特許第5864552号(P5864552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864552
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20160204BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20160204BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20160204BHJP
   C09D 175/00 20060101ALI20160204BHJP
   C09D 5/16 20060101ALI20160204BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   C08G18/08
   C08G18/10
   C08G18/44
   C09D175/00
   C09D5/16
   D06N3/14 102
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-511562(P2013-511562)
(86)(22)【出願日】2011年4月27日
(65)【公表番号】特表2013-528236(P2013-528236A)
(43)【公表日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】EP2011002098
(87)【国際公開番号】WO2011147519
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年4月25日
(31)【優先権主張番号】102010021465.5
(32)【優先日】2010年5月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514229775
【氏名又は名称】シュタール・インターナツィオナール・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ミュンター・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・トーマス
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0222368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/08
C08G 18/10
C08G 18/44
C09D 5/16
C09D 175/00
D06N 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を製造する方法であって、
A) 先ず、NCO基含有ポリウレタンプレポリマーを、
A1) ポリイソシアネート類と、
A2) 数平均分子量が400超〜8,000g/モルのポリマー性ポリオール類及び/またはポリアミン類、
A3) 場合により、モノ−及びポリアルコール類、モノ−及びポリアミン類、及びアミノアルコール類からなる群から選択される、数平均分子量が17〜400g/モルの低分子量化合物、
A4) イソシアネート反応性のイオン性または潜在イオン性親水性化化合物、及び/またはイソシアネート反応性の非イオン性親水性化化合物、
A5) 少なくとも一つのC〜C24アルキル基またはC〜C24アルケニル基を含むイソシアネート反応性化合物、及び
A6) 次式(4)
【化1】
[式中、
Xは、O、S、NHまたはNRを表し、
Rは、炭化水素基であり、
A、B、B’は、互いに独立して、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、これは場合によっては、N、O、P及び/またはSから選択されるヘテロ原子を含んでいてもよく、そしてイソシアネートに対して非反応性であり、
mは、3〜55の数を表す]
で表される少なくとも一種の化合物を含む、イソシアネート反応性化合物とを、
反応させることによって生成し、この際、成分A6)によって導入されるポリシロキサン基は側鎖として存在し、そして
B) NCO基に対するイソシアネート反応性NH基の計算上の比率が0.7〜1.2となるように調節して、プレポリマーのなおも遊離のNCO基を、イソシアネート反応性のモノアミン類、ポリアミン類、ヒドラジン及び/またはヒドラジド類と反応させる、
上記方法。
【請求項2】
成分A5)によって導入されるC〜C24アルキル基またはC〜C24アルケニル基が側鎖として存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
C) ステップA)から得られるプレポリマーを、脂肪族ケトン類またはエステル類中で製造するか、及び/またはステップAでの反応の後に脂肪族ケトン類またはエステル類中に溶解または希釈する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
成分A1)がジイソシアネート類である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
成分A1)が脂肪族ジイソシアネート類である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
カルボン酸基はイソシアネートに対して非反応性であると見なして、成分A2)〜A6)は、モル量でその95%超が、イソシアネート基に対して反応性の一つまたは二つの基を有する化合物からなる、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
NCO基含有ポリウレタンプレポリマーが、10〜45重量%の成分A1)、30〜80重量%の成分A2)、0〜10重量%の成分A3)、0.1〜20重量%の成分A4)、0.1〜20重量%の成分A5)、及び0.1〜20重量%の成分A6)の反応によって得られ、この際、上記の全成分の合計は加算して100重量%である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
A5)の化合物が、炭素原子数7〜24の少なくとも一つの非分枝状アルキル−もしくはアルケニル鎖を含む、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
A5)の化合物が、炭素原子数11〜22の少なくとも一つの非分枝状で飽和のアルキル鎖を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
A5)の化合物が、炭素原子数15〜20の少なくとも一つの非分枝状で飽和のアルキル鎖を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
A6)の化合物において、mが4〜25の数を表す、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
A6)の化合物において、mが6〜20の数を表す、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
コーティングを製造する方法であって、
・請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法に従い水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を調製するステップ、及び
・上記水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液からコーティングを製造するステップ、
を含む上記方法。
【請求項14】
被覆された基材を製造する方法であって、
・請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法に従い水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を調製するステップ、
・上記水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液からコーティングを製造するステップ、及び
・前記コーティングで基材をコーティングするステップ、
を含む上記方法。
【請求項15】
被覆された可撓性平坦基材を製造する方法であって、
・請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法に従い水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を調製するステップ、
・上記水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液からコーティングを製造するステップ、及び
・前記コーティングで可撓性平坦基材をコーティングするステップ、
を含む上記方法。
【請求項16】
被覆された皮革または合成皮革を製造する方法であって、
・請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法に従い水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を調製するステップ、
・上記水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液からコーティングを製造するステップ、及び
・前記コーティングで皮革または合成皮革をコーティングするステップ、
を含む上記方法。
【請求項17】
被覆されたフルグルレイン皮革、バフ皮革または床革を製造する方法であって、
・請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法に従い水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を調製するステップ、
・上記水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液からコーティングを製造するステップ、及び
・前記コーティングでフルグルレイン皮革、バフ皮革または床革をコーティングするステップ、
を含む上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性の平坦な基材のコーティングの一部として使用できる、水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液及びそれの製造方法に関する。これらは、それの汚れ付着挙動及び洗浄性を向上する。
【背景技術】
【0002】
プレポリマー−アイオノマー法またはアセトン法を用いた水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液の製造は、例えばProg.Org.Coat.9(1981)281〜340頁(非特許文献1)などから、かなり前から知られている。この場合は、イソシアネート基を含むプレポリマーがそれそのものとしてまたは溶液の状態で製造され、場合により反応の実施後に溶剤中に溶解される。次いで、プレポリマーまたはプレポリマー溶液を水中に分散し、そしてポリアミンを用いた鎖延長反応が行われる。延長反応は、分散の前に部分的にまたは完全に行うこともできる。最後に、場合より溶剤を留去する。
【0003】
WO−2009/144157(特許文献1)は、発泡安定化水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液の製造方法を開示しており、この方法では、
A) 先ず、NCO官能基数が一つより多くかつ二つより少ないNCO基含有ポリウレタン−プレポリマーを、
A1) ポリイソシアネート類と、
A2) 数平均分子量が400〜8,000g/モルのポリマー性ポリオール類及び/またはポリアミン類、
A3) イソシアネート反応性の非イオン性親水性化化合物、
A4) イソシアネート反応性の脂肪族基含有化合物、
A5) 場合により、モノ−及びポリアルコール類、モノ−及びポリアミン類、並びにアミノアルコール類からなる群から選択される、数平均分子量17〜400g/モルの低分子量化合物、
A6) 場合により、イソシアネート反応性のイオン性もしくは潜在イオン性親水性化化合物とを、
A7) 場合により、溶剤としての脂肪族ケトン類またはエステル類中で、
反応させることによって、製造し、
B) NCO基に対するイソシアネート反応性NH基の計算上のモル比が0.8〜1.2となるように調節して、プレポリマーのなおも遊離のNCO基をイソシアネート反応性のモノアミン類、ポリアミン類、ヒドラジン及び/またはヒドラジド類と反応させ、
C) この際、ステップA)から得られたプレポリマーを、場合により脂肪族ケトン類またはエステル類中に溶解させるか、または製造が既にA7)の存在下に行われた場合には、プレポリマー溶液を場合により脂肪族ケトン類もしくはエステル類を更に添加して希釈する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO−2009/144157
【特許文献2】EP0622378A1
【特許文献3】DE102004002526A1
【特許文献4】DE102006036220A1
【特許文献5】DE4328917
【特許文献6】DE102004040266
【特許文献7】DE19649953
【特許文献8】WO2005/078182
【特許文献9】US6171515
【特許文献10】US4599438
【特許文献11】US5385999
【特許文献12】DE4240274
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Prog.Org.Coat.9(1981)281〜340頁
【非特許文献2】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry 2005,DOI:10.1002/14356007.a21_665.pub2 ”Polyurethane“,Kapitel 3,W.Friederichs
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術水準から出発して、可撓性で平坦な基材、特に皮革の汚れ付着挙動を向上するバインダーを提供するという課題があった。該バインダーは、更に、可撓性で平坦な基材、特に皮革の洗浄性も向上すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、ポリイソシアネート類と、少なくとも一つのポリシロキサン基を含むイソシアネート反応性化合物との反応から生ずるポリウレタン−ポリ尿素分散液が上記の課題を解決することがここに見出された。
【0008】
それ故、本発明の対象は、水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を製造する方法であって、
A) 先ず、NCO基含有ポリウレタン−プレポリマーを、
A1) ポリイソシアネート類と、
A2) 数平均分子量が400超〜8,000g/モルであるポリマー性ポリオール類及び/またはポリアミン類、
A3) 場合により、モノ−及びポリアルコール類、モノ−及びポリアミン類、並びにアミノアルコール類からなる群から選択される、数平均分子量が17〜400g/モルの低分子量化合物、
A4) イソシアネート反応性のイオン性もしくは潜在イオン性親水性化化合物及び/またはイソシアネート反応性の非イオン性親水性化化合物、
A5) 少なくとも一つのC〜C24アルキル基またはC〜C24アルケニル基を含むイソシアネート反応性化合物、及び
A6) 少なくとも一つのポリシロキサン基を含むイソシアネート反応性化合物とを、
反応させて生成し、及び
B) NCO基に対するイソシアネート反応性NH基の計算上の比率が0.7〜1.2となるように調節して、プレポリマーのなおも遊離のNCO基をイソシアネート反応性モノアミン類、ポリアミン類、ヒドラジン及び/またはヒドラジド類と反応させる、
上記方法である。
【0009】
本発明では、イソシアネート類を、少なくとも一つのポリシロキサン基を含むイソシアネート反応性化合物と反応させることと、イソシアネート類を、少なくとも一つのC〜C24アルキル基またはC〜C24アルケニル基を含むイソシアネート反応性化合物との反応とを組み合わせる点が重要である。
【0010】
本発明の更なる対象の一つは、本発明に従い製造されたポリウレタン−ポリ尿素分散液の、可撓性の平坦な基材、特に皮革の防汚性化及び易洗浄性化仕上げのための使用である。
【0011】
本発明の更なる対象の一つは、可撓性の平坦な基材、特に皮革の防汚性化及び易洗浄性化仕上げのための方法であって、上記の可撓性の平坦な基材、特に皮革上に、本発明のポリウレタン−ポリ尿素分散液を施用する上記方法である。
【0012】
本発明の更なる対象の一つは、上記の方法に従い製造することができる水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A1)の適当なポリイソシアネート類は、式X(NCO)を有し、ここでpは1超〜4の数、好ましくは2〜3の数、特に2の数であり、そしてXは、脂肪族、環状脂肪族、芳香族または芳香脂肪族炭化水素残基である。好ましくは、Xは、炭素原子数が3〜20の脂肪族炭化水素残基、炭素原子数が5〜15の環状脂肪族炭化水素残基、炭素原子数が6〜15の芳香族炭化水素残基、または炭素原子数が7〜15の芳香脂肪族炭化水素残基を表す。異なるイソシアネート基数の化合物の混合物である式X(NCO)のポリイソシアネート類を使用する場合は、pは、存在するイソシアネート基の数平均値である。
【0014】
このようなジイソシアネート類の例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,2−ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−プロパン、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンの異性体、例えばトランス/トランス−、シス/−シス−、及びシス/トランス−異性体、並びにこれらの化合物を含む混合物である。
【0015】
A2)のポリマー性ポリオール類またはポリアミン類は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry 2005,DOI:10.1002/14356007.a21_665.pub2 ”Polyurethane“, Kapitel 3,W.Friederichs(非特許文献2)から知られるように、典型的には、ヒドロキシル−もしくはアミノ基含有ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリオレフィン及びポリシロキサンの群から由来するものである。
【0016】
適当なポリカーボネートポリオール類は、例えば、ホスゲンと過剰の多価アルコールとの反応によって得ることができるものなどである。二価のアルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブテン−1,4−ジオール、ブチン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン類、例えば1,4−ビス(ヒドロキシ−メチル)シクロヘキサン、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ペチルペンタンジオール類、更にジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びポリブチレングリコール類などが挙げられる。
【0017】
好ましいものは、一般式HO−(CH−OHのアルコールであり、ここでxは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である。これの例は、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールである。更に別の好ましいものは、ネオペンチルグリコール及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールである。その一部として(Anteilig)、より価数の高いアルコール類、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、キニトール、マンニトール及びソルビトールも使用することができる。
【0018】
更に、多価アルコール類と多価カルボン酸類との反応によって得られるポリエステルポリオールも挙げられる。遊離のポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、または低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステル、またはそれらの混合物も、ポリエステルポリオールの製造に使用することができる。ポリカルボン酸類は、脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族、芳香族またはヘテロ環式であることができ、そして場合により、(例えばヘテロ原子で)置換されているか及び/または不飽和であることができる。これの例としては、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、ダイマー脂肪酸などが挙げられる。好ましいものは、一般式HOOC-(CH-COOH(式中、yは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である)のジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸である。多価アルコール、好ましくはジオールとしては、ポリカーボネートポリオールの構成成分として記載した低分子量アルコールが挙げられる。
【0019】
ラクトンベースのポリエステルジオールも好適であり、この際、これは、ラクトン類のホモ−もしくはコポリマー、好ましくは適当な多官能性スターター分子上へのラクトン類の末端ヒドロキシル基含有付加生成物である。ラクトン類としては、好ましくは、一般式HO−(CH−COOH(式中、zは1〜20の数であり、メチレン単位のH原子は、C〜Cアルキル基によって置換されていてもよい)の化合物から誘導されるものが好ましい。例は、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン及び/またはメチル−ε−カプロラクトン、並びにこれらの混合物である。適当なスターター成分は、例えばポリカーボネートポリオールのための構成成分として上述した低分子量多価アルコールである。ε−カプロラクトンの対応するポリマーが特に好ましい。低級ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールも、ラクトンポリマーを製造するためのスターターとして使用し得る。ラクトン類のポリマーの代わりに、ラクトン類に相当するヒドロキシカルボン酸の対応する化学的に等価な重縮合物も使用し得る。
【0020】
その他、ポリオールとしてはポリエーテルジオールも考慮される。これらは、特に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エピクロロヒドリンまたは部分フッ素化または完全フッ素化されたこれら化合物の誘導体を、例えばBFの存在下に、それまたはそれら自体と重合させることによって、あるいはこれらの化合物を場合により混合物としてまたは順次に、アルコールもしくはアミンなどの反応性水素原子を有するスターター成分、例えば水、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、1,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパンまたはアニリンに付加することによって得ることができる。
【0021】
同様に、ポリヒドロキシオレフィン、好ましくは2つの末端ヒドロキシル基を有するポリヒドロキシオレフィン、例えばα−,ω−ジヒドロキシポリブタジエン、α−,ω−ジヒドロキシポリメタクリルエステル、またはα−,ω−ジヒドロキシポリアクリルエステルもモノマーとして適している。このような化合物は、例えばEP0622378A1(特許文献2)から知られている。更に別の好適なポリオール類は、ポリアセタール類、ポリシロキサン類及びアルキド樹脂である。
【0022】
A3)の適当な低分子量化合物は、ポリカーボネートポリオールの構成成分として上述した低分子量多価アルコール、好ましくはジオール及びトリオールである。
【0023】
その他、モノアルコール、好ましくは第一もしくは第二アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール及び1−エイコサノールも考慮される。
【0024】
同様に、アミン類またはアミノアルコール類、例えば先の二つの段落に挙げたアルコールのアルコール基をアミン基またはモノアルキルアミン基で交換することによって得られるアミン類またはアミノアルコール類も好適である。
【0025】
A4)のイオン性または潜在イオン性親水性化化合物としては、イソシアネートに対して反応性の少なくとも一つの基、好ましくはヒドロキシル基またはアミノ基、並びにイオン性または潜在的にイオン性の少なくとも一つの官能基を有する全ての化合物と理解される。イオン性及び潜在的にイオン性の基の例は、−COOY、−SOY、−PO(OY)(Yは例えばH、NH、金属カチオンである)、−NR、−NR(R=H、アルキル、アリール)である。適当なイオン性または潜在イオン性親水性化化合物は当業者には既知であり、例えばDE102004002526A1(特許文献3)の段落[0032]に記載、説明されている。
【0026】
A4)のイソシアネート反応性の非イオン性親水性化化合物とはポリオキシアルキレンエーテルと理解され、これは少なくとも一つのヒドロキシ基またはアミノ基を含む。適当な非イオン性親水性化化合物は当業者には既知であり、DE102004002526A1(特許文献3)の段落[0035]〜[0039]にまたはDE102006036220A1(特許文献4)に記載、説明されている。
【0027】
A5)のイソシアネート反応性のアルキル−またはアルケニル基含有化合物は、少なくとも一つのイソシアネート反応性基(例えばアルコール、アミンまたはチオール)及び少なくとも一つのC〜C24−アルキルもしくはアルケニル基を含む化合物である。これには、例えばアルキル−もしくはアルケニル基含有モノ−もしくはジアルコール類、モノ−もしくはジアミン類及びアミノアルコール類などが挙げられる。同様に、これには、脂肪族カルボン酸類、カルボン酸アミド類、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、ホスホン酸類、ホスホン酸モノエステル類、硫酸モノエステル類、スルホン酸類、モノ−もしくはジアルコール類、モノ−もしくはジアミン類、またはアミノアルコール類のアルコキシル化生成物も挙げられる。
【0028】
好ましい実施形態の一つでは、成分A5)は少なくとも次式(1)の化合物を含む。
【0029】
【化1】
【0030】
式中、
X’は、O、S、NHまたはNRを表し、
A’、B’’は、互いに独立して、N、O、P及び/またはSから選択されるヘテロ原子を場合により含むことができ、かつイソシアネートに対して非反応性の、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、
nは、6〜23の数、好ましくは10〜21の数、特に14〜19の数を表し、
kは、1または2を表す。
【0031】
好ましくは、脂肪族炭化水素基含有モノヒドロキシ−、ジヒドロキシ−及びモノアミン化合物が使用される。含まれる脂肪族炭化水素基は、好ましくは非分枝状である。特に好ましいものは、炭素原子数11〜22の飽和で非分枝状のアルキル基である。特に好ましいものは、炭素原子数15〜20の飽和で非分枝状のアルキル基である。
【0032】
A5)の化合物の例は、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、オレイルアルコール、1−エイコサノール、並びに例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドの付加によって製造される、これらのアルコキシレートである。好ましくは、アルコキシ単位数が9未満のアルコキシレートが使用される。
【0033】
更なる例は、1−オクチルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、1−オクタデシルアミン、オレイルアミン、1−エイコシルアミン、並びに例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドの付加によって製造される、これらのアルコキシレートであり、この際、アミン窒素は、アルコキシル化によってモノ−及び/またはジ置換され得る。好ましくは、アルコキシ単位数が13未満のアルコキシレートが使用される。
【0034】
A5)の化合物は、カルボン酸アルコキシレートまたはカルボン酸アミドアルコキシレートであることもでき、これらは、例えば、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、エイコサン酸、オクタンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、ヘキサデカンアミド、オクタデカンアミド、オレイン酸アミドまたはエイコサンアミドと、例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとから製造される。好ましくは、アルコキシ単位数が10未満のアルコキシレートが使用される。
【0035】
他の例は、リン酸と例えば1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、オレイルアルコール、1−エイコサノールから製造されるモノエステルまたはジエステルのアルコキシレート、または硫酸と例えば1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、オレイルアルコール、1−エイコサノールのモノエステルのアルコキシレート(これらは、上記のエステルにエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加して製造される)である。好ましいものは、アルコキシ単位数10未満のアルコキシレートが使用される。
【0036】
更に、アルコキシル化された脂肪族ホスホン酸類、ホスホン酸モノエステル類及びスルホン酸類が使用でき、リン及び硫黄並びにエステル基上のそれの置換基は、例えば1−オクチル基、1−デシル基、1−ドデシル基、1−ヘキサデシル基、1−オクタデシル基、オレイル基または1−エイコシル基であることができ、及びそれのアルコキシル化は、例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを用いて行われる。好ましくは、アルコキシ単位数が10未満のアルコキシレートが使用される。
【0037】
また、三官能性アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ピロガロール、フロログルシン、及び1,2,6−ヘキサントリオールのモノエーテル、例えば1−オクチルエーテル、1−デシルエーテル、1−ドデシルエーテル、1−ヘキサデシルエーテル、1−オクタデシルエーテル、オレイルエーテル及び1−エイコシルエーテル、並びにこれらのエーテルに例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加して製造されるアルコキシレートも可能である。好ましくはアルコキシ単位数が10未満のアルコキシレートが使用される。
【0038】
同様に、三官能性アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ピロガロール、フロログルシン及び1,2,6−ヘキサントリオールのモノエステル、例えばオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸またはエイコサン酸とのモノエステル、並びにこれらのエステルに例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加して製造されるアルコキシレートも使用できる。好ましくは、アルコキシ単位数が10未満のアルコキシレートが使用される。
【0039】
同様に、四官能性アルコール、例えばペンタエリトリトール、エリトリトール、トレイトールまたはジグリセロールのジカルボン酸エステル、例えばオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸またはエイコサン酸とのジカルボン酸エステル、並びにこれらのエステルに例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加して製造されるアルコキシレートも使用できる。好ましくは、アルコキシ単位数が10未満のアルコキシレートが使用される。
【0040】
追加の例は、ジヒドロキシジカルボン酸のジエステルまたはジアミン、例えば酒石酸と1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、オレイルアルコール、1−エイコサノール、1−オクチルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、1−オクタデシルアミン、オレイルアミンまたは1−エイコシルアミンとからのジエステルまたはジアミド、並びにこれらのエステルもしくはアミドに例えばエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加して製造されるアルコキシレートである。好ましくは、アルコキシ単位数が10未満のアルコキシレートが使用される。
【0041】
特に好ましくは、成分A5)は、次式(2)の化合物を含む。
【0042】
【化2】
【0043】
構成分A6)は、少なくとも一つのポリシロキサン基を含むイソシアネート反応性化合物である。
【0044】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、これらの化合物は、次式(3)のポリシロキサン−構造単位を含む。
【0045】
【化3】
【0046】
式中、R及びR’は炭化水素基であり、そしてnの平均値は3〜55である。更に好ましくは、R及びR’は、アルキルもしくはアリール基であり、そしてnの平均値は3〜25である。特に好ましくは、R及びR’はメチルもしくはフェニル基であり、そしてnの平均値は6〜20である。
【0047】
更に好ましくは、成分A6)は、次式(4)の少なくとも一種の化合物を含む。
【0048】
【化4】
【0049】
式中、
Xは、O、S、NHまたはNRを表し、
A、B、B’は、互いに独立して、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、これは場合によっては、N、O、P及び/またはSから選択されるヘテロ原子を含んでいてもよく、そしてイソシアネートに対して非反応性であり、
mは、3〜55の数、好ましくは4〜25の数、特に6〜20の数を表す。
【0050】
本発明の方法では、NCO−基含有ポリウレタンプレポリマーの製造のために、好ましくは10〜45重量%の成分A1)、30〜80重量%の成分A2)、0〜10重量%の成分A3)、0.1〜20重量%の成分A4)、0.1〜20重量%の成分A5)、及び0.1〜20重量%の成分A6)を反応させ、この際、成分全ての合計は加算して100重量%である。更に別の好ましい実施形態の一つでは、少なくとも0.1重量%のA3)が使用される。
【0051】
本発明の方法は、一般的に、構成分A1)を構成分A2)〜A6)、場合により及び溶剤を反応温度未満の温度で混合するステップを含む。成分A1)、成分A2)〜A6)、場合により及び溶剤の添加の順序は任意である。構成分A1)と構成分A2)〜A6)との反応は、好ましくは、温度の上昇によって開始される。好ましい溶剤は、ケトン類またはエステル類、特に好ましくはアセトンまたは酢酸メチルである。好ましくは、反応は50〜120℃の範囲の温度下に行われる。
【0052】
構成分A1)及び構成分A2)〜A6)の反応は、溶剤の存在下にまたはそれらそのものだけで行うことができる。本発明の好ましい実施形態の一つでは、成分A1)と成分A2)〜A6)からのイソシアネート基含有プレポリマーをそのものとしてまたは溶液の状態で製造し、そして場合により反応の実行の後に溶剤中に溶解する。次いで、プレポリマーまたはプレポリマー溶液を水中に分散させる。この際、好ましくは、プレポリマーまたはプレポリマー溶液を、予め仕込んだ水中に加えるか、または水を、予め仕込んだプレポリマー溶液に加え、そしてステップB)の鎖延長反応をポリアミンを用いて行う。延長反応は、分散の前に部分的にまたは完全にも行ってよい。最後に、場合により溶剤を留去する。
【0053】
水性PUR分散液を製造するための本発明の方法は、一つまたは複数の段階で、均一相中でまたは(多段階反応の場合には)部分的に分散相中で行うことができる。完全にまたは部分的に行われたA1)〜A6)の重付加の後に、分散、乳化または溶解ステップを行う。その後、場合により、更なる重付加または変性を分散相で行う。
【0054】
本発明の方法では、イソシアネート付加反応を促進するために既知の触媒、例えばトリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタン、ジブチルスズオキシド、スズジオクトエートまたはジブチルスズジラウレート、スズ−ビス−(2−エチルヘキサノエート)または他の有機金属化合物を、予め一緒に仕込むかまたは後で計量添加することができる。
【0055】
次いで、場合により反応の開始時にはまだ添加されていなかった成分A1)〜A6)を計量添加する。
【0056】
ステップA)におけるポリウレタンプレポリマーの製造においては、A2)〜A6)からのイソシアネート反応性基の総量に対するA1)からのイソシアネートの総量のモル物質量比は、1.0〜3.5、好ましくは1.2〜2.7である。
【0057】
プレポリマーを生成する成分A1)〜A6)の反応は、部分的にもしくは完全に、好ましくは完全に行われる。転化率は、通常は、反応混合物のNCO含有量を追跡することによって監視される。このためには、採取した試料の分光分析測定、例えば赤外線または近赤外線スペクトル、屈折率の測定、並びに化学分析、例えば滴定を行うことができる。そうして、遊離のイソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーがそのものとしてまたは溶液の状態で得られる。
【0058】
A1)〜A6)からのポリウレタンプレポリマーの製造の後にまたはその最中に、原料分子中でなおも行われていない場合には、アニオン及び/またはカチオン分散作用性基の部分的なまたは完全な塩の形成が行われる。このためには、アニオン基の場合には、塩基、例えばアンモニア、炭酸アンモニウムもしくは炭酸水素アンモニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウムまたは炭酸ナトリウム、好ましくはトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたはジイソプロピルエチルアミンが使用される。塩基のモル物質量は、アニオン性基の物質量の50〜150%、好ましくは85〜120%である。カチオン基の場合には、例えば硫酸ジメチルエステル、コハク酸またはギ酸が使用される。エーテル基を有するノニオン性に親水性化された化合物A3)のみが使用される場合には、この中和ステップは省略される。中和は、分散水が既に中和剤を含むことによって、分散と同時に行うこともできる。
【0059】
次のプロセスステップでは、B)からの化合物を、なおも残るイソシアネート基と反応させる。この際、この鎖延長/停止は、分散の前に溶剤中で、分散の間に、または好ましくは分散の後に水中でのいずれかで行うことができる。
【0060】
ステップB)でのなおも遊離のNCO基の反応のためには、アミノアルコール類、モノ−、ジ−もしくはポリアミン類、並びにヒドラジンまたはヒドラジド類が使用される。延長反応のための単官能性化合物は、A3)で記載のようなアミノアルコール類及びモノアミン類であることができ、好ましくはアミノアルコール類または長鎖モノアミン類、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、1−ヘキシルアミン、1−オクチルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−テトラデシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、1−オクタデシルアミン、1−エイコシルアミンである。二官能性もしくは多官能性化合物としては、例えばエチレンジアミン、1,2−及び1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチル−ペンタメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、ナトリウム−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホネート、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−及び1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−及び1,4−キシリレンジアミン及び4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルエチレンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド、またはシュウ酸ジヒドラジドが使用できる。
【0061】
鎖延長度、すなわちプレポリマーの遊離のNCO基に対する、鎖延長のためにB)で使用される化合物の新たに加えられた反応性NH基の当量比は好ましくは0.8〜1.2である。
【0062】
化合物B)は、場合によっては水及び/または溶剤で希釈して、本発明の方法に単独でまたは混合物として使用でき、この際、原則的に、任意の添加順序が可能である。
【0063】
好ましくは、本発明のポリウレタン−ポリ尿素分散液の製造は、溶剤不含のまたは溶解したプレポリマーまたは鎖延長したポリウレタンポリマーを、場合により強い剪断作用下に、例えば強い攪拌下に、分散水中に入れるか、または逆に、プレポリマーまたはポリマーまたはそれらの溶液に分散水を混ぜ入れることによって、行われる。
【0064】
こうして得られた分散液は、10〜70重量%、好ましくは20〜65重量%、特に好ましくは25〜60重量%の固形物含有率を有する。
【0065】
中和度及びイオン性基の含有量に依存して、該分散液は非常に微細に調製されて、そうして実質的に溶液の外観を有するが、非常に粗粒での調製も可能であり、これも同様に十分に安定している。
【0066】
本発明の更に別の対象の一つは、コーティング組成物の調製に使用される、本発明のポリウレタン−ポリ尿素分散液と他の水性バインダー及び架橋剤との混合物である。この際、塗装技術からそれ自体既知の助剤及び添加剤、例えば増粘剤、フィラー、顔料、ワックス、触感向上剤(Griffmittel)、染料、溶剤、流展助剤(Verlaufshilfsmittel)並びに架橋剤を使用することもできる。特に好ましい助剤及び添加剤は、ナノ粒子、部分または完全フッ素化ポリマー及びシリコーンである。就中好ましい助剤及び添加剤は、DE4328917(特許文献5)、DE102004040266(特許文献6)、DE19649953(特許文献7)、WO2005/078182(特許文献8)、US6171515(特許文献9)、US4599438(特許文献10)、US5385999(特許文献11)、DE4240274(特許文献12)に記載されるような助剤及び添加剤である。
【0067】
本発明の更なる対象の一つは、任意の基材、例えば金属、木材、ガラス、ガラス繊維、炭素繊維、石、セラミック鉱物、コンクリート、様々な種類の硬質または可撓性プラスチック、織物及び不織布、皮革、床革、合成皮革、紙、硬繊維、藁及びビチューメン上での本発明のポリウレタン−ポリ尿素分散液及び/またはそれの上記混合物のコーティングであり、前記基材には、コーティングの前に場合により慣用の下塗りをまたはコーティングの後に場合により更に別のコーティングを供してもよい。
【0068】
好ましい基材は、皮革及び合成皮革である。特に好ましい基材は、フルグルレイン皮革及びバフ皮革、並びに床革である。
【0069】
本発明のポリウレタン−ポリ尿素は、非常に重要な構造要素として、次式(5)の要素を含む。
【0070】
【化5】
【0071】
式中、
X、X’は、互いに独立して、O、S、NH、NRを意味し、
A、A’、B、B’、B’’は、互いに独立して、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、これは、場合によりN、O、P及び/またはSから選択されるヘテロ原子を含んでいてもよく、及びイソシアネートに対して非反応性であり、
mは、3〜55の数、好ましくは4〜25の数、特に6〜20の数を表し、
nは、6〜23の数、好ましくは10〜21の数、特に14〜19の数を表し、
PURは、成分A1)、A2)、A3)、A4)及びB)の反応によって形成されるポリウレタン−ポリ尿素を意味する。
【0072】
式(2)及び(4)の構造単位を使用する場合には、X=Oの場合では、次式(6)の構造が得られる。
【0073】
【化6】
【実施例】
【0074】
比較例PU−1:
ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール(OH価=56)190.3g(95mmol)及びジメチロールプロピオン酸14.1g(105mmol)を60℃で仕込み、そしてイソホロンジイソシアネート85.5g(385mmol)を加える。この混合物を3時間、約90℃で攪拌する。その後、NCO値は5.26%(計算NCO値:5.36%)に達する。このプレポリマーに対し、酢酸メチル150gを加え、そしてこの溶液を30℃に冷却する。次いで、トリエチルアミン10.6g(105mmol)を加え、そして冷水484gを強く攪拌しながら5分間内で該プレポリマー溶液に加え、そして更に10分間攪拌する。得られた分散液に対し、5分間内で、水50g中のヒドラジン一水和物8.62g(172.4mmol)(計算必要ジアミン量の95%に相当)の溶液を加え、そして10分間攪拌する。次いで、酢酸メチルを真空下に留去し、そして固形物含有率を水で35重量%に調節する。
【0075】
本発明例PU−2:
ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール(OH価=56)190.3g、ジメチロールプロピオン酸17.4g(130mmol)、1,000g/モルの分子量を有するα−((3−(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−ブトキシ)−プロピル)−ジメチルシリル−ω−((ブチルジメチルシリル)−オキシ)−ポリ(ジメチルシロキサン)15.0g(15mmol)、及び平均して4つのエチレンオキシド単位でエトキシル化されたジグリセロールジステアレート18.8g(21.5mmol)を60℃で仕込み、そしてイソホロンジイソシアネート108.8g(490mmol)を加える。この混合物を3時間で、約90℃で攪拌する。その後、NCO値は5.03%(計算NCO値:5.50%)に達する。このプレポリマーに、酢酸メチル200gを加え、そしてこの溶液を30℃に冷却する。次いで、トリエチルアミン13.6g(135mmol)を加え、そして冷水577gを強く攪拌しながら5分間内でこのプレポリマー溶液に加え、そして更に10分間攪拌する。得られた分散液に、5分間内で、水50g中のヒドラジン一水和物の溶液10.0g(199.7mmol)(計算必要ジアミン量の95%に相当)を加え、その後10分間攪拌する。次いで、酢酸メチルを真空下に留去し、そして固形物含有率を水で35重量%に調節する。
【0076】
汚れ付着挙動及び洗浄挙動の比較のために、自動車用皮革に慣用の下塗りコーティング及びベージュ色のカラーコーティングで既に仕上げした皮革を使用する。
【0077】
トップコートとしては、以下の混合物をスプレー塗布によって施す。
トップコートT1:
水500g、PU−1 360g、水分散性イソシアネート基含有架橋剤(イソシアネート官能基:>3)40g
トップコートT2:
水500g、PU−2 360g、水分散性イソシアネート基含有架橋剤(イソシアネート官能基:>3)40g
T1及びT2の塗布は、それぞれ約15g/mの未乾燥トップコートが皮革上に生ずるように、スプレーピストルを用いて二度スプレー塗布して行う。二度のスプレー塗布の間に、コーティングを乾燥路中で乾燥する。
【0078】
汚れ性及び洗浄挙動の試験は、ドイツ自動車工業会の次の検査ガイドライン、すなわち“VDA230−212−Leder,Kunststoffbahnenwaren und Textilien fuer Kraftfahrzeuge−Bestimmung des Anschmutz− und Reinigungsverhaltens−Verfahren mit Anschmutzgewebe”(VDA230−212−自動車用皮革、ブラスチックシート材料及びテクスタイル−汚れ付着及び洗浄挙動の測定−汚れ布を用いた方法)に従い行う。この試験ガイドラインの一部は、ISO105−A03(グレースケール)に従う汚れ度の評価であり、この際、汚染した頂部を、汚染してない皮革と比較して裸眼で評価する。汚染の度合いは、スケール1(強く汚れ付着)から5(汚れが付着しない)で示す。汚れ付着性の評価は、汚れを付着させた直後に行う。洗浄挙動の評価のためには、試験片を、汚れを付着させてから24時間後に、上記試験ガイドラインに準拠して洗浄し、再評価する。
【0079】
T1で処理した皮革は、1の汚染度に達する。洗浄後、汚染度は2である。
【0080】
T2で処理した皮革は、2〜3の汚染度に達する。洗浄後、汚染度は4である。

本願は、特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願は以下の開示も包含する。
1.
水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液を製造する方法であって、
A) 先ず、NCO基含有ポリウレタンプレポリマーを、
A1) ポリイソシアネート類と、
A2) 数平均分子量が400超〜8,000g/モルのポリマー性ポリオール類及び/またはポリアミン類、
A3) 場合により、モノ−及びポリアルコール類、モノ−及びポリアミン類、及びアミノアルコール類からなる群から選択される、数平均分子量が17〜400g/モルの低分子量化合物、
A4) イソシアネート反応性のイオン性または潜在イオン性親水性化化合物、及び/またはイソシアネート反応性の非イオン性親水性化化合物、
A5) 少なくとも一つのC〜C24アルキル基またはC〜C24アルケニル基を含むイソシアネート反応性化合物、及び
A6) 少なくとも一つのポリシロキサン基を含むイソシアネート反応性化合物とを、
反応させることによって生成し、そして
B) NCO基に対するイソシアネート反応性NH基の計算上の比率が0.7〜1.2となるように調節して、プレポリマーのなおも遊離のNCO基を、イソシアネート反応性のモノアミン類、ポリアミン類、ヒドラジン及び/またはヒドラジド類と反応させる、
上記方法。

2.
成分A5)によって導入されるC〜C24アルキル基またはC〜C24アルケニル基が側鎖として存在する、上記1に記載の方法。

3.
成分A6)によって導入されるポリシロキサン基が側鎖として存在する、上記1及び/または2に記載の方法。

4.
C) ステップA)から得られるプレポリマーを、脂肪族ケトン類またはエステル類中で製造するか、及び/またはステップAでの反応の後に脂肪族ケトン類またはエステル類中に溶解または希釈する、
上記1〜3の一つまたはそれ以上に記載の方法。

5.
成分A1)がジイソシアネート類である、上記1〜4の一つまたはそれ以上に記載の方法。

6.
成分A1)が脂肪族ジイソシアネート類である、上記1〜5の一つまたはそれ以上に記載の方法。

7.
カルボン酸基はイソシアネートに対して非反応性であると見なして、成分A2)〜A6)は、モル量でその95%超が、イソシアネート基に対して反応性の一つまたは二つの基を有する化合物からなる、上記1〜6の一つまたはそれ以上に記載の方法。

8.
NCO基含有ポリウレタンプレポリマーが、10〜45重量%の成分A1)、30〜80重量%の成分A2)、0〜10重量%の成分A3)、0.1〜20重量%の成分A4)、0.1〜20重量%の成分A5)、及び0.1〜20重量%の成分A6)の反応によって得られ、この際、上記の全成分の合計は加算して100重量%である、上記1〜7の一つまたはそれ以上に記載の方法。

9.
A5)の化合物が、炭素原子数7〜24の少なくとも一つの非分枝状アルキル−もしくはアルケニル鎖を含む、上記1〜8の一つまたはそれ以上に記載の方法。

10.
A5)の化合物が、炭素原子数11〜22の少なくとも一つの非分枝状で飽和のアルキル鎖を含む、上記9に記載の方法。

11.
A5)の化合物が、炭素原子数15〜20の少なくとも一つの非分枝状で飽和のアルキル鎖を含む、上記10に記載の方法。

12.
A6)の化合物が、式(3)の少なくとも一種の構造単位を含む、上記1〜8の一つまたはそれ以上に記載の方法。
【化7】
[式中、nの平均値は3〜55であり、そしてR及びR’は炭化水素基である]

13.
nの平均値が3〜25であり、そしてR及びR’がアルキルまたはアリール基である、上記12に記載の方法。

14.
nの平均値が6〜20であり、そしてR及びR’がメチルまたはフェニル基である、上記13に記載の方法。

15.
上記1〜14のいずれか一つに記載の方法に従い得ることができる、水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液。

16.
コーティングの製造のための、上記15に記載の水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液の使用。

17.
上記16に記載の水性ポリウレタン−ポリ尿素分散液から得ることができるコーティング。

18.
上記17に記載のコーティングで被覆された基材。

19.
上記17に記載のコーティングで被覆された可撓性平坦基材。

20.
基材が皮革または合成皮革である、上記19に記載の基材。

21.
皮革が、フルグルレイン皮革、バフ皮革または床革である、上記20に記載の基材。