(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術には、次のような問題があった。すなわち、成分献血を行う場合、1サイクルで採取できる高濃度血小板液は数10mlと少ないため、高濃度血小板液を所定量採取するには、3〜4サイクル繰り返えさざるを得ない。そのため、献血の供血者を長時間拘束することになり、時間的余裕のない供血者に大きな迷惑をかけていた。また、本来成分献血を希望する供血者であって、供血者に時間的余裕がない場合には、成分献血ではなく、全血献血を選択せざるを得ない不都合が生じる場合があった。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高濃度の血小板液を成分献血するときに、全血を採取する全体時間を短縮して、供血者の時間的な負担を軽減できる血液成分分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における血液成分分離装置は、次の構成を有する。
【0008】
(1)血液から所定の血液成分を分離するための遠心分離器と、遠心分離した所定の血液成分を収容する容器を備える血液成分分離装置において、a)供血者から採取した全血を第1血液ポンプにより遠心分離器に導入し、複数の血液成分に分離する遠心分離工程と、b)遠心分離された血液成分のうち、遠心分離により分離され、第1の容器に貯蔵された所定の第1の血液成分を遠心分離器内に全血と共に導入する循環フロー工程と、c)循環フロー工程にて、所定量の第1の血液成分を分離後、全血の前記遠心分離器への供給を停止して、遠心分離器に第1の容器に貯蔵された第1の血液成分のみを第2血液ポンプにより導入し、所定時間さらに循環させた後、循環速度を加速することにより、第2の血液成分を遠心分離器により分離し採取する循環・加速工程とを有し、循環・加速工程の少なくとも一部の期間において、供血者から採取した全血を一時貯留容器に一時的に貯留すること、一時貯留容器に接続する一方のチューブが、遠心分離器の出口ポートに接続され、他方のチューブが、第1の容器と第2血液ポンプの間
の流路に接続されていることを特徴とする。
【0009】
(2)(1)に記載の血液成分分離装置において、好ましくは、第2血液ポンプにより、次サイクルの遠心分離工程において、前サイクルにおいて一時貯留容器に貯留された全血及び低濃度の第2の血液成分の少なくともいずれか一方を遠心分離器に導入することを特徴とする。
【0010】
これにより、前サイクルにおいて貯留した全血及び低濃度の第2の血液成分の少なくともいずれか一方を遠心分離器に速やかかつ確実に導入することができる。
【0011】
(3)(1)または(2)に記載の血液成分分離装置において、好ましくは、前記他方のチューブが、分岐され第1血液ポンプの出口ポートに接続されていること、前記他方のチューブの、分岐された2つのチューブの途中に各々開閉弁が配置されていること、前記第2血液ポンプの出口ポートに開閉弁が配置されていること、前記第1の容器の出口ポートに開閉弁が配置されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、一時貯留バッグに貯留された全血及び低濃度の第2の血液成分の少なくともいずれか一方を前記遠心分離器に導入するための血液ポンプを増設しなくとも、第2血液ポンプを利用することができるため、装置を大きくする必要がないと共に、コストダウンできる。また、高低差を利用して血液ポンプを使用しない場合と比較して、血液ポンプを使用することにより短時間で一時貯留バッグY2に貯留された全血及び低濃度の第2の血液成分の少なくともいずれか一方を遠心分離器E1に導入することができる。
【0013】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の血液成分分離装置において、好ましくは、d)前記循環・加速工程において、所定量の第2の血液成分を採取後、採取しなかった血液成分について供血者へ返血する返血工程を有し、前記(a)〜(d)の工程を1サイクルとして、前記一時貯留容器に貯留された全血を、次サイクルの遠心分離工程において、次サイクルで採取された全血と併せて前記遠心分離器に導入することを特徴とする。
【0014】
これにより、第1サイクル(今回のサイクル)の循環・加速工程を行いながら、並行して供血者から全血を採取できるため、第2サイクル(次回のサイクル)における全血採取時間を短縮でき、全体の処理時間を短縮することができ、供血者の時間的な負担を軽減することができる。
【0015】
例えば、一般的に1サイクル当たりの採血時間、循環フロー工程(クリティカルフロー工程)は、約9分、循環・加速工程のうち、循環工程は、30〜40秒、循環・加速工程のうち、加速工程は、20〜30秒、返血時間は、約4分である。本発明によれば、第1サイクルで約1分間、採血を事前に行っているので、第2サイクルの採血時間を、1分間短縮して、約8分にすることができる。同様に、全体で3サイクル行う場合には、第3サイクルの採血時間を、1分間短縮して、約8分にすることができる。
【0016】
ここで、供血者にとっては、体外循環する血液量が増加する問題があるが、供血者の90%は、問題ないと考えられる。また、事前の検査により、体外循環する血液量を増加させると問題がありそうな場合には、切り替えスイッチにより、第1サイクル(今回サイクル)の循環・加速工程と並行して全血の採取を行わず、返血後に第2サイクル(次回サイクル)の全血採取を行えばよい。最終サイクルを行うときには、次回サイクルがないのであるから、次回サイクル用の全血採取を行わないことは、当然である。
【0017】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の血液成分分離装置において、好ましくは、前記循環・加速工程は、第2の血液成分のうち、低濃度の第2の血液成分を前記一時貯留容器に移送する第1の採取工程と、第2の血液成分のうち高濃度の第2の血液成分を採取する第2の採取工程を有し、前記一時貯留容器に移送された低濃度の第2の血液成分は、次サイクルにおいて前記一時貯留容器内に採取された全血とともに次サイクルにおいて採取された全血と併せて前記遠心分離器に導入されることを特徴とする。
【0018】
これにより、高濃度の血小板を得るためのBCリサイクルに適用することができ、第1サイクル(今回のサイクル)の循環・加速工程を行いながら、並行して供血者から全血を採取できるため、第2サイクル(次回のサイクル)における全血採取時間を短縮でき、全体の処理時間を短縮することができ、供血者の時間的な負担を軽減することができる。
【0019】
(6)(5)に記載の血液成分分離装置において、好ましくは、前記循環・加速工程において低濃度の第2の血液成分を一時的に貯留する第2の容器を備え、第2の容器が前記一時貯留容器に兼用されるものであることを特徴とする。
【0020】
これにより、第2の容器を増設する必要がないため、装置を大きくする必要がないと共に、使い捨ての第2の容器を特別に用意しなくてもよいため、コストダウンできる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明である血液
成分分離装置のシステム構成を
図1に示す。
図20は、実施の形態に係る血液成分分離装置の制御系を示すブロック図である。
【0023】
本実施形態にかかる血液成分分離装置は、血液成分分離回路1を有する。血液成分分離回路1は、採血針2と、初流血を採取するための初流血採取バッグY7、サンプリングポート3、初流血採取ライン4とからなる初流血採取回路5を有する。また、血液成分分離回路1は遠心ボウルE1を有する。遠心ボウルE1は、採取内部に貯血空間を有するローター(不図示)と、ローターを回転駆動する回転駆動手段14と、流入口(第1ポートE1a)と流出口(第2ポートE1b)とを有し、ローターの回転により複数の血液成分に血液を分離する。血液成分分離回路1は、遠心ボウルE1により分離された血液成分を貯留する、第1の容器(血漿バッグ)Y1、第2の容器(一時貯留バッグ)Y2、第3の容器(血小板中間バッグ)Y3を有する。また、血液成分分離回路1は、第1ライン、第2ライン、第3ライン、第4ライン、第5ライン、第6ライン、第7ラインを有する。第1ラインは、採血針2と遠心ボウルE1とを接続するためのものであり、ドナーチューブT1、第1血液ポンプP1、チューブT2、チューブT3a、第1開閉弁V1、チューブT3b、チューブT4から構成される。第2ラインは、遠心ボウルE1と第1の容器Y1とを接続するためのものであり、チューブT5、チューブT6a、第2開閉弁V2、チューブT6bから構成される。第3ラインは、第1の容器Y1と第1ラインとを接続するためのものであり、チューブT8a、第3開閉弁V3、チューブT8b、チューブT9、第2血液ポンプP2、チューブT10b、第4開閉弁V4、チューブT10aから構成される。第4ラインは、遠心ボウルE1と第2の容器Y2とを接続するためのものであり、チューブT5、チューブT15、チューブT11a、第5開閉弁V5、チューブT11bから構成される。第5ラインは、第2の容器Y2と第1ラインとを接続するためのものであり、チューブT12、チューブT13b、第6開閉弁V6、チューブT13aから構成される。第6ラインは、第5ラインと同様に第2の容器Y2と第1ラインとを接続するためのものであり、チューブT12、チューブT14a、第7開閉弁V7、チューブT14b、チューブT9、第2血液ポンプP2、チューブT10b、第4開閉弁V4、チューブT10aから構成される。第7ラインは、遠心ボウルE1と第3の容器Y3とを接続するためのものであり、チューブT5、チューブT15、チューブT16、チューブT17a、第8開閉弁V8、チューブT17bから構成される。
【0024】
供血者から全血(血液)を採取するための採取手段である採血針2はドナーチューブT1により、第1血液ポンプP1の第1ポートに接続している。初流血採取バッグY7は、ドナーチューブT1上に設けられた分岐部から初流血採取ライン4により採血針2と接続される。初流血採取バッグY7はさらに、採取した初流血を図示しない検査容器に移送するためのサンプリングポート3を備え、サンプリングポート3は、本体部と、針部6と、針部をカバーするカバー部7から構成される。また、初流血採取ライン上にはラインを開閉するためのクレンメ8が設けられている。
【0025】
第1血液ポンプP1の第2ポートに接続するチューブT2は、2つのチューブT3a、T13aに分岐され、チューブT3aは、第1開閉弁V1の第1ポートに接続され、第1開閉弁V1の第2ポートはチューブT3bに接続される。チューブT3bは、2つのチューブT4、T10aに分岐され、チューブT4は、採取した血液を複数の血液成分に分離するための遠心分離器である遠心ボウルE1の第1ポートE1aに接続している。遠心ボウルE1は、回転駆動手段14上に配置され、回転駆動される。
【0026】
ここで、採血針2と遠心ボウルE1の入口側である第1ポートE1aとは、第1のライン(ドナーチューブT1、第1血液ポンプP1、チューブT2、チューブT3a、第1開閉弁V1、チューブT3b、チューブT4)により接続されている。ここで、ドナーチューブT1には、圧力センサC1が接続している。
【0027】
遠心ボウルE1の第2ポートE1bに接続するチューブT5は、チューブT15、及びチューブT6aに分岐される。チューブT6aは、第2開閉弁V2の第1ポートに接続し、第2開閉弁V2の第2ポートはチューブT6bに接続している。チューブT6bは血漿バッグ(第1の容器)Y1の第2ポートY1bに接続している。
【0028】
ここで、遠心ボウルE1の第2ポートE1bと血漿バッグY1とは、第2ライン(チューブT5、チューブT6a、第2開閉弁V2、チューブT6b)により接続されている。なお、血漿バッグY1は2つあり、
図2乃至14においては1つに省略して記載している。
【0029】
また、血漿バッグY1の出力側である第1ポートY1aは、チューブT8aに接続している。チューブT8aは第3開閉弁V3の第1ポートに接続している。第3開閉弁V3の第2ポートはチューブT8bに接続し、チューブT8bはチューブT9に接続している。チューブT9は、第2血液ポンプP2の第2ポートに接続している。第2血液ポンプP2の第1ポートは、チューブT10bに接続し、チューブT10bは第4開閉弁V4の第2ポートに接続している。第4開閉弁V4の第1ポートはチューブT10aに接続している。チューブT10aは、第1ラインを構成するチューブT3b及びチューブT4の中間位置に接続している。すなわち、血漿バッグY1と第1ラインとは、第3ライン(チューブT8a、第3開閉弁V3、チューブT8b、チューブT9、第2血液ポンプP2、チューブT10b、第4開閉弁V4、チューブT10a)により接続されている。これにより、血漿バッグY1は、遠心ボウルE1の入口側または出口側と選択的に連通するように接続されている。
【0030】
チューブT5から分岐したチューブT15は、さらにチューブT11a、及びチューブT16に分岐される。チューブT11aは、第5開閉弁V5の第1ポートに接続し、第5開閉弁V5の第2ポートはチューブT11bに接続している。チューブT11bにより、一時貯留バッグY2の第2ポートY2bに接続している。すなわち、遠心ボウルE1の第2ポートE1bと一時貯留バッグY2とは、第4ライン(チューブT5、チューブT15、チューブT11a、第5開閉弁V5、チューブT11b)により接続されている。
【0031】
一時貯留バッグY2の第1ポートY2aは、チューブT12に接続し、チューブT13bとチューブT14aに分岐する。チューブT13bは、第6開閉弁V6の第1ポートに接続し、第6開閉弁V6の第2ポートはチューブT13aに接続している。チューブT13aは、第1ラインを構成するチューブT2、及びチューブT3aの中間位置に接続している。
【0032】
一方、チューブT12から分岐したチューブT14aは、第7開閉弁V7の第1ポートに接続し、第7開閉弁V7の第2ポートにはチューブT14bが接続している。チューブT14bはチューブT9、及びチューブT8bの中間位置に接続し、チューブT9は第2血液ポンプP2の第2ポートに接続している。第2血液ポンプP2の第1ポートは、チューブT10bに接続し、チューブT10bは第4開閉弁V4の第1ポートに接続している。第4開閉弁V4の第2ポートはチューブT10aに接続している。チューブT10aは第1ラインを構成するチューブT3b、及びチューブT4の中間位置に接続している。
【0033】
すなわち、一時貯留バッグY2と第1ラインとは、第5ライン(チューブT12、チューブT13b、第6開閉弁V6、チューブT13a)、及び第6ライン(チューブT12、チューブT14a、第7開閉弁V7、チューブT14b、チューブT9、第2血液ポンプP2、チューブT10b、第4開閉弁V4、チューブT10a)により接続されている。一時貯留バッグY2は、遠心ボウルE1の入口側または出口側と選択的に連通するように接続されている。
【0034】
一方、チューブT15から分岐したチューブT16は、さらに2つのチューブT17a、及びチューブT18aに分岐している。チューブT17aは、第8開閉弁V8の第1ポートに接続し、第8開閉弁V8の第2ポートはチューブT17bに接続している。チューブT17bは血小板中間バッグ(第3の容器)Y3の入力側である第1ポートY3aに接続している。
【0035】
一方、チューブT16から分岐したチューブT18aは、第9開閉弁V9の第1ポートに接続し、第9開閉弁V9の第2ポートはチューブT18bに接続している。チューブT18bはエアバッグY4に接続している。
【0036】
すなわち、遠心ボウルE1の第2ポートE1bと血小板中間バッグY3とは、第7ライン(チューブT5、チューブT15、チューブT16、チューブT17a、第8開閉弁V8、チューブT17b)により接続されている。これにより、血小板中間バッグY3は、遠心ボウルE1の出口側に連通するように接続されている。
【0037】
遠心ボウルE1の第2ポートE1bと接続するチューブT5には、血小板の濃度を検出するための濁度センサC2、及び圧力センサC3が取り付けられている。濁度センサC2は、チューブT5内を通る血漿が血小板で濁った状態になる度合いを検出している。また、遠心ボウルE1が取り付けられている周辺部には、遠心ボウルE1内に形成されるバフィーコート層BC(
図15参照)の界面位置を検出するための界面センサC4が取り付けられている。
【0038】
血小板中間バッグY3の出力側である第2ポートY3bから出たチューブT19は、チューブT20a、及びチューブT21に分岐され、チューブT20aは、第10開閉弁V10は第1ポートに接続し、第10開閉弁V10の第2ポートはチューブT20bに接続している。チューブT21は、第3血液ポンプP3の出力側である第1ポートに接続している。
【0039】
第3血液ポンプP3の入力側である第2ポートは、除菌フィルタ9を介して、瓶針10により血小板保存液瓶に接続している。チューブT20bは、白血球除去フィルタ11を介して、血小板バッグY5に接続している。また、血小板バッグY5には、エアバッグY6が接続している。
【0040】
一方、ドナーチューブT1の途中には、ACDポンプP4の出力ポートが接続されている。ACDポンプP4の入力ポートは、除菌フィルタ12の出力ポートに接続されている。除菌フィルタ12の入力ポートは瓶針13によりACD貯蔵瓶に接続している。
【0041】
ここで、
図20に示すように、制御部15は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、第1血液ポンプP1、第2血液ポンプP2、第3血液ポンプP3、ACDポンプP4、遠心ボウル駆動装置14、圧力センサC1、濁度センサC2、圧力センサC3、界面センサC4、第1開閉弁V1、第2開閉弁V2、第3開閉弁V3、第4開閉弁V4、第5開閉弁V5、第6開閉弁V6、第7開閉弁V7、第8開閉弁V8、第9開閉弁V9、及び第10開閉弁V10が電気的に接続されている。
【0042】
そして、各センサC1、C2、C3、C4からの検出信号が、それぞれ制御部15に随時入力される。制御部15は、これらの検出信号などに基づき、各ポンプP1、P2、P3、P4の稼働/停止、回転方向(正転/逆転)及び回転数を制御するとともに、必要に応じ、各開閉弁V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10の開閉及び遠心ボウル駆動装置14の作動を制御する。
【0043】
チューブの構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETやPBTなどのポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、などの各種熱可塑性エラストマーが挙げられるが、その中でも特にポリ塩化ビニルが好ましい。ポリ塩化ビニルであれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるうえ、取り扱いが容易であり、クレンメ等による閉塞にも適している。
【0044】
バッグを構成する材料としては、可塑剤としてDEHPが用いられている軟質のポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィンあるいはジオレフィンを重合、共重合した重合体を使用でき、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAと各種熱可塑性エラストマーとのポリマーブレンドなど、これらを各種任意に組み合わせたものが挙げられる。さらに、PET,PBT,PCGTなども用いることが可能である。これらの中でも特にポリ塩化ビニルが好適であるが、血小板を保存する容器には血小板の保存性を向上させるため、ガス透過性に優れたものが好ましく、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニルなどを用いたり、シートの厚さを薄くしたものを用いるのが好ましい。
【0045】
図15に、遠心ボウルE1の構造を示す。中心線より右側が断面図であり、左側が点線で外観図を示している。血液成分分離装置内で、回転しない固定部分である固定部20には、流入口E1a、流出口E1bが形成されている。固定部20には、カバー17、及び下向きに延設された流入管18が連結している。これら固定部分に対して、側壁21、外殻22、内殻23、底板16が回転可能に一体的に保持されている。底板16は、遠心ボウル駆動装置14に吸着等されており、遠心ボウル駆動装置14により回転力が与えられる。
図15には、遠心ボウルE1内に流入口E1aから全血が供給され、遠心力により血液成分が分離されている状態を示している。
【0046】
すなわち、外殻22と側壁21とで形成される空間では、遠心力により、外側から比重の大きい順に、赤血球層RBC、白血球層WBC、バフィーコート層BC、血小板層PLT、血漿層PPPが形成される。ここで、白血球層WBCと血小板層PLTとは、比重が近いため、分離しにくい。そのため白血球層WBCと血小板層PLTとを含むバフィーコート層BCが存在する。一般的に、全血の内訳は、血漿PPPが約55%、赤血球RBCが約43.2%、白血球WBCが約1.35%、血小板PLTが約0.45%である。
【0047】
遠心ボウルE1では、流入管18の中間点より少し上側に形成された流出通路19が内周部に形成されているため、外殻22と側壁21とで形成される空間において、内周に形成されている血漿層PPPから流出口E1bを通過して、遠心ボウルE1の外へ流出する。
【0048】
次に、上記構成を有する血液成分分離装置の作用について、
図18、19にフローチャートを示し、
図2乃至
図14に血液成分分離装置の作用、工程を示す。本装置は、高濃度の血小板液を採取することを目的としている。ポンプのうち、白抜きの表示は、稼働している状態を示し、黒塗りの表示は停止している状態を示している。また、開閉弁のうち、白抜きの表示は、開いている状態を示し、黒塗りの表示は閉じている状態を示している。
図16に、時系列的に血液成分分離装置の動作・作用を工程図として示す。
【0049】
始めに、
図18のプライミング工程(S1)を行う。ACDポンプP4、第1
血液ポンプP1が駆動され、血液の凝固を防止するためのACD液が、開かれている第1開閉弁V1を介して、遠心ボウルE1に供給され、遠心ボウルE1、第1
血液ポンプP1等のプライミング工程(S1)を行う。プライミングとは、血液を流したときに凝固しないように、予め、ドナーチューブT1、第1
血液ポンプP1、及び遠心ボウルE1内等の血液に接触する部分にACD液を付着させる工程である。プライミング工程から遠心ボウル駆動装置14により、遠心ボウルE1は所定の回転数で回転している。
【0050】
プライミング工程(S1)が終わると、採血針2を供血者に穿刺し、全血の採取を開始する(S2)。
図2は、採血開始工程(第1工程)を示す図である。
【0051】
まず、採血針2を供血者に穿刺した後、初流血採取回路中の初流血採取バッグY7(
図1参照)に初流血を採取する。このときドナーチューブT1上に設けられた分岐部では、最初は採血針2と初流血採取ライン4(
図1参照)とを接続するように構成されている。初流血バッグに所定量の血液を貯留したならば、クレンメ8(
図1参照)にて初流血採取ライン4を閉塞し、ドナーチューブT1の第1血液ポンプP1側の流路を確保する。
【0052】
このときも、ACDポンプP4が駆動され、ACD液がドナーチューブT1に供給され、全血と混合されて遠心ボウルE1に全血が供給される。回転している遠心ボウルE1に全血が供給されると、遠心ボウルE1の内周部に位置する流出通路19(
図15参照)より、
図2に示すように、遠心ボウルE1内の空気(点線で示す)が血漿に押されて流れ出る。流れ出た空気は、開かれている第9開閉弁V9を介して、エアバッグY4に貯えられる。
【0053】
遠心ボウルE1では、
図15に示すように、供給された全血にボウル内で遠心力を付与することにより、全血が各成分に分離される。
【0054】
次に、濁度センサC2が、チューブ内を流れる流体が、空気から血漿に変化したことを検出すると、
図3に示すように、第9開閉弁V9を閉じて、第2開閉弁V2を開いて、遠心ボウルE1からあふれ出た血漿を血漿バッグY1に貯える。これが遠心分離工程(S3)である。
図15に示すように、遠心ボウルE1から始めのうち出てくるのは、血漿のみである。
【0055】
次に、血漿バッグY1にある程度の血漿(本実施例では、30ml)が貯えられたら(S4:YES)、
図4に示すように、第3開閉弁V3を開き、第2血液ポンプP2を駆動し、さらに第4開閉弁V4を開いて、供血者から全血を採取すると共に、血漿バッグY1に貯えられている血漿を全血に混ぜて、遠心ボウルE1に供給する。これが第3工程(クリティカルフロー工程)S5である。これが、
図16に示すクリティカルフロー期間TEである。
【0056】
次に、
図15におけるバフィーコート層BCと赤血球層RBCとの界面が所定の位置に来たことを、界面センサC4が検出すると(S6:YES)、
図5に示すように、第2開閉弁V2、第3開閉弁V3、第4開閉弁V4を開いた状態を保持し、及び第2血液ポンプP2を駆動した状態を保持して、血漿バッグY1内の血漿は第3開閉弁V3、第2血液ポンプP2、第4開閉弁V4、遠心ボウルE1、第2開閉弁V2を通って、再び血漿バッグY1に戻す循環・加速工程のうちの循環工程(第4工程)を行う(S9、S12)。このとき、採取した全血が遠心ボウルE1に流入することのないよう第1開閉弁V1を閉じる。
図16に示す循環期間TFである。
【0057】
同時に、現在のサイクルが最終サイクルか否かを判断し、最終サイクルでない場合には(S7:NO)、第6開閉弁V6を開き、第1血液ポンプP1を駆動した状態を保持し、一時貯蔵バッグY2に、採取した全血を貯える(S11)。換言すると、一時貯留バッグY2へ採取した全血を貯えることで全血の採取を継続する。全血の採取の継続は、循環・加速工程が終了するまで継続するか、あるいはあらかじめ規定された時間、採取量に達するまで行う。最終サイクルの場合には(S7:YES)、第1血液ポンプP1を停止して、採血を停止する(S8)。
【0058】
本実施例の循環・加速工程のうちの循環工程では、クリティカルフロー工程よりも循環速度を速くして、100ml/分程度の速度で30〜40秒程度血漿を、遠心ボウルE1内を通過して循環させる。これにより、
図15のバフィーコート層BCにおける粒状物濃度の低減が起き、血小板と比較して、より比重の大きい白血球層WBCがバフィーコート層BCの外側に沈積することになる。すなわち、血小板層PLTと白血球層WBCとをより明確に分離できるのである。
【0059】
次に、循環工程を一定時間行った後、
図6に示す循環・加速工程のうちの加速工程(第5工程)に入る。加速工程では、第2血液ポンプP2の回転数を制御することにより、徐々に回転数を高めて血漿の流量を、順次増分する。本実施例では、100ml/分から始めて流量を増加させ、血小板が流出してくるまで血漿流量を加速する。
図16に示す加速期間TGである。
図18では、循環工程と加速工程とを合わせて、循環・加速工程(S9)として表現している。
【0060】
この加速工程により、
図15において、血小板PLTは、上昇する方向に力を得て、流出通路19から遠心ボウルE1の外部へと放出される。この加速によっては、比重の大きい白血球層WBCや赤血球層RBCは、遠心力のほうが強いため、流出通路19から出てゆくことはない。
【0061】
血小板、白血球、及び赤血球の流出する濃度変化を
図17に示す。横軸は、血小板採取時の時間経過であり、縦軸は流出する血球成分の濃度である。始め血小板の流出(流出期間TA)があり、血小板の流出量は徐々に増加し、最大流量を過ぎると徐々に減少する。白血球も同様に、流出量は徐々に増加し、最大流量を過ぎると徐々に減少する。
【0062】
S9の詳細を、
図19に血液成分分離装置の作用を示すフローチャートとして示す。血小板の流出期間TAは、始めに低濃度の血小板液が流出する低濃度期間TBがあり、続いて高濃度の血小板液が流出する高濃度期間TCがあり、その後、再び低濃度の血小板液が流出する低濃度期間TDに分割できる。ここで、高濃度の血小板液を得るためには、低濃度の血小板液は不要である。
【0063】
本実施例では、加速工程において、
図6に示すように、濁度センサC2が血小板を検出した後、すなわち、TB期間であると判断すると(S21:YES)、第2開閉弁V2を閉じて、第5開閉弁V5を開いて、
図17の低濃度の期間TBの血小板液を一時貯留バッグY2に貯えている(S22)。このとき、一時貯留バッグY2には、全血も流入され貯えられているので、低濃度の血小板液は、全血と混ざった状態で一時貯留バッグY2に貯えられる。このときも、第1血液ポンプP1は駆動した状態が保持され、供血者から採取した全血は、一時貯留バッグY2に貯えられ続ける。ここで、一時貯留バッグY2は、全血バッグと同時にバフィーコートバッグとしても使用されている。
【0064】
次に、濁度センサC2が、血小板液が高濃度であることを検出すると、TC期間であると判断して(S23:YES)、
図7に示すように、第5開閉弁V5を閉じて、第8開閉弁V8を開く。これにより、高濃度の期間TCのときに流出する高濃度の血小板液を血小板中間バッグY3に貯えることができる(S24)。
【0065】
最後のサイクルでないときは(S7:NO)、このときも、第1血液ポンプP1は駆動した状態が保持され、供血者から採取した全血は、第6開閉弁V6を介して一時貯留バッグY2に貯えられ続ける。
【0066】
次に、濁度センサC2が、血小板の濁度が所定の値を下回ったことを検出すると、TD期間であると判断して(S25:YES)、
図8に示すように、血小板中間バッグY3に低濃度の血小板液を入れないために第8開閉弁V8を閉じて、第5開閉弁V5を開く。これにより、低濃度の期間TDのときに流出する低濃度の血小板液を、再び一時貯留バッグY2に貯えることができる(S26)。
【0067】
最後のサイクルでないときは(S7:NO)、このときも、第1血液ポンプP1は駆動した状態が保持され、供血者から採取した全血は、第6開閉弁V6を介して一時貯留バッグY2に貯えられ続ける。
【0068】
次に、濁度センサC2が検出する血小板の濁度が所定値を下回ると、TD期間が終了したと判断して(S27:YES)、血小板の流出が終了したと判断して、
図9に示す返血工程に移行する(S10、S13)。
【0069】
すなわち、遠心ボウルE1の回転を停止し、第6開閉弁V6、及び第5開閉弁V5を閉じ、第1開閉弁V1、及び第9開閉弁V9を開いて、第1血液ポンプP1を逆回転させて、遠心ボウルE1内に残されている血液を供血者に返す返血を開始する。ここで、第1血液ポンプP1の逆転スピードは、正転スピードの倍速で駆動させ、返血時間を短縮している。また、必要に応じて、第2血液ポンプP2を駆動して、採りすぎて血漿バッグY1に貯えられている血漿を返血する。
【0070】
返血が終了したら、最後のサイクルの場合は(S7:YES)、全工程を終了する。最後のサイクルでない場合は(S7:NO)、
図10に示すように遠心ボウルE1の回転を開始し、第1血液ポンプP1を再び正転回転させて、採血を再開する。遠心ボウルE1の内周部に位置する流出通路19より、遠心ボウルE1内の空気(点線で示す)が血漿に押されて流れ出る。流れ出た空気は、開かれている第9開閉弁V9を介して、エアバッグY4に貯えられる。このとき、一時貯留バッグY2に貯えられている血液も、第7開閉弁V7を開き、第2血液ポンプP2を駆動して、第4開閉弁V4を通って採血された全血と同時に遠心ボウルE1に流入させる(S14)。このとき、血漿バッグY1に流体が流入することのないように第3開閉弁V3を閉じる。
【0071】
次に、濁度センサC2が、チューブ内を流れる流体が、空気から血漿に変化したことを検出すると、
図11に示すように、第9開閉弁V9を閉じて、第2開閉弁V2を開いて、遠心ボウルE1からあふれ出た血漿を血漿バッグY1に貯える。
【0072】
次に、一時貯留バッグY2の血液が全て遠心ボウルE1に戻ったことを確認し、血漿バッグY1に所定量の血漿が貯えられたことを確認すると(S4:YES)、
図12(
図4と同じ状態)に示すように、第2血液ポンプP2を駆動した状態が保持され、第7開閉弁V7を閉じ、血漿バッグY1に貯えられている血漿を全血に混ぜて、遠心ボウルE1に供給するために第3開閉弁V3を開いて、血漿のクリティカルフロー工程を開始する。以下、
図5の工程(循環工程)に続く。
【0073】
このサイクルは、所定量の血小板PLTが確保されるまで、通常3サイクルか4サイクル行われる。例えば、3サイクルで終了するときは、第2サイクルの循環期間TF2、及び加速期間TG2のときに、並行して採血を行い、一時貯留バッグY2に全血を貯留する。そして、第3サイクルの採血時に、一時貯留バッグY2内の血液を全血に混ぜて、遠心ボウルE1に供給する。そして、第3サイクルのときには、循環期間TF3、及び加速期間TG3のときに、採血を行わない。第4サイクルがないからである。
【0074】
3サイクルで終了する場合には、第3サイクルの返血が終了すれば、供血者から採血針2を外して、採血は終了する。
【0075】
次に、第3血液ポンプP3を駆動して、血小板保存液瓶に接続している瓶針10により、血小板保存液の適量を血小板中間バッグY3に注入する。その後、
図13に示すように、第10開閉弁V10を開いて、血小板中間バッグY3内に貯蔵されている高濃度の血小板液を、白血球除去フィルタ11を介して、血小板バッグY5に注入する。このとき、血小板バッグY5内に存在した空気は、エアバッグY6に移動する。
【0076】
血小板中間バッグY3内に貯蔵されていた高濃度の血小板液が全て出たことを確認した後、
図14に示すように、第3血液ポンプP3を駆動して、血小板保存液瓶に接続している瓶針10により、血小板保存液瓶に残っている血小板保存液を、除菌フィルタ9、及び白血球除去フィルタ11を介して、血小板バッグY5に注入する。これにより、白血球除去フィルタ11に残存している濾過処理済みの高濃度の血小板液を回収する。その後、血小板バッグの2本のチューブを密閉する。これにより、高濃度の血小板液が貯えられた血小板バッグY5が完成する。
【0077】
以上詳細に説明したように、本実施例の血液成分分離装置によれば、(1)血液から所定の血液成分を分離するための遠心ボウルE1と、遠心分離した所定の血液成分を収容する容器(血漿バッグY1、血小板中間バッグY3)を備える血液成分分離装置において、a)供血者から採取した全血を第1血液ポンプP1により遠心ボウルE1に導入し、複数の血液成分に分離する遠心分離工程と、b)遠心分離された血液成分のうち、遠心分離により分離され、血漿バッグY1(第1の容器)に貯蔵された血漿(第1の血液成分)を遠心ボウルE1内に全血と共に導入するクリティカルフロー工程(本発明における循環フロー工程)と、c)クリティカルフロー工程にて、血漿を分離後、遠心ボウルE1に血漿バッグY1に貯蔵された血漿のみを第2血液ポンプP2により導入し、所定時間さらに循環させた後、循環速度を加速することにより、血小板(第2の血液成分)を遠心ボウルE1により分離し、採取する循環・加速工程とを有し、循環・加速工程の少なくとも一部の期間において、供血者から採取した全血を一時貯留バッグY2(一時貯留容器)に一時的に貯留すること、一時貯留バッグY2に接続する一方のチューブT11bが、チューブT11a、チューブT15、チューブT5を介して遠心ボウルE1の出口ポートE1bに接続され、他方のチューブT12が、チューブT13b、及びチューブT13aを介して血漿バッグY1と第2血液ポンプP2の間
の流路に接続されていることを特徴とし、さらに、(2)(1)に記載の血液成分分離装置において、好ましくは、第2血液ポンプP2により、次サイクルの遠心分離工程において、前サイクルにおいて一時貯留バッグY2に貯留された全血及び低濃度血小板液の少なくとも一方を遠心ボウルE1に導入することを特徴とするので、前サイクルにおいて貯留した全血及び低濃度血小板液のいずれか一方を遠心ボウルE1に速やかかつ確実に導入することができる。
【0078】
(3)(1)または(2)に記載の血液成分分離装置において、好ましくは、前記他方のチューブT12が、分岐され、チューブT13b、チューブT13a、チューブT2を介して第1血液ポンプP1の出口ポートに接続されていること、他方のチューブT12の分岐された2つのチューブT13b、チューブT14aに各々第6開閉弁V6、第7開閉弁V7が接続されていることを特徴とするので、一時貯留バッグY2に貯留された全血及び低濃度の第2の血液成分の少なくともいずれか一方を遠心分離器E1に導入するための血液ポンプを増設しなくとも、第2血液ポンプP2を利用することができるため、装置を大きくする必要がないと共に、コストダウンできる。また、高低差を利用して血液ポンプを使用しない場合と比較して、血液ポンプを使用することにより短時間で一時貯留バッグY2に貯留された全血及び低濃度の第2の血液成分の少なくともいずれか一方を遠心分離器E1に導入することができる。
【0079】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の血液成分分離装置において、d)循環・加速工程において、血小板を採取後、採取しなかった血液成分について供血者へ返血する返血工程を有し、(a)〜(d)の工程を1サイクルとして、一時貯留バッグY2(一時貯留容器)に貯留された全血を、次サイクルの遠心分離工程において、次サイクルで採取された全血と併せて遠心ボウルE1に導入することを特徴とするので、第1サイクル(今回のサイクル)の循環・加速工程を行いながら、並行して供血者から全血を採取できるため、第2サイクル(次回のサイクル)における全血採取時間を短縮でき、全体の処理時間を短縮することができ、供血者の時間的な負担を軽減することができる。
【0080】
例えば、一般的に1サイクル当たりの採血時間(遠心分離工程+クリティカルフロー工程)は、約12分、循環・加速工程のうち循環工程は、30〜40秒、循環・加速工程のうち加速工程は、20〜30秒、返血時間は、約5分である。本発明によれば、第1サイクルで約1分採血を事前に行っているので、第2サイクルの採血時間を、1分間短縮して、約11分にすることができる。同様に、全体で3サイクル行う場合には、第3サイクルの採血時間を、1分間短縮して、約11分にすることができる。
【0081】
ここで、供血者にとっては、体外循環する血液量が増加する問題があるが、供血者の90%は、問題ないと考えられる。また、事前の検査により、体外循環する血液量を増加させると問題がありそうな場合には、切り替えスイッチにより、第1サイクル(今回サイクル)の循環・加速工程と並行して全血の採取を行わず、返血後に第2サイクル(次回サイクル)の全血採取を行えばよい。最終サイクルを行うときには、次回サイクルがないのであるから、次回サイクル用の全血採取を行わないことは、当然である。
【0082】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の血液成分分離装置において、好ましくは、循環・加速工程は、血小板液(第2の血液成分)のうち、低濃度血小板液(低濃度の第2の血液成分)を一時貯留バッグY2に移送する第1の採取工程と、血小板液のうち、高濃度血小板液(高濃度の第2の血液成分)を採取する第2の採取工程とを有し、一時貯留バッグY2に移送された低濃度血小板液は、次サイクルにおいて一時貯留バッグY2内に採取された全血とともに、次サイクルにおいて採取された全血と併せて遠心ボウルE1に導入されることを特徴とするので、高濃度の血小板を得るためのBC
リサイクルに適用することができ、第1サイクル(今回のサイクル)の循環・加速工程を行いながら、並行して供血者から全血を採取できるため、第2サイクル(次回のサイクル)における全血採取時間を短縮でき、全体の処理時間を短縮することができ、供血者の時間的な負担を軽減することができる。
【0083】
(6)(5)に記載の血液成分分離装置において、好ましくは、循環・加速工程において低濃度血小板液を一時的に貯留する第2の容器を備え、第2の容器が一時貯留バッグY2に兼用されるものであることを特徴とするので、第2の容器を増設する必要がないため、装置を大きくする必要がないと共に、使い捨ての第2の容器を特別に用意しなくてもよいため、コストダウンできる。
【0084】
以上本発明の具体的な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、色々な応用が可能である。例えば、本実施例では、一時貯留バッグY2で、バフィーコートバッグと全血バッグとを兼用させているが、バフィーコートバッグと全血バッグとを、別々なバッグとして並列に設けても良い。本実施例では、循環・加速工程の全期間において、並行して全血の採取を行っているが、一部の期間についてのみ並行して、全血の採取を行っても良い。本実施例では、循環・加速工程に並行して、全血の採取を行うことを記載したが、血液成分分離装置に、切り替えスイッチを設けて、全血採取の並行実施を止めて従来通りとしても良い。