(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アーム部は、前記本体部から前記一対のガイド部材の一方の前記クラッチ操作部材側で分岐して前記一方のガイド部材の外方を通って前記ハンドル軸側に延びている、請求項1に記載の両軸受リールのクラッチ操作機構。
前記クラッチ操作部材が前記連結姿勢から前記遮断姿勢に移動すると発音する操作部材発音機構をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の両軸受リールのクラッチ操作機構。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールには、ハンドルとスプールとを連結及び遮断するクラッチ機構が設けられている。このクラッチ機構を操作することにより、釣り糸をスプールから繰り出したりスプールに釣り糸を巻き付けたりできる。
【0003】
クラッチ機構は、ピニオンギアと、スプール軸に設けられた径方向に延びるクラッチピンとから構成されている。ピニオンギアの端面には、ピンが係合可能な噛み合い溝が形成されており、ピニオンギアを軸方向に移動させることでクラッチ機構が連結・遮断(オンオフ)する。クラッチ機構は、クラッチ操作機構により遮断状態に操作できる。クラッチ操作機構は、たとえば、連結姿勢と遮断姿勢との間でリール本体に揺動自在に装着されたクラッチレバー(クラッチ操作部材の一例)と、クラッチレバーの揺動によりスプール軸に向けて移動するクラッチプレートと、クラッチプレートの移動によりスプール軸方向に移動するクラッチヨークと、クラッチヨークをスプール軸方向に案内する一対のガイド軸(ガイド部材の一例)とを有している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
クラッチプレートは、クラッチレバーの揺動に応じてスプール軸から遠い連結位置とスプール軸に近い遮断位置との間で移動する。クラッチプレートは、スプール軸を挟んで配置された第1プレート部と第2プレート部と、第2プレート部からハンドル軸側に延びるアーム部と、を有している。第1プレート部及び第2プレート部にはクラッチヨークをスプール軸方向に沿って移動させるための第1カム部及び第2カム部が各別に設けられている。アーム部は、第2プレート部からさらにハンドル軸側に延びており、その先端にクラッチ復帰機構を回動自在に支持すするための回動軸が装着された回動支持部が設けられている。回動軸は、回動支持部に、例えば止め輪により抜け止めされている。
【0005】
クラッチ復帰機構は、回動支持部に設けられた回動軸に回動自在に支持されたクラッチ爪と、釣り用リールラッチ爪を押圧する押圧部を有する回転部材と、を有している。回転部材は、通常は爪式のワンウェイクラッチのラチェットホイールが用いられ、ラチェットホイールには、押圧部が設けられている。クラッチ爪は、クラッチプレートのクラッチオン位置とクラッチオフ位置との移動に連動して、ハンドル軸に近い当接位置とハンドル軸から遠い遮断位置とに移動する。また、クラッチ爪は、トグルバネにより当接姿勢と解除姿勢とに振り分けて付勢されている。
【0006】
このような構成のクラッチ復帰機構では、クラッチ操作部材を連結姿勢から遮断姿勢に操作すると、クラッチプレートが連結位置から遮断位置に移動する。これにより、クラッチヨークがピニオンギアをクラッチピンから離反する方向に移動させ、クラッチ機構がオフする。これとともに、クラッチ爪が解除姿勢から当接姿勢に移動する。当接姿勢では、クラッチ爪の先端部をラチェットホイールの押圧部が押圧可能である。クラッチオフ状態でハンドルが糸巻取方向に回転すると、押圧部によりクラッチ爪の先端部が押圧され、クラッチ爪が当接姿勢から解除姿勢に移動し、クラッチ爪によりクラッチプレートが遮断置から連結位置に移動する。これにより、クラッチ機構がクラッチオン状態に戻る。このとき、回動軸を介してクラッチ爪の力がクラッチプレートに伝達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のクラッチ操作機構では、クラッチ復帰機構が動作するとき、押圧部に押圧されトグルバネにより付勢されたクラッチ爪に作用する力が回動軸を介してクラッチプレートの回動支持部に伝達される。このため、クラッチ復帰機構の動作時に回動軸に力が集中し、回動軸を大径にする必要がある
本発明の課題は、クラッチ復帰機構の動作時に回動軸に力が集中しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明1に係る両軸受リールのクラッチ操作機構は、両軸受リールのリール本体に設けられたスプールとハンドルとを連結及び遮断するクラッチ機構を操作するための機構である。クラッチ操作機構は、クラッチ操作部材と、一対のガイド部材と、クラッチヨークと、クラッチプレートと、クラッチ復帰機構と、を備えている。クラッチ操作部材は、リール本体に連結姿勢と遮断姿勢との間で移動自在に装着されている。一対のガイド部材は、リール本体にスプールの回転軸芯を挟んで回転軸芯に沿って配置されている。クラッチヨークは、ガイド部材に案内されて回転軸芯に沿って移動自在であり、クラッチ機構に係合してクラッチ機構を連結状態と遮断状態とに切り換える。クラッチプレートは、本体部と、第1カム部及び第2カム部と、アーム部と、を有している。本体部は、クラッチ操作部材の移動に連動して回転軸芯に近い遮断位置と前記回転軸芯から遠い連結位置とに往復移動する。第1カム部及び第2カム部は、本体部から分岐して一対のガイド部材間で回転軸芯を挟んで配置され、クラッチヨークを回転軸芯に沿って移動させる。アーム部は、本体部に連動して移動し、途中に回動軸が装着される回動支持部を有し先端に接触部を有し、ハンドル
軸側に延びる。クラッチ復帰機構は、クラッチ爪と、回転部材と、トグルバネと、を有する。クラッチ爪は、基端が回動支持部に装着された回動軸に解除姿勢と当接姿勢とに回動自在に支持され、先端がハンドル
軸側に延び、途中
に接触部に当接可能な被接触部を有する。クラッチ爪は、クラッチプレートが連結位置から遮断位置に移動すると、接触部に被接触部が接触して当接姿勢になる。回転部材は、当接姿勢にあるクラッチ爪を解除姿勢に向けて押圧可能な押圧部を有し、ハンドルに連動して回転する。トグルバネは、クラッチ爪を当接姿勢と解除姿勢とに振り分けて付勢する。クラッチ復帰機構は、ハンドルの糸巻取方向の回転に連動して回転部材の押圧部がクラッチ爪を押圧してクラッチプレートを遮断位置から連結位置に移動させる。
クラッチ爪は、金属製の板状部材であり、被接触部は、押圧部がクラッチ爪を押圧する押圧方向に沿って折り曲げて形成される。被接触部は、押圧部によって押圧されるクラッチ爪の先端と押圧方向に並べて配置される。
【0010】
このクラッチ操作機構では、クラッチ操作部材を連結姿勢から遮断姿勢に操作すると、クラッチプレートが連結位置から遮断位置に移動し、第1カム部及び第2カム部の作用により、クラッチヨークがクラッチ機構を連結状態から遮断状態に切り換える。これより、アーム部に回動軸を介して連結されたクラッチ爪が解除状態から当接状態に移動する。このとき、トグルバネにより付勢されたクラッチ爪の被接触部がアーム部の接触部に接触し、当接状態が維持される。この状態でハンドルが糸巻取方向に回転すると、回転部材が同方向に回転し、押圧部がクラッチ爪の先端部を遮断姿勢に向けて押圧する。このとき、クラッチ爪の被接触部がアーム部の接触部に接触しているため、クラッチ爪に作用する押圧力は、被接触部からアーム部の接触部を介してクラッチプレートに伝達される。ここでは、クラッチプレートのアーム部に接触部を設け、クラッチ爪に作用する押圧力がクラッチ爪の被接触部から接触部を経由してクラッチプレートに作用する。このため、回動支持部に装着された回動軸に力が集中しなくなり、回動軸を小径化することができる。
【0011】
発明2に係る両軸受リールのクラッチ操作機構は、発明1に記載の機構において、アーム部は、本体部から一対のガイド部材の一方のクラッチ操作部材側で分岐して一方のガイド部材の外方を通ってハンドル
軸側に延びている。この場合には、アーム部が本体部から分岐して一方のガイド部材の外方を通ってハンドル
軸側に延びている。このため、ハンドルの回転軸に装着されるメインギアが大径化してギア比が大きいリールであっても、ガイド部材の間隔を広くする必要がなくなり、クラッチヨークの長さを長くする必要がない。このため、リール本体の大径化を抑えることができる。
【0012】
発明3に係る両軸受リールのクラッチ操作機構は、発明1又は2に記載の機構において、回動軸は、アーム部の回動支持部にカシメ固定されている。この場合には、力が集中しない回動軸を小径化できるため、回動軸を変形させて固定するカシメ固定を行える。このため、従来のように止め輪を使用して抜け止めする必要がなくなり、回動軸の取り付けが容易になる。
【0013】
発明4に係る両軸受リールのクラッチ操作機構、発明1から3のいずれかに記載の機構において、クラッチ操作部材が連結姿勢から遮断姿勢に移動すると発音する操作部材発音機構をさらに備える。この場合には、クラッチ遮断操作のときに、発音するため、クラッチ機構がクラッチオフしたことを確実に認識できる。しかも、操作部材発音機構によりクラッチ操作部材の位置決めも可能になり、キャスティング時に、慣性によりクラッチ操作部材が連結姿勢に戻るのを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クラッチプレートのアーム部に接触部を設け、クラッチ爪の被接触部からクラッチ爪に作用する押圧力が接触部を経由してクラッチプレートに作用する。このため、回動支持部に装着された回動軸に力が集中しなくなり、回動軸を小径化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<全体構成>
図1において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、たとえば、中型の丸型リールである。丸型リールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル組立体2と、ハンドル組立体2のリール本体1側に配置されたスタードラグ3とを備えている。リール本体1には、スプール15が回転自在に装着されている。リール本体1は、竿取付脚4を介して釣り竿Rに装着され得る。
【0017】
リール本体1は、
図3に示すように、フレーム5と、第1側カバー13と、第2側カバー14と、機構装着板16と、を有している。フレーム5は、所定の間隔をあけて配置された第1側板10及び第2側板11と、第1側板10と第2側板11を連結する複数の連結部材12とを有している。第1側カバー13は、第1側板10の外方を覆うように第1側板
10と一体形成されている。第2側カバー14は、第2側板11の外方を覆うように第2側板11に固定されている。機構装着板16は第2側板11に配置され、機構装着板16と第2側カバー14との間には、後述する各種機構を収納するための空間が形成されている。
図5に示すように、機構装着板16の後部には、
図4に示す第2側カバー14の後部に設けられた水抜き孔14aに連通する水抜き用の切欠き部16aが形成されている。これにより、機構装着板16と第2側カバー14との間に浸入した液体をリール外部に排出しやすくなる。
【0018】
フレーム5はダイキャスト成形により得られ、第2側カバー14は、金属薄板をプレス成形して得られる。第1側板10、第2側板11及び第1側カバー13は、それぞれ側面から見て円形をなしており、外周面はたとえば旋盤等を用いて機械加工されている。第2側カバー14及び機構装着板16は、
図4及び
図5に示すように、側面から見て円形の一部が径方向に突出した形状である。第2側カバー14は、ハンドル軸30(後述)の装着部分を中心に軸方向外方にも膨出している。
【0019】
複数の連結部材12は、第1側板10及び第2側板11の外周に沿う形状で第1側板10及び第2側板11と一体で形成された板状の部材である。複数の連結部材12は、例えば、リール本体1の後部と下部と前部との3か所で第1側板10及び第2側板11を連結している。このように第1側板10及び第2側板11と複数の連結部材12とを一体で形成することで、リール本体1に大きな荷重が作用しても撓み等の変形が生じがたく、巻上げ効率の低下が抑制される。この連結部材12の外周部も第1側板10、第2側板11及び第1側カバー13と一体で機械加工されている。
【0020】
下部の連結部材12には竿取付脚4が固定されている。竿取付脚4は、フレーム5の第1側板10及び第2側板11の間の中心位置Cに沿って前後方向に配置されている。この中心位置Cは、スプール15の糸巻部分の中心位置でもある。後部の連結部材12には、リールを釣り竿Rとともに保持するための合成樹脂製のサムレスト17(
図2参照)が装着されている。
【0021】
サムレスト17は、連結部材12の上部と後部とに接するように形成され、かつ後部が第1側板10及び第2側板11から径方向外方、つまり後方に突出している。サムレスト17の上面後部は、下方に凸に湾曲しながら傾斜している。また、サムレスト17の上面後部の左端及び右端は、後方への突出量が左側にいくにつれて徐々に減少している。
【0022】
このような形状のサムレスト17を設け、このサムレスト17にたとえば左手の親指を置いて他の指で釣り竿Rをつかみ釣り竿Rとともにリールを握ることで、バーチカルジギング時等に釣り竿Rをリールとともに確実に保持できる。
【0023】
ハンドル組立体2は、
図1、
図2、
図3及び
図4に示すように、ハンドル軸30の先端に回転不能に装着されたクランクアーム6と、クランクアーム6の一端にクランクアーム6の一端部と直交する第1軸回りに回転自在に装着されたハンドル把手7とを有している。ハンドル組立体2において、ハンドル把手7の基端部の回転平面がクランクアーム6のハンドル軸30への固定部分の回転平面よりリール本体1側に接近している。このことにより、ハンドル把手7と釣り竿Rとの距離が従来に比べて近くなり、ハンドル把手7を回して釣り糸を巻き上げたときの釣り竿Rの軸回りのトルクが小さくなり、ハンドル巻き上げ効率の低下を効果的に抑えることができる。
【0024】
スプール15は、
図2に示すように、第1側板10及び第2側板11間に回転自在に配置されている。スプール15の中心にはスプール軸25が貫通して固定されている。スプール軸25は第1側カバー13及び機構装着板16に軸受26a及び軸受26bを介して回転自在に各別に支持されている。スプール軸25の両端には、キャスティングコントロール機構36が配置されている。
【0025】
キャスティングコントロール機構36は、第2側カバー14に設けられたボス部14bに螺合するつまみ部材36aと、つまみ部材36aに装着された小径の2枚の第1摩擦板36bと、第1摩擦板36bとスプール軸25の軸端との間に配置された金属製の大径の2枚の第2摩擦板36cと、第1側カバー13に装着された第3摩擦板36dとを有している。このような2枚の第1摩擦板36bを配置すると、第1摩擦板36bの一方を硬質なものに変える、両方を硬質なものに変える、又は両方を軟質なものに変えることにより、キャスティングコントロール機構36を微調整できる状態からできない状態まで複数段階に簡単に変更できるようになる。
【0026】
機構装着板16と第2側カバー14の間の空間には、ハンドル組立体2からのトルクをスプール15に伝えるための回転伝達機構20と、回転伝達機構20内に設けられたクラッチ機構21と、クラッチ機構21をオンオフ操作するためのクラッチ操作機構22とが配置されている。
【0027】
回転伝達機構20は、スプール15からハンドル組立体2側にトルクが逆に伝達された場合のトルクを規制するための回転制御機構23を含んでいる。また、第2側板11の中心部には糸繰り出し方向に自由回転するスプール15を制動するための遠心ブレーキ機構24が配置されている。第1側板10の外側で第1側カバー13内には、スプール15回転時に発音させる発音機構や根がかりしたとき等にスプール15を完全にロックして糸切れしやすくするためのロック機構等が配置されている。
【0028】
回転伝達機構20は、
図3及び
図5に示すように、一端にハンドル組立体2が固定されたハンドル軸30と、ハンドル軸30の他端に回転制御機構23を介して連結されたメインギア31と、メインギア31に噛み合うピニオンギア32とを有している。メインギア31は、外周にギア歯31aを有し、ハンドル軸30に回転自在に装着されている。ピニオンギア32は、回転伝達機構20を構成すると共にクラッチ機構21としても機能する。ピニオンギア32は、一端に形成された十字の噛み合い溝32aと、中間に形成されたくびれ部32bと、くびれ部32bに隣接して形成されたギア歯32cと、他端に形成された軸受支持部32dと、を有している。ギア歯32cはメインギア31のギア歯31aに噛み合っている。
【0029】
ピニオンギア32は噛み合い精度を向上させるために両端が支持されている。具体的には、噛み合い溝32aが形成されたピニオンギア32の一端と、軸受支持部32dが形成された他端とが、軸受27a及び軸受27bを介して機構装着板16及び第2側カバー14に回転自在に各別に支持されている。
【0030】
ハンドル軸30は、スプール軸25と平行に配置されており、一端側が機構装着板16に回転自在に支持されている。メインギア31は、ハンドル軸30の一端側に回転制御機構23を介して一体回転するように連結できる。このような構成では、クラッチ機構21がオンされた状態では、ハンドル組立体2からのトルクがスプール15に直接伝達される。
【0031】
クラッチ機構21は、スプール軸25の外周部にスライド自在に装着された筒状のピニオンギア32と、ピニオンギア32の一部に配置された噛み合い溝32aと、スプール軸25に配置されたクラッチピン33と、を有している。スプール軸25に沿ってピニオンギア32を摺動させ、噛み合い溝32aをクラッチピン33と係合させれば、スプール軸25とピニオンギア32との間で回転力が伝達される。この状態が連結状態(クラッチオン状態)である。噛み合い溝32aとクラッチピン33の係合を外せば、スプール軸25とピニオンギア32との間で回転力は伝達されない。この状態が遮断状態(クラッチオフ状態)である。クラッチオフ状態では、スプール15は自由に回転する。ピニオンギア32は、クラッチ操作機構22により噛み合い溝32aとクラッチピン33とが係合する方向、すなわちクラッチオン状態に付勢されている。
【0032】
回転制御機構23は、ハンドル軸30を糸巻取方向にのみ回転させる(糸繰り出し方向の回転を禁止する)ローラ型のワンウェイクラッチ55と、ドラグ機構57と、爪式のワンウェイクラッチ60と、を有している。ドラグ機構57は、スプール15の糸繰り出し方向の回転に対して設定した制動力を作用させるための機構である。爪式のワンウェイクラッチ60は、ハンドル軸30を糸巻取方向にのみ回転させるものである。爪式のワンウェイクラッチ60は、
図5及び
図6に示すように、ハンドル軸30に一体回転可能に装着されたラチェットホイール61と、ラチェットホイール61に噛み合い可能なラチェット爪62と、を有している。ラチェット爪62は、ラチェットホイール61側に付勢されている。ラチェットホイール61は、後述するクラッチ復帰機構45の回転部材としても機能する。
【0033】
なお、ハンドル軸30の逆転(糸繰り出し方向の回転)を禁止するだけであれば、爪式のワンウェイクラッチ60のみを設けてローラ型のワンウェイクラッチ55を省いてもよい。しかし、ワンウェイクラッチ60は、ラチェット爪62がラチェットホイール61に噛み合ったり外れたりする動作にある程度の時間がかかる。釣りの動作に要求される迅速で滑らかな逆転禁止動作を果たすには、前記のようなローラ型のワンウェイクラッチ55が好ましく、ワンウェイクラッチ55では負担できないような過大な力を爪式のワンウェイクラッチ60で負担することが有効である。
【0034】
<クラッチ操作機構の構成>
本発明の一実施形態によるクラッチ操作機構22は、
図5、
図6及び
図7に示すように、リール本体1の第2側カバー14に
図6に示す連結姿勢と、
図7に示す遮断姿勢と、の間で揺動自在に装着されたクラッチ操作部材40と、揺動支持部材41と、クラッチプレート42と、クラッチヨーク43と、第1トグルバネ44と、クラッチ復帰機構45と、を備えている。クラッチプレート42は、クラッチ操作部材40の揺動によりスプール軸25に対して接近・離反する方向に直線的に移動する。クラッチヨーク43は、クラッチプレート42の移動によりスプール軸25の軸方向に沿って移動する。第1トグルバネ44は、クラッチ操作部材40を付勢する。クラッチ復帰機構45は、クラッチオフ状態のとき、ハンドル組立体2の糸巻取方向に回転によりクラッチ機構21をクラッチオン状態に戻す。
【0035】
クラッチ操作部材40は、
図3、
図4及び
図6に示すように、第2側カバー14の外側で揺動する、例えばアルミニウム合金等の金属製のレバー部46と、揺動軸47と、カム板49と、を有している。揺動軸47は、第2側カバー14に揺動支持部材41を介して揺動自在に装着された金属製の軸である。カム板49は、揺動軸47の他端に固定ボルト48により回転不能に装着された金属製の部材である。
【0036】
レバー部46は、基端に形成された有底筒状のボス部46aから径方向に延びるアーム形状の部材である。揺動軸47はカム板49に一体回動可能に係止される。揺動軸47は、外周にローレット加工された部分を有し、加工部分がレバー部46に圧入されている。これにより揺動軸47は、レバー部46と一体で揺動可能である。
【0037】
カム板49は、ほぼ円形の板状部材であり、中心に揺動軸47に係止される長孔49aが形成されている。カム板49のレバー部46と逆側の面には、カムピン49bが立設されている。カムピン49bは、クラッチプレート42に係止され、揺動軸47の揺動によりクラッチプレート42を前後に移動させる。
【0038】
カム板49の端縁には、径方向に突出する2つの突起が両端に配置された扇状の凹部49c(
図4参照)が形成されている。この凹部49cは、揺動支持部材41に形成された角度規制突起41bに係止されることでクラッチ操作部材40の揺動角度を規制するために設けられている。さらに、カム板49の端縁に第1トグルバネ44の他端が係止される。このカム板49を固定ボルト48で揺動軸47に装着すると、カム板49とボス部46aとの間に、揺動支持部材41と第2側カバー14とワッシャ54が挟まれて揺動支持部材41が第2側カバー14に装着される。また、カム板49と揺動支持部材41との間には、クラッチ操作部材40が遮断姿勢になると発音し、かつクラッチ操作部材40を遮断姿勢で位置決めするレバー発音機構35(操作部材発音機構の一例)が設けられている。
【0039】
レバー発音機構35は、カム板49に進退自在に装着された打撃ピン35aと、打撃ピン35aが係合するように揺動支持部材41に形成された音出し凹部35bと、打撃ピン35aを揺動支持部材41に向けて付勢する付勢部材35cと、を有している。音出し凹部35bは、揺動支持部材41のカム板49に面する背面にクラッチ操作部材40が遮断姿勢に操作されると対向する位置に球面状に凹んで形成されている。
【0040】
揺動支持部材41は、第2側カバー14に形成されたボス孔14cにはめ込まれる合成樹脂製の雨滴状の板状部材である。揺動支持部材41の基端部には、クラッチ操作部材40の揺動軸47が貫通する貫通孔41aが形成されている。揺動支持部材41は、第2側カバー14に回転不能に装着される。揺動支持部材41の先端には、第1トグルバネ44の一端が係止される。さらに揺動支持部材41の内側面には、クラッチ操作部材40の揺動角度を規制するための角度規制突起41bが形成されている。
【0041】
第1トグルバネ44は、前述のように一端が揺動支持部材41に他端がカム板49にそれぞれ係止され、クラッチ操作部材40を遮断及び連結の両姿勢側に付勢する。第1トグルバネ44は、例えば、捩りコイルバネである。第1トグルバネ44は、クラッチ操作部材40が一方の姿勢から他方の姿勢に揺動するとき、死点(ねじりコイルバネがもっともねじれた位置)を越えるまでは一方の姿勢側に、死点を越えると他方の姿勢側にクラッチ操作部材40をそれぞれ振り分けて付勢する。
【0042】
クラッチヨーク43は、
図5及び
図6に示すように、クラッチプレート42の移動によりスプール軸25の軸方向に移動し、クラッチ機構21をクラッチオン状態とクラッチオフ状態とに切り換える。クラッチヨーク43は、機構装着板16に立設された一対のガイド軸50(一対のガイド部材の一例)によりスプール軸25の軸方向に沿って案内される。クラッチヨーク43は、ガイド軸50が貫通する一対のボス部43aと、ボス部43a間をつなぐ係止部43bとを有している。ガイド軸50は、スプール軸25を挟んでスプール軸25に平行に配置されている。ガイド軸50の周囲には、コイルバネ51が巻回されている。コイルバネ51は、第2側カバー14の内側面とボス部43aとに挟まれて圧縮状態で装着されており、クラッチヨーク43をクラッチオン側に付勢している。
【0043】
係止部43bは、スプール軸25に装着されたピニオンギア32のくびれ部32bを迂回して湾曲しており、この係止部43bがピニオンギア32のくびれ部32bに係合してピニオンギア32をスプール軸25に沿って軸方向に往復移動させ、クラッチ機構21をオンオフする。また、係止部43bのクラッチプレート42に対向する面には、後述する第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cに係合する傾斜受け面43cが形成されている。
【0044】
クラッチプレート42は、
図5に示すように、金属製の板状部材であり、プレス加工により形成されている。クラッチプレート42は、クラッチ操作部材40の揺動により、
図6に示す連結位置と、
図7に示す遮断位置との間でスプール軸25に接近・離反する方向に直線的に往復移動する。クラッチプレート42は、機構装着板16に設けられた複数の突起16bにより案内される。クラッチプレート42は、カム板49に面して配置された本体部42aと、第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cと、本体部42aに連動して移動するアーム部42dと、を有している。本体部42aの基端部には、カム板49に立設されたカムピン49bが貫通する長孔42eが形成されている。この長孔42eとカムピン49bとの係合により、クラッチ操作部材40の揺動運動がクラッチプレート42の直線運動に変換される。
【0045】
第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cは、本体部42aの先端部において一対のガイド軸50の間でピニオンギア32を挟んで分岐して配置されている。第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cはプレス加工により形成されており、クラッチヨーク43の傾斜受け面43c(
図5参照)にピニオンギア32を挟んで接触してクラッチヨーク43をスプール軸25方向外方(クラッチオフ方向)に移動させる。
【0046】
アーム部42dは、
図6下側のガイド軸50のクラッチ操作部材40側で本体部42aから分岐してガイド軸50の外方を通ってハンドル軸30側に延びている。アーム部42dは、途中に回動軸58が装着される回動支持部42fを有し、回動支持部42fの先端側に第1接触部42gを有し、第1接触部42gの先端側に第2接触部42hを有している。第1接触部42gは、後述するクラッチ爪56を当接姿勢に維持するものである。第2接触部42hは、クラッチ爪56を解除姿勢に維持するものである。回動支持部42fには、回動軸58がカシメ固定されるカシメ孔42iが形成されている。
【0047】
このように、クラッチプレート42のアーム部42dがガイド軸50の外方を通ってハンドル軸30側に延びているので、メインギア31のギア比が高速化に対応して大径化しても一対のガイド軸50の間隔を長くする必要がなくなり、クラッチヨーク43の長さを長くする必要がない。このため、リール本体1の大型化を抑えることができる。
【0048】
クラッチ復帰機構45は、ハンドル組立体2の糸巻取り方向の回転に連動してクラッチプレート42を遮断位置から連結位置に移動させる機構である。クラッチ復帰機構45は、ラチェットホイール61(回転部材の一例)と、回動支持部42fに回動自在に支持されたクラッチ爪56と、第2トグルバネ52と、を有している。
【0049】
ラチェットホイール61の側面には、押圧部としてリターンピン63が立設されている。リターンピン63は、クラッチオフ時にハンドル軸30が糸巻取方向(
図4の時計回り)に回転すると、当接姿勢にあるクラッチ爪56の先端に当接してクラッチプレート42を連結姿勢側に押圧する。
【0050】
クラッチ爪56は、アーム部42dの機構装着板16から離反する外側に配置された金属製の板状部材である。クラッチ爪56は、基端が回動支持部42fに装着された回動軸58に当接姿勢と解除姿勢とに回動自在に支持され、先端がハンドル軸30側に延びている。クラッチ爪56は、回動軸58に支持される支持孔56aと、第2トグルバネ52の一端が係止されるバネ掛けアーム56bと、を有している。クラッチ爪56の途中の上端面には、アーム部42dの第1接触部42g及び第2接触部42hに接触する被接触部56cが内側に折り曲げて形成されている。クラッチ爪56は、クラッチプレート42が連結位置から遮断位置に移動すると、被接触部56cが第1接触部42gに接触して当接姿勢になる。また、解除姿勢になると、被接触部56cが第2接触部42hに接触して解除姿勢になる。
【0051】
第2トグルバネ52は、
図6及び
図7に示すように、クラッチ爪56を当接姿勢と解除姿勢とに振り分けて付勢する捩りコイルバネである。第2トグルバネ52は、一端がクラッチ爪56に係止され、他端が機構装着板16に係止されている。
【0052】
回動軸58は、クラッチ爪56側から装着されてクラッチプレート42の回動支持部42fのカシメ孔42iにカシメ固定されている。回動軸58は、
図8に示すように、クラッチ爪56の外側面に配置される鍔部58aと、鍔部58aより小径の大径部58bと、小径部58cと、カシメ凹部58dと、を有している。大径部58bは、鍔部58aより小径であり、クラッチ爪56の支持孔56aに回動自在に嵌合するものである。大径部58bの軸方向長さは、クラッチ爪56の厚みより僅かに長い。これにより、ワッシャ等の部材を用いることなく、クラッチ爪56を回動自在に支持できる。小径部58cは、アーム部42dのカシメ孔42iに嵌合する。カシメ孔42iが形成されたアーム部42dの内側面には、テーパ面42jが形成されている。カシメ凹部58dには、円錐の外周面形状に凹んで形成されている。クラッチ爪56を回動軸58に装着した状態でカシメ凹部をカシメ治具で押圧すると、回動軸58の小径部58cの先端外周面がテーパ面42jに食い込んで、回動軸58がアーム部42dの回動支持部42fに固定される。
【0053】
<クラッチ操作機構の動作>
次に、釣用リールの使用時におけるリールの動作について説明する。
【0054】
釣り糸を繰り出す時には、クラッチ操作部材40を連結姿勢から遮断姿勢側に揺動させる。すると、第1トグルバネ44の死点を越えた時点でクラッチ操作部材40が遮断姿勢側に付勢され、クラッチ操作部材40が
図6に示す遮断姿勢に維持される。この揺動時にカムピン49bと長孔42eとの係合により、クラッチプレート42がスプール軸25側に前進して遮断位置に配置される。クラッチプレート42が前進すると、クラッチヨーク43が第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cに乗り上げスプール軸25の軸方向外方にコイルバネ51の付勢力に抗して移動する。クラッチヨーク43が外方に移動すると、クラッチヨーク43に係止されたピニオンギア32が軸方向外方に移動する。これにより、クラッチピン33と噛み合い溝32aとの係合が解除され、クラッチ機構21がクラッチオフ状態になる。この結果、スプール15が自由回転状態になり、ジグ(仕掛け)の自重によりスプール15が糸繰り出し方向に回転し、釣り糸がスプール15から繰り出される。このとき、
図7に示すように、アーム部42dも前進してクラッチ爪56が当接姿勢に揺動し、被接触部56cがアーム部42dの第1接触部42gに接触し、第2トグルバネ52によりその姿勢を維持する。
【0055】
ジグが海底に到達するとハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させてバーチカルジギングを開始する。ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させると、ラチェットホイール61も同方向に回転し、クラッチ復帰機構45のリターンピン63によりクラッチ爪56の先端部が押圧されてクラッチプレート42が後退する。そして、第2トグルバネ52により付勢され、被接触部56cがアーム部42dの第2接触部42hに接触し遮断姿勢を維持する。これにより、クラッチヨーク43がコイルバネ51により付勢されてクラッチオン状態になる。このとき、クラッチ爪56に加わる力は、回動軸58ではなく、被接触部56cを介して第1接触部42gに伝達されクラッチプレート42が後退する。このため、回動軸58を小径にすることができる。これにより、回動軸58をアーム部42dにカシメ固定できる。
【0056】
バーチカルジギングを行うときには、たとえば、左の脇に釣り竿Rの図示しない後端部を挟み、リール本体1の後部に固定されたサムレスト17に左手の親指を置き、残りの指で釣り竿Rを掴んでリールと釣り竿Rとを保持し、左手で釣り竿Rをしゃくりつつ右手でハンドル組立体2のハンドル把手7をつまみ、高速でハンドル軸30を回すポンピング動作を繰り返す。
【0057】
ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させると、ハンドル組立体2の回転がハンドル軸30からワンウェイクラッチ55、ドラグ機構57を介してメインギア31にそのまま伝達される。このときクラッチ機構21はクラッチオン状態であるため、メインギア31の回転はピニオンギア32からスプール15に伝達されて、釣り糸が巻き上げられる。このとき、ワンウェイクラッチ55及び爪式のワンウェイクラッチ60では、回転が糸巻取方向であるので回転を許容する。
【0058】
次に、魚の引きなどで釣り糸が繰り出される際には、スプール15の回転がメインギア31に伝達され、ドラグ機構57を介してハンドル軸30およびワンウェイクラッチ55に伝わる。ワンウェイクラッチ55ではハンドル軸30の逆転が禁止される。魚の引きが弱ければ、スプール15は回転せず釣糸が引き出されることもない。そして、魚の引きが強くなりスプール15の回転力が大きくなると、伝達される回転力がドラグ機構57の設定回転抵抗力を超える。すると、ドラグ機構57で滑りが生じるので、メインギア31を含むスプール15側は回転を始める。このとき、スプール15には常にドラグ機構57から一定の抵抗力すなわちドラグ力が作用する。
【0059】
<特徴>
(A)クラッチ操作機構22は、両軸受リールのリール本体1に設けられたスプール15とハンドル組立体2とを連結及び遮断するクラッチ機構21を操作するための機構である。クラッチ操作機構22は、クラッチ操作部材40と、一対のガイド軸50と、クラッチヨーク43と、クラッチプレート42と、クラッチ復帰機構45と、を備えている。クラッチ操作部材40は、リール本体1の第2側カバー14に連結姿勢と遮断姿勢との間で移動自在に装着されている。一対のガイド軸50は、リール本体1の機構装着板16にスプール軸25を挟んでスプール軸25に沿って配置されている。クラッチヨーク43は、ガイド軸50に案内されてスプール軸25に沿って移動自在であり、クラッチ機構21に係合してクラッチ機構21を連結状態と遮断状態とに切り換える。クラッチプレート42は、本体部42aと、第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cと、アーム部42dと、を有している。本体部42aは、クラッチ操作部材40の移動に連動してスプール軸25に近い遮断位置とスプール軸25から遠い連結位置とに往復移動する。第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cは、本体部42aから分岐して一対のガイド軸50間でスプール軸25を挟んで配置され、クラッチヨーク43をスプール軸25に沿って移動させる。アーム部42dは、本体部42aに連動して移動し、途中に回動軸58が装着される回動支持部42fを有し回動支持部42fの先端側に第1接触部42gを有し、ハンドル軸30側に延びる。クラッチ復帰機構45は、クラッチ爪56と、ラチェットホイール61と、第2トグルバネ52と、を有する。クラッチ爪53は、基端が回動支持部42fに装着された回動軸58に解除姿勢と当接姿勢とに回動自在に支持され、先端がハンドル軸30側に延び、途中に第1接触部42gに当接可能な被接触部56cを有する。クラッチ爪56は、クラッチプレート42が連結位置から遮断位置に移動すると、第1接触部42gに被接触部56cが接触して当接姿勢になる。ラチェットホイール61は、当接姿勢にあるクラッチ爪56を解除姿勢に向けて押圧可能なリターンピン63を有し、ハンドル組立体2に連動して回転する。第2トグルバネ52は、クラッチ爪53を当接姿勢と解除姿勢とに振り分けて付勢する。クラッチ復帰機構45は、ハンドル組立体2の糸巻取方向の回転に連動してラチェットホイール61のリターンピン63がクラッチ爪56を押圧してクラッチプレート42を遮断位置から連結位置に移動させる。
【0060】
このクラッチ操作機構22では、クラッチ操作部材40を連結姿勢から遮断姿勢に操作すると、クラッチプレート42が連結位置から遮断位置に移動し、第1傾斜カム部42b及び第2傾斜カム部42cの作用により、クラッチヨーク43がクラッチ機構21を連結状態から遮断状態に切り換える。これより、アーム部42dに回動軸58を介して連結されたクラッチ爪56が解除状態から当接状態に移動する。このとき、第2トグルバネ52により付勢されたクラッチ爪56の被接触部56cがアーム部42dの第1接触部42gに接触し、当接状態が維持される。この状態でハンドル組立体2が糸巻取方向に回転すると、ラチェットホイール61が同方向に回転し、リターンピン63がクラッチ爪56の先端部を遮断姿勢に向けて押圧する。このとき、クラッチ爪56の被接触部56cがアーム部42dの第1接触部42gに接触しているため、クラッチ爪56に作用する押圧力は、被接触部56cからアーム部42dの第1接触部42gを介してクラッチプレート42に伝達される。ここでは、クラッチプレート42のアーム部42dに第1接触部42gを設け、クラッチ爪56に作用する押圧力が、クラッチ爪56の被接触部56cから第1接触部42gを経由してクラッチプレート42に作用する。このため、回動支持部42fに装着された回動軸58に力が集中しなくなり、回動軸58を小径化することができる。
【0061】
(B)クラッチ操作機構22において、アーム部42dは、本体部42aから一対のガイド軸50の一方のクラッチ操作部材40側で分岐して一方のガイド軸50の外方を通ってハンドル軸30側に延びている。この場合には、本体部42aから分岐して一方のガイド軸50の外方を通ってハンドル軸30側に延びている。このため、ハンドル軸30に装着されるメインギア31が大径化してギア比が大きいリールであっても、ガイド軸50の間隔を広くする必要がなくなり、クラッチヨーク43の長さを長くする必要がない。このため、リール本体1の大径化を抑えることができる。
【0062】
(C)クラッチ操作機構22において、回動軸58は、アーム部42dの回動支持部42fにカシメ固定されている。この場合には、力が集中しない回動軸58を小径化できるため、回動軸58を変形させて固定するカシメ固定を行える。このため、従来のように止め輪を使用して抜け止めする必要がなくなり、回動軸58の取り付けが容易になる。
【0063】
(D)クラッチ操作機構22において、クラッチ操作部材40が連結姿勢から遮断姿勢に移動すると発音するレバー発音機構35をさらに備える。この場合には、クラッチ遮断操作のときに、発音するため、クラッチ機構21がクラッチオフしたことを確実に認識できる。しかも、レバー発音機構35によりクラッチ操作部材40の位置決めも可能になり、キャスティング時に、慣性によりクラッチ操作部材40が連結姿勢に戻るのを防止できる。
【0064】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
(a)前記実施形態では、クラッチプレート42とクラッチ操作部材40とを別体で構成し、クラッチ操作部材40の揺動に連動してクラッチプレート42を前後動させたが、クラッチプレート42とクラッチ操作部材40とを一体で形成し、クラッチ操作部材40をスプール軸25に対して前後動させるようにしてもよい。この場合、クラッチ操作部材40は、クラッチ機構21を連結状態から遮断状態にするときにだけ操作し、遮断状態から連結状態への復帰はクラッチ復帰機構45で行ってもよい。
【0066】
(b)前記実施形態では、クラッチ復帰機構45をラチェットホイール61に設けたリターンピン63で構成したが、クラッチプレート42の先端をラチェットホイール61の外周面に形成されたラチェット歯に当接させる構成でもよい。
【0067】
(c)前記実施形態では、アーム部42dを本体部42aから分岐させたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2傾斜カム部42cの先端からハンドル軸30側に延ばしてもよい。