(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864167
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】工具を主軸に組み付けるためのフランジ
(51)【国際特許分類】
B24D 5/16 20060101AFI20160204BHJP
【FI】
B24D5/16
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-193458(P2011-193458)
(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2012-56078(P2012-56078A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2014年7月3日
(31)【優先権主張番号】10175474.5
(32)【優先日】2010年9月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591254349
【氏名又は名称】ヴェント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Wendt GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウス フォイクト
【審査官】
齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−153893(JP,U)
【文献】
特開平06−297202(JP,A)
【文献】
特開2010−069604(JP,A)
【文献】
特開2011−115929(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0003929(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01702716(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 5/16
B24B 45/00
F16F 15/00
B23Q 3/12
11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具(4)を主軸(5)に組み付けるためのフランジであって、該フランジが、組付け状態において一方の端部で主軸(5)と協働していて、反対の側の他方の端部の領域に、前記フランジの回転軸線(11)に対して直角に方向調整された取付け面(23)を有しており、該取付け面(23)に前記組付け状態で工具(4)が接触している、工具を主軸に組み付けるためのフランジにおいて、前記フランジが、振動を減衰するために、少なくとも1つの部分範囲(3)を有しており、該部分範囲(3)が、前記フランジの全横断面にわたって延びていて、振動減衰性の材料から成っており、各部分範囲(3)が、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲(1,2)に対して、前記フランジの回転軸線(11)に対して平行に方向調整された少なくとも1つのピン(17)によって位置固定されていることを特徴とする、工具を主軸に組み付けるためのフランジ。
【請求項2】
少なくとも1つの部分範囲(3)が、複合材料から成っている、請求項1記載のフランジ。
【請求項3】
少なくとも1つの部分範囲(3)が、プラスチックまたはプラスチック複合材料から成っている、請求項1または2記載のフランジ。
【請求項4】
少なくとも1つの部分範囲(3)が、取り付けたい工具(4)に対する取付け面(23)を同時に形成している、請求項1から3までのいずれか1項記載のフランジ。
【請求項5】
前記フランジが、2つのフランジ範囲(1,2)を有しており、両フランジ範囲(1,2)の間に少なくとも1つの部分範囲(3)が配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のフランジ。
【請求項6】
少なくとも1つの部分範囲(3)と、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲(1,2)とが、互いに接着によって結合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のフランジ。
【請求項7】
部分範囲(3)を、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲(1,2)に対してセンタリングするために、部分範囲(3)が、接触面(14)に対して突出した、円筒状に形成されて、前記フランジの回転軸線(11)に対して同心的に方向調整されたセンタリング突出部(15)を有しており、該センタリング突出部(15)が、前記フランジもしくはフランジ範囲(1,2)の対応する凹部(16)内に係合している、請求項1から6までのいずれか1項記載のフランジ。
【請求項8】
部分範囲(3)を、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲(1,2)に対してセンタリングするために、前記フランジもしくはフランジ範囲(1,2)が、接触面(10)に対して突出した、円筒状に形成されて、前記フランジの回転軸線(11)に対して同心的に方向調整されたセンタリング突出部(12)を有しており、該センタリング突出部(12)が、部分範囲(3)の対応する凹部(13)内に係合している、請求項1から7までのいずれか1項記載のフランジ。
【請求項9】
工具(4)を前記フランジの取付け面(23)に対してセンタリングするために、取付け面(23)が、該取付け面(23)に対して突出した、円筒状に形成されて、前記フランジの回転軸線(11)に対して同心的に方向調整されたセンタリング領域(24)を有しており、該センタリング領域(24)が、工具側の対応する凹部(22)内に係合している、請求項1から8までのいずれか1項記載のフランジ。
【請求項10】
軸方向での位置固定のために、ねじ(19)が螺入可能である中心孔(26)として形成された少なくとも1つのねじ締結部が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載のフランジ。
【請求項11】
ねじ(19)に減衰性の座金(21)が対応配置されており、該座金(21)を貫いて、ねじ(19)が案内されている、請求項10記載のフランジ。
【請求項12】
ねじ(19)が、ねじ頭(20)の下面における接触領域で減衰性の材料から成っているかまたはねじ頭(20)の下面における接触領域に減衰性の材料を備えている、請求項10または11記載のフランジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具、特に研削工具、たとえば研削ホイールを主軸に組み付けるためのフランジであって、該フランジが、組付け状態において一方の端部で主軸と協働していて、反対の側の他方の端部の領域に、前記フランジの回転軸線に対して直角に方向調整された取付け面を有しており、該取付け面に前記組付け状態で工具が接触している、工具を主軸に組み付けるためのフランジに関する。
【背景技術】
【0002】
研削ホイールの形の工具は、たとえば脆弱性の材料から成る対象物の縁部を研削によって加工するために実際に使用される。このような対象物は、特にガラス、たとえば自動車のウィンドシールドガラスである。
【0003】
たとえばガラスの加工時に工具に振動が発生することがあることは不利である。このことは、工具の非同心的で斑のある回転を結果的に招く。したがって、特に3mm未満の厚さの対象物の縁領域の加工はもはや不可能となる。なぜならば、振動の結果、加工したい対象物の縁領域に欠けが生じることがあるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、前述した欠点を回避して、回転する工具、特に研削ホイールによって、脆弱性の材料から成る肉薄の対象物の加工をも可能にするフランジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために本発明に係るフランジによれば、前記フランジが、振動を減衰するために、少なくとも1つの部分範囲を有しており、該部分範囲が、前記フランジの全横断面にわたって延びていて、振動減衰性の材料から成っている。
【0006】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、少なくとも1つの部分範囲が、複合材料から成っている。
【0007】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、少なくとも1つの部分範囲が、プラスチックまたはプラスチック複合材料から成っている。
【0008】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、少なくとも1つの部分範囲が、取り付けたい工具に対する取付け面を同時に形成している。
【0009】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、前記フランジが、2つのフランジ範囲を有しており、両フランジ範囲の間に少なくとも1つの部分範囲が配置されている。
【0010】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、少なくとも1つの部分範囲と、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲とが、互いに接着によって結合されている。
【0011】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、各部分範囲が、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲に対して、有利には前記フランジの回転軸線に対して平行に方向調整された少なくとも1つのピンによって位置固定されている。
【0012】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、部分範囲を、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲に対してセンタリングするために、部分範囲が、接触面に対して突出した、有利には円筒状に形成されて、有利には前記フランジの回転軸線に対して同心的に方向調整されたセンタリング突出部を有しており、該センタリング突出部が、前記フランジもしくはフランジ範囲の対応する凹部内に係合している。
【0013】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、部分範囲を、隣接する前記フランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲に対してセンタリングするために、前記フランジもしくはフランジ範囲が、接触面に対して突出した、有利には円筒状に形成されて、有利には前記フランジの回転軸線に対して同心的に方向調整されたセンタリング突出部を有しており、該センタリング突出部が、部分範囲の対応する凹部内に係合している。
【0014】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、工具を前記フランジの取付け面に対してセンタリングするために、取付け面が、該取付け面に対して突出した、有利には円筒状に形成されて、有利には前記フランジの回転軸線に対して同心的に方向調整されたセンタリング領域を有しており、該センタリング領域が、工具側の対応する凹部内に係合している。
【0015】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、軸方向での位置固定のために、少なくとも1つのねじ締結部、特にねじが螺入可能である中心孔として形成されたねじ締結部が設けられている。
【0016】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、ねじに減衰性の座金が対応配置されており、該座金を貫いて、ねじが案内されている。
【0017】
本発明に係るフランジの有利な態様によれば、ねじが、ねじ頭の下面における接触領域で減衰性の材料から成っているかまたはねじ頭の下面における接触領域に減衰性の材料を備えている。
【発明の効果】
【0018】
フランジは、たとえば金属、特に鋼から成っていてよい。
【0019】
部分範囲の振動減衰性の材料によって、この部分範囲において、場合により発生した振動が減少させられる。これによって、発生した振動が、主軸から工具にも伝達されないし、逆に、工具から主軸にも伝達されない。
【0020】
これによって、肉薄の対象物の縁領域の加工も可能となる。なぜならば、工具がより斑なく回転させられ、この限りにおいて、縁領域の欠けが回避されるからである。振動減衰性の材料として、トルクを伝達するための十分な剛性を有していると共に十分に曲げ負荷可能であるような材料が使用可能である。フランジを冷却手段に相俟って使用する場合には、使用される冷却手段もしくは冷媒に対する耐性も存在しなければならない。少なくとも1つの部分範囲に用いられる材料として、たとえば高強度のプラスチックが可能である。
【0021】
少なくとも1つの部分範囲が複合材料から成っていることが可能である。複合材料は鋼に比べて高い固有周波数を有しており、これによって、振動が部分範囲において相応に良好に減少させられる。複合材料は、2種類またはそれ以上の種類の結合された材料から成っていてよい。材料相互の結合は材料接続または形状接続または両接続の組合せによって行われてよい。繊維複合材料、たとえば炭素繊維複合材料が特に適している。繊維複合材料の場合には、小さな粒子および/または繊維が母材、たとえばエポキシ母材に埋め込まれている。繊維は、規定された一方向または多方向に延びていてよい。繊維複合材料は層状に製造されてもよい。この限りにおいて、少なくとも1つの部分範囲がプラスチックまたはプラスチック複合材料から成っていてもよい。
【0022】
少なくとも1つの部分範囲が、取り付けたい工具に対する取付け面を同時に形成していてよい。このような態様では、部分範囲がフランジの取付け面を同時に成している。部分範囲は従来のフランジに接続することができる。しかし、当然ながら、従来のフランジが部分範囲の取付け前に短くされ、部分範囲の取付け後にフランジが従来のフランジと同じ長さを有していることも可能である。この場合には、本発明に係るフランジが、構造上の変更なく、従来の加工機械において使用可能となる。
【0023】
有利な態様では、フランジが2つのフランジ範囲を有しており、両フランジ範囲の間に少なくとも1つの部分範囲が配置されていてよい。このような態様では、フランジの長手延び方向で見て、すなわち、回転軸線の方向で見て、第1のフランジ範囲に1つの部分範囲が続いている。その後、この部分範囲に第2のフランジ範囲が続いており、これによって、フランジの長手延び方向で見て、両フランジ範囲が部分範囲によって互いに分離されている。このような態様では、両フランジ範囲がフランジ自体の両端部を形成している。本発明に係るフランジが従来のフランジと同じ長さを有していると有利である。この場合には、本発明に係るフランジが、構造上の変更なく、従来の加工機械において使用可能となる。
【0024】
フランジ範囲は、たとえば鋼から製造されている。部分範囲は、設計上の点において、すなわち、たとえば厚さまたは別の寸法に関して、両フランジ範囲が互いに接触しないように形成されている。
【0025】
少なくとも1つの部分範囲と、隣接するフランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲とは、互いに接着によって結合されていてよい。
【0026】
各部分範囲が、隣接するフランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲に対して、有利にはフランジの回転軸線に対して平行に方向調整された少なくとも1つのピンによって位置固定されていることが可能である。部分範囲の厚さdは、各ピンがその一部長さで部分範囲内に突入しかつ残りの部分長さで、該当するフランジ範囲内にしか突入しないように選択されている。同心的に全周にわたって分配されて配置された複数のピンが設けられていると有利である。
【0027】
部分範囲を、隣接するフランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲に対してセンタリングするために、部分範囲が、接触面に対して突出した、有利には円筒状に形成されて、有利にはフランジの回転軸線に対して同心的に方向調整されたセンタリング突出部を有しており、このセンタリング突出部が、フランジもしくはフランジ範囲の対応する凹部内に係合していることが可能である。
【0028】
また、部分範囲を、隣接するフランジもしくは隣接する一方のフランジ範囲に対してセンタリングするために、フランジもしくはフランジ範囲が、接触面に対して突出した、有利には円筒状に形成されて、有利にはフランジの回転軸線に対して同心的に方向調整されたセンタリング突出部を有しており、このセンタリング突出部が、部分範囲の対応する凹部内に係合していてもよい。
【0029】
工具の交換を容易にするためには、工具をフランジの取付け面に対してセンタリングするために、取付け面が、この取付け面に対して突出した、有利には円筒状に形成されて、有利にはフランジの回転軸線に対して同心的に方向調整されたセンタリング領域を有しており、このセンタリング領域が、工具側の対応する凹部内に係合していることが可能である。当然ながら、センタリング領域と凹部との逆の配置態様も可能である。
【0030】
フランジを軸方向において位置固定するためには、少なくとも1つのねじ締結部、特にねじが螺入可能である中心孔として形成されたねじ締結部が設けられていることが可能である。このねじ締結部が中心に配置されていると有利である。本発明に係るフランジが、2つのフランジ範囲と、両フランジ範囲の間に配置された1つの部分範囲とから成っている場合には、主軸側のフランジ範囲にねじ山が設けられており、ワークピース側のフランジ範囲ならびに部分範囲に、ねじに対する貫通孔として形成された中心孔が設けられていることが可能である。
【0031】
ワークピース側のフランジ範囲から主軸側のフランジ範囲への振動の伝達または逆に主軸側のフランジ範囲からワークピース側のフランジ範囲への振動の伝達を阻止するためには、ねじ頭の、回転軸線に対して直角に方向調整された締付け面と、ワークピース側のフランジ範囲の対応する作用面との間に、振動減衰性の座金が設けられている。
【0032】
この目的のために、有利には、ねじに振動減衰性の座金が対応配置されており、この座金を貫いて、ねじが案内されていてよい。また、この限りにおいて、ねじが、ねじ頭の下面における接触領域で振動減衰性の材料から成っていてもよいかまたはねじ頭の下面における接触領域に振動減衰性の材料を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】2つのフランジ範囲と、両フランジ範囲の間に位置する1つの部分範囲とから成る本発明に係るフランジの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0035】
図1には、本発明に係るフランジが示してある。このフランジは、図示の実施の形態では、端側に配置された2つのフランジ範囲1,2と、両フランジ範囲1,2の間に位置する1つの部分範囲3とから成っている。フランジに対して間隔を置いて、研削ホイール(砥石車)として形成された工具4が図示してある。
【0036】
図1に認めることができるように、部分範囲3はフランジの全横断面にわたって延びている。この部分範囲3が、たとえば複合材料から成っているのに対して、両フランジ範囲1,2は、たとえば鋼から製造されている。両フランジ範囲1,2は部分範囲3によって、フランジの長手延び方向で見て、互いに分離されている。
【0037】
図1に示した左側のフランジ範囲1は主軸5に取り付けられている。この主軸5はその自由端部の領域に、中心で円錐形に延びる取付け部6を有している。この取付け部6には、左側のフランジ範囲1の円錐形に延びる自由端部が導入される。
【0038】
フランジ範囲1の凹部7と主軸5の凹部7とに位置する締付けピン(図示せず)を介して、フランジが軸方向で矢印8の方向に主軸5の平坦当付け部9に向かって引き寄せられる。
【0039】
フランジ範囲1は、主軸5と反対の側の端部の領域に接触面10を有している。隣接する部分範囲3をセンタリングするためには、接触面10に対して突出した、円筒状に形成されてフランジの回転軸線11に対して同心的に方向調整されたセンタリング突出部12が設けられている。このセンタリング突出部12は、部分範囲3の対応する凹部13内に係合している。
【0040】
部分範囲3を、
図1において右側に示した第2のフランジ範囲2に対してセンタリングするためには、部分範囲3がその相応の接触面14に、円筒状に形成されてフランジの回転軸線11に対して同心的に方向調整された突出したセンタリング突出部15を有している。このセンタリング突出部15は、工具取付けのために働く右側のフランジ範囲2の対応する凹部16内に係合している。
【0041】
部分範囲3はその両接触面10,14の領域で、隣り合った各フランジ範囲1,2に接着されている。
【0042】
十分なトルクを伝達することができるようにするためには、部分範囲3が、隣接した各フランジ範囲1,2に対して、フランジの回転軸線11に対して平行に方向調整されたピン17によって位置固定されている。このピン17は、部分範囲3およびフランジ範囲1;2に設けられた対応する孔18内に導入されている。ピン17の長さは、このピン17が一部長さで部分範囲3内に突入しかつ残りの部分長さで、該当するフランジ範囲1;2内にしか突入しないように選択されている。
【0043】
軸方向での位置固定のためには、中心孔26が設けられている。この中心孔26内には、ねじ19が螺入されている。主軸側のフランジ範囲1の領域には、中心孔26がねじ山27を有している。ワークピース側のフランジ範囲2ならびに部分範囲3では、中心孔26が貫通孔として形成されている。
図1に認めることができるように、ねじ頭20は右側の工具側のフランジ範囲2内に埋没させられている。ねじ頭20の、回転軸線11に対して直角に方向調整された締付け面と、フランジ範囲2の対応する作用面との間には、振動減衰性の座金21が設けられている。
【0044】
本発明に係る実施の形態に基づき、両フランジ範囲1,2の間の「鋼−鋼」結合が阻止されている。部分範囲3の厚さdは任意に調整されてよい。この厚さdは、少なくとも部分範囲3内に突入するピン17の最長の部分長さよりも大きく設定されている。
【0045】
工具4は、図示の実施の形態では、研削ホイールから成っている。この研削ホイールは、センタリングのために、対応する工具側の凹部22を有している。この工具側の凹部22は、取付け面23に対して突出した、円筒状に形成されてフランジの回転軸線11に対して同心的に方向調整されたセンタリング領域24と協働する。工具4は、たとえば鋼製基体を有している。この鋼製基体には、周面側に、焼結された研削手段が被着されている。図示の実施の形態では、周面側に、ほぼv字形に形成された研削溝25が設けられている。
【符号の説明】
【0046】
1 フランジ範囲
2 フランジ範囲
3 部分範囲
4 工具
5 主軸
6 取付け部
7 凹部
8 矢印
9 平坦当付け部
10 接触面
11 回転軸線
12 センタリング突出部
13 凹部
14 接触面
15 センタリング突出部
16 凹部
17 ピン
18 孔
19 ねじ
20 ねじ頭
21 座金
22 凹部
23 取付け面
24 センタリング領域
25 研削溝
26 中心孔
27 ねじ山
d 厚さ