(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基礎要素は基板であり、前記第1の面は前記基板の第1の面であり、前記第2の面は前記基板の第2の面である、請求項1記載の電気機械的トランスデューサ用のロータアセンブリ。
前記取り付け構造体は前記支持構造体の支持部輪郭(282)に相補的に係合する取り付け部輪郭(266)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の電気機械的トランスデューサ用のロータアセンブリ。
当該の永久磁石(264)は平行四辺形状に形成されており、例えば平行板である、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気機械的トランスデューサ用のロータアセンブリ。
前記第1の列および前記第2の列は、該第1の列と該第2の列とのあいだにチャネル(475)が形成されるように間隔を置いて配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気機械的トランスデューサ用のロータアセンブリ。
ステータアセンブリ(145)と、請求項1から8までのいずれか1項記載の電気機械的トランスデューサ用のロータアセンブリ(150)とを有することを特徴とする電気機械的トランスデューサ。
【背景技術】
【0002】
電気機械的トランスデューサは電気エネルギを機械エネルギへ変換し、機械エネルギを電気エネルギに変換する機械である。電動機は、磁気フィールドの結合を利用して電気エネルギを機械エネルギへ変換する電気機械的トランスデューサであり、広汎に使用されている。発電機は、逆に、磁気フィールドの結合を利用して機械エネルギを電気エネルギへ変換する電気機械的トランスデューサである。
【0003】
電気機械的トランスデューサはステータおよびロータを有する。ステータは電気機械的トランスデューサの定置部材のアセンブリである。ロータは電気機械的トランスデューサの運動部材のアセンブリである。
【0004】
磁気フィールドの結合を実現するために、永久磁石が電気機械的トランスデューサ、特にそのロータに対して用いられる。最近では、特に希土類磁性材料が導入されるようになってきているので、整流子またはブラシを必要としない永久磁石型電気機械的トランスデューサが、従来の直流式電気機械的トランスデューサとともに広く用いられている。外部のロータによる励起がないので、ロータの損失が低減され、永久磁石型電気機械的トランスデューサは効率的である。また、永久磁石型電気機械的トランスデューサをブラシレス式に設計することにより、定置されるステータ内に誘導コイルを配置することができる。この点で、整流子およびブラシを有し、永久磁石を有さない非永久磁石型電気機械的トランスデューサは、維持コストが高いという欠点を有する。
【0005】
永久磁石型電気機械的トランスデューサは、耐用期間が長く、制御が容易であり、電気スパークが生じないという利点によって知られている。これらの利点によって、永久磁石型電気機械的トランスデューサは多くの適用分野で広く利用されている。例えば、電気自動車分野では電気機械的トランスデューサとして電動機が用いられ、風力発電システムなどの発電システムの分野では電気機械的トランスデューサとして発電機が用いられる。
【0006】
永久磁石型電気機械的トランスデューサの技術的問題の1つに、コギングトルクの発生が挙げられる。コギングトルクは、永久磁石型電気機械的トランスデューサが動作しているとき、ロータ磁石とステータコイルとが急峻なエッジで接近することによって、永久磁石を取り付けたロータとステータとのあいだに発生する。コギングトルクが発生すると、出力リップル(トルクリップルとも称される)が生じて、電気機械的トランスデューサに振動ひいてはノイズが起こるという望ましくない効果が発生する。
【0007】
ロータ磁石をジグザグに配置すると永久磁石型発電機に生じるコギングトルクがほぼ消去されるかまたは大幅に低減されることが知られている。例えば、米国特許6867524号明細書には、永久磁石型電動機が少なくとも3つのセグメントから成るロータを有することが説明されている。各セグメントはそれぞれ隣接しており、ロータの回転軸を中心として配置されている。各セグメントは、ロータの放射方向にほぼ均等な間隔を置いて配置された少なくとも1組の永久磁石を有する。第1のセグメントの角をずらすことにより、第1のセグメントと第2のセグメントとは相対的に斜めに配置され、第2のセグメントの角度をずらすことにより、第1のセグメントと第3のセグメントとは相互に相対的に斜めに配置される。第1のセグメントの角と第2のセグメントの角とのずらしの度合が各セグメントに起因するトルクリップルの純和が電動機の動作中ゼロとなるように選択される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述した磁気部材は、同じタイプの複数の磁気部材を設け、電気機械的トランスデューサのロータアセンブリの軸線方向で見て相互にずらして結合することにより、複数の永久磁石をジグザグに配置する(つまり、第1の磁石に対して第2の磁石を第1の方向へずらして相対的に斜めに配置し、当該の第2の磁石に対して第3の磁石を第2の方向へ戻すようにずらして相対的に斜めに配置する)ことができるという着想に基づいている。ここでは、ジグザグの配置は、それぞれの磁気部材を隣の磁気部材に対して180゜回転させることによって達成される。永久磁石と取り付け構造体とのあいだのずれに起因して、永久磁石の位置はロータの軸線方向で交互に変化する。
【0013】
永久磁石が取り付け構造体の中心軸線に対してずれた位置に配置されるという特徴は、永久磁石および取り付け構造体が取り付け構造体の中心軸線に対して整合されていないということを意味する。このことは2つの可能性を含んでいる。すなわち、A)取り付け構造体の中心軸線が永久磁石を外れているか、B)取り付け構造体の中心軸線が永久磁石を通って延在している、ということである。後者のケースの場合、取り付け構造体の中心軸線は、もちろん、例えば重心および/または永久磁石の表面の中心点によって定められる永久磁石の中心点を通らない。後者のケースでは、表面とは、特に、永久磁石の表面のうち基礎要素に近い表面であるか、および/または、基礎要素の反対側の永久磁石の表面に向かう表面である。
【0014】
言い換えれば、上述した磁気部材を用いて、それぞれの磁気部材を隣の磁気部材に対して180゜回転させ、複数の磁気部材をロータの軸線方向に沿って相互にずらして結合することができる。これは、磁気部材を適切に結合すれば、種々のタイプあるいは種々の形状の磁石を用いなくても、磁石を直接に支持構造体に取り付けることができることを意味する。
【0015】
ジグザグに配置された永久磁石を有するロータアセンブリは、ロータの軸線方向の1列に対して同じタイプの1つの磁気部材を用いるのみで組み立てることができる。これにより、ジグザグの配置を達成するために種々の寸法および形状の複数の磁石を用いる既存の手段に比べてロータの複雑性が大幅に低減される。
【0016】
ここで、同じ形状で永久磁石に対する向きのみ異なる2種類の磁気部材を用いてロータを組み立てると有利である。第1のタイプの磁気部材は、S極が基礎要素の第1の面に近い側に位置し、N極が基礎要素の第1の面から遠い側に位置する永久磁石を有しており、第2のタイプの磁気部材は、逆に、N極が基礎要素の第1の面に近い側に位置し、S極が基礎要素の第1の面から遠い側に位置する永久磁石を有している。
【0017】
上述したような基礎要素を用いれば、ロータの組み立て前にそれぞれの永久磁石を基礎要素に自動的に固定することができる。これにより、磁石をジグザグに配置したロータアセンブリの製造プロセスがきわめて簡単となる。
【0018】
取り付け構造体の機械的固定手段は、ロータアセンブリの支持構造体に機械的に接合できる手段であれば、どのようなものであってもよい。ここで、取り付け構造体の固定手段と支持構造体の固定手段とは相互に相補的な形状を有している。特に、取り付け構造体の固定手段および/または支持構造体の固定手段は、ねじ、ボルト、ナット、内ねじまたは外ねじ、クランプエレメント、スプリットピンあるいはその他の機械的固定手段である。
【0019】
取り付け構造体は、基礎要素から延在する輪郭を有するか、および/または、基礎要素内の凹部として形成される。特に、取り付け構造体は突起部および/または凹部である。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、基礎要素は基板であり、基礎要素の第1の面は基板の第1の面であり、第2の面は基板の第2の面である。これにより、平坦な表面を有する永久磁石を容易に基礎要素に取り付けることができるという利点が得られる。
【0021】
また、基板を用いることにより基礎要素が平坦な形状を有することになり、平坦かつコンパクトな構造で磁気部材を実現することができる。これにより、磁気部材の使用時に、ロータアセンブリの径が従来のロータアセンブリの径に比べて僅かしか増大しないにもかかわらず、永久磁石を適切にジグザグに配置する余裕が得られる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、基礎要素と永久磁石とのあいだの界面に接着剤が設けられている。これは、接着剤によって永久磁石を基礎要素に固定できることを意味する。
【0023】
典型的には永久磁石を基礎要素に取り付けるための磁気部材の材料の脆弱性が大きいことを考慮して、有利には、特に、ねじおよび/またはボルトなどの固定機構を利用することもできる。適切な接着剤を用いることにより、永久磁石を基礎要素に取り付ける際に永久磁石が損傷を受ける危険はきわめて小さくなる。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、取り付け構造体は基礎要素と一体に形成されている。これにより、磁気部材を製造する際に、取り付け構造体を基礎要素に取り付けたり固定したりする必要がないという利点が得られる。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、取り付け構造体は支持構造体の支持部輪郭に相補的に係合する取り付け部輪郭を有している。これにより、ねじ回しまたはスパナなどの工具を特に用いなくても、取り付け構造体および支持構造体が機械的に相互に確実に接合されるので有利である。
【0026】
特に、ロータアセンブリを製造する際に、磁気部材はロータアセンブリの中央のシャフトに設けられた溝の内部または突起の上部へスライド式に挿入される。ここで、当該の溝または突起はシャフトの長手方向(軸線方向)に沿って延在する。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、取り付け部輪郭および/または支持部輪郭は鳩尾状に形成されている。これにより、磁気部材を正確に支持構造体に対して位置決めすることができる。また、鳩尾状の構造により、磁気部材と支持構造体との機械的に信頼性の高い固定が可能となる。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、磁気部材は平行四辺形状に形成されており、例えば平行板である。このことは、永久磁石の下面、すなわち、基礎要素または接着剤に接する面が、平行四辺形または菱形の形状を有し、永久磁石の上面、すなわち、基礎要素に接していない反対側の面も同様であることを意味する。
【0029】
上下面が平行四辺形の形状を有する場合、その他の側面はこれらの上下面に対して垂直に接する。このため、永久磁石の製造が容易となり、市販の永久磁石を利用することもできるという利点が得られる。この手段では磁性材料に典型的な脆弱性も軽視されていないので、その点でも有利である。
【0030】
磁気部材を2列に分け、上述したように交互に180゜反対向きに配置すると、コギングトルクをいっそう平滑化することができる。また、当該の2列のあいだに所定の間隔を置くことにより、第1の列の永久磁石は上側にN極を、第2の列の永久磁石は上側にS極を有することになり、そのあいだにダクトが形成される。当該のダクトは空気流のチャネルとなり、冷却作用をもたらすので有利である。
【0031】
これらの点に関連して、複数の永久磁石の連続して配置された平行四辺形状の面を実現するために、2種類の磁気部材をそれぞれの列に交互に配置しなければならない。ここで、上から見て、第1のタイプの磁気部材は右に(第1の列から第2の列へ向かって)傾いており、第2のタイプの磁気部材は左に(第2の列から第1の列へ向かって)傾いている。
【0032】
本発明の第2の特徴は、電気機械的トランスデューサ用のロータアセンブリに関する。本発明によれば、ロータアセンブリは、(a)縦軸線を有するロータシャフトと、(b)上述した磁気部材を、前記縦軸線に沿って、それぞれの永久磁石が隣の永久磁石に対してジグザグに配置されるように向きを変化させて複数個並べた第1の列と、(c)上述した磁気部材を、前記縦軸線に沿って、それぞれの永久磁石が隣の永久磁石に対してジグザグに配置されるように向きを変化させて複数個並べた第2の列とを備えている。
【0033】
当該のロータアセンブリは、上述した磁気部材を利用し、ロータシャフトの長手方向に隣り合う永久磁石をジグザグに配置することを着想の基礎としている。ここで、ロータを組み立てる際に、ジグザグの配置は、同じ列のそれぞれの磁気部材を隣の磁気部材に対して180゜回転させることによって達成される。
【0034】
永久磁石をジグザグに配置するには、もちろん、各列に少なくとも2つの磁気部材を配置しなければならない。なお、基本的には、1つの列に配置される磁気部材の最大数に制限はない。1つの列に配置される磁気部材の実際の個数はそのつどの適用分野に応じて定められる。
【0035】
1つの実施形態によれば、第1の列および第2の列はこれらの列のあいだにチャネルが形成されるように相互に間隔を置いて配置されている。当該のチャネルはダクトであって、磁気回路全体を通して空気または他の流体を流れさせることができる。空気または他の流体はロータアセンブリの冷却に用いられる。
【0036】
当該のチャネルの幾何学的形状は、各永久磁石が平行四辺形の形状を有する場合、滑らかになる。
【0037】
本発明の第3の特徴は、電気機械的トランスデューサに関する。本発明によれば、トランスデューサは、(a)ステータアセンブリと、(b)上述したロータアセンブリとを有する。
【0038】
こうした電気機械的トランスデューサは、ジグザグに配置された永久磁石を有するロータアセンブリによって、コギングトルクによる出力リップルがいちじるしく低減されるという着想を基礎としている。
【0039】
1つの実施形態によれば、当該の電気機械的トランスデューサは発電機である。
【0040】
本発明の第4の特徴は、風力発電機タービンに関する。本発明によれば、風力発電機タービンは、(a)塔と、(b)塔の頂部に取り付けられており、少なくとも1つのタービン翼を有するロータと、(c)ロータに機械的に結合された、上述した電気機械的トランスデューサとを備えている。
【0041】
本発明の第5の特徴は、電気機械的トランスデューサのロータアセンブリの製造方法に関する。本発明によれば、少なくとも4つの磁気部材をロータアセンブリの取り付け構造体に取り付ける際に、少なくとも2つの磁気部材が第1の列としてロータの縦軸線に沿って配置され、ここで、それぞれの永久磁石が隣の永久磁石に対して異なる向きに配置され、全体として永久磁石がジグザグに配置されており、別の少なくとも2つの磁気部材が第2の列としてロータの縦軸線に沿って配置され、ここで、それぞれの永久磁石が隣の永久磁石に対して異なる向きに配置され、全体として永久磁石がジグザグに配置されている。
【0042】
ここでのロータアセンブリの製造方法は、上述した磁気部材を利用し、ロータシャフトの長手方向に相互に隣接する永久磁石をジグザグに配置することを着想の基礎としている。ここで、ロータを組み立てる際に、ジグザグの配置は同じ列のそれぞれの磁気部材を隣の磁気部材に対して180゜回転させることによって達成される。
【0043】
本発明の各実施形態は各特徴に関連する。特に、装置発明に関連する実施形態は方法発明にも関連し、逆に、方法発明に関連する実施形態は装置発明にも関連する。当分野の技術者であれば、特にことわりがないかぎり、この明細書から、発明のカテゴリを超えて、関連する特徴ないし関連する実施形態を任意に組み合わせることができるはずである。
【実施例】
【0044】
本発明の特徴を図示の実施例に即して以下に詳細に説明する。ただし、実施例は本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0045】
図は概略的なものである。なお、図中、同じ要素または同様の機能を有する要素には相応する参照番号を付してある。
【0046】
図1には、本発明の風力発電機タービン100が示されている。風力発電機タービン100は、図示されていない基台に建てられた塔120を含む。塔120の頂部にはナセル122が存在する。塔120とナセル122とのあいだにヨー角度調整装置121が配置されており、塔120の長手軸線に対する図示されていない垂直軸線を中心としてナセル122を回転させることができる。ヨー角度調整装置121を適切に制御することにより、風力発電機タービン100の通常動作中、ナセル122がつねに適切に現在の風向きに合わせて回転することが保証される。ただし、ヨー角度調整装置121を、ヨー角度を所定の位置に合わせるために用い、ナセル122を意図的に現在の風向きに完全に合わせないこともできる。
【0047】
風力発電機タービン100は、さらに、3つのタービン翼114を備えたロータ110を含むが、
図1では2つのタービン翼しか見えていない。ロータ110の回転軸線110aを中心として回転可能である。ハブ112に取り付けられたタービン翼114は回転軸線110aに対して放射方向に延在している。
【0048】
ハブ112とタービン翼114とのあいだには、タービン翼の長手方向に対して平行な図示されていない軸線を中心として各タービン翼を回転させることにより、各タービン翼のピッチ角度を調整するタービン翼調整装置116が配置されている。タービン翼調整装置116を制御することにより、風がさほど強くない場合にも、少なくとも利用可能な風力に対する最大風力を回収できるように、タービン翼114のピッチ角度を調整することができる。また、タービン翼のピッチ角度は、低い風力が得られればよい場合には、意図的に所定の位置に合わせることもできる。
【0049】
図1からわかるように、ナセル122内にはギヤボックス124が配置されている。ギヤボックス124はロータ110の回転数をシャフト125の高い回転数へ変換するために用いられる。ギヤボックス124は周知のように電気機械的トランスデューサ140に接続されている。電気機械的トランスデューサ140は発電機140である。
【0050】
さらに、風力発電機タービン100の動作を停止させたりロータ110の回転数を低減したりするためのブレーキ装置126が設けられている。動作の停止あるいは回転数の低減は、(a)非常の場合、(b)過度に風が強く、風力発電機タービン100が損傷を受けるおそれのある場合、(c)風力発電機タービン100の少なくとも1つの構造部品の耐用期間を延長するためあるいは疲労消費率を低下させるために意図的に利用時間を節約する場合、などに行われる。
【0051】
また、風力発電機タービン100は、風力発電機タービンを高効率で動作させるための制御装置153を有している。当該の制御装置153は、例えば、ヨー角度調整装置121から独立にピッチ角度を最適に調整するために用いられる。
【0052】
電気工学の基本原理にしたがって、発電機140はステータアセンブリ145とロータアセンブリ150とを有する。ステータアセンブリ145は磁束の時間経過に応じて電流を発生させる複数のコイルを含む。ロータアセンブリ150はその長手軸線に沿って複数の列として並べられた複数の永久磁石を含む。当該の永久磁石は、後に詳しく述べるが、発電機140の動作中のコギングトルクを最小化するために相互にジグザグに配置される。
【0053】
図2のAには、磁気部材260の2つの列271,272が示されている。各磁気部材260は基板262の中心を外れた位置に配置された永久磁石264を有する。各基板262は、
図1に示されているように、ロータアセンブリの支持構造体280に取り付けられている。
【0054】
図2のBには、
図2のAの磁気部材260の2つの列271,272をA−A線に沿って切断した断面図が示されている。
図2のBからわかるように、各磁気部材260は、基板262と、この基板262の第1の面に取り付けられた永久磁石264と、取り付け構造体266とを有する。取り付け構造体266は基板262の第2の面(第1の面の反対側の面)に固定されている。
【0055】
この実施例では、取り付け構造体266は基板262と一体に構成されている。特に、取り付け構造体266の輪郭は、支持構造体280の輪郭282に相補的に係合する。
図2のBからわかるように、取り付け構造体266と支持構造体280とは鳩尾状の相補的な輪郭を有している。
【0056】
図2のCには、
図2のAの磁気部材の斜視図が示されている。
【0057】
図2のA〜Cからわかるように、各永久磁石264は基板262の左方または右方に配置されている。特に、各永久磁石264は取り付け構造体266の中心軸線266aに対して中心を外れた位置に配置されている。このように各永久磁石264を離心的に位置決めし、同じ列のそれぞれの磁気部材を隣の磁気部材に対して180゜回転させることにより、永久磁石264のジグザグの配置が実現される。これは、永久磁石264の位置がロータアセンブリの軸線方向で交互に変化することを意味する。
【0058】
第1の列271の永久磁石は第2の列272の永久磁石に対して反対向きに配置されていることに注意されたい。有利な実施例では、第1の列271の永久磁石は上側にN極が来るように並べられ、第2の列272の永久磁石は上側にS極が来るように並べられる。
【0059】
図3のAには、本発明の第2の実施例の配置による永久磁石の上面図が示されている。ここでも、磁気部材260の2つの列271,272が存在している。
図3のBには
図3のAのA−A線で切断した永久磁石の断面図が示されている。
図3のCには永久磁石の斜視図が示されている。
【0060】
図3のA〜Cの磁気部材は、
図2のA〜Cの磁気部材に比べて、取り付け構造体266が永久磁石264に対して中心を外れた位置に配置されている点が異なっている。
図3の実施例では、取り付け構造体266は基板262に対しても中心を外れた位置に配置されている。また、基板262と永久磁石264とは、取り付け構造体の中心軸線に対して平行な軸線に対して配列されている。
【0061】
図3のA,Bからわかるように、取り付け構造体266は、鳩尾状の形状を有してはいるが、後面の基板262に対して中心を外れた位置に設けられている。この場合にも、同じ列の磁気部材が隣の磁気部材に対して180゜回転され、ジグザグの配置が実現されている。このため、各永久磁石の位置はロータアセンブリの軸線方向でそれぞれ交互に変化している。
【0062】
図4のA,Bには、本発明の第3の実施例の配置による永久磁石の図が示されている。各磁気部材260は平行四辺形状の永久磁石264を有している。ここでも、永久磁石264は基板262の上側に取り付けられている。取り付け構造体266は基板262の下側に固定されている。
【0063】
図4のAからわかるように、
図2の実施例と同様、取り付け構造体266は鳩尾状の輪郭を有している。
図4の実施例では、基板262と鳩尾状の構造部とは相互に対称に配置されている。
【0064】
図2,
図3の実施例とは異なり、
図4の実施例では、各永久磁石264が平行四辺形状であり、基板262上に次のように配置されている。すなわち、平行四辺形の永久磁石の第1の部分および第2の部分が基板の左方に位置決めされる。ここで、第1の部分とは(a)2つの永久磁石の下部[
図4のBでは下方の永久磁石]または(b)2つの永久磁石の上部[
図4のBでは上方の永久磁石]に相応し、第2の部分とは(a)2つの永久磁石の上部[
図4のBでは下方の永久磁石]または(b)2つの永久磁石の下部[
図4のBでは上方の永久磁石]に相応する。
図4の実施例により、コギングトルクが平滑化されるという利点が得られる。
【0065】
また、
図4の実施例では、2つの列271,272のあいだにチャネルまたはダクト475が形成されている。ダクト475は折れ曲がっているが比較的滑らかであると云える側壁を有しているので、空気流476はさほどの抵抗なしに2つの列のあいだを流れることができる。つまり、永久磁石を平行四辺形状に構成して前述したように配置することにより、ロータアセンブリに対して良好な冷却効果が得られる。
【0066】
この点に関して、それぞれの永久磁石を、平行四辺形の側辺がつながり、2種類の永久磁石がそれぞれの列271,272で交互に連続するようにすることが重要である。このようにすれば、上から見て、第1のタイプの磁気部材はロータアセンブリの軸線方向の右へ傾いた永久磁石を有し、第2のタイプの磁気部材はロータアセンブリの軸線方向の左に傾いた永久磁石を有することになる。
【0067】
この明細書において、"含む""有する"とはその要素以外の要素を含むことを排除するものでなく、"1つの"とは複数存在することを排除するものでない。なお、個別の実施例に即して説明したとはいえ、全ての特徴は単独でも任意に組み合わせても本発明の対象となりうるものであり、特許請求の範囲に記載した参照番号も本発明を限定するものではない。