特許第5864274号(P5864274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864274
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】マーキング作業用自走装置
(51)【国際特許分類】
   B25H 7/04 20060101AFI20160204BHJP
【FI】
   B25H7/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2012-1794(P2012-1794)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-141712(P2013-141712A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149011
【氏名又は名称】株式会社大橋製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】平野 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小山 高史
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−079080(JP,U)
【文献】 特開平07−016650(JP,A)
【文献】 実開昭58−106181(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/057494(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキング作業対象物の長さ方向に自走しかつマーキング作業を行うべき位置で停止するマーキング作業用自走装置であって、前記停止時において前記マーキング作業対象物に直線状のマークを前記マーキング作業対象物の幅方向につけるためのマーキング装置を備えたマーキング作業用自走装置であり、
前記マーキング装置が、
前記マーキング作業対象物の幅方向に往復動する往復動部材を有する往復動手段と、
前記往復動部材に配置され、この往復動部材の往動時と復動時の両方において前記マーキング作業対象物に直線状のマークをつけるためのマーキング部材と、
前記マーキング部材を保持して前記往復動部材に配置されているとともに、前記往復動部材の往復動の方向に対して傾動自在となっており、前記マーキング作業対象物に直線状のマークをつけるための移動中の前記マーキング部材と前記マーキング作業対象物とがなす角度であって、前記マーキング部材の移動方向側に形成される角度を鋭角とするために、前記マーキング作業対象物に対する傾き方向が前記往動時と前記復動時とで変換可能となっているマーキング部材保持手段と、
を含んで構成されていることを特徴とするマーキング作業用自走装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマーキング作業用自走装置において、前記マーキング部材は、前記マーキング作業対象物に直線状のマークをつけることにより徐々に消耗する乾式のマーキング部材であり、前記マーキング部材保持手段による前記マーキング部材の保持は、このマーキング部材が自重で落下しない固定保持と、前記マーキング部材が自重で落下する緩和保持とに切り替え可能となっており、
前記往復動部材の往復動による前記保持手段の折り返し箇所には、前記マーキング部材保持手段を前記固定保持から前記緩和保持に切り替えるための切替部材と、自重で落下した前記マーキング部材を下で受けることにより、消耗している前記マーキング部材の前記マーキング部材保持手段からの下方突出量を前記消耗量分伸長させるためのマーキング部材受け部材と、が配置されている特徴とするマーキング作業用自走装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマーキング作業用自走装置において、前記マーキング部材受け部材は、前記マーキング部材を受ける位置と、前記マーキング部材を受けない位置とに位置変更可能となっていることを特徴とするマーキング作業用自走装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のマーキング作業用自走装置において、前記マーキング部材は、前記マーキング作業対象物に直線状のマークをつけることにより徐々に消耗する乾式のマーキング部材であり、
前記往復動部材の往復動による前記保持手段の折り返し箇所には、前記マーキング部材の消耗量が一定量を超えたか否かを検出するための検出手段が配置されていることを特徴とするマーキング作業用自走装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のマーキング作業用自走装置において、前記マーキング部材保持手段は、前記往復動部材に固定されている支持部材に対して軸を中心に前記往復動部材の往復動の方向に対して傾動自在であり、この傾動は、前記往復動部材の移動により前記マーキング部材保持手段が前記マーキング作業対象物の幅方向の端部に当接することで行なわれ、
前記マーキング部材保持手段と前記支持部材との間には、前記軸を中心に前記マーキング部材保持手段が傾いている方向とは反対側へ前記マーキング部材保持手段を戻し付勢するための戻し付勢部材が介設されていることを特徴とするマーキング作業用自走装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建築物用の建材に対して自走し、他の建材と接合すべき位置に達したときに、この位置に直線状のマークをつけるためのマーキング作業に用いられるマーキング作業用自走装置に係り、H型鋼や溝型鋼等の建材を含む各種の作業対象物にマーキング作業を行うために利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
H型鋼等の建築物用の建材には、他の建材と接合等すべき位置をマークするためのマーキング作業が行われ、このマーキング作業は、従来、工場において、墨壷を用いる墨刺し方式により行われている。この墨刺し方式で用いられる墨刺し部材は、下記の特許文献1に示されており、マーキング作業を行う作業者は、この特許文献1に示されているような墨刺し部材を用いる手作業により、マーキング作業対象物の所定位置に、直線状のマークをこのマーキング作業対象物の幅方向につける墨付け作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−309082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマーキング作業は、作業者の手作業により行われているため、この作業に多くの手間と時間がかかり、作業性を向上させることは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、マーキング作業を効率的に行え、作業性を向上させることができるマーキング作業用自走装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマーキング作業用自走装置は、マーキング作業対象物の長さ方向に自走しかつマーキング作業を行うべき位置で停止するマーキング作業用自走装置であって、前記停止時において前記マーキング作業対象物に直線状のマークを前記マーキング作業対象物の幅方向につけるためのマーキング装置を備えたマーキング作業用自走装置であり、前記マーキング装置が、前記マーキング作業対象物の幅方向に往復動する往復動部材を有する往復動手段と、前記往復動部材に配置され、この往復動部材の往動時と復動時の両方において前記マーキング作業対象物に直線状のマークをつけるためのマーキング部材と、前記マーキング部材を保持して前記往復動部材に配置されているとともに、前記往復動部材の往復動の方向に対して傾動自在となっており、前記マーキング作業対象物に直線状のマークをつけるための移動中の前記マーキング部材と前記マーキング作業対象物とがなす角度を鋭角とするために、前記マーキング作業対象物に対する傾き方向が前記往動時と前記復動時とで変換可能となっているマーキング部材保持手段と、を含んで構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
このマーキング作業用自走装置は、マーキング作業対象物の長さ方向に自走しかつマーキング作業を行うべき位置で停止するものとなっており、また、このマーキング作業用自走装置は、停止時においてマーキング作業対象物に直線状のマークをマーキング作業対象物の幅方向につけるためのマーキング装置を備えているため、マーキング作業対象物に直線状のマークをマーキング作業対象物の幅方向につける作業を効率的に行えることになり、作業性を向上させることができる。
【0008】
また、マーキング部材によって行われるマーキング作業は、往復動部材の往動時と復動時の両方において行われるため、往動時にのみ又は復動時にのみにマーキング作業を行う場合と比較して、この点でもマーキング作業を効率的に行えることになる。
【0009】
さらに、マーキング部材を保持しているマーキング部材保持手段は、往復動部材に配置されているとともに、この往復動部材の往復動の方向に対して傾動自在となっており、また、このマーキング部材保持手段は、マーキング作業対象物に直線状のマークをつけるための移動中のマーキング部材とマーキング作業対象物とがなす角度を鋭角とするためにマーキング作業対象物に対する傾き方向が前記往動時と前記復動時とで変換可能となっているため、マーキング部材の往動時においても、また、マーキング部材の復動時において、このマーキング部材とマーキング作業対象物とがなす角度を鋭角にしてマーキング作業を行えることになり、このため、マーキング部材の姿勢をマーキング作業対象物に対して直角にしてマーキング作業を行った場合に生ずるマーキング部材の先端の破損等の問題をなくすことができる。
【0010】
本発明に係るマーキング部材は、マーキング作業対象物に直線状のマークをつけることができるものであれば任意なものでよく、したがって、本発明に係るマーキング部材は、墨やインク、塗料等の液体を使用する湿式のマーキング部材でもよく、これらの液体を使用しない乾式のマーキング部材でもよい。湿式のマーキング部材の一例は、前述の特開平9−309082号公報に示されている墨刺し部材である。また、乾式のマーキング部材の一例は、ろう石やパルテル(粉末状の顔料を粘着剤で固めたもの)であり、また、他の例は、ケガキ部材である。
【0011】
なお、マーキング部材を乾式のマーキング部材とすると、このマーキング部材は液体を使用しないものであるため、マーキング部材についてのメンテナンス作業や取扱作業が容易になる。
【0012】
また、マーキング部材が、ろう石やパルテルのように、マーキング作業対象物に直線状のマークをつけることにより徐々に消耗する乾式のマーキング部材である場合には、マーキング部材保持手段によるマーキング部材の保持を、このマーキング部材が自重で落下しない固定保持と、マーキング部材が自重で落下する緩和保持とに切り替え可能とするとともに、往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所には、マーキング部材保持手段を固定保持から緩和保持に切り替えるための切替部材と、自重で落下したマーキング部材を下で受けることにより、消耗しているマーキング部材のマーキング部材保持手段からの下方突出量を消耗量分伸長させるためのマーキング部材受け部材と、を配置することが好ましい。
【0013】
これによると、マーキング部材が、マーキング作業対象物に直線状のマークをつけることにより徐々に消耗する乾式のマーキング部材であっても、このマーキング部材が往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所に達すると、マーキング部材保持手段によるマーキング部材の保持が切替部材によって固定保持から緩和保持に切り替えられることにより、マーキング部材は自重で落下し、この落下したマーキング部材がマーキング部材受け部材で受けられることになり、これにより、消耗しているマーキング部材のマーキング部材保持手段からの下方突出量が消耗量分伸長することになるため、このマーキング作業対象物に対するマーキング作業を、一定量の下方突出量を確保して行えることになる。
【0014】
また、このように往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所に、自重で落下したマーキング部材を下で受けることにより、消耗しているマーキング部材のマーキング部材保持手段からの下方突出量を消耗量分伸長させるためのマーキング部材受け部材を配置する場合には、このマーキング部材受け部材を、マーキング部材を受ける位置と、マーキング部材を受けない位置とに位置変更可能とすることが好ましい。
【0015】
これによると、マーキング部材が所定量以上に消耗した場合において、マーキング部材受け部材の位置をマーキング部材を受けない位置に位置変更することにより、マーキング部材保持手段からマーキング部材の全体を自重で落下させてこの保持手段から取り除くことができ、これにより、新しいマーキング部材に交換することができる。
【0016】
さらに、上述したようにマーキング部材が、ろう石やパルテルのように、マーキング作業対象物に直線状のマークをつけることにより徐々に消耗する乾式のマーキング部材である場合には、往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所には、マーキング部材の消耗量が一定量を超えたか否かを検出するための検出手段を配置することが好ましい。
【0017】
これによると、マーキング部材がこの折り返し箇所に達すると、検出手段によってマーキング部材の消耗量が一定量を超えたか否かを検出できるため、新しいマーキング部材への交換の要否を判定することができる。
【0018】
なお、このように往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所にマーキング部材の消耗量が一定量を超えたか否かを検出するための検出手段を配置する場合において、この検出手段を配置する折り返し箇所は、上述の切替部材及びマーキング部材受け部材を配置する箇所とは反対側の折り返し箇所でもよく、同じ側の折り返し箇所でもよい。
【0019】
また、さらに、本発明において、マーキング部材保持手段が、往復動部材に固定されている支持部材に対して軸を中心に往復動部材の往復動の方向に対して傾動自在となっていて、この傾動が、往復動部材の移動によりマーキング部材保持手段がマーキング作業対象物の幅方向の端部に当接することで行なわれる場合には、マーキング部材保持手段と支持部材との間に、前記軸を中心にマーキング部材保持手段が傾いている方向とは反対側へマーキング部材保持手段を戻し付勢するための戻し付勢部材を介設することが好ましい。
【0020】
これによると、往復動部材の移動によってマーキング部材保持手段がマーキング作業対象物の幅方向の端部から外れた位置に達したときに、戻し付勢部材の戻し付勢力により、マーキング部材保持手段及びこの保持手段で保持されているマーキング部材を直立の姿勢に戻すことができるとともに、マーキング部材保持手段及びマーキング部材を、前述の往動時と復動時とにおいて、マーキング作業対象物に対する傾き方向を逆にしてこれらの往動と復動とを行わせることができ、また、マーキング部材を戻し付勢部材の戻し付勢力によりマーキング作業対象物に押し付けることができるため、直線状のマークをこの作業対象物に明瞭につけることもできる。
【0021】
以上説明した本発明に係るマーキング作業用自走装置は、各種のマーキング作業対象物に対してマーキング作業を行うために用いることができ、このマーキング作業対象物は、構造材が金属製や木製となっている建築物用の建材でもよく、あるいは、橋脚や鉄塔等のための構成材でもよく、また、これらの建材や構成材はH型鋼でもよく、溝型鋼でもよく、さらに、木製柱や木製梁でもよい。
【0022】
また、前述の往復動手段の往復動部材はプーリに架け渡されるベルトでもよく、シリンダのピストンロッドでもよく、正逆回転するねじ軸に螺合したナット部材でもよく、往復動するものであれば、任意な部材でよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、マーキング作業を効率的に行え、作業性を向上させることができるとう効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】は、本発明の一実施形態に係るマーキング作業用自走装置の全体を示す斜視図である。
図2図2は、マーキング作業用自走装置の前面部に配置されているマーキング装置を示す正面図である。
図3図3は、マーキング作業用自走装置の本体の内部を示す平面図である。
図4図4は、マーキング部材保持手段等を示す斜視図である。
図5図5は、マーキング部材保持手段等を示す正面図である。
図6図6は、マーキング部材保持手段等を示す背面図である。
図7図7は、マーキング部材保持手段等を示す平面図である。
図8図8は、図5のS8−S8線断面図である。
図9図9は、マーキング部材保持手段が傾動自在となっていることを示す一部断面の正面図である。
図10図10は、図9のS10−S10線断面図である。
図11図11は、マーキング部材保持手段等の分解斜視図である。
図12図12(A)(B)(C)は、マーキング部材保持手段等が往復動のうち、往動するときを示した作動説明図である。
図13図13(A)(B)(C)は、マーキング部材保持手段等が往復動のうち、復動するときを示した作動説明図である。
図14図14は、マーキング部材保持手段等が、この保持手段によるマーキング部材の保持が固定保持から緩和保持へ切り替えられる往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所に達したときを示す正面図である。
図15図15は、図14のときのマーキング部材保持手段のみを示す平面図である。
図16図16は、往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所に配置されているマーキング部材受け部材等を示す平面図である。
図17図17は、往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所に配置されている検出手段を示す一部断面の正面図である。
図18図18は、図17の検出手段の背面図である。
図19図19は、往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所に達したマーキング部材保持手段で保持されているマーキング部材が一定量以上に消耗していないときにおける検出手段の作動を示す正面図である。
図20図20は、往復動部材の往復動による保持手段の折り返し箇所に達したマーキング部材保持手段で保持されているマーキング部材が一定量以上に消耗しているときにおける検出手段の作動を示す正面図である。
図21図21は、マーキング作業用自走装置の本体の側断面図である。
図22図22は、マーキング作業用自走装置の本体の底面図である。
図23図23は、マーキング作業用自走装置の本体の内部に配置されている走行距離測定手段を示す平断面図である。
図24図24は、走行距離測定手段のワイヤーの先端部に設けられている連結部材を、マーキング作業対象物であるH型鋼Wに取り付けた状態を示す側面図である。
図25図25は、本実施形態に係る自走装置によりH型鋼Wに直線状のマークをつける作業を示している平面図である。
図26図26は、本実施形態に係る自走装置の走行方向を図25とは逆にして、H型鋼Wに直線状のマークをつける作業を行う場合を示す平面図である。
図27図27は、図26の作業のときにおける図24の連結部材の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るマーキング作業用自走装置は、建築物の建材となっているH型鋼に他の建材との接合位置を表示するための直線状のマークをつけるマーキング作業に用いられるものである。このため、本実施形態におけるマーキング作業対象物は、H型鋼である。
【0026】
図1には、本実施形態に係るマーキング装置50を備えているマーキング作業用自走装置1の全体の斜視図が示されている。初めに、この自走装置1について説明すると、自走装置1は、本体2と、この本体2に着脱可能に被せられているカバー部材3とを有しており、本体2の後部には、箱型の付設体4が後方へ突設されている。また、カバー部材3には、液晶による表示画面5と、電源スイッチやスタートボタン、緊急停止ボタンを含む各種操作用の操作部6とが設けられているとともに、カバー部材3に形成されている窓孔3Aを開閉するための蓋部材7も設けられている。
【0027】
図3には、カバー部材3を取り外したときの本体2の内部構造の平面図が示されている。この本体2の内部には、バッテリが配置されている電源部8と、ICチップ等が配置された電子回路基板で構成されたコンピュータとなっている制御部9と、駆動輪10にカップリング11を介して接続されている駆動モータ12と、図1で示されているマーキング装置50の駆動源となっている電動モータ13とが収納されている。また、本体2の底面図である図22に示されているように、本体2には、左右方向の寸法が大きい幅広となっている駆動輪10の下部を本体2の下側に露出させるための孔2Aが形成されているとともに、本体2の下面には、駆動輪10と同様に幅広となっている従動輪14が配置されている。また、図3に示されているように、本体2の内部には、駆動輪10を覆うためのカバー15が配置されている。
【0028】
また、図3に示されているように、本体2の内部には、カード式記録媒体を挿入するための挿入口16が電源部8と隣接して配設されており、このカード式記録媒体には、マーキング作業対象物となっているH型鋼Wについての設計データであるCADデータから、このH型鋼Wにマーキング作業を行ううえで必要とされる各種のデータが取り出されて記録されており、このカード式記録媒体が挿入口16に挿入されることにより、これらのデータが制御部9の記録部に記録され、そして、操作部6が操作されることにより、制御部9が、これらのデータと、制御部9の記録部に記録されている作業順序等に関するプログラムを含むデータと、後述する自走装置1の走行距離を測定するための走行距離測定手段等からの入力信号とに基づき、駆動モータ12や電動モータ13を駆動制御するようになっている。
【0029】
したがって、本実施形態に係る自走装置1は、H型鋼Wについて予め作成されているCADデータを直接利用して、このH型鋼Wにマーキング作業を行えるものになっており、上述したH型鋼Wにマーキング作業を行ううえで必要とされる各種のデータのなかには、H型鋼Wにおける他の建材との接合位置に関するデータ、すなわち、H型鋼Wにおけるマーキング作業を行うべき位置に関するデータと、H型鋼Wの全長に関するデータとが含まれている。
【0030】
なお、図1で示されている表示画面5に表示される事項には、挿入口16に挿入されたカード式記録媒体に記録されているH型鋼Wの種類等に関するデータを含む各種の情報が含まれている。
【0031】
また、図1で示されているカバー部材3の窓孔3Aの位置は、図3で示されている電源部8と挿入口16が配置されている位置と一致している。このため、カバー部材3を本体2から取り外すことなく、蓋部材7を開けるだけで、電源部8へのバッテリのセット作業及び電源部8からのバッテリの取り出し作業と、挿入口16へのカード式記録媒体の挿入作業及び挿入口16からのカード式記録媒体の抜き取り作業とを行える。
【0032】
また、図3に示されているように、本体2の内部の前部には、前部センサ20が配置され、本体2の内部の後部には、後部センサ21が配置されている。これらのセンサ20,21は、発光部と受光部からなる光学式センサであり、センサ20,21の発光部から出射したビーム光が本体2の底部に形成されている孔から本体2の下側に進行し、H型鋼Wで反射したこのビーム光がセンサ20,21の受光部に入射するようになっている。
【0033】
また、本体2の底面図である図22には、自走装置1をH型鋼Wに載置セットしたときに、自走装置1の走行方向と直交するH型鋼Wの幅方向の両側の端面に接触する一対のガイド手段30が示されている。本体2の下面に配置されているこれらのガイド手段30のそれぞれは、自走装置1の走行方向に、言い換えるとH型鋼Wの長さ方向に延びる長さを有しているベース部材31と、このベース部材31の長さ方向の両端に下向きに取り付けられた2個の中心軸32と、これらの中心軸32を中心にベース部材31に回転自在に配設された長筒状の2個のガイド筒部材33とを有する。H型鋼Wの幅方向に向かい合って本体2に配設されているこれらのガイド手段30のベース部材31のそれぞれには、2本のガイドバー34,35の基端部が結合され、H型鋼Wの幅方向内側へ延びているこれらのガイドバー34,35は、本体2に取り付けられたブロック状の2個のガイド部材36,37のガイド孔にスライド自在に挿入されている。
【0034】
このため、一対のガイド手段30のそれぞれは、ガイドバー34,35とガイド部材36,37の案内作用により、H型鋼Wの幅方向に移動自在となっている。そして、それぞれのベース部材31には取手38が設けられており、これらの取手38により、これらのガイド手段30をH型鋼Wの幅方向に手で移動させることができる。
【0035】
なお、本体2の側断面図である図21に示されているように、ガイド部材36,37は、本体2の下面に上方へ窪んで形成された溝部2Bに配置されているとともに、この溝部2Bには、ガイド部材36,37が取り付けられた板状の2個の補助部材39,40が固定されており、これらの補助部材39,40には下向きに突出した突出部39A,40Aが設けられている。これらの突出部39A,40Aは、図22に示されているとおり、それぞれのガイド手段30ごとに設けられているとともに、H型鋼Wの幅方向に延びている。また、図21から分かるように、それぞれのガイド手段30のベース部材31には上方へ立ち上がった2個の立上部31A,31Bが形成され、これらの立上部31A,31Bに、突出部39A,40Aがスライド自在に挿入された切込部31C,31Dが形成されている。
【0036】
このため、一対のガイド手段30がガイドバー34,35とガイド部材36,37の案内作用によりH型鋼Wの幅方向に移動することは、突出部39A,40Aにより切込部31C,31Dが案内されることによっても行われることになる。これにより、一対のガイド手段30のベース部材31がH型鋼Wの長さ方向に振れることを補助部材39,40の突出部39A,40Aにより防止して、これらのガイド手段30をH型鋼Wの幅方向へ移動させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、図22に示されているとおり、一対のガイド手段30のベース部材31のそれぞれには、補助部材39,40に対して転動自在となった2個のガイドローラ41,42が設けられており、このため、一対のガイド手段30は、これらのガイドローラ41,42の転動により円滑にH型鋼Wの幅方向に移動する。なお、これらのガイドローラ41,42を省略し、一対のガイド手段30をすべりによって移動させてもよい。
【0038】
そして、本体2の溝部2Bには基台43が設けられ、この基台43には、ガススプリング44のシリンダ44Aがブラケット45で取り付けられており、H型鋼Wの幅方向に向いているガススプリング44のピストンロッド44Bの先端には、連結部材46が結合されている。この連結部材46と、一対のガイド手段30のうち、一方のガイド手段30のベース部材31との間には、紐状部材であるワイヤー47が架け渡されており、また、連結部材46と、一対のガイド手段30のうち、他方のガイド手段30のベース部材31との間には、本体2に取り付けられた方向反転ローラ48に掛け回された紐状部材となっているワイヤー49が架け渡されている。
【0039】
ガススプリング44のピストンロッド44Bは、シリンダ44A内に封入されている高圧ガスによりシリンダ44Aから突出する方向への圧力を常時受けているため、一対のガイド手段30のそれぞれは、ガススプリング44により、互いに近づく方向へ常時弾性的に付勢されている。このため、これらのガイド手段30を取手38によりH型鋼Wの幅方向に拡大移動させてから、前述した駆動輪10及び従動輪14をH型鋼Wの上面に載せて自走装置1をこのH型鋼Wに載置セットし、この後に、取手38から手を離すと、一対のガイド手段30のそれぞれはガススプリング44により互いに近づく方向へ移動し、それぞれのガイド手段30の前述のガイド筒部材33が、図2に示されているように、H型鋼Wの幅方向の両側の端面WAに自ずと当接することになり、これらの端面WAは、図2に示されているように、H型鋼Wの上側フランジ部WBの幅方向の端面である。
【0040】
これにより、一対のガイド手段30は、自走装置1の走行方向と直交するH型鋼Wの幅方向の両側の端面WAにおいて、H型鋼Wを挟着した状態で接触することになり、このため、後述するように自走装置1がH型鋼Wの長さ方向に自走したときに、それぞれのガイド手段30のガイド筒部材33が前述の中心軸32を中心に回転することにより、ガイド手段30が自走装置1をH型鋼Wの長さ方向にガイドすることになり、自走装置1をH型鋼Wの長さ方向に安定させて走行させることができる。
【0041】
また、一対のガイド手段30には、これらのガイド手段30を互いに近づく方向に常時弾性的に付勢するための弾性付勢手段となっているガススプリング44による付勢力が付与されているため、マーキング作業を行うH型鋼Wに幅寸法が異なっている各種のものがあっても、一対のガイド手段30の間隔を最大の間隔に拡大しながら、自走装置1をH型鋼Wに載置セットすると、これらのガイド手段30の間隔はガススプリング44による付勢力により縮小するため、幅寸法が異なっているそれぞれのH型鋼Wの幅方向の両側の端面に一対のガイド手段30を、これらのガイド手段30によりH型鋼Wが自ずと挟着された状態にして接触させることができることになり、これにより、幅寸法が異なっているそれぞれのH型鋼Wに自走装置1をセットするための作業を簡単に行える。
【0042】
次に、図1で示されているマーキング装置50について説明する。このマーキング装置50は、自走装置1の本体2の前面部2Cに配置されている。
【0043】
図3で説明した電動モータ13には、本体2の内部に配設されているギヤボックス17を介して、本体2の前面部2Cに配置されている駆動プーリ51が接続されており、このため、この駆動プーリ51は電動モータ13により回転する。また、本体2の前面部2Cには、図2に示されているように、従動プーリ52とアイドルプーリ53とが配置され、これらの駆動プーリ51と従動プーリ52とアイドルプーリ53に、無端走行部材となっているベルト54が掛け回されている。このベルト54はタイミングベルトであるため、駆動プーリ51、従動プーリ52、アイドルプーリ53はタイミングプーリである。
【0044】
そして、ベルト54は、電動モータ13の正逆駆動によりH型鋼Wの幅方向に往復動するため、このベルト54は、本実施形態のマーキング装置50における往復動部材となっている。また、電動モータ13や、駆動プーリ51、従動プーリ52、ベルト54等により、ベルト54を往復動させるための往復動手段55が構成されている。
【0045】
なお、従動プーリ52は図2の取付部材56に取り付けられ、この取付部材56は長孔56Aに挿入されたビス等の結合具57で本体2の前面部2Cに結合されているため、従動プーリ52が長孔56Aの長さ分だけH型鋼Wの幅方向に移動可能となっていることにより、この移動によりベルト54の緊張力を適正値に調整できるようになっている。
【0046】
図2に示されているように、無端走行部材であるベルト54の上下段のうち、下段54Aには、H型鋼Wに、このH型鋼Wの幅方向に直線状のマークをつけるためのマーキング部材58が配置され、下段54Aへのマーキング部材58の配置は、このマーキング部材58を保持しているマーキング部材保持手段59が下段54Aに配置されていることにより行なわれている。
【0047】
なお、本実施形態に係るマーキング部材58は、薄板状に形成された上下に長い石筆であり、この石筆の材料はろう石である。したがって、このマーキング部材58は、H型鋼Wに直線状のマークをつけることによって徐々に消耗する乾式のものとなっている。
【0048】
図4には、マーキング部材保持手段59をベルト54の下段54Aに配置するための構造が示されている。保持手段59は、水平のベース部材60に形成された開口部60Aに略下半分が挿入されてこのベース部材60に配設されており、開口部60Aは、保持手段59等の分解斜視図を示している図11のように略T字形となっている。また、図4から分かるように、ベース部材60には、保持手段59よりも後方において、ベルト54の下段54Aを上下で挟着するための挟着部材61,62が設けられており、このため、挟着部材61,62で下段54Aに結合されたベース部材60は、ベルト54の往復動時に下段54Aと一体となってH型鋼Wの幅方向に移動する。
【0049】
図1に示されているように、自走装置1の本体2の前面部2Cには、H型鋼Wの幅方向を長さ方向とする2本のガイドバー63が前後方向に並設され、図4から分かるように、ベース部材60の下面には、これらのガイドバー63がスライド自在に挿入されたガイド部材64が取り付けられている。このため、ベース部材60が下段54Aと一体となってH型鋼Wの幅方向に移動することは、2本のガイドバー63でベース部材60が案内されながら行われる。
【0050】
図11に示されているように、保持手段59の後方には支持部材65が配置され、略下半分が略T字形の開口部60Aに挿入されるこの支持部材65は、図4で示されているビス等の結合具66によりベース部材60の上面に結合されている。図11から分かるように、支持部材65には、保持手段59に基端部67Aが結合されて水平に後方へ延びている軸67が貫通挿入されている。保持手段59等の正面図は図5に示され、図5のS8−S8断面図である図8に示されているように、保持手段59から水平に後方へ延びている軸67は、支持部材65の内部に配置された軸受け部材68で回転自在に支持されており、支持部材65から突出している軸67の先端部に形成された雄ねじ部にナット67Bが螺合されることにより、支持部材65からの軸67の抜けが阻止されている。
【0051】
これにより、保持手段59が、ベルト54の下段54Aに、挟着部材61,62、ベース部材60、支持部材65、軸67及び軸受け部材68を介して取り付けられているとともに、マーキング部材58を保持している保持手段59は、ベルト54の下段54Aに挟着部材61,62及びベース部材60を介して固定されている支持部材65に対して、軸67を中心に傾動自在となっており、この傾動方向は、往復動部材となっているベルト54の下段54Aの往復動方向、言い換えると、H型鋼Wの幅方向となっている。このように保持手段59が、支持部材65に対して軸67を中心に傾動自在となっていることは、保持手段59及びその周辺を示す一部断面の正面図である図9に示されている。
【0052】
マーキング部材保持手段59は、図11に示されているように、軸67の前述した基端部67Aが結合されていて、この軸67が後方へ延びている背面部材70と、この背面部材70の前面に配置されている合計3個のスペーサ部材71と、厚さが同じになっているこれらのスペーサ部材71及び前述のマーキング部材58を背面部材70の前面側から押えるための押え部材72とを含んで構成され、そして、背面部材70、スペーサ部材71及び押え部材72は、上下方向を長さ方向とする板状の部材となっている。上下に長い薄板状となっているマーキング部材58は、3個のスペーサ部材71と共に背面部材70の前面に配置され、このマーキング部材58の左右両側に、3個のスペーサ部材71のうち、上下寸法が大きいスペーサ部材71Aと、上下寸法が小さいスペーサ部材71B,71Cとが配置され、スペーサ部材71Bと71Cは、上下に分かれて配置されている。
【0053】
スペーサ部材71Bと71Cの間において、背面部材70にはスペーサ部材71A側へ切り込まれた切込部70Aが形成されており、この切込部70Aの上下にスペーサ部材71Bと71Cが配置されている。また、マーキング部材58の厚さは、3個のスペーサ部材71の厚さよりも小さくなっている。
【0054】
押え部材72は、3個のスペーサ部材71の配置位置と対応する左右両側の横部72A,72Bと、これらの横部72A,72Bの間の中間部72Cとからなり、この中間部72Cは、マーキング部材58の厚さとスペーサ部材71の厚さとの差に対応した分だけ、左右の横部72A,72Bに対して後方へ後退している。このため、横部72A,72Bと中間部72Cとの間には上下方向へ延びている段差が設けられている。また、左右の横部72A,72Bのうち、スペーサ部材71B,71Cの配置位置側に設けられている一方の横部72Bには、背面部材70の切込部70Aと対応する形状及び大きさとなっている切込部72Dが形成されている。
【0055】
さらに、背面部材70と押え部材72の下端は、下方へ突出する三角状の突出部70B,72Eとなっており、これらの突出部70B,72Eからマーキング部材58の下端58Aが、図5に示されているように下方へ突出するようになっている。
【0056】
図11に示されているように、背面部材70には、前方へ水平に延びる4本の支持軸73の基端部が結合されている。これらの支持軸73は、スペーサ部材71の孔74及び押え部材72の孔75に挿通されて前方へ突出している。図9のS10−S10線断面図である図10には、支持軸73がスペーサ部材71の孔74及び押え部材72の孔75に挿通されて前方へ突出していることが示されており、孔75から突出しているそれぞれの支持軸73の外周にコイルばね76が嵌合され、それぞれの支持軸73の先端部に形成されている雄ねじ部に座金77を介して袋ナット78が螺合されている。
【0057】
袋ナット78を締め付けることによりコイルばね76は圧縮されるため、押え部材72は背面部材70側へ弾圧され、これにより、マーキング部材58は、マーキング部材保持手段59を構成している背面部材70と押え部材72とにより挟着されて保持される。そして、支持軸73やコイルばね76、袋ナット78は、マーキング部材58を保持手段59で弾圧的に保持するための弾圧手段79を構成しており、この弾圧手段79によるマーキング部材58の弾圧保持が行われているときが、保持手段59でマーキング部材58が自重で落下しない固定保持となっているときである。
【0058】
なお、図10及び図11に示されているように、背面部材70におけるスペーサ部材71B,71Cが配置されている側の側面には、これらのスペーサ部材71B,71Cと接触する屈曲部70Cが形成されている。このため、支持軸73を挿通するためにスペーサ部材71B,71Cに形成されている孔74の個数が各1個であっても、これらの支持軸73を中心にスペーサ部材71B,71Cが回動することは屈曲部70Cで阻止される。
【0059】
図9で説明したように、保持手段59は、支持部材65に対して軸67を中心にH型鋼Wの幅方向に傾動自在となっており、保持手段59と支持部材65との間には、軸67を中心に保持手段59が傾いている方向とは反対側へこの保持手段59を戻し付勢するための戻し付勢部材が介設されている。図6は、保持手段59等の裏面側を示す背面図であり、本実施形態の係る戻し付勢部材は、図6で示されているコイルばね80である。上下両端にフック部80Aを有しているこのコイルばね80は、長さ方向を上下方向にして保持手段59の構成部材である背面部材70の裏面側に配置され、上下のフック部80Aのうち、下側のフック部80Aが支持部材65に連結されている。
【0060】
下側のフック部80Aを支持部材65に連結することは、支持部材65に上下方向に形成された割り溝65Aにこのフック部80Aを挿入し、割り溝65Aとフック部80Aとを横断するビス等の結合具81を支持部材65に締め付け結合することにより行われる。なお、割り溝65Aは、図8で説明した軸受け部材68が内部に配置されている支持部材65の孔まで達しているため、結合具81を支持部材65に締め付け結合すると、この孔が縮小して軸受け部材68は支持部材65に固定される。
【0061】
コイルばね80の上部は、図6、及び保持手段59等の平面図を示している図7のように、背面部材70に固定されており、この固定は、背面部材70の上部に取り付けられた固定部材82により、コイルばね80の上部を背面部材70に対して左右方向に不動状態とすることにより行われている。
【0062】
このようにして保持手段59と支持部材65との間に介設されているコイルばね80の軸線上に、図6に示されているように、保持手段59が傾動するときの傾動中心軸となっている前述の軸67が配置されているため、軸67を中心に保持手段59が支持部材65に対して傾いたときには、この傾きによってコイルばね80に蓄圧されたばね力により、保持手段59は傾き方向とは反対側へ戻し付勢されることになる。
【0063】
そして、本実施形態では、この保持手段59の戻し付勢力を1個のコイルばね80によって得られる構成となっているため、戻し付勢構造の簡単化が達成されている。
【0064】
図10及び図11に示されているように、保持手段59の構成部材となっている背面部材70には、スペーサ部材71B,71Cが配置されている側とは反対側の側面において、舌片部70Dが形成され、前述の押え部材72にも、スペーサ部材71B,71Cが配置されている側とは反対側の側面において、舌片部72Fが形成されている。この舌片部72Fは、スペーサ部材71B,71Cが配置されている側とは反対側へ延びるにしたがい、背面部材70の舌片部70Dからの距離が次第に大きくなる方向へ傾斜している。
【0065】
図2に示されているように、往復動部材となっているベルト54の下段54Aの往復動によって往復動する保持手段59の2箇所の折り返し箇所のうち、一方の折り返し箇所には、保持手段59によるマーキング部材58の保持を、上述のマーキング部材58が自重で落下しない固定保持から、マーキング部材58が自重で落下する緩和保持へ切り替えるための切替部材90が配設され、この切替部材90は、自走装置1の本体2の前面部2Cに、ベルト54の下段54Aの移動で近づいてくる保持手段59の側へ向かって突出した状態で取り付けられている。図14は、保持手段59が切替部材90の配設箇所に達したときを示す正面図であり、図15は、図14のときの保持手段59のみを示す平面図である。
【0066】
図15に示されているように、切替部材90は、先端部の前後方向の厚さが保持手段59側へ次第に小さくなっている楔形状の部材である。このため、保持手段59が切替部材90の配設箇所に達すると、図15に示されているように、背面部材70の舌片部70Dと押え部材72の舌片部72Fとの間に侵入した切替部材90の楔効果により、前述の弾圧手段79の弾圧力に抗して押え部材72は少し前方へ移動し、これにより、保持手段59によるマーキング部材58の保持が、マーキング部材58が自重で落下しない上述の固定保持から、マーキング部材58が自重で落下する上述の緩和保持へ切り替えられる。
【0067】
図14に示されているように、切替部材90が配設された前述の折り返し箇所には、この切替部材90の下方において、保持手段59によるマーキング部材58の保持が緩和保持に切り替えられることで保持手段59から落下したマーキング部材58の下端58Aを受けるためのマーキング部材受け部材91が配設されている。このため、このときのマーキング部材58の下端58Aが、H型鋼Wに直線状のマークをつけることで消耗している場合には、この消耗量分だけマーキング部材58の下端58Aは受け部材91まで落下することになり、これにより、この下端58Aの保持手段59からの下方への突出量は消耗量分伸長することになり、これにより、下端58Aの消耗量は補充され、再度、H型鋼Wに直線状のマークをつけることが可能となる。
【0068】
そして、本実施形態におけるマーキング部材受け部材91は、マーキング部材58の下端58Aを受ける位置と、受けることができない位置とに位置変更可能となっている。すなわち、受け部材91は、自走装置1の本体2の前面部2Cに取り付けられたブラケット部材92の上面に回動中心ピン93を中心に水平に回動自在に配置されている。図16は、これらの受け部材91とブラケット部材92を示す平面図であり、受け部材91が回動中心ピン93を中心に実線で示されている回動位置、言い換えると保持手段59側へ向いている回動位置にあるときには、この受け部材91によりマーキング部材58の下端58Aを受けることができる。また、作業者が、受け部材91を回動中心ピン93を中心に二点鎖線で示されている回動位置に回動させたときには、受け部材91によりマーキング部材58の下端58Aを受けることができない。
【0069】
なお、本実施形態では、図14にも示されているように、受け部材91とブラケット部材92のそれぞれの下面には、支持ピン94,95が下向きに取り付けられ、これらの支持ピン94,95に弾性部材であるコイルばね96が架け渡されている。図16に示されているように、ブラケット部材92には、互いに角度をなす2個の当接部92A,92Bが設けられ、受け部材91が図16の実線の回動位置に達したときには、支持ピン94は当接部92Aに当接し、受け部材91が図16の二点鎖線の回動位置に達したときには、支持ピン94は当接部92Bに当接し、これらの回動位置に達するときに、コイルばね96は、デッドポイントである回動中心ピン93の配置位置を通過するため、コイルばね96の引張ばね力により、受け部材91を実線の回動位置と二点鎖線の回動位置とに確実に停止させることができる。
【0070】
作業者が、受け部材91をマーキング部材58の下端58Aを受けることができない位置に回動させることは、ベルト54の下段54Aの移動により保持手段59が切替部材90と受け部材91が配設されている折り返し箇所に達し、この保持手段59で保持されているマーキング部材58の前述の消耗量が、マーキング部材58を交換すべき一定量を超えているときに行われる。このときには、保持手段59によるマーキング部材58の保持は、切替部材90による切替作用により前述の緩和保持に切り替えられているため、作業者が受け部材91を二点鎖線の回動位置に回動させると、マーキング部材58の全体が保持手段59から落下し、このマーキング部材58は保持手段59から取り除かれる。
【0071】
そして、作業者が受け部材91を実線の回動位置に回動させた後に、作業者は新しいマーキング部材58を、保持手段59の上から、この保持手段59を構成している背面部材70と押え部材72との間に挿入する。このときの背面部材70と押え部材72との間には、切替部材90の楔効果により、マーキング部材58の厚さ以上の隙間があいているため、マーキング部材58の挿入作業を容易に行え、また、このマーキング部材58は、下端58Aが受け部材91で受けられる位置まで自重で落下するため、このマーキング部材58により、H型鋼Wに直線状のマークをつけることが可能となる。これにより、一定量以上に消耗したマーキング部材58を新しいマーキング部材58に交換する作業が終了する。
【0072】
そして、ベルト54の下段54Aの移動により保持手段59が、切替部材90や受け部材91が配設されている折り返し箇所から遠ざかる方向へ移動すると、保持手段59に作用していた切替部材90の楔効果が消滅するため、保持手段59によるマーキング部材58の保持は、前述の固定保持に自ずと切り替えられ、この固定保持されたマーキング部材58により、H型鋼Wに直線状のマークをつけることができることになる。
【0073】
なお、本実施形態では、図8及び図11に示されているように、押え部材72の上面には、保持手段59でのマーキング部材58の保持箇所と対応する箇所において、上方へ延びるにしたがい背面部材70から離れる方向へ傾斜しているガイド片72Gが設けられている。このため、このガイド片72Gの案内作用により、新しいマーキング部材58を背面部材70と押え部材72との間の隙間に挿入する作業を容易に行える。
【0074】
図2に示されているように、往復動部材となっているベルト54の下段54Aの往復動により往復動する保持手段59の2箇所の折り返し箇所のうち、切替部材90及び受け部材91が配設された箇所とは反対側の箇所には、保持手段59で保持されているマーキング部材58の消耗量がマーキング部材58を交換すべき前述の一定量を超えているか否かを検出するための検出手段100が配設されている。この検出手段100は、図1から分かるように、ベルト54による保持手段59等の移動を案内するための前述の2本のガイドバー63の間に配設されている。
【0075】
図17には検出手段100の正面図が示され、図18には検出手段100の背面図が示されている。これらの図に示されているように、検出手段100は、自走装置1の本体2の前面部2Cに取り付けられたブラケット部材101にそれぞれ配置されている押し部材102と、ピン103Aを中心に揺動自在なアクチュエータ103Bが設けられた電気スイッチ103とを含んで構成されている。押し部材102は、電気スイッチ103側とは反対側となっている保持手段59側へ常時弾性的に付勢されており、この付勢は、ブラケット部材101に固定されていて押し部材102が内部を貫通しているホルダー部材104の内部に配置されているコイルばね105により行われている。
【0076】
押し部材102がコイルばね105に抗して電気スイッチ103側へ移動したときには、押し部材102によりアクチュエータ103Bがピン103Aを中心に揺動するため電気スイッチ103はオンとなる。なお、押し部材102が所定量だけ移動したときに電気スイッチ103がオンとなるように、図17に示されているように、電気スイッチ103は、ブラケット部材101の長孔101Aに挿入されたビス等の結合具106でブラケット部材101結合され、電気スイッチ103の配置位置が長孔101Aの長さ分だけH型鋼Wの幅方向に調整可能となっている。
【0077】
図19は、保持手段59で保持されているマーキング部材58の消耗量が前述の一定量を超えていないときに、保持手段59が、検出手段100が配置されている前述の折り返し箇所に達したときを示している。このときには、保持手段59の背面部材70と押え部材72に形成されている前述の切込部70A,72Dにマーキング部材58の一部58Bが露出している。このため、保持手段59が上述の折り返し箇所に達すると、コイルばね105で保持手段59側へ弾性付勢されている押し部材102は、マーキング部材58の一部58Bで電気スイッチ103側へ押され、これにより、押し部材102でアクチュエータ103Bがピン103Aを中心に揺動することによって電気スイッチ103がオンとなり、このオンにより、マーキング部材58の消耗量が前述の一定量を超えていないことが検出される。
【0078】
図20は、マーキング部材58の消耗量が前述の一定量を超えているときに、保持手段59が、検出手段100が配置されている上述の折り返し箇所に達したときを示している。このときには、背面部材70と押え部材72の切込部70A,72Dにマーキング部材58の一部は露出していない。このため、保持手段59が上述の折り返し箇所に達すると、コイルばね105で保持手段59側へ弾性付勢されている押し部材102がマーキング部材58の一部で電気スイッチ103側へ押されることはなく、このため、電気スイッチ103がオンとなることはなく、電気スイッチ103はオフの状態を維持し、これにより、マーキング部材58の消耗量が、このマーキング部材58を交換すべき前述の一定量を超えていることが検出される。
【0079】
図2に示されているように、自走装置1の本体2の前面部2Cには、前述の切替部材90及びマーキング部材受け部材91の配設箇所と検出手段100の配設箇所とになっている保持手段59の往復動の2箇所の折り返し箇所と対応する位置において、2個のセンサ110,111が配置され、これらのセンサ110,111により、保持手段59がこれらの折り返し箇所に達したことを検出できるようになっている。これらのセンサ110,111は、図3で説明した前述の前部センサ20及び後部センサ21と同様の同じ光学式センサである。
【0080】
本実施形態に係る自走装置1には、この自走装置1がH型鋼Wに沿って走行した距離を測定するための走行距離測定手段が搭載されている。自走装置1の本体2の内部を示している図3には、この走行距離測定手段120が示されており、図23には、走行距離測定手段120の具体的構造が示されている。図23に示されているとおり、走行距離測定手段120は、紐状部材であるワイヤー121を巻き取り自在に繰り出すドラム122が収納されているドラム部120Aと、ぜんまいばね123が収納されているぜんまいばね部120Bとを含んで構成されたものとなっている。
【0081】
ドラム部120Aでは、ワイヤー121の基端が結合されたドラム122がスプライン軸124に嵌合連結されているため、ドラム122はこのスプライン軸124と一体に回転するとともに、ドラム122はスプライン軸124に沿って移動自在になっており、また、スプライン軸124には、カップリング125を介してロータリエンコーダ126が接続されている。ドラム部120Aには、スプライン軸124と平行にねじ軸127が配設され、回転不能となっているこのねじ軸127の外周の雄ねじ部に第1歯車128が螺合し、この第1歯車128は、ドラム122と結合一体化されている第2歯車129と噛合している。そして、この第2歯車129の軸方向両端には、第1歯車128を軸方向両側から挟む一対のフランジ部129A,129Bが設けられているため、スプライン軸124が回転してドラム122及び第2歯車129も回転したときに、この回転が伝達される第1歯車128が、ねじ軸127の案内作用によりこのねじ軸127の長さ方向のうちの一方へ移動し、これにより、第2歯車129及びドラム122はスプライン軸124に沿って第1歯車128と同じ方向へ移動する。
【0082】
このときのドラム122の回転方向が、ドラム122にワイヤー121を巻き取る方向である場合には、ドラム122が1回転したときのドラム122の移動量をワイヤー121の太さと同じ又はこれよりも若干大きくしておくことにより、ワイヤー121は、上下に積層状態になることなく、それぞれの巻き部がドラム122の表面に接触してドラム122に巻き取られることになる。また、ドラム122が逆方向に回転してワイヤー121がドラム122から繰り出されるときには、ドラム122の表面に接触しているワイヤー121のそれぞれの巻き部がドラム122から順次繰り出されることになる。
【0083】
そして、ドラム122へのワイヤー121の巻き取り位置及びドラム122からのワイヤー121の繰り出し位置は、ワイヤー121の巻き取り及び繰り出しの全体を通してドラム122の軸方向における一定位置となる。
【0084】
また、以上のようにワイヤー121が、上下に積層状態になることなく、ドラム122に巻き取られ、繰り出されることにより、ドラム122から順次繰り出されるワイヤー121の繰り出し長さは、ロータリエンコーダ126で検出されるドラム122の回転数と正確に一致することになり、このため、ワイヤー121の正確な繰り出し長さをロータリエンコーダ126で検出できる。
【0085】
スプライン軸124の端部には第3歯車130が結合され、この第3歯車130には、ドラム部120Aに回転自在に設けられているアイドル軸131に結合された第4歯車132が噛合し、この第4歯車132に第1プーリ133が結合一体化されている。
【0086】
第1プーリ133には、紐状部材であるワイヤー134の一端が連結され、このワイヤー134は第1プーリ133に巻き取り、繰り出し自在になっているとともに、ワイヤー134の他端は、前述のぜんまいばね部120Bの内部に軸135を中心に回転自在に配置されている第2プーリ136に連結され、ワイヤー134はこの第2プーリ136にも巻き取り、繰り出し自在になっている。第2プーリ136の内部には、前述のぜんまいばね123が収納され、このぜんまいばね123の外端は第2プーリ136に結合されているとともに、内端は、非回転軸となっている軸135に結合されている。
【0087】
このため、ドラム122からワイヤー121を繰り出すためにスプライン軸124が回転すると、この回転は、第3歯車130、第4歯車132を介して第1プーリ133に伝達され、この第1プーリ133がワイヤー134を巻き取ることにより、第2プーリ136はワイヤー134を繰り出しながら回転する。このため、ドラム122からワイヤー121が繰り出されるときには、ぜんまいばね123は巻き締められて蓄圧力が蓄圧される。そして、このぜんまいばね123の蓄圧力が、ドラム122がワイヤー121を巻き取るときのドラム122の回転力となる。
【0088】
なお、ドラム122の内部に、このドラム122からワイヤー121が繰り出されるときに巻き締められて蓄圧されるぜんまいばねを収納することによっても、このぜんまいばねの蓄圧力を、ドラム122がワイヤー121を巻き取るときのドラム122の回転力とすることができるが、これによると、ドラム122から繰り出し、巻き取ることができるワイヤー121の長さが短くなって、測定可能となる自走装置1の走行距離が短くなる。
【0089】
これに対して本実施形態では、第1プーリ133よりも第2プーリ136の直径を大きくし、また、第3歯車130よりも第4歯車132の直径を大きくすることにより、ドラム122から繰り出し、巻き取ることができるワイヤー121の長さを充分長くすることができて、測定可能となる自走装置1の走行距離も充分長くできることになる。
【0090】
自走装置1の本体2には、図23に示されているように、ワイヤー121が通過する溝部2Dが形成され、この溝部2Dから本体2の外部に導出されたワイヤー121の端部には、この端部をH型鋼Wに連結するために、図24で示されている連結部材140が設けられている。この連結部材140は、クランク形状の本体140Aと、この本体140Aの一方の端部に取り付けられ、H型鋼Wに連結部材140を吸着させるためのマグネット140Bと、本体140Aの他方の端部に取り付けられたリング部材140Cとを有し、リング部材140Cとワイヤー121は、これらのリング部材140Cとワイヤー121とを回転自在に連結する回転部材141を介して連結されている。この回転部材141の回転作用により、ワイヤー121がドラム122から繰り出され、巻き取られるときのワイヤー121の連結部材140に対するよじれが解消される。
【0091】
なお、図1で説明したように、自走装置1の本体2の後部には箱型の付設体4が後方へ突設されており、通常時はカバー部材で覆われていて、このカバー部材が取り外し自在となっているこの付設体4の内部に、図24に示されているように、ワイヤーガイド部材142が本体2に固定されて設けられている。このワイヤーガイド部材42は、後述するように連結部材140を付設体4の内部に収納したときに、ワイヤー121に折れ曲がりによる癖が生ずることを防止するためのものである。
【0092】
また、マグネット140BがH型鋼Wから取り外されているときの連結部材140は、マグネット140Bを、付設体4を構成している部材に吸着させることにより、この付設体4の内部に収納可能となっている。すなわち、付設体4は、ワイヤー121の略全体がドラム122に巻き取られることで不使用状態となっているときの連結部材140を収納するための収納部となっている。
【0093】
次に、本実施形態に係る自走装置1により行われるマーキング作業、すなわち、H型鋼Wに直線状のマークをつけることでこのH型鋼Wに他の建材との接合位置を表示するためのマーキング作業について説明する。このマーキング作業は、コンピュータである図3の制御部9の記録部に記録されている作業順序等に関するプログラムに基づいて行われる。
【0094】
マーキング作業を行うためには、図2に示すとおり、最初に自走装置1をH型鋼Wの上側フランジ部WBに載置セットする作業を行い、この載置セット作業は、自走装置1に設けられている図3の後部センサ21の位置がH型鋼Wの後端よりも少し前方の位置となるようにして、自走装置1の駆動輪10及び従動輪14を上側フランジ部WBの上面に載せて行う。そして、付設体4の内部に収納されている連結部材140を取り出し、この連結部材140のマグネット140Bを、図24に示されているように、H型鋼Wの上側フランジ部WBの後端面に吸着させ、これにより、走行距離測定手段120の構成部材となっているワイヤー121の端部を連結部材140によりH型鋼Wに連結する。
【0095】
以上のようにH型鋼Wの上側フランジ部WBに載置セットされるときの自走装置1の初期時においては、前述のマーキング装置50を構成する部材となっていて、往復動部材であるベルト54の下段54Aに配置されているマーキング保持手段59が、この下段54Aの往復動による保持手段59の2箇所の折り返し箇所のうち、図1及び図2で示されている前述の検出手段100が配設されている側の折り返し箇所にある。そして、このときの保持手段59は、図12(A)に示されているように、H型鋼Wの幅方向の端部から外れた位置にある。このため、保持手段59と、この保持手段59で保持されているマーキング部材58は、前述の戻し付勢部材となっているコイルばね80の弾性力により、直立姿勢となっている。
【0096】
次いで、図1で示されている操作部6の電源スイッチを投入してスタートボタンを押すと、このスタートボタンからの信号が入力する図3の制御部9の駆動制御により駆動モータ12が逆駆動し、これにより駆動輪10が逆回転して自走装置1は、図22等で説明した一対のガイド手段30のガイド作用により、H型鋼Wに沿ってこのH型鋼Wの長さ方向への後退を開始する。このときのワイヤー121は、前述のぜんまいばね部120Bのぜんまいばね123に蓄圧されている蓄圧力によりドラム122に巻き取られる。自走装置1の後退により図3の後部センサ21の位置がH型鋼Wの後端の位置に達すると、これが後部センサ21で検出され、この検出信号が制御部9に入力した後に、制御部9が有しているタイマ手段で計測される所定の短時間が経過すると、制御部9は、駆動モータ12の逆駆動を停止させた後に、この駆動モータ12の正駆動を開始させる。これにより、駆動輪10は正回転し、自走装置1は、一対のガイド手段30のガイド作用で案内されながら、H型鋼Wに沿って前進を開始する。
【0097】
このようにして自走装置1がH型鋼Wに沿って前進を開始すると、ワイヤー121はドラム122及びスプライン軸124を回転させてドラム122から繰り出され、これにより、前述の走行距離測定手段120を構成しているロータリエンコーダ126により、ワイヤー121の繰り出し量がドラム122の回転数として検出され、この検出量の制御部9に入力する。
【0098】
このため、自走装置1の前進により後部センサ21の位置がH型鋼Wの後端の位置に達した後におけるワイヤー121の繰り出し量が、言い換えると、H型鋼Wの後端からの自走装置1の走行距離が、後部センサ21とロータリエンコーダ126とから入力する信号により制御部9で演算されることになり、この走行距離が、H型鋼Wの後端からこのH型鋼Wに他の建材を接合すべき最初の接合位置までの長さと対応する距離(この距離は、図3で説明したカード式記録媒体が挿入口16に挿入されることにより、制御部9の記録部に記録されている距離であり、また、この距離は、上述の走行距離に、後部センサ21から保持手段59で保持されているマーキング部材58までの前後寸法を加えた距離である。)になると、制御部9は駆動モータ12の正駆動を停止させ、駆動輪10は正回転を停止する。これにより、自走装置1は、H型鋼Wにマーキング部材58で最初のマークをつけるべき位置に停止する。
【0099】
この後に制御部9は、この制御部9が有しているタイマ手段で計測される所定時間の経過後に、図3の電動モータ13を正駆動させ、これにより、ベルト54の下段54Aは、この下段54Aに配置されている保持手段59を図12(A)から図12(B)のように、往復動のうち、往動させる。この往動時の途中において、図12(B)に示されているように、保持手段59の下端の近くがH型鋼Wの上側フランジ部WBにおける幅方向の一方の端面WAに当接するため、保持手段59は、図6等で示されているコイルばね80のばね力に抗して軸67を中心にベルト54の下段54Aの往復方向に傾くことになる。このように傾いた保持手段59は、下段54Aの往動が継続されることにより、図12(C)のようにH型鋼Wの幅方向に移動し、この移動により、保持手段59が保持しているマーキング部材58の下端58AでH型鋼Wの上側フランジ部WBの上面に、このH型鋼Wの幅方向へ延びる最初の直線状のマークM(図25を参照)がつけられる。
【0100】
このときの保持手段59には、コイルばね80の前述した戻し付勢力が作用しているため、マーキング部材58の下端58Aはこの戻し付勢力によってH型鋼Wの上側フランジ部WBの上面に押し付けられ、このため、この上面にマークMを明瞭につけることができる。
【0101】
そして、ベルト54の下段54Aの往動により保持手段59が、この保持手段59の下端の近くが当接したH型鋼Wの上側フランジ部WBにおける上述の端面WAとは反対側の端面WAまで達して、この端面WAを通過すると、保持手段59及びマーキング部材58は、コイルばね80の戻し付勢力により直立の姿勢に戻る。この直立の姿勢に戻った保持手段59が図2で示されているセンサ110の配設位置まで達すると、これを検出したセンサ110からの信号が入力する制御部9が電動モータ13の前述の正駆動を停止させ、これにより、保持手段59は、センサ110によって検出された往復動の折り返し箇所で停止する。
【0102】
また、保持手段59がこの折り返し箇所に達すると、前述の切替部材90の作用により、保持手段59によるマーキング部材58の保持は、前述したように、固定保持から緩和保持に切り替えられるため、マークMをH型鋼Wにつけることでその分だけ下端58Aが消耗しているマーキング部材58は自重により受け部材91で受けられるまで落下し、消耗量が補充される。
【0103】
この後に制御部9は、上述のタイマ手段で計測される所定時間の経過後に、駆動モータ12を正駆動させ、これにより、自走装置1は、さらにワイヤー121をドラム122から繰り出しながら、H型鋼Wに沿って再度前進を開始する。この前進距離はロータリエンコーダ126から入力する信号により制御部9で演算され、このようにして演算される自走装置の走行距離が、H型鋼Wの後端からこのH型鋼Wに他の建材を接合すべき2番目の接合位置までの長さと対応する距離になると、制御部9は駆動モータ12の正駆動を停止させ、駆動輪10は正回転を停止する。これにより、自走装置1は、H型鋼Wにマーキング部材58で2本目のマークMをつけるべき位置に停止する。
【0104】
この後に制御部9は、上述のタイマ手段で計測される所定時間の経過後に、電動モータ13を再度駆動させ、この駆動は前述の正駆動とは反対側への逆駆動であるため、ベルト54の下段54Aは、往復動のうち、復動を開始し、これにより、保持手段59も図13(A)から図13(B)のように復動し始め、この復動時の途中において、図13(B)に示されているように、保持手段59の下端の近くがH型鋼Wの上側フランジ部WBにおける幅方向の他方の端面WAに当接するため、保持手段59は軸67を中心に、前述した往動時とは反対側へ傾くことになる。このように傾いた保持手段59は、下段54Aの復動の継続により、図13(C)のようにH型鋼Wの幅方向に移動し続け、これにより、マーキング部材58の下端58AでH型鋼Wの上側フランジ部WBの上面に、このH型鋼Wの幅方向へ延びる2本目の直線状のマークMがつけられる。
【0105】
このときの保持手段59にも、コイルばね80の戻し付勢力が作用しているため、マーキング部材58の下端58Aはこの戻し付勢力によってH型鋼Wの上側フランジ部WBの上面に押し付けられることになり、この上面に2本目のマークMを明瞭につけることができる。
【0106】
そして、ベルト54の下段54Aの復動により保持手段59が、保持手段59の下端の近くが当接したH型鋼Wの上側フランジ部WBにおける上述の端面WAとは反対側の端面WAまで達して、この端面WAを通過すると、保持手段59及びマーキング部材58は、コイルばね80の戻し付勢力により直立の姿勢に戻る。この直立の姿勢に戻った保持手段59が図2で示されているセンサ111まで達すると、これを検出したセンサ111からの信号が入力する制御部9の駆動制御により電動モータ13の上述の逆駆動が停止し、これにより、保持手段59は、センサ111によって検出される初期位置に戻る。
【0107】
そして、保持手段59がこの初期位置に戻ったときには、前述の検出手段100により、マーキング部材58の消耗量がマーキング部材58を交換すべき一定量を超えているか否かが検出される。
【0108】
この後に、制御部9は、上述のタイマ手段で計測される所定時間の経過後に、駆動モータ12を正駆動させ、これにより、自走装置1は、さらにワイヤー121をドラム122から繰り出しながら、H型鋼Wに沿って再度前進を開始し、この前進した距離がロータリエンコーダ126から入力する信号により制御部9で演算されて、自走装置1の走行距離が、H型鋼Wの後端からこのH型鋼Wに他の建材を接合すべき3番目の接合位置までの長さと対応する距離になると、制御部9は駆動モータ12の正駆動を停止させ、駆動輪10は正回転を停止する。
【0109】
これ以後は、前述したと同様に制御部9の駆動制御で電動モータ13が正駆動されることによるベルト54の下段54Aの往動により、マーキング部材58の下端58AでH型鋼Wの上側フランジ部WBの上面に3本目の直線状のマークMをつけられる作業が行なわれ、さらに、これ以後に、駆動モータ12の正駆動及び停止と、電動モータ13の逆駆動及び正駆動とが繰り返されることにより、マーキング部材58の下端58AでH型鋼Wの上側フランジ部WBの上面に4本目以降の直線状のマークMがつけられる作業が順次行われる。
【0110】
このようにして複数本のマークMがつけられたH型鋼Wが、図25に示されている。
【0111】
制御部9の記録部に記録されている最後の他の建材を接合すべき接合位置まで自走装置1が達して、この位置において、最後のマークMをつける作業が終了すると、制御部9の制御により電動モータ13の駆動は停止し、保持部材59は、ベルト54の下段54Aの往復動による保持手段59の折り返し箇所で停止する。なお、この折り返し箇所が、センサ111で検出される前述の初期位置ではないときには、この折り返し箇所に配置されているセンサ110からの信号が入力する制御部9による電動モータ13の駆動制御により、保持手段59はセンサ111で検出される初期位置まで戻って停止する。
【0112】
以上のようにして最後のマークMをつける作業が終了した自走装置1は、制御部9が駆動モータ12を正駆動させることにより、前部センサ20でH型鋼Wの前端が検出される位置まで前進し、この前端を検出した前部センサ20からの信号が制御部9に入力することにより、制御部9は駆動モータ12の正駆動を停止させ、自走装置1を前進限位置で停止させる。
【0113】
これにより、制御部9は、後部センサ21とロータリエンコーダ126と前部センサ20とから入力した信号により、H型鋼Wの全長を演算する。この演算により判明した全長が正しい長さである場合には、言い換えると、前述のマーキング作業が行われたH型鋼Wが、このマーキング作業を行うべき本来の正しいH型鋼Wである場合には、制御部9は駆動モータ12を逆駆動させて自走装置1を後退させ、後部センサ21がH型鋼Wの後端を検出する後退限位置において、この後部センサ21からの信号が入力する制御部9が駆動モータ12の逆駆動を停止させることにより、自走装置1は後退限位置で停止する。
【0114】
このように自走装置1が後退するときには、それまでのドラム122からのワイヤー121の繰り出しにより、前述のぜんまいばね部120Bに配置されているぜんまいばね123は充分に巻き締められて大きな蓄圧力が蓄圧されているため、この蓄圧力により、ワイヤー121はドラム122に自動的に巻き取られる。そして、前述のマグネット140BでH型鋼Wに取り付けられていた連結部材140をこのH型鋼Wから取り外すことにより、連結部材140をこの付設体4の内部に収納することができる。
【0115】
また、自走装置1が上述の前進限位置で停止したときに制御部9で演算されたH型鋼Wの全長が誤りの長さである場合には、言い換えると、前述のマーキング作業が行われたH型鋼Wが、このマーキング作業を行うべきではない誤ったH型鋼Wである場合には、制御部9は、駆動モータ12を逆駆動させずに、自走装置1を上述の前進限位置で停止させたままとする。これにより、作業者は、マーキング作業が行われたH型鋼Wが、このマーキング作業を行うべきではない誤ったH型鋼Wであることを認識できることになる。なお、このような場合において、図1で示した表示画面5にそのメッセージを表示するようにしてもよい。
【0116】
また、前部センサ20がH型鋼Wの前端を検出することで制御部9が駆動モータ12の正駆動を停止させ、自走装置1の前進を停止させることにより、自走装置1が暴走してH型鋼Wの前端から落下することを防止できることになる。
【0117】
以上説明した本実施形態によると、自走装置1は、H型鋼Wの長さ方向に自走しかつマーキング作業を行うべき位置で停止するものとなっており、また、この自走装置1は、停止時において、H型鋼Wに直線状のマークMをこのH型鋼Wの幅方向につけるためのマーキング装置50を備えているため、H型鋼Wに直線状のマークMをH型鋼Wの幅方向につける作業を効率的に行えることになり、作業性を向上させることができる。
【0118】
また、マーキング装置50のマーキング部材58によって行われるマーキング作業は、往復動部材となっているベルト54の下段54Aの往動時と復動時の両方において行われ、このため、往動時にのみ又は復動時にのみにマーキング作業を行う場合と比較して、この点でもマーキング作業を効率的に行えることになる。
【0119】
さらに、マーキング部材58を保持している保持手段59は、ベルト54の下段54Aに配置されているとともに、この下段54Aの往復動の方向に対して傾動自在となっており、また、保持手段59は、図12及び図13に示されているように、H型鋼Wに直線状のマークMをつけるための移動中のマーキング部材58とH型鋼Wとがなす角度を鋭角とするために、H型鋼Wに対する傾き方向が前述の往動時と前述の復動時とで変換可能となっているため、マーキング部材58の往動時においても、また、マーキング部材58の復動時において、このマーキング部材58とH型鋼Wとがなす角度を鋭角にしてマーキング作業を行えることになる。このため、マーキング部材58の姿勢をH型鋼Wに対して直角(鉛直姿勢)にしてマーキング作業を行った場合に生ずるマーキング部材58の下端58Aの破損等の問題をなくすことができる。
【0120】
また、本実施形態に係る自走装置1には、ベルト54の下段54Aの往復動による保持手段59の一方の折り返し箇所において、保持手段59によるマーキング部材58の保持を固定保持から緩和保持に切り替えるための切替部材90と、この切替部材90の切り替え作用により自重で落下したマーキング部材58を下で受けることにより、H型鋼WにマークMをつけることで消耗しているマーキング部材58の保持手段59からの下方突出量をこの消耗量分だけ伸長させるためのマーキング部材受け部材91と、が配置されているため、H型鋼Wに直線状のマークMをつけるマーキング作業中において、保持手段59が上述の一方の折り返し箇所に達するごとに、マーキング部材58の保持手段59からの下方突出量をこの消耗量分だけ自動的に補充した状態にすることができ、これにより、全部のマーキング作業を確実に実施できる。
【0121】
また、本実施形態に係る自走装置1には、ベルト54の下段54Aの往復動による保持手段59の他方の折り返し箇所において、マーキング部材58の消耗量が、このマーキング部材58を交換すべき一定量を超えたか否かを検出するための検出手段100が配置されているため、保持手段59が上述の他方の折り返し箇所に達するごとに、マーキング部材58の消耗量を、このマーキング部材58を交換すべき一定量を超えているか否かを検出できる。
【0122】
そして、マーキング部材58の消耗量が、このマーキング部材58を交換すべき一定量を超えているときには、保持手段59が前述のセンサ111で検出されても、検出手段100の電気スイッチ103はオフの状態を維持するため、センサ111からの信号と電気スイッチ103からの信号とが入力する制御部9は、保持手段59が上述の切替部材90とマーキング部材受け部材91とが配設されている上述の一方の折り返し箇所に達したときに、この保持手段59を検出した前述のセンサ110からの検出信号がこの制御部9に入力することにより、電動モータ13の正駆動を停止させて、保持手段59の往動を停止させる。この後、作業者が、受け部材91を図16の実線で示す位置から二点鎖線で示す位置へ回動させることにより、上述の切替部材90により緩和保持に切り替えられている保持手段59からマーキング部材58の全体を自重で落下させることができる。
【0123】
この後に、作業者が、受け部材91を図16の二点鎖線で示す位置から実線で示す位置へ回動復帰させてから、保持手段59に新しいマーキング部材58を保持させることにより、マーキング部材58の交換作業を完了することができ、次いで、図1の操作部6に設けられているマーキング作業を再開させるための操作部材を操作することにより、この操作部材からの信号が入力する制御部9の駆動制御によって電動モータ13が逆駆動を開始し、これにより、保持手段59による新しいマーキング部材58の保持は固定保持になるとともに、このマーキング部材58によりH型鋼Wに直線状のマークMをつける作業を再開させることができる。
【0124】
なお、検出手段100で検出されたマーキング部材58の消耗量が、このマーキング部材58を交換すべき一定量を超えているときに、自走装置1に上述の作動を行わせず、これに代わって、駆動モータ12の正駆動及び停止と、電動モータ13の逆駆動及び正駆動とを継続させることにより、H型鋼Wに全部のマークMをつける作業を自走装置1に行わせるようにしてもよい。そして、このようにした場合には、前述したように、後部センサ21がH型鋼Wの後端を検出する後退限位置まで自走装置1が戻ってこの後退限位置で停止したときに、前述の表示画面5に表示されているマーキング部材を交換すべきとのメッセージを作業者が確認し、これにより、作業者による操作部6の操作で制御部9が電動モータ13を駆動制御することにより、保持手段59が上述の切替部材90とマーキング部材受け部材91とが配設されている上述の一方の折り返し箇所に達し、これにより、作業者がマーキング部材の交換作業を行うようにしてもよい。
【0125】
また、本実施形態によると、自走装置1の走行距離を測定するための走行距離測定手段120は、ドラム122からのワイヤー121の繰り出し量によりこの走行距離を測定するものになっているため、この走行距離測定手段を、自走装置1の駆動輪10や従動輪14の回転数をロータリエンコーダで検出することで走行距離を測定するようにした場合と異なり、H型鋼Wの表面に黒皮があったり錆が生じていても、また、H型鋼Wの表面に粉塵が付着していても、これらに影響されることなく、正確に自走装置1の走行距離を測定することができる。
【0126】
図26は、直線状のマークMをつけるべき箇所が、H型鋼Wの後端WCから自走装置1の前後寸法に相当する距離までのなかに存在する場合において、このようなマークMをつける作業を行えるようにした自走装置1の実施形態を示している。この実施形態における自走装置1のH型鋼Wへの載置セットは、この自走装置1の向きを前後逆にし、自走装置1に配置されている前部センサ20の位置をH型鋼Wの後端WCから少し前方の位置となるようにして行う。また、自走装置1から延びているワイヤー121の後端に設けられている連結部材140は、図27に示されているように、マグネット104BをH型鋼Wの上側フランジ部WBの上面に吸着させることにより、このH型鋼Wに取り付ける。このときのワイヤー121は、マグネット140Bを避けて連結部材140とH型鋼Wとの間に通すことにする。
【0127】
以上のように自走装置1及び連結部材140をH型鋼Wにセットした後に、前述した実施形態と同様に、自走装置1をH型鋼Wの後端側へ走行させ、この後に、自走装置1をH型鋼Wの前端側へ、すなわち、連結部材140側へ走行させる。自走装置1が連結部材140側へ走行すると、ワイヤー121を巻き取るドラム122の回転数が前述のロータリエンコーダ126で検出されるため、このロータリエンコーダ126からの信号と、H型鋼Wの後端WCを検出する前部センサ20からの信号とが入力する制御部9により、H型鋼Wの後端WCからの自走装置1の走行距離が演算され、これにより、前述した実施形態と同様の作業により、H型鋼Wの後端WCから自走装置1の前後寸法に相当する距離までのなかにも、H型鋼Wに直線状のマークMをつける作業を行えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、H型鋼や溝型鋼等の建材を含む各種の作業対象物に直線状のマークをつけるマーキング作業を行うために利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 マーキング作業用自走装置
50 マーキング装置
54 往復動部材であるベルト
55 往復動手段
58 マーキング部材
59 マーキング部材保持手段
65 支持部材
67 軸
80 戻し付勢部材であるコイルばね
90 切替部材
91 マーキング部材受け部材
100 検出手段
120 走行距離測定手段
W マーキング作業対象物であるH型鋼W
M 直線状のマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27