特許第5864192号(P5864192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864192
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】エレベータの三方枠
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20160204BHJP
【FI】
   B66B13/30 H
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-220091(P2011-220091)
(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公開番号】特開2013-79132(P2013-79132A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2014年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111110
【弁理士】
【氏名又は名称】美甘 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100159938
【弁理士】
【氏名又は名称】砂井 正之
(72)【発明者】
【氏名】仲野 靖
(72)【発明者】
【氏名】高澤 理志
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−143362(JP,A)
【文献】 実開昭61−160171(JP,U)
【文献】 特開平06−191777(JP,A)
【文献】 特開平04−341485(JP,A)
【文献】 特開昭62−083991(JP,A)
【文献】 特許第5441048(JP,B2)
【文献】 実公平03−051243(JP,Y2)
【文献】 実用新案登録第2522065(JP,Y2)
【文献】 実開平05−032046(JP,U)
【文献】 特開2008−183911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路と乗場との間の乗場出入口に互いに離間して配置される一対の横枠と、
前記一対の横枠の上方部の間を連結し、前記乗場側に突出する縦断面コの字型に折り曲げられる折り曲げ部を有する上枠と、
前記横枠近傍の前記折り曲げ部端部の開口部を塞ぐ塞ぎ部材と、
を備え、
前記塞ぎ部材は、
前記開口部を塞ぐ塞ぎ面と、
前記塞ぎ面の端部の一部であって前記乗場側に突出しない部分から前記塞ぎ面に対して交差する方向に延伸し、前記折り曲げ部に固定可能な取付面と、
を有することを特徴とするエレベータの三方枠。
【請求項2】
前記折り曲げ部に係合部を有し、前記塞ぎ面に前記係合部と係合する被係合部を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの三方枠。
【請求項3】
前記塞ぎ面と前記取付面とからなる角度が90度以下であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ三方枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗場に設置される三方枠に係り、特に三方枠の一部である上枠への取付作業性が向上する縁板を有するエレベータの三方枠に関する。
【背景技術】
【0002】
建物各階に設置されるエレベータの乗場出入口にはエレベータの三方枠が設けられている。エレベータの三方枠の上枠は板状部材の端部の縦断面をコの字型に折り曲げて成形され、この折り曲げられた部位が乗場側に突出するように配置されている。そして、この上枠の折り曲げ部の左右両端部を補強するために、形状が板状である縁板が上枠の戸開閉方向両端部に溶接されて取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−83991号公報
【特許文献2】特開平4−341485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような背景技術におけるエレベータの三方枠の構造では、縁板が板状であることから、溶接による取り付けとなってしまい、作業性が良好ではない。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、上枠への取付作業性が向上する縁板を有する三方枠の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係るエレベータの三方枠は、昇降路と乗場との間の乗場出入口に互いに離間して配置される一対の横枠と、前記一対の横枠の上方部の間を連結し、前記乗場側に突出する縦断面コの字型に折り曲げられる折り曲げ部を有する上枠と、前記横枠近傍の前記折り曲げ部端部の開口部を塞ぐ塞ぎ部材と、を備え、前記塞ぎ部材は、前記開口部を塞ぐ塞ぎ面と、前記塞ぎ面の端部の一部であって前記乗場側に突出しない部分から前記塞ぎ面に対して交差する方向に延伸し、前記折り曲げ部に固定可能な取付面と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るエレベータの三方枠の全体を示す外観図である。
図2】本発明の実施形態に係る三方枠の上枠の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る三方枠の上枠の乗場側への露出部分を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る上枠への縁板の取り付けを示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る上枠及び縁板の他の形状を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は本発明の実施形態に係るエレベータの三方枠の全体を示す外観図である。図2は本発明の実施形態に係る三方枠の上枠の構造を示す斜視図である。図3は本発明の実施形態に係る三方枠の上枠の乗場側への露出部分を示す模式図である。図4は本発明の実施形態に係る縁板の取り付けを示す模式図である。図5は本発明の実施形態に係る上枠及び縁板の他の形状を示す構成図である。
【0010】
まず、図1図2を用いて三方枠の構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、建物の各階に設けられる乗場1には左右に対向するように配置される横枠2と、この横枠2の上部をつなぐように設けられる上枠3とから構成される三方枠4が設置されている。この三方枠4を構成する横枠2の上端部と上枠3の左右両端部のそれぞれとは図示しないボルト等で連結され固定されており、三方枠4は略門型となっている。
【0012】
また、乗場1側から見て三方枠4によって形成される昇降路開口部を塞ぐようにして乗場ドア100が設置されている。図1における乗場ドア100は左側に戸開する2Sドアである。
【0013】
図2に示すように、本実施形態における三方枠の上枠3は乗場側に突出する部分が断面コの字型に折り曲げられるようにして各階乗場に設けられている。具体的には、上枠3の下面3aの乗場1側部分が垂直上方向に折り曲げられて形成される突出面3bと、突出面3bに対して垂直にかご側方向に折り曲げられて形成される上面3cとから断面コの字型の折り曲げ部Aが形成されている。上面3cには後述する縁板を取り付けるための取付穴5が設けられている。取付穴5が設けられる箇所についての詳細は図3を用いて説明する。
【0014】
この折り曲げ部Aは、図3に示すように、上面3cが突出面3bと建物壁との距離dよりも大きい距離Dだけ折り曲げて形成される。なお、図3において、実線部分が乗場1側に突出している部分(距離d)であり、点線部分が建物壁内に埋め込まれる部分(距離d)である。
【0015】
また既述の通り、図2、3に示すように、上面3cの長手方向、つまり戸開閉方向両端部付近には縁板を取り付けるための取付穴5が設けられている。取付穴5が設けられる場所について、本実施形態においては上面3cの戸開閉方向端部から所定距離だけ離れた箇所であって、かつ、建物壁内に設置される範囲に設けられるものとする。ここでいう、建物壁内の範囲とは、前述の距離Dと距離dとの差分の部分(距離d)を指す。すなわち、このような箇所に取付穴5を設けることにより、取付穴5が乗場側に露出することがなくなり、乗場の利用者から見えることがなく意匠的に好ましいものとなる。
【0016】
次に、図4を用いて縁板6の構成について説明する。
【0017】
図4に示すように、本実施形態における縁板6(塞ぎ部材)は上枠3の戸開閉方向両端部を外側から塞ぐように取り付けられるものである。縁板6は、上枠3の折り曲げ部Aによって形成される断面コの字型の空間部分を塞ぐ、塞ぎ面6aと、塞ぎ面6aの端部から塞ぎ面6aに対して略垂直方向に伸びる面である取付面6bとからなる。すなわち、縁板6の水平方向からみた投影面は略L字型となる。
【0018】
また、この取付面6bには、前述の上面3cに設けられる取付穴5と対応する位置に取付穴7が設けられている。すなわち、上面3cと取付面6bとが取付穴5、7に挿入されるボルトやリベット等の締結部材8によって締結されることにより、上枠3と縁板6とが固定され、塞ぎ面6aが折り曲げ部Aによって形成される断面コの字型の空間部分Bを塞ぐことになる。
【0019】
さらに、本実施形態においては、縁板6の形状として上枠3に取り付けた際の意匠面も考慮した構成となっている。縁板6は塞ぎ面6aと取付面6bとの関係がC−C断面でみるとL字形状(X−Z軸方向)となるように形成されるものであるが、本実施形態においては、取付面6bは、塞ぎ面6aの端部の一部から略垂直方向(X軸方向)に伸びるものとする。詳細には、取付面6bは塞ぎ面6aの上端部のうちかご側の一部から伸びるものであり、このかご側の一部とは、三方枠4が乗場1に設置されたときに、建物壁内に埋め込まれる部分を指す。すなわち、塞ぎ面6aと取付面6bとの接続部分は、図3に示す距離dの範囲内に収まる形状となる。
【0020】
このように、本実施形態における取付面6bは建物壁に埋め込まれる範囲で塞ぎ面6aの上端部から伸びている。これにより、本来板状部材の折り曲げにより発生する折り曲げ角の丸み(いわゆる、R)が生じる縁板6の部分が建物壁内に埋め込まれる範囲に抑えられる。すなわち、乗場1側から突出している上枠3の露出部分の戸開閉方向両端部における空間部分の塞ぎ面が縁板6と面一に形成され、いわゆるRが露出部分に見られない三方枠4となる。
【0021】
以上のように、本実施形態における三方枠4の上枠3および縁板6を用いることにより、乗場1側から露出して見える上枠3の戸開閉方向両端部の塞ぎ面3aにいわゆるRが形成されず、隙間なく塞ぎ面6aが折り曲げ部Aによって形成される断面コの字型の空間部分Bを塞ぐことができる。
【0022】
また、本実施形態における縁板6の形状として、上枠3に対する位置決め機能を有する構成でも良い。具体的には、図5に示すように縁板6の塞ぎ面6aの下側端部の一部に凸部9を設け、上枠3の戸開閉方向端部にはこの凸部9と対応する位置に凹部10を設ける。これにより、上枠3に縁板6を取り付ける際に、取付位置が固定され、取付穴5、7の位置決めを容易に行うことができる。
【0023】
また、本実施形態における縁板6の形状として、塞ぎ面6aと取付面6bとからなる折り曲げ角の角度は90度以下であることが望ましい。これは、折り曲げ角の角度が90度以上である場合には、取付穴5、7を締結部材(8)で締結し上枠3の上面3cと縁板6の取付面6bとを固定した際に、上枠3の戸開閉方向両端部に対して塞ぎ面6aが浮き上がってしまう。つまり折り曲げ角の角度が90度以上である場合は、折り曲げ部Aによって形成される断面コの字型の空間部分を十分に塞ぐことができず、かつ乗場1側から三方枠4を見た場合、上枠3の両端部から縁板6の塞ぎ面6aが突出して見えてしまうことになり、意匠的に好ましくない結果となる。さらに、折り曲げ角の角度が90度以上の場合、前述した縁板6の位置決め機能の有効性が低い結果となりうる。
【0024】
これに対し、折り曲げ角の角度が90度以下であって、前述した縁板6の位置決め機能を有している場合には、取付穴5、7を締結部材8で締結し上枠3の上面3cと縁板6の取付面6bとを固定した際、塞ぎ面6aの凸部9が上枠3の凹部10に対して荷重がかかるため、より、塞ぎ面6aによる塞ぎが確実なものとなる。
【0025】
以上のことを考慮し、縁板6の塞ぎ面6aと取付面6bとからなる折り曲げ角の角度は85度以上90度以下となるものがより好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1…乗場
2…横枠
3…上枠
4…三方枠
5、7…取付穴
6…縁板
8…締結部材
9…凸部
10…凹部
100…乗場ドア
図1
図2
図3
図4
図5