特許第5864445号(P5864445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864445
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】皮膚治療組立体のための支持デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20160204BHJP
   A61H 9/00 20060101ALI20160204BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20160204BHJP
   A61H 23/04 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   A61H7/00 310E
   A61H9/00
   A61H23/02 342
   A61H23/04
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-553308(P2012-553308)
(86)(22)【出願日】2011年2月16日
(65)【公表番号】特表2013-520215(P2013-520215A)
(43)【公表日】2013年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2011052314
(87)【国際公開番号】WO2011101388
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2014年2月14日
(31)【優先権主張番号】10154302.3
(32)【優先日】2010年2月22日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513242391
【氏名又は名称】エムシー ヘルス テック, エセ. エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】サロ ダーダー, ジョルディ
(72)【発明者】
【氏名】ゴダヨル マルティ, アントニ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−532591(JP,A)
【文献】 実開昭52−112193(JP,U)
【文献】 国際公開第2010/013259(WO,A1)
【文献】 米国特許第04984568(US,A)
【文献】 実開平04−020335(JP,U)
【文献】 特開平08−252286(JP,A)
【文献】 特開平11−169467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61H 9/00
A61H 23/02
A61H 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚治療機アプリケータ(110)を使用中に、所定の位置に維持するのに好適な皮膚治療組立体(200)のための支持デバイス(10)であって、
該支持デバイス(10)は、アーム構造(20)及び接続部材(30)を備え、
該接続部材(30)は、前記アーム構造(20)と結合され、該接続部材(30)は、前記アーム構造(20)を適切な位置に固定するために設けられており
前記支持デバイスはさらに、前記アーム構造(20)に結合された少なくとも1つのホースコネクタ(50,60)を備え、
前記アーム構造は、前記接続部材(30)に枢動式に設置された第1端部(A)と、前記ホースコネクタ(50、60)を受けるように適合された、担持構造体(40)の各端部を枢動式に受けるように適合された第2端部(B)とを備え、
前記アーム構造(20)が前記第1端部(A)及び前記第2端部(B)において、それぞれの水平軸(X,Y)の周りを枢動することができ、
前記ホースコネクタ(50,60)は、半剛性の出口ホース(96,97)を受けるように適合され、加圧された空気を各々のアプリケータ(110)に導き、
加圧された異なる空気流パターンを適用するための、支持デバイス(10)。
【請求項2】
前記アーム構造(20)が、前記接続部材(30)に枢動式に設置された第1端部(A)と、前記ホースコネクタ(50、60)を担持するように適合された担持構造体(40)を枢動式に受けるように適合された第2端部(B)を有する2つのほぼ平行なアーム(21、22)を備える、請求項1に記載の支持デバイス(10)。
【請求項3】
前記ホースコネクタ(50、60)が、前記担持構造体(40)の相補的に成形された部分(45)を受けるのに適した内部空洞(52)が備わったコネクタブロックである、請求項2に記載の支持デバイス(10)。
【請求項4】
前記アーム構造(20)の相対的な位置を固定するための固定手段(31、41、42)をさらに備える、請求項3に記載の支持デバイス(10)。
【請求項5】
前記アーム構造(20)を上向きまたは下向きに駆動させることができるモータ手段をさらに備える、請求項4に記載の支持デバイス(10)。
【請求項6】
前記アーム構造(20)に枢動運動させるためのモータ手段をさらに備える、請求項4に記載の支持デバイス(10)。
【請求項7】
前記接続部材(30)が、移動可能に接続される支持部材(11)が設けられたベース部(12)をさらに備える、請求項1に記載の支持デバイス(10)。
【請求項8】
取り付けられた前記アーム構造(20)の高さ(H)を調節するために、前記接続部材(30)は移動することができる、請求項7に記載の支持デバイス(10)。
【請求項9】
前記接続部材(30)が移動可能に接続される支持部材(11)をさらに備える、請求項8に記載の支持デバイス(10)。
【請求項10】
吸引手段(120)を有する吸引機(100)を備え、加圧された空気を、対応する半剛性の出口ホース(96,97)を介して各々のアプリケータ(110)に導く、少なくとも一つのホースコネクタ(50,60)の手段により前記吸引機(100)に接続される、アプリケータ(110)を介して、加圧された異なる空気流パターンを患者に適用する皮膚治療組立体(200)であって、
皮膚治療機アプリケータ(110)を使用中に一定の高さに維持するのに好適な接続部材(30)をさらに備え、
支持デバイス(10)は、アーム構造(20)及び前記接続部材(30)を備え
該接続部材(30)は、前記アーム構造(20)と結合され該接続部材(30)は、前記アーム構造(20)を適切な位置に固定するために設けられており、
前記支持デバイスはさらに、前記アーム構造(20)に結合された前記少なくとも1つのホースコネクタ(50,60)を備え、
前記アーム構造は、前記接続部材(30)に枢動式に設置された第1端部(A)と、前記ホースコネクタ(50、60)を受けるように適合された担持構造体(40)の各端部を枢動式に受けるように適合された第2端部(B)とを備え、
前記アーム構造(20)が前記第1端部(A)及び前記第2端部(B)においてそれぞれの水平軸(X,Y)の周りを枢動することができるようになっている、皮膚治療組立体(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚治療の分野に属しており、より具体的には皮膚治療のために真空状態の生成を利用するデバイスに属する。患者の皮膚に真空状態が適用されることで痛み、不快感および皮膚や筋肉に関係する様々な病変を治療する。
【0002】
本発明は、皮膚の治療に利用されるように適合された吸引機を備えるそのような組立体と共に、皮膚治療組立体で使用される支持デバイスを提供する。本発明の支持デバイスは、接続部材と、それに結合されたアーム構造を備えており、このアーム構造は、治療中にいくつかのアプリケータを患者の皮膚に接触するように所定の場所に保持することができる。
【背景技術】
【0003】
吸引を利用する、すなわち患者の皮膚に負圧を適用する皮膚治療、マッサージなどに適した皮膚治療機が知られている。吸引手段は典型的には、真空状態を形成するように適合された既知の治療用の機械に設けられる。必要であれば正圧を適用することもできる。典型的には1つあるいは複数のアプリケータが、正圧、負圧または特定のパターンの組み合わされた圧力値のいずれであろうと、圧力を適用するための、例えばカップ部材の形態で利用される。アプリケータは、対応するホースを介して患者の皮膚の所定の場所に効果的に圧力を適用する目的を果たす。ホースは、皮膚治療機の吸引手段に接続される。既知の機械はさらに弁手段と管理手段を備えることで、管理された方法で患者の皮膚に圧力を適用し、効果的に身体治療を行なう。
【0004】
先行技術の治療機では、技師、すなわち理学療法士、マッサージ療法士などが、適切な作動モード(これは、好適な吸引レベル、事前設定の真空パターン(定常状態、脈動的変動、周期的な変動)、長さおよび圧力値などの一連の治療パラメータによって規定される)を選択すると、技師によって選択された特定の皮膚治療に従って、各々のアプリケータを介して患者の皮膚に真空状態が適用される。その後技師が1つまたは複数のアプリケータを標的とする皮膚の場所に保持することで、治療する間それ/それらは常に患者の皮膚と接触している。
【0005】
治療デバイスの一例が、特許文献1に開示されている。この文献は、身体の輪郭形成および皮膚の調子を整えることを目的としたデバイスを教示している。このデバイスは、技師によって皮膚に押し当てるように配置されるアプリケータを備えている。周期的に変動する圧力が患者に適用され、皮膚の表面を振動させる。
【0006】
特許文献2は、各々のチャンバに接続された別個の遮断弁を備えた真空ユニットを示しており、これらの弁では、固定された圧力がそれぞれ異なる大きさに事前に設定されている。それぞれの弁に接続された第1端部と、吸引アプリケータを受けるように適合された反対側の第2端部を有するホースが設けられる。吸引アプリケータは、技師によって治療中常に患者の皮膚と接触して保持されなければならない。
【0007】
これらの先行技術の既知の吸引式の皮膚治療デバイスでは、治療が適切に行なわれるように、技師または技術者が、患者の皮膚の標的となる場所にアプリケータを常に押しつけ続ける必要がある。技師は、最初に適切な作動モードを選択し、次にアプリケータを適用すべき患者の皮膚の標的となる場所を選択し、最後に治療する間このアプリケータを皮膚と接触するように維持しなければならない。
【0008】
皮膚を治療する間、技師が1つの(または両手を使って2つの)アプリケータを介して患者の皮膚の標的となる場所に常に圧力を及ぼさなければならないことにより、1人の患者の皮膚を治療する際に多様なアプリケータが必要となった場合、複数の技師がそこに居なければならないため、コストが高くなってしまう。たとえ皮膚治療の際に居なければならない技師が1人の場合であっても、彼または彼女が他の患者に付き添ったり、監視したりする、あるいは他の作業を行なうことは不可能である。
【0009】
これに加えて、手で扱うアプリケータを利用することは、これを専門とする1人または複数の技師にとっても、治療を行なう際、自分の手を使って各々のアプリケータを介して患者の皮膚面に高いレベルの圧力を適用しなければならないため痛みを伴う場合があることが分かっている。局所的な皮膚治療では、技師が1人の患者の治療すべき体の一部に長時間留まる必要があるため、技師が体を痛めたり、少なくとも疲労してしまうことが多い。
【0010】
このようなことから技師の手の関節に負担をかけ過ぎてしまい、さらには変形性関節炎、関節炎、母指CM関節症などの慢性疾患を引き起こすことも多い。このようなかなりの労力が彼らの指によってかけられることになるため、理学療法士やマッサージ療法士が体の深部まで浸透するマッサージ技法は行なうことはめったにない。その結果、皮膚治療を最適に行なうことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2006094348号
【特許文献2】米国特許第3794035号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の1つの目的は、治療する際に技師がもはや疲れ切ってしまうこと、および/または体を痛めることなく加圧式の皮膚治療を効果的に行なうことができるように上記の欠点に対する1つの解決策を提供することであり、この解決策よって複数の患者を自動的に治療する、および/または1人の技師によって複数の患者を監視することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、皮膚治療組立体のための支持デバイスと、該支持デバイスを備えた皮膚治療組立体を提供し、これにより身体における有益な代替の皮膚吸引式の治療法によって上記で言及した問題を克服し、この治療法によって以下に記載するようにその他の利点も与えられる。
【0014】
本発明による皮膚治療組立体のための支持デバイスは、接続部材に対応付けられたアーム構造を備える。この接続部材は例えば支持部材に結合されてよく、この支持部材は、直立する細長い部材など、例えば下方ベース部に設置された直立した支柱などである。接続部材は、支持部材に移動可能に結合されるため、そこに取り付けられたアーム構造は、治療する際に(例えばストレッチャーに乗った状態で、車椅子に座った状態で、立った状態などで)患者がいる場所に応じて高さを調節することができる。他の実施形態において、接続部材が支持部材に固定式に結合される場合もある。さらに他の実施形態において、接続部材は、必要であれば壁や天井に直接結合される場合もある。例えば壁に設置された場合、接続部材が移動可能にガイドに嵌合することで、接続部材がそれに沿って摺動し、治療する際患者がいる場所に応じて必要な高さに調節することができる。
【0015】
接続部材が支持部材に結合される実施形態では、接続部材がそこに移動可能に結合されようと、あるいは固定式に結合されようと、例えば複輪式のカーペットキャスターなど1セットの車輪を有するように下方ベース部を設けることができ、これにより下方ベース部を患者の身体の近傍に容易に移動させ、支持デバイスを適切に位置決めすることができる。当然のことながら治療要件によっては、他のベースの構成(例えばローラの付いた、またはキャスターのないものでさえ)も想定される。
【0016】
本発明の支持デバイスはさらに、少なくとも1つのホースコネクタを備えており、このコネクタは、アーム構造と、少なくとも1つの皮膚治療機アプリケータに対応付けられている。より具体的にはホースコネクタは、例えば好適な振動減衰材でできたコネクタブロックであり、吸引機によって生じるいかなる振動も吸収することができる。コネクタブロックには内部空洞が備わっており、この空洞は、担持構造体の相補的に成形された部分を受けるように成形され大きさが決められるのが好都合である。例えば各々のホースコネクタのコネクタブロックには、四角形に成形された空洞が備わっている場合があり、この空洞は貫通空洞であってもよく、四角形に成形された相補的な断面を有する担持構造体を受けることができる。このような構造によって、ホースコネクタは担持構造体に容易にかつ効果的に結合され、そこから切り離すことができる。これによりさらにホースコネクタを迅速に交換することで、種々の要件にあるいは交換および/またはメンテナンス作業に適合させることができる。
【0017】
ホースコネクタは、吸引機にある吸引手段から加圧された空気を伝えるために、1つまたは複数のホースを受けるように好適に設計されている。1つまたは複数のホースをそれぞれ担持し保持する1つまたは一連のホースコネクタを設けることができる。該1つまたは一連のホースコネクタは、上記に開示するように本発明の支持デバイスに適合され(すなわち、担持構造体の空洞に嵌合されることによって)、治療する間そこに固定されたままである。ホースコネクタは、どのような作業上の動きも緩和させるようなものであり、このような動きがアプリケータに伝達されないため、効果的な治療を保証する。
【0018】
支持デバイスのアーム構造に関して、これは2つのほぼ平行なアームを備えることができる。各アームの第1端部は、接続部材に枢動式に設置される。接続部材は、例えば支持部材に解放可能にクランプ留めすることができる。各アームの反対側の第2端部は、1つまたは複数のホースコネクタを受けるように適合された担持構造体の各々の端部を枢動式に受けるように適合されている。支持デバイスのアーム構造は、平行なアームの該第1および第2端部において各々の水平軸の周りを枢動することができる。アーム構造の重量は、平行なアームと、担持構造体が使用する際に動かないように選択される。
【0019】
上記の構造によって、接続部材は支持部材に沿って上向きまたは下向きに移動させることができ、平行なアームが枢動することで、技師の所望通りに担持構造体を上げ下げすることができ、よって1つまたは複数のホースコネクタを上げ下げすることができる。これによりひとたび目的とする位置決めが達成されると、1つまたは複数のアプリケータを好適な高さに配置することが可能であり、すなわち該1つまたは複数のアプリケータを患者の皮膚に接触させることで皮膚治療を開始する準備が整う。
【0020】
ひとたび1つまたは複数のアプリケータが位置決めされ、技師によって適切な治療モードが選択されると、技師がそこに居る必要がなくなり、彼または彼女は、他の治療、他の作業または他の患者の監視を行なうことができる。
【0021】
本発明の支持デバイスのいくつかの実施形態において、それは、接続部材に対してアーム構造の位置を固定するための固定手段を備える場合がある。このような固定手段によってアーム構造を固定することができ、これにより担持構造体が皮膚治療の間ずっと、あるいは少なくとも技師がホースコネクタの垂直方向の位置を変えたいと思うまで、1つまたは複数のホースコネクタを一定の高さに保持する。接続部材の位置を、例えば支持部材、壁または天井などに固定するためにさらなる固定手段が設けられる場合もある。
【0022】
さらにいくつかの実施形態において、本発明の支持デバイスがモータ手段を備える場合があり、このモータ手段によってアーム構造を上向きまたは下向きに駆動させる、および/またはアーム構造に枢動運動させることを目的とする。支持デバイスは、複数の治療パラメータ(長さ、圧力、アプリケータの位置など)を管理するための管理手段を含む場合がある。該管理手段は、ディスプレイスクリーンなどの出力手段と、キーボードなどの入力手段を含むことができる。
【0023】
上記の構成によって、もはや技師が1つまたは複数のアプリケータを皮膚治療の間ずっと保持する必要がなくなる。技師は、その間他の患者に付き添ったり、あるいは他の作業を行なうことができるようになる。これにより例えば拘縮からの解放、腱炎、術後繊維症、筋肉の伸張などの治療を行なうことが可能になり、これは、専門的な技師を必要とせず、有効な治療に必要とされる多様なアプリケータを使用することによって自動的なプロセスで有効に行なわれる。本発明の支持デバイスのおかげで、このような治療を複数の患者に対して同時に行なうことができる。
【0024】
したがって本発明のさらなる利点は、時間を節約し、コスト効果の高い治療を提供することができることである。それぞれの治療またはそれぞれの患者に対して専門の技師がいなくても、複数の自動的な皮膚治療を同時に行なうことができる。ひとたびアプリケータが患者の皮膚の目的とする位置に位置決めされ、適切な治療モードが適切に選択され組立体の吸引機において使用可能になると、技師はそこに居る必要がなくなり、彼または彼女は自由に他の仕事をすることができる。
【0025】
本発明は、さらに皮膚治療組立体に関する。これは、吸引手段を有する吸引機を備えており、対応するホースに接続された少なくとも1つのアプリケータを介して患者に加圧された空気を適用する(例えば複数の加圧空気流パターンに従って)ことを目的としている。本発明による皮膚治療組立体にはさらに、上記の支持デバイスが備わっている。支持デバイスの種々の部品、すなわちベース部、接続部材、支持部材(もしあれば)およびアーム構造は、使用中の吸引機からの振動が抑えられてアプリケータがほとんど動かないように大きさが決められている。
【0026】
吸引機と支持デバイスを備える本発明による吸引システムを設けることによって、専門技師の側に多大な労力を要求せずに、皮膚の表面および深部の治療が可能になる。接続部材を設けることによって、本発明の支持デバイスを、例えば支持デバイスを利用することによって、あるいは壁または天井などを利用して所望のまたは適切な位置に設置することができる。
【0027】
本発明によって、ストレッチャーに乗った状態、車椅子に座った状態、またはさらには立った状態のいかなる姿勢においても、ならびに一般に彼または彼女を吸引機によって治療する必要がある状況において、衛生面および美容整形の専門スタッフによって患者を治療することが可能になる。例えば車椅子の老人や障害者も、本発明の吸引システムによる治療を受けるのにストレッチ台の上に横たわる必要がない。
【0028】
皮膚治療組立体のための支持デバイス、および本発明によるこのような支持デバイスを備えた皮膚治療組立体の特定の実施形態を、単に非制限的な例という意図で、添付の図面を参照して以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による支持デバイスの一実施形態の全体的な斜視図であり、この支持デバイスは、支持部材に設置され、対応するアプリケータとホースを有する複数のホースコネクタを有する。
図2図1の支持デバイスの実施形態の立面図である。
図3図1の支持デバイスの実施形態の前面図である。
図4】本発明の支持デバイスのホースコネクタの一実施形態の拡大図である。
図5】本発明の支持デバイスにおいて担持構造体に嵌合された、図4のホースコネクタのより接近した図である。
図6】本発明による皮膚治療組立体の一実施形態の全体的な斜視図であり、吸引機と図1から図3の支持デバイスも示されている。
図7図6の皮膚治療組立体の実施形態の前方立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明による皮膚治療組立体のための支持デバイスの一例が、図1から図7に示されている。本発明の組立体によって行なうことができる皮膚治療は、例えば蜂巣炎の治療、排液法、リンパ液治療、審美治療、繊維治療、整骨治療、理学療法的治療ならびに他の病変である。皮膚治療は、本明細書では、体の皮膚の治療ならびに顔、頸部などの治療を含むものと理解される。
【0031】
本発明による支持デバイスの実施形態は、全ての図において10で示されており、これは図1から図3に詳細に示されている。そこに見ることができるように、支持デバイス10は、支持部材11に移動可能に設置された接続部材30を備える。示される例では支持部材11は、下方ベース部12に嵌合したほぼ円筒形の垂直の支柱である。ベース部12は、一連の支持アーム13で形成されており、各々のアームが複輪式のカーペットキャスター14を保持している。車輪付きのベース部12によって、支持デバイス10を患者の体の近傍に容易に移動させ、皮膚を治療するのに好適に位置決めすることができる。支持デバイス10の好適な位置は、ストレッチャーに寝ている状態、車椅子に座っている状態、あるいはさらに立っている患者にも合わせることができる。
【0032】
支持部材11および下方ベース部12の他の実施形態も当然可能である。例えば支持部材11は、円形以外の任意の好適な断面を呈する場合もあり、下方ベース部12は、例えばキャスター14、または支持デバイス10を移動させるための任意の他の好適な手段に適合させることができるプラットフォームの場合もあり、あるいはさらには固定式の支持デバイスが望まれる場合には移動手段を持たないこともある。
【0033】
代替として、接続部材30が、支持部材11に固定式に設置される場合もある。さらに他の可能な実施形態では、接続部材30が、壁または天井に設置される場合もある(このような場合には支持部材11は設けられない)。壁に設置する実施形態では、壁に取り付けられたガイドによって接続部材30を移動させることによって、その高さを調節することができる。
【0034】
図面に示される支持デバイスの特定の実施形態では、すなわち接続部材30が支持部材11に移動可能に設置される実施形態では、支持デバイス10はさらにアーム構造を備えており、これは全体が20で示されている。支持デバイス10のアーム構造20は、ほぼ水平の第1の軸Xを介して接続部材30に枢動式に結合されている。アーム構造20が接続部材30に対して回転し、接続部材30が支持部材11に沿って(上向き/下向きに)移動することによって、アーム構造20の相対的な垂直方向の位置Hを正確に調節することができる。該相対的な垂直方向の位置Hは、図1および図2に示されるように、地面に対するアプリケータ110(これについては後で十分に記載する)の高さとして規定される。よって高さHは、治療中に患者がいる(患者は図面には示されていない)場所に応じて所望通りに正確に調節することができる。典型的なHの値は、患者がストレッチャーに横たわっているような通常の用途の場合、100cmまでの範囲であり得る。当然のことながら、治療中の患者の他の位置に他の高さHを適用することもできる。
【0035】
支持デバイス10のアーム構造20は、2本のほぼ平行なアーム21、22を備えており、これらのアームは、横方向の強化用のスペーサ15によって互いに離間されている。各アーム21、22は、図2に示されるように、第1端部Aと、反対側の第2端部Bを有する。平行なアーム21、22の第1端部Aが接続部材30に枢動式に設置されるため、アーム21、22は、図2に矢印によって示されるように、ほぼ水平方向の第1の軸Xの周りを回転することができる。上記に述べたように接続部材30がさらに、所望により上向きおよび下向きに支持部材11に沿って摺動することにより(図2の矢印を参照)、患者がいる場所によって地面までのアプリケータ110の高さHを変えることができる。
【0036】
接続部材30は、支持部材11に対するアーム構造20の位置を固定するための固定手段を含んでいる。該固定手段は、第1のねじとレバー機構31を備え、この機構は、ひとたび所望される地面までの高さHに達すると、接続部材30を支持部材11に対して所定の位置に固定するのに適している。一方で、平行なアーム21、22の第2端部Bがさらに担持構造体40に枢動式に設置される。平行なアーム21、22と担持構造体40の相対的な回転は、図2に矢印によって示されるように、ほぼ水平方向の第2の軸Yの周りで行なわれる。当然のことながらアーム構造20は、ほぼ垂直方向の第3の軸Zの周りを回転することによって位置決めすることができ、この軸は、支持部材11の幾何学的な長手方向の軸に対応している。
【0037】
固定手段はさらに、第2および第3のねじとレバー機構41、42を備えており、これらの機構は共に、平行なアーム21、22の相対的な角度位置をそれぞれ固定する目的を果たしている。したがって第1および第2の水平方向の軸X、Yの周りの平行なアーム21、22の相対的な角度位置、アーム構造20の高さの調節、第3の垂直方向の軸Zの周りでのアーム構造20の回転、およびベース部12の自由運動によって、支持デバイス10が適切に位置決めされ、効果的な治療を行なうために正確に配置することができる。これによりいかなる患者も、彼または彼女がストレッチャーに乗っている状態、車椅子に座った状態、立っている状態などのいずれであっても自動的に治療することができる。
【0038】
アーム構造20の担持構造体40はさらに、平行なアーム21、22に対して横向きに配置された担持バー45を備えている。アーム構造20の担持バー45は、示される実施形態では、対応するホースコネクタ50、60を受けるように適合された正方形の断面構造を有する。当然のことながら、対応するホースコネクタ50、60を受けるのに適しているのであれば、担持バー45の他の断面の形状も可能である。より具体的には支持デバイス10は、このような2つのホースコネクタ50、60を有するものとして図面に示されている。支持デバイス10は、治療の要件によっては、異なる数のホースコネクタ50、60を有する場合もあることを理解されたい。
【0039】
このようなホースコネクタ50、60の一例が、図4、5に詳細に示されており、そこでは明確にするために、支持部材、接続部材およびアームは示されていない。ホースコネクタ50、60は、それぞれが内部空洞を含む(例えば貫通空洞52)コネクタブロックであり、この空洞は、上記に言及した担持バー45(示される実施形態では正方向に成形されている)の断面構造と同様に成形され大きさが決められるのが好都合である。したがってホースコネクタ50、60は、支持デバイス10内でアーム構造20の担持バー45に容易に結合され、かつ容易に切り離すことができ、必要であれば迅速に交換することができる。
【0040】
次にホースコネクタ50、60を詳細に示している図4図5を参照する。明確にするために、アーム21、22はここには描かれていない。ホースコネクタ50、60はそれぞれ、上記に開示したようにブロックコネクタであり、これらは好適なプラスチック材料などの適切な振動減衰材料でできており、このような材料は、特に吸引機が繰り返し、最小の圧力値から最大の圧力値に(例えば0から250mbおよび250から0mb程)素早く変わる際に、作動中の振動に耐えることができる。これは、治療を通して患者の皮膚に直接接触しているアプリケータ110を、地面に対して常に一定の高さH(図2を参照)に保持するのに重要である。
【0041】
各ブロックコネクタは、2つのプリズム状の部品C1、C2で形成されており、これらの部品は図4および図5に見ることができる。該プリズム状の部品C1、C2の少なくとも最も外側のものには、担持バー45により適切に適合させるために下部の切れ目51が備わっている。図4および図5に示されるように、プリズム状の部品C1、C2は、それらの大きい方の面によって互いにくっつけられている。
【0042】
各ホースコネクタ50、60には、1つの入り口70と1つの出口80が備わっている。入り口70には可動式の連結部71が備わっており、この連結部は、少なくとも1つの加圧された空気の入り口ホース90を受けるように適合されており、このホース90は、吸引機100(図6および図7に示される)から支持デバイス10に加圧された空気を伝える。吸引機100は、既知のタイプであってよく、行なうべき皮膚治療によって様々な容積と特徴を備えている。
【0043】
可動式の連結部71によって、加圧された空気の入り口ホース90が、任意の所望の場所に配置されたとき支持デバイス10によって妨害されなくなる。ホースコネクタ50、60の出口80にはまた、対応する可動式の連結部81が備わっており、この連結部81は、少なくとも1つの加圧された空気の出口ホース96、97を受けるように適合されている。加圧された空気の出口ホース96、97は、半剛性の性質であってよく、いくつかの実施形態では、可動式のT字型連結部81を介してブロックコネクタに結合された2つの空気の出口ホース96、97を設けることができる。該出口ホース96、97が各々のアプリケータ110につながる。しかしながら2つの空気出口ホース96、97が設けられているが、異なる数の空気出口ホース96、97を設けることもできる。当然のことながら、他の数のホースコネクタ50、60を利用することもできる。これらは、アーム構造20の担持バー45に全て結合することができる。
【0044】
このような構成によって、複数の治療モードを利用することができ、例えば全ての出口ホース96、97を介して同一の圧力値を与えること、あるいは該出口ホース96、97を介して治療要件によって異なる圧力値を与えることなどが含まれる。
【0045】
示される実施形態では、アプリケータ110は、皮膚治療のための吸引カップである。図1から図7に示されるように、アプリケータ110は、同一の担持バー45に結合されており、治療要件によって互いに異なる場合がある。
【0046】
示され記載される本発明による支持デバイスは、効果的な皮膚治療に必要とされるように所定の位置に適合させ移動させることが可能であり、これは、衛生面および美容整形の専門スタッフを必要とせずに、自動的かつ自発的に治療を行なうことができるような方法で行なわれる。このような治療のためのアプリケータは、ストレッチャーに横たわっている、車椅子に座っている、あるいはさらに立っている患者にとって、かつ一般に患者が吸引機によって筋肉/皮膚を治療する必要があるような状況における、いずれの好適な位置にも配置することができる。
【0047】
図6および図7には、本発明による皮膚治療組立体200が示されている。この治療組立体200は、吸引機100と、上記の支持デバイス10を備えている。
【0048】
吸引機100は、そのベースに車輪155を備えた筐体150を有することで、移動し易くなっている。また管理手段160が設けられることで、長さ、圧力、アプリケータの位置などの特定の治療のパラメータを管理する。管理手段160は、ディスプレイスクリーン161を備えた出力手段を含んでおり、技師がこの手段によって治療を管理することができる。キーボードが設けられることで、治療パラメータを入力し、治療モードを選択することができる。ディスプレイスクリーン161は、設置アーム162の一端に嵌合される。設置アーム162は、その反対側の端部において、吸気機の筐体150に取り付けられている。
【0049】
管理手段160が、技師により近くなるように吸引機100の代わりに、支持デバイス10に適合される実施形態もあり得る。
【0050】
吸引手段120が、吸引機100の筐体150の中に設けられる。吸引手段120は、アプリケータ110を介して患者に種々の加圧された空気流パターン(例えば0.1から0.5秒毎に圧力値が変化する)を適用するのに適した真空ポンプを備えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7