前記送給ヘッドは、前記取付治具の位置を変更することによって、前記溶接ワイヤーの送給位置が調整可能とされていることを特徴とする前記(
15)又は(
16)に記載の変換用アダプタキット。
(
18) 前記(11)〜(
17)の何れか一項に記載の変換用アダプタキットが取り付けられたことを特徴とする溶接用トーチ。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明よれば、消耗電極式の半自動溶接システムの少なくとも一部を流用した高速且つ高溶着の溶接を可能とした非消耗電極式の半自動溶接システム、並びに、そのような半自動溶接システムにおいて、消耗電極式の溶接用トーチを非消耗電極式の溶接用トーチに変換する変換用アダプタキット、並びにそのような変換用アダプタキットが取り付けられた溶接用トーチを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した半自動溶接システム、変換用アダプタキット及び溶接用トーチについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
(溶接用トーチ及び変換用アダプタキット)
先ず、本発明を適用した溶接用トーチ及び変換用アダプタキットの一例について説明する。
図1Aは、本発明を適用した溶接用トーチ1の一例を示す側面図である。なお、
図1Aでは、この溶接用トーチ1の一部を切り欠いて示している。
図1Bは、
図1Aに示す溶接用トーチ1の要部を拡大した断面図である。
【0031】
この溶接用トーチ1は、例えば上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200(消耗電極式の溶接用トーチ)の少なくとも一部を流用したものからなる。具体的には、本発明を適用した変換用アダプタキット50を用いて、上記MIG(又はMAG)溶接用トーチ200で使用される消耗電極201の代わりに、非消耗電極2が取り付けられた構成を有している。また、この溶接用トーチ1は、溶加材である溶接ワイヤー10の送給を自動で行いながら、溶接を手動で行うことが可能となっている。
【0032】
具体的に、この溶接用トーチ1は、
図1A及び
図1Bに示すように、被溶接物との間でアークを発生させる非消耗電極2と、非消耗電極2が取り付けられたコンタクトチップ3と、コンタクトチップ3が取り付けられるトーチボディ4と、コンタクトチップ3の周囲を囲んだ状態でトーチボディ4に取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズル5と、トーチボディ4が取り付けられると共に、使用者が把持するハンドル6とを概略備えている。
【0033】
非消耗電極2は、例えばタングステンなどの融点の高い金属材料を用いて形成された長尺状の電極棒からなる。
【0034】
コンタクトチップ3は、例えば銅又は銅合金などの電気伝導性及び熱伝導性に優れた金属材料を用いて形成された概略円筒状の部材からなる。また、コンタクトチップ3は、軸線方向に貫通する貫通孔3aを有し、通常はこの貫通孔3aを通して消耗電極を先端側へと送り出すことが可能となっている。
【0035】
これに対して、本発明を適用して溶接用トーチ1では、コンタクトチップ3の貫通孔3aに非消耗電極2が挿入された状態で、固定治具7を介して非消耗電極2がコンタクトチップ3に取り付けられている。すなわち、このコンタクトチップ3は、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200で使用されるコンタクトチップ202の代わりに、トーチボディ4に取り付けられた変換用のコンタクトチップである。
【0036】
本発明を適用した変換用アダプタキット50は、これら変換用のコンタクトチップ3と固定治具7とを備えて構成されている。そして、本発明を適用した溶接用トーチ1は、この変換用アダプタキット50を用いて、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200をTIG溶接用トーチに変換することが可能となっている。したがって、この溶接用トーチ1が備えるトーチボディ4、トーチノズル5及びハンドル6については、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200が備えるトーチボディ203、トーチノズル204及びハンドル205を流用することが可能である。
【0037】
固定治具7は、例えば銅又は銅合金などの電気伝導性及び熱伝導性に優れた金属材料を用いて形成された概略円筒状の部材からなる。この固定治具7は、軸線方向に貫通する貫通孔7aを有し、この貫通孔7aの内側に挿入された非消耗電極2を軸線方向にスライド可能に支持する。また、固定治具7の基端側には、複数のスリット7bが周方向に並んで設けられている。これら複数のスリット7bは、固定治具7の基端から軸線方向の中途部に亘って直線状に切り欠かれている。これにより、各スリット7bの間には、縮径方向に弾性変形可能なチャック部7cが形成されている。また、チャック部7cの先端には、漸次縮径されたテーパー部7dが設けられている。
【0038】
そして、この固定治具7は、その基端側をコンタクトチップ3の内側に挿入した状態で、コンタクトチップ3の内周面にネジ止めによって着脱自在に取り付けることが可能となっている。また、固定治具7がコンタクトチップ3に取り付けられた際に、このコンタクトチップ3の内側において固定治具7のテーパー部7dがコンタクトチップ3の内側に設けられたテーパー面3bに当接することによって、この固定治具7のチャック部7cが縮径方向に弾性変形する。これにより、固定治具7のチャック部7cが非消耗電極2を挟持しながら、この非消耗電極2をコンタクトチップ3に固定することが可能となっている。
【0039】
また、コンタクトチップ3は、その基端側をネジ止めによってトーチボディ4に着脱自在に取り付けることが可能となっている。これに対して、トーチボディ4には、このコンタクトチップ3を取り付けるためのチップボディ8が一体又は別体に取り付けられている。
【0040】
チップボディ8は、上述したコンタクトチップ3よりも熱伝導率が低い導電性金属材料、例えば軟鋼やステンレス鋼などの鋼材又は真鍮等を用いて形成された概略円筒状の部材からなる。また、チップボディ8の内側は、トーチボディ4側から供給されたシールドガスが流れる流路を形成している。
【0041】
また、チップボディ8の基端側の外周部には、オリフィス9が取り付けられている。このオリフィス9の外周部には、シールドガスを噴出する複数の噴出孔9aが周方向に並んで設けられている。
【0042】
トーチボディ4は、上述したコンタクトチップ3よりも熱伝導率が低い導電性金属材料、例えば軟鋼やステンレス鋼などの鋼材又は真鍮等を用いて形成された概略円筒状の本体金具(図示せず。)を有し、この本体金具が絶縁樹脂により被覆された構造を有している。
【0043】
本体金具は、コンタクトチップ3及びチップボディ8を介して非消耗電極2に電力を供給する給電部を形成するものであり、また、その内側がコンタクトチップ3に向かってシールドガスを供給する流路を形成している。そして、この本体金具の一端側(先端側)に取り付けられたチップボディ8にコンタクトチップ3をネジ止めにより着脱自在に取り付けることが可能となっている。
【0044】
トーチノズル5は、上記オリフィス9から噴出されたシールドガスの整流を行うものであり、耐熱性に優れた金属材料や絶縁材料等を用いて概略円筒状に形成されたノズル形状を有している。そして、このトーチノズル5は、トーチボディ4の外周部にネジ止めにより着脱自在に取り付けることが可能となっている。なお、トーチノズル5は、その先端側が高温に晒されることから、この先端部分のみを耐熱性に優れた別部材により構成することも可能である。
【0045】
なお、シールドガスとしては、例えばアルゴンやヘリウムといった不活性ガスを単体若しくは複数の不活性ガスを混合して用いることができる。さらに、このシールドガスに水素や窒素等を添加することも可能である。この場合、酸化性ガスを使用しないため、被溶接物に形成されるビードの酸化を低減でき、濡れ性も改善できる。
【0046】
ハンドル6には、オン/オフ(ON/OFF)を切り換えるスイッチ6aが設けられている。また、ハンドル6には、上記トーチボディ4の他端側(後端側)に設けられた接続部が着脱自在に取り付けられている。そして、このハンドル6の内側を通して上記トーチボディ4の接続部に溶接ケーブルCがネジ止め等により接続可能となっている。なお、ハンドル6については、このようなハンドルタイプのものに限らず、ペンシルタイプのものであってもよい。
【0047】
なお、溶接ケーブルCの内側には、例えば、外部電源から上記トーチボディ4の本体金具(給電部)に電力を供給する給電ケーブルや、本体金具(流路)にシールドガスや溶接ワイヤー(消耗電極)を供給するライナー(コンジットとも言う。)などが設けられている。
【0048】
溶接用トーチ1には、溶加材である溶接ワイヤー10を自動で送給するためのワイヤー狙いガイド(ガイドチップボディ、ガイドリングとも言う。)11が取り付けられている。このワイヤー狙いガイド11は、溶接ワイヤー10を案内しながら、その先端側から溶接ワイヤー10を送り出す送給ヘッド12と、送給ヘッド12の先端部に向かって溶接ワイヤー10を送給するライナー13とを備え、上記トーチノズル5の外周部に取付治具14を介して送給ヘッド12が着脱自在に取り付けられた構造を有している。
【0049】
このうち、送給ヘッド12には、消耗電極式の溶接用トーチで使用される汎用のコンタクトチップを用いることができる。一方、取付治具14は、上記トーチノズル5の外周部における前後方向の位置や軸回りの位置を変更することによって、溶接ワイヤー10の送給位置を任意に調整することが可能となっている。
【0050】
なお、溶接ワイヤー10については、被溶接物の母材に合わせて従来公知のものの中から最適な溶接材料からなるものを適宜選択して使用することが可能である。また、取付治具14については、上記トーチノズル5の外周部に直接取り付けられた構成に限らず、絶縁部材(図示せず。)を介して上記トーチノズル5の外周部に取り付けられた構成としてもよい。
【0051】
上記溶接用トーチ1を用いて溶接を行う際は、被溶接物と非消耗電極2との間でアークを発生させて、このアークの熱により被溶接物を溶かして溶融池(プール)を形成する。そして、溶接中は、非消耗電極2の周囲を囲むトーチノズル5からシールドガスを放出し、このシールドガスで大気(空気)を遮断する。さらに、溶接中は、被溶接物の溶融池に向かって溶接ワイヤー10を自動で送給し、アーク中で溶接ワイヤー10を溶融させながら溶接が行われる。
【0052】
この場合、溶接ワイヤー10が自動で送給されるため、溶接用トーチ1を両手で操作することができ、熟練技術を持たなくても、安定且つ容易に溶接作業を行うことが可能である。
【0053】
以上のように、本発明を適用した溶接用トーチ1は、上記変換用アダプタキット50を用いて、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200で使用される消耗電極201の代わりに、非消耗電極2が固定治具7を介してコンタクトチップ3に取り付けられている。
【0054】
これにより、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200をTIG溶接用トーチに変換して用いることが可能である。また、この場合、新たにTIG溶接用トーチを用意するといった必要がなく、このような溶接用トーチ1及び変換用アダプタキット50を安価に提供することが可能である。
【0055】
また、本発明を適用した溶接用トーチ1は、上記
図13A及び
図13Bに示すTIG溶接用トーチ100よりも比較的高い電流(例えば200A以上)を流すことができるMIG(又はMAG)溶接用トーチ200を流用することが可能である。なお且つ、この溶接用トーチ1にワイヤー狙いガイド11を取り付けて、溶接ワイヤー10の送給を自動で行いながら、半自動のTIG溶接を行うことが可能である。
【0056】
これにより、スパッタの発生を防ぎつつ、高速且つ高溶着の溶接を行うことが可能である。また、従来の手動によるTIG溶接のように、使用者が左右の手で溶加材の供給とTIG溶接用トーチ100の操作を同時に行う必要がないため、熟練技術を要することなく、仕上がりのよい溶接を行うことが可能である。
【0057】
また、半自動のTIG溶接で高電流を流した場合でも、この溶接用トーチ1は高電流に対応したMIG(又はMAG)溶接用トーチ200を流用していることから、従来のTIG溶接用トーチのように、例えばトーチノズル5やワイヤー狙いガイド11等が熱で破損するといったことを防ぐことが可能性である。
【0058】
さらに、シールドガスに酸素や炭酸を添加した混合ガス(MAG溶接)や、100%の炭酸ガス(炭酸ガスアーク溶接)を使用した場合に、気孔などの溶接欠陥が発生してしまう材質のものにも使用が可能である。
【0059】
また、この溶接用トーチ1を手動で操作した場合でも、従来のTIG溶接用トーチよりもアークからハンドル6までの距離を十分に取ることができるため、手を火傷してしまうといったことを防ぐことが可能である。
【0060】
さらに、この溶接用トーチ1にワイヤー狙いガイド11を取り付けて半自動のTIG溶接を行った場合でも、このワイヤー狙いガイド11を取り付けられたトーチノズル5からハンドル6までの距離を十分に取ることができるため、溶接中にワイヤー狙いガイド11が邪魔になることがない。
【0061】
以上のように、この溶接用トーチ1を用いた場合には、半自動のTIG溶接でありながら、MIG(又はMAG)溶接並みの高速且つ高溶着の溶接を行うことが可能である。
【0062】
ここで、上記溶接用トーチ1の溶接中の状態を
図2に模式的に示す。なお、
図2は、上記溶接用トーチ1の溶接中の状態を溶接線方向の側面から見た図である。
【0063】
図2に示すように、上記溶接用トーチ1を用いた溶接を行う際は、非消耗電極2に対する溶接ワイヤー10の傾き角θを10〜45°とした状態で、被溶接物Sの溶融池Pに向かって溶接ワイヤー10を供給することが好ましい。この傾き角θを10〜45°とすることで、被覆アーク溶接に近い感覚で溶接作業を行うことが可能である。また、狭い箇所での溶接作業も可能となる。なお、
図2中に示すS’の部分は、溶接後に被溶接物Sに形成される余盛を表したものである。
【0064】
なお、溶接中は溶融池P内を観察することはできないものの、この溶接中に溶接ワイヤー10が非溶融状態と溶融状態を繰り返す現象が発生していると思われる。このとき、上記溶接用トーチ1のハンドル6を握った手には、溶融状態から非溶融状態となるときの抵抗感覚が伝わるため、この抵抗感を目安にして適切なアーク長を維持することが可能である。
【0065】
また、この抵抗感覚は、さほど熟練技能を必要としない被覆アーク溶接において、溶加棒の先端を被溶接物Sに押し付けて溶接する際に手に伝わる感覚に類似している。特に、上述した非消耗電極2に対する溶接ワイヤー10の傾き角θを10〜45°とすることで、このような感覚を得ることが可能である。また、溶接中に溶接ワイヤー10の先端を上記溶接物Sに押し付ける際の押付け力は、0.2〜10Nの範囲とすることが好ましく、0.5〜5Nの範囲とすることが更に好ましい。
【0066】
溶加材として溶接棒でなく溶接ワイヤー10を用いた場合には、溶加材の連続的な供給が可能である。一方、溶接ワイヤー10は、スプールに巻かれた状態から供給されるため、送給ヘッド12の先端から送り出された際に、曲がり癖によってこの溶接ワイヤー10を真っ直ぐに供給できないことがある。この場合、送給ヘッド12の先端から送り出された溶接ワイヤー10が溶融池Pに供給される前に、非消耗電極2に接触してしまう可能性がある。
【0067】
これに対しては、
図2に示すように、非消耗電極2の先端から溶接ワイヤー10までの水平方向の距離Dを2mm以上8mm以下とすることが好ましい。この距離Dが2mmよりも短くなると、非消耗電極2と溶接ワイヤー10とが接触する可能性が高くなる。
【0068】
一方、電流が大きくなるのに従って、この距離Dを大きくすることによって、溶接ワイヤー10の移行形態を制御でき、そのときの距離Dの最大値が8mmである。すなわち、この距離Dが短すぎると、溶接ワイヤー10が溶融池Pに到達する前に溶滴となってしまうため、いわゆる溶滴移行形態となる。一方、この距離Dが長すぎると、溶接ワイヤー10が溶けない又は半溶融状態で溶融池Pに到達するため、いわゆるブリッジ移行形態となる。
【0069】
このような溶接ワイヤー10の移行形態は、電流の大きさによって変化することになる。したがって、この距離Dを調整することで、その目的や溶接者の好みにあったブリッジ移行形態又は溶滴移行形態を選択することができる。具体的に、この距離Dについては、2mm以上5mm以下とすることがより好ましい。この距離Dが5mmを超えると、溶接ワイヤー10が溶融しきれずに融合不良などの欠陥が生じる可能性を考慮する必要がある。
【0070】
また、非消耗電極2の先端から溶融池Pまでの鉛直方向の距離Hについては、3mm以上10mm以下とすることが好ましく、3mm以上5mm以下とすることがより好ましい。例えば、手動アーク溶接のアーク長の変動を考慮することで、非消耗電極2の先端が溶融池Pに接触しにくくすることができる。この距離Hが3mmより短くなると、非消耗電極2の先端が溶融地Pに接触する可能性が高くなる。一方、この距離Hが10mmより長くなると、シールドガスが不足して、シールド性が悪くなる。
【0071】
ここで、被溶接物Sの溶融池Pは、電流の大きさによって、
図3Aに示すような凹状となる場合と、
図3Bに示すような凸状となる場合がある。したがって、上記距離Hは、電流の大きさによって深さ方向に変化することになる。このため、溶接前に上記距離Hを予め設定しておくことは困難であるものの、手動による溶接を基本とした場合、この距離Hが3mm以上であれば、目測により距離Hを制御することが可能である。なお、
図3A及び
図3B中に示すBの部分は、溶接後に被溶接物Sに形成されるビードを表したものである。
【0072】
なお、本発明を適用した溶接用トーチ及び変換用アダプタキットは、上記実施形態に示す溶接用トーチ1及び変換用アダプタキット50に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0073】
例えば、上記溶接用トーチ1では、固定治具7を介して非消耗電極2がコンタクトチップ3に取り付けられた構造となっているが、上記
図1Bに示す固定治具7を用いた取付構造に限らず、例えば
図4A〜
図4Cに示すような固定治具7A〜7Cを用いた取付構造とすることも可能である。なお、
図4A〜
図4Cに示す固定治具7A〜7Cにおいて、互いに共通の部位についてはまとめて説明すると共に、同じ符号を付すものとする。
【0074】
具体的に、
図4A〜
図4Cに示す固定治具7A〜7Cは、上記固定治具7と同じ材料を用いて形成されたキャップ部材71及びチャック部材72とを有している。
【0075】
このうち、キャップ部材71は、コンタクトチップ3の先端部に取り付けられる概略円筒状の部材からなる。また、キャップ部材71は、軸線方向に貫通する貫通孔71aを有している。そして、このキャップ部材71は、その内側にコンタクトチップ3の先端側を挿入した状態で、コンタクトチップ3の外周面にネジ止めによって着脱自在に取り付けることが可能となっている。
【0076】
一方、チャック部材72は、コンタクトチップ3の内側に挿入可能な概略円筒状の部材からなる。また、チャック部材72は、軸線方向に貫通する貫通孔72aを有し、この貫通孔72aの内側に挿入された非消耗電極2を軸線方向にスライド可能に支持する。
【0077】
また、
図4A〜
図4Cに示す固定治具7A〜7Cのうち、
図4Aに示す固定治具7Aは、チャック部材72の基端側に複数のスリット72bが周方向に並んで設けられた構成となっている。一方、
図4Bに示す固定治具7Bは、チャック部材72の先端側に複数のスリット72bが周方向に並んで設けられた構成となっている。一方、
図4Cに示す固定治具7Cは、チャック部材72の基端側及び先端側に複数のスリット72bが周方向に並んで設けられた構成となっている。
【0078】
これら複数のスリット72bは、チャック部材72の基端又は先端から軸線方向の中途部に亘って直線状に切り欠かれている。これにより、各スリット72bの間には、縮径方向に弾性変形可能なチャック部72cが形成されている。また、チャック部72cの先端には、漸次縮径されたテーパー部72dが設けられている。
【0079】
そして、これら
図4A〜
図4Cに示す固定治具7A〜7Cを用いた取付構造では、チャック部材72をコンタクトチップ3の内側に挿入した状態で、キャップ部材71をコンタクトチップ3に取り付ける。このとき、チャック部材72のテーパー部72dがコンタクトチップ3又はキャップ部材71の内側に設けられたテーパー面3b,71bに当接することによって、このチャック部材72のチャック部72cが縮径方向に弾性変形する。これにより、チャック部72cが非消耗電極2を挟持しながら、この非消耗電極2をコンタクトチップ3に固定することが可能となっている。
【0080】
上記実施形態では、上述した変換用のコンタクトチップ3と固定治具7,7A〜7Cとを備えて構成される変換用アダプタキット50を用いて、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200をTIG溶接用トーチに変換した場合について例示した。
【0081】
一方、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200をTIG溶接用トーチに変換する場合には、上述した変換用アダプタキット50以外にも、例えば
図5に示すような変換用アダプタキット50Aを用いることも可能である。
【0082】
具体的に、この変換用アダプタキット50Aは、
図5に示すように、上記非消耗電極2を内側に挿入した状態で支持するコレット51と、上記非消耗電極2を先端側から突出させた状態でコレット51を内側に保持すると共に、上記コンタクトチップ202の代わりに上記トーチボディ203に取り付けられる変換用のコレットボディ52とを備えている。
【0083】
したがって、この変換用アダプタキット50Aを用いた場合には、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200が備えるトーチボディ203、トーチノズル204及びハンドル205を流用することが可能である。
【0084】
さらに、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200をTIG溶接用トーチに変換する場合には、例えば
図6A及び
図6Bに示すような変換用アダプタキット50Bを用いることも可能である。なお、
図6Aは、変換用アダプタキット50Bを示す側面図であり、
図6Bは、変換用アダプタキット50Bが上記ハンドル205取り付けられた状態を示す側面図である。
【0085】
具体的に、この変換用アダプタキット50は、
図6A及び
図6Bに示すように、上記非消耗電極2を内側に挿入した状態で支持するコレット(図示せず。)と、上記非消耗電極2を先端側から突出させた状態でコレットを内側に保持するコレットボディ(図示せず。)と、コレットボディに取り付けられると共に、シールドガスを放出するトーチノズル53と、コレットボディが取り付けられると共に、上記トーチボディ203の代わりに上記ハンドル205に取り付けられる変換用のトーチボディ54とを概略備えている。
【0086】
すなわち、この変換用アダプタキット50は、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200が備えるハンドル205に取り付け可能となっている以外は、従来より公知のTIG溶接用トーチと同様の構成とすることが可能である。
【0087】
したがって、この変換用アダプタキット50Bを用いた場合には、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200が備えるハンドル205を流用することが可能である。
【0088】
以上のように、本発明を適用した溶接用トーチでは、上述した変換用アダプタキット50,50A,50Bを用いることによって、消耗電極式の溶接用トーチが備えるコンタクトチップと、トーチボディと、トーチノズルと、ハンドルとのうち、少なくともその一部を流用した非消耗電極式の溶接用トーチを構成することが可能である。また、本発明を適用した変換用アダプタキットを用いた場合には、消耗電極式の溶接用トーチが備える消耗電極の代わりに非消耗電極を取り付けることによって、消耗電極式の溶接用トーチを非消耗電極式の溶接用トーチに容易に変換することが可能である。
【0089】
また、上記ワイヤー狙いガイド11については、上述したトーチノズル5の外周部に取付治具14を介して送給ヘッド12が着脱自在に取り付けられた構成に必ずしも限定されるものではない。
【0090】
例えば、
図7Aに示すワイヤー狙いガイド11Aのように、上記トーチボディ4に取り付けられたインシュレータ(絶縁筒)15の外周部に取付治具14Aを介して送給ヘッド12が着脱自在に取り付けられた構成とすることも可能である。
【0091】
また、このワイヤー狙いガイド11Aが備える取付治具14Aは、上記送給ヘッド12を回動自在に支持している。これにより、上記溶接ワイヤー10の傾き角θを任意に調整することが可能である。
【0092】
一方、
図7Bに示すワイヤー狙いガイド11Bのように、上記送給ヘッド12を前後方向にスライド自在に支持する取付治具14Bを備えた構成とすることも可能である。これにより、上記溶接ワイヤー10の先端から溶融池Pまでの距離を任意に調整することが可能である。
【0093】
一方、
図8に示すワイヤー狙いガイド11Cのように、上記送給ヘッド12と上記取付治具14との間にダンパー機構16を配置した構成とすることも可能である。このダンパー機構16は、コイルバネ16aにより送給ヘッド12を前方に向かって付勢した状態で、この送給ヘッド12を前後方向にスライド自在に支持している。これにより、溶接中に溶接ワイヤー10の先端が上記溶接物Sに押し付けられた際に、その衝撃を緩和しながら、溶接中の振れ等の発生を低減することが可能である。なお、このダンパー機構16を備えたワイヤー狙いガイド11Cでは、その全長が長くなるため、送給ヘッド12が取付治具14を介してトーチボディ4の外周部に取り付けられている。
【0094】
また、本発明を適用した溶接用トーチでは、上述したトーチノズル5からアルゴンやヘリウムといった不活性ガス(シールドガス)を放出する一重ノズル構造に限らず、例えば、シールドガスとして、内側のトーチノズル(インナーノズル)から不活性ガスを放出すると共に、それよりも外側のトーチノズル(アウターノズル)から酸化性ガスを放出するといった二重ノズル構造とすることも可能である。
【0095】
また、本発明を適用した溶接用トーチとしては、空冷式と水冷式の何れの溶接用トーチも使用可能であるが、水冷式の溶接用トーチを使用することがより好ましい。すなわち、空冷式の溶接用トーチでは、上述した電力を供給する給電ケーブルや、シールドガスを供給するライナーを備えた溶接ケーブルCを用い、水冷式の溶接用トーチでは、更に冷却水(冷却液)を循環させる冷却ケーブルを備えた溶接ケーブルCを用いる。したがって、水冷式の溶接用トーチの方が熱や衝撃に対して損傷を受けにくく、トーチ自体をコンパクト化することによって、狭い箇所での溶接作業も可能となる。
【0096】
また、本発明では、上記
図14に示すMIG(又はMAG)溶接用トーチ200に、上記取付治具14を介して送給ヘッド12を取り付けることで、コールドワイヤータンデム溶接を行うことも可能である。さらに、本発明は、ホットワイヤー及び複合溶接(タンデム溶接)を組み合わせることも可能である。ホットワイヤーは、上記溶接ワイヤー10を予め温める方法であり、コールドワイヤーよりも溶融速度が上がるため、高溶着の溶接が可能となる。さらに、上記溶接ワイヤー10を消耗電極とする消耗電極式のガスシールドアーク溶接を行えば、ホットワイヤーよりも更に高溶着の溶接を行うことが可能となる。
【0097】
なお、本発明が対象とする被溶接物については、特に限定されるものではなく、溶接可能な全ての材質のものに対して溶接を行うことが可能である。
【0098】
(半自動溶接システム)
次に、本発明を適用した半自動溶接システムの一例について説明する。
図9は、本発明を適用した半自動溶接システム500の一構成例を示す模式図である。
【0099】
この半自動溶接システム500は、
図9に示すように、上記溶接用トーチ1と、上記溶接用トーチ1に電力及びシールドガスを供給する溶接電源装置501と、上記ワイヤー狙いガイド11に溶接ワイヤー10を送給するワイヤー送給装置502と、上記溶接用トーチ1を冷却する冷却装置503とを概略備えている。
【0100】
このうち、溶接電源装置501には、上記溶接ケーブルCを介して上記溶接用トーチ1が接続されている。この溶接ケーブルCの内側には、上記溶接用トーチ1に電力を供給する給電ケーブルC1と、シールドガスを導入するライナーC2と、冷却水を循環させる冷却ケーブルC3と、上記溶接用トーチ1のスイッチ6aと電気的に接続されたスイッチケーブルC4とが設けられている。
【0101】
溶接電源装置501は、先端にコンセントプラグが設けられた電源ケーブルC5を有し、このコンセントプラグを外部電源(例えば交流200Vの商用電源)に接続することによって、電源ケーブルC5を介して外部電源から電力が供給されるようになっている。また、溶接電源装置501には、ガスケーブルC6を介してガスボンベ504が接続されており、このガスケーブルC6を介してガスボンベ504からシールドガスが供給されるようになっている。さらに、溶接電源装置501には、冷却ケーブルC3が接続されている。
【0102】
溶接電源装置501には、各種の操作を行うためのスイッチなどが設けられている。さらに、溶接電源装置501には、各種の操作を遠隔で行うための操作用リモコン505が接続ケーブルC7を介して電気的に接続されている。
【0103】
ワイヤー送給装置502には、例えばスプール(図示せず。)に巻かれた溶接ワイヤー10を上記ライナー13を介して送給ヘッド12へと送給するものである。なお、上記ライナー13については、上記溶接ケーブルCとは別体に設けたり、その途中を上記溶接ワイヤーCの内側に配置することによって、上記溶接ケーブルCと一体的に設けたりすることも可能である。
【0104】
ワイヤー送給装置502には、制御ケーブルC8を介してワイヤー制御装置506が接続されている。このワイヤー制御装置506は、ワイヤー送給装置502の駆動を制御するものであり、具体的には、上記溶接用トーチ1の操作や、上記溶接電源装置501から上記溶接用トーチ1への出力設定等に合わせて、溶接ワイヤー10の送給開始又は送給停止、並びに溶接ワイヤー10の送給速度等を調整するものである。
【0105】
このため、ワイヤー制御装置506は、上記溶接電源装置501とは同期ケーブルC9を介して電気的に接続されている。また、上記スイッチケーブルC4は、このワイヤー制御装置506を介して上記溶接用電源装置501と電気的に接続されている。
【0106】
また、ワイヤー制御装置506は、先端にコンセントプラグが設けられた電源ケーブルC10を有し、このコンセントプラグを外部電源(例えば交流200Vの商用電源)に接続することによって、電源ケーブルC10を介して外部電源から電力が供給されるようになっている。
【0107】
さらに、ワイヤー制御装置506には、各種の操作を行うためのスイッチなどが設けられている。さらに、ワイヤー制御装置506には、各種の操作を遠隔で行うための操作用リモコン507が接続ケーブルC11を介して電気的に接続されている。
【0108】
冷却装置503は、上記冷却ケーブルC3を介して上記溶接用電源装置501と接続されている。この冷却装置503は、冷却水を貯留するタンクや、冷却水を圧送するポンプ、冷却水を冷却するラジエータ等を備え、上記冷却ケーブルC3を介して冷却水を強制的に循環させるようになっている。
【0109】
また、冷却装置503は、先端にコンセントプラグが設けられた電源ケーブルC12を有し、このコンセントプラグを外部電源(例えば交流200Vの商用電源)に接続することによって、電源ケーブルC12を介して外部電源から電力が供給されるようになっている。
【0110】
以上のような構成を有する半自動溶接システム500では、溶接時に使用者が上記溶接用トーチ1のスイッチ6aを押すことによって、オン(ON)状態となる。このとき、溶接電源装置501から給電ケーブルC1を介して上記溶接用トーチ1に電力(交流又は直流)が供給されると共に、ライナーC2を介して上記溶接用トーチ1にシールドガスが供給される。また、ワイヤー送給装置502から送給された溶接ワイヤー10が上記ライナー13を介して送給ヘッド12の先端から送り出される。
【0111】
これにより、上記溶接用トーチ1のトーチノズル5からシールドガスを放出し、非消耗電極2と被溶接物との間でアークを発生させた状態で、自動で送給される溶接ワイヤー10をアーク中で溶融させながら溶接が行われる。また、溶接中は、冷却水を循環させながら上記溶接用トーチ1の冷却を行う。
【0112】
以上のようにして、この半自動溶接システム500では、上記溶接用トーチ1を用いた半自動のTIG溶接(非消耗電極式のガスシールドアーク溶接)を行うことが可能である。
【0113】
本発明を適用した半自動溶接システム500では、上記溶接用トーチ1を用いることによって、スパッタの発生を防ぎつつ、高速且つ高溶着の溶接を行うことが可能である。また、従来の手動によるTIG溶接のように、使用者が左右の手で溶加材の供給とTIG溶接用トーチ100の操作を同時に行う必要がないため、熟練技術を要することなく、仕上がりのよい溶接を行うことが可能である。特に、溶接電源装置501については、その定格出力電流の最大値が200A以上のものを用いることで、高電流に対応した半自動のTIG溶接を行うことが可能である。
【0114】
また、半自動のTIG溶接で高電流を流した場合でも、上記溶接用トーチ1が高電流に対応したMIG(又はMAG)溶接用トーチ200を流用していることから、従来のTIG溶接用トーチのように、例えばトーチノズル5やワイヤー狙いガイド11等が熱で破損するといったことを防ぐことが可能性である。
【0115】
さらに、シールドガスに酸素や炭酸を添加した混合ガス(MAG溶接)や、100%の炭酸ガス(炭酸ガスアーク溶接)を使用した場合に、気孔などの溶接欠陥が発生してしまう材質のものにも使用が可能である。
【0116】
また、上記溶接用トーチ1を手動で操作した場合でも、従来のTIG溶接用トーチよりもアークからハンドル6までの距離を十分に取ることができるため、手を火傷してしまうといったことを防ぐことが可能である。
【0117】
さらに、上記溶接用トーチ1にワイヤー狙いガイド11を取り付けて半自動のTIG溶接を行った場合でも、このワイヤー狙いガイド11を取り付けられたトーチノズル5からハンドル6までの距離を十分に取ることができるため、溶接中にワイヤー狙いガイド11が邪魔になることがない。
【0118】
また、本発明を適用した半自動溶接システム500では、上記溶接用トーチ1を用いるだけでなく、上記溶接電源装置501、上記ワイヤー送給装置502(ワイヤー制御装置506を含む。)、冷却装置503についても、TIG溶接用の溶接電源装置や、ワイヤー送給装置(ワイヤー制御装置を含む。)、冷却装置を用いるだけでなく、MIG(又はMAG)溶接用の溶接電源装置や、ワイヤー送給装置(ワイヤー制御装置を含む。)、冷却装置を流用することが可能である。
【0119】
すなわち、本発明を適用した非消耗電極式の半自動溶接システムでは、消耗電極式の半自動溶接システムの少なくとも一部を流用することによって、半自動のTIG溶接でありながら、MIG(又はMAG)溶接並みの高速且つ高溶着の溶接を行うことが可能である。
【0120】
さらに、新たに高電流に対応したTIG溶接システムを用意するといった必要がなく、上記溶接用トーチ1と共に、MIG(又はMAG)溶接システムを流用ことで、このような高電流に対応した非消耗電極式の半自動溶接システムを安価に提供することが可能である。
【実施例】
【0121】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0122】
(実施例1)
実施例1では、実際に上記
図1A及び
図1Bに示す溶接用トーチ1を用いて突合せ溶接を行った。その溶接条件は以下のとおりである。
被溶接物の材質:SUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)、板厚12mm
シールドガス:93%Arガスと7%H
2ガスの混合ガス(条件1)、100%Arガス(条件2)
非消耗電極:タングステン電極棒、直径3.2mm
電流:ピーク電流350A、ベース電流200A、パルス周波数30Hz
溶接ワイヤー:SUS308L、直径1.6mm、送給速度3.5M/min
【0123】
そして、溶接後の写真を
図10に示す。なお、
図10中の左側の写真は条件1の場合であり、
図10中の右側の写真は条件2の場合である。
図10に示すように、溶接部分は、溶接欠陥のない美しい仕上がりとなった。
【0124】
(実施例2)
実施例2では、実際に上記
図1A及び
図1Bに示す溶接用トーチ1を用いて水平すみ肉溶接を行った。その溶接条件は以下のとおりである。
被溶接物の材質:UNS S32750(二相ステンレス鋼)、板厚8mm
シールドガス:50%Arガスと50%Heガスの混合ガス(条件1)、93%Arガスと7%H
2ガスの混合ガス(条件2)
非消耗電極:タングステン電極棒、直径4.0mm
電流:ピーク電流320A、ベース電流300A、パルス周波数30Hz
溶接ワイヤー:329J4L、直径1.2mm、送給速度6M/min
【0125】
そして、溶接後の写真を
図11に示す。なお、
図11中の左側の写真は条件1の場合であり、
図11中の右側の写真は条件2の場合である。
図11に示すように、溶接部分は、溶接欠陥のない美しい仕上がりとなった。
【0126】
(実施例3)
実施例3では、実際に上記
図1A及び
図1Bに示す半自動の溶接用トーチ1と、上記
図13A及び
図13Bに示す手動のTIG溶接用トーチ100とを用いて水平すみ肉溶接を行い、その比較を行った。
【0127】
上記
図1A及び
図1Bに示す半自動の溶接用トーチ1の溶接条件は以下のとおりである。
被溶接物の材質:SUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)、板厚10mm
シールドガス:50%Arガスと50%H
2ガスの混合ガス
非消耗電極:タングステン電極棒、直径3.2mm
電流:300A
溶接ワイヤー:SUS308L、直径0.9mm、送給速度7.0M/min
【0128】
一方、上記
図13A及び
図13Bに示すTIG溶接用トーチ100の溶接条件は以下のとおりである。
被溶接物の材質:SUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)、板厚10mm
シールドガス:50%Arガスと50%H
2ガスの混合ガス
非消耗電極:タングステン電極棒、直径3.2mm
電流:300A
溶接ワイヤー:SUS308L、直径2.4mm、手送り
【0129】
そして、溶接後の写真を
図12に示す。なお、
図12中の右側の写真は、上記
図1A及び
図1Bに示す半自動の溶接用トーチ1を用いた場合であり、
図12中の左側の写真は、上記
図13A及び
図13Bに示す手動のTIG溶接用トーチ100を用いた場合である。
【0130】
図12に示すように、上記
図1A及び
図1Bに示す半自動の溶接用トーチ1を用いた場合には、上記
図13A及び
図13Bに示す手動のTIG溶接用トーチ100を用いた場合よりも、溶込み深さが深く、溶着率の高い溶接を短時間で行うことができた。
【0131】
以上のように、本発明によれば、スパッタの発生を防ぎつつ、高速且つ高溶着の溶接を行うことが可能となった。