(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電気化学センサ内に存在する試料の量は、前記共通の電気的コネクタと前記第1および第2の電気的コネクタの少なくとも一方との間に電気的接続を形成するのに十分な試料の最小量である請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学システム。
前記検出部品は、前記回路との電気通信における電圧測定部品によってもたらされた漏電電流の影響を低減するように構成された実効的低ゲイン増幅器をさらに備える請求項6に記載の電気化学システム。
前記試験計器に対して前記電気化学センサを導入する前にベース電圧を測定するステップであって、前記ベース電圧が前記電気化学センサを欠いている試験計器を示すステップをさらに含み、
前記ベース電圧の絶対値は、前記乾式試験片電圧の絶対値および前記湿式試験片電圧の絶対値とは異なり、前記湿式試験片電圧の前記絶対値は、前記乾式試験片電圧の前記絶対値未満であり、前記乾式試験片電圧の前記絶対値は、前記ベース電圧の前記絶対値未満である請求項10に記載の方法。
前記試験片ポートコネクタ内にある電気化学的試験片上の試料の存在は、前記ウェッティングサプライ、前記検出部品、および前記電圧基準点の各々の間の電気的接続を生成する請求項16に記載の試験計器。
電気化学的試験を行うのに十分な試料の量は、少なくとも1つの電気的コネクタの共通の電気的コネクタと、少なくとも1つの電気的コネクタの第1の電気的コネクタおよび第2の電気的コネクタの少なくとも1つとの間の電気的接続を形成するのに十分な試料の最小量である請求項14に記載の試験計器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示する構造、機能、製造、並びに装置および方法の使用法の原理について、総合的な理解を供するために一部の典型的な実施形態を記載する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付の図面に図示する。当業者は、本明細書に詳細に記載され、添付図面に図示した装置および方法が、代表的な実施形態であって、本発明を限定するものではなく、かつ本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定されることを理解するであろう。代表的な一実施形態に関連して図示した、または記載した特徴を、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような変更や変形は、本発明の範囲に含まれるように意図している。
【0015】
説明において、電気化学セル、電気化学センサ、および電気化学試験片などの用語を、区別なく使用してもよい。電気化学セル、センサ、および試験片は、測定を行う試験計器の中に挿入することができる。計器内へのセンサの挿入により、計器の電子部品に対する電気的接続を確立することができる。当業者は、電子部品および回路を対象にする本明細書に包含される本開示が、電気化学センサ、電気化学セル、電気化学試験片、試験計器、および他の監視装置の多くの様々なものに使用されてもよいことを認識するだろう。実際、さらに詳細に以下に記載するように、ヘモグロビンセンサ、抗酸化センサ、バイオセンサ、免疫センサなどの検体を検出するために試料を反応させるための他の装置を、また、本明細書の教示に関連して用いてもよい。さらに、部品間の電気的な伝導性経路の記載と関連して区別なく用いられてもよい他の用語および語句は、回路内の接続に言及する際に連結、接続、および配線された電気通信などの用語および語句を含むが、但しそれらには限定されない。当業者は、明細書および当業者の技術知識の全体を考慮して、区別なく用いることができる他の用語および語句と同様に、これを認識するだろう。常にさらに、電気的コネクタに接触された電極への言及は、電極が電気的コネクタに物理的または直接的にコンタクトすることを必要としない。本発明によれば、電極は、接続パッドおよび/または接続トラックなどの1つ以上の他の部品を経由する電気的コネクタと接触することができる。
【0016】
当業者は、また、試験計器が様々な構成を有することができることを理解するだろう。例えば、それは携帯型であり得るし、または、卓上型であり得る。さらに、計器の一部であると本明細書に開示される電子部品は、他の型の監視装置とともに用いることができる。
【0017】
改善された測定機能を有する試験計器10の例示的な実施形態を、
図1Aに図示する。計器は、電気化学センサまたは試験片の262を受け入れるように構成されたセンサまたは試験片のポートコネクタ108を含む。試験片ポートコネクタ108は、
図2〜
図4に関してさらに詳細に以下で論じられる試験片262の電極を係合するための電気的コネクタ110、112、114(
図1Bに示す)を含むことができ、それによって試験計器10の回路100内の電気的接続を形成する。いくつもの電気的コネクタを、試験片ポートコネクタ108の一部として含むことができる。図示する概略図において、計器10は、試験片262の第1の接続パッド267と第2の接続パッド263とのインターフェースをとることができる。第2の接続パッド263は、試験片262のU字型のノッチ265を経由した試験計器への電気的接続を確立するために用いることができる。試験片262の第1の接続パッド267は、2つの突起267a、267bを含むことができる。1つの例示的の実施形態において、第1および第2電気的コネクタ110、112は、線12a、12bによって
図1Aに図示する、相互に第1の電気的接続を形成する第1の電気的接続を生成するために、突起267a、267bにそれぞれ別々に接続し、他方で、共通の電気的コネクタ114は、ライン11によって
図1Aに示す第2の電気的接続を生成するために第2の接続パッド263に接続する。1つの実施形態において、
図1Aに示すように、計器10は、試験電圧ユニット16と、電流測定ユニット17と、プロセッサ412と、メモリユニット410と、視覚的表示装置402とを含むことができる。
【0018】
試験片262が計器10内に配置された後、分析するための試料を、試験片262内に導入することができる。試料は、体液または対照溶液(例えば水溶液におけるグルコース)であり得る。回路100は、電気化学センサ内の試料の存在(有無)を容易かつ迅速に検出することを可能にする。試料の存在は、(
図2〜
図4に図示するように)試験片262の第1の電極366との第2の電極364との間の間隔を埋めるのに十分な試料の最小量を表わす(典型的には試料の全体ではない)。反応が始まるのに十分な量は、さらに詳細に以下に説明するように、試験片ポートコネクタ108の電気的コネクタ110と114との間および/または112と114との間に電気的な伝導性流体経路を生成する量である。当業者は、電気的接続を形成するためにこのような量をセンサに入れたときを認識するだろう。回路100の別の機能は、導入される試料に先立って、電気化学センサが計器内にも配置されるか否かを迅速かつ容易に判定するための能力である。さらなる試験のために計器10内に別のセンサを導入することができるように、試験が完了しているときに電気化学試験片262を取り外すことができる。
【0019】
正確に試料の存在を検出する1つの利点は、電気化学反応を誘導するための正確なスタート時刻を与えることである。スタート時刻のより精密な判定は、計器によって行われた分析による正確な結果を実現することができるだろう。異なる電気的接続がなされることを象徴する個別で明確な電圧測定を本発明が可能にするので、本発明は、利用する回路を経由した、より高速かつより精密なスタート時刻の判定を可能にする。測定され得る第1の電圧(時としてベース電圧と呼ばれる)は、センサが計器内に存在しないことを知らせる。測定され得る第2の別個の電圧(時として乾式試験片電圧と呼ばれる)は、センサが計器内に存在するものの、センサが試料を含まないことを知らせる。測定され得る第3のさらに別個の電圧(時として湿式試験片電圧と呼ばれる)は、センサが計器内に存在し、かつ試料がセンサ内に存在することを知らせる。
【0020】
計器10とともに用いるための回路100の1つの例示的な実施形態を、
図1Bに図示する。図示した回路100は、高インピーダンス回路であり、センス抵抗器120と、検出部品140と、電圧基準点または仮想接地160と、ウェッティングサプライ(wetting supply)180とを含む。当業者は、測定される信号を変更せずに特定の抵抗性値を有する回路から電圧を測定することができる「高インピーダンス回路」のための技術的要求事項を実現するだろう。図示した実施形態において、仮想接地160は、増幅器164と抵抗器162とを含むが、増幅器および抵抗器は、オプションである。さらに詳細に以下で論じるように、仮想接地160を備えるために、いくつもの構成および部品を用いることができる。検出部品140の増幅器144、抵抗器146、および抵抗器156もまたオプションである。
【0021】
システムは、また、計器の筺体に連結、またはさもなければ取り付けることができる電気化学センサまたは試験片のポートコネクタ108を含むこともできる。試験片ポートコネクタ108は、電気化学センサを受け入れるように構成されることができ、少なくとも1つの電気的コネクタを有することができる。図示した実施形態において、試験片ポートコネクタ108は、3つの電気的コネクタと、第1の電気的コネクタ110と、第2の電気的コネクタ112と、共通の電気的コネクタ114を含むが、いくつもの電気的コネクタを用いることもできる。電気化学が動作中のとき、電流経路が電気的コネクタ110または電気的コネクタ112のいずれかに対して、または電気的コネクタ110および電気的コネクタ112の両方に対して可能であることから、用語「共通の電気的コネクタ(common electrical connector)」を用いる。電気的コネクタ110、112、114は、回路に対して配線または電気的に連結されることができ、計器の回路100に電気化学センサを接続することができるように、電気化学センサの電極を受け入れるように構成することができる。この図示した例示的な実施形態において、コネクタ110、112、114は、
図2〜
図4に関して以下に記載するように、パッド267、263を受け入れ、電極366、364に電気的に連結される。図示したように、電気的コネクタ110、112、114がパッド267、263に係合することができる片方向は、タブまたはタングtを経由する。但し、
図1Aに図示したライン11、12a、12bによって示した電気的接続と同様の電気的接続を生成するために、いくつもの機構をセンサのコンタクト電極に用いることができる。
【0022】
図1Bに示すように、センス抵抗器120および検出部品140を、第2の電気的コネクタ112に連結することができ、ウェッティングサプライ180を、第1の電気的コネクタ110に連結することができ、仮想接地160を、共通の電気的コネクタ114に連結することができる。図示した実施形態において、共通の電気的コネクタ114は、第1および第2の電気的コネクタ110、112の両方に隣接する。しかし、他の実施形態において、試料がセンサ内に導入されるときに、電気的接続をその間に形成することができるように、共通の電気的コネクタ114は、電気的コネクタ110および112の少なくとも一方に隣接する。電気化学センサに関してさらに詳細に以下で論じるように、いくつもの電極および電気的コネクタ、およびその同じものに関連するいくつもの構成を、本発明で開示された高インピーダンス回路にて用いることができる。したがって、
図1Bに図示する実施形態は第1の電気的コネクタ110と第2の電気的コネクタ112との間に配置された共通の電気的コネクタ114を示しているが、受け入れられる電気化学センサのパッドおよび電極だけでなく、電気的コネクタ110、112、114、および他の電気的コネクタも、幅広い種類の方式で、含んで構成することもできる。非限定的な例として、以下(
図2〜4図)に図示する1つの実施形態は、対向し対面する構成の少なくとも2つの電極366、364を含んでいるが、他の実施形態において、少なくとも2つの電極が共平面構成であり得る。
【0023】
以上で論じたように、高インピーダンス回路100は、3つの別個の電圧出力をもたらす。電気化学試験片が回路100を有する試験計器内に配置されないとき、
図5に電圧S1として図示し、さらに詳細に以下で論じられる第1のまたはベース電圧範囲を測定することができる。結果として生じる電圧が、回路100およびその部品のいくつもの特性に左右されるので、電圧出力を範囲と呼ぶ。電気化学試験片が回路100を有する試験計器内に配置されるとき、
図5に電圧S2として図示した第2または乾式試験片電圧範囲が出力されるが、試料は、電気化学試験片(すなわち、試料がそれを湿らせる試験片上に存在しないので、試験片は乾式である)上に配置されない。
図5に図示するように、アナログ接地(AGND)を基準とする乾式試験片電圧S2の絶対値は、典型的には、AGNDを基準とするベース電圧S1の絶対値とは異なり、かつそれ未満である。とりわけ、AGNDを基準とする乾式試験片電圧範囲の最上端部の絶対値は、AGNDを基準とするベース電圧範囲の最下端部の絶対値未満であり得るし、典型的にはその通りである。明示的に述べなくても、この出願を通じて論じるような電圧の絶対値は、AGNDを基準とする。
【0024】
電気化学試験片が回路100を有する試験計器内に配置されるとき、
図5の電圧S
3として図示する第3のまたは湿式試験片電圧範囲が出力され、試料は、電気化学試験片上に配置される(すなわち、試料がそれを湿らせる試験片上に存在するので、試験片は湿式である)。湿式試験片電圧S
3の絶対値は、典型的には、乾式試験片電圧S
2とは異なり、それ未満である。より詳しくは、
図5に図示するように、湿式試験片電圧S
3の最上端部の絶対値は、乾式試験片電圧S
2の最下端部の絶対値未満であり得るし、典型的には、そうである。したがって、湿式試験片電圧S
3の最上端部の絶対値は、また、典型的には、ベース電圧S
1の最下端部の絶対値未満であり得る。1つの実施形態において、ベース電圧の最上端部の絶対値は、約1.25ボルト(
図1Bに図示したAGND点を基準として)である。ベース電圧の最下端部は、約0.25ボルトであって、より詳しくは約1.19ボルトである。乾式試験片電圧の最上端部の絶対値は、約0.60ボルトであり、乾式端部試験片電圧の最下端部は、約0.15ボルトであって、より詳しくは約0.25ボルトである。湿式試験片電圧の最上端部の絶対値は、約0.25ボルトであり、湿式試験片電圧の最下端部は、約0ボルトであって、より詳しくは、約0.15ボルトである。電気化学試験片が計器から取り外されるときの電圧出力は、
図5に電圧S1として示す、ベース電圧範囲に戻ることができる。
【0025】
高インピーダンス回路100によって生成された別個の電圧範囲は、試料が電気化学試験片を充填し始めるときに関しての迅速で、完全で、かつ明確な測定を可能にする。試料が試験片を充填し始めた後にその中で反応が始まる自動スタート機能を有する実施形態において、試料が電気化学試験片を充填し始めるときを判定することは、また、反応自体のスタート時刻の測定をも可能にする。これは、試料が完全に試験片を充填したという示度である、充填物の検出時間とは異なる。
【0026】
回路100は、電気的コネクタ110、112、114を介して電気化学センサの電極に接続するように概して構成される。計器およびセンサは、特に詳しく以下に記載するが、計器に関連した試験片ポートコネクタ108の電気的コネクタ110、112、114、およびセンサの電極は、ほとんどの任意のサイズおよび形状および構成を有することができる。例えば、1つの例示的な実施形態において、第1および第2電気的コネクタ110、112は、回路に対して配線され、
図1Aにライン12a、12bによって図示する、第1の電気的接続を形成するために計器に挿入されたセンサの第1の電極に係合するように構成され、その一方で、共通の電気的コネクタ114は、回路に対して配線され、
図1Aにライン11によって図示する、第2の電気的接続を形成するために計器に挿入されたセンサの第2の電極を係合するように構成される。図示した実施形態において、第1の電極366(
図3および
図4に図示した)と電気的コネクタ110、112との間の電気的接続を生成するために、
図1Bに示す第1および第2の電気的コネクタ110、112は、
図1Aに示す2つの突起267a、267bに係合する。さらに、
図1Bに示す共通の電気的コネクタ114は、第2の電極364(
図3および
図4に図示した)と電気的コネクタ114との間の電気的接続を生成するために、
図1Aに図示する接続パッド263に係合する。しかしながら、第1の電極366と第2の電極364との間に配置したポート270(
図2〜
図4に図示した)の間隔を埋めるために試料が存在するまで、電気的コネクタ114と、電気的コネクタ110、112のうちの少なくとも一方との間の電気的接続は形成されず、それによって、接続パッド267、263と、コネクタ114、110および/または114、112との間の電気回路を完成する。第1および第2の電極366、364は、例えば、作用電極、カウンタ電極、基準電極、またはカウンタ/基準電極であり得る。電極336、364は、パラジウムまたは金などの金属で作ることができ、電気的コネクタ110、112、114は、同様に金属であってもよく、それによって、センサの電極が電気的コネクタ110、112と一旦接触すれば、センサに対する電気的接続を形成することを可能にする。1つの例示的な実施形態において、センサ262の第1の電極366は、パラジウムを含む下部電極であり、センサ262の第2の電極364は、金を含む上部電極である。当業者は、大抵の場合、電極が測定の異なる段階の間にする役割は、作用電極としてスタートしてもよいように変動するが、作用電極とカウンタ電極との間で1回以上切り替わってもよいということを認識するだろう。
【0027】
図示した実施形態において、試験片が回路100内に導入されるとき、試験片は、試験片は、突起267a、267bの1つを示すような試験片の第1の電極の第1の部分を経由して第1の電気的コネクタ110と接触させ、その一方で、突起267a、267bの他方である試験片の第1の電極の第2の部分を経由して第2の電気的コネクタ112と接触させるように、第1および第2の電気的コネクタ110、112の間に配置される。試験片が第1および第2の電気的コネクタ110、112と接触するとき、試験片の存在を検出することができる。共通の電気的コネクタ114は、試料検出のために試験片と接触していなければならないが、共通の電気的コネクタと試験片との間の接触は、試験片検出のためには必要ではない。図示した実施形態において、第1の電気的コネクタ110は、また、試験片ドライブ信号の電気的コネクタとして標識され、第2の電気的コネクタ112は、試験片状況電気的コネクタとして標識される。第1の電気的コネクタ110を試験片ドライブ信号の電気的コネクタと呼ぶことは、さらに詳細に以下で論じるように、ウェッティングサプライ180と仮想接地160との間の電気的接続を引き起こすように構成された、波形発生器200などの発振器を形成する波形の存在に関連する。第2の電気的コネクタ112を試験片ドライブ信号の電気的コネクタと呼ぶことは、第2の電気的コネクタ112が試験片によって係合されるとき、第1および第2の電気的コネクタ110、112の間に電気的接続が形成されるという事実に関連し、それによって、試験片の状況(すなわち、試験片が計器内に存在するか否か)を示す。
【0028】
回路100の部品(例えば、その中の個別の部品だけでなくセンス抵抗器120、検出部品140、仮想接地160、ウェッティングサプライ180、および波形発生器200)が、特定のサイズまたは抵抗値などの特定の特性を有するように記載されるが、当業者は、他の値を有する同じような部品を用いることもできることを認識するだろう。回路100内の用いられる部品のサイズおよび値は、回路100内の他の部品、回路100内のそれらの部品のサイズおよび構成、回路100が用いられるところの電気化学セル、電気化学センサ、電気化学試験片、免疫センサ、および他の同じような装置のサイズ、型、および構成、および回路100が用いられるところの電極および電気的コネクタの型、サイズ、および構成に、少なくとも部分的に依存するだろう。したがって、回路100の任意の部品がサイズまたは値などの特定の特性を有すると記載される点で、このような特性は、回路100それ自体を決して限定しない。非限定的な例として、当業者は、図示した実施形態において、検出部品の増幅器144は高ゲイン演算増幅器であるものの、抵抗器146、156の介在が増幅器を実効的低ゲイン増幅器にすることを認識するだろう。当業者は、異なる部品を用いて特定の性能および機能を実現できる多くの方法を認識するだろう。
【0029】
回路100の1つの部品は、センス抵抗器120である。図示するように、センス抵抗器120は、検出部品140だけでなく第2の電気的コネクタ112とも電気通信している。1つの例示的な実施形態におけるセンス抵抗器120は、約2メガオーム、1%の抵抗器である。回路100は、回路が開いているとき(すなわち、電気化学試験片が回路100によって検出されないとき)、センス抵抗器120を含む回路100の一部から読み取る電圧が、約−1.25ボルトになるようにセットアップされる。このようなインスタンスにおいて、他の電気的接続は、センス抵抗器120を含む回路100の一部によって供給された電圧を変化させる電圧を生成しない。実際には、実際の読み取りは、電子機器および回路の典型的な制限のために、恐らく−1.25ボルトよりも高いだろう。
【0030】
回路100の別の部品は、検出部品140である。図示するように、検出部品140は、第2の電気的コネクタ112およびセンス抵抗器120の両方と電気通信している。検出部品140は、回路100が関連する計器内に電気化学試験片が配置されたときを検出することができ、それによって、回路経路を完成する。したがって、試験片の電極が第2の電気的コネクタ112に係合するときに電圧変化が生じ、それによって、試験片の有無を示す。単に試験片が存在する(試料は存在しない)とき、共通の電気的コネクタ114との有効な接続はない。試験片が存在するときに電気的コネクタ110、112を含む電気的接続と、試料が存在するときに共通の電気的コネクタ114と、電気的コネクタ110、112の少なくとも一方とを含む電気的接続とは、試験片/試料検出器出力部141(ひいては、例えば表示される、計器に対する回路100のそれぞれの測定された接続を導く)によって最終的に示される。アナログ・デジタル変換器、比較器、電圧計、マルチメータ、または電圧測定を行う他の装置など、回路100内で生じる電圧変化を測定することができる電圧測定部品と電気通信するように、試験片/試料検出器出力部141を構成することができる。
【0031】
検出部品140は、また、試料が電気化学試験片内に存在するときを検出することができる。試料が試験片に追加されるとき、これは、共通の電気的コネクタ114と第1の電気的コネクタ110との間の電気的接続を完成する。代替実施形態において、試料の存在は、共通の電気的コネクタ114と第2の電気的コネクタ112との間、または共通の電気的コネクタ114と第1および第2の電気的コネクタ110、112双方との間の電気的接続を完成することができる。試験片の存在を検出するように構成される同じ回路も、また、試料の存在を検出するように構成される。検出用の計器の検出感度を改善するという理由、および到着している試料に先立って試験片上に生じる逆の作用の可能性を減少させるという理由を含む、多くの理由のため、これは有利である。例えば、試験片および試料の両方を検出するために同じ回路を用いることで、過剰に長い時間の過度の電圧および/または電圧の印加から起因する可能性がある電気刺激によって、分析される試料または検体が電気化学的に変化させられるという可能性を低減することができる。改善された検出感度は、改善された試験速度と、より明確な測定とによって、顕在化され得る。一旦試料が存在すれば、結果として生じる電圧出力は、試料が試験片を充填し始め、かつ自動スタート機能が含まれている場合にその反応が開始したことを容易かつ確実に測定可能にする。
【0032】
検出部品140は、多くのオプション部品を含むことができるが、図示した実施形態において、検出部品140は、増幅器144と、第1の抵抗器146、第2の抵抗器156、およびアナログ接地を含む。図示するように、増幅器144は、高ゲイン演算増幅器であるが、それは抵抗器146、156によって実効的低ゲイン増幅器であるようになされる。この構成から生じるバッファは、電子式である。増幅器144および抵抗器146、156によって形成された事実上の低ゲイン増幅器がもたらす多くの長所がある。例えば、実効的低ゲイン増幅器は、試験片/試料検出出力部141での回路100と電気通信する電圧測定部品の影響を低減するのを支援することができる。実効的低ゲイン増幅器は、回路100の残りの部分から電圧測定部品を分離または緩衝するのを支援し、それによって、電圧測定部品の影響を制限する。さらに、増幅器144が検出される2つの異なる電圧範囲間の電圧差を広げることができるので、実効的低ゲイン増幅器は、試験計器によって感度限界の精度を改善することができる。図示した実施形態において、増幅器144は、2以上の電圧ゲインを有するが、すべての電圧ゲインは、10キロオーム抵抗器である抵抗器146と10キロオーム抵抗器である抵抗器156との結果として約2に設定される。ゲインが1である別の実施形態において、電圧測定部品を分離または緩衝するという長所は存続するが、感度限界を改善するという長所は生じない。しかしながら、ゲインが大き過ぎる可能性もあるので、回路を機能的できない。例えば、図示した実施形態において、実質的に4を超えるゲインは、機能を果たさない回路をもたらす可能性がある。本発明で使用される増幅器の1つの例示的な実施形態は、バーブラウン社製のOPA2335AIDGKである。
【0033】
検出部品140の回路は、第1の電流変化が生じるとき、それによって、電気化学試験片の存在を示し、検出電圧の絶対値が、試験片が存在しないときのベース電圧の絶対値未満になるように構成される。実際、電圧値は、回路100に対してなすことができる様々な部品および改良を考慮して幅広い範囲を有することができ、かつ非常に変動する可能性があるので、試験片が存在するときに検出された電圧範囲の絶対値は、典型的には、試験片が存在しないときに検出されたベース電圧範囲の絶対値未満である。とりわけ、試験片が存在するときの電圧範囲の最上端部の絶対値は、試験片が存在しないときのベース電圧範囲の最下端部の絶対値未満であり得るし、典型的にはその通りである。1つの例示的な実施形態において、試験片が存在するものの、試料が試験片の上に含まれていないので試験片が乾燥しているときの検出電圧範囲は、およそ約−1.25ボルト超と約−0.25ボルトとの間にある別の例示的な実施形態において、システム内で測定された電圧は、試験片の存在によって、約−0.25ボルトになる。
【0034】
計器内の試験片(すなわち試料がない試験片の存在)の検出は、本発明では必要としないが、それは、有用であると概して考えられる。試料がセンサを充填し始めるときや試料の電気化学反応が始まるときを迅速かつ容易に判定することができる利点を常に含みながら、電気化学試験片が存在するか否かを検出するための能力を伴わないで、回路100を構成することができる。例えば、1つの実施形態において、センサが計器内に導入されるときに作動させるように、計器を構成することができる。結果として、計器が作動状態ではないので、センサを挿入する前には、電圧測定が行われない。一旦センサが導入されれば、検出された電圧は、乾式試験片を示す。あるいは、別の実施形態において、検出される唯一の電圧測定は、試料が電気化学センサ内に導入されたことを知らせる測定である。このような1つの実施形態において、この電圧測定を別の電圧と比較する必要はない。その代りに、センサ内の試料の存在を示すための周知の閾値電圧は、計器が試料の存在を独力で測定するのに十分であり得る。
【0035】
試料の存在を検出するための能力に転じると、図示した検出部品140の回路は、電流変化が生じたときに、それによって、試料が電気化学試験片を充填し始めたことを知らせ、さらなる電気的接続が、計器内に形成され、検出電圧の絶対値が、試料なしの試験片が存在するときの電圧の絶対値未満であるアナログ接地レベル信号になるように構成される。とりわけ、電気化学試験片に対する試料の追加は、第1の電気的コネクタ110と共通の電気的コネクタ114との間の電気的接続、およびその結果として第2の電気的コネクタ112との電気的接続を形成する。したがって、試料が存在するとき、検出部品140は、試料が試験片を充填し始めるとともに、試料の存在によって生成された新しい電気的接続を検出する。
【0036】
検出部品140の一部としての増幅器144の存在は、回路100が試料の存在を検出する能力を高める。増幅器144は、回路100の信号変化の振幅を増加させ、それにより、試料の検出のための回路の検出感度を増加させる。試験片を通じての電流通路は、以下に記載するように、仮想接地160の一部として備えられた、トランスインピーダンス増幅器164に対する入力の電圧と等しいセンス抵抗器120の電圧を変更するのに必要とされる電流によって測定することができる。検出部品140によって測定されるような、第1の接続パッド267と第2の接続パッド263との間に電気的な伝導性経路が検出されたことを確かに知らせるために、トランスインピーダンス増幅器164からの電圧の存在を用いることができる。センサは、電気的コネクタ110、114および/または電気化学のコネクタ112、114にわたる試料によって形成される電気的接続の結果として、伝導性になる。
【0037】
試験片が存在しないときのベース電圧に関して論じた電圧と、試料なしの試験片の存在を示す乾式試験片電圧と同様に、試料の導入から試験片に生じる電圧変化は、回路100に関連する多くの異なる変化により、非常に変動する可能性がある。しかしながら、典型的には、試験片および試料が存在するときの電圧範囲の最上端部の絶対値は、試験片が存在するものの試料が存在しないときの電圧範囲の最下端部の絶対値未満になり得る。1つの例示的な実施形態において、電気化学試験片が計器内に存在し、かつ試料が試験片に導入されるときの検出電圧範囲は、およそ約−0.25ボルト超と約0ボルトとの間にある。1つの例示的な実施形態において、システム内で測定された電圧は、試料の存在によって、約−0.15ボルトになる。乾式試験片の限界値(例えば約−0.25ボルト)と湿式試験片の限界値(例えば約0ボルト)との間のいかなるポイントでもトリガとなるように、試料の存在から生じる試料検出閾値を設定することができる。
【0038】
以上で言及したように、検出部品140を、完全に省くことができる。このような1つの実施形態において、センサまたは試験片の検出は、ウェッティングサプライ180、センス抵抗器120、および電気的コネクタ110、112に基づいて行われる。試験片の1つの電極は、電気的コネクタ110、112と接触することができ、それによって、ウェッティングサプライ180、センス抵抗器120、および電気的コネクタ110、112にわたって電気的接続を生成する。この接続は、システムの励起電圧未満であり、1つの例示的な実施形態において、結果として生じる電圧変化は、約0.3ボルト未満である。さらに、検出部品140が完全に省かれる場合、試料の検出は、ウェッティングサプライ180、センス抵抗器120、仮想接地160、および電気的コネクタ110、112、114に基づいて行われる。試験片の第2の電極は、電気的コネクタ114と接触することができ、試料の導入に際して、ウェッティングサプライ180、センス抵抗器120、仮想接地160、および電気的コネクタ110、112、114の間に電気的接続を確立することができる。検出部品140は、回路100の試験片/試料検出器の出力部141に接続される検出回路に対する信号をバッファする。とりわけ、検出部品140は、測定回路100の負荷インピーダンスを減少させる。
【0039】
回路100は、また、電圧基準点、仮想アースまたは仮想接地160を含む。図示した実施形態において、仮想接地160は、共通の電気的コネクタ114と電気通信する。いくつもの構成および部品を、仮想接地160を設けるために用いることができる。図示した実施形態において、アナログ接地に接続されたトランスインピーダンス増幅器164は、仮想接地160として機能するために、低インピーダンス経路を設ける。別の実施形態において、トランスインピーダンス増幅器14を、低入力抵抗をもつ反転増幅器に置換することができる。さらに別の実施形態において、接地接続を単独で設けることができる。当業者は、共通の電気的コネクタ114ために低インピーダンス経路を設けることができる、いくつもの方法を認識するだろう。本願に記載されるように、低インピーダンス経路は、試料が与えられるときに関連するようになり、第1の電気的コネクタ110経由で共通の電気的コネクタ114に電気的に接続されるようになるウェッティングサプライ180の結果として、電圧変化が生じる。
【0040】
1つの例示的な実施形態において、仮想接地160は、トランスインピーダンス増幅器164と、±600ナノアンペアを測定することができる2キロオーム0.1%の抵抗器162と、アナログ接地とを含む。このような増幅器の1つの例は、マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ社製のMAX4238である。
【0041】
回路100のさらなる部品は、ウェッティングサプライ180である。図示した実施形態において、ウェッティングサプライ180は、電圧を供給する。ウェッティングサプライ180は、第1の電気的コネクタ110に接続され、1つの例示的な実施形態において、ウェッティングサプライ180は、電子式である。1つの例示的な実施形態において、ウェッティングサプライ180は、約3メガオーム1%の抵抗器を含む。したがって、例示的な実施形態における回路の高インピーダンス比は、1つの例示的な実施形態の一部としても記載した先の部品を考慮して、約3:2である。回路は、ウェッティングサプライ180によって約1.25ボルトが生成されるように構成される。したがって、試料が電気化学試験片上に存在し、かつ電気的接続が電気的コネクタ110、114とその結果電気的コネクタ112との間に形成されるとき、ウェッティングサプライからの電圧は、回路100のセンス抵抗器120一部の回路によって供給される電圧の近い相当値であり、それにより、約−0.25ボルト超で、かつ約0ボルトである電圧をもたらす。
【0042】
必要に応じて、回路100は、波形発生器200またはデジタル/アナログ変換器を含むことができる。図示した実施形態において、波形発生器200は、ウェッティングサプライ180および第1の電気的コネクタ110に連結される。図示するように、波形発生器200は、また、スイッチ202も含む。スイッチ202は、試験を行うために計器内に配置された電気化学センサに対して電圧を印加することが望ましいときまで、波形発生器200を選択的に分離することを可能にする。図示するように、電気化学試験片または試料が存在しないので、スイッチ202は、分離された位置内にあり、それによって、波形発生器200が回路100に影響しないことを可能にする。
【0043】
1つの例示的な実施形態において、スイッチ202は、試料が一旦試験片を充填し始めれば、試験を自動スタートするように構成される。とりわけ、試料が電気化学試験片を充填し始めるとき(ひいては、第1の電気的コネクタ110および共通の電気的コネクタ114にわたって形成される電気的接続をもたらす)、スイッチ202は、位置上の分離位置から動作するように構成することができる。これは、試料に適用された波形発生器200からの電圧をもたらす。波形発生器200のインピーダンスは、センス抵抗器120、検出部品140、およびウェッティングサプライ180の結合インピーダンスよりも非常に低くあるべきであり、その後、波形発生器200は、試験片ポートコネクタ108の第1の電気的コネクタ110における電圧を制御する。したがって、試料が試験片を充填し始めるときを回路100が迅速かつ容易に測定することを可能にするので、自動スタートするように波形発生器200が構成されるインスタンスにおいて、充填のスタート時刻の測定は、また、電気化学反応または試験のスタート時刻として機能することができる。
【0044】
代替実施形態において、ウェッティングサプライ180の値およびセンス抵抗器120の値は、試料検出のための検出電圧および導通範囲を変化させるために変更することができる。いくつかのインスタンスにおいて、電気化学センサを経由した電流の方向を反転させることは望ましいかもしれない。このようなインスタンスにおいて、ウェッティングサプライ180の抵抗器およびセンス抵抗器120を交換することができ、当業者は、したがって、試験片検知電圧閾値を調整する方法を認識するだろう。
【0045】
回路100の部品のように高インピーダンス回路部品の値をどのように測定することができるかを図示した1つの例において、試験片の挿入電圧は、約−0.5ボルトに設定され、試験片挿入の検出電流は、約1マイクロアンペアに設定される。検出部品140の増幅器144が約2のゲインを有する場合、増幅器144内への電圧は、約−0.25ボルトである。約1マイクロアンペアの検出電流は、センス抵抗器120にわたって約1ボルト(−1.25ボルトから−0.25ボルト)をもたらすことができる。したがって、センス抵抗器120は、約1メガオームである。約1マイクロアンペアの挿入検出電流を維持するために、湿式抵抗器は、約1.5ボルト(1.25から−0.25ボルト)の降下をもたらすので、ウェッティングサプライ180の抵抗器は、約1.5メガオームである。
【0046】
湿式試験片が抵抗を有しないと想定され、その後試料が適用される場合、センス抵抗器120上の電圧は、約0ボルトであり、抵抗器にわたる電圧は、約1.25ボルトであり、したがって、約1.25マイクロアンペアの電流の流れが存在する。ウェッティングサプライ180の抵抗器を通じた電流の流れは、約1.5メガオームまたは約0.833マイクロアンペアを経て約1.25ボルトである。センス抵抗器120の電流とウェッティングサプライ180の抵抗器の電流(1.25マイクロアンペア〜0.833マイクロアンペア)との間の電流の差分は、約0.42マイクロアンペアである試験片電流である。
【0047】
この構成要素選択の成果は、約1メガオームの値を有するセンス抵抗器120、約1.5メガオームの値を有するウェッティングサプライ180の抵抗器、約1マイクロアンペアの値を有するセンス電流、約−0.25ボルトの増幅器144の入力の電圧を挿入した試験片、および約0.42マイクロアンペアの最大湿式試験片電流である。
【0048】
回路100の部品のような、高インピーダンス回路部品の値をどのように判定することができるかを図示する第2の例において、センス抵抗器120は、約2.0メガオームであり、ウェッティングサプライ180の抵抗器は、約3.0メガオームである。試験片挿入の検出電流は、約500のナノアンペア(ウェッティングサプライ180の抵抗器およびセンス抵抗器120の組合せからの5メガオームにおける1.25から−1.25ボルト)である。センス抵抗器120にわたる電圧は、約1ボルト(2メガオームにわたって500ナノアンペア)であろう。検出部品140の増幅器144のゲインは、約2.0倍であり、したがって、試験片検出によってもたらされる電圧変化は、約0.5ボルトである。
【0049】
電気化学センサが湿っていて、電気的接続が形成されるとき、その抵抗は、回路100のセンスインピーダンスよりも少ない約1000倍の範囲内にある。これは、センス抵抗器120上の電圧を大体約625ナノアンペア(2メガオームにわたって1.25ボルト)であるAGNDおよびセンス電流とほぼ等しくする。これは、ウェッティングサプライ180の抵抗器が、約417ナノアンペア(3メガオームにわたって1.25ボルト)を供給することを意味する。約208ナノアンペアであるこれらの2つの電流の差を、電気化学センサを通じて仮想接地160に伝導することができる。
【0050】
この第2のコンポーネント選択の成果は、約2メガオームの値を有するセンス抵抗器120、約3メガオームの値を有するウェッティングサプライ180の抵抗器、約500ナノアンペアの値を有するセンス電流、約−0.25ボルトの増幅器144の電圧を挿入した試験片、約−0.5ボルトの増幅器144の出力の電圧を挿入した試験片、約208ナノアンペアの最大湿式試験片電流である。
【0051】
回路100の部品のような、高インピーダンス回路部品の値をどのように判定することができるかを図示する第3の例において、検出用の所望された最大電流は、試料が適用されるときの検出部品140の増幅器144の出力において約0.5ボルトの変化を引き起こす100ナノアンペアであると想定する。増幅器144のゲインは、約3倍であり、したがって、試験片を充填する試料によってもたらされる電圧変化は、約0.25ボルトである。センス電流の仕様から、これは、湿式試験片を通じての約2.5メガオーム(0.25ボルト/100ナノアンペア)のソース抵抗を必要とするだろう。
【0052】
試験片が挿入されるものの、試料は適用されないとき、センス抵抗器120を通じての電流は、400ナノアンペア(1ボルト/2.5メガオーム)である。試験片検出用の適正値を与えるウェッティングサプライ180にとって、必要とされる抵抗は、3.75メガオーム(1.5ボルト(2.5ボルトの全供給〜1.0センス電圧)/2.5メガオームのセンス抵抗)である。
【0053】
この第3の構成要素選択の成果は、約2.5メガオームの値を有するセンス抵抗器120、約3.75メガオームの値を有するウェッティングサプライ180の抵抗器、約400ナノアンペアの値を有するセンス電流、および約−0.75ボルトの増幅器144の出力にて電圧を挿入した試験片である。
【0054】
高インピーダンス回路100は、様々な試験計器または他の監視装置に組み込むことができ、さらに、セル、試験片、ヘモグロビンセンサ、抗酸化センサ、バイオセンサ、免疫センサなどの幅広い種類の電気化学センサとともに用いることができる。回路100が用いることができる電気化学試験片の1つの例示的な実施形態を、
図2〜
図4に与える。
【0055】
図示するように、試験片262は、遠位端部280から近位端部282まで延伸し、側稜256、258を有する伸長体を設けて含む。
図3に示すように、試験片262は、また、第1の電極層266と、第2の電極層264と、2つの電極層264、266の間にはさまれたスペーサ260とを含む。第1の電極層266は、第1の電極366と、第1の接続トラック276と、第1の接続パッド267とを含むことができ、第1の接続トラック276は、第1の接続パッド267に対して第1の電極366を電気的に接続する。第1の電極366が、試薬層272の直下にある第1の電極層266の一部分であることに留意されたい。同様に、第2の電極層264は、第2の電極364と、第2の接続トラック278と、第2の接続パッド263とを含むことができ、第2の接続トラック278は、第2の電極364を第2の接続パッド263と電気的に接続する。第2の電極364が、試薬層272上にある第2の電極層264の一部分であることに留意されたい。さらに、U字型のノッチ265を通じた試験計器の、回路100のような回路に対する電気的接続を確立するために、第2の接続パッド263を、用いることができる。
【0056】
図示するように、試料を受け入れるチャンバ261は、第1の電極366、第2の電極364、および試験片262の遠位端部280の近くにスペーサ260によって規定される。第1の電極366および第2の電極364は、試料を受け入れるチャンバ261の最下部および最上部をそれぞれ規定することができる。スペーサ260のカットアウト部分268は、試料を受け入れるチャンバ261の側壁を規定することができる。1つの態様において、試料を受け入れるチャンバ261は、試料注入口および/または通気口を設けるポート270を含むことができる。例えば、ポートの1つは、流体試料の進入を可能にすることができ、他方のポートは、空気の退出を可能にすることができる。
【0057】
電極364、366は、導体パッド263、267を経由して回路110の電気的コネクタ110、112、114と接触することができる。とりわけ、第1の電極366に接続された接続パッド267を、電気的コネクタ110、112によって受け入れることができる。第1の電極366が双方のコネクタ110、112と一旦接すれば、回路100は、試験片262が存在することを認識し、それによって、乾式試験片電圧を出力する。さらに、第2の電極364に接続された接続パッド263を、電気的コネクタ114によって受け入れることができる。第2の電極364がコネクタ114と一旦接し、試料が試験片262に導入されれば、電極364、366の間、したがって共通の電気的コネクタ114と電気的コネクタ110、112の少なくとも一方との間に電気的接続が形成され、回路100は、試料の存在を検出するだろう。もちろん、当業者は、いくつもの方法において、回路が
図2〜
図4の電気化学試験片を関連づけることができることを認識するだろう。
【0058】
図2〜
図4に記載した試験片に関連した方法および装置は、「試料内の検体を測定するためのシステムおよび方法」と題して2009年5月13日に出願された、ホッジス(Hodges)らの米国特許出願第2009/0301899号明細書においてさらに記載され、それらの内容は、その全体の参照によって援用される。さらに、本明細書に開示した高インピーダンス回路100が用いることができる他の例示的の装置は、「電気化学的方法」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第5,942,10号明細書、「電気化学セル」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第6,174,420号明細書、「電気化学セル」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第6,179,979号明細書、「電気化学セル」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第6,284,125号明細書、「センサ接続手段」と題したチェンバーズ(Chambers)らの米国特許第6,379,513号明細書、「加熱電気化学セル」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第6,475,360号明細書、「ヘモグロビンセンサ」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第6,632,349号明細書、「抗酸化センサ」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第6,638,415号明細書、「電気化学セルと計器との間の電気的接続を形成する方法」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第6,946,067号明細書、「毛細管またはウィッキング式充填型器具のショートサンプリングを防ぐ方法」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第7,043,821号明細書、「電気化学セル」と題したホッジス(Hodges)らの米国特許第7,431,820号明細書、「直接免疫センサ分析」と題して2002年3月21日に出願されたホッジス(Hodges)らの米国特許出願第2003/0180814号明細書、「免疫センサ」と題して2004年4月22日に出願されたホッジス(Hodges)らの米国特許出願第2004/0203137号明細書、「バイオセンサ装置および利用方法」と題して2005年11月21日に出願されたライラット(Rylatt)らの米国特許出願第2006/0134713号明細書、および「バイオセンサ装置および利用方法」と題して2009年9月18日に出願されたホッジス(Hodges)らの米国特許出願第2010/0006452号明細書を含むが、記載した実施形態および方法に対して限定しない。各々の内容は、その全体の参照によって援用される。
【0059】
さらに、本明細書に開示した高インピーダンス回路を、前述の装置のいずれかにおける他の測定の改善に関連して用いることができる。このような改善の2つの非限定的な例は、「初期充填速度に基づいた保存血液ヘマトクリットの測定のためのシステム、装置および方法」と題して2009年12月30日に出願されたシャトリエ(Chatelier)らの米国特許出願番号第12/649,509号明細書、および「充填時刻を利用したバイオセンサの精度を改善するためのシステム、装置および方法」と題して2009年12月30日に出願されたシャトリエらの米国特許出願番号第12/649,594号明細書に記載されており、各々の内容は、その全体の参照によって援用される。
【0060】
使用時に、高インピーダンス回路100は、電気化学試験片が存在するとき、および試料が試験片を充填し始めるときの両方を、試験計器が迅速かつ容易に判定することを可能にする。
図5は、以下の。経時的に生じる電圧の明確な変化を図示する。すなわち、(1)電気化学試験片の両方がない状態、(2)電気化学試験片が存在するものの、試料が存在しない状態、(3)電気化学試験片および試料の両方が存在する状態、および(4)試験片を取り除いたときに、再び、電気化学試験片が存在しない状態。
【0061】
回路100が関連する試験計器内に電気化学試験片が存在しないとき、回路は開いており、したがって、時刻T
jの間に示されるように、結果として生じる電圧S
iは、約−1.25ボルトである。これは、回路のセンス抵抗器120の部分から生じる電荷が、約−1.25ボルトであるからである。現実には、このような装置の典型的な効率制限のために、試験片検出器の出力電圧S
iは、−1.25ボルトに達しないかもしれない。したがって、試験片が存在するか否かの判定をするための閾値は、約500ナノアンペアのセンス抵抗器の電流に対して約−1.19ボルト未満である。体液試料または対照溶液などの試料が欠けている電気化学試験片が、第1および第2の電気的コネクタ110、112に接続されるとき、R
jにおける急騰によって示されるように、明確な電圧変化が生じる。図示した実施形態において、結果として生じる電圧S
2は、時刻T
2の間で約−0.35ボルトである。しかしながら、現実には、装置の実際の制限のために、出力電圧S
2は、−0.35ボルトに達しないかもしれない。したがって、試料が存在するか否かの判定をするための閾値は、およそ約625ナノアンペア〜約500ナノアンペアの間のセンス抵抗器の電流に対して約−0.15ボルト未満である。測定された電圧は、一旦試験片が存在すれば生成される検出部品140からの電圧と相互に作用する回路のセンス抵抗器120一部によって生成された電圧の結果である。特に、ウェッティングサプライ180の抵抗器の抵抗、および第1および第2の電気的コネクタ110、112の直列の接続間の電気化学セル抵抗は、センス抵抗器120とともに分圧器を形成することができる。電気化学セル抵抗を変更することができるが、それは、概してウェッティングサプライ180の抵抗器に対する抵抗許容差未満である約200オーム未満であり、したがって、その影響は無視できる。分圧器を通じての、センス抵抗器120の電圧は、約−1.25ボルトから約−0.25ボルトまで変化できる。したがって、増幅器144の電圧ゲイン約2に対して、検出部品140の出力電圧は、約−0.5ボルトである。3つのレベルのために観察された典型的な電圧レベルは、試験片が存在しない状態における約−1.23ボルト、乾式試験片が存在する状態における約−0.52ボルト、および湿式試験片が存在する状態における約−0.15ボルト以上である。
【0062】
試料が電気化学試験片に導入されるとき、
図5に示されるように、電気的接続が試験計器内に形成され、S
2における急騰によって示されるように、別の明確な電圧変化が生じる。電流経路は、仮想接地160によって生成された低インピーダンス経路と、電気的コネクタ110、112、114の各々との間に生成される。図示した実施形態において、結果として生じる電圧S
3は、時刻T
3の間で約0ボルトである。この値は、また、アナログ接地信号レベルにもなり得る。測定電圧は、一旦試料が存在すれば相互に作用する、回路のウェッティングサプライ180部分からの電圧によって取り消されている回路のセンス抵抗器120部分によって生成された電圧の結果である。この構成において、仮想接地160の増幅器164は、積極的にその出力電圧を調整するだろうし、したがって、そのフィードバック抵抗器を通じた電流は、反転入力に達する電流と一致し、それによって、低インピーダンス回路としてノードを表示させる。これは、ひいては、センス抵抗器120電圧を約0ボルトまで上昇させ、試験片検出器の出力を約0ボルトにさせる。試料によって生成された電気的接続が形成されるとき、電気化学試験片を通じての電流の流れは、関連する電圧供給部品だけでなくウェッティングサプライ180およびセンス抵抗器120を備える回路のソース抵抗およびソース電圧によっても制限され、約±1.25ボルトである。この電流は、電圧上昇をもたらし、ウェッティングサプライ180の抵抗器からの電流を低減しながら、センス抵抗器120を通過する。電流は、電気化学試験片を通じて追加電流を供給することにより平衡を保ち、それによって、センス抵抗器120が約2メガオームの値を有し、ウェッティングサプライ180の抵抗器が約3メガオームの値を有する、第2の例において以上に規定したような場合の約208ナノアンペアの最大センス電流をもたらす。電気化学試験片が試験計器から取り外される場合、電圧が時刻T
4の間に約−1.25ボルトのオリジナル値(電圧S
1)に戻る結果として、R
3に示したように、電圧の急激な降下が生じる。
【0063】
電気化学試験片262の第1の接続パッド267と第2の接続パッド263との間の実際の抵抗が降下し得るので、多くの分析試料液が適用され、電気化学反応が進むにつれて、センサ抵抗器120の電圧が「挿入されたセンサ」間に遷移し「0」ボルトレベルに達する期間があり得る。この遷移期間は、数ミリ秒であり得る。
【0064】
図6および7図は、試料が回路100から生じる電気化学センサを充填し始めるときを検出するための有効な改善を図示する。
図6は、本発明の高インピーダンス回路100を含まない試験計器内の経時的な電圧測定を図示する。その一方で、
図7は、高インピーダンス回路100を含む試験計器内の経時的な電圧測定を図示する。
図6および
図7の両方について、図示した時刻は、0.001秒である測定を行うために用いられるオシロスコープからのタイムベースにより、−0.004秒から0.004秒までの間にある。
図6において、各主要グリッドマーカーは、0.5ボルトにあり、その一方で、
図7において、各主要グリッドマーカーは、0.2ボルトにある。狭い電圧範囲の間で検出が動作するので、
図7の電圧スケールは、約2.5倍に増加しており、したがって、階段状変化をより明確に図示することができる。
【0065】
電流源を用いる代りに、乾式の電気化学試験片が高インピーダンス回路100を含まない試験計器内に存在するとき、
図6に示すように、ほぼ安定した電圧V
1(時として閾値乾式試験片電圧と呼ぶ)が存在する。t
1に図示されるように、試験片に適用されている試料の結果として試験片が湿式になるとき、定電流源の有効な範囲である予備定電圧V
2を実現する前に、t
1およびt
2の間の時間にわたって電圧が顕著に降下する。しかしながら、予備定電圧V
2のプラトーに対する遷移も漂遊効果(stray effects)によって、例えば試験片に対する静電放電によって、実現されるかもしれないので、この電圧の降下は、試料の存在を検出するには十分ではない。充填が進むにつれて、伝導電流が増加し、定電流源はレギュレーションを維持することができず、それによって、電圧がさらに降下する。誤トリガを回避するために、電圧が真の閾値湿式試験片電圧V
3(図示した実施形態において、約0.3ボルトで存続し、t
4にて試験片が充填されるまで生じない)まで予備定電圧V
2の1.3ボルトのプラトー未満に降下するまで、
図6によって図示したシステムは、適切に動作することができない。したがって、t
3において生じる電圧のさらなる降下は、反応スタート時刻を検出するのに不十分であり、したがって、試料が試験片を充填し、スタート時刻を検出することができると回路が最終的に検出するのはt
4までない。
図6に示したシステムのさらなる欠陥は、スタート時刻が最終的に検出されるとき、電流変動率が失われることである。定電流源が提供するより多くの電流を湿式試験片が伝導することができる(電流を維持するために電圧を降下させる)ので、これが生じる。このシステムにおける他の欠陥はノイズ感受性と、試料検出のために必要になるエネルギー(電圧および電流)の不十分な制御と、遅延検出とを含む。Dによって図示したように、時として真の閾値湿式試験片電圧と呼ばれ、初期試料が加えられた後の約4ミリ秒まで生じない、ほぼ安定した電圧V
3(約0.3ボルト)まで電圧が降下すると、試験片は湿っていると見なされる。本開示を考慮して、当業者は、実施する設計経験である電圧閾値/許容範囲によって、試料検出の正確な時刻が判定されることを認識するだろう。部品および電源の許容範囲は、閾値乾式試験片電圧V
1に影響を与える場合がある。仮想接地の精度は、閾値湿式試験片電圧V
3に影響を与える場合がある。したがって、検出は、これらの2つの閾値間に生じる。閾値乾式試験片電圧V
1に近いレベルは、概して、時刻0付近で、検出に対してより感応性になり、その一方で、閾値湿式試験片電圧V
3の近くの値は、約4ミリ秒近くになるだろう。他の要素は、非限定的な例のために、試料の粘性および活性化学エリアのサイズを含む、実時間に影響を与える場合もある。
【0066】
対照的に、乾式の電気化学試験片が高インピーダンス回路100を有する試験計器内にあるとき、
図7に示すように、時として閾値乾式試験片電圧と呼ばれるほぼ安定した電圧V
1’が存在する。以上に示したように、検出が狭い電圧範囲の間で動作するので、
図7の電圧スケールは、約2.5倍増加しており、したがって、階段状変化をより明確に図示することができるさらに、電気的コネクタ112の代わりに電気的コネクタ110を用いて、充填検出信号が行われるので、
図7の方向性は
図6の方向性と比較して逆になる。試験片が挿入されるものの、試料が存在しないとき、定電流は、感受率を外生信号まで低減しながら、電気的コネクタ110、112の間を通過する。試験片に対して加えられた試料の結果として試験片が湿式になるとき、電気的コネクタ114によって電流が回路に供給されるにつれて、電圧は、時として閾値湿式試験片電圧と呼ばれるほぼ安定した電圧V
3’を実現しながら、t
1’とt
2’との間の時間にわたって顕著に上昇する。t2’において、試験計器の回路100は、試料が試験片を充填し始めたことを検出することができる。
図7における試料を検出するためのシステムために使用する時間であってD’として図示されるt
1’とt
2’との間の時間は、
図6における試料を検出するためにシステムが使用する時間であってDとして図示されるt
1とt
4との間の時間よりもかなり短い。実際には、閾値試験片充填電圧は、試験片が充填されたことを検出するための所望の検出感度に依存して、V
1’および閾値湿式試験片電圧V
3’との間に設定される。
図7に示すように、高インピーダンス回路の結果として、試料が試験片を湿らせたことを、約0.5ミリ秒足らずのうちに判定することができる。したがって、高インピーダンス回路100は、試料が計器内に配置された試験片を湿らせたか否かを検出するために要する時間を顕著に改善する。同様に、自動スタート機能を含む実施形態において、高インピーダンス回路100は、液体試料をセルが充填し始めるときを判定する際の精度を顕著に改善する。自動スタート構成において、一旦試料が試験片を充填し始めれば反応がスタートするので、濡れが生じる瞬間を可能な限り正確に検出することは、より正確かつより高精度の反応スタート時刻をもたらす。より正確なスタート時刻は、より再現可能かつより正確な試験時間をもたらし、ひいては、より正確なグルコース試験値をもたらす。
【0067】
さらに、高インピーダンス回路100は、また、測定の精度を顕著に改善する。
図6に示したように、試料が試験片を充填し始めたことを知らせる電圧の変化は、明確で、かつ十分に定められたラインではない。反応のためのスタート時刻がいつなのかを正確に識別するのは相当困難である。他方で、
図7において、2つの明確な電圧があり、ひとたび試料が試験片を充填し始めたことを知らせる電圧が迅速に達すれば、試料が加えられたことは明らかである。
【0068】
試料検出測定の速度および精度の改善に加えて、試験計器に対する高インピーダンス回路の追加から生じる他の多くの利点がある。開示した高インピーダンス回路の使用は、回路の一部としてアナログスイッチの必要性を省く。波形発生器200およびスイッチ202は、試験過程の間に試験片の励起のための1つの可能なインプリメンテーションを表わすが、それらは、試験片または試料のいずれかの検出を行うようには要求されない。さらに、回路は、電気化学試験片の存在を検出するための電流を同じレベルに維持し、それによって、ノイズの問題を改善する。回路は、また、試料検出の間に波形発生器によって電気化学センサに投入されるエネルギーの量を低減し、それは、ひいては、波形発生器によってもたらされる任意の妨害またはノイズを低減する。低減された高電圧電位は、充填検出過程の副作用を低減する。本発明の結果として、システムの電圧変化は、約0.3ボルト未満に維持することができ、それは電気刺激による検体のダメージを回避するためにも望ましい。
図7に示したように、電圧変化が、約0.8ボルトの絶対値と約1.1ボルトの絶対値との間に生じる。当業者は、オシロスコーププローブインピーダンスの負荷が測定にかかる影響の結果として、
図7に示した値が変化することを認識するだろう。図示した実施形態において、オシロスコーププローブのインピーダンスは、約10Mオームである。同様に、低減された電流は、充填検出過程の副作用を低減する。試料が電気化学試験片を充填し始めたときを迅速かつ容易に測定するために本明細書に開示された回路を提供するだけでなく、回路は、試験片が試験計器内にあることを迅速かつ容易に判定することも可能にする。回路は、それらに欠陥があるか否かを判定するために、フェーズ試験電気化学センサに用いることができる。とりわけ、試験の間に、行われるべきでない試験のフェーズにおいて電気化学センサが電気的接続を形成していることが判定する場合、センサに欠陥があることを判定するのは容易である。短絡電極などの欠陥の製造、「乾式」セルの漏電電流、および不十分な充填特性、またはセンサの従来の使用を、本開示の回路によって与えられた容易で迅速な試験方法によって容易に判定することができる。さらになお、開示した発明は、検出のために必要になる所望の電流および電圧を実現するように回路100を設計することを可能にする。
【0069】
当業者は、上述した実施形態に基づく本発明の特徴並びに利点をさらに正確に理解するであろう。したがって、本発明は、添付された請求項によって示されるもの以外は、特に図示され記載されたものによって限定されない。本明細書に引用されたすべての出版物および参照文献は、そのすべての内容を本明細書の一部として明示的に援用する。