特許第5864295号(P5864295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864295
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】複合アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/06 20060101AFI20160204BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20160204BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20160204BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20160204BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20160204BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   H01Q7/06
   H01Q21/28
   H01Q1/40
   G06K19/07
   G06K19/077
   H04B5/02
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-26937(P2012-26937)
(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公開番号】特開2013-165368(P2013-165368A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003089
【氏名又は名称】東光株式会社
(72)【発明者】
【氏名】尾形 修一
【審査官】 岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/088560(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/129347(WO,A1)
【文献】 特開2008−042761(JP,A)
【文献】 特開2005−124013(JP,A)
【文献】 特開2008−060634(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0160449(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−1/10
H01Q 1/27−11/20
H01Q 21/00−25/04
G06K 19/00−19/18
H04B 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアに第1の巻線と第2の巻線とが直交するように巻回され、前記コアの外周に前記第1と第2の巻線と直交する第3の巻線が巻回された3軸アンテナと、
前記コアの上面に、第4の巻線が巻回された樹脂製のボビンが配置されていることを特徴とする複合アンテナ。
【請求項2】
前記コアの下面に、樹脂製のベースに金属端子の一部を埋設したベースが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合アンテナ。
【請求項3】
前記複合アンテナは、外装を樹脂に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の複合アンテナ。
【請求項4】
前記コアは、偏平な柱状のコアからなり、
前記コアの上面と下面を通る外周に、前記コアの上面と底面の中心で交差する第1の溝と第2の溝と、
前記コアの側面外周に第3の溝が設けられ、
前記第1の溝に第1の巻線が施され、
前記第2の溝に第2の巻線が施され、
前記第3の溝に第3の巻線が施されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の複合アンテナ。
【請求項5】
前記コアは、2本の棒状のコアが直交する十字状のコアからなり、
それぞれの棒状コアに巻回された前記第1の巻線と第2の巻線が施され、
前記コアの端部の外周に前記第3の巻線が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の複合アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の複合アンテナは、車両や住宅の施錠、解錠を行うキーレスエントリー装置に用いられるLF帯用の3軸アンテナと、RFID等のデータ通信に用いられるHF帯用のRFIDアンテナとを組み合わせた複合アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の施錠、解錠を行うキーレスエントリー装置は、周波数には例えば135KHzのLF帯が用いられ、アンテナには、3つのコイルの巻軸が直交するように組み合わせて配置して小型化した3軸アンテナが用いられている。図6(a)は従来の3軸アンテナの一実施例を示す斜視図である。
【0003】
図6(a)に示すように、3軸アンテナ100は、偏平な柱状をなすコアの外周に、コアの上面と底面の中心で直交する溝121a、121bと、コアの側面外周に溝121cとが設けられた3軸コア120と、溝121a、121b、121cにそれぞれ巻回された、コイル130a、130b、130cと、3軸コア120の下面に配置され、金属端子151がインサート成形された樹脂製のベース150とからなる。
【0004】
コイル121aはX軸方向に受信感度を有し、コイル121bはY軸方向に受信感度を有し、コイル121cはZ軸方向に受信感度を有するので、3軸アンテナ100は、全方位に受信感度を有する。また、3つのコイルの巻軸が直交するように単一のコアに巻回されているので、非常に小型である。例えば、3軸アンテナの大きさは、13.8mm×13.8mm×3.6mmである。
【0005】
一方、商品タグや電子マネーで用いられているRFID装置は、周波数には例えば13.56MHzのHF帯が用いられ、アンテナには、商品に貼付けたりまたはカードに適用可能な、プリントアンテナが用いられている。図6(b)は従来のRFIDアンテナの一実施例を示す斜視図である。
【0006】
図6(b)に示すように、RFIDアンテナ200は、基板210の外周に沿ってスパイラル状のコイルRFIDコイル230が形成されている。RFIDコイル230の内周には、受信した信号を処理するためのICチップが配置されている。
RFIDアンテナ200は、基板210の面方向に受信感度を有する。このようなRFIDアンテナは、非常に薄型である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−124013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した3軸アンテナを用いたキーレスエントリー装置と、RFIFアンテナを用いたRFID装置との2つの機能を有する装置を作ろうとした場合、3軸アンテナと、RFIDアンテナとでは周波数が大きく異なるため、それぞれの機能ごとに別のアンテナが必要であった。
しかし、RFIDアンテナは薄型である反面、専有面積が大きく、一方、3軸アンテナは厚みがある反面、小型であり、両者のアンテナを組み合わせた場合は、それぞれのアンテナのメリットを十分に活かすことができなかった。
【0009】
本発明の目的は、3軸アンテナとRFIDアンテナとの2つ機能を有し、専有面積が小さくて小型の複合アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の複合アンテナは、
コアに第1の巻線と第2の巻線とが直交するように巻回され、前記コアの外周に前記第1と第2の巻線と直交する第3の巻線が巻回された3軸アンテナと、
前記コアの上面に、第4の巻線が巻回された樹脂製のボビンが配置され、
前記コアの下面に、樹脂製のベースに金属端子の一部を埋設したベースが配置されていることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複合アンテナによれば、3軸アンテナと、RFIDアンテナとの2つの機能を有する複合アンテナの、RFID側のアンテナの専有面積を小さくすることにより、複合アンテナを小型化することができる。その結果、キーレスエントリー装置とRFID装置の2つの機能を有する装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の複合アンテナの一実施例の斜視図である。
図2図1の複合アンテナを詳しく説明するための図である。
図3図1の複合アンテナの等価回路図である。
図4図2の複合アンテナの結合係数K34を変化させた時の周波数特性を表すグラフである。
図5】本発明の複合アンテナの別の一実施例を示す斜視図である。
図6】従来の3軸アンテナと、RFIDアンテナの例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の複合アンテナの一実施例を説明する。図1は本発明の複合アンテナの一実施例を示す斜視図であり、図2(a)は図1の分解斜視図を示し、図2(b)は図1の3軸コアの斜視図を示す。
図1〜2に示すように、複合アンテナ10は、3軸アンテナ20と、3軸アンテナ20の上面に配置された空心コイル40と、3軸アンテナ20の下面に配置されたベース50とからなる。空芯コイル40は、RFIDアンテナとして機能する。
【0014】
3軸アンテナ20は、偏平な柱状をなすフェライトからなるコアの上面と下面を通る外周に、コアの上面と底面の中心で交差する溝20a、20bと、コアの側面外周に溝20cとが設けられた3軸コア21と、溝21a、21b、21cに、それぞれ巻回されたコイル30a、30b、30cとからなる。
【0015】
3軸コア21は、溝21aによるX巻軸と、溝21bによるY巻軸と、溝21cによるZ巻軸が形成され、コイル30aはX巻軸に巻回され、コイル30bはY巻軸に巻回され、コイル30cはZ巻軸に巻回されているので、3軸アンテナ20は全方位に受信感度を有する。
【0016】
なお、コイル30cは、コイル30a、30bと接触しないように3軸コア21の外周に巻回され、コイル30aとコイル30bとが接触しないように、X巻軸の厚さhは、Y巻軸の厚さhより薄くなっている。空心コイル40は、樹脂製の扁平なボビン41に巻回されている。ボビン41の直径と、3軸コア21の直径は略等しい。鍔面には、巻軸を貫通する孔42が設けられている。
【0017】
ベース50は、樹脂製で、金属端子の一部が樹脂に埋設するようにインサート成形されている。金属端子51の側面には、コイルの端部を絡げるための係止部52が設けられ、コイル30a、30b、30cの端末部と、空心コイル40の端末部とが、それぞれの係止部52に絡げられて電気的に接続される。なお、図2ではベース50は分離して図示しているが、組み立て時には、ベース50はリードフレームにより複数のベースが一連に接続されており、組み立て後にリードフレームから切り離される。
【0018】
ボビン41は、3軸アンテナ21の上面に配置され、孔41に接着剤を注入して固定される。ベース40はベース40の樹脂に接着剤が塗布され、3軸アンテナ21の下面に固定される。
複合アンテナ10は、耐振動性や、耐環境性能を向上させる目的で、さらに外装を樹脂に埋設されてもよい。
【0019】
上記した構成にすることにより、3軸コア21が空心コイル40のコアとして働き、空芯コイル40のQを大きくすることができ、複合アンテナを小型化するとともに、RFIDアンテナの受信感度が高い複合アンテナとすることができる。
空心コイル40は、3軸コア21の断面積が最も大きいZ軸方向のコイルと並行に配置するのが好適である。
【0020】
3軸コア21と空心コイル40の間の距離を近づけた方が、RFIDアンテナのQを大きくすることができる。しかし、近づけすぎると、コイル30cと空芯コイル40の結合が大きくなりすぎて、空心コイル40の共振周波数がずれるという問題が発生する。
【0021】
図3図1に示した複合アンテナと、共振コンデンサを含む等価回路図の一例である。
図3に示すように、コイル30a、30b、30cには共振コンデンサC1、C2、C3が並列に接続され、空芯コイル40には、共振コンデンサC4が並列に接続されている。
点線で囲まれた部分が3軸アンテナ20である。
コイル30aのインダクタンス値は、4700[μH]、
コイル30bのインダクタンス値は、4700[μH]、
コイル30cのインダクタンス値は、7200[μH]、
空芯コイル40のインダクタンス値は、1[μH]、
共振コンデンサC1の静電容量値は、370[μF]、
共振コンデンサC2の静電容量値は、360[μF]、
共振コンデンサC3の静電容量値は、238[μF]、
共振コンデンサC4の静電容量値は、150[pF]、
コイル30aとコイル30bとの間の結合係数K12は、0.2、
コイル30bとコイル30cとの間の結合係数K23は、0.2、
コイル30cとコイル30aとの間の結合係数K13は、0.2、
空芯コイル40とコイル30aとの間の結合係数K14は、0.2、
空芯コイル40とコイル30bとの間の結合係数K24は、0.2、
空芯コイル40とコイル30cとの間の結合係数K34は、0.3、
である。
【0022】
図4は、図3に示した複合アンテナの結合係数K34を変化させたときの周波数特性を表すグラフであり、横軸は周波数[MHz]、縦軸はインピーダンス[Ω]を示す。
3軸アンテナのコイル30a、30b、30cの共振周波数は125kHz、空心コイル40の共振周波数は13.56MHzである。
図において、80は、3軸アンテナ20のコイル30c(Z軸コイル)の周波数特性であり、81〜87は、結合係数K34を0.20、0,30、0.50、0.70、0.80、0.90、0.95にした場合の周波数特性を示す。コイル30a、30bの周波数特性は、コイル30cと略同じであるので省略している。
【0023】
図4より、結合係数kを大きくしていくと、空心コイル40の共振周波数がずれていくことがわかる。例えば、空芯コイル40をコイル30cと同じコアに設けられた溝に巻回した場合には、結合係数K34は1に近くなってしまい、空芯コイル40の共振周波数がRFIDで使用される共振周波数からずれるとともに、インピーダンスが低下し、RFIDアンテナの受信感度は低下する。
【0024】
空芯コイル40の共振周波数の変移を5%以内に収めるためには、空心コイル40とコイル30cとの間の結合係数K34を略0.3以下とするように、空心コイル40とコイル30cとの間を調整する。距離の調整のためには、例えば、ボビン41の鍔の厚さを調整すればよい。図1において、ボビン41の鍔の厚みは0.1mm程度である。
【0025】
図5は、本発明の複合アンテナの別の実施例を説明するための分解斜視図である。
図5に示すように、複合アンテナ11は、3軸アンテナ60と、3軸アンテナ60の上面に配置された空心コイル40と、3軸アンテナ22の下面に配置されたベース50とからなる。空心コイル40とベース50は、図1に示した実施例と同じであるので説明は省略する。
【0026】
図5に示すように、3軸アンテナ60は、2本の棒状のコアが直交する十字状コア61のそれぞれの棒状のコアに交差部を避けて巻回されたコイル61a、61bと、十字状コア61の端部の外周に配置されたコイル61cとからなる。
コイル61a、61b、61cは、ボビンを用いて巻回されてもよい。
このように、空芯コイル40と組み合わせる3軸アンテナは、偏平な柱状コアだけでなく、十字状コアを用いたものであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
10、11 複合アンテナ
20、60、100 3軸アンテナ
200 RFIDアンテナ
21、61、121 3軸コア
21a、21b、21c、121a、121b、121c 溝
30a、30b、30c、31a、31b、31c、121a、121b、121c、230 コイル
40 空心コイル
41 ボビン
50、150 ベース
51 金属端子
52 係止部
210 基板
220 ICチップ
C1、C2、C3、C4 共振コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6