(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのベース部の前記外周面、および、前記少なくとも1つのブランケットの表面の少なくとも一方に段差が設けられている、請求項1から5のいずれかに記載の印刷機。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明による印刷機、印刷装置および印刷方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は本実施形態の印刷機100の模式図を示す。印刷機100は、転写ロール10と、複数の版ロール20とを備えている。ここでは、版ロール20として2つの版ロール20a、20bが設けられている。転写ロール10、版ロール20a、20bはいずれも回転可能である。例えば、転写ロール10、版ロール20a、20bはいずれも円柱形状または円筒形状を有しており、版ロール20a、20bはそれぞれ転写ロール10とほぼ外接するように、転写ロール10の周囲に設けられている。
【0021】
ここでは図示しないが、典型的には、転写ロール10の表面にはブランケットが設けられている。例えば、ゴム系材料から形成されたブランケットがコアの表面に巻かれている。
【0022】
版ロール20a、20bの表面は金属メッキで処理されている。典型的には、版ロール20a、20bには、所定のパターンに凹溝が形成されている。このパターンは、被印刷物Sに印刷される線・図形・模様その他に対応する。なお、版ロール20a、20bのパターンは互いに等しくてもよく、または、異なっていてもよい。
【0023】
なお、
図1では、転写ロール10の直径は版ロール20a、20bの直径よりも大きいが、転写ロール10の直径は版ロール20a、20bと等しくてもよい。なお、転写ロール10の直径は版ロール20a、20bの直径のほぼ整数倍であることが好ましい。例えば、転写ロール10の直径は200mmであり、版ロール20a、20bの直径は100mmである。また、
図1では、版ロール20aの直径は版ロール20bとほぼ等しいが、版ロール20aの直径は版ロール20bと異なってもよい。
【0024】
版ロール20aは、転写ロール10に導電性材料Daを含むインクKaを転写する。導電性材料Daは、例えば銀、銅、金、炭素、コバルト、チタン、ニッケル、アルミニウム等の単体またはその混合物である。
【0025】
版ロール20bは、導電性材料Dbを含むインクKbを、インクKaと少なくとも一部が重なるように転写する。導電性材料Dbは、導電性材料Daは、例えば銀、銅、金、炭素、コバルト、チタン、ニッケル、アルミニウム等の単体またはその混合物である。導電性材料Dbは、導電性材料Daと等しくてもよい。または、導電性材料Dbは、導電性材料Daと異なってもよい。また、例えば、導電性材料Da、Dbは一部に互いに異なる成分を含んでもよい。例えば、導電性材料Da、Dbのいずれか一方が混合物である場合、混合物のある導電性材料が他方の導電性材料に含まれており、混合物の別の導電性材料が他方の導電性材料に含まれていなくてもよい。また、導電性材料Da、Dbの両方が混合物である場合、導電性材料Daのある導電性材料が導電性材料Dbにも含まれているが、導電性材料Daの別の導電性材料は導電性材料Dbにも含まれていなくてもよい。
【0026】
例えば、導電性材料Da、Dbはいずれも銀である。あるいは、導電性材料Dbが銀であり、導電性材料Daは銅である。なお、導電性材料Dbは好適には被印刷物Sの表面を形成する材料に応じて選択される。例えば、表面がシリコンから形成される場合、導電性材料Dbとして銀を用いることにより、接触抵抗を抑制することができる。典型的には、導電性材料Da、Dbとして抵抗率の低い金属材料が用いられる。
【0027】
その後、転写ロール10から、被印刷物Sに、積層されたインクKa、Kbが転写される。例えば、被印刷物Sは基板である。なお、インクKa、Kbは、それぞれ、版ロール20a、20bに形成されたパターンに対応している。このような印刷はオフセット印刷とも呼ばれる。
【0028】
その後、インクKaから導電層L2が形成され、インクKbから導電層L1が形成され、これにより、導電層L1、L2を含む積層構造Lが形成される。典型的には、インクKa、Kbは、それぞれ加熱されることによって導電層L2、L1となる。例えば、積層構造Lは電極として用いられる。
【0029】
本明細書において、版ロール20a、20bをそれぞれ第1版ロール20a、第2版ロール20bと呼ぶことがあり、導電性材料Da、Dbをそれぞれ第1導電性材料Da、第2導電性材料Dbと呼ぶことがあり、インクKa、Kbをそれぞれ第1インクKa、第2インクKbと呼ぶことがある。ここでは、導電層L2の幅は導電層L1の幅とほぼ等しい。
【0030】
本実施形態の印刷機100では、転写ロール10に対して、複数の版ロール20a、20bが設けられており、これにより、印刷機100の設置スペースが狭くても、積層された導電層L1、L2を形成することができる。このような積層構造Lは、幅が狭くても比較的大きい断面積を有するため、低抵抗を実現することができる。
【0031】
また、導電層L2が導電層L1の導電性材料Dbとは異なる導電性材料Daを含む場合、基板Sの表面に実質的に影響されることなく導電性材料Daを選択することができ、電極Lの設計の自由度を向上させることができる。例えば、基板Sに、銀を含む導電層L1、および、銅を含む導電層L2が積層しており、電極L自体の高抵抗化を抑制しつつ高価な銀の使用量を減少させることができる。
【0032】
以下、
図2を参照して、本実施形態の印刷方法を説明する。
【0033】
図2(a)に示すように、版ロール20aは転写ロール10に導電性材料Daを含むインクKaを転写する。なお、転写ロール10および版ロール20aはそれぞれ等しい速度で回転している。
【0034】
回転する版ロール20aの上のインクKaが転写ロール10と接触すると、インクKaは転写ロール10に転写される。例えば、インクKaは、粒子状の導電性材料Daおよびビヒクルを有しており、ビヒクルは樹脂および溶剤を含む。インクKaは適度なチクソ性を有している。上述したように、導電性材料Daは銀、銅、金、炭素、コバルト、チタン、ニッケル、アルミニウム等の単体または混合物である。樹脂はバインダ樹脂とも呼ばれる。バインダ樹脂として、例えば、アクリル系ペーストやウレタン系などのいわゆる無機系樹脂が用いられる。溶剤として、例えば、テルピネオール、トルエン、キシレンが用いられる。または、溶剤として、混合溶剤(例えば、ポリピレン、グリコール、メチレン、エーテルおよびアセテートの混合物)を用いてもよい。
【0035】
図2(b)に示すように、版ロール20bは導電性材料Dbを含むインクKbを、インクKaと少なくとも一部が重なるように転写する。具体的には、回転する版ロール20bの上のインクKbが転写ロール10と接触すると、インクKbは転写ロール10に転写される。このとき、インクKbは、インクKaと少なくとも一部が重なるように転写される。ここでは、インクKbはインクKaの上に積層するように、版ロール20a、20bのパターン、および、転写ロール10、版ロール20a、20bの回転速度および位相は設定されている。
【0036】
上述したように、導電性材料Dbは導電性材料Daと等しくても、異なってもよい。あるいは、導電性材料Dbは導電性材料Daと少なくとも一部が異なってもよい。また、例えば、インクKbは、粒子状の導電性材料Dbおよびビヒクルを有しており、ビヒクルは樹脂および溶剤を含む。インクKbのビヒクルはインクKaと同一であってもよく、あるいは、インクKbのビヒクルはインクKaと同様であってもよい。
【0037】
図2(c)に示すように、転写ロール10は、積層されたインクKa、Kbを基板Sに印刷する。典型的には、その後、インクKa、Kbは加熱される。加熱温度は、例えば、500℃以上850℃以下である。インクKaの焼成により、導電性材料Daを含む導電層L2が形成され、インクKbの焼成により、導電性材料Dbを含む導電層L1が形成される。
【0038】
図3に、本実施形態の印刷装置200の模式図を示す。印刷装置200は、印刷機100と、被印刷物Sを搬送するコンベア210とを備える。印刷装置200は加熱装置220をさらに備えてもよい。
【0039】
まず、回転するコンベア210の上に被印刷物Sが載置され、コンベア210は被印刷物Sを搬送する。コンベア210によって搬送された被印刷物Sが印刷機100の下に到達すると、印刷機100は基板SにインクKa、Kbを印刷する。
【0040】
その後、コンベア210はインクKa、Kbの積層された被印刷物Sを加熱装置220に搬送する。被印刷物Sは加熱装置220内において加熱され、インクKa、Kbが焼成される。これにより、インクKa、Kbが固化される。このため、インクKa、KbはペーストKa、Kbとも呼ばれる。焼成により、インクKaから導電性材料Daを含む導電層L2が形成され、インクKbから導電性材料Dbを含む導電層L1が形成される。以上のようにして積層構造の導電層L1、L2を有する積層構造Lが形成される。例えば、被印刷物Sは基板であり、積層構造Lは、基板Sを有するパネルの電極として用いられる。
【0041】
以下、
図4を参照してパネル300を説明する。パネル300は、基板Sと、基板Sの表面Saの上に設けられた積層構造Lとを備える。ここでは、積層構造Lは2層構造の電極として用いられており、電極Lは、基板Sの表面Saに接する導電層L1と、導電層L1の上に設けられた導電層L2とを有している。
【0042】
なお、
図4では、電極Lは分離されて示されているが、これらの電極Lは別の個所において電気的接続されており、電極Lのそれぞれの電位は互いにほぼ等しくてもよい。また、
図4では断面を示しているが、電極Lは所定の方向に延びている。
【0043】
パネル300はソーラーパネルとして好適に用いられる。以下においてパネル300の一例としてソーラーパネルを例示して説明する。ただし、パネル300は、タッチパネル、電磁波防止パネル、有機ELパネル等であってもよい。
【0044】
ここでは図示していないが、基板Sは光電変換層を有している。例えば、基板Sはシリコン基板であり、基板Sは、p型シリコン層およびn型シリコン層を有している。具体的には、光電変換層はアモルファスシリコンを含んでもよく、あるいは、光電変換層は結晶性シリコンを含んでもよい。例えば、光電変換層は単結晶シリコン、多結晶シリコンまたは微結晶シリコンを含んでもよい。または、光電変換層は無機化合物材料を含んでもよい。光電変換層は、InGaAs、GaAs、カルコパイライト系、Cu2ZnSnS4、CdTe−CdSを含んでもよい。あるいは、光電変換層は有機化合物を含んでもよい。また、パネル300をソーラーパネルとして用いる場合、パネル300は複数個まとめて配列されてもよい。
【0045】
図5に、パネル300の模式的な上面図を示す。電極Lは、バスバー電極Lsと、フィンガー電極Ltとを有しており、電極Lは集電極とも呼ばれる。バスバー電極Lsからフィンガー電極Ltが延びており、典型的には、フィンガー電極Ltは一定のピッチで配列される。一般に、バスバー電極Lsの幅はフィンガー電極Ltの幅よりも大きい。なお、
図4は、
図5の4−4’線に沿った断面に相当している。
【0046】
例えば、パネル300は、主面の長さおよび幅がそれぞれ170mmの矩形状である。また、例えば、バスバー電極Lsの幅は2mmから3mmであり、フィンガー電極Ltの幅は15μm以上70μmである。フィンガー電極Ltのピッチ(すなわち、あるフィンガー電極Ltの中心と、それに隣接するフィンガー電極Ltの中心との間の距離)は2mmである。なお、パネル300は、基板Sの表面Saに設けられた電極Lだけでなく基板Sの裏面に設けられた電極(図示せず)をさらに備えてもよい。この電極は基板Sの裏面全体を覆うように設けられている。例えば、この電極はアルミニウムから形成される。
【0047】
なお、
図1に示した印刷機100において版ロール20a、20bがバスバー電極Lsおよびフィンガー電極Ltの両方に対応しており、転写ロール10には、バスバー電極Lsおよびフィンガー電極Ltを含む電極Lに対応するインクが転写されてもよい。あるいは、版ロール20a、20bの一方がバスバー電極Lsおよびフィンガー電極Ltの一方に対応し、版ロール20a、20bの他方がバスバー電極Lsおよびフィンガー電極Ltの他方に対応してもよい。例えば、版ロール20aはフィンガー電極Ltに対応し、版ロール20bがバスバー電極Lsに対応してもよい。
【0048】
また、
図4では、導電層L2(インクKa)の幅は導電層L1(インクKb)の幅とほぼ等しかったが、本発明はこれに限定されない。導電層L2(インクKa)の幅は導電層L1(インクKb)の幅と異なっていてもよい。
【0049】
例えば、
図6に示すように、導電層L2の幅は導電層L1よりも大きくてもよい。この場合、導電層L2は、導電性材料Daとして、透明導電性材料を含んでいることが好ましい。例えば、透明導電性材料は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)である。または、透明導電性材料は、酸化亜鉛または酸化スズであってもよい。例えば、透明導電性材料は、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Aluminium Zinc Oxide:AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(Fluorine doped tin oxide:FTO)、またはアンチモンドープ酸化スズ(Antimony Tin Oxide:ATO)の単体、あるいはこれらの混合物であってもよい。導電層L2は導電層L1の少なくとも一部を覆っており、導電層L2は、導電層L1の少なくとも一部の酸化を防止する。このため、導電層L2は酸化防止層として機能する。
図1に示した印刷機100において、インクKa(すなわち、版ロール20aの溝)の幅をインクKb(すなわち、版ロール20bの溝)の幅よりも大きくすることにより、
図6に示したように、導電層L2の幅を導電層L1の幅よりも大きくすることができる。
【0050】
なお、
図6では、導電層L2が導電層L1を覆うように設けられており、少なくとも積層構造Lのある断面において導電層L2の幅は導電層L1よりも大きかったが、本発明はこれに限定されない。少なくとも積層構造Lのある断面において導電層L2(インクKa)の幅は導電層L1(インクKb)よりも小さくてもよい。
【0051】
図7(a)に、少なくともある領域において導電層L2の幅が導電層L1の幅よりも小さいパネル300を示す。このパネル300において、x方向に延びる導電層L1、L2の幅(y方向に沿った長さ)を比べると、導電層L2の幅は導電層L1よりも小さい。パネル300は、例えばソーラーパネルである。この場合、
図5に示したバスバー電極Lsおよびフィンガー電極Ltのいずれもが導電層L1を有しているのに対して、フィンガー電極Ltには導電層L2が選択的に設けられている。具体的には、フィンガー電極Ltのうちバスバー電極Lsの近傍部分において導電層L2が設けられており、フィンガー電極Ltの中央部分には導電層L2が設けられていない。このため、フィンガー電極Ltのうちのバスバー電極Lsに近い部分の断面積はバスバー電極Lsから遠い部分の断面積よりも大きい。基板Sにおいて形成されたキャリアは近傍に位置する電極Lを介して取り出され、フィンガー電極Ltのうちバスバー電極Lsに近い部分における電流が増大する。隣接する2つのバスバー電極Lsと電気的に接続されたフィンガー電極Ltにおいて、バスバー電極Lsの近傍部分の断面積がフィンガー電極Ltの中央部分の断面積よりも大きいことにより、電流の取り出し効率を低減させることなくフィンガー電極Ltのための材料コストの低減を図ることができる。
【0052】
また、
図7(b)に示すように、フィンガー電極Ltのうち、隣接するバスバー電極Lsの間の中央部分の幅(y方向に沿った長さ)は、バスバー電極Lsの近傍部分の幅よりも小さくてもよい。このように、フィンガー電極Ltのうちのバスバー電極Lsの近傍部分の断面積を中央部分の断面積よりも大きくすることにより、電流の取り出し効率を低減させることなく材料コストの低減を図ることができる。さらに、ソーラーパネルの開口面積を増大させることができ、電流を効率的に発生させることができる。
【0053】
なお、上述した説明では、印刷機100は、2つの版ロール20a、20bを備えていたが、本発明はこれに限定されない。印刷機100は3以上の版ロールを備えてもよい。
【0054】
図8に、本実施形態の印刷機100の模式図を示す。印刷機100は、転写ロール10と、3つの版ロール20a、20b、20cとを備えている。版ロール20a、20bのそれぞれは、
図1を参照して上述した版ロール20a、20bと同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
【0055】
版ロール20cは、導電性材料Dcを含むインクKcを、インクKbと少なくとも一部が重なるように転写する。なお、上述したように、インクKbはインクKaと少なくとも一部が重なるように転写されている。導電性材料Dcは、例えば銀、銅、金、炭素、コバルト、チタン、ニッケル、アルミニウム等の単体またはその混合物である。導電性材料Dcは、導電性材料Da、Dbと等しくてもよく、あるいは、導電性材料Da、Dbと異なってもよい。このように、印刷機100が3つの版ロール20a、20b、20cを備えることにより、3つの導電層L1、L2、L3を含む積層構造Lを簡便に作製することができる。
【0056】
なお、
図8には、3個の版ロール20a、20b、20cを備える印刷機100を示したが、印刷機100は4以上の版ロールを備えてもよい。
【0057】
ただし、印刷機100の版ロール20の数が多すぎると、以下のような問題が生じることがある。例えば、
図8に示したように、印刷機100が3つの版ロール20a、20b、20cを備える場合、インクは版ロール20から転写ロール10に適切に移動せず、版ロール20に戻ることがある。3つの版ロール20a、20b、20cのうち、転写ロール10に最後にインクを転写する版ロール20cはインクKcを転写ロール10に転写できず、インクKcが版ロール20cに戻ることがある。また、版ロール20cのインクKcがインクKaまたは転写ロール10と接触することなくインクKbの上のみに積層される場合、インクKcは版ロール20cに戻ることがある。
【0058】
このように、インクKcが戻るのは、インクKcに対するインクKbの濡れ性がそれほど高くないためと考えられる。これは、インクKbの濡れ性が、転写ロール10に転写された後、乾燥によって低下したためと考えられる。また、一般に、転写ロール10の濡れ性は基板Sよりも低いため、インクは、転写ロール10から基板Sに転写されるが、転写ロール10自体が、インクをはじきやすく、比較的低い濡れ性を示すことにも起因していると考えられる。
【0059】
なお、単純に、転写ロール10の濡れ性を向上させると、インクKcが版ロール20cに戻ることを抑制できるが、この場合、インクが基板Sに転写しにくくなって転写ロール10上に大量に残ったり、転写ロール10上においてインクが境界部分で混ざってしまい、転写を適切に行うことができないことがある。このため、転写ロール10の濡れ性を変化させることなく、インクが転写ロール10に戻ることを抑制することが好ましい。このようなインクの版ロール20への戻りは、典型的には、印刷機100内の版ロール20の数が2個の場合にはほとんどおこらず、印刷機100内の版ロール20の数が3個の場合にはまれに生じ、印刷機100内の版ロール20の数が4以上になると、生じやすい。
【0060】
また、
図7(a)および
図7(b)を参照して上述したように、基板Sに対して下方の導電層(
図7(a)、
図7(b)では導電層L1)に対して上方の導電層(
図7(a)、
図7(b)では導電層L2)の幅を小さくする場合、印刷機100内の版ロール20の数が3個、特に4個以上になると、転写ロール10に転写した際に、インクの形状がつぶれやすい。
【0061】
以上のような観点から、印刷機100内の版ロール20の数はそれほど多くないことが好ましい。例えば、印刷機100内の版ロール20の数は2個または3個であることが好ましい。
【0062】
図9に、本発明による印刷機100の実施形態の模式図を示す。この印刷機100において、インクは、上部から版ロール20a、20bに垂らされる。具体的には、インクKaは上部から版ロール20aに垂らされ、インクKbは上部から版ロール20bに垂らされる。
【0063】
この印刷機100において、版ロール20aの周囲には、版ロール20aと接触するようにスクレーパ32aが設けられている。版ロール20aの外周面に垂らされたインクのうちの余分なインクはスクレーパ32aによって版ロール20aの外周面から除去される。なお、スクレーパ32aはエアシリンダに取り付けられており、版ロール20aに対するスクレーパ32aの圧力は、エアシリンダによって調整される。エアシリンダは保持部材33aに取り付けられ、保持部材33aは、ベアリングメタルによって回転および摺動可能である。スクレーパ32aの摺動により、版ロール20aとスクレーパ32aとの接触領域を移動させることができ、摩耗時間を延ばし、インクの筋の発生を抑制することができる。また、同様に、版ロール20bの周囲には、版ロール20bと接触するようにスクレーパ32bが設けられている。スクレーパ32bを調整するエアシリンダも保持部材33bに取り付けられている。
【0064】
印刷機100は、クリーニングロール34をさらに備える。クリーニングロール34により、転写ロール10が被印刷物Sに印刷を行った後に転写ロール10に残ったインクを除去することができる。なお、クリーニングロール34は、転写ロール10よりもインクKa、Kbに対して高い濡れ性を示すことが好ましい。
【0065】
なお、
図9に示した印刷機100では、インクは、版ロール20a、20bの上部から垂らされることによって供給されたが、インクの供給はこれに限定されない。インクはインク貯めから供給されてもよく、または、インクはノズルから版ロールに向かって噴出されてもよい。
【0066】
なお、
図3を参照して上述した説明では、印刷装置200は1つの印刷機100を備えていたが、本発明はこれに限定されない。印刷装置200は複数の印刷機100を備えてもよい。
【0067】
図10に、本実施形態の印刷装置200の模式図を示す。印刷装置200は、2つの印刷機100a、100bを備えている。印刷機100aは導電層L1、L2の積層された積層構造Laを被印刷物Sに転写し、印刷機100bは導電層L3、L4の積層された積層構造Lbを積層構造Laの少なくとも一部と重なるように転写する。
【0068】
印刷機100aは、転写ロール10aと、版ロール20a、20bとを備えている。印刷機100bは、転写ロール10bと、版ロール20c、20dとを備えている。
【0069】
なお、印刷機100aは、
図3を参照して上述した印刷機100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。また、印刷機100bは、印刷機100aと同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。なお、印刷機100bの版ロール20c、20dのパターンは所定の形状と整合するように形成されている。なお、導電層L3、L4に含まれる導電性材料は互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。また、導電層L3、L4に含まれる導電性材料は、導電層L1、L2に含まれる導電性材料と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
なお、
図10に示した印刷装置200は2つの印刷機100a、100bを備えていたが、本発明はこれに限定されない。印刷装置200は3以上の印刷機を備えてもよい。
【0071】
また、上述した説明において、パネル300としてソーラーパネルを例示したが、本発明はこれに限定されない。パネル300は、タッチパネル、有機ELパネルまたは電磁波防止パネルであってもよい。
【0072】
また、上述した説明では、積層構造Lは導電層から構成されたが、本発明はこれに限定されない。積層構造は、導電層に加えて絶縁層を有していてもよい。例えば、
図1に示した印刷機100において、版ロール20aは導電性材料を含むインクを転写し、版ロール20bは絶縁性材料を含むインクを転写してもよい。この場合、版ロール20aに形成されるパターンは、版ロール20bに形成されるパターンと異なることが好ましい。
【0073】
図11に、パネル300の模式図を示す。パネル300は、基板Sと、基板Sの表面Saの上に設けられた積層構造Lとを備える。ここでは、積層構造Lは、基板Sの表面Saに接する導電層L1と、導電層L1を覆う絶縁層L2とを有している。
【0074】
このような印刷機100は半導体装置の作製に好適に用いられる。なお、
図1に示した印刷機100において、版ロール20a、20bの少なくとも一方が導電性材料を含むインクを転写することにより、トランジスタを作製することができる。
【0075】
また、印刷機100は、積層セラミックコンデンサの作製に用いられる。積層セラミックコンデンサは、例えば、
図8に示した印刷機100を用いて作製される。この場合、版ロール20aは導電性材料を含むインクを転写ロール10に転写し、版ロール20bは絶縁性材料を含むインクを転写ロール10に転写し、版ロール20cは導電性材料を含むインクを転写ロール10に転写する。これにより、コンデンサを作製することができる。以上のように印刷機100は電子機器の作製に好適に用いられる。
【0076】
一般に、転写ロール10のブランケットは転写ロール10の外周面全体にわたって設けられる。しかしながら、版ロール20の直径が転写ロール10よりも小さい場合、転写ロール10の外周面全体にブランケットを設けると、使用されない部分が存在し、ブランケットを有効に利用することができないことがある。このため、ブランケットは転写ロール10の外周面に分離して設けられてもよい。
【0077】
図12に、転写ロール10の模式図を示す。転写ロール10は、コア12と、複数のブランケット14とを有している。例えば、コア12は、鉄、アルミ、または、強度の高いプラスチック(例えば、熱硬化性樹脂、一例としてベークライト)から形成される。例えば、コア12は、円筒形状の2つの底面(平面)のそれぞれから延びるシャフト(図示せず)を有しており、転写ロール10は両端で保持されたシャフトとともに回転する。または、コア12は円筒形状を有しており、コア12の内周面にシャフト(図示せず)を取り付けられた転写ロール10がシャフトとともに回転してもよい。
【0078】
ブランケット14はコア12に支持される。具体的には、ブランケット14は、コア12の外周面12tの一部を覆うように設けられており、ブランケット14は互いに分離して設けられている。転写ロール10は、コア12の中心を回転軸として回転する。例えば、ブランケット14の厚さは6mm以上である。
【0079】
このように、ブランケット14がコア12の外周面12tの一部に設けられる場合、転写ロール10の半径は回転中心からの方向に応じて異なる。具体的には、回転軸からブランケット14の表面までの距離は、回転軸からブランケット14の設けられていないコア12の外周面12tまでの距離よりも長い。これらの距離の差が大きいと、被印刷物Sの凹面が比較的深くても印刷を適切に行うことができる。また、被印刷物Sの凹面への印刷は、必要に応じて平坦な底面を有する平坦化部材の上に被印刷物Sを置いた状態で行われる。なお、転写ロール10のうちブランケット14の設けられた部分の半径とブランケット14の設けられていない部分の半径との差を大きくするために、段差が設けられてもよい。段差により、回転軸からの距離の差をさらに大きくすることができ、被印刷物Sの凹面が比較的深くても、ブランケット14と被印刷物Sとが印刷面以外で接触(衝突)することが抑制され、印刷を適切に行うことができる。例えば、被印刷物Sは自動車のリアウィンドウであってもよい。
【0080】
図13に、転写ロール10の模式図を示す。ここでは、コア12の半径はほぼ一定であるが、ブランケット14の表面14tに段差が設けられている。具体的には、ブランケット14は、厚さt1の領域14uと、厚さt1よりも大きい厚さt2の領域14vとを有している。ここで、厚さは回転軸方向に対して垂直な断面におけるコア12の外周面12tとブランケット14の表面14tとの間の間隔である。このように、ブランケット14に段差を設けることにより、被印刷物Sの凹面が比較的深くても印刷を適切に行うことができる。
【0081】
なお、
図13に示した転写ロール10では、ブランケット14に段差が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。
【0082】
図14に、転写ロール10の模式図を示す。ここでは、ブランケット14の厚さはほぼ一定であるが、コア12の外周面12tに段差が設けられている。具体的には、コア12は、半径r1の領域12uと、半径r1よりも大きい半径r2の領域12vとを有している。ここで、半径は回転中心からコア12の外周面12tまでの距離である。
図14では、ブランケット14は、半径r1よりも大きい半径r2の領域12vに設けられている。このように、コア12に段差を設けることにより、被印刷物Sの凹面が比較的深くても印刷を適切に行うことができる。
【0083】
なお、
図13および
図14に示した転写ロール10では、コア12の外周面12tおよびブランケット14の表面14tの一方に段差が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。コア12の外周面12tおよびブランケット14の表面14tの両方に段差が設けられてもよい。
【0084】
また、
図12から
図14に示したようにコア12の外周面12tに直接ブランケット14を設けた場合、摩耗および劣化したブランケット14の交換が困難なことがある。この場合、コア12とブランケット14との間に別の部材を設けることにより、ブランケット14の交換を容易にすることができる。
【0085】
図15に、本実施形態の印刷機100における転写ロール10の模式図を示す。転写ロール10は、コア12と、ブランケット14と、ベース16とを備えている。ベース16は、例えばスチールまたはアルミニウムから形成される。ここでは、ブランケット14は、ベース16を介してコア12に支持される。回転軸に垂直な断面において、ブランケット14およびベース16の厚さはほぼ一定であり、コア12の半径もほぼ一定である。
【0086】
ベース16は、内周面16sおよび外周面16tを有している。例えば、ベース16は円筒形状であり、ベース16の内周面16sは、コア12の外周面12tに対応する形状を有している。
【0087】
ここでは、ベース16は2つのベース部16aを有している。互いに隣接するベース部16aは接触しているが、ベース部16aは分離可能である。各ベース部16aは半円筒形状であり、各ベース部16aは内周面16asおよび外周面16atを有している。例えば、ベース部16aは金型を用いて作製される。
【0088】
ここでは、2つのブランケット14は、2つのベース部16aの外周面16atにそれぞれ設けられている。ブランケット14は、ベース部16aの外周面16atの一部を覆い、かつ、互いに隣接するベース部16aの境界を覆わないように設けられている。また、ここで、ブランケット14およびベース部16aの中心角(回転軸方向に平行な方向から回転軸方向に垂直な断面を見た場合の中心角)に着目すると、ブランケット14に対応する中心角はベース部16aに対応する中心角よりも小さい。ブランケット14とベース部16aとは一体的に取り扱い可能である。
【0089】
ブランケット14およびベース部16の接着は、例えば以下のように行われる。所定の形状に切り出されたブランケット14がベース部16aの外周面16atに貼り付けられる。この場合、ブランケット14は、ベース部16aと接着性の高い材料から形成されることが好ましい。
【0090】
あるいは、金型にベース部16aを設置した後に、ブランケットの材料(例えば、ゴム)を金型内の所定の空間に流し込み、成形することによってブランケット14を作製してもよい。この場合、ブランケット14は、ベース部16aと一体的に作製される。なお、ブランケットの材料の流し込みは、真空下で行うことが好ましい。また、ブランケット14がシリコーンゴムから形成される場合、ベース部16aの外周面16atにブランケット14を形成する前に、カップリング剤を塗布してもよい。カップリング剤をベース部16aの外周面16atに塗布することにより、ベース部16aの外周面16atが改質し、ブランケット14とベース部16aとの接着性が向上する。
【0091】
あるいは、ブランケット14およびベース部16aをそれぞれ作製した後に、ブランケット14をベース部16aに接着剤で接着させてもよい。ただし、この場合、ブランケット14とベース部16aとの界面に空気や異物によって凹凸が発生し、これに伴い、ブランケット14の表面に凹凸が発生することがある。このため、ブランケット14とベース部16aとの接着は上述したようにカップリング剤を用いて行うことが好ましい。
【0092】
図15に示した転写ロール10では、ブランケット14がベース部16aの外周面16atに設けられている。このため、ブランケット14およびベース部16aを取り外し、新たなブランケット14およびベース部16aを取り付けることにより、ブランケット14の交換を簡便に行うことができる。
【0093】
図16に、
図15に示した転写ロール10を備える印刷機100の模式図を示す。印刷機100は、転写ロール10と、版ロール20a、20bとを備える。転写ロール10、版ロール20a、20bはいずれも回転可能である。版ロール20a、20bは転写ロール10とほぼ外接するように、転写ロール10の周囲に設けられている。版ロール20a、20bのパターンは異なってもよいが、版ロール20a、20bのパターンはほぼ等しくてもよい。この場合、版ロール20a、20bの回転速度および位相を調整することにより、積層構造を形成することができる。
【0094】
図16では、転写ロール10の直径は版ロール20a、20bの直径よりも大きいが、転写ロール10の直径は版ロール20a、20bと等しくてもよい。なお、転写ロール10の直径は版ロール20a、20bの直径のほぼ整数倍であることが好ましい。
【0095】
版ロール20a、20bの直径に対する転写ロール10の直径の比は転写ロール10に設けられるブランケット14の数と等しい。例えば、転写ロール10の直径は版ロール20a、20bの直径の2倍であり、転写ロール10には2つのブランケット14が設けられている。ここでは、転写ロール10の直径はほぼ200mmであり、版ロール20a、20bの直径はほぼ100mmである。
【0096】
印刷機100の印刷は以下のように行われる。まず、版ロール20aはインク(図示せず)を転写ロール10の一方のブランケット14に転写し、次に、版ロール20bはインク(図示せず)を転写ロール10の同じブランケット14に転写する。例えば、版ロール20bは先に転写されたインクと少なくとも一部が積層するようにインクを転写する。その後、転写ロール10は、被印刷物Sに、積層されたインクを印刷する。なお、インクは、それぞれ、版ロール20a、20bに形成されたパターンに対応している。その後、典型的には、インクは加熱される。
【0097】
図17に、印刷機100を備える印刷装置200の模式図を示す。まず、回転するコンベア210の上に被印刷物Sが載置され、コンベア210は被印刷物Sを搬送する。コンベア210によって搬送された被印刷物Sが印刷機100の下に到達すると、印刷機100は被印刷物Sにインクを印刷する。
【0098】
その後、コンベア210はインクの積層された被印刷物Sを加熱装置220に搬送する。被印刷物Sは加熱装置220内において加熱され、インクが焼成される。これにより、インクが固化される。
【0099】
なお、版ロール20a、20bにはほぼ等しいパターンが設けられており、版ロール20a、20bのそれぞれが導電性材料を含むインクを互いに重なるように転写する場合、比較的細く、かつ、低抵抗の導電性積層構造を形成できる。例えば、版ロール20a、20bは、転写ロール10に導電性材料を含むインクを転写する。導電性材料は、例えば銀、銅、金、炭素、コバルト、チタン、ニッケル、アルミニウム等の単体またはその混合物である。なお、版ロール20a、20bのインクに含まれる導電性材料は互いに等しくてもよく、異なっていてもよい。このように、版ロール20a、20bから転写ロール10に転写されるインクを積層することにより、低抵抗の電極を形成することができる。
【0100】
コア12とベース16との固定は、固定部材を用いて行われてもよい。
図18に転写ロール10の模式的な断面を示し、
図19にこの転写ロール10の模式的な上面を示す。転写ロール10では、ベース部16aに貫通穴16oが設けられており、この貫通穴16oに固定部材16pを設けることによってベース16はコア12に固定される。例えば、コア12の外周面12tに、ねじ切りがされており、ベース16の固定はねじを用いて行われてもよい。ここでは、固定部材16pは、異なるブランケット14の間に配置されている。
【0101】
なお、
図15から
図19に示した転写ロール10では、ブランケット14は、ベース部16aの外周面16atの一部に設けられており、ブランケット14に対応する中心角はベース部16aに対応する中心角よりも小さかったが、本発明はこれに限定されない。
【0102】
図20(a)に示すように、回転軸方向に垂直な断面を見た場合、ブランケット14は、ベース部16aの外周面16atの全面にわたって設けられていてもよい。この場合、ブランケット14に対応する中心角はベース部16aに対応する中心角と等しい。また、この場合、
図20(b)に示すように、固定部材16pは、ブランケット14に対して回転軸方向に沿って両側に配置される。
【0103】
なお、ベース16のコア12への取り付け時および転写ロール10の使用時の位置ずれを抑制するために、コア12の外周面12tおよびベース16の内周面16sの一方に凸部を設け、他方に凸部と整合する凹部を設けてもよい。
【0104】
以下、
図21を参照して、コア12の外周面12tおよびベース16の内周面16sに凸部および凹部を設けた転写ロール10の一例を説明する。
図21に、転写ロール10のコア12とベース16との界面近傍の一部分解図を示す。
図21に示した転写ロール10において、回転軸は紙面と平行である。
【0105】
転写ロール10において、コア12の外周面12tに凸部12wが形成され、ベース16の内周面16sに凹部16wが形成される。コア12の外周面12tの凸部12wとベース16の内周面16sの凹部16wはほぼ同様のサイズで互いに整合する形状を有しており、これにより、コア12とベース16との位置ずれを抑制することができる。例えば、コア12の外周面12tの凸部12wは円柱形状または円筒形状の部材に対して旋盤で凸部を残すように削ることによって作製できる。
【0106】
なお、コア12の外周面12tの凸部12wおよびベース16の内周面16sの凹部16wは点状であってもよく、この場合、上記凸部12wおよび凹部16wは外周面12t、内周面16sにそれぞれ複数設けられてもよい。
【0107】
あるいは、コア12の外周面12tの凸部12wおよびベース16の内周面16sの凹部16wは線状であってもよい。このようなベース16の内周面16sの凹部は案内溝とも呼ばれる。上記凸部12wおよび凹部16wが転写ロール10の回転方向に沿って設けられている場合、印刷が被印刷物の搬送方向に対して直交する方向にずれることを抑制することができる。
【0108】
なお、上述した説明では、ベース16は2つのベース部16aから構成されていたが、本発明はこれに限定されない。
【0109】
図22に示すように、ベース部16は、3つのベース部16aを有してもよい。ここでは、3つのブランケット14が3つのベース部16aの外周面16atにそれぞれ設けられている。なお、このような転写ロール10を印刷機100(
図16参照)に用いる場合、版ロール20の数はブランケット14の数と等しく、かつ、版ロール20の数は、版ロール20の直径に対する転写ロール10の直径の比とほぼ等しいことが好ましい。
【0110】
また、転写ロール10におけるベース部16aの数は4以上であってもよく、ブランケット14の数は4以上であってもよい。また、上述した説明では、1つのベース部16aに1つのブランケット14が設けられていたが、1つのベース部16aに複数のブランケット14が設けられてもよい。
【0111】
なお、上述した説明では、互いに隣接するベース部16aは接触していたが、本発明はこれに限定されない。
図23に示すように、隣接するベース部16aは互いに接触しなくてもよい。
【0112】
また、ブランケット14がベース16の外周面16tの一部に設けられる場合、転写ロール10の半径は回転中心からの方向に応じて異なる。具体的には、回転軸からブランケット14の表面までの距離は、回転軸からブランケット14の設けられていないベース16の外周面16tまでの距離よりも長い。これらの距離の差が大きいと、被印刷物Sの凹面が比較的深くても印刷を適切に行うことができる。
【0113】
上述した説明では、コア12の半径、ブランケット14の厚さ、および、ベース16の厚さはそれぞれほぼ一定であったが、本発明はこれに限定されない。コア12の外周面12t、ブランケット14の表面、および、ベース16の外周面16tの少なくとも1つに段差が設けられてもよい。段差により、回転軸からの距離の差をさらに大きくすることができ、被印刷物Sの凹面が比較的深くても、ブランケット14と被印刷物Sとが印刷面以外で接触(衝突)することが抑制され、印刷を適切に行うことができる。
【0114】
図24に、転写ロール10の模式図を示す。ここでは、コア12の半径およびブランケット14の厚さはほぼ一定であるが、ベース部16aに段差が設けられている。具体的には、ベース部16aは、厚さt1の領域16a1と、厚さt1よりも大きい厚さt2の領域16a2とを有している。ここで、厚さは回転軸方向に対して垂直な断面におけるベース部16aの内周面16asと外周面16atとの間の間隔である。
図24では、ブランケット14は、厚さt1よりも大きい厚さt2の領域16a2に設けられている。このように、ベース部16aに段差を設けることにより、被印刷物Sの凹面が比較的深くても印刷を適切に行うことができる。
【0115】
図24に示した転写ロール10では、ベース16に段差が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。コア12に段差が設けられてもよい。
【0116】
図25に、転写ロール10の模式図を示す。ここでは、ブランケット14の厚さおよびベース16の厚さはほぼ一定であるが、コア12の外周面12tに段差が設けられている。具体的には、コア12は、半径r1の領域12uと、半径r1よりも大きい半径r2の領域12vとを有している。
図25では、ブランケット14は、半径r1よりも大きい半径r2の領域12vにベース16を介して設けられている。このように、コア12に段差を設けることにより、被印刷物Sの凹面が比較的深くても印刷を適切に行うことができる。なお、ブランケット14の交換の観点から、ブランケット14の設けられるベース部16aの中心角は、コア12の領域12vの中心角よりも小さいことが好ましい。
【0117】
なお、
図25に示した転写ロール10では、コア12に段差が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。ブランケット14に段差が設けられてもよい。
【0118】
図26に、転写ロール10の模式図を示す。ここでは、コア12の半径およびベース16の厚さはほぼ一定であるが、ブランケット14の表面14tに段差が設けられている。具体的には、ブランケット14は、厚さt1の領域14uと、厚さt1よりも大きい厚さt2の領域14vとを有している。ここで、厚さは回転軸方向に対して垂直な断面におけるベース16の外周面16tとブランケット14の表面14tとの間の間隔である。このように、ブランケット14に段差を設けることにより、被印刷物Sの凹面が比較的深くても印刷を適切に行うことができる。