(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジエンエラストマーが、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物から選ばれる実質的に不飽和のジエンエラストマーである、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
前記ジエンエラストマーが、ブチルゴム、およびEPDMのようなジエンとアルファ−オレフィンとのコポリマーから選ばれる実質的に飽和のエラストマーである、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の主題は、その場合、少なくとも1種のジエンエラストマー、補強用充填剤、化学架橋剤、および、上記で先に定義しているような、少なくとも1個の(好ましくは1個)のスペーサー基Spによって互いに結合させている少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含む変性剤をベースとするゴム組成物である。
【0018】
本発明に従うゴム組成物の第1の成分は、ジエンエラストマーである。
ジエンエラストマーは、通常、2つのカテゴリー、即ち、実質的に不飽和と称するエラストマーおよび実質的に飽和と称するエラストマーに分類し得る。これらのカテゴリーのジエンエラストマーの双方を、本発明の関連においては意図する。
【0019】
実質的に飽和のジエンエラストマーは、常に15%(モル%)よりも少ない、低い、極めて低い割合のジエン起原(共役ジエン)単位または成分を有する。従って、例えば、ブチルゴム或いはEPDMタイプのジエンとα‐オレフィンのコポリマーは、実質的に飽和のジエンエラストマーの定義に属する。
【0020】
対照的に、実質的に不飽和のジエンエラストマーは、15%(モル%)よりも多いジエン起原(共役ジエン)単位または成分の部分を有する共役ジエンモノマーに少なくとも一部由来するジエンエラストマーである。“実質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、“高不飽和”ジエンエラストマーなる用語は、特に、50%よりも多い割合のジエン起原(共役ジエン)単を有するジエンエラストマーを意味する。
【0021】
本発明において使用することのできるジエンエラストマーは、さらに詳細には、下記のとおりであると理解されたい:
(a) 4〜12個の炭素原子範囲の共役ジエンモノマーを重合させることによって得られる任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエンを他のジエンまたは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物と共重合させることによって得られる任意のコポリマー;
(c) エチレンおよび3〜6個の炭素原子を含有するα‐オレフィンを、6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーと共重合させることによって得られる3成分コポリマー、例えば、上記タイプの非共役ジエンモノマー、例えば、特に、1,4‐ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンと一緒のエチレンおよびプロピレンから得られるエラストマー;この種のポリマーは、さらに詳細には、文献WO 2004/035639A1号およびUS 2005/0239639A1号に記載されている。
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、特に、塩素化または臭素化形。
【0022】
任意のタイプのジエンエラストマーに適応するけれども、好ましくは、特に上記のタイプ(a)または(b)の少なくとも1種の高不飽和ジエンエラストマーを使用する。
【0023】
適切な共役ジエンとしては、特に、1,3‐ブタジエン;2‐メチル‐1,3‐ブタジエン;例えば、2,3‐ジメチル‐1,3-ブタジエン、2,3‐ジエチル‐1,3‐ブタジエン、2‐メチル‐3‐エチル‐1,3‐ブタジエンまたは2‐メチル‐3‐イソプロピル‐1,3‐ブタジエンのような2,3‐ジ(C
1〜C
5アルキル)‐1,3‐ブタジエン;アリール‐1,3‐ブタジエン、1,3‐ペンタジエン、2,4‐ヘキサジエンがある。適切なビニル芳香族化合物は、例えば、スチレン;オルソ‐、メタ‐またはパラ‐メチルスチレン;“ビニル‐トルエン”市販混合物;パラ‐ターチオブチルスチレン(para-tertiobutylstyrene);メトキシスチレン;クロロスチレン;ビニルメシチレン;ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレンである。
【0024】
上記コポリマーは、99〜20質量%のジエン単位と1〜80質量%のビニル芳香族単位を含有し得る。これらのエラストマーは、使用する重合条件、特に、変性剤および/またはランダム化剤の存在または不存在並びに使用するランダム化用変性剤の量の関数である任意のミクロ構造を有し得る。上記エラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液中、エマルジョン中または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ剤(star‐branching agent)或いは官能化剤によってカップリングし得および/または星型枝分れ化し得或いは官能化し得る。
【0025】
特に適するのは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーである。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)およびそのようなコポリマーの混合物からなる群から選ばれる。
【0026】
本発明に従うゴム組成物は、少なくとも1種のジエンエラストマーと少なくとも1種の変性剤をベースとする。ジエンエラストマーは、上記ゴム組成物中に導入する前に、変性剤によってグラフト化させてもよく、或いは、上記組成物の製造中の変性剤との反応によってグラフト化させてもよい。
【0027】
従って、本発明に従うタイヤにおける組成物は、上記変性剤によってグラフト化させた1種のみのジエンエラストマー(上記組成物中への導入前にグラフト化させたかまたは上記組成物の製造中に上記変性剤との反応によってグラフトさせたかのいずれかの)或いは2種以上のジエンエラストマーの混合物(ジエンエラストマーの全てがグラフト化されているかまたはジエンエラストマーの1部がグラフト化されて他のジエンエラストマーはグラフト化されていない)を含み得る。
【0028】
本発明に従うグラフト化エラストマーとのブレンドにおいて使用する上記他の1種以上のジエンエラストマーは、上記で説明したような通常のジエンエラストマーであり、星型枝分れ化、カップリング、官能化されていてもまたはされていなくてもよい。その場合、これらのエラストマーは、上記マトリックス中に、0と60phrの間の割合(この範囲の端点は除外される)で、好ましくは0〜50phr、さらにより好ましくは0〜30phrの割合で存在する。
【0029】
少なくとも1種の他のジエンエラストマーとのブレンドの場合、上記エラストマーマトリックス中の本発明に従うグラフト化エラストマーの質量画分は、主要量であり、好ましくは、マトリックス総質量の50質量%異常である。本発明に従う主要質量画分は、上記ブレンド中の最高質量画分である。
本発明に従う組成物中の上記1種以上の補完的エラストマーの割合が低いほど、本発明に従うゴム組成物の諸性質の改良は大きいことに留意されたい。
【0030】
本発明に従う1種以上のグラフト化ジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーと組合せて、またはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーとさえと組合せて使用し得る。
【0031】
本発明に従うゴム組成物の第2成分は、上記変性剤である。この変性剤は、少なくとも1個の(好ましくは1個)のスペーサー基Spによって互いに結合させている少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含む;上記において、
Qは、少なくとも1個の(好ましくは1個)の窒素原子を含有する双極子を含み;
Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む会合性基を含み;
Spは、QとA間の結合を形成する原子または複数の原子の基である。
【0032】
双極子は、不飽和炭素‐炭素結合への双極子[1,3]付加を形成することのできる官能基である。
“会合性基(associative group)”は、水素結合、イオン結合および/または疎水結合によって互いに結合することのできる任意の基である。本発明の好ましい実施態様によれば、この用語は、水素結合によって会合を受けることのできる基を称する。
【0033】
上記会合性基が水素結合による会合を受け得る場合、各会合性基は、2個の同一の会合性基が、自己補足性であり、互いに会合して、少なくとも2個の水素結合を形成し得るように、水素結合に関連する少なくとも1個の供与体部位と1個の水素結合のための受容体部位を含む。
また、本発明に従う会合性基は、充填剤上に存在する官能基と水素結合、イオン結合および/または疎水結合による会合を受け得る。
【0034】
1個の基Qおよび1個のスペーサー基および1個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ia)によって示し得る:
A − Sp − Q (Ia)
【0035】
1個の基Q、1個のスペーサー基および2個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ib)によって示し得る:
【化2】
【0036】
同様に、2個の基Q、1個のスペーサー基および1個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ic)によって示し得る:
【化3】
【0037】
同じ原理によれば、2個の基Q、1個のスペーサー基および2個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Id)によって示し得る:
【化4】
【0038】
上記会合性基は、好ましくは、イミダゾリジニル、ウレイル、ビス‐ウレイル、ウレイド‐ピリミジルおよびトリアゾリルからなる基から選ばれる。
【0039】
基Aは、好ましくは、下記の式(II)〜(VI)の1つに相応する:
【化5】
(式中、Rは、必要に応じてヘテロ原子を含有し得る炭化水素基を示し;
Xは、酸素またはイオウ原子、好ましくは酸素原子を示す)。
【0040】
基Aは、好ましくは、少なくとも1個のカルボニル官能基を含む、2個または3個、好ましくは2個の窒素を含む5原子または6原子の複素環を含む。
基Aは、さらに好ましくは、式(II)のイミダゾリジニル基を含む。
【0041】
基Qは、上記ジエンエラストマー鎖に、共有結合する(グラフトする)ことによって結合し得る。基Qは、好ましくは、少なくとも1個の不飽和を担持するポリマーに[3+2]付加環化によって結合することのできるニトリルオキシド、ニトロンまたはイミンニトリル官能基を含む。
【0042】
基Qは、好ましくは、下記の式(VII)、(VIII)または(IX)の基である:
【化6】
[式中、R1〜R6は、個々に、スペーサー基Sp、水素原子、線状または枝分れのC
1〜C
20アルキル基、線状または枝分れのC
3〜C
20シクロアルキル基、線状または枝分れのC
6〜C
20アリール基、および下記の式(X)の基から選ばれる:
【化7】
(X)
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し、各Yは、個々に、スペーサー基Sp、アルキル基またはハライドを示す)]。
【0043】
スペーサー基Spは、少なくとも1個の基Qおよび/または少なくとも1個の会合性基Aを結合させることを可能にし、従って、それ自体既知の任意のタイプであり得る。しかしながら、上記スペーサー基は、本発明に従う化合物の基Qおよび会合性基を全くまたは殆ど干渉すべきではない。
【0044】
従って、上記スペーサー基は、基Qに対しては不活性である基としてみなされる。上記スペーサー基は、好ましくは、線状、枝分れまたは環状の炭化水素鎖であり、1個以上の芳香族基および/または1個以上のヘテロ原子を含み得る。上記鎖は、必要に応じて置換し得るが、その置換基が基Qに対して不活性であることを条件とする。
1つの好ましい実施態様によれば、上記スペーサー基は、窒素、イオウ、ケイ素または酸素原子から選ばれる1個以上のヘテロ原子を必要に応じて含むC
1〜C
24、好ましくはC
1〜C
10の線状または枝分れアルキル鎖、さらに好ましくはC
1〜C
6の線状アルキル鎖である。
【0045】
本発明の1つの実施態様によれば、基Qは、好ましくは、下記の式(XIa)または(XIb):
【化8】
(式中、R7およびR8は、個々に、水素またはC
1〜C
5アルキル基、アルコキシルまたはハライドを示し、好ましくは、R7およびR8は、個々に、アルキル基またはハライドを示し、さらに好ましくは、R7およびR8は、個々に、メチル基または塩素原子を示し;R
3は、上記で定義したとおりである)
の基であり;そして、基Aは、下記の式(XII):
【化9】
(XII)
の基である。
【0046】
従って、好ましくは、本発明に従うポリマーをグラフト化することを意図する上記化合物は、下記の式(XIII)〜(XXI)の化合物から選択する:
【化10】
(式中、R3は、上記で定義したとおりである)
【0048】
本発明のもう1つの実施態様によれば、本発明に従うポリマーをグラフト化することを意図する化合物は、下記の式(XXII)〜(XXIII)の化合物から選択する:
【化12】
[式中、Rは、スペーサー基Sp、水素原子、線状または枝分れのC
1〜C
20アルキル基、線状または枝分れのC
3〜C
20シクロアルキル基、線状または枝分れのC
6〜C
20アリール基、および下記の式(X)の基から選ばれる:
【化13】
(X)
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し、各Yは、個々に、スペーサー基Sp、アルキル基またはハライドを示す)]。
【0049】
好ましい実施態様によれば、変性剤の割合は、0.01〜50モル%、好ましくは0.01〜5モル%の範囲にある。
【0050】
本発明に従う組成物のもう1つの成分は、補強用充填剤である。
タイヤの製造において使用することのできるゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの補強用充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機補強用充填剤、シリカのような無機補強用充填剤、またはこれら2つのタイプの充填剤のブレンド、特に、カーボンブラックとシリカとのブレンドを使用することができる。
【0051】
カーボンブラックとしては、全てのカーボンブラック類、特に、タイヤにおいて通常使用するタイプHAF、ISAFおよびSAFのブラック類(“タイヤ級”ブラック類として知られている)が適している。また、意図する用途に応じて、より高級シリーズFF、FEF、GPFおよびSRFのカーボンブラック類を使用することも可能である。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形で、グラフト化前または後に、好ましくはグラフト化後に、ジエンエラストマー中に既に混入させていてもよい(例えば、特許出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
【0052】
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、特許出願 WO‐A‐2006/069792号およびWO‐A‐2006/069793号に記載されているような有機官能化ポリビニル芳香族充填剤がある。
【0053】
“無機補強用充填剤”とは、本特許出願においては、定義によれば、それ自体で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤ製造を意図するゴム組成物を補強し得る(換言すれば、その補強機能において、通常のタイヤ級カーボンブラックと置換わり得る)、カーボンブラックと対比しての、任意の無機または鉱質充填剤であると理解すべきである;この種の充填剤は、一般に、知られているとおり、その表面でのヒドロキシル(‐OH)基の存在に特徴を有する。
【0054】
無機補強用充填剤が存在する物理的状態は、その形状が粉末、微細真珠状物、顆粒、ビーズまたは任意の他の適切な濃密化形のいずれであれ重要ではない。勿論、“無機補強用充填剤”なる用語は、種々の無機補強用充填剤の混合物、特に、下記で説明するような高分散性シリカ質および/またはアルミナ質充填剤の混合物も包含することを理解されたい。
【0055】
特に適している無機補強用充填剤は、シリカ質タイプの鉱質充填剤、特にシリカ(SiO
2)、またはアルミナ質タイプの鉱質充填剤、特にアルミナ(Al
2O
3)である。
【0056】
本発明によれば、上記組成物中の補強用充填剤の割合は、30phrと150phrの間、より好ましくは50phrと120phrの間である。最適割合は、特定の意図する用途に応じて変動する。
1つの実施態様によれば、補強用充填剤は、主として、シリカを含み、上記組成物中に存在するカーボンブラックの割合は、好ましくは、2phrと20phrの間である。
本発明のもう1つの実施態様によれば、補強用充填剤は、主として、カーボンブラックを含み、或いは、専らカーボンブラックからなる。
【0057】
無機補強用充填剤をジエンエラストマーとカップリングさせるためには、通常、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学的および/または物理的性質の十分な結合を与えることを意図する少なくとも二官能性であるカップリング剤(または結合剤)、さらに具体的には、二官能性ポリオルガノシロキサンまたオルガノシラン類を使用する。
特に、一般的には、例えば、特許出願 WO03/002648号およびWO03/002649号に記載されている種類の、その特定の構造によって“対称形”または“非対称形”と称するポリスルフィドシランを使用する。
【0058】
本発明に従うタイヤ中のゴム組成物においては、カップリング剤の量は、好ましくは4phrと12phrの間、より好ましくは3phrと8phrの間の量である。
【0059】
当業者であれば、このパラグラフにおいて説明した無機補強用充填剤と等価の充填剤として、もう1つの種類の補強用充填剤を、特に有機充填剤として、この補強用充填剤がシリカのような無機層で被覆されているか、或いは、その表面上に、充填剤とエラストマー間の結合を形成させるためにカップリング剤の使用を必要とする官能部位、特にヒドロキシルを含むかを条件として使用し得ることを理解されたい。
【0060】
本発明に従う組成物のもう1つの成分は、化学架橋剤である。
化学架橋剤は、エラストマー鎖間に共有結合の形成を可能にする。化学架橋は、加硫系によってまたは過酸化物化合物によって生じ得る。
【0061】
実際の加硫系は、イオウ(またはイオウ供与剤)と、一次加硫促進剤とをベースとする。このベース加硫系に、各種既知の二次促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸または等価の化合物、および/またはグアニジン誘導体(特に、ジフェニルグアニジン)を追加し、下記で説明するような第1非生産段階および/または生産段階において混入する。
【0062】
イオウは、0.5phrと12phrの間、特に1phrと10phrの間の好ましい割合で使用する。一次加硫促進剤は、0.5phrと10phrの間の割合で、より好ましくは0.5phrと5.0phrの間の割合で使用する。
【0063】
促進剤(一次または二次)としては、イオウの存在下でのジエンエラストマーの加硫のための促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、チアゾール促進剤およびその誘導体、チウラム促進剤およびジチオカルバミン酸亜鉛促進剤を使用することができる。
【0064】
化学架橋を1種以上の過酸化物化合物によって実施する場合、これらの1種以上の過酸化物化合物は、0.01〜10phrを示す。
化学架橋系として使用することのできる過酸化物化合物としては、アシルペルオキシド類、例えば、ベンゾイルペルオキシドまたはp‐クロロベンゾイルペルオキシド;ケトンペルオキシド類、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド;ペルオキシエステル類、例えば、t‐ブチルペルオキシアセテート、t‐ブチルペルオキシベンゾエートおよびt‐ブチルペルオキシフタレート;アルキルペルオキシド類、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ‐t‐ブチルペルオキシベンゾエートおよび1,3‐ビス(t‐ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;および、ヒドロペルオキシド類、例えば、t‐ブチルヒドロペルオキシドがある。
【0065】
また、本発明に従うゴム組成物は、例えば、可塑剤または増量剤オイル(後者は、芳香族系または非芳香族系のいずれかである);顔料;オゾン劣化防止ワックス(例えば、Cire Ozone C32 ST)、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤(例えば、6‐パラフェニレンジアミン)のような保護剤;疲労防止剤;補強用樹脂;出願WO 02/10269号に記載されているような、メチレンの受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M)、および接着促進剤(例えば、コバルト塩)のような、タイヤ、特に、トレッドの製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用する通常の添加剤の1部または全部も含み得る。
【0066】
好ましくは、本発明に従う組成物は、好ましい非芳香族系または極めて僅かに芳香族系の可塑剤として、ナフテン系オイル、パラフィンオイル、MESオイル、TDAEオイル、グリセリンエステル(特にトリオレアート)、好ましくは30℃よりも高い高Tgを示す可塑化用炭化水素樹脂、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
【0067】
さらに、本発明に従う組成物は、カップリング剤に対する補完物としての、無気補強用充填剤用のカップリング活性化剤、或いは、より一般的には、知られている通り、ゴムマトリックス中での無機充填剤の分散性を改良し組成物の粘度を低下させることによって、生状態における組成物の加工特性を改良することのできる加工助剤も含有し得る
【0068】
本発明のさらなる主題は、上述したゴム組成物の製造方法である。
本発明に従うゴム組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の一般的手順に従う2つの連続する製造段階、即ち、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階とも称する)、および、その後の、典型的には120℃よりも低い、例えば、60℃と100℃の間の低めの温度で機械加工する第2の段階(“生産”段階とも称する)を使用して製造し、この仕上げ段階において、上記化学架橋系を混入する。
【0069】
一般的には、化学架橋系を除いた本発明のタイヤ中に存在する組成物の全てのベース構成成分(これらは、1種以上の補強用充填剤および必要に応じてのカップリング剤である)を、上記第1の非生産段階において、1種以上の上記ジエンエラストマー中に、混練することによって緊密に混入する;換言すれば、少なくともこれらの各種ベース構成成分を、上記ミキサー中に導入し、1回以上の工程で、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する。
【0070】
本発明の第1の実施態様によれば、ジエンエラストマーは、上記ゴム組成物の製造前に、上記変性剤によってグラフト化する。従って、この場合、上記第1の非生産段階において導入するのは、上記グラフト化ジエンエラストマーである。従って、上記方法のこの第1の実施態様によれば、上記方法は、下記の工程を含む:
・重合後におけるまたは溶液中のまたは塊状の上記ジエンエラストマーを、上記で先に説明したような、少なくとも1個の(好ましくは1個)のスペーサー基Spによって互いに結合させている少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含む変性剤のグラフト化によって変性する工程;
・上記補強用無機充填剤および上記化学架橋系を除いた上記組成物の全てのベース構成成分を、上記変性剤でそのようにしてグラフト化した上記ジエンエラストマー中に、混ぜ合せた混合物を、1回以上、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練することによって混入する工程;
・混合物を、100℃よりも低い温度に冷却する工程;
・その後、上記化学架橋剤を混入する工程;
・仕上げた混合物を120℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
・得られたゴム組成物を押出またはカレンダー加工する工程。
【0071】
本発明の第2の実施態様によれば、ジエンエラストマーの上記変性剤によるグラフト化は、上記ゴム組成物の製造と同時に実施する。この場合、まだグラフト化していないままのジエンエラストマーおよび上記変性剤の双方を、上記第1の非生産段階において導入する。好ましくは、その後、補強用充填剤を、この非生産段階において、引続き添加して、上記変性剤との如何なる干渉反応をも阻止する。
【0072】
従って、上記方法のこの第2の実施態様によれば、上記方法は、下記の工程を含む:
・上記ジエンエラストマー中に、変性剤、即ち、上記で先に説明したような、少なくとも1個の(好ましくは1個)のスペーサー基Spによって互いに結合させている少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含む上記化合物を、グラフト化収率が好ましくは60%よりも高く、より好ましくは80%よりも高くあるような温度および時間で混入し、そして、好ましくは、引続き、補強用充填剤、さらにまた、上記化学架橋系を除いた上記組成物の全てのベース構成成分を、混合物全体を、1回以上、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練することによって混入する工程;
・混合物全体を、100℃よりも低い温度に冷却する工程;
・その後、上記化学架橋剤を混入する工程;
・混合物全体を120℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
・得られたゴム組成物を押出またはカレンダー加工する工程。
【0073】
上記エラストマーのグラフト化は、上記エラストマーを上記変性剤が担持する1個以上の反応基と反応させることによって実施する。この反応中に、この反応基またはこれらの反応基は、エラストマー鎖との共有結合を形成する。
【0074】
上記変性剤のグラフト化は、塊状で、例えば、密閉ミキサーまたはオープンミルのような開放ミキサー内で実施し得る。グラフト化は、その場合、60℃よりも低い開放ミキサーまたは密閉ミキサーのいずれかの温度で実施し、その後、80℃〜200℃の温度のプレス内またはオーブン内での或いは60℃よりも高い開放ミキサーまたは密閉ミキサーの温度でのグラフト反応工程を実施し、その後の加熱処理はない。
また、グラフト過程は、溶液中で、連続してまたはバッチ方式で実施し得る。そのようにして変性したポリマーは、その溶液から、当業者にとって既知の任意の手段によって、特に、水蒸気ストリッピング操作によって分離し得る。
【0075】
上記変性剤のグラフト化は、上記変性剤の1個以上の反応基と上記ポリマー鎖の1個以上の二重結合の[3+2]付加環化によって実施する。上記付加環化のメカニズムは、下記の等式によって説明し得る:
・上記ポリマー(この場合は、ポリイソプレン)の不飽和または二重結合へのニトリルオキシドの付加環化:
【化14】
【0076】
・上記ポリマー(この場合は、ポリイソプレン)の不飽和または二重結合へのニトロンの付加環化:
【化15】
【0077】
・上記ポリマー(この場合は、ポリイソプレン)の不飽和または二重結合へのイミンニトリルの付加環化:
【化16】
【0078】
例えば、上記第1(非生産段階)段階は、1回の熱機械的工程において実施し、その間に、上記化学架橋系を除いて、必要とする構成成分の全て、任意の補完的加工助剤および各種添加剤を、通常の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入する。この非生産段階における総混練時間は、好ましくは、1分と15分の間である。得られた混合物を上記第1の非生産段階において冷却した後、上記化学架橋系を、低温で、一般的にはオープンミルのような開放ミキサー内で混入する;その場合、混合物全体を、数分間、例えば、2分と15分の間の時間混合する(生産段階)。
【0079】
その後、そのようにして得られた最終組成物は、特に実験室での特性決定のための、例えば、シートまたはプラークの形にカレンダー加工するか、或いは、車両タイヤ半製品として使用することのできるゴム形状要素の形に押出加工する。
本発明およびその利点は、以下の実施例に照らせば容易に理解し得るであろう。
【0080】
実施例
I. 使用する測定および試験法
上記エラストマーおよびゴム組成物は、以下で示すように、硬化前後において特性決定する。
【0081】
変性剤の割合の測定
グラフトさせたニトリルオキシド化合物のモル割合は、NMR分析によって測定する。スペクトルは、5mm BBIz級“ブロードバンド”プローブを備えたBruker 500 MHz分光計において獲得する。定量的
1H NMR試験は、単純30°パルスシーケンスおよび獲得毎の3秒間の繰返し時間を使用する。サンプルは、硫化炭素(CS
2)中に溶解する。100μLの重水素化シクロヘキサン(C
6D
12)を、ロックシグナルにおいては添加する。
【0082】
1H NMRスペクトルは、グラフトさせたニトリルオキシド単位を定量することを、δ= 3.1〜3.8ppm間の化学シフトにおいて現れるCH
2NおよびCH
2Oプロトンのシグナル特性の集積によって可能にする。
2D HSQC
1H-
13C NMRスペクトルは、上記のグラフトさせた単位の性質を検証することを、炭素原子およびプロトンの化学シフトによって可能にする。
【0083】
ガラス転移温度
上記ポリマーのガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計を使用して測定する。分析は、規格ASTM D3418‐08の条件に従って実施する。
【0084】
近赤外線(NIR)分光法
近赤外線(NIR)分光法を使用して、定量的基礎、即ち、上記エラストマー中のスチレンの質量による割合を、さらに、そのミクロ構造(1,2‐ビニル、1,4‐および1,4‐シスブタジエン単位の相対的分布)も測定する。この方法の原理は、多成分系に対して一般化したランベルト・ベールの法則に基づく。この方法は、間接法であるので、
13C NMRにより測定した組成を有する標準エラストマーを使用して実施する多変量検量法[Vilmin, F.; Dussap, C.; Coste, N. Applied Spectroscopy 2006, 60, 619-29]を使用する。その後、上記スチレン割合と上記ミクロ構造を、およそ730μmの厚さを有するエラストマーフィルムのNIRスペクトルから算出する。スペクトルは、ペルチェ効果によって冷却するInGaAs検出器を備えたBruker Tensor 37 Fourier変換近赤外分光計を使用して、4000cm
-1と6200cm
-1の間の伝送モードにおいて2cm
-1解像力でもって獲得する。
【0085】
サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー即ちSECを使用する。SECは、溶液中のマクロ分子を、そのサイズに応じて、多孔質ゲルを充填したカラムにより分離するのを可能にする。マクロ分子は、その流体力学的容積に従って分離し、最大嵩高物が最初に溶出する。
絶対的方法ではないものの、SECは、ポリマーのモル質量分布の評価を可能にする。市販の標準製品に基づいて、種々の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)を判定することができ、さらに、多分散性指数(Ip = Mn/Mw)を、ムーア(Moore)較正によって算出することができる。
【0086】
ポリマーの調製:分析前に、ポリマーサンプルの特段の処理はない。ポリマーサンプルを、(テトラヒドロフラン+1容量%のジイソプロピルアミン+1容量%のトリエチルアミン+1容量%の蒸留水)中またはクロロホルム中に、およそ1g/lの濃度で単純に溶解する。その後、溶液を、注入前に、0.45μmの有孔度を有するフィルターで濾過する。
【0087】
SEC分析:使用する装置は、“Waters alliance”クロマトグラフである。溶出溶媒は、ポリマーを溶解するのに使用した溶媒に応じて、テトラヒドロフラン+1容量%のジイソプロピルアミン+1容量%のトリエチルアミンであるかまたはクロロホルムである。流量は0.7ml/分であり;装置温度は35℃であり;分析時間は90分である。商品名Styragel HMW7、Styragel HMW6Eおよび2本のStyragel HT6Eを有するWatersカラムの直列4本セットを使用する。
注入するポリマーサンプル溶液の容量は100μlである。検出器は、Waters 2140示差屈折率検出器であり、クロマトグラフィーデータを分析するためのソフトウェアは、Waters Empowerシステムである。
算出した平均モル質量は、市販のPSS Ready CAL-KITポリスチレン標準から描いた較正曲線と関連する。
【0088】
引張試験
これらの引張試験は、弾性応力および破断点諸性質の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格 NF 46‐002に従って実施する。また、引張記録の処理は、伸びの関数としてのモジュラス曲線をプロットすることを可能にする。ここで使用するモジュラスは、1回目の伸びにおいて測定し、試験標本の初期断面に対して減じることによって算出した公称(または見掛けの)割線モジュラスである。上記公称割線モジュラス(またはMPaでの見掛け応力)は、1回目の伸びにおいて、100%および300%伸びで測定し、それぞれ、ASM100およびASM300として示す。
破壊応力(MPaでの)および破断点伸び(%での)は、規格NF 46‐002に従い、23℃±2℃および100℃±2℃において測定する。
【0089】
動的特性
動的特性ΔG*およびtan(δ)maxは、規格ASTM D 5992‐96に従って、粘度アナライザー(Metravib VA4000)において測定する。単純な剪断における交互正弦波応力に、規格ASTM D 1349‐99に従う標準温度条件(23℃)下にまたは必要に応じて異なる温度(100℃)において、10Hzの周波数で供した加硫組成物のサンプル(厚さ4mmおよび400mm
2の断面積を有する円筒状試験標本)の応答を記録する。歪み振幅掃引を、0.1%から100%まで(外向きサイクル)、次いで、100%から0.1%まで(戻りサイクル)で実施する。使用する結果は、複素動的剪断モジュラス(G*)および損失係数tan(δ)である。戻りサイクルにおいて、観察されたtan(δ)の最高値(tan(δ)maxとして示す)、さらにまた、0.1%歪みおよび100%歪みでの値間での複素モジュラスの差(ΔG*) (パイネ効果)が示される。
【0090】
II. 組成物の実施例
II‐1. 変性剤の調製
a) 1‐(2‐(3’‐ニトリルオキシメシチル‐1’‐オキシ)エチル)イミダゾリジン‐2‐オンの調製
【化17】
【0091】
この化合物は、下記の合成スキームに従い、ヒドロキシエチルイミダゾリドンからのメシトールから調製し得る。
【化18】
【0092】
b) 3‐ヒドロキシ‐2,4,6‐トリメチルベンズアルデヒドの調製
【化19】
【0093】
この化合物は、以下の論文に記載されている手順に従って得ることができる:Yakubov, A. P.; Tsyganov, D. V.; Belen'kii, L. I.; Krayushkin, M. M.; Bulletin of the Academy of Sciences of the USSR, Division of Chemical Science (English Translation); vol. 40; No. 7.2; (1991); pp. 1427 - 1432;Izvestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya; No. 7; (1991); pp. 1609 - 1615。
【0094】
c) 1‐(2‐クロロエチル)イミダゾリジン‐2‐オンの調製
【化20】
【0095】
この生成物は、論文Nagarajan K., Arya V. P., Shah R. K.; Indian Journal of Chemistry, Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry; 21; 10; 1982; 928‐940に記載されている。
【0096】
ジクロロメタン(250mL)中の1‐(2‐ヒドロキシエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(50.0g、0.39モル)の溶液に、室温で、塩化チオニル(34mL、0.47モル)を35分間に亘って滴下して混合する。添加終了時において、反応混合物の温度は、35℃である。反応混合物を、35〜40℃の温度に2.5時間保つ。減圧(T
浴35℃、15〜17ミリバール)下での蒸留後に、粗生成物を得る(67g)。この粗生成物をアセトンと石油エーテルの混合物から結晶化する(−24℃、10〜15時間において、950mLのアセトンと820mLの石油エーテル当り35mg)。結晶を濾過し、石油エーテルで洗浄し(40mLで2回)、その後、大気圧下に周囲温度で10〜15時間乾燥させる。
これによって、93℃の融点を有する白色固形物(33.3g、収率66%)を得る。
モル純度は、97%よりも高い(
1H NMR)。
【0097】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表1に示している。
【化21】
【0098】
表1
使用溶媒:DMSO (
1Hにおいては2.44ppm、
13Cにおいては39.5ppmにてDMSOシグナルに対して較正)
【0099】
d) 2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ベンズアルデヒドの調製
【化22】
【0100】
メタノール(60mL)中のナトリウム(1.63g、0.071モル)の溶液に、無水トルエン(300mL)中の3‐ヒドロキシ‐2,4,6‐トリメチルベンズアルデヒド(11.90g、0.073モル)を滴下して混合する。混合物を加熱して還流させ、その後、メタノールを蒸留する(回収した共沸混合物の容量 80〜90mL)。80〜90℃に戻した後、(2‐クロロエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(10.45g、0.070モル)を、一度に、反応混合物に添加する。7時間の還流後に、溶媒を減圧(T
浴35℃、25ミリバール)下に蒸発させる。得られた混合物をジクロロメタン(150mL)および水(30mL)と混合する。その後、有機相を水(20mL)で2回洗浄する。Na
2SO
4上で乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧(T
浴35℃、33ミリバール)下に蒸発させる。得られた混合物(24g)を石油エーテル(50mL、3回)と水(50mL)と混合し、得られた沈降物を濾別し、フィルター上で、水(15mL)と石油エーテル(15mL、2回)で洗浄する。
【0101】
得られた生成物を、ジクロロメタン(80mL)中溶液中の生成物を水中4%NaOH溶液(60mL、3回)で洗浄することによって再精製する。減圧下で溶媒を蒸発させた後、生成物を石油エーテルから沈降させる。沈降物を濾別し、大気圧下に周囲温度で15〜20時間乾燥させる。
これによって、139℃の融点を有する白色固形物(8.55g、収率44%)を得る。
モル純度は、94%よりも高い(
1H NMR)。
【0102】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表2に示している。
【化23】
【0103】
表2
* 131.4/133.5/136.6/136.7ppm:芳香環の
13C原子における化学シフトは、属していない。
使用溶媒:CDCl
3 (
1Hにおいては7.2ppm、
13Cにおいては77ppmにてクロロホルムシグナルに対して較正)。
【0104】
e) 2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ベンズアルデヒドオキシムの調製
【化24】
【0105】
45℃の温度に保ったエタノール(70mL)中の2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ベンズアルデヒド(7.90g、0.029モル)の溶液を、エタノール(10mL)中のヒドロキシルアミン水溶液(2.83g、0.043モル、水中50%)と混合する。その後、反応混合物を、50℃と55℃の間の温度で2.5時間撹拌する。溶媒を減圧(T
浴37℃、35ミリバール)下に蒸発させる。得られた粗生成物を石油エーテル(80mL)と混合する。得られた沈降物を濾過し、石油エーテルで洗浄し(20mLで2回)、大気圧下に周囲温度で15〜20時間乾燥させる。
これによって、165℃の融点を有する白色固形物(7.82g、収率94%)を得る。
モル純度は、
1H NMRによれば、84%よりも高い(残りの16%は、特に、7モル%のEtOHを含む)。
【0106】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表3に示している。
【化25】
【0107】
表3
*129.3/129.5/131.9ppm:芳香環の
13C原子の化学シフトは属していない、3つのシグナルが検出されている(おそらくは、同じシグナルとしての2個の炭素)。
使用溶媒:DMSO (
1Hにおいては2.44ppm、
13Cにおいては39.5ppmにてDMSOシグナルに対して較正)。
【0108】
f) 2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシド、即ち、本発明に従う化合物の調製
【化26】
【0109】
ジクロロメタン(250mL)中で、2℃の温度で前以って調製したオキシム(6.00g、0.021モル)の溶液に、NaOCl水溶液(4%の活性塩素、52mL)を5〜7分に亘って滴下して混合する。反応混合物の温度を0℃と−4℃の間の温度に保つ。その後、反応混合物を、0℃と5℃の間の温度で3時間撹拌する。その後、有機相を分別する。水性相をジクロロメタンで抽出する(15mLで2回)。有機相を混ぜ合せ、次いで、水洗し(20mLで2回)、Na
2SO
4上で乾燥させる。溶媒の容量を、減圧(T
浴22℃、220ミリバール)下での蒸発によって、50〜60mLに減じる。その後、石油エーテル(75mL)を添加し、溶液を、−18℃に10〜15時間保つ。得られた沈降物を濾過し、酢酸エチル/石油エーテル混合物(2/1) (10mL)で洗浄し、最後に、大気圧下に周囲温度で10〜15時間乾燥させる。
これによって、156℃の融点を有する白色固形物(4.70g、収率79%)を得る。
モル純度は、85%よりも高い(
1H NMR)。
【0110】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表4に示している。
【化27】
【0111】
表4
*芳香族炭素8, 12および15は、属していない。2つのシグナルが
13C NMRにおいて観察されている、おそらくは、同じシグナルとして出てくる2個の炭素が存在する。
【0112】
官能基‐C≡N→Oは、2295 cm
-1において特徴的IRバンドを示す。
使用溶媒:CDCl
3 (
1Hにおいては7.2ppm、
13Cにおいては77ppmにてクロロホルムシグナルに対して較正)。
【0113】
II-2. グラフト化エラストマーの調製
II‐2.1 塊状のSBR上への変性剤のグラフト化
前以って取得した変性剤を使用する。
86モル%のNMR純度を有する2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ) (2.72g)を、ロールミル(30℃の開放ミキサー)上で、30gのSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%のブタジエン‐1,2単位を含有し且つMn = 162 900 g/モルおよびIp = 1.15を有する)中に混入する。混合物を15回の通過で均質化する。
この混合段階の後、10バールの圧力のプレス内での加熱処理が続く。
この第2段階の時間および温度を変動させた。
【0114】
1H NMR分析は、グラフトのモル割合およびグラフトのモル収率の測定を可能にしていた;これらの値は、下記の表5に報告している:
【0115】
II‐2.2 溶液中のSBR上への変性剤のグラフト化
2gのSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%の1,2‐ブタジエン単位を含有し且つMn = 162 900 g/モルおよびIp = 1.15を有する)を、50mLのジクロロメタン中に再溶解する。5mLのジクロロメタン中の86モル%の
1H NMR純度を有する60mgの2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシドの溶液を上記ポリマー溶液に添加し、反応混合物をジクロロメタンの還流下に24時間撹拌する。
【0116】
その後、ポリマーを、アセトン/メタノール混合物中で凝縮させる。ポリマーをトルエン中に再溶解し、4mgの4,4’‐メチレン‐ビス‐2,6‐tert‐ブチルフェノールおよび4mgのN‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミンの添加による酸化防止処理に供する。ポリマーを、減圧下に、60℃で48時間乾燥させる。
1H NMR分析は、ポリマーが1モル%の量で変性されていたことを示している;この量は、67%のグラフトモル収率と等価でもある。
【0117】
II‐2.3 ポリイソプレンNatsyn 2200 (Goodyear社)上への変性剤のグラフト化
実施例1において前以って取得した変性剤と同じ変性剤を使用する。
86モル%のNMR純度を有する2.85gの2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)を、ロールミル(30℃の開放ミキサー)上で、30gのNatsyn 2200 (ML(1+4) 100℃ = 79、3,4単位 = 0.5%、1,4‐トランス単位 = 1.9%、1,4‐シス単位 = 97.6%、Mw = 1044.103g/モル、Ip = 3.6)中に混入する。混合物を15回の反転通過で均質化する。
この混合段階の後、10バールの圧力のプレス内での加熱処理が続く。
この第2段階の時間および温度を変動させた。
【0118】
1H NMR分析は、グラフトのモル割合およびグラフトのモル収率の測定を可能にしていた;これらの値は、下記の表6に報告している:
【0119】
II‐3. 組成物の製造
以下の試験における手順は、以下のとおりである:1種以上のグラフト化していないジエンエラストマーを、70%まで充たし且つ初期容器温度がおよそ110℃であるPolylab 85cm
3密閉ミキサー内に導入する、本発明に関連する混合物においては、変性剤を上記ジエンエラストマーと同時に導入し、熱機械的加工を1分間実施する。25℃のフィニッシャーにおいて、混合物全体をおよそ5〜6分間混合する(生産段階)。
【0120】
その後、全ての組成物(対照および本発明組成物)において、任意構成成分としての1種以上の補強用充填剤、任意構成成分としてのカップリング剤を、その後、1〜2分間混練した後、加硫系を除いた各種他の成分を導入する。その後、熱機械的加工(非生産段階)を、1工程で、165℃の最高“落下”温度に達するまで実施する(約5分に等しい総混練時間)。得られた混合物を回収し、冷却し、その後、加硫系(イオウ)を25℃の開放ミキサー(ホモ・フィニッシャー)において添加し、混合物全体をおよそ5〜6分間混合する(生産段階)。
【0121】
得られた組成物を、その後、その物理的または機械的性質の測定のためのゴムのプラーク(2〜3mm厚)または薄シートの形に、或いは、所望の寸法に切断しおよび/または組立てた後、例えば、タイヤ用の半製品として、特に、タイヤトレッドとして直接使用することのできる形状要素の形にカレンダー加工する。
【0122】
II‐3.1 カーボンブラックをベースとする組成物
各ゴム組成物を、下記の表7に示している。量は、エラストマーの100質量部当りの質量部(phr)で表している。
表7
(1) アニオン重合によって調製したSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%の1,2‐ブタジエン単位を含有し且つMn = 162 900 g/モルおよびIp = 1.15を有する);
(2) カーボンブラック N234;
(3) 変性剤:2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシド;
(4) 酸化亜鉛 (工業級、Umicore社);
(5) Stearine (“Pristerene 4931”、Uniqema社):
(6) CBS:N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド (Flexsys社からの“Santocure CBS”)。
【0123】
特性決定試験 (結果)
本実施例の目的は、グラフト化SBRエラストマーを含む本発明に従うカーボンブラックをベースとするゴム組成物(組成物1および2)の諸性質を、同じであるがグラフト化されていないSBRエラストマーを含む比較用組成物(対照組成物)と比較することである。
結果は、下記の表8に示している。
【0125】
組成物SBR1およびSBR2は、23℃および100℃において、加えた応力下での歪み掃引の過程におけるヒステリシス (tan δ max)の低下において明らかなように、鋭敏なパイネ効果の低下を示している。このヒステリシスの低下は、熟練者であれば、転がり抵抗性の改良と関連付けるであろう。
【0126】
予期に反して、100℃でのこの剛性の増大は破断点伸びの落込みを伴わないことを観察したことは注目に値する。事実、熟練者であれば、架橋密度および/またはゴム/充填剤結合密度の増大は破断点伸びの低下の観察を伴うことは承知していることである。
【0127】
従って、カーボンブラックをベースとし、グラフト化エラストマーを含む本発明に従うゴム組成物は、破断点諸性質の有意の増進および組成物のヒステリシスの極めて鋭敏な低下とを伴った高ASMモジュラスを有していること見出している。
【0128】
II‐3.2 シリカをベースとする組成物
各ゴム組成物を、下記の表9に示している。量は、エラストマーの100質量部当りの質量部(phr)で表している。
表9
(1) アニオン重合によって調製したSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%の1,2‐ブタジエン単位を含有し且つMn = 162 900 g/モルおよびIp = 1.15を有する);
(2) カーボンブラック N234;
(3) Rhodia社からの“ZEOSIL 1165 MP”シリカ、微細真珠形状 (BETおよびCTAB:約150〜160m
2/g);
(4) 2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシド;
(5) TESPT (Degussa社からの“SI69”);
(6) N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N‐フェニル‐パラ‐フェニレンジアミン(Flexsys社からの“Santoflex 6‐PPD”);
(7) 2,2,4‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリン;
(8) 酸化亜鉛 (工業級、Umicore社);
(9) Stearine (“Pristerene 4931”、Uniqema社):
(10) CBS:N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド (Flexsys社からの“Santocure CBS”)。
【0129】
特性決定試験 (結果)
本実施例の目的は、グラフト化SBRエラストマーを含む本発明に従うシリカをベースとするゴム組成物(組成物3)の諸性質を、同じであるがグラフト化されていないSBRエラストマーを含む比較用組成物(対照組成物)と比較することである。
結果は、下記の表10に示している。
表10
【0130】
組成物SBR3は、23℃において、加えた応力下での歪み掃引の過程におけるヒステリシス(tan δ max)の低下において明らかなように、鋭敏なパイネ効果の低下を示している。
予期に反して、23℃でのこの剛性の増大は破断点伸びの落込みを伴わないことを観察したことは注目に値する。
従って、シリカをベースとし、グラフト化エラストマーを含む本発明に従うゴム組成物は、破断点諸性質の有意の増進および組成物のヒステリシスの極めて鋭敏な低下とを伴った高ASM100%およびASM300%モジュラスを有していること見出している。