特許第5864276号(P5864276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864276
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】ナノ微細構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20160204BHJP
   C30B 29/66 20060101ALI20160204BHJP
   C30B 33/10 20060101ALI20160204BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20160204BHJP
   H01L 33/22 20100101ALI20160204BHJP
【FI】
   H01L21/306 Z
   C30B29/66
   C30B33/10
   B82Y40/00
   H01L33/00 172
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-2870(P2012-2870)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-143469(P2013-143469A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】507146463
【氏名又は名称】和椿科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】李 昇儒
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−103736(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/023567(WO,A2)
【文献】 特開2007−273746(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/114503(WO,A1)
【文献】 特開2011−258947(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0294298(US,A1)
【文献】 特開2005−103736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
B82Y 40/00
C30B 29/66
C30B 33/10
H01L 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を用意する工程と、
前記基板に複数のナノ球を形成する工程と、
前記基板及び各前記ナノ球間に被エッチング膜を形成する工程と、
各前記ナノ球を除去する工程と、
前記被エッチング膜にレジスト層を形成する工程と、
湿式エッチングを行って前記被エッチング膜及びその下の基板材料の一部を除去することで、前記基板の表面に複数のバンプを形成する工程と、
前記レジスト層を除去し、各前記バンプを露出させる工程と、
を含むナノ微細構造の製造方法。
【請求項2】
前記基板が、酸化アルミニウム(Al23)基板又はシリコン基板であることを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項3】
前記被エッチング膜が、金属酸化物又は金属窒化物であることを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項4】
前記被エッチング膜が、窒素、リン及びホウ素からなる群から選ばれた一種又は複数種のドーパントをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項5】
前記レジスト層が、金属酸化物又は金属窒化物であることを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項6】
前記レジスト層が、酸化シリコンであることを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項7】
前記レジスト層の材料が、前記被エッチング膜とは異なることを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項8】
前記バンプの高さと幅の比の範囲が、0.25〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項9】
前記バンプが、結晶格子面を有することを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【請求項10】
前記湿式エッチングを行う前に、予め焼結工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のナノ微細構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ微細構造の製造方法、特にナノ球を利用してナノ微細構造を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、体積が小さく、質量が軽く、発光効率が高いなどの利点を有するため、現在では照明やメッセージ表示の用途に広く使用されている。しかしながら、前記発光ダイオードの発光素子がキャリアとの結合により発射する光は放射状に散乱して、光源を集中させ発射することができないため、光源の均一化、最適化デザイン及び処理方式の技術が非常に重要となっている。現在の業界では、パターン化基板を使用することにより、エピタキシーの欠陥を低減する効果と光取出を向上させる効果を得ているが、エピタキシャル構造の良し悪しは製造工程の歩留及び半導体発光ダイオードの効能に影響を及ぼしている。
【0003】
図1A図1Fは、従来のナノ微細構造の製造方法を示す図である。図1Aに示すように、基板10を用意し、真空環境下で前記基板10に酸化シリコン層11を形成する。図1Bに示すように、前記基板10及び酸化シリコン層11にフォトレジスト層12を塗布し、フォトリソグラフィ工程を行って、前記フォトレジスト層12に複数のパターニングされた開孔120を形成することにより、前記酸化シリコン層11の表面を各前記開孔120に露出させる。図1Cに示すように、各前記開孔120における酸化シリコン層11をエッチングして除去することにより、前記基板10の表面を各前記開孔120に露出させる。図1Dに示すように、前記フォトレジスト層12を除去する。図1Eに示すように、湿式エッチングを行って、前記基板10に露出した材料を部分的に除去することにより、前記基板10に複数の凹溝100を形成する。図1F及び図1Gに示すように、前記酸化シリコン層11を除去することにより、ナノ微細構造1を製造する。
【0004】
あるいは、図1E'に示すように、湿式エッチングを行って、前記基板10に露出した材料を部分的に除去することにより、前記基板10に複数の凹み100'を形成する。図1F'及び図1G'に示すように、前記酸化シリコン層11を除去することにより、ナノ微細構造1を製造する。こうした先行技術は、例えば、非特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】林瑞明、Effect of wet-etched patterned sapphire substrate applied in nitride-based LEDs、長庚大学、修士論文、2009年7月。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただし、上記の従来の製造方法では、真空条件で操作し且つフォトリソグラフィ工程を採用する必要があるため、製造工程が繁雑であり、設備や工場の投資コストが高いという問題があった。
【0007】
従って、新たなナノ微細構造の製造方法を開発することは現在極めて重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような従来技術の種々の不具合に鑑み、本発明は、基板を用意する工程と、前記基板に複数のナノ球を形成する工程と、前記基板及び各前記ナノ球間に被エッチング膜を形成する工程と、各前記ナノ球を除去する工程と、前記被エッチング膜にレジスト層を形成する工程と、湿式エッチングを行って前記被エッチング膜及びその下の基板材料の一部を除去することで、前記基板の表面に複数のバンプを形成する工程と、前記レジスト層を除去し各前記バンプを露出させる工程と、を含むナノ微細構造の製造方法を提供する。
【0009】
前記の製造方法において、前記基板は、酸化アルミニウム(Al23)基板又はシリコン基板である。
【0010】
前記の製造方法において、前記被エッチング膜は、金属酸化物又は金属窒化物であり、例えば、酸化アルミニウムである。
【0011】
前記の製造方法において、前記レジスト層は、金属酸化物又は金属窒化物であり、前記レジスト層の材料は前記被エッチング膜とは異なる。
【0012】
前記の製造方法において、前記バンプの高さと幅の比の範囲は、0.25〜0.5であり、前記バンプは結晶格子面を有する。
【0013】
前記の製造方法には、湿式エッチングを行う前に、予め焼結工程を行うことを含む。
【発明の効果】
【0014】
上記のように、本発明は真空工程とフォトリソグラフィ工程を必要としないため、製造工程を簡素化できるだけでなく、製造コストも大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a】1Aは、従来のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図1b】1Bは、従来のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図1c】1Cは、従来のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図1d】1Dは、従来のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図1e】1Eは、従来のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。1E'1Eの他の実施例を示す図である。
図1f】1Fは、従来のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。1F'は1Fの他の実施例を示す図である。
図1g】1Gは、1Fの部分的な立体模式図である。1G'は、1F'の部分的な俯瞰模式図である。
図2a】2Aは、本発明のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図2b】2Bは、本発明のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図2c】2Cは、本発明のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図2d】2Dは、本発明のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図2e】2Eは、本発明のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図2f】2Fは、本発明のナノ微細構造の製造方法の断面模式図である。
図2g】2Gは、2Fの部分的な俯瞰模式図である。2G'は、2Gの他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、特定の具体的な実施例により本発明の実施形態を説明する。本技術分野に習熟した者は、本願明細書に開示された内容によって簡単に本発明の利点や効果を理解することができる。
【0017】
ただし、本願明細書に添付された図面に示された構造、比率、サイズなどは、本願明細書の開示内容と合わせることで、本技術分野に習熟した者による理解と閲覧に資するようにするためのものであって、本発明の実施可能な条件を限定するものではないため、技術上の実質的な意味を有するものではなく、任意の構造の修正、比率関係の変化やサイズの調整は、本発明の効果と目的に影響を及ぼさない範囲内において、いずれも本発明で開示された技術的範囲に入るものである。なお、本願の明細書に引用された「上、下」、「前、後」、「底部」、及び「表面」などの用語は、いずれも説明内容を明確化するためのものであり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではないため、それらの対応関係の変更や調整は、実質的に技術内容を変更するものでない以上は、本発明の実施可能な範囲に該当するものとして理解すべきである。
【0018】
図2A図2Fは、本発明のナノ微細構造の製造方法を示す図であり、特に発光ダイオードエピタキシャル基板におけるナノ微細構造の製造に適用される。
【0019】
図2Aに示すように、基板20を用意し、前記基板20に複数のナノ球21を形成する。前記ナノ球は公知のマイクロエマルション重合により得られるものであって、例えば、ポリスチレン球であってよい。前記基板20は酸化アルミニウム(Al23)基板又はシリコン基板であってよい。
【0020】
図2Bに示すように、前記基板20及び各前記ナノ球21間に(即ち、ナノ球21が設けられた基板20上に)被エッチング膜22を形成する。また、前記被エッチング膜22は金属酸化物又は金属窒化物であり、例えば、シリコン、亜鉛、アルミニウム、クロム、チタン、インジウム、鉛、スズ、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、バナジウム、マグネシウム、タングステンなどの酸化物又は窒化物が挙げられ、本実施例では酸化アルミニウムである。さらに具体的には、前記被エッチング膜は、酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化マグネシウム、酸化タングステン、チタン酸ジルコニウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムからなる群から選ばれた一種又は複数種を含む。また、前記被エッチング膜は、窒素、リン及びホウ素からなる群から選ばれた一種又は複数種のドーパント(dopant)をさらに含んでもよい。
【0021】
図2Cに示すように、各前記ナノ球21を除去する。また、形成された被エッチング膜22がナノ球21を覆っている場合、ナノ球21を除去する時に上部の被エッチング膜22aも併せて除去する。
【0022】
図2Dに示すように、前記被エッチング膜22にレジスト層23を形成する。前記レジスト層23を形成する材料は金属酸化物又は金属窒化物であり、例えば、シリコン、亜鉛、アルミニウム、クロム、チタン、インジウム、鉛、スズ、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、バナジウム、マグネシウム、タングステンなどの酸化物又は窒化物が挙げられ、具体的には、前記レジスト層23は、酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化マグネシウム、酸化タングステン、チタン酸ジルコニウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムからなる群から選ばれた一種又は複数種を含む。また、前記被エッチング膜は、窒素、リン及びホウ素からなる群から選ばれた一種又は複数種のドーパントをさらに含んでもよい。なお、前記レジスト層23を形成する材料は前記被エッチング膜22とは異なり、本実施例では、前記レジスト層23を形成する材料は酸化シリコンである。
【0023】
図2Eに示すように、湿式エッチングを行って前記被エッチング膜22及びその下の部分の基板20の材料の一部を除去することにより、前記基板20の表面に結晶格子面200aを有する複数のバンプ200を形成する。より詳しくは、前記レジスト層23と基板20とが接する部位、即ち、元の各前記ナノ球21の底部について、エッチングを行う時に、被エッチング膜22のエッチングされる特性により、下方向へ基板20の一部をエッチングすることで、前記レジスト層23と基板20とが接する部位(必ずしも実質的に接続するとは限らない)が前記バンプ200の頂点となり、また、前記レジスト層23の材料が多孔性材料であるため、エッチング工程において依然として微小程度のエッチングが生じ、同時に、多孔性浸透エッチング液とレジスト層23の厚さにより下方の基板20のバンプ200を形成する。なお、湿式エッチングを行う前に、前記レジスト層23を強化するために、予め焼結工程を行ってもよい。
【0024】
図2Fに示すように、前記レジスト層23を除去し、各前記バンプ200を露出させることにより、本発明のナノ微細構造2が得られる。前記バンプ200の高さhと幅wの比の範囲は、約0.25〜0.5である。
【0025】
図2G及び図2G'に示すように、異なる基板20の材料で、異なる形状のバンプ200を形成する。図2Gに示されるように、基板20を形成する材料が酸化アルミニウム(Al23)である場合、バンプ200の形状は三面体の結晶格子になる。図2G'に示すように、基板20'を形成する材料がシリコンである場合、バンプ200'の形状は四面体の結晶格子になる。
【0026】
上記のように、本発明の方法は、真空条件で行う必要もフォトリソグラフィ工程を利用する必要もないため、製造工程を簡素化できるだけでなく、製造コストも大幅に削減することができる。
【0027】
上記の実施例は、本発明の原理とその効果を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本技術分野に習熟した者は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記の実施例に修正を施すことができる。従って、本発明の主張する権利範囲は、特許請求の範囲に記載されるとおりである。
【符号の説明】
【0028】
1、2…ナノ微細構造
10、20、20'…基板
11…酸化シリコン層
12…フォトレジスト層
21…ナノ球
22…被エッチング膜
22a…上部のエッチング膜
23…レジスト層
100…凹溝
100' …凹み
120…開孔
200、200' …バンプ
200a…結晶格子面
h…高さ
w…幅
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g