特許第5864293号(P5864293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864293
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】集光式太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/22 20140101AFI20160204BHJP
【FI】
   H02S40/22
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-24350(P2012-24350)
(22)【出願日】2012年2月7日
(65)【公開番号】特開2013-162038(P2013-162038A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】395006672
【氏名又は名称】株式会社イケハタ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(74)【代理人】
【識別番号】100097250
【弁理士】
【氏名又は名称】石戸 久子
(72)【発明者】
【氏名】池端 高道
【審査官】 清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−013848(JP,A)
【文献】 特開平11−354824(JP,A)
【文献】 特開2009−164375(JP,A)
【文献】 特開平01−187880(JP,A)
【文献】 特開2001−298209(JP,A)
【文献】 特開2004−067468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00 − 10/40
H02S 30/00 − 30/20
H02S 40/00 − 40/44
H02S 99/00
H01L 31/042 − 31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルに隣接して配置され、反射光を照射する反射パネルと、
前記太陽電池パネルおよび前記反射パネルに対向し且つ前記太陽電池パネルに直達光が到達するように互いに離間して配置され、前記反射パネルが照射する反射光を反射して前記太陽電池パネルに照射する複数の反射鏡と、
現在の日時に対応する日時データに応じて前記反射パネルを制御する制御手段と、
を備え、
前記反射パネルは、その反射面の面積が可変となっており、前記制御手段は、日時データに応じて反射面の面積を変化させるように反射パネルを制御することを特徴とする集光式太陽光発電システム。
【請求項2】
前記反射パネルは、複数の反射面要素からなり、複数の反射面要素が相対移動可能となっていることを特徴とする請求項1記載の集光式太陽光発電システム。
【請求項3】
太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルに隣接して配置され、反射光を照射する反射パネルと、
前記太陽電池パネルおよび前記反射パネルに対向し且つ前記太陽電池パネルに直達光が到達するように互いに離間して配置され、前記反射パネルが照射する反射光を反射して前記太陽電池パネルに照射する複数の反射鏡と、
現在の日時に対応する日時データに関連して、前記反射パネルを制御する制御手段と、を備え、
前記反射パネルは、その反射面の反射率が可変となっており、前記制御手段は、日時データに応じて反射面の反射率を変化させるように反射パネルを制御することを特徴とする集光式太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光による発電において、太陽光を集めて効率化を図ることのできる集光式太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境を汚染することのないクリーンなエネルギーとして太陽光発電が見直されている。かかる太陽光発電は、太陽電池をアレイ化した太陽電池パネルを屋根の上や地面に取り付けて発電を行うものが一般的である。
【0003】
従来、より効率化を図るために、太陽光を受光する太陽電池や反射板の角度を調整することが種々、提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、太陽電池パネルと、時刻情報及び日付情報を含む標準電波信号を受信して時刻を計時し、日付を設定する時計手段と、太陽電池パネルを仰角方向に回動させる駆動手段と、駆動手段を制御する制御手段と、を備えており、制御手段は、時刻情報に基づいて、駆動手段によって太陽電池パネルの角度を変化させ、これによって、太陽電池パネルが季節及び時間によらずに、太陽を追尾するように制御することを提案している。
【0005】
また、特許文献2では、薄曇りや曇天時といった天候状態が悪いときにでも高い集光能力が得られるようにするために、太陽光追尾装置の追尾架台に太陽電池アレイを配置し、太陽電池アレイの周囲近傍に凹面鏡を配置し、この凹面鏡の焦点位置近傍に反射鏡を配置し、凹面鏡からの反射光を反射鏡で太陽電池アレイに照射することを提案している。
【0006】
また、特許文献3では、太陽の移動に追従して回転するターンテーブルと、ターンテーブルに支持される凹面鏡と、凹面鏡に対向して配置される太陽電池と、を備えており、凹面鏡を用いて太陽光を太陽電池に集めることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−202817号公報
【特許文献2】特開2000−227573号公報
【特許文献3】特開2000−243983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる従来の集光システムにおいては、凹面鏡は、太陽の移動に追従して移動可能となっているものの、それ自身の形状または構造は固定である。
【0009】
そのため、季節の変化や太陽電池の取り付けられる地理上の位置に対して必ずしも最適化されていない、という問題がある。
【0010】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みなされたもので、季節の変化や地理上の位置に対して最適化することができる集光式太陽光発電システムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明の一態様は、
太陽電池パネルと、
太陽電池パネルに対して反射光を照射する反射パネルと、
現在の日時に対応する日時データに応じて前記反射パネルを制御する制御手段と、
を備えた集光式太陽光発電システムであって、
前記反射パネルは、その反射面の面積が可変となっており、前記制御手段は、日時データに応じて反射面の面積を変化させるように反射パネルを制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様
記反射パネル、複数の反射面要素からなり、複数の反射面要素が相対移動可能となっていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、
太陽電池パネルと、
太陽電池パネルに対して反射光を照射する反射パネルと、
現在の日時に対応する日時データに関連して、前記反射パネルを制御する制御手段と、を備えた集光式太陽光発電システムであって、
前記反射パネルは、その反射面の反射率が可変となっており、前記制御手段は、日時データに応じて反射面の反射率を変化させるように反射パネルを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、反射パネルの反射面の面積または反射率が可変となっているために、太陽光の光密度が高い場合には、反射面または反射率を小さくし、太陽光の光密度が低い場合には、反射面または反射率を大きくすることで、季節の変化や地理上の位置等に拘らず、一定の発電能力を発揮させることができ、システムを最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態による集光式太陽光発電システムの全体図である。
図2図1のシステムの作用を表す図であり、(a)は太陽の光密度が高い状態のとき、(b)は太陽の光密度が低い状態のときを表す。
図3】本発明の第2の実施形態による集光式太陽光発電システムの全体図である。
図4図3のシステムの作用を表す図であり、(a)は太陽の光密度が高い状態のとき、(b)は太陽の光密度が低い状態のときを表す。
図5】本発明の第3の実施形態による集光式太陽光発電システムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態による集光式太陽光発電システムを表す図である。図において、集光式太陽光発電システム10は、多数の太陽電池がアレイ状に配置されて形成された太陽電池パネル12と、太陽電池パネル12と対向して配置された反射パネル14と、太陽電池パネル12と反射パネル14とが搭載されて支持された追尾装置16と、制御装置18と、を備える。
【0018】
反射パネル14は、反射面142を構成する複数の反射面要素144、146、148と、駆動装置150とを備えている。反射面142は、湾曲した鏡面からなり、その焦点付近に太陽電池パネル12が位置づけられるようにして、太陽電池パネル12と対向している。
【0019】
反射面要素144は追尾装置16のフレームに固定されており、反射面要素146と反射面要素148とは、反射面要素144に対して相対移動可能となっている。即ち、反射面要素146、148は、反射面要素144に対して少なくとも一部が重なり合うことができ、重なり合いが最も多くなった縮合状態(図2(a)と、重なり合いが最も少なくなった展開状態(図2(b))との間で摺動可能となっている。駆動装置150は、モータ、シリンダ等のアクチュエータ、アクチュエータを駆動するための電気または流体圧駆動回路、アクチュエータの駆動力を伝達する伝達機構等を含み、反射面要素146、148に作用して、これらを反射面要素144に沿って移動させることができるようになっている。
【0020】
追尾装置16は、方位方向と仰角方向の2軸で回動可能となったジンバル機構162と、各軸をそれぞれ回動するためのモータ等の駆動部164、166と、を備える。
【0021】
制御装置18は、集光式太陽光放電システム10が設置された地理上の位置(緯度、経度)、その地理上の位置における日時データ(年月日と時刻を含む)と太陽の仰角(高度)と方位角の太陽方向情報との関係を格納しており、これらの情報に基づいて、現在の日時データに対応する太陽方向情報から追尾装置16がとるべき仰角及び方位角を演算し、駆動部164、166に制御信号を送出してこれらを制御するものである。さらに、制御装置18は、後述のように、地理上の位置、現在の日時に対応する日時データと太陽の仰角(高度)に応じて、駆動装置150に制御信号を送出して制御するものである。
【0022】
以上のように構成される集光式太陽光発電システム10においては、制御装置18が、基本的に反射面142が直達光を受けるように、現在の日時データに応じて追尾装置16を制御する。この制御は、連続的にまたは一定間隔毎に行ってもよい。
【0023】
また、制御装置18が、現在の日時データと、太陽の高度に応じて、適切な反射面要素146、148の位置を演算する。
【0024】
例えば、現日時が夏季若しくは日中であり、または地理上の位置の緯度が南中高度の高い位置であり、太陽光の光密度の高い場合には、制御装置18は、駆動装置150を介して、反射面要素146、148と反射面要素144とが縮合するようにして、反射面142の面積を小さくなるように制御する(図2(a))。これによって、反射面142で反射して太陽電池パネル12へ入射する光量を制限して、太陽電池パネル12の過熱、効率低下等を防ぐようにする。
【0025】
一方、現日時が冬季若しくは日出、日没時であり、または地理上位置の緯度が南中高度の低い位置であり、太陽光の光密度が低い場合には、制御装置18は、駆動装置150を介して、反射面要素146、148を反射面要素144に対して展開させて、反射面142の面積を大きくなるように制御する(図2(b))。これによって、反射面142で反射して太陽電池パネル12へ入射する光量を増加させて、太陽電池パネル12の発電効率を高めるようにする。
【0026】
こうして、季節、日時、地理上の位置等に拘らず、集光式太陽光発電システム10は常に最適化された状態で、発電を行うことができるようになる。
【0027】
尚、制御装置18では、日時、地理上の位置に対応する反射面要素146、148の位置を予めテーブルにして格納しておくこともできる。
【0028】
図3は、第2の実施形態による集光式太陽光発電システムを表す図である。図において、第1の実施形態と同一・同様の部材は同一の符号を付してその詳細説明を省略する。
【0029】
集光式太陽光発電システム20は、太陽電池がアレイ状に配置されて形成された太陽電池パネル22と、太陽電池パネル22の近傍に配置された反射パネル24と、太陽電池パネル22及び反射パネル24に対向するように配置された反射鏡25と、太陽電池パネル22と反射パネル24とが搭載された追尾装置16と、制御装置18と、を備える。
【0030】
反射パネル24は、反射面242を構成する複数の反射面要素244、245、246、248と、駆動装置150とを備えている。反射面242は、湾曲した鏡面からなり、太陽電池パネル22の周囲に並ぶようにして配置される。
【0031】
反射面要素244、245は追尾装置16のフレームに固定されており、反射面要素246、248は、反射面要素244、245に対してそれぞれ相対移動可能となっている。即ち、反射面要素246、248は、反射面要素244に対して少なくとも一部が重なり合うことができ、重なり合いが最も多くなった縮合状態(図4(a)と、重なり合いが最も少なくなった展開状態(図4(b))との間で摺動可能となっている。駆動装置150は、反射面要素246、248に作用して、これらを反射面要素244、245に沿って移動させることができるようになっている。
【0032】
反射鏡25は、反射面242で反射した光を太陽電池パネル22に反射するように、反射面242及び太陽電池パネル22に対向して位置づけられる。
【0033】
以上のように構成される集光式太陽光発電システム20においては、制御装置18が、基本的に太陽電池パネル22と反射面242とが直達光を受けるように、現在の日時データに応じて追尾装置16を制御する。この制御は、連続的にまたは一定間隔毎に行ってもよい。よって、太陽電池パネル22には、直達光と、反射面242と反射鏡25を反射した反射光とが、到達するようになっている。そして、反射光に関して、第1の実施形態と同様に、制御装置18が駆動装置150を介して、現日時及び地理上の位置に対応して反射面要素246、248の位置決めを行うために、季節、日時、地理上の位置等に拘らず、集光式太陽光発電システム20は常に最適化された状態で、発電を行うことができるようになる。
【0034】
次に、図5は、第3の実施形態による集光式太陽光発電システムを表す図である。図において、第1の実施形態と同一・同様の部材は同一の符号を付してその詳細説明を省略する。
【0035】
集光式太陽光発電システム30は、太陽電池がアレイ状に配置されて形成された太陽電池パネル32と、太陽電池パネル32と対向して配置された反射パネル34と、太陽電池パネル32と反射パネル34とが搭載された追尾装置16と、制御装置18と、を備える。
【0036】
反射パネル34は、反射面342と、反射率調整回路344とを備えている。反射面342は、湾曲した鏡面からなり、その焦点付近に太陽電池パネル32が位置づけられるようにして、太陽電池パネル32と対向している。また、反射面342は反射率が可変となっており、電流または電圧の印加により可逆的に透過率の変化する調光材料を用いたエレクトロクロミック素子等を用いることができ、反射率調整回路344は、反射面342への電流または電圧の印加を調整することができるようになっている。
【0037】
以上のように構成される集光式太陽光発電システム30においては、制御装置18が、日時データと、太陽の高度に応じて、適切な反射面の反射率を演算する。
【0038】
例えば、現日時が夏季若しくは日中であり、または地理上の位置の緯度が南中高度の高い位置であり、太陽光の光密度の高い場合には、制御装置18は、反射率調整回路344を介して、反射面342の反射率が低くなるように制御する。これによって、反射面342で反射して太陽電池パネル12へ入射する光量を制限して、太陽電池パネル32の過熱、効率低下等を防ぐようにする。
【0039】
一方、現日時が冬季若しくは日出、日没時であり、または地理上位置の緯度が南中高度の低い位置であり、太陽光の光密度が低い場合には、制御装置18は、反射率調整回路344を介して反射面342の反射率が高くなるように制御する。これによって、反射面342で反射して太陽電池パネル32へ入射する光量を増加させて、太陽電池パネル32の発電効率を高めるようにする。
【0040】
こうして、季節、日時、地理上の位置等に拘らず、集光式太陽光発電システム30は常に最適化された状態で、発電を行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0041】
10、20、30 集光式太陽光発電システム
12、22、32 太陽電池パネル
14、24、34 反射パネル
18 制御装置
142、242、342 反射面
144、146、148 反射面要素
244、245、246、248 反射面要素
図1
図2
図3
図4
図5