(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検眼に対して斜めの方向から前記被検眼の前眼部にレーザー光線を照射するレーザー光源と、前記前眼部において散乱した前記レーザー光線の散乱光を受光して電気信号に変換する受光部と、前記電気信号から前記前眼部の光学特性を演算する演算部とを有し、前記被検眼の眼球の前部の光学特性を測定する眼科測定装置において、
前記被検眼に対して正面から被検眼に光を照射する第一の光源と、
前記被検眼を正面から撮影する第一の撮影手段と、
前記被検眼に対して第一の斜めの方向から被検眼に光を照射する第二の光源と、
前記被検眼に対して第二の斜めの方向から被検眼を撮影する第二の撮影手段と、
前記レーザー光源、前記受光部、前記第一及び第二の光源、及び前記第一及び第二の撮影手段のそれぞれと、前記被検眼との位置を相対的に調整する位置調整手段と、
前記第一及び第二の撮影手段が撮影した画像を表示するための表示部と、
前記第一又は第二の撮影手段から前記表示部への画像信号を切り替える切り替え部と、を有し、
前記第一の撮影手段により前記被検眼が撮影され、前記第一の光源からの光または、前記レーザー光源からのレーザー光線による輝点が前記表示部に表示される正面観察状態と、
前記第二の撮影手段により前記被検眼が撮影され、前記第二の光源からの光による輝点が前記表示部に表示される斜め観察状態と、
の少なくとも一方の観察状態において前記輝点の位置を移動させることで、前記位置調整手段によって、前記レーザー光源、前記受光部、前記第一及び第二の光源、及び前記第一及び第二の撮影手段のそれぞれと、前記被検眼との位置が相対的に調整され、
前記位置調整手段による調整が行われた後に、前記正面観察状態のまま前記被検眼の眼球の前部の光学特性の測定を開始する測定モードと、
前記位置調整手段による調整が行われた後に、前記斜め観察状態として前記被検眼の眼球の前部の光学特性の測定を開始する測定モードと、を選択可能であり、
前記いずれの測定モードにおいても、検者が自ら装置を操作して該測定を行なう手動測定と前記測定が自動に行なわれる自動測定とが選択可能であることを特徴とする眼科測定装置。
前記自動測定あるいは前記手動測定のいずれか一方が行なわれている際に、前記自動測定あるいは前記手動測定の他方に直接切り替え可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の眼科測定装置。
前記正面観察状態においては、前記第一の光源からの光または、前記レーザー光源からのレーザー光線による輝点の目標位置を示すアライメントマークが前記表示部に表示され、
該正面観察状態において、被検眼の瞳孔が小さくレーザー光源からのレーザー光線が瞳孔内に充分に入射されないと判断された場合に、前記アライメントマークの位置、大きさ、形状のうち少なくとも一を変更する小瞳孔対応手段をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の眼科測定装置。
前記正面観察状態と前記斜め観察状態のいずれの観察状態において、前記自動測定と前記手動測定と前記測定不可状態のいずれの測定態様を選択するかの組合せについて予め複数のバリエーションが登録されており、
前記複数のバリエーションのうちのいずれかを選択する選択手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の眼科測定装置。
【背景技術】
【0002】
前眼房内の蛋白濃度(フレア)や細胞(セル)数密度は、術後炎症を含む各種疾患の病状を反映する。これらを定量的に測定することは臨床上重要である。これらを定量的に測定する方法としては、被検者の前眼部にレーザー光源からレーザー光線を照射し、前眼部におけるレーザー光線の散乱光を受光部で受光して電気信号に変換し、この電気信号から前眼部の光学特性を求める方法が知られている。
【0003】
このような測定方法に用いられる測定装置としては、モニタ用受光部を設け、被検眼に照射したレーザー光線の散乱光の角膜の表面による虚像とレーザー光線の散乱光とをモニタ用受光部に受光し、前記虚像と前記散乱光との前記モニタ用受光部における位置にしたがって、前記レーザー光源及び前記受光部の位置の調整(アライメント)を行う眼科測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、投光系及び受光系の光学構成とは異なる角膜頂点を基準として、アライメントを行い、投光系及び受光系の光軸が被検眼内で交わる交点を角膜頂点から所定距離ずれた被検眼内の生体特性測定ポイントに設定する眼科測定装置が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、30°の角度で被検眼の前眼部にレーザー光線を照射する半導体レーザーと、60°の角度のレーザー光線の散乱光を受光して電気信号に変換する高感度受光素子と、電気信号から前眼部の光学特性を演算する演算部と、正面から被検眼に光を照射する赤外LEDと、被検眼を正面から撮影するCCDと、ほぼ30°の角度で被検眼に光を照射する赤外LEDと、60°の角度で被検眼を撮影するCCDとを測定部に一体的に設ける眼科測定装置が知られている。これにおいては、モニタに表示される、2つのCCDによる第一及び第二の虚像に基づき、架台を移動することによって被検眼と測定部との位置関係を調整する(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
上述した測定方法においては、光源及び受光部を含めた光学系と被検眼との位置の調整(アライメント)が終了した後に、レーザー光源からレーザー光線を被検眼の前眼部に照射し、前眼部におけるレーザー光線の散乱光を受光部で受光することにより、前眼部の光学特性を求めている。ここで、前眼部の光学特性の測定は自動測定により行われる場合が多いが、この自動測定においては、検者が意図したタイミングで測定動作が行われないなど、検者がストレスを感じることも多い。従って、基本的に自動測定を行う場合であっても、状況により検者が適宜手動測定を行えることが要請されていた。また、アライメントの方法についても、検者が適宜選択できることが要請されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑みて案出されたものであり、被検眼の前眼部の光学特性を測定する眼科測定装置において、アライメント方法や測定方法の組合せをより効率的に選択可能で、より自由度の高い測定が可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、被検眼に対して正面から光を入射するとともに被検眼を正面から撮影することでアライメントを行なうモードと、被検眼に対して斜め方向から光を入射するとともに被検眼を斜め方向から撮影することでアライメントを行なうモードとを選択可能であり、そのいずれのモードからでも、被検眼の前眼部の光学特性の測定を行なうことを可能としたことを最大の特徴とする。
【0010】
より詳しくは、被検眼に対して斜めの方向から前記被検眼の前眼部にレーザー光線を照射するレーザー光源と、前記前眼部において散乱した前記レーザー光線の散乱光を受光して電気信号に変換する受光部と、前記電気信号から前記前眼部の光学特性を演算する演算部とを有し、前記被検眼の眼球の前部の光学特性を測定する眼科測定装置において、
前記被検眼に対して正面から被検眼に光を照射する第一の光源と、
前記被検眼を正面から撮影する第一の撮影手段と、
前記被検眼に対して第一の斜めの方向から被検眼に光を照射する第二の光源と、
前記被検眼に対して第二の斜めの方向から被検眼を撮影する第二の撮影手段と、
前記レーザー光源、前記受光部、前記第一及び第二の光源、及び前記第一及び第二の撮影手段のそれぞれと、前記被検眼との位置を相対的に調整する位置調整手段と、
前記第一及び第二の撮影手段が撮影した画像を表示するための表示部と、
前記第一又は第二の撮影手段から前記表示部への画像信号を切り替える切り替え部と、
を有し、
前記第一の撮影手段により前記被検眼が撮影され、前記第一の光源からの光または、前記レーザー光源からのレーザー光線による輝点が前記表示部に表示される正面観察状態と、
前記第二の撮影手段により前記被検眼が撮影され、前記第二の光源からの光による輝点が前記表示部に表示される斜め観察状態と、
の少なくとも一方の観察状態において前記輝点の位置を移動させることで、前記位置調整手段によって、前記レーザー光源、前記受光部、前記第一及び第二の光源、及び前記第一及び第二の撮影手段のそれぞれと、前記被検眼との位置が相対的に調整され、
前記正面観察状態と前記斜め観察状態のいずれにおいても、前記調整の後に、前記被検眼の眼球の前部の光学特性を測定可能としたことを特徴とする。
【0011】
これによれば、被検眼に対して正面から光を照射して正面から観察するアライメント方法と、被検眼に対して斜め方向から光を照射して斜め方向から観察するアライメントの方法とを、より簡単に使い分けることができ、状況に応じてより高い自由度をもって、アライメントと測定とを行うことができる。その結果、状況に応じてより効率的にまたは精度の高い測定を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明においては、前記正面観察状態における前記光学特性の測定では、該測定が自動に行なわれる自動測定と、検者が自ら装置を操作して該測定を行なう手動測定と、該測定を
不可とする測定不可状態とを選択可能であり、前記斜め観察状態においては、前記測定が自動に行なわれる自動測定と、検者が自ら装置を操作して測定を行なう手動測定とを選択可能にしてもよい。また、本発明においては、前記自動測定あるいは前記手動測定のいずれか一方が行なわれている際に、前記自動測定あるいは前記手動測定の他方に直接切り替え可能としてもよい。これにより、自動測定と手動測定とを適宜組み合わせつつ、検者の使い勝手が良く、より効率的でストレスの少ない測定環境を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明においては、前記正面観察状態においては、前記第一の光源からの光または、前記レーザー光源からのレーザー光線による輝点の目標位置を示すアライメントマークが前記表示部に表示され、
該正面観察状態において、被検眼の瞳孔が小さくレーザー光源からのレーザー光線が瞳孔内に充分に入射されないと判断された場合に、前記アライメントマークの位置、大きさ、形状のうち少なくとも一を変更する小瞳孔対応手段をさらに有するようにしてもよい。
【0014】
ここで、被検眼の中には、散瞳が充分に大きくない小瞳孔のものが有り得る。被検眼がこの小瞳孔である場合は、測定用のレーザー光線が虹彩に当たってしまい、測定が困難になる場合があった。一般的には、このような場合には、アライメント位置を、通常の被検眼の場合と比較してずらす必要が生じる。従って、本発明においては、被検眼が小瞳孔である場合には、アライメントの基準マークの位置や大きさや形状を変更し、検者が適宜、アライメント位置を修正できるようにした。これによれば、例えば小瞳孔用スイッチを設けることで、より簡単に、小瞳孔の被検眼に対応することが可能となる。
【0015】
また、本発明においては、前記正面観察状態と前記斜め観察状態のいずれの観察状態において、前記自動測定と前記手動測定と前記測定不可状態のいずれの測定態様を選択するかの組合せについて予め複数のバリエーションが登録されており、
前記複数のバリエーションのうちのいずれかを選択する選択手段をさらに有するようにしてもよい。そうすれば、測定開始前に検者が、選択手段によって事前に適切なバリエーションを選択することで、アライメント及び測定作業中には、アライメント方法や測定方法について意識する必要がなくなる。その結果、測定の効率をより高めるとともに、測定の係る作業をより簡略化することができる。
【0016】
また、本発明においては、前記調整の結果が良好か否かを判定する判定手段をさらに備え、前記自動測定においては、前記判定手段によって前記調整の結果が良好と判断された場合に自動的に前記光学特性の測定が開始される方法と、測定ボタンの操作がなされている期間中に前記判定手段によって前記調整の結果が良好と判断された場合に自動的に前記光学特性の測定が開始される方法と、を選択可能としてもよい。これによれば、例えば前者の方法を選択することで、測定ボタンの操作という作業が不要になり測定作業をより簡潔にすることができる。また、例えば後者の方法を選択することで、レーザー光などの光が測定者の意図しない時に照射されることを防ぐことが可能になる。自動測定における測定方法を上記のいずれの方法にするかは測定者が任意に設定できるようにしておくと便利である。
【0017】
なお、本発明の眼科測定装置における第一及び第二の撮影手段は、第一及び第二の光源からの光の被検眼による反射光(虚像)を撮影することができ、レーザー光源からの光の被検眼による反射光(実像)を撮影できる手段であれば特に限定されない。第一及び第二の撮影手段としては、撮影した画像の処理や構成の簡易さの観点から、CCD画像センサ等の画像センサであってもよい。
【0018】
また、本発明では、レーザー光源、受光部、第一及び第二の光源及び撮影手段は、互いの相対位置を固定可能に設けられていることが前提である。これらの相対位置を固定することで、撮影手段と各々の光源との位置関係のずれを防止することができ、アライメントの再現性を確保することができる。
【0019】
また、本発明の眼科測定装置は、レーザー光源、受光部、第一及び第二の光源及び、第一及び第二の撮影手段を含む光学系と、被検眼との位置を相対的に調整する位置調整手段を有している。この位置調整手段は、光学系の位置を被検眼に対して調整する手段であっても良いし、光学系の位置は固定しておき被検者または被検者の顔の位置を調整する手段であっても良い。位置調整手段は、レーザー光源、受光部、第一及び第二の光源及び、第一及び第二の撮影手段を含む光学系を被検眼に対して相対的に移動自在な架台であることが、正確なアライメントを容易な操作で行う観点から好ましい。
【0020】
本発明の眼科測定装置は、第一及び第二の撮影手段が撮影した画像を表示するための表示部を有する。表示部には、画像や情報の表示に用いられる通常のディスプレー装置を用いることができる。表示部は、第一及び第二の光源からの光の被検眼による反射光(虚像)や、レーザー光源からの光の被検眼による反射光(実像)により、表示部に表示される輝点の最適の位置をさらに表示することが、正確で再現性の高いアライメントを行う観点から好ましい。本発明における前記輝点の最適の位置は、測定対象や測定部位に応じて異なるが、理論値として求めたものであっても良いし、経験若しくは実験から得られたものであっても良い。上記の最適の位置の表示は、画面上に付けられた印であっても良いし、画面中に映し出される像であっても良い。
【0021】
本発明の眼科測定装置は、第一及び第二の光源及びレーザー光源の光量及び撮影手段による被検眼の画像が記録される記録部をさらに有していても良い。このような記録部を有すると、先のアライメントの情報を次のアライメントに役立てることができ、正確で再現性の高いアライメントを行うことが可能となる。記録部には、情報の記録に用いられる通常の記憶装置を用いることができる。
【0022】
本発明の眼科測定装置が記録部を有する場合では、演算部は、被検眼の画像から前記輝点を抽出し、抽出された輝点の画像における位置の情報を記録部に記録するようにしてもよい。各々の輝点の抽出やその画像中の位置の特定は、公知の画像処理技術によって行うことができる。また、この場合には、本発明の眼科測定装置は、演算部に外部からデータを入力するための入力手段をさらに有していても良い。この場合には、演算部は、第一及び第二の光源の光量と、被検眼の画像又は前記輝点の位置の情報と、入力手段によって入力される種々のデータとを関連付けて記録部に記録することが可能である。これにより、測定されたデータをその後に役立つように整理し、活用することがより容易になる。入力手段によって入力される種々のデータは、被検者や被検眼を特定するものであれば特に限定されない。このようなデータとしては、例えば被検者の識別番号、及び被検眼が左右のいずれの眼球であるかを示す左右表示データ等が挙げられる。なお、記録部の一部又は全部、演算部の一部又は全部、及び入力手段には、市販のパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0023】
また、本発明の眼科測定装置において、位置調整手段が架台である場合では、この架台の位置によって測定に関する情報を決定することが可能である。このような架台の位置によって決定される情報としては、左右表示データや、被検者がアライメント可能な位置についたか否かの情報等が挙げられる。架台の位置によってこのような情報を決定することで、アライメントの操作や、データの入力等のアライメントに関連する操作をより容易にすることができる。
【0024】
また、本発明の眼科測定装置は、被検眼にレーザー光線を照射したときの散乱光から得られる、前眼房内の蛋白濃度や細胞数密度等の、前眼部の光学特性に依る種々の測定に用いることができる。
【0025】
なお、上記した本発明の課題を解決する手段については、可能なかぎり組み合わせて用いることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、被検眼の前眼部の光学特性を測定する眼科測定装置において、アライメント方法や測定方法の組合せをより効率的に選択可能で、より自由度の高い測定を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
<実施例>
本実施例における前眼部の測定装置は、
図1に示すように、固定台1と、固定台1の上を移動自在に設けられている架台2と、架台2の上に固定されている測定部3と、測定部3に固定されている表示部としてのモニタ4とを有する。
【0030】
固定台1には、パーソナルコンピュータに接続される通信ケーブル5が接続されており、架台2の位置を検出する架台位置検出器(
図1においては不図示)と、被検者の顔を支持する支持台(不図示)等が設けられている。架台2には、架台2の移動やアライメント時の各種操作を行うための操作手段としてのジョイスティック6と、モニタ4に表示される画像の切り替えを指示するための画面切替ボタン7とが設けられている。ジョイスティック6の頂部には、測定ボタン8が設けられている。
【0031】
測定部3には、モニタ4の他に、四つのファンクションボタン9と、図示しないプリンタと、このプリンタによって印刷された測定結果の印刷物を排出するための排紙口10と、アライメント用及び測定用の光学系と、アライメント用及び測定用の制御系とが設けられている。なお、モニタ4は、被検者に向き合った状態で測定者が画像を見ることができるように、被検者と正対する測定部3の背面に、被検者に対して後ろ向きに固定されている。
【0032】
アライメント用及び測定用の光学系は、
図2に示すように、被検眼Aに正面から光を照射する第一の光源としての赤外LED11と、カメラレンズ12を介して被検眼Aを正面から撮影する第一の撮影手段としてのCCD13と、被検眼Aに対して30°の斜めの方向(第一の斜めの方向)から被検眼Aに光を照射する第二の光源としての赤外LED14と、赤外LED14とは反対側で被検眼Aに対して60°の斜めの方向(第二の斜めの方向)から、対物レンズ15、ハーフミラー16、及びカメラレンズ17を介して被検眼Aを撮影する第二の撮影手段としてのCCD18と、コリメーティングレンズ19、回動自在なガルバノミラー20、及び被検眼Aに向けて光線を絞る投光レンズ21を介して、被検眼Aに対して30°の斜めの方向から被検眼Aにレーザー光線を照射するレーザー光源としての半導体レーザー22と、対物レンズ15、ハーフミラー16、受光レンズ23、シャッタ24、及び受光マスク25を介して、レーザー光線の被検眼Aにおける散乱光を受光する受光部としての高感度受光素子26とを有する。
【0033】
ハーフミラー16は、被検眼Aに対して60°の斜めの方向に反射又は散乱した光の一部をそのまま通過させ、一部を受光レンズ23に向けて反射する鏡である。本実施の形態では、ハーフミラー16に代えて孔あきミラーを用いても良い。受光レンズ23は、ハーフミラー16で反射した光を受光マスク25に向けて絞るレンズである。高感度受光素子26は、受光した光に応じて電気信号を発信する光電変換器である。
【0034】
アライメント用及び測定用の制御系は、
図2及び
図3に示すように、高感度受光素子26に接続され、高感度受光素子26からの電気信号から前眼部の光学特性を演算する演算部27と、CCD13及び18、及び演算部27のそれぞれが接続され、CCD13及び18からモニタ4への画像信号を赤外LED11及び14のオンオフに対応して切り替える切り替え部としての切り替え器28と、演算部27に接続されている記録部としての本体メモリ29とを有する。演算部27には、この他にも、赤外LED11及び14及び架台位置検出器30等がそれぞれ接続されている。切り替え器28はモニタ4と接続されている。
【0035】
測定部3には、これらの他にも、被検眼の視線を固定するための固視灯31と、排紙口10から排出される印刷物を印刷するためのプリンタ32とが設けられている。通信ケーブル5は、外部のパーソナルコンピュータ33に接続されている。パーソナルコンピュータ33には、外部プリンタ34、外部モニタ35、及び入力手段としてのキーボード36がそれぞれ接続されている。
【0036】
前述した眼科測定装置により前眼部の光学特性を測定する方法を、以下に説明する。この方法における全体の操作の流れを
図4に示す。
【0037】
まず、測定者は測定装置の電源を入れる。また、被検者が前記支持台に顔を載せる。架台2が所定の範囲を超えて移動する(例えば被検者側に引かれる)と、架台位置検出器30によって架台2の移動が検出される。
【0038】
<第一段階(XY方向粗アライメント)>
第一段階では、赤外LED11によって正面から被検眼Aに光を照射し、その状態で被検眼Aを正面からCCD13で撮影し、その画像をモニタ4に表示する。本実施例では、参照用光源である赤外LED11から照射された光の被検眼Aの角膜による虚像がモニタ4に第一の輝点(第一の虚像でもある。)Bとして表示される。そして、この第一の輝点Bの位置に基づいて、測定部3の光学系と被検眼Aの、XY方向の相対位置を調整する。具体的には、この第一の輝点の位置がモニタ4に目標位置として表示された指標に近づくように調整される。
【0039】
架台位置検出器30によって、架台2が予め定められた範囲以上に移動したことが検出されると、演算部27はアライメントの第一段階が始まったものと判断し、赤外LED11及び固視灯31を点灯する。これにより被検眼Aの視線は固定され、被検眼Aの前眼部が赤外光で照射される。この赤外光の照射により、モニタ4にはCCD13によって撮影された画像が表示される。また赤外LED11の点灯により、モニタ4に表示された被検眼Aの前眼部には光源である赤外LED11の虚像が映し出される。本実施例におけるアライメントのための光学系を
図5に示す。
図5において、赤外LED11から出射した光の前眼部における反射光(第1の反射光)はカメラレンズ12を通るが、その際、カメラレンズのレンズ筒が開口絞りになっている。なお、赤外LED11は、前眼部による虚像をモニタ4に映し出しアライメントの際に参照するための光源として用いられているが、同時に虹彩の照明ともなっている。
【0040】
赤外LED11を点灯すると、前述のようにモニタ4には被検眼Aの前眼部の画像と第一の輝点としての赤外LED11の虚像が表示される。この第一の輝点の位置に基づいて、被検眼Aと測定部3の光学系との位置関係を粗調整する。この調整は、ジョイスティック6を操作して架台2を移動させることによって行われる。測定部3の光学系と被検眼Aとの位置関係の粗調整としての良否は、
図6に示すように、第一の輝点Bの位置がモニタ4に設けられた指標37の近傍となっているか否かで判断する。第一の輝点に基づく被検眼Aと測定部3の光学系とのXY方向の位置関係が粗調整できたと測定者が判断したら、次に、第二段階としてのZ方向の位置関係の粗調整を行う。
【0041】
<第二段階(Z方向粗アライメント)>
第二段階では、測定部3の光学系と被検眼Aの、Z方向の相対位置を調整する。第一段階において、被検眼Aと測定部3の光学系とのXY方向の位置関係が粗調整できたと判断された場合には、次に、測定部3のXY方向の位置を維持しながら、第一の輝点の大きさが最も小さくなるように、ジョイスティック6の操作を行い、測定部3の光学系と被検眼Aの、Z方向の相対位置をおおまかに調整する。これは、測定部3の光学系において、第一の輝点が最も小さく表示される際に、半導体レーザー22からの出射されたレーザー光が測定点に集光するように、予め赤外LED11と半導体レーザー22の位置関係が設定されていることによる。
【0042】
<第三段階(アライメント微調整)>
第三段階では、半導体レーザー22から照射されるレーザー光を用いて正確なアライメントを行う。第二段階において測定者がZ方向の粗アライメントが完了したと判断したら測定ボタン8を押す。そうすると、演算部27は、半導体レーザー22を点灯させる。この際、半導体レーザー22は、測定時よりは弱い光量で発光するよう設定されている。また、演算部27は、ガルバノミラー20を回動させる。これにより、半導体レーザー22からのレーザー照射光が被検眼Aの所定範囲を走査する。この段階で、高感度受光素子26によってバックグラウンド値が測定される。このバックグラウンド値は、レーザー光の照射はあるが、未だ測定領域での走査が行われていない状態での信号強度である。
【0043】
その際、
図5に示すように、半導体レーザー22から照射されるレーザー光Eの、被検眼Aの角膜による反射光(第二の反射光)と水晶体による反射光(第三の反射光)とが、各々カメラレンズ12を通過してCCD13上に結像する。これが
図6に示すように、第二の輝点C及び第三の輝点Dとなってモニタ4上で観察される。なお、この際、レーザー光Eはガルバノミラー20の回動によって走査しているので、第二の輝点Cと第三の輝点Dは、走査方向に対応して水平方向に延びた直線状の輝点として、モニタ4上に表示される。そして、測定者は、第一の輝点Bがリング状の指標37の中に位置し、さらに、指標37が、水平方向(X方向)において、第二の輝点Cと第三の輝点Dとの間に位置するように、ジョイスティック6を用いて被検眼Aと測定部3の光学系との位置関係を微調整する。
【0044】
この際、第二の輝点Cと第三の輝点Dの最適位置の指標38、39がモニタ4上に表示されるので、第二の輝点Cと第三の輝点Dが各々指標38、39上に来るように、ジョイスティック6を用いて被検眼Aと測定部3の光学系との位置関係を微調整するとよい。また、この際、過去に同一の被検者、同一被検眼の測定環境データが保存してある場合には、所定のファンクションボタン9を押すことにより、該当するデータを基に観察する各光源の光量とモニタ4上の指標37、38、39の位置が決定されるようにしてもよい。
【0045】
演算部27は、レーザー光Eの照射位置によるバックグラウンド値の差や大小からアライメントの良否を判断し、アライメントが良好であると判断した場合には、例えば指標37,38,39の点滅速度や表示色を変える。これにより、測定者は測定可能な状態にあることを確認することができる。
【0046】
<第四段階(測定)>
アライメントの微調整が終了した後に被検眼Aの前眼部の光学特性の測定が行われる。演算部27は、実際に測定を行う直前に、第三段階終了時での赤外LED11及び半導体レーザー22の光量、モニタ4に映し出された第一の輝点B、第二の輝点C、第三の輝点Dの位置等のアライメントの情報を本体メモリ29に記録する。
【0047】
測定の開始は、自動的に行われる場合と、手動で行われる場合がある。さらに、自動的に行なわれる場合(自動測定モード)においては、二通りの測定方法が設定可能である。一つは、測定ボタンの操作が不要なタイプである。この方法では、自動測定において判定手段としての演算部27が、アライメントが充分良好であると判断したら、そのまま自動的に測定が開始される。この方法においては、2つの測定ボタン8等の手動での操作は不要である。また、測定者によって測定ボタン8が押されても機能しない。
【0048】
もう一つは、測定ボタン8の操作がなされている期間においてのみ、判定手段としての演算部27がアライメントが充分良好であると判断したら、そのまま自動的に測定が開始される方法である。この方法では、測定ボタン8を押しながらアライメント動作を行い、アライメントが充分良好であると演算部27が判断した時に自動的に測定が開始される。この方法は測定ボタン8の操作という作業が必要になるが、測定レーザーが測定者の意図しない時に照射されることを防ぐ利点がある。自動測定における測定方法を上記のいずれの方法にするかは測定者が任意に設定できるようにしておくと便利である。
【0049】
一方、手動測定においては、演算部27での判断に関わらず、測定者がアライメントの良好さを示す、モニタ4上の指標の点滅速度や表示色を参酌して、適当なタイミングで測定ボタン8を押すことによって測定を開始する。この自動測定と手動測定の詳細については後述する。
【0050】
測定が開始されると、半導体レーザー22から照射されるレーザー光Eの強度は測定用の強度に高められる。また、演算部27は、切り替え器28を介して、
図7に示すような測定ウインドウ40をモニタ4に表示する。測定ウインドウ40は、受光マスク25の開口幅によって決定される高感度受光素子26の受光範囲を示している。ガルバノミラー20の回動により、測定ウインドウ40を含む
図7中の枠41内にレーザー光Eが走査し、高感度受光素子26によって前眼部による散乱光Fが測定される。
【0051】
<第五段階(測定結果の表示)>
上記のいずれの測定モードの場合も、測定が終了すると、測定結果が本体メモリ29に記録され、モニタ4に測定結果が表示される。測定結果がモニタ4に表示された状態で所定のファンクションボタン9を押すと、測定結果がプリンタ32によって印刷され、排紙口10から印刷物が排出される。またここで、測定ボタン8を押すと、前記第四段階の状態に戻り、繰り返し測定することができる。被検眼Aの前眼部の光学特性の測定は、必要に応じて複数回行われる。なお、モニタ4に表示された測定結果の例については後述する。
【0052】
<第六段階(測定結果の一覧の表示)>
一回又は複数回の測定を行った後に画面切替ボタン7を押すと、測定結果の数値の一覧を示す表がモニタ4に表示される。また固視灯31が消灯する。測定結果がモニタ4に表示された状態で所定のファンクションボタン9を押すと、測定結果がプリンタ32によって印刷され、排紙口10から印刷物が排出される。また、測定結果の一覧がモニタ4に表示されている状態で所定のファンクションボタン9を押すと、測定結果のデータがパーソナルコンピュータ33に送られる。モニタ4に表示された測定結果の数値の一覧表の例については後述する。
【0053】
次いで、モニタ4には、測定結果のデータとともに前記第四段階におけるアライメントの情報を記録するかを確認する画面が表示される。この記録の要否は、ファンクションボタン9で操作して指定される。何も指定しない場合では、前記アライメントの情報は記録されず、測定結果のデータのみが本体メモリ29に記録される。
【0054】
測定結果のデータとともにアライメントの情報を記録することを指定すると、測定結果のデータと、アライメントに関係するデータと、被検者及び被検眼Aに関するデータとが、関連付けられて本体メモリ29に記録される。前記アライメントに関係するデータとしては、測定時に記録した赤外LED11及び赤外LED14の光量や、モニタ4に表示された画像中の第一の輝点B、第二の輝点C、第三の輝点D等を画像処理により抽出して得られる各像の位置とその輝度等である。また、前記被検者及び被検眼Aに関するデータとしては、被検者個人を識別する被検者ID、左右眼データ等である(
図8参照)。本体メモリ29に記録されたデータは、ファンクションボタン9で操作することにより、パーソナルコンピュータ33に送ることができ、パーソナルコンピュータ33で記録することができる。
【0055】
<再測定>
次に、架台2を大きく動かすと、又は測定ボタン8を押すことにより、モニタ4の表示は第一段階のものに戻る。このとき本体メモリ29の記録内容は消去されるが、誤消去防止のために、消してよいかを確認するメッセージがモニタ4に表示される。このときに所定のファンクションボタン9を押すと、本体メモリ29のデータが消去される。画面切替ボタン7を押すと、モニタ4の表示は第三段階のものに戻り、同一の被検眼Aの測定が行われる。この場合では本体メモリ29のデータは消去されない。
【0056】
<アライメントの別方法>
なお、上記の第三段階(アライメント微調整)においては、被検眼を正面から観察したまま、半導体レーザー22から照射されるレーザー光を用いて正確なアライメントを行った。この半導体レーザー22からのレーザー光を用いたアライメントの代わりに、あるいは、このアライメントに加えて、被検眼を斜め方向から観察しつつ赤外LED14からの光を用いてアライメントの微調整を行ってもよい。この場合の手順は以下のようになる。
【0057】
先ず、被検眼を照らす光源を、正面の光源から第一の斜め方向からの光源に切り替えると共に、被検眼の撮影を、正面の撮影から第二の斜め方向からの撮影に切り替え、被検眼に対して第一の斜めの方向から光が照射されている被検眼を、被検眼に対して第二の斜めの方向から撮影してその画像を表示部の表示し、表示部に表示される第二の虚像の位置に基づいて、レーザー光源及び受光部の位置と被検眼の位置とを相対的に調整する。また、レーザー光源が照射されている被検眼を、被検眼に対して第二の斜めの方向から撮影してその画像を表示部に表示し、表示部に表示されている、レーザー光線の散乱光による実像の位置に基づいて、レーザー光源及び受光部の位置と被検眼の位置とを相対的に調整する。そして、第二の虚像及び前記実像の最適の位置を表示部に表示し、これらの最適の位置に基づいて第二の虚像及び前記実像の位置を調整する。
【0058】
より具体的には、先ず画面切り替えボタンを押す。そうすると、赤外LED11が消灯し、赤外LED14が点灯する。さらに切り替え器28は、モニタ4に送られる画像信号を、CCD13からの画像信号からCCD18からの画像信号に切り替える。この際の赤外LED14によるアライメントの光学系を
図9に示す。赤外LED14も、赤外LED11と同様に、第二の虚像用の光源に加えて虹彩の照明用の光源を兼ねている。
【0059】
モニタ4には、
図10に示すように、CCD18で撮影された画像、すなわち被検眼を斜めから観察した画像が表示される。また、半導体レーザー22からは、レーザー光線が照射される。したがって、モニタ4に表示される画像には、赤外LED18による第二の虚像Gと、レーザー光線の照射による角膜での散乱光による実像Cとが、それぞれ輝点として表示される。第二の虚像G及び実像Cが指標42及び38に対する所定の位置に表示されるように、ジョイスティック6によって架台2を移動させる。このことにより、被検眼Aと測定部3の光学系との位置関係を微調整する。
【0060】
この場合でも、演算部27は、レーザー光Eの照射位置によるバックグラウンド値の差や大小からアライメントの良否を判断し、アライメントが良好であると判断した場合には、例えば指標38,42の点滅速度や表示色を変える。これにより、測定者は測定可能な状態にあることを確認することができる。以上のように、本実施例においては
図2に示した光学系をそのまま用いて、被検眼の斜め方向から光を照射するとともに斜め方向から観察することで、アライメントの微調整を行うことも可能である。
【0061】
<アライメント方法及び測定方法のバリエーション>
また、
図4においては、本実施例の眼科測定装置における基本的な測定フローについて説明したが、本実施例における眼科測定装置においては、アライメント方法及び測定方法について、種々のバリエーションを準備している。アライメント方法に関しては、正面観察によってアライメントと行うか斜め観察によってアライメントを行うかの他、小瞳孔など被検眼の特性に対応するためのバリエーションを設けている。測定方法については、自動測定を行うか手動測定を行うかを高い自由度で選択可能になっている。以下にそのバリエーションについて説明する。
【0062】
図11から
図13には、本実施例における眼科測定装置による測定フローを、モニタ4の表示を基準に記載したものを示す。本フローによれば、まず、S101において眼科測定装置のスイッチがONされる。そうすると、S102に進み、起動画面が表示された後、S103の画面が表示される。この画面は、被検眼を正面から観察した画面であり、
図6に示した指標37〜39が表示されている。この画面の下方には、モード選択サインと、小瞳孔対応がされているか否かを示すSPサインが表示されている。なお、ファンクションボタン9の四つのボタンのうち、これらのサインに該当するボタンを押すことで、表示されている機能を実行させたり、表示を切り替えたりすることができる(以下の説明では、便宜のため、例えば、“SPサインのボタンを押す”というように表現する。)。
【0063】
ここで、モード選択サインのボタンを長押しすると、S104の画面に進む。S104は、アライメントモード選択画面である。この画面に表示されているとおり、本実施例ではアライメントモードとして、正面アライメント自動測定モード1と、正面アライメント自動測定モード2と、正面アライメント手動測定モードと、斜めアライメントモードの、4つのモードが準備されている。
【0064】
また、各々のアライメントモードについて、自動測定を行うか手動測定を行うかの選択枝が予め設定されており、各々のアライメントモードの表示の横には設定された選択枝がそれぞれ表示されている。具体的には、正面アライメント自動測定モード1の場合には、正面観察状態及び斜め観察状態のいずれの状態でも自動測定となるように設定されている。正面アライメント自動測定モード2では、正面観察状態では自動測定、斜め観察状態では手動測定となるように設定されている。正面アライメント手動測定モードでは、正面観察状態及び斜め観察状態のいずれの状態でも手動測定となるように設定されている。斜めアライメントモードでは、正面観察状態においては測定不可、斜め観察状態においては手動測定となるように設定されている。
【0065】
S104の画面で検者は、いずれのアライメントモードでアライメントを行うかを、画面左下に表示されている矢印サインのボタンを押すことで選択する。
図11では、一例として、正面アライメント自動測定モード2が選択されている。このように、所望のアライメントモードを選択した後、画面右下に表示されているEnt.サインのボタンを押すことで決定する。S104の画面で、Ent.サインのボタンが押されると、S103の画面に戻る。S103の画面においてジョイスティック6のボタンを押すことで、モニタ4の表示は
図12のS105の画面に移る。
【0066】
S105の画面は、正面アライメント自動測定画面である。この画面が表示されている状態では、被検眼が正面から観察されてアライメントが行われるとともに、レーザー光Eの照射位置によるバックグラウンド値の差や大小からアライメントの良否が判断され、アライメントが良好であると判断した場合には、自動測定が行われる。画面右下には、正面アライメント自動測定モードであることが表示されている。また、画面下方には、4つのサインが表示されている。左からS103のTOP画面に戻るためのTOPサイン、自動測定モードと手動測定モードのいずれが選択されているかを示すオートマニュアルサイン、小瞳孔(SP)モードになっているか否かを示すン小瞳孔(SP)サイン、測定結果をリスト表示させるためのリスト表示サインである。また、それ以外に、この画面において自動測定が行われている最中でも、検者により測定ボタン8が押されれば、自動的に手動測定が行われる。
【0067】
ここで小瞳孔(SP)サインのボタンを押すと、画面はS106の小瞳孔モード画面に移る。ここで、被検眼が小瞳孔(被検眼の散瞳が充分に大きくない)である場合、レーザー光源22からのレーザー光線が虹彩に当たってしまい測定が困難になる場合がある。このような場合は、アライメントの位置を基準位置からシフトする必要がある。従って、小瞳孔モードでは、アライメント指標37が、S105の画面と比較して右側にシフトするとともに、大きさが大きくなっている。これにより、小瞳孔の場合には、輝点BをS106のアライメント指標37に併せることで、良好な測定が可能とすることができる。小瞳孔モードでアライメントが終了すると、小瞳孔(SP)サインのボタンを再度押すことで、正面アライメント自動測定画面S105に戻ることができる。
【0068】
また、正面アライメント自動測定画面S105において、オートマニュアルサインのボタンを押すことで、画面をS107の正面アライメント手動測定画面にすることができる。この画面が表示されている状態では、被検眼が正面から観察された状態でアライメントが行われ、測定自体は検者によって手動で行われる。本来、アライメントモード選択画面S104において、正面アライメント自動測定モード2を選択しているので、正面観察状態においては自動測定になるよう設定されている筈であるが、検者の意思により特に手動測定を行いたい場合には、上記のようにオートマニュアルサインのボタンを押すだけで、手動測定に切り替えることが可能になっている。正面アライメント手動測定画面S107において、オートマニュアルサインのボタンを再度押すことで、画面を再度、正面アライメント自動測定画面S105に戻すことが可能である。
【0069】
また、正面アライメント自動測定画面S105において、画面切替ボタン7を押すことで、画面を斜めアライメント手動測定画面S108にすることができる。本実施例ではアライメントモード選択画面S104において、正面アライメント自動測定モード2を選択しているので、斜め観察状態においては手動測定が行われるように設定されている。従って、S108の画面の右下にはその旨の表示がなされている。この画面が表示されている状態では、斜めアライメントが実行された後、測定は検者による手動測定で行われる。すなわち、レーザー光Eの照射位置によるバックグラウンド値の差や大小からアライメントの良否が判断され、アライメントが良好であると判断された場合でも、検者により測定ボタン8が押されない限り測定は開始されない。この状態において画面切替ボタン7を再度押すことで、正面アライメント自動測定画面S105に戻る。
【0070】
正面アライメント自動測定画面S105において自動測定が終了した後、ジョイスティック6のボタンを押すことで、
図13に示す測定結果画面S109に進むことができる。この画面においては、測定結果の表示の他に、どのモードにおける測定結果かが表示される。画面下方のリスト表示サインの上には、モードがFAP、すなわち、正面アライメント自動測定モードで、且つ小瞳孔モードでの測定結果であることが表示されている。
【0071】
S109の測定結果画面において、データ数が規定回数ある場合には、さらに、S110の測定結果リスト画面において、測定結果のリストを表示させることも可能である。測定結果リスト画面S110においても、リストの右端の列において、どのようなモードでの測定であったかが表示されている。
【0072】
以上、説明したとおり、本実施例においては、正面観察状態と斜め観察状態のいずれの状態からでも測定が可能としている。従って、被検眼に応じて、よりやり易い方法でアライメントを行い、そのまま測定に移行することが可能であり、測定の効率を向上することができる。
【0073】
また、本実施例では、正面観察状態からの測定に関しては、自動測定、手動測定、測定不可を設定することができ、斜め観察状態からの測定に関しては、自動測定または手動測定を事前に設定することができる。これにより、アライメント方法と測定方法の組合せのバリエーションを簡単に選択できるので、より効率よく、より自由度の高い測定を行うことが可能である。
【0074】
また、本実施例では自動測定中であっても検者の意思によって手動測定に即座に切替えが可能であり、また、その逆も可能になっている。これにより、より効率よく、より自由度の高い測定を行うことが可能である。また、本実施例では、被検眼が小瞳孔であった場合には、ワンタッチで小瞳孔モードに切り替えることができ、被検眼の特性に拘わらず、容易または効率的にアライメント及び測定を行うことが可能である。
【0075】
さらに、本実施例では測定不可の設定も可能であるので、測定者の意図しない測定を防止することができる。例えば、斜め観察に比べてどうしてもアライメントの精度が劣ってしまう正面観察からの測定を好まない測定者は、正面観察からの測定を不可に設定することにより、誤って正面観察からの測定を行なうことを防止できる。また正面観察、斜め観察、いずれも測定不可に設定してもよい。そうすれば、機器操作の練習時やデモンストレーションの時などに測定時の比較的強いレーザー光が誤って照射されるのを防ぐことが可能である。
【0076】
また、本実施例では、アライメント及び測定の前の段階で、アライメントモードを選択することで、自動的にアライメント方法と測定方法の組合せを設定することが可能である。このことにより、一度の設定でアライメント方法と測定方法の最適の組合せを選択することが可能であり、特に被検眼の数が多いような場合でも、効率的に測定を行うことができる。