(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の汚泥濃縮機は、重力ろ過部のろ過体上に障害物を設けることで搬送される汚泥を分離させ、その脱水効率を高めようとするものであるが、ろ過体上に単なる障害物を設けただけでは、汚泥の濃縮効率を大幅に向上させることは難しい。また、汚泥濃縮機の後段に設置される消化槽や脱水機での脱水効率を向上させるためには、汚泥濃縮機で汚泥をより高い濃度まで濃縮できることが好ましい。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を考慮してなされたものであり、汚泥を効率よく濃縮し、濃縮濃度を高めることができる汚泥濃縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る汚泥濃縮機は、ろ過体の上面で汚泥を搬送しながら重力ろ過する重力ろ過部を備えた汚泥濃縮機であって、前記重力ろ過部の汚泥投入位置より下流側に、前記ろ過体による汚泥の搬送方向と交差する方向に汚泥を移動させることにより、前記ろ過体上での汚泥の幅方向寸法を縮小する移動機構を備えたことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、ろ過体による汚泥の搬送方向と交差する方向に汚泥を移動させることにより、ろ過体上での汚泥の幅方向寸法を縮小する移動機構を備える。これにより、ろ過体上で搬送されつつ重力ろ過される汚泥は、その搬送方向と交差する方向に移動させられ、その幅方向寸法が縮小され、その高さを増加されて圧密されるため、汚泥を効率よく濃縮し、その濃縮濃度を高めることができる。
【0009】
前記移動機構は、前記ろ過体による汚泥の搬送方向と交差する方向に延びたスクリューを有し、該スクリューの回転によって汚泥を移動させる構成とすると、汚泥を円滑に移動させることができると共に、スクリューによる圧搾効果も加わるため、汚泥の濃縮濃度を一層高めることができる。
【0010】
前記汚泥の搬送方向で前記スクリューの下流側であって該スクリューと近接する位置に、前記スクリューによる汚泥の移動を案内する案内板を起立させると、ろ過体上を搬送される汚泥を案内板によるせき止め効果により、より確実に且つ円滑にスクリューに投入し、移動させることができる。また、スクリューで移動される汚泥が案内板に押し付けられるため、スクリューでの圧搾効果を高めることができる。
【0011】
前記スクリューは、一対設けられると共に、該一対のスクリューは、下流側へと汚泥を通過させる隙間を前記ろ過体の幅方向中央付近に設けた状態で対向配置され、各スクリューによる汚泥の移動方向が、前記隙間に汚泥を集める方向に設定されていると、一対のスクリューの対向する押し込み力によって、双方から移動される汚泥同士を押し潰し合わせて圧密することができる。
【0012】
前記スクリューによる汚泥の移動方向で前方側に、該スクリューの先端との間に汚泥を下流側へと通過させる隙間を設けた状態で起立されることにより、前記スクリューによって移動された汚泥が押し付けられる押付板を設けた構成としてもよい。そうすると、押付板が、スクリューによって移動される汚泥を受け止めて、その圧密・圧搾を促進する汚泥圧密・圧搾板として機能するため、汚泥の濃縮濃度を一層高めることができる。
【0013】
また、前記スクリューと前記押付板との組を、前記ろ過体上の幅方向に沿って複数組並べると、汚泥の処理量を大幅に増大させることができるため、装置を大型化し、汚泥の処理量を増加させたい場合に特に有効である。
【0014】
前記移動機構を出た汚泥を加圧脱水する加圧脱水部を備え、移動機構によって圧密された汚泥を高効率に脱水可能なシステムを構成してもよい。
【0015】
前記重力ろ過部の前記移動機構より下流側に、前記移動機構によって集められた汚泥を前記ろ過体の幅方向に分散させる分散機構を備えてもよい。そうすると、移動機構によって一旦圧密された汚泥を、再び分散させることができるため、汚泥をさらに濃縮することができ、さらに、分散機構自体での圧搾効果も得ることができる。
【0016】
前記重力ろ過部における前記移動機構より上流側でろ過体上を搬送される汚泥に凝集剤を添加する薬品添加設備を設けてもよい。そうすると、移動機構での圧密時に薬品が均一に混合され、薬品による凝集効率を増加させることができ、汚泥の濃縮効率を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ろ過体による汚泥の搬送方向と交差する方向に汚泥を移動させることにより、ろ過体上での汚泥の幅方向寸法を縮小する移動機構を備える。これにより、ろ過体上で搬送されつつ重力ろ過される汚泥は、その搬送方向と交差する方向に移動させられ、その幅方向寸法が縮小され、その高さを増加されて圧密されるため、汚泥を効率よく濃縮し、その濃縮濃度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る汚泥濃縮機について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る汚泥濃縮機10の構成を示す側面図であり、
図2は、
図1に示す汚泥濃縮機10の構成を示す平面図である。本実施形態に係る汚泥濃縮機10は、無端状に構成されたろ過体12の上面で汚泥(例えば、下水汚泥)を搬送しながら重力ろ過し、濃縮汚泥として搬出する装置であり、濃縮機のみならず脱水機として用いることもできる。
【0021】
図1及び
図2に示すように、汚泥濃縮機10は、無端軌道(無限軌道)で走行するろ過体12の上面12aで汚泥を重力ろ過(重力濃縮)する重力ろ過部14を備え、この重力ろ過部14の汚泥投入位置Aより下流側に、ろ過体12による搬送方向と直交する方向に汚泥を移動させる移動機構16を設けた構成となっている。
【0022】
重力ろ過部14は、複数のローラ(ロール)18a、18bに巻き掛けられ、一方向に周回駆動される無端状のろ過体12の上面(外周面)12aで構成されており、ローラ18a、18b間に張られたろ過体12の上面12aに汚泥が載置されることで、該汚泥に含まれる水分を重力によってろ過分離する手段である。
【0023】
ろ過体12は、例えば、通水性を持った長尺帯状のろ布ベルトや、微細な孔部が網目状に複数形成された長尺帯状の金属スクリーン等によって構成される。ろ過体12は、十分な張力で各ローラ18a、18bに巻き掛けられており、図示しないモータ等の駆動源により、
図1中に示す矢印の方向(
図1では反時計方向)に走行可能である。すなわち、
図1及び
図2において、右側(上流側)から左側(下流側)に向かう方向が汚泥の搬送方向となる。従って、上流側の汚泥投入位置Aに投入・載置された汚泥は、ろ過体12によって下流側へと搬送されつつ、水分のみが重力によってろ過体12を透過してろ過脱水され、ろ過された水分(分離液、ろ液)は、ろ液受皿20によって回収される。
【0024】
重力ろ過部14を構成するろ過体12の上面12aには、複数本(本実施形態では、6本)の棒体22が立設されている。棒体22は、ろ過体12上を搬送される汚泥に当接して分散させ、その水切りを促進するための障害物であり、その設置位置や本数、形状等は、適宜変更可能である。
【0025】
このような重力ろ過部14の下流側に設けられる移動機構16は、ろ過体12上を搬送される汚泥の幅方向寸法を縮小すると同時に汚泥高さを高くすることで圧密し、そのろ過効率を向上させ、汚泥濃度を高めるための装置である。
【0026】
移動機構(スクリューコンベア)16は、ろ過体12の上面12aの上流側全面に向かって開口して汚泥を受け入れ可能となっており、ろ過体12による搬送方向と交差(
図2では直交)する方向に汚泥を移動させる一対のスクリュー24a、24bと、スクリュー24a、24bの下流側に近接し、ろ過体12の幅方向両端側にそれぞれ起立配置された一対の案内板26a、26bとを備え、案内板26a、26b間の隙間G(各スクリュー24a、24b間の隙間と略同一)が、当該移動機構16から下流側へと汚泥を排出するための通路となっている。
【0027】
スクリュー24a、24bは、ろ過体12による汚泥の搬送方向と直交する方向に延び、該ろ過体12を幅方向に渡るスクリュー軸28と、スクリュー軸28の中央付近を除く両側方の外周面に、それぞれらせん状に設けられたスクリュー羽根30a、30bとを有する。
【0028】
スクリュー軸28は、図示しない軸受によって両端部がろ過体12の幅方向外側位置で軸支され、例えば、ろ過体12を巻き掛けたローラ18a、18bに対し、チェーンやベルト等の可撓性動力伝達部材32(
図1中の2点鎖線参照)によって連係されることで、ろ過体12の走行に伴って回転可能である。ろ過体12の走行動作とスクリュー軸28の回転動作とを同期させる構成としたことにより、可撓性動力伝達部材32を巻き掛ける各軸の径を適宜設計し又は図示しない減速装置等を搭載することで、ろ過体12による汚泥の搬送速度と、スクリュー軸26の回転速度(つまり、スクリュー24a、24bによる汚泥の移動速度)との関係を容易に設定・制御することができる。勿論、スクリュー軸28を独自に回転駆動するモータ等の駆動源を設けてもよい。
【0029】
各スクリュー24a、24bのスクリュー羽根30a、30bは、ろ過体12の幅方向両側方に寄った位置でスクリュー軸26の外周面にそれぞれ設けられ、互いの先端同士が隙間Gと同程度の隙間を介して対向している。各スクリュー羽根30a、30bのらせんの方向は、ろ過体12の中心線で対照形状(逆向き)となっており、各スクリュー24a、24bによる汚泥の移動方向は、それぞれ反対方向に設定されている。このため、各スクリュー24a、24bは、互いにろ過体12の幅方向で外側から内側(中央)に向かって汚泥を移動させ、その先端同士が前記隙間を介して離間した中央部では、両外側から移動された汚泥同士が互いに押し合って圧密される。各スクリュー24a、24bは、共通のスクリュー軸28を用いた構成ではなく、それぞれ個別のスクリュー軸を用いた構成としても勿論よい。
【0030】
スクリュー軸28の中央部、つまり各スクリュー24a、24b間で露出したスクリュー軸28の外周面には、ろ過体12の幅方向中央側を搬送されてきた汚泥と、一対のスクリュー24a、24bによって中央に圧密された汚泥とを下流側へと円滑に排出するためのパドル33が複数枚(
図2では3枚)設けられている。パドル33は、例えば、スクリュー軸28の外周面に周方向に沿って数枚一組で設けられた羽根車である。
【0031】
案内板26a、26bは、スクリュー24a、24bの下流側であって該スクリュー24a、24bと近接する位置で起立した壁部34と、壁部34の下端をろ過体12による汚泥の搬送方向で上流側へと湾曲させて突出させることでスクリュー24a、24bの下方略半分を覆う底部36とを有する。各案内板26a、26bの中央側の端部には、ろ過体12による汚泥の搬送方向に沿って下流側へと延びた一対の通路板38a、38bがそれぞれ設けられている。
【0032】
壁部34は、スクリュー24a、24bの高さと同程度の高さに設定される板状部材であり、その高さは適宜変更可能である。底部36は、
図1に示すように、壁部34の下端から搬送方向で上流側に向かって、スクリュー24a、24bの略中心となる位置まで突出形成される板状部材であり、その長さは適宜変更可能である。但し、底部36が長すぎて上流側に突き出しすぎていると、ろ過体12によるスクリュー24a、24b側への汚泥の押し込みが難しくなり、結局のところ、スクリュー24a、24bに汚泥を搬入することが難しくなるため、底部36の長さはスクリュー24a、24bの下面の一部をろ過体12に対して露出させることができる程度に設定することが望ましい。案内板26a、26bを構成する壁部34や底部36には、微細な孔部を多数形成したスクリーン等を用いてもよい。
【0033】
図2に示すように、本実施形態では、スクリュー24a、24bや案内板26a、26bについて、汚泥をろ過体12による汚泥の搬送方向とは直交する方向に移動させるように設置した構成を例示しているが、これらスクリュー24a、24bや案内板26a、26bの設置方向は、汚泥の搬送方向に対して所定の角度を持って交差する方向に汚泥を移動可能に設置されていればよく、後述する分散機構50や移動機構80についても同様である。例えば、汚泥の搬送方向に対して、スクリュー24a及び案内板26aの組と、スクリュー24b及び案内板26bの組とが、V字状又は逆V字状となる角度に設置されていてもよく、この場合には、各スクリュー24a、24bにそれぞれ独立し、又はかさ歯車等で連係されたスクリュー軸を設ければよい。
【0034】
各通路板38a、38bは、スクリュー羽根30a、30b間や案内板26a、26b間に形成される隙間Gと同幅の隙間を挟んで互いに対面するように起立設置されている。通路板38a、38bは、スクリュー24a、24bによってろ過体12の中央付近に圧密された汚泥を、下流側への円滑に排出するための通路を形成するものであり、壁部34と同程度の高さに設定される。なお、実際上、スクリュー24a、24bによって中央に圧密された汚泥は、ろ過体12の走行により、一対の案内板26a、26b(壁部34)の間の隙間Gから下流側へと搬送されるため、通路板38a、38bは省略することもできるが、通路板38a、38bを設けると、中央に圧密され、高さを増した汚泥を下流側へとより円滑に搬送することができる。
【0035】
図2に示すように、重力ろ過部14における移動機構16の上流側に、搬送される汚泥に対して鉄系の無機凝集剤等の薬品を散布する薬品添加設備40を設けてもよい。薬品添加設備40は、汚泥投入位置A近傍でろ過体12の幅方向全域に渡って複数の薬品ノズル42aを設置した第1管路42と、移動機構16より多少上流側でスクリュー24a、24b間の隙間Gに対応する幅に渡って複数の薬品ノズル44aを設置した第2管路44と、第1管路42及び第2管路44へと三方弁46の切換制御下に、図示しない薬品タンクに貯留された薬品を送液する送液ポンプ48とを備える。
【0036】
薬品添加設備40は、汚泥を圧密する移動機構16の上流側を搬送される汚泥に凝集剤等の薬品を添加することができるため、薬品が添加された汚泥は、移動機構16での圧密時に均一に混合され、薬品による凝集効率を増加させることができ、汚泥の濃縮効率を一層向上させることができる。なお、第1管路42と第2管路44とは三方弁46によって切換可能であるが、いずれか一方のみを設置しても勿論よい。この場合、第2管路44は、第1管路46に比べて薬品ノズル44aの設置数が少なくてよく、その設置コストが低く、薬品の流量制御が容易であるという利点がある。
【0037】
次に、以上のように構成される汚泥濃縮機10の動作について説明する。
【0038】
先ず、当該汚泥濃縮機10で濃縮する処理対象物である汚泥は、所定の高分子凝集剤が添加されてフロック化された状態で、ろ過体12の上面12aの上流側の汚泥投入位置Aから重力ろ過部14へと投入される。投入された汚泥は、走行するろ過体12上で搬送されつつ、途中で棒体22による水切り促進作用を受けながら重力ろ過(重力脱水)され、移動機構16に到達する。
【0039】
移動機構16では、ろ過体12の幅方向で両側方を搬送された汚泥が、各スクリュー24a、24bの回転に巻き込まれ、案内板26a、26bによって案内されつつ、中央部に向かって押し込まれながら移動する。スクリュー24a、24bで移動された汚泥は、中央部(中心部)を搬送されてきてスクリュー24a、24bに巻き込まれていない汚泥と混合されると同時に、各スクリュー24a、24bによる押出力によってろ過体12の中央部で押し潰され合って圧密され、幅方向寸法が縮小し且つ高さが増加した状態で、パドル33の回転力により隙間Gから通路板38a、38b間の通路を下流側へと排出され、その際にも、ろ過体12による重力ろ過が継続され、所望の濃縮濃度まで濃縮される。
【0040】
例えば、汚泥投入位置Aにろ過体12の幅方向寸法で幅W1に広がって高さh1で投入された汚泥は、移動機構16から排出される際には、幅W1より狭い幅W2に縮小されるため、その平面視での表面積の低下分だけ高さ方向寸法が増して高さh2となり、十分に圧密された状態となっている。このため、汚泥の濃縮濃度は、単なる重力ろ過を受けた場合に比べて大幅に高まることになる。また、移動機構16より下流側では汚泥高さが増しているため、その自重によって重力ろ過の効率が一層向上し、移動機構16までの時点で十分に脱水され濃縮された汚泥であっても、さらに重力ろ過による濃縮を促進することができる。しかも、スクリュー24a、24bで汚泥を中央部へと移動させる際には、案内板26a、26bとスクリュー羽根30a、30bの回転力とによって汚泥が移動しながら圧搾されるため、汚泥の濃縮はさらに高まることになる。この際、スクリュー24a、24bによって圧搾された汚泥の水分は、壁部34から底部36を流れ、ろ過体12によってろ過される。
【0041】
なお、汚泥の投入量や、ろ過体12による搬送速度とスクリュー24a、24bによる移動速度との関係等によっては、全ての汚泥がスクリュー24a、24bによって円滑に中央部に集められず、一部がスクリュー24a、24bの裏側の案内板26a、26bの壁部34を乗り越えることもある。しかしながら、案内板26a、26bを乗り越えた汚泥は、結局のところ、その下流側のろ過体12上でさらなる重力ろ過を受け、最終的には通路板38a、38b間を通過した汚泥と混合されるため、特に問題となることはない。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る汚泥濃縮機10では、重力ろ過部14の汚泥投入位置Aより下流側に、ろ過体12による汚泥の搬送方向と交差する方向に汚泥を移動させることにより、ろ過体12上での汚泥の幅方向寸法を縮小する移動機構16を備える。これにより、ろ過体12上で搬送されつつ重力ろ過される汚泥は、その搬送方向と交差する方向に移動させられ、その幅方向寸法が縮小され、その高さを増加されて圧密されるため、汚泥を効率よく濃縮し、その濃縮濃度を高めることができ、例えば、ケーキ状の高濃縮濃度汚泥を生成することもできる。
【0043】
例えば、従来の重力ろ過による汚泥濃縮機では、処理前に濃縮濃度1%未満(含水率99%以上)の汚泥を、処理後に濃縮濃度4〜5%程度まで高めることができるが、その濃縮速度は遅く、装置構成も大型化せざるを得なかった。これに対して、当該汚泥濃縮機10では、処理前に濃縮濃度1%未満の汚泥を、処理後に濃縮濃度5〜15%程度(ケーキ含水率95〜85%程度)まで高めることができ、移動機構16による圧密効果により、その濃縮速度も速く、装置構成も小型化することができる。しかも、汚泥濃縮機10で濃縮率を高めることができるため、後段の脱水機での脱水率も高くなるという利点がある。
【0044】
汚泥濃縮機10では、移動機構16として、ろ過体12による汚泥の搬送方向と交差する方向に延びたスクリュー24a、24bを用い、該スクリュー24a、24bの回転によって汚泥を移動させる構成を採用したことにより、スクリュー24a、24bによる搬送時に汚泥を圧搾することができ、その濃縮濃度を一層高めることができる。
【0045】
この場合、移動機構16では、スクリュー24a、24bが一対設けられると共に、各スクリュー24a、24bは、ろ過体12の幅方向中央付近に下流側へと汚泥を通過させる隙間を設けた状態で対向配置され、各スクリュー24a、24bによる汚泥の移動方向が、前記隙間に汚泥を集める方向に設定されている。これにより、汚泥は、各スクリュー24a、24bによって中央に集められつつ互いに押し潰し合いながら圧密されるため、その濃縮濃度をより一層高めることができる。
【0046】
また、汚泥の搬送方向でスクリュー24a、24bの下流側であって該スクリュー24a、24bと近接する位置に案内板26a、26bの壁部34を起立させたことにより、ろ過体12上を搬送される汚泥を案内板26a、26bによるせき止め効果により、より確実に且つ円滑にスクリュー24a、24bに投入し、移動させることができる。また、スクリュー24a、24bで移動される汚泥が案内板26a、26bに押し付けられるため、スクリュー24a、24bでの圧搾効果を高めることができる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施形態に係る汚泥濃縮機10aについて説明する。
【0048】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る汚泥濃縮機10aの構成を示す平面図である。なお、第2の実施形態に係る汚泥濃縮機10aにおいて、上記第1の実施形態に係る汚泥濃縮機10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略し、以下の各実施形態についても同様とする。
【0049】
図3に示すように、汚泥濃縮機10aは、上記第1の実施形態に係る汚泥濃縮機10と比べて、ろ過体12の上面12a上に複数(
図3では2台)の移動機構16を直列に並べると共に、これら移動機構16、16間に、分散機構(スクリューコンベア)50を設けた点が相違している。
【0050】
分散機構50は、1本のスクリュー軸52の外周面に、らせん状のスクリュー羽根54a、54bを設けた一対のスクリュー56a、56bを備え、このスクリュー56a、56bをろ過体12の幅方向中央付近に設けている。各スクリュー羽根54a、54bのらせんの方向は、ろ過体12の中心線で対照形状(逆向き)となっており、各スクリュー56a、56bによる汚泥の移動方向は、それぞれ反対方向(いずれもろ過体12の幅方向で外向き)に設定されている。
【0051】
従って、汚泥濃縮機10aでは、上流側の移動機構16で中央に圧密された汚泥が分散機構50に導入されると、この分散機構50では、各スクリュー56a、56bが、互いにろ過体12の幅方向で内側から外側に向かって汚泥を分散移動させる。このため、分散移動された汚泥は、ろ過体12の走行により、スクリュー56a、56bが設置されない両外側部を介して下流側へと搬送され、次の移動機構16に導入されて、再び中央部へと移動され、圧密される。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る汚泥濃縮機10aによれば、移動機構16によって集められた汚泥をろ過体12の幅方向へと分散させる分散機構50を備えたことにより、移動機構16で一旦圧密された汚泥を、再び分散させることができる。このため、圧密によって濃縮が促進された汚泥を再び分散させることにより、汚泥をさらに脱水することができ、さらに、分散機構50を構成するスクリュー56a、56bによる圧搾効果も得ることができる。
【0053】
しかも、当該汚泥濃縮機10aでは、分散機構50によって分散された汚泥を、後段の移動機構16によって再び圧密することができるため、汚泥の濃縮濃度を一層高めることができる。移動機構16と分散機構50が順に配置されていれば、その設置台数は適宜変更可能であり、重力ろ過部14の最下流に移動機構16と分散機構50のいずれを設置するかも、後段の消化槽等の構成を考慮して設定すればよい。
【0054】
次に、本発明の第3の実施形態に係る汚泥濃縮機10bについて説明する。
【0055】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る汚泥濃縮機10bの構成を示す側面図である。
図4に示すように、汚泥濃縮機10bは、上記第1の実施形態に係る汚泥濃縮機10と比べて、ろ過体12の上面12a上に形成された重力ろ過部14に設けられた移動機構16の下流側に、汚泥を加圧脱水する加圧脱水部60を設けた点が相違している。
【0056】
加圧脱水部60は、小径ローラ61a、61b間のろ過体12の上面12aを下方へと押圧変形させた加圧ローラ62を備え、この加圧ローラ62とろ過体12との間で、移動機構16から排出された汚泥を挟持して加圧し、脱水するローラプレス機構を構成している。
【0057】
従って、汚泥濃縮機10bでは、移動機構16によって圧密され、高さを増した汚泥が、加圧脱水部60に投入されるため、汚泥投入位置Aへの投入直後の汚泥のように、幅方向に広がって高さが低い汚泥を加圧脱水する場合に比べ、加圧脱水部60での脱水性能を向上させることができ、重力ろ過部14のみを設けた構成よりも汚泥をさらに脱水し、濃縮することができる。
【0058】
なお、移動機構16の下流側に設ける加圧脱水部としては、上記のようにローラプレス機構を適用した加圧脱水部60以外の構成であってもよく、例えば、
図5に示す汚泥濃縮機10cのように、ベルトプレス機構の加圧脱水部70を設けた構成としてもよい。
図5に示すように、加圧脱水部70は、ローラ72a、72b間に巻き掛けられたろ過体74と、ローラ76a、76b間に巻き掛けられたろ過体78とを備え、下方にろ液受皿79が設置されている。
【0059】
従って、このような汚泥濃縮機10cにおいても、移動機構16によって圧密され、高さを増した汚泥が、加圧脱水部70に投入されるため、当該加圧脱水部70での脱水性能を向上させることができる。
【0060】
次に、本発明の第4の実施形態に係る汚泥濃縮機10dについて説明する。
【0061】
図6は、本発明の第4の実施形態に係る汚泥濃縮機10dの構成を示す平面図である。
図6に示すように、汚泥濃縮機10dは、上記第1の実施形態に係る汚泥濃縮機10と比べて、移動機構16を構成する一方のスクリュー24aを、ろ過体12の幅方向に沿って複数(
図6では4台)並べて構成される移動機構(スクリューコンベア)80を備える点が相違している。
【0062】
移動機構80は、1本のスクリュー軸81に設けられた各スクリュー24aの先端側、つまり各スクリュー24aによる汚泥の移動方向で前方側に、スクリュー24aの先端との間に汚泥を下流側へと通過させる隙間G1を設けた状態で起立されることにより、各スクリュー24aによって移動された汚泥が押し付けられる押付板82を有する。
【0063】
従って、汚泥濃縮機10dでは、ろ過体12の上面12aを搬送される汚泥が、各スクリュー24aの回転に巻き込まれると、案内板26aに案内されつつ、一方側(
図6では上方)に向かって押し込まれながら移動する。スクリュー24aで移動された汚泥は、スクリュー24aのない部分(隙間G1の上流側)を搬送されてきてスクリュー24aに巻き込まれていない汚泥と混合されると同時に、スクリュー24aによる押出力によって押付板82に押し付けられて圧密され、幅方向寸法が縮小し且つ高さが増加した状態で、パドル33の回転力により隙間G1から通路板38aと押付板82との間の通路を下流側へと排出され、その際にも、ろ過体12による重力ろ過が継続され、所望の濃縮濃度まで濃縮される。
【0064】
このように、汚泥濃縮機10dでは、押付板82が、スクリュー24aによって移動される汚泥を受け止めて、その圧密・圧搾を促進する汚泥圧密・圧搾板として機能するため、汚泥の濃縮濃度を一層高めることができる。しかも、スクリュー24aと押付板82の組み合わせを複数組並べるだけで、汚泥の処理量を大幅に増大させることができるため、装置を大型化し、汚泥の処理量を増加させたい場合に特に有効である。勿論、スクリュー24aと押付板82の組み合わせ数は適宜変更可能であり、例えば、1組のみとしてもよい。
【0065】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0066】
例えば、上記実施形態に係る汚泥濃縮機10、10a〜10dを構成する各要素は、互いに追加・交換してもよく、例えば、
図3に示す汚泥濃縮機10aの下流側に配置された移動機構16の下流側に、
図4や
図5に示す加圧脱水部60、70を設置してもよく、これら加圧脱水部60、70は、
図6に示す移動機構80の下流側に設置してもよい。さらに、
図6に示す移動機構80の下流側に、
図3に示す分散機構50を設けてもよい。
【0067】
また、ろ過体12による汚泥の搬送方向と交差する方向に汚泥を移動させる移動機構16、80や分散機構50について、上記実施形態では、スクリューコンベア方式による構成を例示したが、スクリューコンベア方式以外の構成、例えば、スクレーパ状の移動機構を用いた構成等であってもよい。