(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケース本体の前記開口部を囲む複数の側壁のうち、前記ブラケットの前記一端部側に位置する一つの側壁と、該一つの側壁に相対する他の側壁とに、前記電線が前記ケース本体外に導出される電線導出口がそれぞれ設けられ、かつ、
前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられた状態で前記ブラケットよりも前記ケース本体の奥側に位置する前記電線が、前記一つの側壁に設けられた前記電線導出口から前記ケース本体外に導出され、そして、前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられた状態で前記ブラケットよりも前記開口部側に位置する前記電線が、前記他の側壁に設けられた前記電線導出口から前記ケース本体外に導出されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
前記維持手段が、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の内面と該内面に相対する前記ブラケットの外面とのうち一方から突出した突出部と、他方に連なり該他方と間隔をあけて前記固定位置側から前記開口部側に延び、前記突出部から離れる方向に撓むことが可能なアーム部と、該アーム部の前記突出部に相対する表面から突出し、前記アーム部の長手方向に沿って前記突出部に重なることが可能な重なり部と、を備え、かつ、
前記突出部と前記重なり部とのうち前記側壁側に設けられた一方が他方よりも前記固定位置側に位置付けられるように前記突出部と前記重なり部とが重なることにより、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態が維持され、そして、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態で前記アーム部が前記突出部から離れる方向に撓むことにより、前記重なり部が前記突出部から離れて前記ブラケットが前記固定位置側に移動可能となる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気接続箱。
前記維持手段が、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の内面と該内面に重なる前記ブラケットの外壁の内面とのうち一方から突出した突出部と、他方に連なりかつ前記開口部側から前記固定位置側に延びているとともに、前記突出部から離れる方向に撓むことが可能なアーム部と、該アーム部の前記他方から離れた側の端部に設けられ、かつ前記アーム部の長手方向に沿って前記突出部に重なることが可能な重なり部と、を備え、かつ、
前記突出部と前記重なり部とのうち前記側壁側に設けられた一方が他方よりも前記固定位置側に位置付けられるように前記突出部と前記重なり部とが重なることにより、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態が維持され、そして、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態で前記アーム部が前記突出部から離れる方向に撓むことにより、前記重なり部が前記突出部から離れて前記ブラケットが前記固定位置側に移動可能となる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気接続箱。
前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の前記開口部側の縁から前記固定位置側に凹に形成され、前記電線が前記ケース本体外に導出される電線導出口に、前記電線を固定するホルダをさらに備え、
前記ホルダに、前記電線を取り付ける電線取付部と、前記開口部側から前記固定位置側に向かって前記電線導出口内に挿入されて前記電線導出口の縁に固定されるとともに前記電線導出口内に挿入される際に前記アーム部に当接して当該アーム部を前記突出部から離れる方向に撓ませる本体部と、が設けられている
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電気接続箱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の電気接続箱201,301においては、以下に示す問題があった。
【0008】
まず、
図22に示す電気接続箱201においては、コネクタ209bをコネクタ209aに嵌合させる際の作業性を考慮して、全てのコネクタ209a,209bがケース本体203の開口部203a近傍に固定されるレイアウトとなっていたことから、コネクタ209bに接続された電線211がケース本体203外にはみ出してしまい、そのために、アッパカバー204をケース本体203に取り付ける作業が煩雑になってしまうという問題があった。また、前述したレイアウトによりコネクタ209bに接続された電線211が開口部203a近傍に密集してしまうという問題があった。なお、電線211が密集すると、当該電線211同士が互いに干渉したり、当該電線211の放熱性が悪くなってしまうので好ましくない。
【0009】
また、
図23に示す電気接続箱301においては、ケース本体203の一端部203c側に位置する一部のコネクタ209a,209bがケース本体203の開口部203a近傍に固定され、ケース本体203の他端部203d側に位置する他のコネクタ209a,209bがケース本体203の奥側に固定されるレイアウトとなっていたことから、上述したアッパカバー204の取り付け性の問題や電線211が密集する問題についてはいくらか改善されるものの、コネクタ209bをケース本体203の奥側に装着されたコネクタ209aに嵌合させる際の作業性が低下してしまうという問題があった。さらに、ケース本体203内に手を挿入することができない程に開口部203aの間口寸法が狭い電気接続箱301の場合、コネクタ209a,209bの固定位置がケース本体203の奥側に設定されていると、コネクタ209bをコネクタ209aに嵌合させる嵌合作業が極めて困難になってしまうという問題があった。
【0010】
したがって、本発明は、ケース本体の開口部の間口寸法が狭い場合でもコネクタの嵌合作業を容易に行え、電線がケース本体内で過度に密集することを回避できて、容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、電線の端末に接続されたコネクタが複数装着されるブラケットと、前記ブラケットを収容するケース本体と、を備えた電気接続箱において、前記ブラケットを前記ケース本体の開口部近傍と該開口部近傍よりも奥側の固定位置とにわたって移動自在に前記ケース本体に取り付ける取り付け手段と、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態を維持する維持手段と、前記固定位置に位置付けられた前記ブラケットを前記ケース本体に固定する固定手段と、が設けられていることを特徴とする電気接続箱である。
【0012】
また、請求項
1に記載された発明は
、前記取り付け手段が、前記ブラケットの一端部に設けられた回転軸と、前記ケース本体に設けられ、前記回転軸を回転自在に取り付ける回転軸取付部と、で構成され、かつ、前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられると、当該ブラケットの他端部が前記一端部よりも前記開口部から離れた位置に位置付けられて当該ブラケットが斜めに傾いた状態となることを特徴とするものである。
【0013】
請求項
2に記載された発明は、請求項
1に記載された発明において、前記ケース本体の前記開口部を囲む複数の側壁のうち、前記ブラケットの前記一端部側に位置する一つの側壁と、該一つの側壁に相対する他の側壁とに、前記電線が前記ケース本体外に導出される電線導出口がそれぞれ設けられ、かつ、前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられた状態で前記ブラケットよりも前記ケース本体の奥側に位置する前記電線が、前記一つの側壁に設けられた前記電線導出口から前記ケース本体外に導出され、そして、前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられた状態で前記ブラケットよりも前記開口部側に位置する前記電線が、前記他の側壁に設けられた前記電線導出口から前記ケース本体外に導出されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項
3に記載された発明は、請求項1
又は2に記載された発明において、前記維持手段が、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の内面と該内面に相対する前記ブラケットの外面とのうち一方から突出した突出部と、他方に連なり該他方と間隔をあけて前記固定位置側から前記開口部側に延び、前記突出部から離れる方向に撓むことが可能なアーム部と、該アーム部の前記突出部に相対する表面から突出し、前記アーム部の長手方向に沿って前記突出部に重なることが可能な重なり部と、を備え、かつ、前記突出部と前記重なり部とのうち前記側壁側に設けられた一方が他方よりも前記固定位置側に位置付けられるように前記突出部と前記重なり部とが重なることにより、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態が維持され、そして、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態で前記アーム部が前記突出部から離れる方向に撓むことにより、前記重なり部が前記突出部から離れて前記ブラケットが前記固定位置側に移動可能となることを特徴とするものである。
【0015】
請求項
4に記載された発明は、請求項1
又は2に記載された発明において、前記維持手段が、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の内面と該内面に重なる前記ブラケットの外壁の内面とのうち一方から突出した突出部と、他方に連なりかつ前記開口部側から前記固定位置側に延びているとともに、前記突出部から離れる方向に撓むことが可能なアーム部と、該アーム部の前記他方から離れた側の端部に設けられ、かつ前記アーム部の長手方向に沿って前記突出部に重なることが可能な重なり部と、を備え、かつ、前記突出部と前記重なり部とのうち前記側壁側に設けられた一方が他方よりも前記固定位置側に位置付けられるように前記突出部と前記重なり部とが重なることにより、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態が維持され、そして、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態で前記アーム部が前記突出部から離れる方向に撓むことにより、前記重なり部が前記突出部から離れて前記ブラケットが前記固定位置側に移動可能となることを特徴とするものである。
【0016】
請求項
5に記載された発明は、請求項
3又は請求項
4に記載された発明において、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の前記開口部側の縁から前記固定位置側に凹に形成され、前記電線が前記ケース本体外に導出される電線導出口に、前記電線を固定するホルダをさらに備え、前記ホルダに、前記電線を取り付ける電線取付部と、前記開口部側から前記固定位置側に向かって前記電線導出口内に挿入されて前記電線導出口の縁に固定されるとともに前記電線導出口内に挿入される際に前記アーム部に当接して当該アーム部を前記突出部から離れる方向に撓ませる本体部と、が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項
6に記載された発明は、請求項
5に記載された発明において、前記電線導出口の前記ホルダよりも前記開口部側に前記電線を固定する第2のホルダをさらに備え、かつ、前記第2のホルダに取り付けられた前記電線に接続された前記コネクタが、前記ブラケットの前記電線導出口から離れた一端部側に装着され、前記ホルダに取り付けられた前記電線に接続された前記コネクタが、前記ブラケットの前記電線導出口寄りの他端部側に装着されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された発明によれば、前記ブラケットを前記ケース本体の開口部近傍と該開口部近傍よりも奥側の固定位置とにわたって移動自在に前記ケース本体に取り付ける取り付け手段と、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態を維持する維持手段と、前記固定位置に位置付けられた前記ブラケットを前記ケース本体に固定する固定手段と、が設けられているので、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態で該ブラケットにコネクタを装着し、前記コネクタが装着された前記ブラケットを前記固定位置に移動させて前記ケース本体に固定することができる。よって、ケース本体の開口部の間口寸法が狭い場合でもコネクタの嵌合作業を容易に行え、コネクタに接続された電線がケース本体内で過度に密集することを回避できて、容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。
【0019】
また、請求項
1に記載された発明によれば、前記取り付け手段が、前記ブラケットの一端部に設けられた回転軸と、前記ケース本体に設けられ、前記回転軸を回転自在に取り付ける回転軸取付部と、で構成され、かつ、前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられると、当該ブラケットの他端部が前記一端部よりも前記開口部から離れた位置に位置付けられて当該ブラケットが斜めに傾いた状態となるので、コネクタに接続された電線がケース本体内で過度に密集することを確実に回避でき、簡単な構造で容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。
【0020】
請求項
2に記載された発明によれば、前記ケース本体の前記開口部を囲む複数の側壁のうち、前記ブラケットの前記一端部側に位置する一つの側壁と、該一つの側壁に相対する他の側壁とに、前記電線が前記ケース本体外に導出される電線導出口がそれぞれ設けられ、かつ、前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられた状態で前記ブラケットよりも前記ケース本体の奥側に位置する前記電線が、前記一つの側壁に設けられた前記電線導出口から前記ケース本体外に導出され、そして、前記ブラケットが前記固定位置に位置付けられた状態で前記ブラケットよりも前記開口部側に位置する前記電線が、前記他の側壁に設けられた前記電線導出口から前記ケース本体外に導出されているので、コネクタに接続された電線を過度に密集させることなく、また、前記電線を過度に曲げることなく前記電線導出口から前記ケース本体外に導出させることができて、前記電線を最適な配索経路で配索することができる電気接続箱を提供することができる。
【0021】
請求項
3に記載された発明によれば、前記維持手段が、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の内面と該内面に相対する前記ブラケットの外面とのうち一方から突出した突出部と、他方に連なり該他方と間隔をあけて前記固定位置側から前記開口部側に延び、前記突出部から離れる方向に撓むことが可能なアーム部と、該アーム部の前記突出部に相対する表面から突出し、前記アーム部の長手方向に沿って前記突出部に重なることが可能な重なり部と、を備え、かつ、前記突出部と前記重なり部とのうち前記側壁側に設けられた一方が他方よりも前記固定位置側に位置付けられるように前記突出部と前記重なり部とが重なることにより、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態が維持され、そして、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態で前記アーム部が前記突出部から離れる方向に撓むことにより、前記重なり部が前記突出部から離れて前記ブラケットが前記固定位置側に移動可能となるので、簡単な構造で容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。
【0022】
請求項
4に記載された発明によれば、前記維持手段が、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の内面と該内面に重なる前記ブラケットの外壁の内面とのうち一方から突出した突出部と、他方に連なりかつ前記固定位置側から前記開口部側に延び、前記突出部から離れる方向に撓むことが可能なアーム部と、該アーム部の前記他方から離れた側の端部に設けられ、かつ前記アーム部の長手方向に沿って前記突出部に重なることが可能な重なり部と、を備え、かつ、前記突出部と前記重なり部とのうち前記側壁側に設けられた一方が他方よりも前記固定位置側に位置付けられるように前記突出部と前記重なり部とが重なることにより、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態が維持され、そして、前記ブラケットが前記開口部近傍に位置付けられた状態で前記アーム部が前記突出部から離れる方向に撓むことにより、前記重なり部が前記突出部から離れて前記ブラケットが前記固定位置側に移動可能となるので、簡単な構造で容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。
【0023】
また、重なり部が前記他方から離れた側の端部に設けられているので、ホルダが重なり部と突起部との重なりを解除する際に、ホルダがブラケット2から離れることとなる。このために、ブラケットの規制手段の近傍の位置までリレーなどの電気部品を設けることが可能となる。よって、ブラケットの電気部品の実装密度が向上して、より多くの電気部品を取り付けることができるとともに、ブラケット即ち電気接続箱自体の小型化を図ることができる。
【0024】
請求項
5に記載された発明によれば、前記ケース本体の前記開口部を囲む側壁の前記開口部側の縁から前記固定位置側に凹に形成され、前記電線が前記ケース本体外に導出される電線導出口に、前記電線を固定するホルダをさらに備え、前記ホルダに、前記電線を取り付ける電線取付部と、前記開口部側から前記固定位置側に向かって前記電線導出口内に挿入されて前記電線導出口の縁に固定されるとともに前記電線導出口内に挿入される際に前記アーム部に当接して当該アーム部を前記突出部から離れる方向に撓ませる本体部と、が設けられているので、前記ホルダを前記電線導出口に取り付ける作業により、前記ブラケットを前記開口部近傍から前記固定位置側に移動させることができ、簡単な構造で容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。
【0025】
請求項
6に記載された発明によれば、前記電線導出口の前記ホルダよりも前記開口部側に前記電線を固定する第2のホルダをさらに備え、かつ、前記第2のホルダに取り付けられた前記電線に接続された前記コネクタが、前記ブラケットの前記電線導出口から離れた一端部側に装着され、前記ホルダに取り付けられた前記電線に接続された前記コネクタが、前記ブラケットの前記電線導出口寄りの他端部側に装着されるので、コネクタに接続された電線がケース本体内で過度に密集することを確実に回避でき、簡単な構造で容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱を、
図1ないし
図17を参照して説明する。本発明の電気接続箱1は、自動車のエンジンルームに取り付けられて、前記自動車に搭載された多種多様な電子機器に電力供給及び信号伝送を行うものである。
【0028】
上記電気接続箱1は、
図1に示すように、第1ケース1aと、第2ケース1bと、これら第1ケース1a及び第2ケース1bを前記エンジンルームに固定する固定部材18a,18b,18cと、を備えている。また、第1ケース1aと第2ケース1bとはそれぞれ別体で形成された後に互いに固定されている。前記第1ケース1aは、複数のワイヤハーネス6a,6b,6c同士を所定のパターンにしたがって接続するためのものである。前記第2ケース1bは、ヒューズやヒュージブルリンクなどを収容するためのものであり、ケース本体85とアッパカバー84とを備えている。以下、第1ケース1aの構成について詳細に説明する。
【0029】
本発明の電気接続箱1を構成する第1ケース1aは、
図2に示すように、複数のワイヤハーネス6a,6b,6cのコネクタ7a,7b,7b’,8a,8b,9a,9b,10a,10b,10b’が装着されるブラケット2と、このブラケット2を収容するケース本体3と、ケース本体3の上側の開口部3aを覆うアッパカバー4と、ケース本体3の下側の開口部3bを覆うロアカバー5と、各ワイヤハーネス6a,6b,6cをケース本体3に設けられた電線導出口14,15に固定する3つのホルダ13と、を備えている。
【0030】
また、電気接続箱1の第1ケース1aには、ブラケット2をケース本体3の開口部3a近傍と該開口部3a近傍よりも奥側の固定位置3cとにわたって移動自在にケース本体3に取り付ける取り付け手段81と、ブラケット2が開口部3a近傍に位置付けられた状態を維持する維持手段82と、固定位置3cに位置付けられたブラケット2をケース本体3に固定する固定手段83と、が設けられている。
【0031】
また、
図1〜17中の矢印Yは、鉛直方向と平行な方向を示しているとともに第1ケース1aの深さ方向を示しており、矢印Xは、水平方向と平行な方向を示しているとともに第1ケース1aの長手方向を示しており、矢印Zは、水平方向と平行な方向を示しているとともに第1ケース1aの幅方向を示している。また、本発明において、「上下方向」とは、矢印Y方向、即ち第1ケース1aの深さ方向、を意味し、
図1〜17中の矢印Y方向の紙面方向における上側を「上」と表現し、この「上」に対して矢印Y方向の紙面方向における下側を「下」と表現する。
【0032】
また、本明細書では、前記ワイヤハーネス6aを「第1ワイヤハーネス6a」と呼び、前記ワイヤハーネス6bを「第2ワイヤハーネス6b」と呼び、前記ワイヤハーネス6cを「第3ワイヤハーネス6c」と呼ぶ。これらワイヤハーネス6a,6b,6cは、
図1及び
図2に示すように、複数の電線11と、電線11の端末に接続されたコネクタ7a,7b,7b’,8a,8b,9a,9b,10a,10b,10b’と、束ねられた状態の前記電線11を内側に収容したコルゲートチューブ12と、で構成されている。また、前記コネクタ7a,7b,7b’,8a,8b,9a,9b,10a,10b,10b’は、電線11に接続された端子と、この端子を収容したハウジングと、で構成されている。
【0033】
上記ケース本体3は、合成樹脂で構成され、複数の側壁31,32,33,34により角筒状に形成されている。
【0034】
即ち、前記「開口部3a」は、複数の側壁31,32,33,34の矢印Y方向の上側の縁に囲まれる空間を意味する。また、前記「開口部3b」は、複数の側壁31,32,33,34の矢印Y方向の下側の縁に囲まれる空間を意味する。また、開口部3a及び開口部3bの間口寸法は、ケース本体3内に手を挿入するのが困難な狭い寸法となっている。
【0035】
また、前記「電線導出口14」は、側壁31に設けられている。電線導出口14は、側壁31の開口部3b側の縁から開口部3a側に凹に形成されている。即ち、電線導出口14は、側壁31を四角く切り欠いたものである。この電線導出口14には、第1ワイヤハーネス6aの電線11及びコルゲートチューブ12が通される。
【0036】
また、前記「電線導出口15」は、側壁31に相対する側壁32に設けられている。電線導出口15は、側壁32の開口部3a側の縁から固定位置3c側、即ち開口部3b側、に凹に形成されている。即ち、電線導出口15は、側壁32を四角く切り欠いたものである。この電線導出口15には、第2ワイヤハーネス6bの電線11及びコルゲートチューブ12と、第3ワイヤハーネス6cの電線11及びコルゲートチューブ12とが通される。また、第3ワイヤハーネス6cの電線11及びコルゲートチューブ12は、第2ワイヤハーネス6bの電線11及びコルゲートチューブ12よりも電線導出口15の開口部3a側に位置付けられる。
【0037】
上記ブラケット2は、合成樹脂で構成されている。ブラケット2には、
図3、
図7、
図10に示すように、ブラケット本体20と、前記取り付け手段81を構成する回転軸21と、前記維持手段82を構成する一対の突出部22と、前記固定手段83を構成する凸部23と、が設けられている。
【0038】
上記ブラケット本体20には、板状に形成され、その表面と裏面とに第1ワイヤハーネス6aの各コネクタ7a,8a,9a,10aが装着される板部20aと、この板部20aの長手方向の一端部に連なった板状の第2板部20bと、板部20aの長手方向の他端部に連なり、その内側に盗難用リレー(不図示)が装着される角筒状の筒部20cと、板部20aの表面及び裏面から板状に立設し、前記コネクタ7a,8a,9a,10a同士の間に位置付けられる複数の仕切り壁20dと、板部20aの表面及び裏面に設けられ、前記コネクタ7a,8a,9a,10aに係止してこれらコネクタ7a,8a,9a,10aを取り付ける係止部20eと、が設けられている。
【0039】
このようなブラケット本体20は、第1ワイヤハーネス6aの各コネクタ7a,8a,9a,10aを直接取り付ける。また、これらコネクタ7a,8a,9a,10aは、板部20aの長手方向に沿って並ぶように、板部20aの表面と裏面とに装着される。また、第2ワイヤハーネス6bの各コネクタ7b,7b’,8b,9bと、第3ワイヤハーネス6cの各コネクタ10b,10b’とは、ブラケット本体20に装着された第1ワイヤハーネス6aの各コネクタ7a,8a,9a,10aに嵌合されることにより、ブラケット本体20に間接的に取り付けられる(第1ワイヤハーネス6aのコネクタのうち、コネクタ7b’,10b’と嵌合するコネクタについては、図示を省略する。)。
【0040】
また、第2ワイヤハーネス6bの各コネクタ7b,7b’,8b,9bと、第3ワイヤハーネス6cの各コネクタ10b,10b’とは、板部20aの幅方向と平行な方向に沿って、第1ワイヤハーネス6aの各コネクタ7a,8a,9a,10aに嵌合される。また、前記コネクタ7a,7b,7b’,8a,8b,9a,9b,10a,10b,10b’同士が互いに嵌合されることにより、複数のワイヤハーネス6a,6b,6c同士が所定のパターンにしたがって接続される。
【0041】
上記回転軸21は、前記第2板部20bに連なり、円柱状に形成されている。即ち、回転軸21は、ブラケット2の一端部2aに設けられている。また、回転軸21の軸方向は、板部20aの厚み方向と平行になっている。
【0042】
上記一対の突出部22は、前記筒部20cの、回転軸21の軸方向に互いに相対する壁の外面から互いに離れる方向に突出している。即ち、一対の突出部22は、ブラケット2の他端部2bに設けられている。
【0043】
上記凸部23は、前記筒部20cの、前記突出部22が設けられた外面から突出している。即ち、凸部23は、ブラケット2の他端部2bに設けられている。また、凸部23は、平面視形状がJ字状に形成されている。
【0044】
上記3つのホルダ13は、合成樹脂で構成され、互いに同じ形状に形成されている。
図5、
図6、
図16に示すように、ホルダ13は、前記コルゲートチューブ12を挟んで互いに組み付けられる2つの分割部材13a,13bで構成されている。このホルダ13には、コルゲートチューブ12を内側に位置付けることにより電線11を取り付ける円筒状の電線取付部70と、電線導出口14,15の縁に固定される本体部79と、が設けられている。
【0045】
上記電線取付部70の内径は、コルゲートチューブ12の外径と等しく形成されている。また、
図5、
図6中の70aは、2つの分割部材13a,13bを互いに固定する係止部である。
【0046】
上記本体部79には、電線取付部70の軸方向の一端部から前記軸方向と直交する方向に鍔状に延びた鍔部71と、一対のレール進入部73と、一対のロック部75と、一対のロック突起76と、進入リブ77と、が設けられている。
【0047】
上記鍔部71は、全体としての形状が正方形の板状に形成され、その中央部に電線取付部70内に連通した丸穴が設けられている。また、電線導出口14に取り付けられるホルダ13の鍔部71は、開口部3b側から開口部3a側に向かって電線導出口14に内に挿入されて電線導出口14を塞ぐ。また、電線導出口15に取り付けられるホルダ13の鍔部71は、開口部3a側から開口部3b側、即ち固定位置3c側、に向かって電線導出口15内に挿入されて電線導出口15を塞ぐ。また、電線導出口15には、2つのホルダ13が矢印Y方向に並ぶ配置で取り付けられる。また、鍔部71の前記正方形の一辺を構成する端面には、電線導出口14,15の矢印Z方向と平行な縁、または、他のホルダ13に設けられた進入リブ77が進入する溝74が設けられている。また、前記溝74が設けられた前記端面を互いの間に位置付ける、鍔部71の他の2つの端面には、電線導出口14,15の矢印Y方向と平行な縁が進入する溝72が設けられている。
【0048】
上記一対のレール進入部73は、鍔部71の電線取付部70側の面から立設しており、電線取付部70を互いの間に位置付けている。また、一対のレール進入部73は、前記溝72の長手方向と平行にリブ状に延びている。これら一対のレール進入部73は、
図16に示すように、ケース本体3に設けられたレール35の溝35aに進入する。また、前記レール35は、側壁31,32の外面にそれぞれ設けられており、矢印Y方向に延びている。このレール35は、溝35aに進入した一対のレール進入部73を矢印Y方向に移動自在に取り付けて、鍔部71を電線導出口14,15内に案内する。
【0049】
上記一対のロック部75は、鍔部71の前記溝74側の縁から板状に延びている。また、一対のロック部75は、互いに間隔をあけて設けられている。また、各ロック部75の電線取付部70側の面には、凹部75aが設けられている。この凹部75aには、側壁31,32の内面に設けられたロック突起(不図示)、または、他のホルダ13に設けられたロック突起76が嵌まる。
【0050】
上記一対のロック突起76は、鍔部71の電線取付部70側と反対側の面から凸に設けられている。また、一対のロック突起76は、鍔部71の前記溝74から離れた縁近傍に設けられている。この一対のロック突起76は、上述したように、他のホルダ13に設けられた一対のロック部75の凹部75aに嵌まる。即ち、本実施形態では、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられるホルダ13に設けられた一対のロック突起76が、第3ワイヤハーネス6cに取り付けられるホルダ13に設けられた一対のロック部75の凹部75aに嵌まる。
【0051】
上記進入リブ77は、鍔部71の前記溝74が設けられた前記端面と平行な他の端面から立設している。また、進入リブ77は、前記溝74の長手方向と平行に延びている。この進入リブ77は、上述したように、他のホルダ13に設けられた溝74に進入する。即ち、本実施形態では、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられるホルダ13に設けられた進入リブ77が、第3ワイヤハーネス6cに取り付けられるホルダ13に設けられた溝74に進入する。
【0052】
このように、第1ワイヤハーネス6aに取り付けられたホルダ13は、電線取付部70の内側にコルゲートチューブ12を位置付けた状態で、一対のロック部75及び溝74が開口部3a側に位置付けられる向きで、本体部79が開口部3b側から開口部3a側に向かって電線導出口14内に挿入されることにより、該本体部79が電線導出口14の縁に固定されて、第1ワイヤハーネス6aを電線導出口14に固定する。
【0053】
また、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13は、電線取付部70の内側にコルゲートチューブ12を位置付けた状態で、一対のロック部75及び溝74が開口部3b側に位置付けられる向きで、本体部79が開口部3a側から開口部3b側に向かって電線導出口15内に挿入されることにより、該本体部79が電線導出口15の縁に固定されて、第2ワイヤハーネス6bを電線導出口15に固定する。また、前記本体部79は、溝74内に電線導出口15の矢印Z方向と平行な縁が進入し、溝72内に電線導出口15の矢印Y方向と平行な縁が進入し、一対のロック部75の凹部75aに側壁32の内面に設けられた一対のロック突起が嵌まることにより、電線導出口15の縁に固定される。
【0054】
また、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13に設けられた一対のロック部75は、本体部79が電線導出口15内に挿入される際に、後述する一対の維持アーム16に設けられたアーム部16aのテーパ面16cに当接して当該アーム部16aを突出部22から離れる方向に撓ませる。
【0055】
また、第3ワイヤハーネス6cに取り付けられたホルダ13は、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13が電線導出口15に取り付けられた後に、電線取付部70の内側にコルゲートチューブ12を位置付けた状態で、一対のロック部75及び溝74が開口部3b側に位置付けられる向きで、本体部79が開口部3a側から開口部3b側に向かって電線導出口15内に挿入されることにより、該本体部79が電線導出口15の縁及び第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13に固定されて、第3ワイヤハーネス6cを電線導出口15に固定する。また、前記本体部79は、溝74内に、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13に設けられた進入リブ77が進入し、溝72内に電線導出口15の矢印Y方向と平行な縁が進入し、一対のロック部75の凹部75aに第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13に設けられた一対のロック突起76が嵌まることにより、電線導出口15の縁及び第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13に固定される。
【0056】
また、第3ワイヤハーネス6cに取り付けられた「ホルダ13」は、特許請求の範囲に記載した「第2のホルダ」に相当する。
【0057】
上記取り付け手段81は、
図3に示すように、ブラケット2の一端部2aに設けられた前記回転軸21と、ケース本体3に設けられ、回転軸21を回転自在に取り付ける一対の回転軸取付部36と、で構成されている。
【0058】
上記一対の回転軸取付部36は、ケース本体3の互いに相対する側壁33,34に1つずつ設けられている。また、一対の回転軸取付部36は、側壁33,34の側壁31側の端部でかつ開口部3a側の上端部に設けられている。また、回転軸取付部36は、側壁33,34を貫通した丸穴であり、その径寸法は、回転軸21の径寸法と等しく形成されている。これら一対の回転軸取付部36は、その内側に回転軸21の軸方向の両端部を位置付ける。
【0059】
また、側壁33,34の内面には、当該側壁33,34の開口部3a側の縁から各回転軸取付部36にわたって延びた一対の案内溝37が設けられている。また、回転軸21は、その両端部が一対の案内溝37内を摺動されて、一対の回転軸取付部36に押し込まれる。また、一対の案内溝37の互いに相対する底面間の間隔は、回転軸21の軸方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0060】
また、ブラケット2は、回転軸21が一対の回転軸取付部36に取り付けられた状態で、長手方向の一端部2aが側壁31側に位置し、他端部2bが側壁32側に位置する。
【0061】
このような取り付け手段81が設けられた第1ケース1aは、ブラケット2が、ケース本体3の開口部3a近傍と該開口部3a近傍よりも奥側の固定位置3cとにわたって回動自在にケース本体3に取り付けられる。
【0062】
また、本実施形態では、ブラケット2が、後述する維持手段82により、
図8〜14に示すように、その上端部が開口部3aよりも上側に突出するように、開口部3a近傍に位置付けられる。また、本実施形態では、
図2に示すように、ブラケット2が固定位置3cに位置付けられて後述する固定手段83によりケース本体3に固定された状態で、ブラケット2の全ての部分がケース本体3内に収められる。
【0063】
また、本実施形態では、ブラケット2が固定位置3cに位置付けられると、当該ブラケット2の他端部2bが一端部2aよりも開口部3aから離れた位置に位置付けられて当該ブラケット2が矢印Xに対して斜めに傾いた状態となる。
【0064】
また、
図2に示すように、コネクタ7a,8a,9a,10aがブラケット本体20に装着された第1ワイヤハーネス6aの電線11は、ブラケット2が固定位置3cに位置付けられた状態で、ブラケット2よりもケース本体3の奥側に位置付けられる。そして、これら電線11は、電線導出口14からケース本体3外に導出される。また、ブラケット本体20に装着された前記コネクタ7a,8a,9a,10aにコネクタ7b,7b’,8b,9b,10b,10b’が嵌合された第2ワイヤハーネス6bの電線11及び第3ワイヤハーネスの6cの電線11は、ブラケット2が固定位置3cに位置付けられた状態で、ブラケット2よりも開口部3a側に位置付けられる。そして、これら電線11は、電線導出口15からケース本体3外に導出される。
【0065】
さらに、
図2に示すように、第3ワイヤハーネス6cのコネクタ10b,10b’は、ブラケット本体20の電線導出口15から離れた一端部2a側に装着され、第2ワイヤハーネス6bのコネクタ7b,7b’,8b,9bは、ブラケット本体20の電線導出口15寄りの他端部2b側に装着される。
【0066】
上記維持手段82は、
図9〜14に示すように、互いに相対する側壁33,34の内面にそれぞれ設けられた一対の維持アーム16と、側壁33,34の内面に相対するブラケット2の外面から突出した前記一対の突出部22と、で構成されている。
【0067】
上記一対の維持アーム16は、側壁33,34の側壁32側の端部でかつ開口部3a側の上端部に設けられている。一対の維持アーム16には、それぞれ、側壁33,34の内面に連なり該内面と間隔をあけて固定位置3c側から開口部3a側に延び、側壁33,34に近付く方向、即ち突出部22から離れる方向、に撓むことが可能な板状のアーム部16aと、該アーム部16aの突出部22に相対する表面から突出し、アーム部16aの長手方向に沿って突出部22に重なることが可能な重なり部16bと、が設けられている。
【0068】
即ち、本発明の維持手段82は、一対の突出部22と、一対のアーム部16aと、一対の重なり部16bと、を少なくとも有している。
【0069】
さらに、前記アーム部16aの先端部には、テーパ面16cが設けられている。テーパ面16cは、アーム部16aの先端部側から基端部側に向かうにしたがって側壁33,34から離れる側、即ちケース本体3の内側、に傾斜している。
【0070】
このような維持手段82が設けられた第1ケース1aは、重なり部16bが突出部22よりも固定位置3c側、即ち下側、に位置付けられるように、突出部22と重なり部16bとが重ねられることにより、即ち突出部22が重なり部16bの上に乗せられることにより、ブラケット2が開口部3a近傍に位置付けられた状態が維持される。そして、ブラケット2が開口部3a近傍に位置付けられた状態でアーム部16aが側壁33,34に近付く方向、即ち突出部22から離れる方向、に撓むことにより、重なり部16bが突出部22から離れてブラケット2が固定位置3c側に移動可能となる。
【0071】
また、本実施形態では、
図13に示すように、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13の本体部79が、矢印E方向に沿って電線導出口15内に挿入される際に、一対のロック部75が一対のアーム部16aのテーパ面16cに当接することにより、一対のアーム部16aが各突出部22から離れる方向に撓む(
図13に示す一方のアーム部16aは、矢印F方向に撓み、図示しない他方のアーム部16aは、矢印F方向と反対側に撓む。)。
【0072】
上記固定手段83は、
図4に示すように、ブラケット2の外面に設けられた前記凸部23と、側壁33の内面に設けられた凸部固定部17と、で構成されている。
【0073】
上記凸部固定部17は、側壁33の内面から突出した第1固定部17aと、側壁33の内面から略半球状に突出した第2固定部17bと、で構成されている。前記第1固定部17aは、平面視形状がV字状に形成され、V字の内側の部分に凸部23を位置付けて、凸部23が開口部3b側に移動することを規制する。前記第2固定部17bは、第1固定部17aと間隔をあけて設けられており、第1固定部17aよりも側壁32側の位置に設けられている。この第2固定部17bは、第1固定部17aのV字の内側の部分に位置付けられた凸部23に当接して、凸部23が開口部3a側に移動することを規制する。即ち、凸部固定部17は、第1固定部17aと第2固定部17bとの間に凸部23を位置付けて、凸部23が開口部3b側、または、開口部3a側に移動することを規制する。
【0074】
また、ブラケット2は、開口部3a側から固定位置3c側に回動する際に凸部23が第2固定部17b上に乗り上げることにより、第2固定部17bから離れる側に一端撓み、そして、凸部23が第2固定部17bを乗り越えて第1固定部17aと第2固定部17bとの間に位置付けられることにより、撓んだ状態から元の状態に復元するとともに固定位置3cに位置付けられて、ケース本体3に固定される。
【0075】
続いて、上記構成の第1ケース1a及び電気接続箱1の組み立て方法について説明する。まず、アッパカバー4とロアカバー5とブラケット2とホルダ13とをケース本体3から取り外した状態にしておく。また、各ホルダ13を各ワイヤハーネス6a,6b,6cのコルゲートチューブ12の外周に取り付けておく。
【0076】
次に、
図7に示すように、ブラケット本体20に第1ワイヤハーネス6aのコネクタ7a,8a,9a,10aを装着する。そして、このブラケット2を
図7中の二点鎖線矢印Bに示すように、開口部3b側からケース本体3内に通して開口部3aからケース本体3外に引き出し、回転軸21を一対の回転軸取付部36に取り付ける。また、コルゲートチューブ12を取り付けたホルダ13を
図7中の二点鎖線矢印Cに示すように、電線導出口14に取り付ける。
【0077】
次に、
図8、
図9に示すように、ブラケット2に設けられた一対の突出部22を一対の維持アーム16の各重なり部16bの上に乗せる。このことにより、ブラケット2が開口部3a近傍に位置付けられた状態が維持される。
【0078】
次に、
図10に示すように、ブラケット2に既に装着された第1ワイヤハーネス6aの各コネクタ7a,8a,9aに、第2ワイヤハーネス6bの各コネクタ7b,7b’,8b,9bを嵌合させる。この嵌合作業は、維持手段82により、ブラケット2の上端部が開口部3aよりも上側に突出した状態、即ちブラケット2が開口部3a近傍に位置付けられている状態、で行うことができるので、開口部3aの間口寸法が狭いケース本体3であっても、前記嵌合作業を容易に行うことができる。
【0079】
次に、
図11〜14に示すように、第2ワイヤハーネス6bのコルゲートチューブ12を取り付けたホルダ13を電線導出口15に近付け、
図15、
図16に示すように、このホルダ13を電線導出口15に取り付ける。また、前述したように、ホルダ13の本体部79が電線導出口15に挿入される際に、一対のロック部75が一対のアーム部16aのテーパ面16cに当接することにより、一対のアーム部16aが各突出部22から離れる方向に撓み、重なり部16bが突出部22から離れる。すると、ブラケット2が自重で固定位置3c側に回動するので、このブラケット2を固定位置3c側にさらに押し込んで、凸部23を第1固定部17aと第2固定部17bとの間に位置付ける。こうして、ブラケット2を固定位置3cに位置付けるとともに固定手段83によりケース本体3に固定する。
【0080】
このように、本発明では、ホルダ13を電線導出口15に取り付ける作業により、維持手段82によるブラケット2の保持状態を解除してブラケット2を開口部3a近傍から固定位置3c側に移動させることができる。また、本発明では、ブラケット2を回動自在にケース本体3に取り付ける取り付け手段81が設けられているので、上述したブラケット2を開口部3a近傍から固定位置3cに回動させる作業を容易に行うことができる。
【0081】
次に、
図17に示すように、ブラケット2に既に装着された第1ワイヤハーネス6aの各コネクタ10aに、第3ワイヤハーネスの各コネクタ10b,10b’を嵌合させる。
【0082】
また、上記嵌合作業において、本発明では、ブラケット2が固定位置3cに位置付けられた状態でこのブラケット2の一端部2aが開口部3a近傍に位置する構成とした上で、第3ワイヤハーネス6cのコネクタ10b,10b’を、ブラケット本体20の一端部2a側に装着されたコネクタ10aに嵌合させる構成としているので、この嵌合作業を開口部3a近傍で行うことができる。よって、開口部3aの間口寸法が狭いケース本体3であっても、前記嵌合作業を容易に行うことができる。
【0083】
また、本発明では、第3ワイヤハーネス6cのコルゲートチューブ12を取り付けたホルダ13が、第2ワイヤハーネス6bのコルゲートチューブ12を取り付けたホルダ13よりも電線導出口15の開口部3a側に取り付けられるので、これらワイヤハーネス6b,6cの電線11がケース本体3内で過度に密集することを確実に回避できる。
【0084】
次に、第3ワイヤハーネス6cのコルゲートチューブ12を取り付けたホルダ13を電線導出口15に取り付ける。その後、開口部3aにアッパカバー4を取り付け、開口部3bにロアカバー5を取り付けて第1ケース1aの組み立て作業が完了する。
【0085】
また、本発明では、ブラケット2が固定位置3cに位置付けられて、第2ワイヤハーネス6bの電線11及び第3ワイヤハーネス6cの電線11がケース本体3内に収まった状態で、開口部3aにアッパカバー4を取り付けることができるので、アッパカバー4の取り付け作業を容易に行うことができる。また、アッパカバー4の取り付け作業時に前記電線11が噛み込まれることを防止できる。
【0086】
さらに、第1ケース1aと第2ケース1bとを互いに固定し、第1ケース1a及び第2ケース1bに固定部材18a,18b,18cを取り付けて、電気接続箱1の組み立て作業が完了する。なお、第1ケース1aと第2ケース1bとの固定作業は、第1ケース1aの組み立て作業の前に行っても良い。
【0087】
こうして組み立てられた第1ケース1aは、ブラケット2がケース本体3の開口部3a近傍よりも奥側の固定位置3cに位置付けられているので、電線11がアッパカバー4及びロアカバー5に強く押さえられることがなく、これら電線11がケース本体3内で過度に密集することを回避できる。さらに、ブラケット2が矢印X方向に対して斜めに傾いた状態で固定位置3cに位置付けられているので、ブラケット2から電線導出口14,15に向かって配索される電線11を矢印Y方向に分散させることができ、これら電線11がケース本体3内で過度に密集することを回避できる。また、ブラケット2が矢印X方向に対して斜めに傾いた状態で固定位置3cに位置付けられているので、ブラケット2から電線導出口14,15に向かって配索される電線11を過度に曲げることなく配索することができる。このように、本発明の電気接続箱1の第1ケース1aは、電線11を最適な配索経路で配索することができる。
【0088】
このように、本発明によれば、ケース本体3の開口部3aの間口寸法が狭い場合でもコネクタ7a,7b,7b’,8a,8b,9a,9b,10a,10b,10b’の嵌合作業を容易に行え、コネクタ7a,7b,7b’,8a,8b,9a,9b,10a,10b,10b’に接続された電線11がケース本体3内で過度に密集することを確実に回避できて前記電線11を最適な配索経路で配索することができ、簡単な構造で容易に組み立てることができる第1ケース1a、及び、電気接続箱1を提供することができる。
【0089】
また、上述した実施形態では、維持アーム16がケース本体3側に設けられ、突出部22がブラケット2側に設けられている例を説明したが、本発明では、維持アーム16がブラケット2側に設けられ、突出部22がケース本体3側に設けられた構成であっても良い。
【0090】
また、上述した実施形態では、取り付け手段81により、ブラケット2がケース本体3に回動自在に取り付けられている例を説明したが、本発明では、前記取り付け手段が、前記ブラケットを前記ケース本体に当該ケース本体の深さ方向に沿って移動自在に取り付ける構成であっても良い。
【0091】
また、上述した実施形態では、電気接続箱1が、第1ケース1aと第2ケース1bとを備えている例を説明したが、本発明の電気接続箱は、少なくとも第1ケース1aを備えていれば良い。
【0092】
また、本発明では、維持手段82及びホルダ13を、
図18乃至
図21に示すように、構成してもよい。なお、
図18乃至
図21において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
図18乃至
図21に示す場合では、ホルダ13には、
図20及び
図21に示すように、一対の解除アーム86が設けられている。解除アーム86は、本体部79の鍔部71に連なった一対のアーム部86aと、アーム部86aの先端部に設けられた解除突起86bとを備えている。アーム部86aは、本体部79の鍔部71の矢印Z方向の両縁に連なっているとともに、当該両縁からロアカバー5に向かって直線状に延在している。解除突起86bは、解除アーム86のアーム部86aの先端部からこれら一対の解除アーム86が互いに近づく方向に凸に形成されている。
【0094】
前述した構成のホルダ13は、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられると、解除アーム86の解除突起86bが、本体部79が電線導出口15内に挿入される際に、後述する一対の維持アーム16に設けられた解除突起88のテーパ面16cに当接して当該アーム部16aの重なり部16bを突出部22から離れる方向に撓ませる。
【0095】
また、
図18乃至
図21に示す場合の維持手段82は、互いに相対する側壁33,34の内面にそれぞれ設けられた一対の維持アーム16と、側壁33,34の内面に重なるブラケット2の外壁87の内面から突出した前記一対の突出部22と、を備えている。
【0096】
上記一対の維持アーム16は、側壁33,34の側壁32側の端部でかつ開口部3a側の上端部に設けられている。一対の維持アーム16は、それぞれ、側壁33,34の内面のうちの前述した上端部に一端部が連なりかつ開口部3a側から固定位置3c側に延びて開口部3aから離れた側の端部としての他端部が自由端に形成されて、当該他端部が側壁33,34から離れる方向、即ち突出部22から離れる方向、に撓むことが可能な棒状の一対のアーム部16aと、該一対のアーム部16aの他端部同士を連結して当該他端部に設けられて、アーム部16aの長手方向に沿って突出部22に重なることが可能な棒状の重なり部16bと、を備えている。
【0097】
さらに、前記アーム部16aの中央部には、側壁33,34の内面に向かって凸の解除突起88が設けられている。当該解除突起88には、テーパ面16cが設けられている。テーパ面16cは、アーム部16aの一端部側から他端部側に向かうにしたがって側壁33,34の内面に近づく方向、即ちケース本体3の外側、に傾斜している。
【0098】
このような維持手段82が設けられた第1ケース1aは、重なり部16bが突出部22よりも固定位置3c側、即ち下側、に位置付けられるように、突出部22と重なり部16bとが重ねられることにより、即ち突出部22が重なり部16bの上に乗せられることにより、ブラケット2が開口部3a近傍に位置付けられた状態が維持される。そして、ブラケット2が開口部3a近傍に位置付けられた状態でアーム部16aが側壁33,34から離れる方向、即ち突出部22から離れる方向、に撓むことにより、重なり部16bが突出部22から離れてブラケット2が固定位置3c側に移動可能となる。
【0099】
また、
図20に示すように、第2ワイヤハーネス6bに取り付けられたホルダ13の本体部79が、矢印E方向に沿って電線導出口15内に挿入される際に、解除アーム86の先端部に設けられた解除突起86bが一対のアーム部16aの解除突起88のテーパ面16cに当接することにより、一対のアーム部16aが各突出部22から離れる方向に撓む(
図21中に矢印で示す)に撓む。
【0100】
これらの
図18乃至
図21に示された場合も、簡単な構造で容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。また、解除突起86bが解除アーム86のアーム部86aの中央部に設けられかつ重なり部16bがアーム部86aの他端部に設けられているので、ホルダ13の解除アーム86の解除突起86bが重なり部16bと突起部22との重なりを解除する際に、
図20及び
図21に示すように、ホルダ13がブラケット2から離れている。このために、ブラケット2の規制手段82の近傍の位置までリレー89などの電気部品を設けることが可能となる。よって、ブラケット2の実装密度が向上して、より多くの電気部品を取り付けることができるとともにブラケット2即ち電気接続箱1自体の小型化を図ることができる。
【0101】
また、
図18乃至
図21に示された場合も、維持アーム16がブラケット2に設けられ、突出部22がケース本体3に設けられた構成であっても良い。
【0102】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。