【発明の効果】
【0014】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、高い機械的強度を維持しながら、低収縮率で離型性に優れ、表面性状や外観、蒸着した際の外観にも優れ、高温使用下でも曇りの発生が抑制され、特に、これを射出成形してなる射出成形品や光反射体基体は、プライマー処理なしで直接アルミ蒸着が可能であり、アルミ蒸着して得られた光反射体は外観が極めて良好であり、自動車等の車両用灯体、特にランプエクステンション等として好適に使用できる。
【0015】
[発明の概要]
本発明の第1の発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)及びポリエステル樹脂パウダー(A2)を含む樹脂成分(A)100質量部に対し、平均一次粒子径が2.5μm以下の無機充填材(B)0.1〜20質量部を含有することを特徴とする。
本発明の第2の発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂成分(A)100質量部に対し、平均一次粒子径が2.5μm以下、比重が3g/cm
3以下の無機充填材(B)0.1〜20質量部を含有するポリエステル樹脂組成物であって、該ポリエステル樹脂組成物を射出成形してなる成形品表面の最大高さRyが5.5μm以下であることを特徴とする。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下に記載する説明は実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0017】
[第1の発明のポリエステル樹脂組成物]
本発明の第1の発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)及びポリエステル樹脂パウダー(A2)を含有することを特徴とする。
【0018】
[ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)]
ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂としては、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーと当該共重合体との混合物を含む。
【0019】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を含んでいてもよいが、他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ビス(4,4’−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
【0020】
ジオール単位としては、1,4−ブタンジオールの外に他のジオール単位を含んでいてもよいが、他のジオール単位の具体例としては、炭素原子数2〜20の脂肪族又は脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類等が挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ一ル、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。更に、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオールも挙げられる。
【0021】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましいが、また、カルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/又はジオール単位として、前記1,4−ブタンジオール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。ポリブチレンテレフタレート樹脂は、機械的性質、耐熱性の観点から、ジカルボン酸単位中のテレフタル酸の割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。同様に、ジオール単位中の1,4−ブタンジオールの割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。
【0022】
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
【0023】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はこれらのエステル誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式又は通続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレクタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下又は減圧下固相重合させることにより、重合度(又は分子量)を所望の値まで高めることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
【0024】
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等を挙げることができる。
【0025】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂であってもよいが、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類(特にはポリテトラメチレングリコール(PTMG))を共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、特にはイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。
【0026】
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いる場合は、共重合体中のポリアルキレングリコール成分の割合は3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、機械的物性と耐熱性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として0.5〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、機械的物性、長期耐熱性及び靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として1〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、機械的物性、耐熱性、射出成形性及び靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
【0027】
そして、これら共重合体の好ましい含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂の総量100質量%中に、5〜50質量%、更には10〜40質量%、特には15〜30質量%である。
【0028】
ポリブチレンテレフタレート樹脂の極限粘度([η])は、0.6dl/g以上であるものが好ましく、0.7dl/g以上であるものがより好ましく、0.75dl/g以上であるものがさらに好ましい。極限粘度が0.6dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が耐衝撃性等の機械的強度の低いものとなりやすい。また極限粘度は、1.8dl/g以下であることが好ましく、1.6dl/g以下であることがより好ましく、1.3dl/g以下であることがさらに好ましい。1.8dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化したり、それにより、得られる成形品の表面特性が、光反射体用として十分なものにならない場合がある。なお、極限粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定するものとする。
【0029】
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/tonである。
【0030】
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定して得られた値をいう。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
【0031】
[ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)の製造方法]
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)の製造方法は、特に制限はなく、従来公知の任意の方法を使用すればよい。具体的には例えば、常法に従い、重合後の溶融状態のポリブチレンテレフタレート樹脂を、一軸又は二軸押出機で溶融混練してストランドとして押出し、それを水冷又は空冷等により冷却した後、切断する方法等が挙げられる。
ペレットのサイズは、通常はペレット長が1mmを超える長さであり、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは2mm以上であり、通常10mm以下、好ましくは7mm以下、より好ましくは5mm以下である。またその形状は、特に限定されず、円柱状、角柱状、板状、球状、楕円球状等であり、好ましくは円柱状または楕円柱状である。
【0032】
[ポリエステル樹脂パウダー(A2)]
ポリエステル樹脂パウダー(A2)に用いるポリエステル樹脂は、熱可塑性のポリエステル樹脂であれば特に限定はない。通常は、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られる熱可塑性のポリエステル樹脂であり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
【0033】
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく使用される。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
【0034】
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用しても良い。これらは周知のように、遊離酸以外にジメチルエステル等をエステル形成性誘導体として重縮合反応に用いることができる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
【0035】
ポリエステル樹脂を構成するジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、及びそれらの混合物等が挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合せしめてもよい。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
【0036】
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
【0037】
ポリエステル樹脂としては、通常は主としてジカルボン酸とジオールとの重縮合からなるもの、即ち樹脂全体の50質量%、好ましくは70質量%以上がこの重縮合物からなるものを用いる。ジカルボン酸としては芳香族カルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族ジオールが好ましい。
【0038】
中でも好ましいのは、酸成分の95モル%以上がテレフタル酸であり、アルコール成分の95質量%以上が脂肪族ジオールであるポリアルキレンテレフタレートである。その代表的なものはポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートである。これらはホモポリエステルに近いもの、即ち樹脂全体の95質量%以上が、テレフタル酸成分及び1,4−ブタンジオール又はエチレングリコール成分からなるものであるのが好ましい。
【0039】
ポリエステル樹脂の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるものが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械的強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。
なお、ポリエステル樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
【0040】
ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、通常、10eq/tonである。
【0041】
なお、ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリエステル樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
【0042】
中でも、ポリエステル樹脂パウダー(A2)に用いるポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリエチレン樹脂を含むものであることが好ましく、ポリエステル樹脂中のより好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上が、最も好ましくはポリエステル樹脂の全量がポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂である。本発明においては、ランプエクステンションに求められる性能全てをバランスよく満たすことができる点から、ポリエステル樹脂の全量がポリブチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
【0043】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂と同様のものを使用することができ、好ましいポリブチレンテレフタレート樹脂も前述の通りである。
【0044】
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、全構成繰り返し単位に対するテレフタル酸及びエチレングリコールからなるオキシエチレンオキシテレフタロイル単位を主たる構成単位とする樹脂であり、オキシエチレンオキシテレフタロイル単位以外の構成繰り返し単位を含んでいてもよい。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを主たる原料として製造されるが、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分を併せて原料として用いてもよい。
【0045】
テレフタル酸以外の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸及びその誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸等のオキシ酸又はその誘導体が挙げられる。
【0046】
また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体等が挙げられる。
【0047】
さらに、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメリシン酸、トリメリット酸等の如き三官能、もしくはピロメリット酸の如き四官能のエステル形性能を有する酸、又はグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の如き三官能もしくは四官能のエステル形成能を有するアルコールを1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.3モル%以下を共重合せしめたものであってもよい。
【0048】
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、適宜選択して決定すればよいが、通常0.5〜2dl/g、中でも0.6〜1.5dl/g、特には0.7〜1.0dl/gであることが好ましい。固有粘度を0.5dl/g以上、特には0.7dl/g以上とすることで、本発明の樹脂組成物における機械的特性や、成形性、滞留熱安定性、耐薬品性、耐湿熱性が向上する傾向にあり好ましい。逆に固有粘度を2dl/g未満、特には1.0dl/g未満とすることで樹脂組成物の流動性が向上する傾向にあり好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
【0049】
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/tonである。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基濃度は、ベンジルアルコール25mLにポリエチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより求める値である。
末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
【0050】
[ポリエステル樹脂パウダー(A2)の製造方法]
第1の発明のポリエステル樹脂組成物において、ポリエステル樹脂パウダー(A2)は、ポリエステル樹脂の粉体状のものである。ポリエステル樹脂を界面重合法や溶液重合法により粉体状に重合してもよいし、ポリエステル樹脂ペレットを粉砕して製造してもよいが、粒径をコントロールしやすい点から、ポリエステル樹脂ペレットを粉砕する方法を採用することが好ましい。
ペレットを粉砕する手段としては、ペレットを粗粉砕しその後微粉砕する多段粉砕方式や、微細化まで一段で行う方式等があるが、その方式は限定されるものではない。具体的な粉砕手段としては、ハンマーミル、ターボミル、ジェットミル、ピンミル、遠心ミル、ロートプレックス、パルベルイザー、湿式粉砕、チョッパーミル、ウルトラローター等を用いる粉砕手段が挙げられ、常温あるいは冷凍粉砕方式を用いることができる。これらの粉砕方式を採用する際には、温度上昇防止の工夫がなされた方式が有用で、具体的にはパルベライザー(独、Herbold社製)、ウルトラローター(独、Altenburger Machenen Jachering社製)などを用いる手段が有用である。
【0051】
本発明において、ポリエステル樹脂パウダーとは、平均粒子径が1500μm以下のものをいう。ポリエステル樹脂パウダー(A2)の平均粒子径としては、50〜1300μmであることが好ましい。50μm未満では、樹脂組成物製造工程においてブロッキング等製造のトラブルを誘発し易い傾向にある。また、平均粒子径が大きすぎる場合は、外観が不良となる傾向にある等、本発明の効果が得られない場合がある。ポリエステル樹脂パウダー(A2)の平均粒子径は、より好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは300μm以上、なかでも好ましくは500μm以上、とりわけ700μm以上であり、また1200μm以下がより好ましく、さらに好ましくは1100μm以下、なかでも好ましくは1000μm以下である。
ここでポリエステル樹脂パウダー(A2)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を使用し、粒度分布図から求めたメジアン径(D50)をいう。
【0052】
ポリエステル樹脂パウダー(A2)の嵩密度は0.2〜0.8g/cm
3であることが好ましく、0.3〜0.7g/cm
3であることがより好ましく、0.4〜0.6g/cm
3であることがさらに好ましい。このような嵩密度のポリエステル樹脂パウダー(A2)を使用することにより、樹脂組成物製造の際の無機充填材(B)の飛散、分級を抑制しやすく、無機充填材(B)の2次凝集による外観不良が起こりにくく好ましい。なお、嵩密度はJIS K7365に記載の方法により測定される値をいう。
【0053】
[樹脂成分(A)中のポリエステル樹脂パウダー(A2)の含有量]
第1の発明のポリエステル樹脂組成物では、上記したポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)にポリエステル樹脂パウダー(A2)を併用することを特徴とする。こうすることにより、樹脂ペレット(A1)のみの存在下で無機充填材(B)と混合するよりも、樹脂パウダー(A2)が共存することで混合が良好となり、無機充填材(B)の2次凝集が抑制されて均一な分散が達成され、高い機械的強度を維持しながら、表面性状や外観に優れる成形品が得られるものと考えられる。
ポリエステル樹脂パウダー(A2)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)とポリエステル樹脂パウダー(A2)を含む樹脂成分(A)中の1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上、さらには5質量%以上、特には7質量%以上が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらには40質量%以下、特には30質量%以下が好ましく、最も好ましくは20質量%以下である。
このようなパウダー含有量とすることにより、無機充填材(B)の2次凝集が抑制されて均一な分散が達成され、高い機械的強度を維持しながら、表面性状や外観に優れる成形品が得られやすくなり、さらには、吸水性、加水分解性にも優れた樹脂組成物となりやすいため好ましい。
【0054】
[無機充填材(B)]
本発明の第1の発明のポリエステル樹脂組成物は、平均一次粒子径が2.5μm以下の無機充填材(B)を含有する。
無機充填材(B)としては、具体的には例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸ジルコニウム、クレー、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム等が挙げられるが、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸ジルコニウムであり、より好ましくは炭酸カルシウム、タルクであり、炭酸カルシウムが特に好ましい。
無機充填材(B)は単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。また無機充填材(B)は、必要に応じて表面処理が施されていてもよい。
【0055】
無機充填材(B)の平均一次粒子径は2.5μm以下であるが、2.5μmを超えると、成形品の表面平滑性が低下し、表面に直接、アルミニウム等の金属蒸着を施した際に外観が悪くなる。平均一次粒子径は、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.4μm以下であることが特に好ましい。下限は、通常0.01μmであり、0.05μmであることが好ましく、0.08μmであることがより好ましく、0.1μmであることが特に好ましい。
なお、本発明における無機充填材(B)の平均一次粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるD50をいい、具体的には島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定される。
【0056】
無機充填材(B)の比重は、4g/cm
3以下であることが好ましく、3.5g/cm
3以下であることがより好ましく、3g/cm
3以下であることがさらに好ましい。このような比重の無機充填材(B)を含む場合に、ポリエステル樹脂パウダー(A2)を用いることによる成形品外観の改善効果がより顕著となる。なお、無機充填材(B)の比重は、ヘリウムガス置換法に基づいた真比重計により測定される値をいう。
【0057】
無機充填材(B)は、樹脂との親和性向上のために、表面処理が施されていることも好ましい。表面処理剤としては、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類、トリエチルアミン等のアルカノールアミン、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、流動パラフィン等の炭化水素系滑剤、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸、ポリグリセリン及びそれらの誘導体、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0058】
本発明の無機充填材(B)として最も好ましく用いられる炭酸カルシウムとしては、合成炭酸カルシウム、天然炭酸カルシウム、それらをケイ酸等又は有機酸等で表面処理して得られる表面処理炭酸カルシウム等が挙げられる。
合成炭酸カルシウムは、例えば、水酸化カルシウムを炭酸ガスと反応させることによって製造することができる。水酸化カルシウムは、例えば、酸化カルシウムを水と反応させることによって製造することができる。酸化カルシウムは、例えば、石灰石原石をコークスなどで焼成することによって製造することができる。この場合、焼成時に炭酸ガスが発生するので、この炭酸ガスを水酸化カルシウムと反応させることによって炭酸カルシウムを製造することができる。
天然炭酸カルシウムは、天然に産出する石灰石等の炭酸カルシウム原石を公知の方法で粉砕することにより得られるものである。炭酸カルシウム原石を粉砕する方法としては、ローラーミル、高速回転ミル(衝撃剪断ミル)、容器駆動媒体ミル(ボールミル)、媒体撹拌ミル、遊星ボールミル、ジェットミルなどで粉砕する方法が挙げられる。
【0059】
炭酸カルシウムの平均一次粒子径は2.5μm以下であり、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがより好ましく、0.08〜0.5μmであることがさらに好ましく、0.1〜0.4μmであることが特に好ましい。このような平均一次粒子径の炭酸カルシウムを使用することにより、炭酸カルシウムの凝集が起こりにくく、アルミ蒸着後の拡散反射率にも優れる傾向となるため好ましい。
【0060】
炭酸カルシウムの表面処理に使用されるケイ酸類は、炭酸カルシウムの表面にシリカを付着できるものであれば、特に限定されない。ケイ酸類としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリ金属塩等が挙げられる。
ケイ酸類は、例えば、ケイ酸アルカリをシリカヒドロゾルとし、これを表面処理に用いることができる。シリカヒドロゾルは、公知の方法により生成することができる。例えば、酸分解法によって、ケイ酸ナトリウムからシリカヒドロゾルを生成することができる。酸分解法としては、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液に塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸、アクリル酸等の有機酸、硫酸アルミニウム、炭酸ガス等の酸性物質を加えることによって、非晶質シリカヒドロゾルを生成する方法が挙げられる。さらに、半透膜にケイ酸ナトリウムを通してシリカヒドロゾルを生成する透析法によって生成することもできる。また、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法によってシリカヒドロゾルを生成することもできる。
【0061】
炭酸カルシウムの表面処理に使用される有機酸類としては、脂肪酸、樹脂酸、リグニン類及びこれらの誘導体が挙げられる。有機酸類は、2種類以上を混合して用いてもよい。
脂肪酸としては、炭素数が6〜24の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。脂肪酸の炭素数は、10〜20であることが好ましい。炭素数が6〜24の飽和または不飽和の脂肪酸の具体例としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸等が挙げられる。特に、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸が好ましい。
【0062】
脂肪酸の誘導体としては、脂肪酸の塩、脂肪酸のエステル等が挙げられる。脂肪酸の塩としては、例えば、上記炭素数が6〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。脂肪酸の塩の炭素数は、10〜20であることが好ましい。
【0063】
脂肪酸のエステルとしては、例えば、上記炭素数が6〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸と、炭素数が6〜18の飽和脂肪族アルコールとのエステル等が挙げられる。脂肪酸のエステルの炭素数は、10〜20であることが好ましい。飽和脂肪族アルコールの炭素数は、10〜18であることが好ましい。
【0064】
無機充填材(B)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)及びポリエステル樹脂パウダー(A2)を含む樹脂成分100質量部に対し、0.1〜20質量部である。含有量が0.1質量部未満では耐熱性が不足すると共に、収縮率の低減効果が十分に得られない。逆に20質量部を超えると無機充填材由来の凝集物が増えることから、良好な外観が得られない。無機充填材(B)の含有量は、(A1)と(A2)を含む樹脂成分(A)100質量部に対し、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは2.5質量部以上であり、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、特に好ましくは7質量部以下である。
【0065】
第1の発明のポリエステル樹脂組成物においては、ポリエステル樹脂パウダー(A2)と無機充填材(B)のブレンド物のずり剪断最大応力が10N以下であることが好ましく、8N以下であることがより好ましく、6N以下であることがさらに好ましく、5N以下であることが特に好ましく、4N以下であることが最も好ましい。このようなずり剪断最大応力になるように、ポリエステル樹脂パウダー(A2)と無機充填材(B)を配合することにより、無機充填材(B)の2次凝集による外観不良の問題が効果的に改善され、溶融混練等の樹脂組成物製造の際に、安定的なフィードが可能となる傾向にあり好ましい。
ずり剪断最大応力の調整は、例えば、ポリエステル樹脂パウダー(A2)の平均粒子径、無機充填材(B)の平均一次粒子径、比重、形状及び表面処理方法等を考慮し、ポリエステル樹脂パウダー(A2)と無機充填材(B)の配合割合を適宜調整することにより、行うことができる。なお、ずり剪断最大応力とは、ポリエステル樹脂パウダー(A2)と無機充填材(B)の混合物に対し、一定の垂直応力負荷を所定時間加えた後に開放し、この粉体を一定速度でずらす際に要する最大応力の値をいい、後述の実施例に記載の条件で測定することができる。
【0066】
また、ポリエステル樹脂パウダー(A2)の平均粒子径が無機充填材(B)の平均一次粒子径の1000〜8000倍であることも好ましい。このような平均粒子径のポリエステル樹脂パウダー(A2)と無機充填材(B)の組み合わせとすることにより、無機充填材(B)の2次凝集による外観不良の問題が効果的に改善され、溶融混練等の樹脂組成物製造の際に、安定的なフィードが可能となる傾向にあり好ましい。ポリエステル樹脂パウダー(A2)の平均粒子径は、無機充填材(B)の平均一次粒子径のより好ましくは2000〜7000倍、さらに好ましくは3000〜6500倍、特に好ましくは4000〜6000倍である。
【0067】
また、本発明においては、ポリエステル樹脂パウダー(A2)と無機充填材(B)の含有量の質量比が、(A2):(B)で、30:70〜95:5であることが好ましく、40:60〜93:7がより好ましく、50:50〜90:10であることがさらに好ましい。このような含有割合とすることにより、無機充填材の分散状態が良好かつ溶融混練等の樹脂組成物製造の際に安定的なフィードが可能となる傾向にあり、好ましい。
【0068】
[ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)]
本発明においては、樹脂成分(A)が、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)を含有することが、光沢性等の表面外観特性をより向上させることができるので、好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)は、前述のポリエステル樹脂パウダー(A2)として配合してもよいし、パウダー以外の、例えばペレット状のものとして配合してもよい。中でも、吸湿性及び加水分解性の点から、ペレット状のものを配合することが好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)としては、前述のポリエステル樹脂パウダー(A2)に用いるポリエチレンテレフタレート樹脂と同じものを用いることができ、好ましいポリエチレンテレフタレート樹脂も、前述の通りである。
【0069】
樹脂成分(A)中のポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)の含有割合は、樹脂成分(A)中の1〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%がより好ましく、8〜30質量%がさらに好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。含有量が1質量%未満であると、表面平滑性が不足となる傾向にあり、含有量が40質量%を超えると、結晶固化が遅くなり、冷却時間の延長や離型不良の原因となる場合があり、好ましくない。なお、ポリエステル樹脂パウダー(A2)としてポリエチレンテレフタレート樹脂パウダーを使用する場合は、ポリエチレンテレフタレート樹脂パウダーとポリブチレンテレフタレート樹脂(A3)との合計含有量を、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)成分の含有量とする。
【0070】
[スチレン系樹脂(A4)]
本発明においては、樹脂成分(A)が、さらに、スチレン系樹脂(A4)を含有することが、収縮率の低減及びヘジテーション等の外観不良をより抑制させることができるので、好ましい。
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を重合してなる重合体、スチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体との共重合体、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体を重合してなるグラフト共重合体を含むスチレン系樹脂、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体を重合してなるグラフト共重合体などが挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
【0071】
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体、スチレンと(メタ)アクリロニトリルと他の共重合可能な単量体との共重合体、ゴムの存在下スチレン系と(メタ)アクリロニトリルとをグラフト重合してなるグラフト共重合体、及びゴム成分の存在下にスチレン等を重合させたスチレン系グラフト共重合体等が挙げられ、具体例としては、AS樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が好ましく挙げられ、特にAS樹脂が好ましい。
スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
【0072】
スチレン/(メタ)アクリロニトリル系共重合体としては、好ましくは、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルとをグラフト重合してなるグラフト共重合体、およびゴムの存在下少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルとを重合してなるグラフト共重合体と少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルとを重合してなる共重合体とからなるスチレン/(メタ)アクリロニトリル系共重合体等が挙げられる。
【0073】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンが挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。スチレン系単量体および(メタ)アクリロニトリルと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0074】
ゴムとしては、好ましくはガラス転移温度が10℃以下のゴムである。ゴムの具体例としては、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン/プロピレンゴム、シリコンゴム等が挙げられ、好ましくは、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体、ブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体またはブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体における(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルの割合は、ゴム質量の30質量%以下であることが好ましい。
【0075】
アクリル系ゴムとしては、例えば、アクリル酸アルキルゴムが挙げられ、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8である。アクリル酸アルキルゴムの具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等が挙げられる。アクリル酸アルキルゴムには、任意に、架橋性のエチレン性不飽和単量体が用いられていてもよく、架橋剤としては、例えば、アルキレンジオール、ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。アクリル系ゴムとしては、更に、コアとして架橋ジエン系ゴムを有するコア−シェル型重合体が挙げられる。
【0076】
本発明の第1の発明のポリエステル樹脂組成物においては、驚くべきことに、スチレン系樹脂(A4)のパウダーを使用しても、アルミ蒸着面の耐熱特性や力学的な強度を維持しながら、前述のような外観改善効果は確認されない。その理由は定かではないが、この外観改善効果は、パウダーとしてポリエステル樹脂を用いた場合に確認される顕著な効果であることが、本発明者の検討で初めて明らかとなった。
【0077】
樹脂成分(A)中のスチレン系樹脂(A4)の含有割合は、樹脂成分(A)中の1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。含有量が1質量%未満であると、収縮率が高いことによる離型不良や、外観不良となる傾向にあり、含有量が40質量%を超えると、ウエルド強度や衝撃強度不足となる場合があり好ましくない。
【0078】
第1の発明のポリエステル樹脂組成物においては、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)とスチレン系樹脂(A4)を、いずれかを単独で樹脂成分(A)中に含有していてもよいし、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)とスチレン系樹脂(A4)との両方を、樹脂成分(A)中に含有していてもよいが、(A3)成分と(A4)成分の両方が、樹脂成分(A)中に含有されていることがより好ましい。樹脂成分(A)中のポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)及び/又はスチレン系樹脂(A4)の含有割合は、樹脂成分(A)中の1〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%がより好ましく、8〜30質量%がさらに好ましい。このような含有割合とすることにより、収縮率と外観、力学特性などを兼備するこが可能となる傾向にあり好ましい。
【0079】
[その他含有成分]
第1の発明のポリエステル樹脂組成物は、上記した以外の他の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0080】
また、上記した以外の種々の添加剤を含有していてもよく、このような添加剤としては、安定剤、カーボンブラック、離型剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。
【0081】
[安定剤]
第1の発明のポリエステル樹脂組成物は、安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性や色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤、イオウ系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましく、特に好ましいのは、フェノール系安定剤である。
【0082】
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物又は有機ホスホナイト化合物が好ましい。
【0083】
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(R
1O)
3−nP(=O)OH
n
(式中、R
1は、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
で表される化合物である。より好ましくは、R
1が炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
【0084】
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社の商品名「アデカスタブ AX−71」として、市販されている。
【0085】
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
R
2O−P(OR
3)(OR
4)
(式中、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基であり、R
2、R
3及びR
4のうちの少なくとも1つは炭素原子数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
【0086】
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
【0087】
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
R
5−P(OR
6)(OR
7)
(式中、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であり、R
5、R
6及びR
7のうちの少なくとも1つは炭素原子数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
【0088】
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
【0089】
イオウ系安定剤としては、従来公知の任意のイオウ原子含有化合物を用いることが出来、中でもチオエーテル類が好ましい。具体的には例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイトが挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)が好ましい。
【0090】
フェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−ネオペンチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
【0091】
中でも、融点が150℃以上のヒンダードフェノール系安定剤を用いることが好ましい。融点が150℃以上であると、安定剤自身の熱安定性が高くなるため、変質して安定化の効果を失ったり、溶融混練等の樹脂組成物製造時や射出成形等の高温度環境下でもガスが生成しにくくなる。また、得られる成形品に金属薄膜を設けた光反射体を高温雰囲気に曝しても、金属薄膜の表面が犯され、光反射体に曇りが発生することも抑制される。融点は、より好ましくは180℃以上であり、さらに好ましくは200℃以上であり、特に好ましくは220℃以上である。融点の上限は通常350℃以下であり、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは280℃以下である。
【0092】
安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
【0093】
安定剤の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)、ポリエステル樹脂パウダー(A2)及び必要に応じて配合されるその他樹脂の合計樹脂成分(A)100質量部に対し、好ましくは0.001〜1質量部である。安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、1質量部を超えると、過剰量となりシルバーストリークの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。安定剤の含有量は、より好ましくは0.005〜0.7質量部であり、更に好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0094】
[カーボンブラック]
第1の発明のポリエステル樹脂組成物は、カーボンブラックを含有することも好ましい。カーボンブラックを含有することで、ポリエステル樹脂組成物及び成形品の耐侯性や外観、金属蒸着面における反射特性等が向上する。
カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。その数平均粒子径には特に制限はないが、5〜60nmであることが好ましい。このように数平均粒子径が所定の範囲にあるカーボンブラックを用いることにより、高温下でブリスターが発生し難い組成物を得ることができる。なお、数平均粒子径は、ASTM D3849規格(カーボンブラックの標準試験法−電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算術平均して求めることができる。
【0095】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(単位:m
2/g)は、通常1000m
2/g未満が好ましく、なかでも50〜400m
2/gであることが好ましい。窒素吸着比表面積を1000m
2/g未満にすることで、ポリエステル樹脂組成物の流動性や成形品の外観が向上する傾向にあり好ましい。なお、窒素吸着比表面積はJIS K6217に準拠して測定することができる。
【0096】
また、カーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸収量は、300cm
3/100g未満であることが好ましく、なかでも30〜200cm
3/100gであることが好ましい。DBP吸収量を300cm
3/100g未満にすることで、本発明のポリエステル樹脂組成物の流動性や成形品の外観が向上する傾向にあり好ましい。
なお、DBP吸収量(単位:cm
3/100g)はJIS K6217に準拠して測定することができる。また使用するカーボンブラックは、そのpHについても特に制限はないが、通常、2〜10であり、3〜9であることが好ましく、4〜8であることがさらに好ましい。
【0097】
カーボンブラックは、一種を単独でまた2種以上併用して使用することができる。更にカーボンブラックは、バインダーを用いて顆粒化することも可能であり、他の樹脂中に高濃度で溶融混練したマスターバッチでの使用も可能である。溶融混練したマスターバッチを使用することによって、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良が達成できる。上記樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
マスターバッチ中のカーボンブラックの含有量は10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。
【0098】
カーボンブラックの含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)、ポリエステル樹脂パウダー(A2)及び必要に応じて配合されるその他樹脂の合計樹脂成分(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上、特に0.5質量部以上であり、また、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下、特に好ましくは1.0質量部以下である。含有量が0.01質量部未満であると耐候性が不十分となる場合があり、5質量部を超えると、成形性、耐衝撃性等の機械的特性が低下しやすい傾向にある。
【0099】
[離型剤]
本発明のポリエステル樹脂組成物は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0100】
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
【0101】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
【0102】
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0103】
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0104】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、モンタン酸エステルワックス、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
【0105】
脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。また、数平均分子量は、好ましくは200〜30000であり、より好ましくは1000〜15000であり、さらに好ましくは1500〜10000であり、特に好ましくは2000〜5000である。脂肪族炭化水素化合物は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。中でも、ポリオレフィンワックスが好ましい。
【0106】
ポリオレフィンワックスとしては、来公知の任意のものを使用でき、例えば、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10の、オレフィンの一種、または任意の割合の二種以上を含む(共)重合体(重合または共重合を意味する。以下同様。)が挙げられる。
【0107】
炭素数2〜30のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、炭素数4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィン、および炭素数4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエンが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンが挙げられる。ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、11−ドデカジエン等が挙げられる。
【0108】
ポリオレフィンワックスとしては、離型性と耐熱性の点から、ポリエチレンワックスが好ましい。 ポリエチレンワックスの製造方法は任意であり、例えば、エチレンの重合やポリエチレンの熱分解により製造することができる。
【0109】
離型剤としては、酸価が10〜40mgKOH/gのものが、離型抵抗が小さく離型性の改良効果が著しく、揮発分が少ない点から好ましい。酸価は、より好ましくは11〜35mgKOH/g、さらに好ましくは12〜32mgKOH/gである。酸価が10〜40mgKOH/gの範囲となれば、酸価が10mgKOH/g未満のものと40mgKOH/gを超えるものを併用してもよく、複数種類の離型剤全体としての酸価が、10〜40mgKOH/gとなればよい。
【0110】
酸価が10〜40mgKOH/gの離型剤としては、上記した脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルであって酸価が10〜40mgKOH/gのものや、上記した脂肪族炭化水素化合物、好ましくはポリオレフィンワックスに、カルボキシル基(カルボン酸(無水物)基、即ちカルボン酸基および/またはカルボン酸無水物基を表す。以下同様。)、ハロホルミル基、エステル基、カルボン酸金属塩基、水酸基、アルコシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等の、ポリエステル樹脂と親和性のある官能基を付与した変性ポリオレフィンワックスが好ましい。
【0111】
ポリオレフィンワックスの変性に用いるカルボキシル基としては、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などのカルボン酸基を含有する低分子量化合物、スルホン酸などのスルホ基を含有する低分子量化合物、ホスホン酸などのホスホ基を含有する低分子量化合物などを挙げることができる。これらの中でもカルボン酸基を含有する低分子量化合物が好ましく、特にマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などが好ましい。これらのカルボン酸は、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
変性ポリオレフィンワックスにおける酸の付加量としては、変性ポリオレフィンワックスに対して、通常、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。
【0112】
ハロホルミル基としては具体的には例えば、クロロホルミル基、ブロモホルミル基等が挙げられる。これらの官能基を、ポリオレフィンワックスに付与する手段は、従来公知の任意の方法によれば良く、具体的には例えば、官能基を有する化合物との共重合や、酸化などの後加工など、いずれの方法でもよい。
【0113】
官能基の種類としては、ポリエステル樹脂と適度な親和性があることから、カルボキシル基であることが好ましい。変性ポリオレフィンワックスにおけるカルボキシル基の濃度としては、適宜選択して決定すればよいが、低すぎるとポリエステル樹脂との親和性が小さく、揮発分の抑制効果が小さくなり、また離型効果が低下する場合がある。逆に濃度が高すぎると、例えば、変性の際にポリオレフィンワックスを構成する高分子主鎖が過度に切断さて、変性ポリオレフィンワックスの分子量が低下し過ぎることで揮発分の発生が多くなり、ポリエステル樹脂成形体表面に曇りが発生する場合がある。 変性ポリオレフィンワックスとしては、酸化ポリエチレンワックスが好ましい。
【0114】
なお、離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
離型剤の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)、ポリエステル樹脂パウダー(A2)及び必要に応じて配合されるその他樹脂の合計樹脂成分(A)100質量部に対し、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が上記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が上記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
【0115】
[第1の発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法]
第1の発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)、ポリエステル樹脂パウダー(A2)及び無機充填材(B)、所望により添加されるその他樹脂成分及び種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、樹脂組成物を調製することもできる。例えば、ポリエステル樹脂パウダー(A2)に無機充填材(B)を予めブレンドした予備ブレンド物と、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)とを溶融混練してポリエステル樹脂組成物を製造する方法も採用できる。この場合、前記予備ブレンド物とポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)とは、別々のフィーダーから押出機にフィードすることも可能である。また、さらには、一部をマスターバッチ化したものを配合して溶融混練してもよい。さらには、予め各成分を混合した混合物を、溶融混練することなく、そのまま射出成形機等の成形機に供給し、各種成形品を製造することも可能である。
【0116】
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、外観不良の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
【0117】
[第1の発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形品]
第1の発明のポリエステル樹脂組成物を用いて成形品を製造する方法は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも、生産性と、得られる成形品の表面性が良好となるなど、本発明の効果が顕著であることから、射出成形法が好ましい。
【0118】
成形品は、高い機械的強度を維持しながら、低収縮率で離型性に優れ、成形品の表面性状、外観、蒸着した際の外観にも優れ、高温使用下でも曇りの発生が抑制されるので、これらの特性が厳しく求められる光反射体用の基体として特に好適に使用される。
【0119】
第1の発明のポリエステル樹脂組成物を射出成形等により成形した成形品は、表面の平滑性が高く、成形品表面の最大高さRyは、好ましくは5.5μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4μm以下、特に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2.5μm以下である。算術平均粗さRaは、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm、さらに好ましくは0.25μm以下、特に好ましくは0.2μm以下と良好なため、金属蒸着した際の荒れ、曇り性や異物感が出ることがなく、ランプエクステンション等の光反射体に好適である。
【0120】
[第2の発明のポリエステル樹脂組成物]
本発明の第2の発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂含む樹脂成分(A)100質量部に対し、平均一次粒子径が2.5μm以下、比重が3g/cm
3以下の無機充填材(B)0.1〜20質量部を含有するポリエステル樹脂組成物であって、該ポリエステル樹脂組成物を以下の射出条件で射出成形した際の成形品表面の最大高さRyが5.5μm以下であることを特徴とする。
成形品表面の最大高さRyが5.5μm以下となる樹脂組成物であるため、成形品とした際の表面の平滑性が高く、金属蒸着した際の荒れ、曇り性や異物感が出ることがなく、ランプエクステンション等の光反射体に好適である。また、このように表面平滑性に優れているため、プライマー処理なしで直接金属蒸着することが可能である。
【0121】
成形品表面の最大高さRy(JIS B0601に準拠)は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下、特に好ましくは2.5μm以下である。また、算術平均粗さRa(JIS B0601に準拠)は、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm、さらに好ましくは0.25μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。
なお、成形品表面の最大高さRy、算術平均粗さRaを測定する成形品の射出成形の条件は、以下の通りである。
・予備乾燥:120℃、5時間、熱風乾燥
・シリンダー温度:260℃
・射出時間:30sec
・射出速度:60mm/sec
・保圧:60MPa
・冷却時間:15sec
・金型:#14000による表面仕上げを施した鏡面金型、温度は60℃
・成形品形状:60mm×60mm×厚み3mm
【0122】
加えて、上記の方法で得られた成形品表面に、プライマー処理を施さずにアルミ膜厚150nmになるようアルミ蒸着を行った際の、アルミ蒸着層側の拡散反射率が、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1.5%未満であり、さらに好ましくは1%未満である。なお、ここで拡散反射率の測定の具体的な方法は実施例に詳記される。
【0123】
[ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂成分(A)]
第2の発明のポリエステル樹脂組成物は、樹脂成分(A)としてポリブチレンテレフタレート樹脂を含む。ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、第1の発明のポリエステル樹脂組成物のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(A1)に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂と同じものを使用することができる。第2の発明のポリエステル樹脂組成物における好ましいポリブチレンテレフタレート樹脂も、前述の通りである。
【0124】
ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の樹脂成分としては、特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリブチレンテレフタレート樹脂以外のポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂、スチレン系樹脂が好ましい。
【0125】
ポリエチレンテレフタレート樹脂としては、第1の発明のポリエステル樹脂組成物におけるポリエチレンテレフタレート樹脂と同じものを使用することができる。第2の発明のポリエステル樹脂組成物における好ましいポリエチレンテレフタレート樹脂も、前述の通りである。
樹脂成分(A)中のポリエチレンテレフタレート樹脂の含有割合は、樹脂成分(A)中の1〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%がより好ましく、8〜30質量%がさらに好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。含有量が1質量%未満であると、表面平滑性が不足となる傾向にあり、含有量が40質量%を超えると、結晶固化が遅くなり、冷却時間の延長や離型不良の原因となる場合があり、好ましくない。
【0126】
スチレン系樹脂としては、第1の発明のポリエステル樹脂組成物におけるスチレン系樹脂(A4)と同じものを使用することができる。第2の発明のポリエステル樹脂組成物における好ましいスチレン系樹脂も、前述の通りである。
樹脂成分(A)中のスチレン系樹脂の含有割合は、樹脂成分(A)中の1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。含有量が1質量%未満であると、収縮率が高いことによる離型不良や、外観不良となる傾向にあり、含有量が40質量%を超えると、ウエルド強度や衝撃強度不足となる場合があり好ましくない。
【0127】
第2の発明のポリエステル樹脂組成物は、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂を、それぞれ単独で樹脂成分(A)中に含有していてもよいし、ポリエチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂との両方を、樹脂成分(A)中に含有していてもよいが、ポリエチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の両方が、樹脂成分(A)中に含有されていることがより好ましい。樹脂成分(A)中のポリエチレンテレフタレート樹脂及び/又はスチレン系樹脂の含有割合は、樹脂成分(A)中の1〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%がより好ましく、8〜30質量%がさらに好ましい。このような含有割合とすることにより、収縮率と外観、力学特性などを兼備するこが可能となる傾向にあり好ましい。
【0128】
[無機充填材(B)]
第2の発明のポリエステル樹脂組成物は、平均一次粒子径が2.5μm以下、比重が3g/cm
3以下の無機充填材(B)を0.1〜20質量部含有する。
無機充填材(B)としては、平均一次粒子径が2.5μm以下、比重が3g/cm
3以下であれば特に制限はなく、第1の発明のポリエステル樹脂組成物における無機充填材(B)から選択して使用することができる。
【0129】
無機充填材(B)の平均一次粒子径は2.5μm以下であるが、2.5μmを超えると、成形品の表面平滑性が低下し、表面に直接、アルミニウム等の金属蒸着を施した際に外観が悪くなる。平均一次粒子径は、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.4μm以下であることが特に好ましい。下限は、通常0.01μmであり、0.05μmであることが好ましく、0.08μmであることがより好ましく、0.1μmであることが特に好ましい。なお、本発明における無機充填材(B)の平均一次粒子径の測定方法は、前述の通りである。
無機充填材(B)の比重は、3g/cm
3以下であり、好ましくは2.8g/cm
3以下である。なお、無機充填材(B)の比重の測定方法は、前述の通りである。
無機充填材(B)は、樹脂との親和性向上のために、表面処理が施されていることも好ましい。好ましい表面処理剤、処理方法も、前述の通りである。
【0130】
無機充填材(B)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂成分100質量部に対し、0.1〜20質量部である。含有量が0.1質量部未満では耐熱性が不足すると共に、収縮率の低減効果が十分に得られない。逆に20質量部を超えると無機充填材由来の凝集物が増えることから、良好な外観が得られない。無機充填材(B)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂成分100質量部に対し、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは2.5質量部以上であり、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、特に好ましくは7質量部以下である。
【0131】
[その他含有成分]
第2の発明のポリエステル樹脂組成物は、上記した以外の種々の添加剤を含有していてもよく、このような添加剤としては、安定剤、カーボンブラック、離型剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。中でも、安定剤、カーボンブラック、離型剤を含有することが好ましい。これら添加剤は、本発明の第1のポリエステル樹脂組成物に用いるものと同じものを使用することができ、好ましいこれら添加剤も、前述の通りである。
【0132】
[第2の発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法]
本発明の第2の発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、得られるポリエステル樹脂組成物を射出成形してなる成形品表面の最大高さRyが5.5μm以下の要件を満たす手法であれば、特に制限はない。第2の発明のポリエステル樹脂組成物は、押出機等の溶融混練機を用いた溶融混練法により製造することが好ましいが、ポリエステル樹脂組成物の原料各成分を混合して、単に混練するだけでは、第2の発明のポリエステル樹脂組成物を安定して製造することは難しく、特別の方法により混練することが推奨される。
以下に、第2の発明のポリエステル樹脂組成物を安定して製造するための好ましい方法について、説明する。
【0133】
ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂成分(A)、平均一次粒子径が2.5μm以下で比重が3以下の無機充填材(B)を所定の割合で混合後、ダイノズルが設けられた単軸又は二軸の押出機に供給後、溶融混錬し、ダイノズルから樹脂組成物を押出してストランド状とした後に、切断してペレットを製造する。
この際、溶融混練機としては、二軸押出機を用いることが好ましい。中でも、スクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、30<(L/D)<90の関係を満足することが好ましく、35<(L/D)<80を満足することがより好ましい。かかる比が30以下では無機充填材の分散不良に伴う表面平滑性の悪化を招き易く、逆に90以上の場合は、樹脂滞留時間が長くなるため、熱劣化に伴う変色やアウトガス成分が増加する傾向がある等、好ましくない。
【0134】
押出機のスクリュー構成としては、ニーディングユニットを有している構造が好ましい。ニーディングユニットとしては1か所もしくは2か所が好ましい。ニーディングユニットがないと混練不足となりやすく、無機充填材(B)の2次凝集等により、RyやRaが大きくなりやすく、外観が低下する可能性がある。らせん状のニーディングユニットが3つ以上あると、押出機内での滞留時間が長くなったり、樹脂温度が上昇しすぎたりするため、ゲル状異物や焼けが生成する虞があり好ましくない。
【0135】
また、押出機等の溶融混練機に原材料を供給する際には、アジテーター等のブロッキング防止対策を施すことが好ましい。
【0136】
また、溶融混練時の樹脂温度としては、押出機の出口における樹脂温度で320℃以下であることが好ましく、310℃以下であることがより好ましく、300℃以下がさらに好ましく、通常255℃以上、好ましくは260℃以上である。樹脂温度が高すぎるとポリエステル樹脂組成物が変色したり、ヤケ異物が増えたりする虞があり好ましくない。樹脂温度が低すぎると混練不足となり、無機充填材(B)の2次凝集等によりRy、Raが大きくなりやすく、外観が低下する虞があり好ましくない。
【0137】
溶融混練時のスクリュー回転数Nsは、100〜1000rpmであることが好ましく、200〜900rpmであることがより好ましく、500〜800rpmがさらに好ましい。スクリュー回転数が100rpm未満であると、無機充填材の分散不良により外観が悪化する傾向にあり、1000rpmを超えると樹脂劣化に伴うアウトガス成分が増加する場合があり、好ましくない。
【0138】
溶融混練時の吐出量Q(kg/hr)とスクリュー回転数Ns(rpm)との比Q/Nsは0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。また2以下が好ましく、1.5以下が好ましく、1以下がさらに好ましい。この値が小さすぎると、樹脂温度が高くなりすぎたり、滞留時間が長くなりすぎるため、ポリエステル樹脂組成物が変色したり、ヤケ異物が増えたりする虞があり好ましくない。またこの値が大きすぎると、無機充填材(B)の2次凝集等によりRy、Raが大きくなりやすく、外観が低下する虞があり好ましくない。
【0139】
また、混練機としては、連続捏和機も好ましく用いられる。連続捏和機とは、押出機のシリンダー内に回転自在に取り付けられたスクリューに複数個の回転ブレードが設けられ、さらに、それら複数個の回転ブレードの間に挿入された状態で、固定ブレードがシリンダー内に設けられている混練機である。スクリューが回転するとスクリュー軸に沿って移動する原材料が、回転ブレードと固定ブレードとの間に形成された隙間を、中心側から外周側に、さらに外周側から中心側に送り込まれるというようにジグザグに通過して捏和されるため、圧縮、剪断、置換の3つの作用を効率良く原材料に与えることができ、単軸や二軸押出機よりも効果的に無機充填材(B)の分散性を向上させることができる。ブレードの形状は特に制限はないが、例えば、扇形、菊形及び臼目形等のブレードを使用することができる。このような連続捏和機としては、例えば、浅田鉄工社製の「ミラクルK.C.K」等が挙げられる。
【0140】
また、樹脂成分(A)としては、ポリエステル樹脂パウダーを含むものを使用することによっても、第2の発明のポリエステル樹脂組成物を製造することが容易となる。
ポリエステル樹脂パウダーに用いるポリエステル樹脂としては、第1のポリエステル樹脂組成物の製造に用いるポリエステル樹脂パウダー(A2)と同じものを使用することができ、好ましいポリエステル樹脂も、前述の通りである。中でもポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましく、ポリブチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。なお、ポリエステル樹脂パウダーの製造方法も、前述の通りである。
【0141】
ポリエステル樹脂パウダーの平均粒子径としては、50〜1300μmであることが好ましい。50μm未満では、樹脂組成物製造工程においてブロッキング等製造のトラブルを誘発し易い傾向にある。また、平均粒子径が大きすぎる場合は、成形品表面の最大高さRyや算術平均粗さRaが大きくなりやすく、外観が不良となる傾向にある。ポリエステル樹脂パウダーの平均粒径は、より好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは300μm以上、なかでも好ましくは500μm以上、とりわけ700μm以上であり、また1200μm以下がより好ましく、さらに好ましくは1100μm以下、なかでも好ましくは1000μm以下である。ポリエステル樹脂パウダー平均粒子径の測定方法は、前述の通りである。
【0142】
ポリエステル樹脂パウダーの嵩密度は0.2〜0.8g/cm
3であることが好ましく、0.3〜0.7g/cm
3であることがより好ましく、0.4〜0.6g/cm
3であることがさらに好ましい。このような嵩密度のポリエステル樹脂パウダーを使用することにより、樹脂組成物製造の際の無機充填材(B)の飛散、分級を抑制しやすく、無機充填材(B)の2次凝集による外観不良が起こりにくく好ましい。なお、嵩密度はJIS K7365に記載の方法により測定される値をいう。
【0143】
樹脂成分(A)中のポリエステル樹脂パウダーの含有量は、樹脂成分(A)中の1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上、さらには5質量%以上、特には7質量%以上が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらには40質量%以下、特には30質量%以下が好ましく、最も好ましくは20質量%以下である。このような範囲でポリエステル樹脂パウダーを含有させることにより、樹脂ペレットのみの存在下で無機充填材(B)と混合するよりも分散状態が良好となり、無機充填材(B)の2次凝集が抑制されて均一な分散が達成され、高い機械的強度を維持しながら、表面性状や外観に優れる成形品が得られるものと考えられる。
【0144】
また、ポリエステル樹脂パウダーを用いる場合、ポリエステル樹脂パウダーと無機充填材(B)のブレンド物のずり剪断最大応力が10N以下であることが好ましく、8N以下であることがより好ましく、6N以下であることがさらに好ましく、5N以下であることが特に好ましく、4N以下であることが最も好ましい。このようなずり剪断最大応力になるように、ポリエステル樹脂パウダーと無機充填材(B)を配合することにより、無機充填材(B)の2次凝集による外観不良の問題が効果的に改善され、成形品表面の最大高さRy、算術平均粗さRaが小さくなりやすく、さらには、溶融混練等の樹脂組成物製造の際に、安定的なフィードが可能となる傾向にあり好ましい。
【0145】
さらに、ポリエステル樹脂パウダーの平均粒子径が無機充填材の平均一次粒子径の1000〜8000倍であることも好ましい。このような平均粒子径のポリエステル樹脂パウダーと無機充填材(B)の組み合わせとすることにより、無機充填材(B)の2次凝集による外観不良の問題が効果的に改善され、成形品表面の最大高さRy、算術平均粗さRaが小さくなりやすく、溶融混練等の樹脂組成物製造の際に、安定的なフィードが可能となる傾向にあり好ましい。ポリエステル樹脂パウダーの平均粒子径は、無機充填材(B)の平均一次粒子径のより好ましくは2000〜7500倍、さらに好ましくは3000〜7000倍、特に好ましくは3000〜6500倍、特に好ましくは4000〜6000倍である。
【0146】
ポリエステル樹脂パウダーと無機充填材(B)の含有量の質量比(ポリエステル樹脂パウダー:無機充填材(B))が、30:70〜95:5であることが好ましく、40:60〜93:7がより好ましく、50:50〜90:10であることがさらに好ましい。このような含有割合とすることにより、無機充填材の分散状態が良好となり、成形品表面の最大高さRy、算術平均粗さRaが小さくなりやすく、さらには、溶融混練等の樹脂組成物製造の際に安定的なフィードが可能となる傾向にあり、好ましい。
【0147】
上記の好ましい条件を単独でも、また複数を組み合わせて適用することにより、第2のポリエステル樹脂組成物を製造することができるが、中でも、樹脂成分としてポリエステル樹脂パウダーを含むものを使用すること及び連続捏和機を使用した製造条件を採用することが効果的である。
このような第2の発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法を採用することにより、上記したような成形品とした際の最大表面高さRyが5.5μm以下となるようなポリエステル樹脂組成物を安定して製造することが容易となる。しかし、上記した第2のポリエステル組成物を製造する方法は、かかる方法に限られるものではなく、上記した好ましい最大表面高さRyとなる限り、他の方法を用いてもよい。
【0148】
[第2の発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形品]
[成形品]
第2の発明のポリエステル樹脂組成物を用いて成形品を製造する方法は、特に限定されず、例えば、第1の発明のポリエステル樹脂組成物について採用される成形法を任意に採用できる。中でも、生産性と、得られる成形品の表面性が良好となるなど、本発明の効果が顕著であることから、射出成形法が好ましい。
【0149】
第2の発明のポリエステル樹脂組成物を射出成形等により成形した成形品は、表面の平滑性が高く外観が良好なため、金属蒸着した際の荒れ、曇り性や異物感が出ることがなく、ランプエクステンション等の光反射体に好適である。また、プライマー処理なしで直接金属蒸着することが可能である。
【0150】
[光反射体]
本発明の光反射体は、上述の方法で得られた本発明のポリエステル樹脂組成物からなる光反射体基体上に光反射層を有するものであり、好ましくは、光反射体基体の表面に直接、光反射層を有するものである。
【0151】
光反射層は、通常、金属蒸着等によって形成される金属薄膜層であり、光反射体基体の表面に形成される。金属蒸着の方法は特に制限はなく、従来公知の任意の方法を用いればよい。例えば、以下に示す方法が挙げられる。
光反射体基体を真空状態下の蒸着装置内に静置し、アルゴン等の不活性ガスと酸素を導入後、光反射体基体の表面にプラズマ活性化処理を施す。次に蒸着装置内においてターゲットを担持した電極に通電し、チャンバー内に誘導放電したプラズマによりスパッタしたスパッタ粒子(例えば、アルミ粒子)を光反射体基体に付着させる。さらに必要に応じて、アルミニウム蒸着膜の保護膜として、珪素を含むガスをプラズマ重合処理するか、または酸化珪素をイオンプレーティング法等により、アルミニウム蒸着膜の表面に付着してもよい。
【0152】
本発明の光反射体基体は、光反射体基体の表面に、アンダーコートを形成することなく、直接、金属薄膜を設ける場合に、特に有用である。つまり、本発明の光反射体基体は、表面性に優れ、その表面にプライマー処理を施さずに直接に金属蒸着しても、金属薄膜との接着性に優れ、良好な光沢表面が得られる。さらに、射出成形時においても、光反射体基体の金型からの離型性が高いので、金型の転写むらの発生も抑制できる。
【0153】
金属薄膜に用いられる金属としては、例えば、クロム、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられ、中でもアルミニウムが好ましい。なお、光反射体基体の表面と金属薄膜との接着力を上げるために、蒸着前に、光反射体基体の表面を洗浄、脱脂してもよい。
【0154】
このように光反射体基体上に光反射層を設けた光反射体は、光反射層側の拡散反射率が2%未満であることが好ましく、より好ましくは1.5%未満であり、さらに好ましくは1%未満である。特に、光反射層としてアルミニウム(膜厚150nm)を用いた場合の拡散反射率が2%未満であることが好ましく、より好ましくは1.5%未満であり、さらに好ましくは1%未満である。このような拡散反射率とすることにより、優れた集光特性を発現し得る。なお、拡散反射率とは、正反射光除去方式にて波長550nmで測定した値をいう。
【0155】
光反射体としては、各種の灯具等が挙げられる。灯具は建築構造物内の照明の他、自動車、航空機、船舶用の灯具などが挙げられ、具体的には自動車等の車両用ランプ等におけるハウジング、リフレクター、ランプエクステンション等が好ましく挙げられる。
【0156】
ランプエクステンションは、灯具のボディとカバー(またはアウターレンズ)とで形成される灯室内の、ランプの周囲に設けられ、ランプ光源の方向性、反射性のために、高い輝度感、平滑性、均一な反射率、さらには光源からの発熱に耐えうる耐熱性等が要求される。ランプエクステンションは、少なくとも一表面にアルミニウム等の金属蒸着による金属薄膜層からなる鏡面処理が施される。なお、自動車用灯具のランプエクステンションとしては、前照灯や尾灯に多用されるが、これに限定されず、その他、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(いわゆるウインカー)、車幅灯、後退灯などに適用されるもの等を含む。