特許第5864592号(P5864592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864592
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】複数の糸を熱処理する装置
(51)【国際特許分類】
   D02J 13/00 20060101AFI20160204BHJP
【FI】
   D02J13/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-533166(P2013-533166)
(86)(22)【出願日】2011年10月10日
(65)【公表番号】特表2013-543065(P2013-543065A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2011067631
(87)【国際公開番号】WO2012049113
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年7月7日
(31)【優先権主張番号】102010048392.3
(32)【優先日】2010年10月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ オーバーシュトラス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン コンラート
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭45−033623(JP,Y1)
【文献】 実公昭45−019051(JP,Y1)
【文献】 特開昭49−108355(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/054945(WO,A1)
【文献】 西独国特許出願公開第03306459(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 1/00 − 3/48
D02J 1/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を加熱しかつガイドする、加熱可能な複数の加熱通路(3.1,3.2)を有する加熱装置(2)と、
前記加熱通路(3.1,3.2)に吸出し作用を加える吸引装置(4)とを備え、
前記吸引装置(4)は、前記加熱装置(2)の前記加熱通路(3.1,3.2)に対応配置された複数の吸込み管路(5.1,5.2)を有している、繊維機械、有利にはテクスチャード機械内で複数の糸を熱処理する装置であって、
前記加熱装置(2)の前記加熱通路(3.1,3.2)は、1つまたは複数の加熱群を形成し、
前記加熱通路(3.1,3.2)の前記加熱群(2.1)は、前記吸引装置(4)の、対応配置された前記吸込み管路(5.1,5.2)と共に、共通の支持体(7)において組み合わせられて、コンパクトな1つの構成群(1)を形成しており、前記加熱群(2.1)の前記加熱通路(3.1)と、前記吸引装置(4)の前記吸込み管路(5.1,5.2)とは、互いに同心的に配置されていて、前記加熱群(2.1)の前記加熱通路(3.1,3.2)と、前記吸引装置(4)の前記吸込み管路(5.1,5.2)とは、前記支持体(7)において対称的に、ほぼ同一の長さの吸込み管路(5.1,5.2)を備えて形成されていることを特徴とする、複数の糸を熱処理する装置。
【請求項2】
前記吸引装置(4)は、前記支持体(7)の中心に吸引管(8)を有していて、前記加熱群(2)の前記加熱通路(3.1,3.2)は、前記支持体(7)において、前記吸引管(8)を取り囲む配置で保持されている、請求項1載の装置。
【請求項3】
一端部で前記加熱通路(3.1,3.2)に対応配置された前記吸込み管路(5.1,5.2)は、第2の端部を介して前記吸引管(8)に接続されている、請求項記載の装置。
【請求項4】
前記吸引管(8)は、ほぼ鉛直に配向されていて、前記吸引管(8)の下側の管端部(8.1)は、吸込みチャンバ(16)内に開口し、該吸込みチャンバ(16)は、閉鎖可能な凝縮物排出部(17)を有している、請求項または記載の装置。
【請求項5】
前記吸込み管路(5.1,5.2)の前記第2の端部は、前記吸込みチャンバ(16)内に開口している、請求項記載の装置。
【請求項6】
1つの加熱群(2.1)に対応配置された前記吸込み管路(5.1,5.2,6.1,6.2)には、少なくとも1つのブロワ(13)が対応配置されており、前記吸引装置(4)は、1つまたは複数のブロワ(13)を有している、請求項2または3記載の装置。
【請求項7】
前記ブロワ(13)は、前記吸引管(8)の一端部(8.1)に直接組み込まれている、請求項記載の装置。
【請求項8】
前記吸引装置(4)は、加熱通路(3.1)毎に、2つの吸込み管路(5.1,6.1)を有しており、該吸込み管路(5.1,6.1)はそれぞれ、前記加熱通路(3.1,3.2)の各端部に対応配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、繊維機械内で複数の糸を熱処理する装置に関する。
【0002】
特に合成繊維糸をさらに加工する場合、糸は、通常は液体(Fluid)の形態の準備処理液(仕上げ剤)被覆を有している。これによって、走行特性と、糸内の個別のフィラメント束の集束性とを保証することができる。しかしこのような液体は、熱処理時にこの液体が通常は蒸発して、繊維機械の内部で不都合な環境汚染をもたらす、という欠点を有している。その限りでは、熱処理時のこのような蒸気を捕集し、導出することが一般的に知られている。このような蒸気を吸い出しかつ導出する基本原理は、たとえば既にドイツ連邦共和国特許第2227494号明細書から明らかである。
【0003】
複数の糸を熱処理する公知の装置は、加熱装置と吸引装置とを有している。加熱装置は、複数の加熱通路を有し、これらの加熱通路は通常、該当する繊維機械の機械長手側に沿って分配されて配置されている。加熱通路内で発生する蒸気を吸い出しかつ収容するために、吸引装置が複数の吸込み管路を有している。これらの吸込み管路は、加熱通路に対応配置され、かつ中央の吸引管に連結されている。この場合、吸引管は、同じく実質的に繊維機械の機械長手側にわたって延びているので、加熱通路に対応配置された全ての吸込み管路は、平行に分配されて吸引管に接続されている。繊維機械の内部に多数の加工箇所が設けられていることに基づいて、比較的長い吸引管が設けられている。これらの吸引管は通常、一方の端部だけでブロワに接続されている。それゆえに、吸引管における吸込み管路のそれぞれ位置に応じて、各吸込み管路で種々異なる圧力状態が生じることを回避することはできない。したがって、このような吸引装置は通常、調節された吸引出力が吸込み管路の各々において加熱通路内で生じた蒸気の十分な収容および導出を保証するように、設計されている。
【0004】
しかし、1つの繊維機械において種々の糸繊度および糸タイプを加工する場合に、加熱装置の加熱通路内で互いに異なる量の蒸気が生じる。通常、準備処理液(Praeparation)の量は糸繊度に比例するので、小さな繊度を有する糸の熱処理時には、相応して少量の蒸気が加熱装置内で形成される。この場合、加熱管路内の蒸気の、過度に強く調節された吸引は、著しい空気交換が生じ、加熱通路内で大幅なエネルギ損失が生じることにつながる。吸込み管路において過度に小さな吸引出力が生じている場合、不都合な環境汚染が加熱通路の周囲で生じることを回避することはできない。なぜならば、収容されなかった蒸気が糸を介して周囲に搬送されるからである。
【0005】
したがって、本発明の課題は、複数の糸を熱処理する上述のような装置を改良して、加熱通路内で発生する蒸気のほぼ均一な導出が可能であるようにすることである。
【0006】
本発明の別の目的は、上述のような装置を、特にエネルギ効率よく形成することにある。
【0007】
この課題を解決した本発明による構成では、加熱装置の加熱通路が、1つまたは複数の加熱群を形成していて、加熱通路の加熱群が、吸引装置の対応配置された吸込み管路と一緒に、共通の支持体において組み合わせられて、1つのコンパクトな構造ユニットを形成しているようにした。
【0008】
本発明の有利な実施の形態は、各従属請求項の特徴および特徴の組合せにより規定されている。
【0009】
本発明は、繊維機械内に設けられた多数の糸を処理しかつ加工する装置の、慣用の列状の配置にとらわれない。加熱装置に設けられた加熱通路の、本発明による群(グループ)形成によって、相応して短い吸引経路が実現され得るので、複数の加熱通路の各々において、接続された吸込み管路がほぼ同一の吸引出力を形成することができる。その限りでは、吸引装置の吸込み管路は、同等の吸込み群に分けられている。これらの吸込み群は、別個に、または一緒に、その吸引出力を制御可能であってよい。
【0010】
吸引出力の均一性を改善するためには、さらに、加熱群の加熱通路と、吸引装置の吸込み管路とを、支持体において対称的に、ほぼ同じ長さの吸込み管路を備えて形成することが提案される。これにより、加熱通路から蒸気を細かく調整して導出することを実現する可能性が生じるので、糸繊度に応じて、蒸気の導出のための種々の吸引出力が調節可能となる。
【0011】
構造ユニットのエネルギ損失をできるだけ小さく維持するために、本発明の変化形が形成されると有利である。この態様では、加熱群の加熱通路と、吸引装置の吸込み管路とが、同心的に配置されている。このような構造ユニットでは、加熱通路を周囲に対して絶縁する、付加的な絶縁材料における手間が特に小さくされている。
【0012】
構造ユニットにおいて発生した蒸気を導出するために、本発明の変化形が使用されると有利である。この変化形では、吸引装置が支持体の中心に吸引管を有していて、かつ加熱群の加熱通路が支持体において、吸引管を取り囲む配置で保持されている。これにより、極めて短い吸引経路を実現することができる。
【0013】
この場合、加熱通路に対応配置された吸込み管路は、直接に第2の端部で吸引管に接続され得るので、同一の吸込み長さを有する放射状の配置が生じる。
【0014】
しかし、蒸気導出時には、吸込み管路の壁部に凝縮物(結露)が形成されるという問題も生じる。凝縮物を捕集し導出するために、吸引管がほぼ鉛直方向に配向されていて、吸引管の下端部が、吸込みチャンバに開口しており、該吸込みチャンバが、閉鎖可能な凝縮物排出部を有していることが提案される。したがって、構造ユニット内で発生した全ての液状の堆積物は、中央で吸込みチャンバを介して捕集されて、凝縮物排出部を介して導出され得る。
【0015】
しかし、直接に吸込み管路の第2の端部を吸込みチャンバ内に開口させる可能性も生じ、これにより、吸引管内ではガス状の蒸気だけが案内される。
【0016】
1つの加熱群に対応配置された吸込み管路内における吸引出力を調節するために、少なくとも1つのブロワが設けられている。この場合、吸引装置は、1つまたは複数のブロワを有している。したがって、複数の構造ユニットの各々が、個別のブロワに接続することができるか、または複数の構造ユニットが、吸引装置に設けられた1つのブロワに接続することができる。
【0017】
各構造ユニットが吸引装置の個別のブロワを有している場合、このブロワは有利には直接に吸引管の両端部の一方に組み込まれる。この場合、有利にはブロワは構造ユニット内に組み込まれているので、このブロワは個別に制御可能である。
【0018】
加熱通路内の蒸気を導出するために、吸込み管路は、加熱通路の出口の領域に配置されていると有利である。しかし、加熱通路を周囲に対して密閉して保護することを保証するためには、有利には本発明の変化形を使用することができる。この変化形では、吸引装置が加熱通路毎に2つの吸込み管路を有し、これらの吸込み管路は、それぞれ加熱通路の各部に対応配置されている。これによって、加熱通路の入口に吸引もしくは吸出し作用が加えられる。
【0019】
以下に本発明の本発明による装置の複数の実施の形態につき添付の図面に関連して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による装置の第1の実施の形態を示す概略的な長手方向の断面図である。
図2図1に示した実施の形態の概略的な横断面図である。
図3】本発明による装置の別の実施の形態を示す概略的な横断面図である。
図4】本発明による装置のさらに別の実施の形態を示す概略的な長手方向の断面図である。
【0021】
図1および図2には、複数の糸を熱処理する本発明による装置の第1の実施の形態が示されている。図1には長手方向の断面が概略的に示されていて、図2には横断面が示されている。2つの図のうちの一方に対して明確に関連付けが成されていない限り、以下の説明は両方の図に適用される。
【0022】
本発明による装置の図示に際して、見易くするために、本発明にとって重要である構成部分のみを示した。特に、絶縁材料およびカバーの図示は省略した。
【0023】
図1および図2に示した実施の形態は、加熱装置2および吸引装置4を収容する支持体7を備えた構造ユニット1を示している。支持体7は、本実施の形態では、1つの長いスタンド7.3を介して結合された下側のプレート7.1と、上側のプレート7.2とにより形成されている。スタンド7.3は、本実施の形態では管状に形成されていて、その周面に互いに反対の側に位置する2つの加熱体9.1,9.2を有している。加熱体9.1,9.2は、セグメント状に形成されており、管状のスタンド7.3の所定の周方向区分にわたって延びている。各加熱体9.1,9.2内には、複数の加熱通路が形成されている。ここでは、構造ユニット1の左側に保持された複数の加熱通路が、符号3.1で示され、該加熱通路3.1とは反対の側に位置する加熱通路が、符号3.2で示されている。加熱体9.1,9.2は、加熱通路3.1,3.2と共に、長手方向でスタンド7.3に沿って、上側のプレート7.2および下側のプレート7.1にまで延びている。各加熱通路3.1,3.2内には、1つまたは複数の糸をガイドするためにそれぞれ1つのガイドレール10が配置されている。この場合、ガイドレール10は、糸を案内するために、糸ガイドを備えて、または糸ガイドを備えないで形成されていてよく、加熱通路3.1;3.2毎に1つまたは複数の糸をガイドすることができる。加熱通路3.1,3.2は、加熱手段(図示せず)により加熱される。したがって、加熱通路3.1または加熱通路3.2に、それぞれ1つの共通の加熱手段が対応配置されているか、または個別の加熱手段を対応配置させることができ、これらの加熱手段は、互いに独立して、または一緒に制御可能である。
【0024】
加熱通路3.1,3.2は、本実施の形態では、構造ユニット1の内部で鉛直方向に配向されているので、糸を加熱するために、この糸は上方から下方に向かっても、下方から上方に向かっても加熱通路3.1,3.2を通ってガイド可能である。しかし基本的には、構造ユニット1の水平方向の配向または傾斜した配向も可能である。
【0025】
加熱通路3.1,3.2は、通常、閉鎖可能なカバーで周囲から遮蔽されている。カバーはここでは詳しく図示していない。さらに、支持体7に対する付加的な絶縁材料および周囲に対する付加的な絶縁材料も設けられていてもよい。
【0026】
加熱通路3.1および加熱通路3.2は、繊維機械の内部で1つの加熱群2.1を形成する。この場合、加熱群2.1は、繊維機械の内部で、複数の加工箇所に対応配置されていてよく、これにより繊維機械の内部にこのような複数の構造ユニットが位置している。しかし、繊維機械の内部に中央の構造ユニットが形成されていて、この構造ユニットにおいて、全ての加工箇所の糸が一緒に熱処理されることも可能である。
【0027】
加熱群2.1の加熱通路3.1,3.2内で発生する蒸気を収容しかつ導出するために、吸引装置4は複数の吸込み管路を有している。これらの吸込み管路は、加熱通路3.1,3.2の両端部に対応配置されている。加熱通路3.1に対応配置された吸込み管路は、本実施の形態において、第1の吸込み管路の群に対しては符号5.1で、第2の吸込み管路の群に対しては符号6.1で示されている。相応して、加熱管路3.2に対応配置された吸込み管路は、符号5.2,6.2で示されている。加熱通路3.1,3.2ならびに吸込み管路5.1,5.2および6.1,6.2は、支持体7の中心の回りに対称的に形成されているので、その吸込み流入部11.1,11.2で加熱通路3.1,3.2の上端部に対応配置された吸込み管路5.1,5.2の第1の群は、半径方向の延在部においても同一の長さを有している。相応して、加熱通路3.1,3.2の下端部に対応配置された吸込み管路6.1,6.2は同様に同じ長さに形成されている。吸込み管路6.1,6.2はそれぞれ、吸込み流入部11.1,11.2を備えた領域において、加熱通路3.1,3.2の下端部の手前に短い間隔を置いて直接に開口している。
【0028】
図2から明らかであるように、加熱群2.1の加熱通路3.1,3.2と、吸引装置4の吸込み管路5.1,5.2,6.1および6.2とは、互いに同心的に配置されている、つまり加熱群2.1の加熱通路3.1,3.2が配置されている仮想円と、吸引装置4の吸込み管路5.1,5.2,6.1および6.2とが配置されている仮想円とが同心的になるように配置されているので、図示された各個別の加熱通路3.1,3.2の各々において、糸を熱処理するために同じ条件を提供することができる。さらに、このような構造ユニットは、極めて小さな空間需要しかなく、この場合、加熱通路3.1,3.2のコンパクトな配置によって、排熱は主に外方に向かってのみ可能である。その限りでは、図2に示した実施の形態は、エネルギ効率のよい構造ユニットを成しており、この構造ユニットでは、断熱のための手段を最小限に減じることができる。支持体7における加熱通路3.1,3.2の個数および構成は、例示的である。基本的には支持体7は完全に1つまたは複数の加熱体9.1もしくは9.2によって取り囲まれていてよい。
【0029】
図1から判るように、支持体7の中心には、吸引管8が配置されているので、加熱群2.1の加熱通路3.1,3.2は、支持体7において、吸引管8を取り囲む配置で保持されている。吸引管8は、上側のプレート7.1および下側のプレート7.2を貫通しており、この場合、吸引管8は、下側のプレート7.1に対して配置された吸込みチャンバ16内に直接に開口する下側の管端部8.1を有している。吸込み管路5.1,5.2,6.1および6.2は、吸引管8に対してほぼ同心的に、支持体7の下側のプレート7.1に保持されていて、かつその吸込み流出部12.1および12.2によって同じく直接に吸込みチャンバ16内に開口している。吸込みチャンバ16は、できるだけ低く位置する区分に、凝縮物(結露)排出部17を有している。凝縮物排出部17は、閉鎖手段18を介して閉鎖可能に形成されている。
【0030】
吸引管8の、反対の側に位置する端部では、支持体7の上方で、ブロワ13が吸引管8に接続されている。このブロワ13は、ブロワモータ14を介して駆動可能である。ブロワ13は、その吹出し側で、蒸気処理システム(図示せず)に接続されている。
【0031】
本発明による装置の、図1および図2に示した実施の形態では、加熱通路毎に1本の糸が熱処理される場合には合計6本の糸が、加熱通路毎に2本の糸が熱処理される場合には合計12本の糸が熱処理される。この場合、糸に含まれる仕上げ油剤のような準備処理液体(Praeparationsfluid)に基づいて発生する蒸気は、ブロワ13によって形成された負圧に基づいて、加熱通路3.1,3,2の両端部で直接に、加熱通路3.1,3.2に対応配置された吸込み管路5.1,5.2ならびに6.1,6.2の吸込み流入部11.1,11.2を介して吸い出されて、まず、吸込みチャンバ16内に案内される。この吸込みチャンバ16から、蒸気は吸引管8を介して導出される。特に吸込み管路5.1,5.2ならびに6.1,6.2内で生じる結露もしくは凝縮物は、同様に吸込みチャンバ16内に捕集される。このためには、吸込み管路5.1,5.2および6.1,6.2は、鉛直方向に配置された吸引管8に対してほぼ平行に延びている。
【0032】
図1および図2に示した実施の形態は、加熱通路と、吸込み管路とを組み合わせて構造ユニットを形成する、1つの構造的な可能性を示しているだけである。基本的には、吸込み管路5.1,5.2,6.1および6.2はほぼ真っ直ぐな管部分を介して直接に吸引管8に接続されていてもよく、これにより、加熱通路3.1,3.2の上側および下側の領域において、吸込み管路5.1,5.2ならびに6.1,6.2の放射状の配置が生じる。択一的には、ブロワ13が直接に吸引管8の管端部8.1に直接に配置されている可能性も生じる。このような複数の構造ユニットを1つの繊維機械内で使用した場合には、複数の構造ユニットの吸引管を、1つの共通のブロワに接続することも可能である。
【0033】
さらに、構造ユニットの支持体における加熱通路および吸込み管路の対称的な配置は、同様に1つの可能な実施の形態を成すのみである。この場合、繊維機械の性質に応じて、別の対称的な配置も実現することができる。このようにして、バー(角材)状のスタンドと、四角形のプレートとを備える支持体7を形成する可能性が生じる。このような形態は、横断面で図3に概略的に示してある。
【0034】
図3に示した実施の形態では、図1および図2に示した実施の形態に対して、加熱通路3.1および3.2ならびに吸込み管路5.1および5.2の対称的な配置だけが変更されている。図1に示した実施の形態の長手方向の断面は、図3に示した実施の形態の長手方向の断面(図示せず)に対してほぼ同一となる。したがって、ここでは第1の実施の形態に対する差異だけを説明し、その他は上述の説明、特に図1に関する上述の説明が参照される。
【0035】
支持体7は、本実施の形態では、四角形のプレートにより形成されている。この場合、横断面図には、下側のプレート7.1しか示されていない。両プレート7.1,7.2(図示せず)は、バー状のスタンド7.3を介して結合されている。スタンド7.3の外面には加熱体9.1,9.2が保持されている。これらの加熱体9.1,9.2は、本実施の形態では直方体形に形成されている。これらの加熱体9.1,9.2は、互いに隣り合って配置された複数の加熱通路3.1,3.2を有している。これらの加熱通路3.1,3.2は、前述の実施の形態に対して同一に形成されている。
【0036】
支持体7の中心に、吸引管8が配置されている。この吸引管8は、両側で、複数の吸込み管路5.1,5.2ならびに6.1,6.2により取り囲まれている。吸込み管路および吸引管の構成および配置は、図1に示した実施の形態と一致する。その限りで、上記説明に関連付けられている。図3に示した実施の形態は、複数個が列状の配置を成して1つの繊維機械内に組み込まれるために特に適している。この場合、各構造ユニットは、図1に示した実施の形態による個別のブロワを有している。しかし、このような複数の構造ユニットを列状に配置して一緒に1つのブロワに接続することも可能である。
【0037】
図4には、糸を熱処理する本発明による装置のさらに別の実施の形態が示されている。仮よりテクスチャード加工時に、糸タイプに応じて、糸はテクスチャード加工後に後処理を受ける。テクスチャード加工のためにも、後処理においても、糸の熱処理が必要とされる。このような組合わされた熱処理をできるだけ1つの構造ユニット内で実施することができるように、図4には、加熱通路3.1および3.2の加熱群2.1の他に、加熱管15.1および15.2の第2の加熱群が示されている。図4に示した実施の形態の構造は、図1および図2に示した実施の形態とほぼ同一である。この場合、支持体7には、付加的に加熱管15.1および15.2が組み込まれている。糸の後処理時には実質的に蒸気形成が生じないので、加熱管15.1,15.2は下側のプレート7.1と上側のプレート7.2とを貫通していて、これにより加熱管15.1,15.2に対する入口および出口はそれぞれ構造ユニットの外側に生じている。
【0038】
図1および図2に示した実施の形態の構造に対して、図4に示した実施の形態では、ブロワ13が吸引管8の管端部8.1に組み込まれている。このことは、吸込み管路5.1,5.2および6.1,6.2内で吸込み流を発生させる別の可能性を成している。
【0039】
ここで強調しておきたいのは、上述の実施の形態における吸込み管路5.1,5.2および6.1,6.2の配置は例示的であるということである。基本的には、加熱通路3.1,3.2が一方の端部においてのみ、有利には出口端部でのみ吸出し作用を加えられることも可能である。その限りでは、図1から図4に示した実施の形態は、吸込み管路6.1,6.2の群または吸込み管路5.1,5.2の群を省略することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 構造ユニット
2 加熱装置
2.1 加熱群
3.1,3.2 加熱通路
4 吸引装置
5.1,5.2 第1の吸込み管路
6.1,6.2 第2の吸込み管路
7 支持体
7.1 下側のプレート
7.2 上側のプレート
7.3 スタンド
8 吸引管
8.1 管端部
9.1,9.2 加熱体
10.1,10.2 ガイドレール
11.1,11.2 吸込み流入部
12.1,12.2 吸込み流出部
13 ブロワ
14 ブロワモータ
15.1,15.2 加熱管
16 吸込みチャンバ
17 凝集物排出部
18 閉鎖手段
図1
図2
図3
図4