(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864563
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】マグネシウム系電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/054 20100101AFI20160204BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20160204BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20160204BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20160204BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20160204BHJP
【FI】
H01M10/054
H01M4/58
H01M4/48
H01M4/38 Z
H01M10/0568
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-516685(P2013-516685)
(86)(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公表番号】特表2013-534030(P2013-534030A)
(43)【公表日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】US2011041236
(87)【国際公開番号】WO2011163218
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年4月18日
(31)【優先権主張番号】12/819,325
(32)【優先日】2010年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】松井 雅樹
【審査官】
結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−076720(JP,A)
【文献】
特開2000−353543(JP,A)
【文献】
特開2004−259650(JP,A)
【文献】
特表2005−505894(JP,A)
【文献】
特開昭63−136462(JP,A)
【文献】
特開昭55−139766(JP,A)
【文献】
特開2009−64730(JP,A)
【文献】
特開平11−7944(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0044725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/00−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池である装置であって、
第15族のカルコゲニドから形成された活物質を含むアノード、
カソード、及び
前記アノードと前記カソードの間に配置された電解質
を含み、前記電解質がマグネシウム化合物を含み、
前記電池が充電式マグネシウムイオン電池であり、マグネシウムイオンが充電及び放電サイクルの間、前記アノード及びカソードの間を移動する、装置。
【請求項2】
前記第15族のカルコゲニドが、リン、ヒ素、アンチモン及びビスマスからなる群より選択される1つ又は複数の元素を含み、酸素、硫黄、セレン及びテルルからなる群より選択される1つ又は複数の元素をさらに含む化合物である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記活物質がビスマスカルコゲニドを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ビスマスカルコゲニドが酸化ビスマスである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記充電式マグネシウムイオン電池が少なくとも300ミリアンペア時/グラムのエネルギー密度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
電池である装置であって、
第1の活物質を含む正極、
第2の活物質を含む負極、及び
前記正極と前記負極の間に配置された電解質
を含み、前記電解質がマグネシウム塩を含み、
前記第2の活物質が第15族のカルコゲニドを含み、
前記電池がマグネシウムイオン電池であり、マグネシウムイオンが充電及び放電サイクルの間、アノード及びカソードの間を移動する、装置。
【請求項7】
前記負極が、バインダー、電気伝導性材料、及び第15族のカルコゲニドの粒子を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第15族のカルコゲニドがビスマスカルコゲニドである、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記ビスマスカルコゲニドが酸化ビスマスである、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年6月21日付け出願の米国特許出願第12/819,325号の優先権を主張するものであり、当該出願の内容はその参照により本明細書に含められる。
【0002】
本発明は、電気化学デバイス、例えば電池、特には充電式電池、例えば充電式のマグネシウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0003】
充電式電池、例えばリチウムイオン電池には、多くの商業的な用途がある。エネルギー密度は重要な特徴であり、より高いエネルギー密度が種々の用途にとって望ましい。
【0004】
マグネシウムイオン電池におけるマグネシウムイオンは2個の電荷を運び、これはリチウムイオンの1個の電荷とは対照的である。改善された電極材料は、高いエネルギー密度の電池を開発するために非常に有用である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の例は、活物質を含む電極を有するマグネシウム系電池であって、該活物質が第15族元素、例えばビスマス(Bi)を含むマグネシウム系電池を包含する。幾つかの例では、活物質は、第15族元素のカルコゲニド、例えば第15族元素、例えばリン、ヒ素、アンチモン又はビスマスの酸化物、硫化物、セレン化物又はテルル化物を含む。特定の例は、酸化ビスマスを含む活物質である。例えば、酸化ビスマスは、粒子、例えばミクロンスケール、サブミクロン又はナノスケールのBi
2O
3粒子であることができる。例としては充電式のマグネシウムイオン電池が挙げられる。
【0006】
本発明の例は、電気化学デバイス、例えば充電式のマグネシウムイオン電池のための改善された活物質を含む。新規の活物質が電池の正極又は負極において使用できる。
【0007】
幾つかの代表的な例では、負極はマグネシウム金属であることができ、正極はビスマス及び/又は別の第15族元素の化合物を含む活物質を含むことができる。正極は酸化ビスマスを含むことができる。正極は電子伝導性材料及び/又はバインダーをさらに含むことができる。
【0008】
さらに代表的な例では、正極材料は従来の任意の活物質であることができ、負極は本発明の実施態様による新規の活物質、例えば第15族の化合物を含むことができる。例えば、負極は酸化ビスマスを含むことができ、電子伝導性材料及び/又はバインダーをさらに含むことができる。
【0009】
電池の例は、負極、正極、及び電解質層を含むことができる。電解質層は、電解質溶液に浸漬したセパレータによって提供することができる。電解質溶液は、マグネシウムイオン又は電池タイプによる他の活性イオンを含む。例えば、電解質は非水液体及びマグネシウム塩を含むことができる。
【0010】
改善された活物質は、電気伝導性材料、例えば炭素、及びバインダー、例えばポリマーバインダーをさらに含むことができる。
【0011】
マグネシウム系電池の例は、活物質を含む第1の電極、第2の電極、及び前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置された電解質を含み、前記電解質はマグネシウム塩を含み、前記活物質は第15族の化合物、例えば第15族のカルコゲニド、例えばビスマス化合物、特には酸化ビスマスを含む。種々の例において、第1の電極は電池の正極又は負極のいずれであってもよい。
【0012】
マグネシウムイオン電池の例は、活物質を含む正極、マグネシウム含有金属、例えば金属マグネシウム又はマグネシウム合金を含む負極、及び前記正極と前記負極の間に配置されたマグネシウム塩を含む電解質を含む。活物質は第15族の化合物、例えば第15族のカルコゲニド、例えばビスマス化合物、例えば酸化ビスマスを含む。
【0013】
別のマグネシウムイオン電池の例は、第1の活物質を含む正極、第2の活物質を含む負極、及び前記正極と前記負極の間に配置された電解質を含み、前記電解質はマグネシウム塩を含む。活物質は第15族の化合物、例えば第15族のカルコゲニド、例えばビスマス化合物、特には酸化ビスマスを含む。第2の活物質は、電解質のマグネシウムイオンと電解相互作用することができる任意の金属を含むことができる。電極は活物質に加えてバインダーと電気伝導性材料を含むことができ、集電体上に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】マグネシウム金属の負極、及び新規の活物質を含む正極を含むマグネシウムイオン電池を示す。
【
図2】負極内部に新規の活物質を有するマグネシウムイオン電池を示す。
【
図3A】粒子サイズの関数としての、3回のサイクルについてのマグネシウム/酸化ビスマス半電池に関する充放電曲線を示す。
【
図3B】粒子サイズの関数としての、3回のサイクルについてのマグネシウム/酸化ビスマス半電池に関する充放電曲線を示す。
【
図3C】粒子サイズの関数としての、3回のサイクルについてのマグネシウム/酸化ビスマス半電池に関する充放電曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の例は、電気化学デバイス、例えば電池、特には充電式電池を含む。例としては、マグネシウム系電池が挙げられ、マグネシウムイオン電池の電極内部の活物質として使用される材料に関する。特には、電池の例は、少なくとも1つの第15族元素を含む電極活物質を含む。例えば、活物質は第15族元素のカルコゲニドを含むことができる。本明細書に記載される改善された活物質は、電池の例のカソード及び/又はアノード内において使用することができる。
【0016】
具体的な例では、限定するものではないが、マグネシウムイオン電池のための改善された活物質は酸化ビスマスを含む。
【0017】
充電式マグネシウムイオン電池は、その高い容量密度のために高エネルギー電池システムであることが期待される。特には、リチウムイオン電池と比較した場合に、マグネシウムイオンはマグネシウムイオンあたり2個の電子を運ぶ。しかしながら、これまでは、高い容量密度の利点を十分に利用できる優れたカソード又はアノード活物質がなかった。
【0018】
本発明の例では、第15族元素を含む改善された活物質は充電式電池のための活物質材料として使用される。電極の例は、ビスマス、アンチモン又はリンからなる元素の群からの少なくとも1つの元素の化合物、例えばカルコゲニドを含む活物質を含む。代表的な例は、ビスマス、アンチモン、ヒ素又はそれらの幾つかの組み合わせのカルコゲニドである。好ましい活物質は、ビスマス、例えばビスマス化合物、例えばビスマスカルコゲニドを含む。新規の活物質の具体的な例は、第15族元素のカルコゲニド、例えば第15族元素の酸化物、硫化物、及びセレン化物を含む。カルコゲニドは、1つ又は複数の第16族元素、例えば酸素、硫黄、セレン及びテルルの1つ又は複数を含むことができる。
【0019】
改善された活物質の特定の例は酸化ビスマスを含む。例えば、酸化ビスマス(III)B
2O
3は、改善された活物質において使用することができる。他の例としては、硫化ビスマス、セレン化ビスマス、酸化アンチモン、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、酸化ヒ素、硫化ヒ素、セレン化アンチモン、1つ又は複数の第15族元素のセレン化硫化物等の混合カルコゲニドなどが挙げられる。
【0020】
活物質は、電気伝導性材料及びバインダーをさらに含むことができる。電気伝導性材料の例は、炭素粒子、例えばカーボンブラックを含む。バインダーの例はポリマーを含む。
【0021】
図1は、改善された正極活物質を有する充電式マグネシウムイオン電池を示す。この電池は、マグネシウム金属を含む負極10、電解質層12、正極14、集電体16、負極ハウジング18、正極ハウジング20、及びシーリングガスケット22を含む。電解質層16は電解質溶液中に浸漬されたセパレータを含み、正極14は集電体16によって支持される。この例では、正極は、本発明の例による改善された活物質、導電性炭素、及びバインダーを含む。例えば、正極は酸化ビスマス、他の第15族カルコゲニド又は他の第15族化合物を含むことができる。
【0022】
図2は、新規の活物質が充電式マグネシウム電池の負極において使用される別の例を示す。この電池は、負極30、集電体32、電解質層34、正極36、集電体38、負極ハウジング40、ガスケット42、及び正極ハウジング44を含む。電解質層34は電解質溶液中に浸漬されたセパレータを含み、正極及び負極はそれぞれの集電体によって支持される。この例では、負極は、本発明の例による改善された活物質、導電性炭素、及びバインダーを含む。例えば、負極は酸化ビスマス、他の第15族カルコゲニド又は他の第15族化合物を含むことができる。正極は、このような充電式電池の正極において使用される従来の任意の活物質、例えば別の酸化物を含むことができ、導電性炭素及びバインダーをさらに含むことができる。充電式電池では、マグネシウムイオンは、充電/放電サイクルの間、第1及び第2の活物質間を移動する。
【0023】
図3A〜
図3Cは、3つの酸化ビスマス電極に関する充放電曲線の比較を示す。全体として、これらの電極構成は、一貫して2回目のサイクル後に300mA・時間/gを超えるエネルギー密度を示した。
【0024】
図3Aは20nmの平均粒径を有するナノスケールの酸化ビスマス粒子に関する充放電曲線を示す。
図3Bは100nmの平均径を有するサブミクロンスケールの酸化ビスマス粒子に関する曲線を示す。
図3Cは10μmの平均径を有するミクロンスケールの酸化ビスマス粒子に関する曲線を示す。
【0025】
これらの図は、最初の3回のサイクルの間のマグネシウム/酸化ビスマス半電池に関する充放電曲線を示す。ナノスケール材料の第1サイクルの間(
図3A)、ナノスケールのBi
2O
3粒子に基づく電極構成は641mAh/gの放電容量を有していたが、容量の約40%しか可逆的でなかった。第2及び第3サイクルでは、クーロン効率が約80%まで徐々に改善し、300mAh/g超の継続的に安定な放電容量がさらなるサイクルにおいて得られた。酸化ビスマスの場合、300mAh/gの容量は、立方センチメートルあたり2,061ミリアンペア時(mAh/cm
3)のリチウム金属に関する数字と比較すると、2,670mAh/cm
3に相当する。したがって、マグネシウム/酸化ビスマスシステムは、リチウムイオン電池に対して体積容量密度の観点で重要な潜在的利点を有する。
【0026】
図3A〜3Cに示される結果は、広い範囲の粒子サイズにわたって改善された特性が得られることを示している。これは、300ミリアンペア時/グラム(mAh/g又はmAhg
-1)超のエネルギー密度が充電式マグネシウム電池に関して得られた初めてのことである。
【0027】
したがって、改善された活物質は第15族元素、例えばビスマスを含み、それはカルコゲニド、例えば酸化物、硫化物、セレン化物又はテルル化物の形態であることができる。改善された活物質は、電気化学デバイス、例えば充電式電池の正極又は負極において使用することができる。活物質は1つ又は複数の第15族元素を含むことができ、例えば1つ又は複数の第15族元素の酸化物、硫化物、セレン化物若しくはテルル化物(又はそれらの組み合わせ)を含むことができる。
【0028】
充電式電池の例は、電解質層、例えばマグネシウムイオンを含む非水電解質層を含む。本明細書で記載される多くの例はマグネシウムイオン電池に関する。しかしながら、他の例は、他のアルカリ土類金属イオンに基づく電池、例えばカルシウムイオン系電池を含む。例として、アルミニウムイオン系電池を挙げることもできる。例えば、
図1の電池は、適切な電解活性イオン種を含む電解質とともに、カルシウム金属又はアルミニウム金属を含む負極をそれぞれ含む。幾つかの例では、電池は複数の電解活性イオン種を用いて機能させることができる。本発明による改善された活物質を使用できる充電式イオン電池の他の例は、ベリリウムイオン、ストロンチウムイオン、及びバリウムイオン系電池を含む。
【0029】
電解質層は、正極と負極の間の電気的遮蔽を維持するのを助けるセパレータを含むことができる。セパレータは、繊維、粒子、織物、多孔質シート、又は電極間の物理的な接触及び/又は短絡を低減するよう構成された他の材料の形態を含むことができる。セパレータは単一の部材であってもよいし、又は複数の別々のスペーサ部材、例えば粒子又は繊維を含んでいてもよい。電解質層は、電解質溶液を注入したセパレータを含むことができる。幾つかの例では、例えばポリマー電解質を用いて、セパレータを省くことができる。
【0030】
電解質層は、非水溶媒、例えば有機溶媒、及び活性イオンの塩、例えばマグネシウム塩を含むことができる。マグネシウム塩によって提供されるマグネシウムイオンは1つ又は複数の活物質と電解相互作用する。電解質は、マグネシウムイオンを含むかさもなければそれを提供する電解質、例えばマグネシウム塩を含む非水又はプロトン性電解質であることができる。電解質は有機溶媒を含むことができる。マグネシウムイオンは、マグネシウムの塩若しくは錯体、又は任意の適切な形態として存在することができる。
【0031】
電解質は、他の化合物、例えばイオン伝導性高めるための添加物を含むことができ、幾つかの例では、添加物として酸性又は塩基性の化合物を含むことができる。電解質は液体、ゲル又は固体であることができる。電解質はポリマー電解質、例えば可塑化ポリマーを含むポリマー電解質であることができ、マグネシウムイオンを注入するかさもなければそれを含むポリマーを含むことができる。幾つかの例では、電解質は溶融塩を含むことができる。
【0032】
マグネシウム金属を含む負極を含む電池の例では、マグネシウムは、シート、リボン、粒子、又は他の物理的形態として存在することができる。マグネシウムは、実質的に純粋なマグネシウム金属として又は幾つかの他の形態で存在することができる。例えば、負極はマグネシウム含有金属、例えばマグネシウム合金を含むことができる。マグネシウム含有電極は、集電体によって支持することができる。
【0033】
集電体は、電極が支持される金属又は他の電気伝導性シートを含むことができる。金属シートは、アルミニウム、銅、又は他の金属若しくは合金を含むことができる。幾つかの例では、金属ハウジングは集電体の機能を提供することができる。他の導電性材料、例えば電気伝導性ポリマーを集電体として使用してもよい。
【0034】
電極で用いられるバインダーは、電極部材を結合することができる任意の材料を含むことができる。多くのバインダーは、電池の分野で公知であり、例えば種々のポリマーバインダーが公知でありかつ使用可能である。
【0035】
活物質は粒子であることができ、例えば1nm〜100μm、より好ましくは1nm〜20μm、例えば10nm〜10μmの平均(平均又は中央)径(又は他の類似の断面径)を有する粒子であることができる。幾つかの例では、粒子はナノスケールであり、例えば1nm〜1μm、例えば1nm〜100nmの平均(平均又は中央)径(又は他の類似の断面径)を有する。しかしながら、本発明は、いかなる特定の平均粒子サイズ又は粒子サイズ分布にも限定されない。
【0036】
図1及び2で示されるような例はボタン電池の形態であることができる。しかしながら、本発明は特定の形態の電池には限定されない。本発明の例は、ボタン電池、他の円形電池、円筒形電池、矩形電池又は他の角柱電池などのような任意の適切な形態ファクターにおいて、並列及び/又は直列で電気的に接続された1つ又は複数のセルを有する電池を含む。同様に、装置の例は、クルクルと巻いた電池形態、電池とスーパーキャパシタの組み合わせ、及び/又は燃料電池などを含む。
【0037】
本発明の例はまた、種々の電動装置、例えば家電機器、医療機器、電気若しくはハイブリッド自動車、又は本発明の例による電池を含む他の装置に関する。
【0038】
第15族化合物(例えば第15族のカルコゲニド、例えばビスマス化合物、特には酸化ビスマス)を含む活物質は追加の元素成分を含むことができる。例としては、ビスマスと、希土類元素、遷移金属又は他の酸化物との混合酸化物が挙げられる。
【0039】
活物質の例はまた、1つ又は複数の第15族元素(例えばリン、ヒ素、アンチモン、及びビスマスから選択される1つ又は複数の元素)、及び1つ又は複数のカルコゲン(例えば酸素、硫黄、セレン、及びテルルから選択される1つ又は複数の元素)の化合物を含む。代表的な例としては、酸化物、セレン化物、硫化物、テルル化物、セレン化硫化物、セレン化テルル化物、硫化テルル化物などを含む。このような化合物は1つ又は複数の第15族元素を含むことができ、1つ又は複数の他の金属をさらに含むことができる。好ましくは、活物質は動作温度で固体材料である。
【0040】
本発明の例は、一次電池(非充電式、例えばマグネシウム電池)と二次電池(充電式、例えばマグネシウムイオン電池)の両方を含む。具体的な例は充電式のマグネシウムイオン電池を含む。マグネシウム系電池という用語は、一次電池と二次電池の両方、すなわちマグネシウム電池とマグネシウムイオン電池の両方を包含する。本発明の例は、従来のリチウムイオン充電式電池よりも高いエネルギー密度を有する充電式マグネシウムイオン電池を含む任意のマグネシウム系電池を含む。
【0041】
電解質は任意の適切な方法によって製造することができる。例えば、ペーストは、活物質の粒子、バインダー、及び電子伝導性材料(例えば黒鉛炭素粒子又はカーボンブラック)から形成することができる。ペーストは、電気伝導性基材、例えば集電体上に堆積して必要に応じて熱処理することができる。
【0042】
電池、例えば充電式マグネシウムイオン電池を製造する改善された方法は、電解質によって隔てられた第1及び第2の電極、第15族化合物、例えば第15族のカルコゲニド、例えばビスマス化合物、例えばビスマスカルコゲニド、例えば酸化ビスマスを含む少なくとも1つの電極を用意する工程を含む。
【0043】
本発明は、上記の例示的な例には限定されない。上記の例は本発明の範囲を限定するものではない。その変更、構成要素の他の組み合わせ、及び他の使用を当業者であれば思い付くであろう。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定される。