特許第5863987号(P5863987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863987
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】可動支持部に発光体を備えた照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20160204BHJP
   F21S 8/12 20060101ALI20160204BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20160204BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160204BHJP
【FI】
   F21S2/00 355
   F21S8/12 281
   F21W101:10
   F21Y101:02
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-542736(P2014-542736)
(86)(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公表番号】特表2015-502018(P2015-502018A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2012068552
(87)【国際公開番号】WO2013075859
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】102011087112.8
(32)【優先日】2011年11月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512288684
【氏名又は名称】オスラム ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OSRAM GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(72)【発明者】
【氏名】メール、オリファー
(72)【発明者】
【氏名】ラープス、ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】クレル、ヨーゼフ
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−529610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/12
F21W 101/10
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次光(P)を発生するための1つの発光デバイス(12)と、
前記一次光(P)を第1の二次光(S1)に波長変換するための第1発光体(16)と、
前記一次光(P)を第2の二次光(S2)に波長変換するための第2発光体(20)とを少なくとも有する照明装置(11;31;41)であって、
前記第1発光体(16)が可動支持体(15)に取り付けられ、この可動支持体が前記第1発光体(16)を前記一次光(P)の光路に交互に出し入れするように設けられており、
前記第2発光体(20)が、固定支持体(21)に取り付けられており、
前記可動支持体が、前記一次光(P)の光路を通り抜ける複数のセグメント(17;19;22)を備えた回転可能な発光体回転輪(15)であり、
少なくとも1つの発光体セグメント(17)が前記第1発光体(16)を有し、
少なくとも1つの光通過セグメント(19)が少なくとも前記一次光(P)と前記第2の二次光(S2)とを通過させるセグメントであり、
少なくとも1つの反射セグメント(22)が少なくとも前記一次光(P)を反射するセグメントであり、
前記発光デバイス(12)から放射された一次光(P)が前記光通過セグメント(19)を通って前記第2発光体(20)に照射可能であり、
前記第2発光体(20)から放射された第2の二次光(S2)が前記光通過セグメント(19)を通って反対方向に放射可能であることを特徴とする照明装置(11;31;41)。
【請求項2】
前記照明装置(11;31;41)が、前記発光デバイス(12)と前記発光体回転輪(15)との間に設置された第1の色選択性反射要素(14)を有し、
この第1の色選択性反射要素が前記発光デバイス(12)から放射された一次光(P)に対して透過性を有するように形成され、前記一次光(P)、前記第1の二次光(S1)及び前記第2の二次光(S2)の少なくとも1つに対して反射性を有するように形成されていることを特徴とする請求項に記載の照明装置(11;31;41)。
【請求項3】
前記第1の色選択性反射要素(14)が、前記発光体回転輪(15)により反射された一次光(P)、前記第1の二次光(S1)および前記第2の二次光(S2)に対して反射性を有するように形成されており、
前記照明装置(11)が次のように構成されている:すなわち、
発光体セグメント(17)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、このセグメントから放射された光(S1)が前記第1の色選択性反射要素(14)で反射され、
反射セグメント(22)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、この反射セグメント(22)に照射された一次光(P)はこの色選択性反射要素(14)へ向けて反対方向に反射され、
光通過セグメント(19)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、前記第2発光体(20)から放射された光(S2)はこの光通過セグメント(19)を通ってこの色選択性反射要素(14)に向けて放射されるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の照明装置(11)。
【請求項4】
前記第1の色選択性反射要素(14)が、少なくとも前記第1の二次光(S1)に対して反射性を有するように形成されており、
前記照明装置(31)が、前記発光体回転輪(15)と前記第2発光体(20)との間に設置された第2の色選択性反射要素(32)を有し、この第2の色選択性反射要素が前記光通過セグメント(19)を通って照射された一次光(P)に対しては透過性を有するように形成され、かつ、前記第2発光体(20)から放射された第2の二次光(S2)に対しては反射性を有するように形成され、
前記照明装置(31)が次のように構成されている:すなわち、
発光体セグメント(17)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、このセグメント(17)から放射された光(S1)が前記第1の色選択性反射要素(14)で反射され、
反射セグメント(22)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、この反射セグメント(22)に照射された一次光(P)は前記第1の色選択性反射要素(14)へ向けて反対方向に反射され、
光通過セグメント(19)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、このセグメント(19)を通過した一次光(P)は前記第2の色選択性反射要素(32)を通って前記第2発光体(20)に照射され、前記第2発光体(20)から放射された第2の二次光(S2)は前記第2の色選択性反射要素(32)によって反射されるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の照明装置(31)。
【請求項5】
前記第1の色選択性反射要素(14)が、前記一次光(P)に対して偏光に依存する透過率を有し、
前記色選択性反射要素(14)と前記発光体回転輪(15)との間に、前記一次光(P)に作用して偏光(T1;T2)を変化させる1つの光学要素が設置されていることを特徴とする請求項またはに記載の照明装置(11;31)。
【請求項6】
前記第1の色選択性反射要素(14)が、少なくとも前記第2の二次光(S2)に対して反射性を有するように形成されており、
前記照明装置(41)がもう1つの色選択性反射要素(42)を有し、この色選択性反射要素(42)が、前記一次光(P)と前記第1の二次光(S1)の反射された光路において前記発光体回転輪(15)の後方に、かつ、前記第2の二次光(S2)の光路において前記第1の色選択性反射要素(14)の後方に設置され、この色選択性反射要素(42)が前記一次光(P)および前記第1の二次光(S1)に対しては反射性を有するように形成され、前記第2の二次光(S2)に対しては透過性を有するように形成されており、
前記発光体回転輪(15)が前記一次光(P)の光路において傾斜して設置され、
前記照明装置(41)が次のように構成されている:すなわち、
発光体セグメント(17)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、この発光体セグメントから放射された光(S1)が前記もう1つの色選択性反射要素(42)に向けて放射され、
反射セグメント(22)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、この反射セグメント(22)から反射された一次光(P)は前記もう1つの色選択性反射要素(42)へ向けて放射され、
光通過セグメント(19)が前記一次光(P)の光路に入った場合には、前記第2発光体(20)から放射された第2の二次光(S2)は前記光通過セグメント(19)を通って前記第1の色選択性反射要素(14)に向けて放射され、そこで前記もう1つの色選択性反射要素(42)へ向けて反射されるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の照明装置(41)。
【請求項7】
前記発光デバイス(12)が、少なくとも1つのレーザ光源(13)を有することを特徴とする請求項1〜の1つに記載の照明装置(11;31;41)。
【請求項8】
前記一次光(P)が、青色光であり、
一方の二次光(S1;S2)が緑色であり、他方の二次光(S1;S2)が赤色であることを特徴とする請求項1〜の1つに記載の照明装置(11;31;41)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次光を発生するための1つの発光デバイスと、この一次光の波長を第1の二次光に変換するための1つの第1の発光体と、この一次光の波長を第2の二次光に変換するための1つの第2の発光体とを有する照明装置に関し、この発光体は1つの可動支持体上に設置されており、この可動支持体はこの発光体を一次光の光路中に交互に出し入れするために設けられている。本発明はさらに、発光デバイスにより発生された一次光から波長変換された2次光を発生するための方法に関する。本発明は特に、特に映画およびビデオ映写用の投射装置、工業用および医療用内視鏡検査における投射装置、エンターテインメント産業の照明効果用投射装置、医療用照射のための投射装置ならびに車両分野での照射装置、特に自動車のヘッドライトとして適用可能である。
【背景技術】
【0002】
複数の発光体が可動支持体としての1つの発光体回転輪に取り付けられている公知の照明装置によって、相異なる複数の発光体を順番に一次光で照射し、その結果、異なる色の2次光を順番に発生させることができる。その結果、この照明装置から放射された光は異なる2次光の、場合によっては一次光の、連続的な順番交代となり、この順番交代が十分に速い時には1つの混合光として認識される。この発光体回転輪へのこの取り付けは、一次光の照射によって加熱された発光体の排熱が不十分であり、その結果、第1に光出力が制限される、第2に発光体の劣化の危険があるという欠点がある。
【0003】
発光体が、支持体としての、可動でない、すなわち固定された冷却体上に取り付けられた諸照明装置も知られている。これによって発光体の効果的な排熱が可能となるが、2つ以上の2次光を発生しなければならない場合には複雑な光学構成が必要になるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来技術の諸欠点を少なくとも部分的に克服し、順番に発生された混合光を、簡単な構成で、且つ、効果的な冷却で発生することができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項の特徴により解決される。好ましい実施形態は、特に従属請求項から読み取れる。
【0006】
この課題は、一次光を発生するための1つの発光デバイスと、この一次光を第1の二次光に波長変換するための第1発光体と、この一次光を第2の二次光に波長変換するための第2発光体とを少なくとも有する照明装置によって解決され、第1発光体は、第1発光体を一次光の光路中に交互に入れたり出したりするために設けられた1つの可動支持体上に設置されており、第2発光体は1つの固定支持体上に設置されている。
【0007】
一次光、第1の二次光および第2の二次光は、それぞれ特に互いに異なるスペクトル成分を有し、特にそれぞれ互いに異なるピーク波長を有する。
【0008】
第1発光体ないし第2発光体による、一次光の第1の二次光及び/又は第2の二次光への波長変換は、それぞれ全体的にも、または部分的にも行うことができる。特に好ましいのはほぼ完全な変換である。
【0009】
短波長から長波長への変換(「Down Conversion」)が行われるのが好ましい。というのは、これは付加的なエネルギを必要としないからである。すなわち、この場合には一次光の波長は両方の二次光の波長よりも短い。
【0010】
ここで発光体は、波長変換を可能とするすべての、特に固体の物質と理解される。この波長変換は例えば、蛍光または燐光に基づくことができる。
【0011】
この照明装置は、この照明装置が可動支持体上に設置された第1発光体の利点(すなわち、比較的簡単な構成によって異なった色の光を供給可能である)と、固定支持体上に設置された第2発光体の利点(すなわち、容易に冷却可能である)とを組合わせることができる、という利点を有する。ここで、ストークスシフトが大きいほど、すなわち、一次光の励起波長が二次光の励起波長からより大きく異なっているほど、複数の発光体の(ここでは第1発光体と第2発光体の)加熱がより大きくなるということが利用される。これに、異なる温度安定性のような異なる材料特性が加わる。つまり、特に第1発光体が排熱性の劣る発光体回転輪上にあっても長時間安定して適切な波長変換を行うことができるのに対し、これに加えて、特に第2発光体は固定支持体によってより強く冷却することができる。この固定支持体は特に冷却体である。特に、この照明装置が厳密に1つの固定支持体しか有していない場合には、特に簡単な構成が可能である。
【0012】
この種の照明装置では、一次光、第1の二次光および第2の二次光は、特に混合光として放出される。特にこれらの光成分は順番に発生することができ、これらの光路すなわち光線路を1つに纏めることができる。これらの光成分の時間的な変化が人間の目の時間分解能よりも速いと、この時系列的な光の流れはこれらの光成分からなる複数の成分を有する混合光と知覚される。この混合光は、ここでは特に、第1の二次光と第2の二次光とからの複数の成分で合成される。構成によっては、この混合光は一次光の成分を有することもできる。
【0013】
さらに、この照明装置は2つの発光体だけを使用することに限定されない。つまり、「1つの第1発光体」は「少なくとも1つの第1発光体」と理解すべきである(すなわち、複数の異なる第1発光体を含むことができる)。同様に、「1つの第2発光体」は「少なくとも1つの第2発光体」と理解すべきである(すなわち、複数の異なる第2発光体を含むことができる)。
【0014】
2つ以上の可動支持体と2つ以上の固定支持体を使用することもできる。しかし、厳密に1つの可動支持体と厳密に1つの固定支持体とを使用することが、特に簡単な構成が可能となるので、好ましい。
【0015】
1つの実施形態では、この可動支持体は、一次光の光路を通り抜ける複数のセグメントを備えた回転可能な1つの発光体回転輪であり、少なくとも1つのセグメント(発光体セグメント)が第1発光体を備え、少なくとも1つのセグメント(光通過セグメント)が少なくとも一次光と第2の二次光とを通過させるセグメントであり、少なくとも1つのセグメント(反射セグメント)が少なくとも一次光を反射するセグメントであり、発光ユニットから放射された一次光が光通過セグメントを通って第2発光体に照射可能であり、第2発光体から放射された第1の二次光が光通過セグメントを通って反対方向に放射可能となっている。
【0016】
この発光体セグメントは特に1つの発光体層を有することができる。この発光体層の厚さ及び/又はこの発光体層の中の発光体の濃度によって、変換率を調整することができ、特に98%以上に調整できる。特に高い光利得を得るために、この発光体セグメントは反射するように発光体層の基部に形成することができる。
【0017】
光通過セグメントは、例えば、発光体回転輪における単純な貫通開口または穴とすることができるし、あるいは、光透過性の窓要素を有することもできる。
【0018】
この種の発光体回転輪によって、順番に、(i)一次光が第1の二次光に変換され、特に反対方向に放射され、(ii)一次光と第2の二次光がほぼ同時に通過し、(iii)一次光が反射される。こうして、一次光と複数の二次光成分とからなる光が順番に発生される。
【0019】
他の実施形態では、この照明装置が第1の色選択性の反射要素を有しており、この色選択性反射要素は発光ユニットと発光体回転輪との間に設置され、発光ユニットから放射された一次光を透過するように形成され、発光体回転輪から反射された一次光、第1の二次光及び/又は第2の二次光を反射するように形成されている。この構成の利点は、一次光の供給が単にこの色選択性反射要素によって行われ、また、混合光を生じさせる複数の光成分の少なくとも1つを同様に簡単な方法で導くことができることにある。これによって特にコンパクトな照明装置を供給することができる。
【0020】
別の実施形態では、第1の色選択性反射要素が、発光体回転輪から反射された一次光、第1の二次光および第2の二次光に対して反射するように形成され、本照明装置が次のように構成されている:すなわち、
発光体セグメントが一次光の光路に入った場合には、このセグメントから放射された光が第1の色選択性反射要素で反射され、
反射セグメントが一次光の光路に入った場合には、この反射セグメントに照射された一次光はこの色選択性反射要素へ向けて反対方向に反射され、
光通過セグメントが一次光の光路に入った場合には、第2発光体から放射された光はこの光通過セグメントを通ってこの色選択性反射要素に向けて放射される。
この構成の利点は、本照明装置から放射された、順番に生じる混合光放射を少ない光学要素により、そしてその結果、特に低コスト、かつ、コンパクトに発生できることにある。
【0021】
つまりこの構成では、発光体セグメントが光路に在る時には、特に第1の色選択性反射要素を通って放射された一次光は第1発光体に向けられ、そこで少なくとも部分的に第1の二次光に変換される。この発光体セグメントから放射された(少なくとも部分的に波長変換された)光は第1の色選択性反射要素に達し、そこから反射されて取り出される。
【0022】
次に、反射セグメントが光路に在る時には、特に第1の色選択性反射要素を通って放射された一次光はこの反射セグメントで第1の色選択性反射要素に向けて反対方向に反射され、そこから再度反射されて取り出される。すなわち、この第1の色選択性反射要素は一次光に対して、例えば、一次光の偏光状態に依存して、特定の条件下では透過性を有し、他の条件下では反射性を有する。
【0023】
次に、光通過セグメントが光路に在る時には、特に一次光はこれを通過して第2発光体に照射され、そこで少なくとも部分的に第2の二次光に変換される。この発光セグメントから放射された(少なくとも部分的に波長変換された)光はこの光通過セグメントを通って第1の色選択性反射要素に向けて反対方向に放射され、そこで反射されて取り出される。
【0024】
すなわち、この発光体回転輪を回転すると、一次光、第1の二次光(場合によっては一次光の残り成分を含む)および第2の二次光(場合によっては一次光の残り成分を含む)が順番にこの照明装置から、特に混合光として取り出される。
【0025】
さらに別の実施形態では、第1の色選択性反射要素が、発光体回転輪から反射された一次光、第1の二次光および第2の二次光に対して反射するように形成され、本照明装置が次のように構成されている:すなわち、
発光体セグメントが一次光の光路に入った場合には、このセグメントから放射された光が第1の色選択性反射要素で反射され、
反射セグメントが一次光の光路に入った場合には、この反射セグメントに放射された一次光はこの色選択性反射要素へ向けて反対方向に放射され、
光通過セグメントが一次光の光路に入った場合には、第2発光体から放射された光はこの光通過セグメントを通ってこの色選択性反射要素に向けて放射される。この構成の利点は、本照明装置から放射された、順番に生じる混合光放射を少ない光学要素により、そしてその結果、特に低コスト、かつ、コンパクトに発生できることにある。
【0026】
つまりこの構成では、発光体セグメントが光路に在る時には、特に第1の色選択性反射要素を通って放射された一次光は第1発光体に向けられ、そこで少なくとも部分的に第1の二次光に変換される。この発光体セグメントから放射された(少なくとも部分的に波長変換された)光は第1の色選択性反射要素に達し、そこから反射されて取り出される。
【0027】
次に、反射セグメントが光路に在る時には、特に第1の色選択性反射要素を通って放射された一次光はこの反射セグメントで第1の色選択性反射要素に向けて反対方向に反射され、そこから再度反射されて取り出される。すなわち、この第1の色選択性反射要素は一次光に対して、例えば、一次光の偏光状態に依存して、特定の条件下では透過性を有し、他の条件下では反射性を有する。
【0028】
次に、光通過セグメントが光路に在る時には、特に一次光はこれを通過して第2発光体に照射、そこで少なくとも部分的に第2の二次光に変換される。この発光セグメントから放射された(少なくとも部分的に波長変換された)光は、この光通過セグメントを通って第1の色選択性反射要素に向けて反対方向に放射され、そこで反射されて取り出される。
【0029】
また、他の実施形態では、第1の色選択性反射要素が少なくとも第1の二次光に対して反射するように構成され、この照明装置が発光体回転輪と第2発光体との間に設置された第2の色選択性反射要素を有し、この第2の色選択性反射要素は光通過セグメントを通って放射された一次光に対して透過するように構成され、第2発光体から放射された第2の二次光に対しては反射するように形成されており、この照明装置は次のように構成されている:すなわち、
発光体セグメントが一次光の光路に入った場合には、このセグメントから放射された光はこの色選択性反射要素で反射され、
反射セグメントが一次光の光路に入った場合には、この反射セグメントに照射された一次光はこの色選択性反射要素へ向けて反対方向に反射され、
光通過セグメントが一次光の光路に入った場合には、この光通過セグメントを通過した一次光は第2の色選択性反射要素を通って第2発光体に照射され、この第2発光体から放射された第2の二次光はこの第2の色選択性反射要素によって反射される。この構成により、第2発光体から放射された光を、第1の色選択性反射要素を介さずに、別のルートで取り出すことが可能となる。
【0030】
第1の色選択性反射要素は、複数の光成分(一次光、第1および第2の二次光)の特に1つだけに対して光透過性を有することができる。第1の色選択性反射要素は、特に2色性ミラーとすることができる。
【0031】
コンパクトな光ガイドと構成にとって特に有利な1つの方式は、第1の色選択性反射要素が可変の(つまり、少なくとも1つの調整可能なパラメータに依存する)光透過性を有することである。このパラメータは、特に偏光あるいは偏光度とすることができる。例えば、第1の色選択性反射要素を発光ユニットから放射された一次光に対して光透過性にすることができる。というのは、この一次光が透過に適した偏光または偏光度を有しているからである。少なくとも反射されたこの一次光は透過に適さない偏光または偏光度を有しており、したがって、反射されることができる。
【0032】
さらに別の実施形態では、第1の色選択性反射要素が一次光に対する偏光依存性透過係数を有し、この色選択性反射要素と発光体回転輪との間に、一次光に作用して偏光を変化させる光学要素が設置されている。この偏光を変化させる光学要素によって、一次光の偏光は第1の色選択性反射要素の後方で適切に調整することができるので、改めて入射した時に反射することができる。偏光を変化させるこの光学要素は、特に波長板、特に四分の一波長板、すなわち、λ/4板とすることができる。これに代えて、あるいはこれに加えて、当業者に公知の偏光を変化させる他のデバイスを使用することもできる、例えば、ファラデー回転子またはカーセル(独:Kerr−Zelle、英:Kerr cell)である。
【0033】
更なる実施形態では、第1の色選択性反射要素が少なくとも第2の二次光に対して反射性を有するように構成され、この照明装置がもう1つの色選択性反射要素を有しており、このもう1つの色選択性反射要素は一次光および第1の二次光の光路において発光体回転輪の後方に、かつ、第2の二次光の光路において第1の色選択性反射要素の後方に設置されており、一次光と第1の二次光に対しては反射するように構成され、第2の二次光に対しては透過するように構成され、発光体回転輪は一次光の光路において傾斜して配置されており、この照明装置は次のように構成されている:すなわち、
発光体セグメントが一次光の光路に入った時には、この発光体セグメントから放射された光は第2の色選択性反射要素に向けて放射され、
反射セグメントが一次光の光路に入った時には、この反射セグメントから反射された一次光は第2の色選択性反射要素に向けて放射され、
光通過要素が一次光の光路に入った時には、第2発光体から放射された光はこの光通過セグメントを通って第1の色選択性反射要素に向けて放射され、そこで第2の色選択性反射要素に向けて反射される。この構成の場合には、発光体回転輪の簡単な傾斜配置により、発光体回転輪から放射された光(一次光および第1の二次光)を、第1の色選択性反射要素を介さずに、別のルートで取り出すことが可能となる。こうして、波長板を省くことができる。
【0034】
発光ユニットは少なくとも1つの光源を有する。この発光デバイスが少なくとも1つのレーザ光源を有すると特に有利である。レーザ光源は、高強度で狭帯域のスペクトルを発生することができるという利点を有する。しかし、例えば、複数の広帯域放射光源と後置された複数のスペクトルフィルタの組み合わせも使用できる。
【0035】
少なくとも1つの光源が少なくとも1つの半導体光源を含むと、コンパクト、かつ、安価に提供できるので、有利である。この少なくとも1つの半導体光源は特に少なくとも1つのレーザダイオードまたは少なくとも1つの光ダイオードを含むことができるが、これに限定されない。しかし、光源はこれらに限定されるものではなく、特に偏光された放射を有する、特に全ての種類のレーザ光放射源を含むことができる。
【0036】
ここで光とは、一般的に紫外光、可視光及び/又は赤外光のことである。
【0037】
さらに別の実施形態では、一次光が特に約445nmのピーク波長を有する青色光であり、1つの二次光が緑色光であり、もう1つの2次光が赤色光である。特に青色光は、更にエネルギを注入することなく、赤色および緑色に変換できる。これらの3つの光成分は混合光として大面積の色空間を拡大し、特に白色の混合光を発生することができる。
【0038】
他の実施形態では、第1の二次光が赤色光であり、第2の二次光が緑色光である。この代案として、第2の二次光を赤色光とし、第1の二次光を緑色光とすることができる。
【0039】
しかし、本照明装置はこのような色選択に限定されない。例えば、赤色及び/又は緑色の二次光に代えて、これに加えて、又はこの代りに、他の色の二次光を使用することができる。
【0040】
一次光として紫外光(UV光)を使用することもできる。特にこの場合にも、前述の反射セグメントの代りに、もう1つの発光体セグメントを発光体回転輪上に使用することができる。この場合にはUV光は例えば、発光体回転輪上の第1および第3発光体により、および、固定支持体上の第2発光体により可視の二次光に変換できる。例えば、第1発光体はUV光を緑色光または赤色光に、第2発光体はUV光を赤色光あるいは緑色光に変換し、第3発光体はUV光を青色光に変換することができる。
【0041】
しかし、UV光の代りに短波長の、例えばピーク波長が約445nmの青色光を使用することもでき、第3発光体によってより長波長の、例えばピーク波長が約460nmの青色光に変換することができる。
【0042】
ごく一般的に反射セグメントを省略することもでき、1つまたは複数の発光体から放射された光、すなわち二次光を、場合によっては一次光成分とともに、使用することができる。
【0043】
この照明装置は付加的に特に、少なくとも1つのレンズ、特に集光レンズ、絞りのようなビーム形成用の光学要素を有することができる。
【0044】
この照明装置は一次光と二次光を(任意の組合わせで)1つに纏めるために特に少なくとも1つのビーム結合器を有することができる。ビーム結合器として、特に色選択性ミラー、特に2色性ミラーを使用することができる。
【0045】
本発明の課題は、発光デバイスにより発生された一次光から波長変換された二次光を発生する方法によっても解決される。この方法は、可動支持体上の第1発光体と固定支持体上の第2発光体とを一次光により交互に照射することを含む。
【0046】
本発明の上述した諸特性、特徴および利点、ならびにこれを如何にして達成するかという方法を、図を基に諸実施形態の簡略化した説明と関連付けて明快で分かりやすく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明による発光体回転輪を備えた第1の照明装置を側面から見た略図で、 発光体回転輪が第1の回転位置にある。
図2】本発明による発光体回転輪を備えた第1の照明装置を側面から見た略図で、 発光体回転輪が第2の回転位置にある。
図3】本発明による発光体回転輪を備えた第1の照明装置を側面から見た略図で、 発光体回転輪が第3の回転位置にある。
図4】本発明による発光体回転輪を備えた第2の照明装置を側面から見た略図で、 発光体回転輪が図示された回転位置にある。
図5】本発明による発光体回転輪を備えた第3の照明装置を側面から見た略図で、 発光体回転輪が図示された回転位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は本発明による第1の照明装置11を示す。この照明装置11は少なくとも1つのレーザダイオード13を備えた1つの発光デバイス12を有し、このレーザダイオードはピーク波長が約445nmの青色一次光Pを発生する。この一次光Pは、発光デバイス12からの放射後、垂直方向に(すなわち、図面の方向に)横方向の偏光T1を有する。
【0049】
この発光デバイス12には、第1の色選択性反射要素であり、偏光に依存する透過率を有する第1の2色性ミラー14が後置接続されている。この2色性ミラー14は、発光デバイス12により発生された横方向の偏光T1を有する青色一次光Pに対して透過性を有する。
【0050】
発光デバイス12から2色性ミラー14の光学的後方に、可動支持体として使用される回転可能な発光体回転輪15が設置されている。この発光体回転輪15は基本的には公知の方法で複数のセグメントを有し、これらのセグメントは発光体回転輪15の回転により一次光Pの光路を交互に通り抜けることができる。この図では第1発光体16の発光体層を備えた発光体セグメント17が一次光Pの光路に入った。この第1発光体16によって、一次光Pはここでほぼ完全に第1の(例えば、緑色または赤色の)二次光S1に変換され、2色性ミラー14に向けて反対方向に放射される。さらに、この発光体回転輪15に1つの集光レンズ(図示されていない)を前置してもよい。
【0051】
2色性ミラー14と発光体回転輪15との間の光路に配置された、四分の一波長板18の形態の偏光変換用の光学的光透過要素は、第1の二次光S1の発生とビーム形成には事実上何の影響も及ぼさない。
【0052】
2色性ミラー14は第1の二次光S1を透過させず、反射するように形成されているので、第1の二次光S1はそこで反射され、照明装置11から放射されて取り出される。
【0053】
発光体回転輪15をさらに回転すると、発光体セグメント17は光路から外れ、光通過セグメント19が光路に入ってきて、この状態が図2に示されている。この光通過セグメント19は、例えば1つの穴として発光体回転輪15に形成することができる。すなわち、この光通過セグメント19はすべての光を通過させる。
【0054】
光通過セグメント19に到達した一次光Pはこれを通り抜け、第2発光体20に当たる。この第2発光体20は発光体層として、固定された冷却体21に被着されている。この第2発光体によって一次光Pはここでほぼ完全に第2の(例えば、赤色あるいは緑色の)二次光S2に変換され、光通過セグメント19を通って2色性ミラーに向けて反対方向に放射される。さらに、第2発光体20に1つの集光レンズ(図示されていない)を前置してもよい。四分の一波長板18は第2の二次光S2の発生と光束形成についても事実上何の影響も及ぼさない。第1の2色性ミラー14は第2の二次光S2に対しても反射するように形成されているので、この第2の二次光S2もそこで反射され、照明装置11から放射されて取り出される。
【0055】
発光体回転輪15をさらに回転すると、光通過セグメント19は光路から外れ、反射セグメント22が光路に入ってきて、この状態が図3に示されている。この反射セグメント22はミラー表面を有し、したがって、特に一次光Pに対して反射性を有する。
【0056】
一次光Pが反射セグメント22に向けて最初に四分の一波長板18を通過すると、横方向偏光T1である一次光Pの元の偏光は円偏光に変わる。反射セグメント22で反射した後、円偏光化された光の回転方向が変わる。続いて四分の一波長板18を(2色性ミラー14を向いた反対方向に)再度通過すると、円偏光化された一次光から再び横方向に偏光された光となる。しかし、こうして生じる横方向の偏光方向T2は元の偏光方向T1に直角になる(図面に垂直)。2色性ミラー14は偏光に依存する透過率を有するので、横方向偏光T2を有する青色の一次光Pに対して反射性を有する。したがって、偏光方向T2の一次光もそこで反射され、照明装置11から放射されて取り出される。
【0057】
図4は本発明による第2の照明装置31を示し、その発光体回転輪15が図中に総括的に示されている。
【0058】
この照明装置31が照明装置11と異なるのは、第2発光体20から放射された第2の二次光S2が光通過セグメント19を通過せず、そこをバイパスして導かれることである。このために、一次光Pの光路において発光体回転輪15と第2発光体20の間に、一次光Pに対しては透過性を有し、第2の二次光S2に対しては反射性を有する第2の2色性ミラー32が配置されている。この第2の2色性ミラー32は、第2の二次光S2を第3の2色性ミラー33に向けて反射する。
【0059】
この第3の2色性ミラー33は、一次光Pと第1の二次光S1に対して透過するように形成されている。この第3の2色性ミラー33は、(第1の)2色性ミラー14により反射された一次光Pおよび第1の二次光S1により(非色選択性ミラー34を介して)後方から照射されるが、第2の一次光には前方から照射される。したがって、すべての光成分P、S1、S2は同一方向で照明装置31から取り出される。すなわち、第3の2色性ミラー33はビーム結合器としての機能も有する。
【0060】
この照明装置31の格別の利点は、第1の2色性ミラー14に対する要求事項が、第2の二次光S2を考慮しなくてもよいので、より少なくなり、したがって、第1の2色性ミラー14をより簡単に、かつ、より低コストで選択できることにある。
【0061】
図5は本発明による第3の照明装置41を示し、その発光体回転輪15が図中に総括的に示されている。この発光体回転輪15はここでは傾斜して設置されているので、ここで反射された一次光Pおよび第1の二次光S1は第1の2色性ミラーにではなく、第4の2色性ミラー42に向けて放射される。この第4の2色性ミラー42は一次光Pおよび第1の二次光S1に対しては反射性を有し、第2の二次光S2に対しては透過性を有するように形成されている。第4の2色性ミラー42は第2の二次光S2により後方から照射されるが、一次光Pおよび第1の二次光S1は前方から照射される。したがって、すべての光成分P、S1、S2は順番に同一方向にこの照明装置41から取り出される。すなわち、第4の2色性ミラー42はビーム結合器としての機能も有する。この照明装置41では、特に一次光P用の波長板を省くことができる。
【0062】
この照明装置41の格別の利点は、第1の2色性ミラー14に対する要求事項が、一次光Pを考慮しなくてもよいので、より少なくなり、したがって、第1の2色性ミラー14をより簡単に、かつ、より低コストで選択でき、特に、偏光に依存するように形成する必要がないことにある。四分の一波長板18を省くこともできるので、光利得が高くなる。
【0063】
本発明が諸実施例により詳細に図示され説明されたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、当業者はこれから他の変形例を、本発明の保護範囲を逸脱しない範囲で、導くことができる。
【0064】
すなわち、発光デバイスは、同一の及び/又は異なる複数の放出波長を有する多くの光源、特に複数の半導体光源、特に複数のレーザダイオードを含むことができる。
【符号の説明】
【0065】
11、31、41 照明装置
12 発光デバイス
14 (第1の)2色性ミラー
15 可動支持体、発光体回転輪
16 第1発光体
18 四分の一波長板
19 光通過セグメント
20 第2発光体
21 固定冷却体
22 反射セグメント
P 一次光
S1 第1の二次光
S2 第2の二次光
T1 横方向の偏光
T2 T1に直角な偏光
図1
図2
図3
図4
図5