【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、飲料調製機で使用するための飲料カートリッジを提供し、このカートリッジは、実質的に水不透過性材料から作られ、水性媒体をカートリッジの中に導入するための入口と、水性媒体およびカートリッジ内に収容された1以上の飲料原料から生成された飲料を排出するための出口とを備え、1以上の飲料原料は、水性媒体中で実質的に不溶性であり使用時に飲料と共にカートリッジから供給される1以上の個別食用構成要素を含む。
【0011】
広範囲にわたる研究の後、本発明者らは、飲料中に供給するための個別食用構成要素を中に有する飲料カートリッジを提供することが可能であることを発見した。これらの構成要素は、飲料を構成する水性媒体に実質的に不溶性である。水性媒体で溶解または抽出可能であり、従来の飲料カートリッジ内で使用することが知られている他の飲料原料もまた、1以上の個別食用構成要素と共にカートリッジ内に含めることができる。
【0012】
すなわち、本発明者らは、任意選択で水性環境中に保存され、飲料が作られるときにカートリッジから供給される、個別食用構成要素が中に入った飲料カートリッジを提供することが可能であることを発見した。有利なことに、個別食用構成要素は、それが飲料カートリッジ内に保存されていたときと同じ形で最終飲料の一部を構成することができる。あるいは、個別食用構成要素は、カートリッジから放出された後に、水を吸収した膨張形状をとることもできる。
【0013】
以下の節では、本発明の異なる態様/実施形態をより詳細に定義する。そのように定義されたそれぞれの態様/実施形態は、他の任意の1以上の態様/実施形態と組み合わせることが、それとは反対のことが明示されていない限り可能である。特に、好ましい、または有利であると示された任意の特徴を、好ましい、または有利であると示された他の任意の1以上の特徴と組み合わせることができる。
【0014】
「腰のある構成要素」
本発明者らは、飲料供給機から供給される飲料に付随物として食用構成要素を含めることを妨げる主要な障害は、その構成要素がカートリッジの小さな開口を通過するのが困難なことであることを見出した。本発明者らによって見出された1つの解決策は、カートリッジを出るときの変形にもかかわらずそれらがその構造を保持する変形可能な、または「腰のある(chewy)」構成要素を与えることである。この解決策は、腰のある構成要素の変形可能な特性により、その構成要素が飲料調製時に予想されるよりも小さな開口を通過できることになり得るので、特に有利であることが分かった。
【0015】
したがって、一実施形態において食用構成要素は、出口を通過するように変形可能である。これにより、構成要素のサイズを最大化することが、所望の飲料を(例えば、飲料原料を完全に溶解する、希釈する、または抽出することによって)調製するための十分な圧力がカプセル内に保持されることを依然として保証しながら、可能になる。
【0016】
一実施形態では、水性媒体を加えることにより飲料を調製する間中に、腰のある構成要素の水和反応で構成要素サイズの増大が生じる。この構成要素は、それが供給開口よりも大きいサイズに膨らむ前にカートリッジから供給されるように選定することができる。しかし、腰のある構成要素は、水和反応を必要としない(実質的に、または完全に水和可能ではない)ことが好ましい。というのはこのことにより、よりよい品質管理、より均質な構成要素を得ること、したがって顧客満足の改善を実現することができるからである。
【0017】
「歯ざわりの良い構成要素」
飲料中に歯ざわりの良い(crunchy)構成要素を含めることは、飲料に特有の食感を与えるので望ましい。歯ざわりの良い飲料構成要素は実質的に変形可能ではないので、その構成要素は、損なわれることなくカートリッジの小さな開口を通過するのが困難なことがあり得る。別の問題は、歯ざわりの良い構成要素は、飲料を作るために使用される液体媒体よりも大きい密度を有し得ることである。このため、その構成要素は、飲料が飲まれない場合に飲料の底部に沈むことになり得る。
【0018】
本発明者らは、歯ざわりの良い構成要素の上に変形可能な、または「腰のある」外層を形成できることを見出した。こうすることにより比較的大きい歯ざわりの良い構成要素を使用することが可能になる。というのは、飲料を供給する間中にその構成要素が押しつぶされる、または損なわれることがないからである。むしろ、この腰のある層は変形し、歯ざわりの良い芯を保護する。さらに、異なる密度の外層を付けることにより、水性媒体に対して添加物の密度を選択的に低減/増大することが可能になる。これにより、必要に応じて構成要素を、飲料の表面に浮かべる、飲料中に沈める、または浮遊させるように適応させることが可能になる。
【0019】
「多層コーティング」
本発明者らは、飲料添加物構成要素をコーティングする新規の方法を発見した。本発明者らはまた、1以上のコーティング層付きの腰のある、または歯ざわりの良い個片を形成することによって、新規の飲料構成要素を生成した。飲料カートリッジ内で使用するのに好ましい構成要素は、1以上の層を備えた中心の芯を有し得る。この構成要素に使用される1以上のコーティング層は、以下のいくつかの役割のうちの1つを果たすことができる。
【0020】
・腰のない、または変形可能ではない構成要素の外側に腰のある、または変形可能なコーティングを形成すること、
・例えば湿気の侵入または酸素の浸透を低減することによって原料の保存安定性を向上すること、
・特定の風味構成要素を閉じ込め、その結果、飲料の調製時にその構成要素が制御されて放出されるようになること、および
・飲料が層状外観を備えることができるように層の一時的な放出を行うこと。
【0021】
したがって、上で特定した3つの技法、およびこれらの組合せによって、本発明者らは、特有の食感および味の特性を有するオンデマンド飲料を生成できるように、新規の構成要素を中に有するカートリッジをうまく実現した。
【0022】
本明細書で「不溶性の」とは、その構成要素が水に溶解しないことを意味する。好ましくはその構成要素は、湿気のある環境において、貯蔵条件(冷蔵)のもとで、好ましくは周囲条件(20℃)のもとでさえなくても、少なくとも1週間、より好ましくは1ヶ月、最も好ましくは少なくとも1年の期間以内に溶解しないように、実質的に不溶性である。したがって、好ましい一実施形態では、個別食用構成要素は、水性環境中(液体ミルク原料中など)に保存されるカートリッジ内に用意される。溶解するとは、湿った状態に完全に溶解することを意味する。より好ましくは、その構成要素は、これらの条件下でわずかな劣化以上は示さない。最も好ましくは、その構成要素は、湿った条件に影響を受けない。
【0023】
食用構成要素は、好ましくは飲料調製条件下で実質的に不溶性である。すなわち、カートリッジ内で熱い(または冷たい)水性媒体と接触したときに、その構成要素は実質的に溶解しない。以下で説明するように、構成要素が水性環境中に保存されない場合には、その構成要素は可溶性外側コーティングを備えてよく、このコーティングは、熱い(または冷たい)水性媒体との接触によって溶解され得るが、少なくとも下にある本体、すなわち芯は、好ましくは実質的に不溶性である。完成飲料中の構成要素に関し、その構成要素の可溶部分は、飲料が供給された後少なくとも1分間は完全に溶解せず、より好ましくは少なくとも5分間溶解しないことが好ましい。その構成要素の不溶部分は、飲料が適切な飲用温度で存続する間、好ましくは実質的に溶解しない。好ましくは、その構成要素は溶解しない。
【0024】
以下の用語は当業者には理解されよう。特に、これらの用語は、当技術分野で明確に定義された意味を有する。
【0025】
本明細書で「変形可能な」という用語は、純然たる力を受けたときに、構成要素が伸びる/柔軟であることを意味する。すなわち、構成要素に圧縮力または膨張力を加えられたときに、その構成要素の塑性変形および/または弾性変形がある。「腰のある」という用語は、「変形可能な」という用語と同義と考えられる。
【0026】
本明細書で「変形可能ではない」という用語は、純然たる力を加えられたときに、構成要素が砕けやすい、および/またはポキッと折れやすいことを意味する。すなわち、構成要素に圧縮力または膨張力を加えられたときに、その構成要素の塑性変形および/または弾性変形は実質的にないか、または非常に限定されている。「歯ざわりの良い」という用語は、「変形可能ではない」という用語と同義と考えられる。
【0027】
本明細書で「個別の(discrete)」という用語は、構成要素が分離しており、別個の、または「個々の」ものであることを意味する。すなわち、各構成要素は個々に認識することができるが、何か他のものに接続されたもの、またはその一部としては認識できず、特に、いくつかの構成要素の塊としては認識することができない。
【0028】
本明細書では「カートリッジ」という用語が、カートリッジに形成された入口および別個の出口を有して、1以上の飲料原料を記述されたようにして収容する任意のカプセル、ポッド、容器、または入れ物を意味することを理解されたい。このカートリッジは剛性、半剛性、または可撓性であり得る。使用できる実質的に水不透過性の材料は一般的であり、当技術分野でよく知られている。この材料は完全に水不透過性でなくてもよいことを理解されたい。というのは、非常にわずかな量の水であれば、十分な時間があると、一部のカートリッジ材料を通り抜けて放散できるからである。好ましくは、この材料はまた、実質的に空気不透過性である。使用される材料は、好ましくは少なくとも完全な水不透過性であり、好ましくは完全な空気および水不透過性である。
【0029】
カートリッジは、好ましくは使用前にシールされる。シールが開かれると、カートリッジは、好ましくは水性媒体の流路を画定する。この流路は、入口から始まり、飲料原料(特許請求されている構成要素を含む)の中または近傍を通り、出口で終わり、ここで水性媒体が入れ物の中に供給される。カートリッジには、好ましくは飲料供給を妨げるフィルタまたはメッシュなどの障害物が何もない。
【0030】
水性媒体は、好ましくは水であるが、事前調整されたホットチョコレートなどの飲料を使用することもできる。この媒体は冷やされていても室温でもよいが、好ましくはカートリッジに導入されるときに高温である。好ましくは媒体は25から99℃であり、より好ましくは65から95℃であり、最も好ましくは80から90℃である。
【0031】
変形可能な食用構成要素には、再構成されたフルーツ片、ソフトキャンディ、フルーツトローチ、または風味付けされたナゲットが含まれ得る。風味付けされたナゲットが使用される場合、これは、好ましくは親水コロイドおよび風味付けされた原料を含む。このようにして、ある構成要素をサイズ、味、および硬度の厳密な要件に合わせることができる。親水コロイドは好ましくは、ゼラチン、カラギーナン、アルギナート、アガロース、ジェランガム、ペクチン、セルロース誘導体、またはこれらの2つ以上の組合せから選択される。
【0032】
好ましい一実施形態によれば、風味付けされたナゲットを作るための風味付けされた原料は、コーヒー抽出物である。これは、可溶性コーヒー溶液、および/または焙煎され挽かれたコーヒー抽出物から簡単に製造することができる。代替の原料には、茶風味、チョコレート風味、バナナ、イチゴまたはバニラ風味などが含まれる。
【0033】
好ましくは、食用構成要素は変形可能ではない部分を含む。変形可能ではない部分は、好ましくは歯ざわりの良いものとなっている。歯ざわりの良い構成要素は、消費時に「割れる」感じを呈する破砕ナッツ、または歯ざわりの良い食感を呈する非常に砕けやすい材料を含む、非常に断片化しやすい材料を含み得る。これらの構成材料は、最終製品の中で沈むことがある。他の構成要素は、空気を含ませることができる砕けやすい澱粉様のマトリクスを含み、それによって、最終製品の上に浮かぶことができる歯ざわりの良い含有物が提供される。
【0034】
好ましくは、この変形可能ではない部分は、硬いキャラメル、ナッツ、破砕ナッツ、硬いキャンディ、押出しチョコレート、ライスクリスピー、シリアル、ビスケット片、コショウの実、破砕シナモンスティック、香辛料、またはこれらの2つ以上の組合せから作られる。穀物片および繊維ベース片もまた企図される。
【0035】
上記のように構成要素は、カートリッジの小さな開口を通過するのが困難である。本発明者らが提案する1つの解決策は、変形時にその構造を保持する概して変形可能な構成要素を提供することであり、一代替実形態は、変形可能なコーティングで被覆された歯ざわりの良い構成要素を提供することであり、このコーティングは、歯ざわりの良い構成要素が変形しないように機能する。
【0036】
好ましい一実施形態は、腰のある、すなわち変形可能なコーティングで被覆された歯ざわりの良い構成要素を飲料中に使用することである。その技術的利点は、食感、表面の感じ、および賞味期限の改善を実現すること、ならびに適切な飲料カートリッジから構成要素を供給する行為を容易にすることにある。
【0037】
腰のある外側は、例えば、ゲル型の材料(例えばマシュマロ)または繊維ベースの材料で形成、作製することができ、これらの材料は、変形時(例えば、小さな開口を通して供給されるとき)にその構造を保持する。これらは耐熱性とすることができ、それにより有利なことにパック内低温殺菌が可能になる。腰のある外側は、その形状および粘度を飲料調製中ずっと保持する一方で、他の構成要素の歯ざわりの良い食感を賞味期限全体を通して保つ保護層として機能する。最後に、これらの構成要素は、その腰のある舌触りの外側、および歯ざわりの良い/パリパリした舌触りの内側により、飲料が消費されるときに複数の感覚経験をもたらす。
【0038】
腰のあるコーティングは、有利なことに構成要素の密度を変えるために使用することができる。このように、低密度の腰のある材料の外層を備えることによって、高密度の腰のある、または歯ざわりの良い原料を水性媒体よりも低密度にすることができる。こうすると、不溶性構成要素が飲料中に跡形もなしに残らず沈むという望ましくない、あり得る状況を回避することができる。
【0039】
好ましくは、食用構成要素は1以上のコーティング層を備える。すなわち、本発明で使用される構成要素は、飲料カートリッジ内で使用するのに単層(単一のコーティング層がある芯)または多層の原料とすることができる。上記のように、構成要素に使用される1以上のコーティング層は、以下のいくつかの役割のうちの1つを果たすことができる。
【0040】
・腰のない、または変形可能ではない構成要素の外側に腰のある、または変形可能なコーティングを形成すること、
・例えば湿気の侵入または酸素の浸透を低減することによって原料の保存安定性を向上すること、
・特定の風味構成要素を閉じ込め、その結果、飲料の調製時にその構成要素が制御されて放出されるようになること、および
・飲料が層状外観を備えることができるように層の一時的な放出を行うこと。
【0041】
多層構成要素を使用することにより、積層飲料を生成するための層の一時的な放出がある製品の生成が可能になる。従来技術では、これらの作用は、積層飲料を提供するための飲料カートリッジの別々の区画内の、例えばコーヒーかすおよびクリームである別個の構成要素を使用することにより得ることができた。本発明の多層構成要素を使用することにより、複雑なカプセル設計、または複数のカプセル調製が必要でなくなる。
【0042】
任意の望ましい舌触りまたは特徴を得るために、構成要素にさらなる層を形成することができる。例えば、構成要素は、腰のある構造物、歯ざわりの良い構造物、あるいは濁り、クリーム状、積層化、特定の風味、または味物質などの特有の機能的特性を最終製品に与える構造物を備えることができる。構成要素は、特定の味物質、例えばフルーツ酸を含むことができ、それによってフルーツ片の感覚的印象を呈示する。
【0043】
一実施形態では、構成要素には、水不溶性である少なくとも1つのコーティング層、および/または水性飲料媒体中で不溶性である最外層を備えることができる。別法として、外層は可溶性でなくてよいが、任意選択で冷たい/または熱い水性媒体と接触することで放出され得る。例えば、ある構成要素はエマルジョン滴の表面被覆を有することができ、このエマルジョン滴は、飲料の調製の際に放出され飲料の表面まで上昇する。これは、例えば、飲料を供給した後の短い遅れに続いて滴が飲料の表面まで上昇する場合に、時間的な作用を与えるために使用することができる。
【0044】
多層コーティングを付けることは、例えば湿気侵入を管理し、酸素浸透を管理し、品質を劣化させる化学連鎖反応(例えば、酸敗臭の発生)の伝搬を管理することによって、構成要素の貯蔵安定性を向上させるのに用いることができる。
【0045】
水不溶性層は、アルギナート、好ましくはカルシウムアルギナート、または本明細書に記載の他のコーティングから作ることができる。これは、本発明の方法によってコーティング層を作ることが簡単にできるために有利であり、その結果、従来の食材を安定性のある、実質的に不溶性の飲料添加物に簡単に変換できることになる。例えば、アルギナート、特にカルシウムアルギナートのコーティングは、ライスパフまたはライスクリスピーを実質的に水不溶性に、また所望の程度の腰があるように変えることができる。
【0046】
水不溶性コーティングを使用すると有利なことに、その食用構成要素は、飲料供給機で使用する前にカートリッジ内の液体飲料構成物中に保存することが可能になる。マシュマロなどの従来の添加物では、こうすることは、時が経つにつれてマシュマロが分解および溶解することにより考えられない。水不溶性コーティング、特にアルギナートを形成することにより、こうすることが容易になる。
【0047】
一代替実施形態では、最も外側のコーティング層は、水性媒体(または「流体」)中で溶解性であり得る。したがって、構成要素は、それが高温の水性媒体中(例えば80℃)のみで可溶性であり貯蔵条件下(例えば20℃)では可溶性ではない限り、水性環境中に保存されるべきではない。これにより、飲料に付加されるべき、構成要素の外側の飲料構成要素が飲料の中に徐々に放出されることが可能になる。可溶性コーティングが不溶性コーティングの上に形成される場合、例えば、歯ざわりの良い中心の添加物を腰のある水溶性コーティングと共に飲料中に供給することが可能であり、この添加物は、可溶性コーティングを飲料中に徐々に放出して、例えば表面着色を行う。
【0048】
好ましくは、食用構成要素は、0.25から10mmの最大平均径を有する。より好ましくは、最大平均径は0.5から5mm、最も好ましくは1から3mmである。この最大平均径は、構成要素のランダムサンプリング、撮影および最大観察可能径の決定を含む、従来の技法によって測定することができる。
【0049】
飲料カートリッジの出口は、好ましくは0.5から10mmの最小径を有する。より好ましくは、最大平均径は1から7.5mm、最も好ましく2から5mmである。出口は任意の断面形状を有し得るが、長方形、円形、および楕円形が最も適切と考えられる。特に円形の出口が好ましく、この場合、その径は一定値になる。出口とは、構成要素が保存される部分と、飲料がカップ、マグまたは飲料容器に入る部分との間の流体経路の最も狭い部分を意味する。したがって出口は、排出装置の一部、または従来のカートリッジで使用される泡立たせる手段の一部を形成し得る。あるいは、カートリッジは、どの泡立て手段も迂回することによって構成要素を供給できるように設計することもできる。
【0050】
好ましくは、本発明の飲料カートリッジは、一度使うだけの飲料カートリッジである。すなわち、カートリッジは飲料調製機に挿入され、水性飲料媒体を加えることによって飲料がカートリッジから供給され、その後カートリッジは廃棄される。カートリッジは、好ましくは使用前にシールされる。すなわち、カートリッジは、内部の飲料原料(個別食用構成要素および飲料粉末/塊または液体飲料原料)が少しも漏れる可能性がないように、機械の中に入れられる前にシールされる。カートリッジの材料が実質的に空気不透過性である場合、シールとの組み合わせにおいて、内部の原料を劣化させるおそれがある大気接触にカートリッジが無防備にならないという付加的な利点がある。別法として、貯蔵中、カートリッジは外部包装紙の中に、おそらく窒素下で保持して、カートリッジ内の原料のいかなる劣化も低減することができる。飲料が調製されるとき、シールは破られ、その結果、水性媒体はカートリッジに入ることができ、飲料を供給できるようになる。
【0051】
第2の態様によれば、本発明は、動作サイクル中に、本明細書に記載の本発明によるカートリッジから飲料を供給する方法を提供し、この方法は、水性媒体をカートリッジ中に通して個別食用構成要素を出口から排出し入れ物に入れるステップを含む。
【0052】
本発明者らはまた、水性飲料媒体中で実質的に不溶性である個別食用飲料構成要素を得たが、この構成要素は、
(i)任意選択で歯ざわりの良い芯を有する、腰のある本体、または
(ii)任意選択で腰のある芯を有する、歯ざわりの良い本体を含む。
好ましくは、少なくとも1つの別のコーティング層が構成要素の上に形成され、これら別のコーティング層のうちの少なくとも1つが実質的に水に不溶である。好ましくは、構成要素は、前記の再構成されたフルーツ片、ソフトキャンディ、フルーツトローチまたは風味付けされたナゲット、あるいは硬いキャラメル、ナッツ、破砕ナッツ、硬いキャンディ、押出しチョコレート、ライスクリスピー、シリアル、ビスケット片、コショウの実、破砕シナモンスティック、香辛料、またはこれらの2つ以上の組合せを含む。食用構成要素は、好ましくは0.25から10mmの最大平均径を有する。
【0053】
コーティング層を形成することの特別な利点は、構成要素の湿り気および貯蔵安定性を大きく改善できることである。好ましいコーティングは、Ca
2+イオンと接触するとゲルを形成する化合物を前記イオンに接触させることによって作られる。好ましくは、化合物は多糖である。好ましいコーティングには、アルギナートゲル、イオタカラギーナンゲル、低メトキシ(LM)ペクチン、および低アシル(LA)ジェランガムが含まれる。このコーティング層により、構成要素が時間的に制御されて飲料中に溶解することが可能になり得る。さらに、最外層が存在することにより、飲料中での上記の時間的な作用が可能になり得る一方で、内側の水不溶性層が芯を保護することができる。
【0054】
一実施形態では、飲料構成要素は、腰のある層で被覆された歯ざわりの良い構成要素であり、この構成要素は、飲料の上に浮かぶように1g/cm
3未満の総密度を有する。好ましくは、本発明のカートリッジ内で使用される構成要素は、0.1から0.99g/lの飲料中密度を有する。この密度は、構成要素が出口を通過し、その後で飲料中でさらに膨張することができるように、水性媒体との接触前により大きくてもよい。
【0055】
別の実施形態では、飲料構成要素は、腰のある層で被覆された歯ざわりの良い構成要素であり、この構成要素は、飲料中に浮遊する、または沈むように1g/cm
3以上の総密度を有する。表面効果によりまた、わずかに水より高密度の構成要素が飲料の表面に保持され得る。好ましくは、本発明のカートリッジ内で使用される構成要素は、1.01から2g/lの飲料中密度を有する。この密度は、水性媒体をいくらか吸収する前にはより低くてもよい。
【0056】
一実施形態では、構成要素は固体の、任意選択で「歯ざわりの良い」構成要素として飲料カートリッジ内に含まれる。水性媒体が付加されると、構成要素は少なくとも部分的に水性媒体によって水和され、その結果、最も外側の面が軟らかく、好ましくは「腰がある」ようになって、構成要素が損なわれることなくカートリッジから排出されることが可能になる。好ましくは、構成要素はその後さらに大量の飲料中でさらに水和されて、実質的に腰があり(任意選択で歯ざわりの良い芯があり)、好ましくは膨張した構成要素が作られる。すなわち、好ましくは、構成要素は、それが水性媒体を吸収する速度でその構造が、本明細書に示される定義による「歯ざわりの良い」または「腰のある」ものとして決まるように選択される。しかし、前記のように、水和可能でない構成要素が、より予測可能で均一な飲料製品が結果として得られるので、好ましい。
【0057】
第3の態様によれば、本発明は、本発明による飲料カートリッジ内で使用するための個別食用構成要素を生成する方法を提供し、この方法は、
a)風味付けされた原料をコーティング溶液中で溶解するステップ、または
b)個別食用構成要素の少なくとも外面をコーティング溶液と接触させて、被覆された構成要素を作るステップを含み、
その後、被覆された構成要素または一定分量の風味付けされた溶解原料を、カルシウムイオンを含む溶液と接触させ、それによってコーティング溶液がカルシウムイオンとの接触で固体化して個別食用構成要素が作られ、さらに
個別食用構成要素を飲料カートリッジの中に移すステップを含む。
【0058】
カルシウムイオンと接触すると固体化する溶液が当技術分野で知られており(例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる特許文献3参照)、消費するのに安全である任意のそのような溶液を本発明の方法のコーティング溶液として使用することができる。好ましくは、コーティング溶液は、水中に溶解した多糖を含む。好ましい多糖には、アルギナート、イオタカラギーナンゲルなどのカラギーナン、低メトキシ(LM)ペクチン、および低アシル(LA)ジェランガムが含まれる。アルギナートが最も好ましい。k−カラギーナンなど、カリウムイオンに反応する溶液を使用することもまた可能であり、この場合、被覆された構成要素、または一定分量の風味付けされた溶解原料は、カリウムイオンを含む溶液と接触させなければならない。
【0059】
好ましくは、この方法は、風味付けされた溶解原料を滴のように、カルシウムイオンを含む溶液の中に加えることによって、一定分量の風味付けされた溶解原料をカルシウムイオンを含む溶液と接触させることを含む。こうすることは、風味付けされたどのような構成物でも、飲料カートリッジ内の食用構成要素として使用するための腰のある、または変形可能なナゲットになるように調製し変換できるので有利である。
【0060】
好ましくは、カルシウムイオンを含む溶液は、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、または塩化カルシウム、あるいはこれらの2つ以上の混合物の溶液である。塩化カルシウムが、低コストで、容易に入手でき、高可溶性(20℃および100kPaにおいて、純水中に750g/lまで)であるので好ましい。他の可溶性カルシウム塩を使用することもできる。この溶液中のイオンの濃度に対する特定の制限はないが、好ましくはカルシウムイオンは、0.1から100g/l、より好ましくは0.1から10g/l、より好ましくは0.5から5g/lまでの濃度で存在する。この濃度は、所望の溶剤の中、好ましくは水中で、20℃および100kPaにおいて測定される。
【0061】
有利なことに、本発明の方法により、液体溶液中での個別食用構成要素の移動、および任意選択で貯蔵が可能になる。コーティングは、湿気の存在下での構成要素の劣化を防止し、構成要素を湿った状態の中に、ミルクなどの液体飲料原料と直接接触さえしても、保存できるようにする。
【0062】
第4の実施形態によれば、上記の方法によって得られる飲料付属物が提供される。この飲料付属物は個別食用構成要素である。
【0063】
第5の態様によれば、本発明は、湿気の影響を受けやすい個別食用構成要素が水性環境中で安定していることを可能にするために、第3の態様によるコーティング、好ましくはカルシウムアルギナートコーティングを使用することを実現する。すなわち、湿気の影響を受けやすい個別食用構成要素は、分解または劣化することなく水性環境中に保存することができる。このように、コーティングを使用することにより、構成要素が水性環境中に少なくとも1週間、好ましくは1ヶ月、好ましくは少なくとも1年間保持され、存続可能なままであることができる。すなわち、飲料中に供給されたときに、その有利な食感特性が失われない。
【0064】
第6の態様によれば、本発明によるカートリッジと、カートリッジを受け入れるように、かつ水性飲料媒体を加えることによってカートリッジから飲料を供給するように適合された飲料供給機とを備える飲料供給システムが提供される。
【0065】
本発明のカートリッジはまた、食品製品を調製するために使用できることに留意されたい。このような液体食品製品は、厳密には飲料ではないが、例えばスープ、カスタード、ソースなどを含む。これらの製品を作るための原料は、一般に知られているように、粉末にされ、挽かれた、葉ベースまたは液体であり得る。これらの非飲料製品を生成するために使用されることがある構成要素は、本発明により生成することができる。したがって、例えばスープにクルトンを入れることができ、したがって、改善された風味、食感、および改善した官能特性を持つ製品を生成することができる。
【0066】
以下に、本発明の非限定的諸実施形態を例としてのみ、次の添付の図面を参照して説明する。