(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性ロールは、金属からなるシャフトチューブの外周にスポンジロールを被着し、該スポンジロールの表面を前記薄膜で被覆している、請求項1又は2に記載の清掃ロール。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図4に示した清掃具10は、フローリング、カーペットの床等を被清掃面とし、被清掃面上の粒ゴミ(米、菓子くず、土ホコリ、砂等)、毛、綿ホコリを捕集する。清掃具10は、柄20の先端に設けた清掃ヘッド30にゴミ収容部40を有し、ゴミ収容部40の前後に設けた前後の側面開口部41(41F、41R)を有するとともに、それらの側面開口部41を塞ぐ前後の清掃ロール50(50F、50R)を有する。
【0015】
尚、本実施形態の清掃具10では、柄20に加える操作力により清掃ロール50が被清掃面上で転動され、柄20に加える押し操作力により清掃ヘッド30が進む方向を前方向(
図3のF方向)とし、柄20に加える引き操作力により清掃ヘッド30が進む方向を後方向(
図3のR方向)とする。
【0016】
柄20は、
図1〜
図3に示す如く、複数本の棒状体21を順に接続した1m長程度の長尺体であり、基端にグリップを備える。柄20の先端二又部22のスリットにはジョイント23の連結プレート24が差し込まれ、二又部22に差し込まれてネジ25で該二又部22に固定されるブッシュ26に連結プレート24をピン結合している。また、ジョイント23は、清掃ヘッド30の上フレーム31Uの前後方向(清掃ロール50が移動により進む方向)及び左右方向(清掃ロール50の軸方向)の中央部に設けられている、左右の支持部32、32の間に差し込まれ、それらの支持部32に固定されるピン27にピン結合されている。ピン27は清掃ヘッド30の左右方向に延在され、ブッシュ26はピン27に直交配置されている。これにより、使用者は、柄20をブッシュ26まわりの左右に揺動でき、かつ柄20をピン27まわりの前後に揺動できる。
【0017】
柄20は、
図4に示す如く、先端の棒状体21の中心孔にコイルばね28を装填し、このコイルばね28により弾発される摺動子28Aをジョイント23の連結プレート24に備えた円弧面24A(ブッシュ26を中心とする円弧の面)に押当てて、柄20がブッシュ26まわりで自由に揺動するのを制動している。また、清掃ヘッド30の上フレーム31Uの後述するボス34に設けられて上面に開口する中央孔にコイルばね29を装填し、このコイルばね29により弾発される摺動子29Aをジョイント23に備えた円弧面23A(ピン27を中心とする円弧の面)に押当てて、柄20がピン27まわりで自由に揺動するのを制動している。これにより、使用者は柄20を掴んで清掃具10の全体を被清掃面から持ち上げ、柄20と清掃ヘッド30の相対角度姿勢を変えることなく、清掃具10の全体を当初の姿勢のまま移載できる。
【0018】
清掃ヘッド30は、
図2〜
図4に示す如く、上フレーム31Uと下フレーム31Lの結合体からなる。
【0019】
上フレーム31Uは清掃ヘッド30の前後左右の全域に延在され、前後方向の両端部に設けられる円弧状のカバー部が前後の清掃ロール50の概ね上半周を覆う。上フレーム31Uは、下面の前後方向の中央部に垂設される中央リブ33を、上フレーム31Uの左右の側壁に交差する左右方向の全域に延在して備える。上フレーム31Uの下面における中央リブ33の左右方向の中央部には、前述のコイルばね29が装填されるボス34が下向き突設される。
【0020】
下フレーム31Lは、上フレーム31Uの左右の側壁間に嵌合される枠状をなし、
図7に示す如く、その四角状の外周枠35の下面を被清掃面に摺接し得る水平面とし、外周枠35の下面の内側に底板43(後述する清掃シート44)を嵌着し得る四角状の段差部36を有する。段差部36は底板43を着脱し得る四角開口を形成し、底板43の板厚分の段差深さをなす段差面36Aを備える。下フレーム31Lの段差部36に嵌着された底板43の下面は、外周枠35の下面と面一をなし、被清掃面に摺接し得るものになる。
【0021】
下フレーム31Lは、外周枠35内の段差部36が備える段差面36Aの面内に中央リブ37を備える。中央リブ37は外周枠35内の前後方向の中央部に立設され、外周枠35の左右の段差部36に交差する左右方向の全域に延在して備える。中央リブ37の下面は段差部36の段差面36Aと面一をなす。
【0022】
下フレーム31Lは、外周枠35の前端側と後端側の段差部36と中央リブ37との間に、複数本の互いに平行をなす桟38を備える。桟38の下面は、段差部36の段差面36A、及び中央リブ37の下面と面一をなす。桟38の上面は、中央リブ37の上部〜外周枠35の上部に向けて延びる下り勾配の湾曲傾斜面38Aをなす。尚、桟38の横断面は、
図5に示す如く、上面が狭い三角断面をなし、清掃ロール50が後述する如くに投入するゴミを下に落とし易くする。
【0023】
下フレーム31Lは、中央リブ37の上端凹部37Aを上フレーム31Uの中央リブ33の下端凸部33Aに嵌合する状態で、中央リブ37の下面の複数ヵ所から挿入されるネジ39を上フレーム31Uの下面取付部に螺着することにより、上フレーム31Uに結合される。
【0024】
これにより、清掃ヘッド30は、上フレーム31Uと下フレーム31Lが結合され、下フレーム31Lの下面の段差部36に底板43が嵌着された状態で、上フレーム31Uと下フレーム31Lの間にゴミ収容部40を形成する。ゴミ収容部40は、清掃ヘッド30の前後方向の中央部で、上フレーム31Uの中央リブ33と下フレーム31Lの中央リブ37により前後に仕切られる。清掃ヘッド30は、前後のゴミ収容部40F、40Rを有するものになり、前側のゴミ収容部40Fは前方に開口する側面開口部41Fを備え、後側のゴミ収容部40Rは後方に開口する側面開口部41Rを備える。
【0025】
清掃具10は、清掃ヘッド30のゴミ収容部40(40F、40R)が備える側面開口部41(41F、41R)の下端沿いに、被清掃面から側面開口部41へとゴミを導くゴミ誘い面部42を設けている。清掃具30の下フレーム31Lの前側と後側の外周枠35の外側面が、清掃ロール50の全長に渡って、清掃ロール50の外周に摺接し、又は清掃ロール50の外周に微小隙間を介する円弧面状のゴミ誘い面部42となる。外周枠35の下面に対し鋭角をなして交差するゴミ誘い面部42の下端エッジ42Aは、清掃具10の移動時に、被清掃面に密着して摺接し、被清掃面上のゴミをゴミ誘い面部42の上にすくい上げる。ゴミ誘い面部42の上端エッジ42Bも鋭角をなし、この上端エッジ42Bに向かって回転してくる清掃ロール50(例えば清掃具10の前方(
図3のF方向)移動時の場合には、清掃具10の後方(
図3のR方向)に位置する
図3の清掃ロール50R)まわりで、ゴミ収容部40(40R)中のゴミがこの上端エッジ42Bから押さえロール50(50R)に入り込みにくくしている(
図3)。
【0026】
このとき、ゴミ収容部40(40F、40R)の底部は、下フレーム31Lの外周枠35の段差部36に嵌着される底板43により封止されている。底板43は、
図7に示す如く、清掃シート44により構成できる。清掃シート44は、厚紙等からなる保形層44Aの下面に不織布等からなるシート状拭き材44Bを接着されて備え、保形層44Aの上面に接着剤が塗工されたシート状粘着材44Cを備える。外周枠35の段差部36内で面一をなす段差面36A、中央リブ37と桟38の下面に、テフロン(登録商標)コート等の剥離容易コートを施し、これらの面に清掃シート44のシート状粘着材44Cを剥離容易に貼着する。これにより、清掃シート44は、シート状拭き材44Bの下面が清掃ヘッド30の被清掃面に接する下フレーム31Lの外周枠35の下面と面一をなすように、外周枠35の段差部36に着脱自在に設けられるものになる。清掃具10による清掃時に、ゴミ誘い面部42の下端エッジ42Aをすり抜けた被清掃面上の土ホコリ等の細かいゴミをシート状拭き材44Bにより拭き取る。また、清掃ロール50がゴミ誘い面部42との間に挟んで、側面開口部41からゴミ収容部40に投入したゴミは、シート状粘着材44Cにより保持される。
【0027】
清掃具10は、清掃ヘッド30(上フレーム31U)の左右の側壁の前側と後側のそれぞれに、前後の清掃ロール50(50F、50R)の両端部を枢支する。本実施形態では、清掃ロール50は、
図6に示す如く、硬質プラスチック、又はアルミパイプ等の金属からなるシャフトチューブ51の外周の全周、全長にスポンジロール52を被着し、このスポンジロール52の全長表面を例えば帯電しにくい筒状薄膜53で被覆した弾性ロールである。清掃ロール50は、ゴミ収容部40の側面開口部41を塞ぎ、被清掃面と接触する位置に回転可能に配置される。また清掃ロール50は、ゴミ誘い面部42に好ましくは接触する位置に回転可能に配置される。尚、
図9に示すように、清掃ロール50に食い込んだ被清掃面上の粒ゴミ等を、清掃ロール50の回転によりゴミ誘い面部42に誘い込み、更にゴミ誘い面部42上を挟圧して滑り上げた後、スポンジロール52の弾発力で側面開口部41からゴミ収容部40に投入することができれば、清掃ロール50はゴミ誘い面部42と一定の微小隙間を介して回転可能に配置しても良い。微小隙間の量は、捕集されるゴミの大きさにより適宜設定することができる。更に清掃ロール50は、シャフトチューブ51の両端開口に差し込み固定したキャップ54を有する。清掃ヘッド30の上フレーム31Uの左右の側壁に螺着固定された支軸55が、このキャップ54の中心孔に通され、清掃ロール50を清掃ヘッド30に枢支する。
【0028】
清掃ロール50は、
図8に示す如く、スポンジロール52に例えば熱収縮フィルムからなる上述の薄膜53を被せ、この薄膜53を熱収縮させてスポンジロール52の表面に密着させ、スポンジロール52を被覆するものになる。スポンジロール52の端面は、ホコリの付着防止のために、好適には薄膜53の端部により被覆され、又は薄膜53と同材質のサイドフィルムにより被覆される。スポンジロール52は好適には発泡ウレタンからなる。薄膜53は好適には熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる。スポンジロール52の硬度は、JIS K6400−2:2004(D法)の測定方法により測定され、好ましくは10N〜100N、より好ましくは15N〜70N、更に好ましくは15N〜60N、また更に好ましくは15N〜50N、より更に好ましくは15N〜40Nである。硬度が係る範囲であれば、清掃ロール50が被清掃面上の粒ゴミに乗り上げることなく、粒ゴミの形状に倣って変形することができ、付近の他のゴミも清掃ロール50に取り込むことができる。清掃ロール50が被清掃面上の粒ゴミに乗り上げてしまうと、被清掃面上との間に隙間が生じ、付近の他のゴミを清掃ロール50に取り込むことが困難となる場合がある。尚、本実施形態では硬度30Nのスポンジロールを使用している。また、前述の硬度はスポンジロール以外のロール材質(後述)にも適用することができる。一方、薄膜53のフィルム厚みは10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましく、10μm〜40μmが更に好ましく、20μm〜40μmがより更に好ましい。薄膜53のフィルム厚みが係る範囲であると、ゴミの形状に倣って変形することができ、スポンジロール52と一体となって変形することができる。また、清掃ロール50が被清掃面上の粒ゴミに乗り上げることなく、粒ゴミの形状に倣って変形することができ、付近の他のゴミも清掃ロール50に取り込むことができる。尚、本実施形態ではフィルム厚みが30μmの薄膜を使用している。また、前述の薄膜のフィルム厚みは、熱可塑性ポリウレタン樹脂以外の薄膜材質(後述)にも適用することができる。
【0029】
清掃ロール50の表面を被覆する薄膜53は、ロール表面へのゴミや汚れの付着を防止して該清掃ロール50の寿命を長くすることができる。また薄膜の種類によっては、該薄膜はロール表面の摩擦係数を低減させて該清掃ロール50の軸方向へのスライドを容易にし、清掃具10の操作性を向上させることができる。また、清掃ロール50が後述する粒子集積ロール又は繊維集積ロールからなるときには、薄膜53が該清掃ロール50をロール状に保形する役割も果たす。
【0030】
尚、スポンジロール表面に薄膜を被覆する方法として、上述の熱収縮フィルムを使用する他、スポンジロール表面に薄膜を形成するフィルムを巻き付けて端部同士を接着(接着剤による接着、熱接着等)する方法、スポンジロールを成形する際に薄膜を形成するフィルムをアウトサートする方法、スポンジロール表面に膜化する液剤を塗布する方法、帯電しにくい材料でスポンジロールを成形し、成形時にロール表面にスキン層を形成させる方法等がある。
【0031】
清掃ロール50は、
図6、
図8に示す如く、スポンジロール52を硬さの異なる複数のロール材52A、52Bからなるものとすることができる。スポンジロール52の両端側2位置に主となるロール材52A(例えば硬度30N)よりも硬いロール材52B(例えば硬度50N)を設けるとき、スポンジロール52の被清掃面への押付圧力を増し、被清掃面に対する清掃ロール50のグリップ力、ひいては摩擦回転力を向上するものになる。ロール材52Aだけで十分なグリップ力を確保できれば、ロール材52Bは不要である。
【0032】
尚、清掃ロール50が、硬さの異なる複数のロール材52A、52Bからなる場合において、後述の材質を適宜選択すれば薄膜53が必要とならない場合も有り得る。例えばロール材52Aが摩擦係数の低い無孔質材料からなり、ロール材52Bが摩擦係数の高い無孔質材料からなる場合には薄膜53が必要とならない場合も有り得る。
【0033】
清掃具10は、好ましくは被清掃面上に置かれた自由状態で、清掃ヘッド30が柄20を含む自重により清掃ロール50のスポンジロール52を被清掃面との間で押し潰し、清掃ヘッド30の下面(下フレーム31Lの外周枠35の下面)を被清掃面に当接させるものにする。これは、柄20を含む清掃ヘッド30の自重と、スポンジロール52の反発力の兼ね合いにより設定される。このとき、清掃ヘッド30の下面(下フレーム31Lの外周枠35の下面)と、外周枠35の下面により決定されるゴミ誘い面部42の下端エッジ42Aとは、同一水平面上に設定される。尚、清掃ヘッド30の下面(下フレーム31Lの外周枠35の下面)は、被清掃面上を滑り易くするように、テフロン(登録商標)処理等施されることが好ましい。
【0034】
従って、清掃具10によれば、以下の如くに清掃動作するものになる。尚、使用者が柄20により清掃ヘッド30を前方(
図3のF方向)に移動させるとき、前側の清掃ロール50Fが被清掃面に密着して転動しながら清掃動作を行ない、清掃ヘッド30を後方(
図3のR方向)に移動させるとき、後側の清掃ロール50Rが被清掃面に密着して転動しながら清掃動作を行なう。清掃ヘッド30の上下のフレーム31U、31Lの可及的全幅に渡って清掃ロール50、ゴミ誘い面部42、清掃シート44(拭き材44B)を存在させることにより、被清掃面を壁際まで清掃できる。
【0035】
(a)清掃ロール50は、
図9に示す如く、被清掃面上の粒ゴミ等を食い込ませるように薄膜53及びスポンジロール52を変形させ、食い込んだ粒ゴミ等を被清掃面上に押さえ込んだまま被清掃面上を転動し、その粒ゴミ等をゴミ誘い面部42の側へ運び込む。清掃ロール50に食い込んだ粒ゴミ等は、ゴミ誘い面部42に誘い込まれ、更にゴミ誘い面部42上を挟圧されて滑り上げられた後、スポンジロール52の弾発力で側面開口部41からゴミ収容部40に投入される。尚、
図9は説明の便宜上、清掃ロール50とゴミ誘い面部42と間に一定の微小隙間を設けているように描いているが、前述のように、清掃ロール50とゴミ誘い面部42とを接触させても良い。
【0036】
(b)清掃ロール50は、ゴミ誘い面部42の下端エッジ42Aによりすくい上げられた毛、綿ホコリ等を、ゴミ誘い面部42に誘い込み、更にゴミ誘い面部42上に挟圧して滑り上げた後、スポンジロール52の弾発力で側面開口部41からゴミ収容部40に投入される。
【0037】
(c)清掃ロール50は、スポンジロール52の表面を例えば帯電しにくい薄膜53で被覆されているから、土等の粒ゴミがスポンジの孔に取り込んでロール表面を汚れにくくすることができ、交換する頻度を低減できる。また、清掃ロール50はロール表面に毛、綿ホコリを捕捉したとき、これらを静電付着することがなく、側面開口部41からゴミ収容部40へと投入できる。
【0038】
(d)清掃ロール50はゴミ収容部40の側面開口部41を閉塞する。清掃具10を被清掃面から持ち上げたり、反転したとき、ゴミ収容部40に捕集されていた粒ゴミ等が側面開口部41から出て周囲に散逸することがない。
【0039】
(e)清掃ロール50は、自ら被清掃面上を転動しながら回転し、両端側に駆動車輪を伴なわない。従って、清掃具10の全幅に対して占める清掃ロール50による清掃範囲が広い。また、清掃ロール50は壁際近くまで入ることができ、壁際近くの清掃できない範囲を殆ど生じない。
【0040】
(f)清掃ヘッド30の被清掃面に接する下面にシート状拭き材44Bが設けられる。被清掃面上の土ホコリ等の細かいゴミは、ゴミ誘い面部42の下端エッジ42Aと被清掃面との隙間をすり抜けても、清掃ヘッド30の下面の拭き材44Bにより拭き取られる。
【0041】
(g)清掃ヘッド30が側面開口部41を備えるゴミ収容部40を有し、ゴミ収容部40の底面にシート状粘着材44Cが設けられる。ゴミ収容部40の底面に既に取り込んだ粒ゴミ、毛、綿ホコリ等を粘着材44Cにより保持する。清掃具10の移動に伴なう慣性力に対し、それらのゴミを保持する。例えば清掃具10の進行方向に対する逆方向に設けられている後方の清掃ロール50Rの回転により、それらのゴミが後方の側面開口部41Rから引きずり出されるのを防止する。
【0042】
(h)清掃ヘッド30の被清掃面に接する下面に清掃シート44が着脱自在に設けられ、清掃シート44の一面にシート状拭き材44Bを備え、他の面にシート状粘着材44Cを備える。1枚の清掃シート44を清掃ヘッド30の下面に貼着することにより、上述の拭き材44Bと粘着材44Cを設けることができる。ゴミ収容部40に捕集されたゴミは、清掃ヘッド30の下面から清掃シート44を剥離することにより、該清掃シート44の粘着材44Cに保持した状態で処分できる。
【0043】
(i)スポンジロール52が発泡ウレタンからなり、薄膜53が熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる場合には、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる薄膜53は耐突き刺し性に優れ、高導電性で帯電しにくいし、伸縮弾性があって粒ゴミの食い込みによるスポンジロール52の変形に良く追従できる。
【0044】
(j)スポンジロール52のロール材52Aが柔らか過ぎるとき、粒ゴミのロール材52Aへの食い込みによる捕捉性は良いが、フローリング等の被清掃面に対する反発力が小さく、清掃ロール50の回転に必要な摩擦回転力が得られない場合がある。そこで、スポンジロール52の例えば両端側2ヵ所等に硬いロール材52Bを設けることにより、このロール材52Bが被清掃面に対する大きな反発力を生じ、清掃ロール50を被清掃面上で安定的に転動できる。
【0045】
(k)清掃ヘッド30が自重によりスポンジロール52を被清掃面との間で押し潰し、該清掃ヘッド30の下面を被清掃面に当接させる。
【0046】
清掃具10の柄20を持った使用者が後退しながら清掃ヘッド30を後方移動させるとき、使用者の操作力が清掃ヘッド30を被清掃面から引き上げ気味になっても、清掃ヘッド30は自重でスポンジロール52を押し潰し、該清掃ヘッド30の下面を被清掃面に当接させて浮かせることがない。これにより、清掃ヘッド30の後方移動時にも、安定的に清掃できる。
【0047】
清掃具10の柄20を持った使用者がそのまわりに清掃ヘッド30をスイング移動(使用者を中心にした、左右往復の回転移動のこと)させるとき、使用者の操作力が清掃ヘッド30を被清掃面に押し付けなくても、清掃ヘッド30は自重でスポンジロール52を押し潰し、該清掃ヘッド30の下面を被清掃面に当接させて浮かせることがない。これにより、清掃ヘッド30のスイング移動時にも、安定的に清掃できる。
【0048】
使用者が清掃ヘッド30を被清掃面に押し付ける操作力が弱くても、強くても、スポンジロール52は一定のつぶれ量δ(
図3)(例えば1mm)を付与された状態で、被清掃面上を転動し、被清掃面上のゴミを安定的に捕捉する。
【0049】
(l)上述(k)において、清掃ヘッド30の下面とゴミ誘い面部42の下端エッジ42Aとが同一水平面上に設定される。従って、清掃ヘッド30の下面を被清掃面上に摺接させて移動するとき、ゴミ誘い面部42の下端エッジ42Aが必ず被清掃面上を滑り、清掃ロール50に食い込ませた粒ゴミ等をゴミ誘い面部42に安定的に誘い込み、或いは被清掃面上の毛、綿ホコリ等をゴミ誘い面部42に安定的に誘い込みできる。
【0050】
図10、
図11に示した清掃具10は、
図1〜
図9に示した清掃具10の変形例であり、清掃ロール50の表面に1条又は複数条の細長い形状を有するストリップ60をらせん状に巻き付けて接着剤等で適宜清掃ロール50の表面に固定し、薄膜53をストリップ60の上から清掃ロール50の表面に被覆したものである。ストリップ60の横断面は、
図12、
図13に示す如く、四角断面又は三角断面等を採用できる。
【0051】
清掃具10において、清掃ロール50はゴミ誘い面部42に当接せず、ストリップ60はゴミ誘い面部42に当接することが好ましい。即ち、清掃ロール50とゴミ誘い面部42との外周間に微小隙間を設けて、清掃ロール50の回転をスムースにさせるとともに、ストリップ60の表面をゴミ誘い面部42の外周に接触させる位置に配置することで、上記微小隙間より小さい大きさのゴミも、ストリップ60とゴミ誘い面部42の間に挟み込んで、ゴミを収集し、ゴミの捕集効率を向上させる。
図12は四角断面状ストリップ60の上面がゴミ誘い面部42との間にゴミを挟み込み、ストリップ60の前面がゴミを掻き上げる状態を示している。
図13は三角断面状ストリップ60の前面がゴミを掻き上げる状態を示している。
【0052】
清掃具10において、ストリップ60とゴミ誘い面部42の間でのゴミ挟み込み機構は、スポンジロール52の弾性変形を主に利用する機構であり、例えば金属製の円筒の表面にストリップ60を配置させただけでは、ストリップ60でゴミを跳ね飛ばすことはあっても、ゴミ誘い面部42との間での挟み込み機構とはなりにくい。
【0053】
清掃具10において、清掃ロール50の表面に設けるストリップ60をらせん状にしたことにより、ストリップ60をストレート状とするものに比して、清掃ロール50の回転中に、同一のストリップ60における長手方向の各部が一度にゴミ誘い面部42に当接せず、順にゴミ誘い面部42に当接して摺接するものになり、その摺接に起因する清掃ロール50の回転抵抗が小さくなって操作力を軽減できるし、清掃面上における清掃ロール50の転動性もスムースで静粛になる。清掃ロール50の表面に巻き付けられるストリップ60の巻き付き角、巻き付け条数の設定により、清掃ロール50上のストリップ60が必ず該清掃ロール50の軸方向の複数箇所で清掃面上に位置するものとし、これによって清掃ロール50の転動性のスムース等を図ることが好ましい。
【0054】
尚、本実施形態では、薄膜53をストリップ60の上から清掃ロール50の表面に被覆した清掃具10について説明したが、これに代えて、清掃ロール50の表面に薄膜53を被覆し、その上にストリップ60を適宜固定しても良い。
【0055】
ストリップ60は弾性体であることが好ましく、後述の清掃ロール50で用いられる材質を適宜使用することができる。ストリップ60と清掃ロール50との材質が同一の場合には、ストリップ60を接着剤等により清掃ロール50外周表面に固定する方法に代えて、切削加工、成形加工等の加工方法を用いてストリップ60と清掃ロール50を一体化することもできる。
【0056】
尚、ストリップ60と清掃ロール50で用いられる後述の材質を適宜選択すれば、薄膜53が必要とならない場合も有り得る。例えばストリップ60と清掃ロール50が摩擦係数の低い無孔質材料からなる場合には薄膜53が必要とならない場合も有り得る。
【0057】
以下、清掃ロール50と薄膜53の材質について説明する。
(清掃ロール50に用いられる材質の具体例)(
図14)
本発明に用いられる清掃ロール50は弾性ロールとして使用できる材質ならば適宜使用することができる。その具体的な材料としては、スポンジロールとして、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミンや熱可塑性エラストマー等、公知の樹脂材料を発泡させた合成発泡樹脂の他、カイメン等、天然のスポンジを用いることができる。機械加工ロールとして、例えば無発泡の均質なゴムロールに、工作機械で定形又は不定形の空間を多数形成したものを用いることができる。繊維集積ロールとして、薄い不織布を丸めたものや、厚い不織布を円筒状に加工して得たロールの他、可撓性チューブに詰め綿(wadding)をしたもの等を用いることができる。また可撓性チューブは(請求項記載の)薄膜を兼ねても良い。粒子集積ロールとして、発泡スチロールビーズ等の合成樹脂製の弾性がある粒子や短く裁断された弾性があるパイプ等を可撓性チューブに詰めたものを用いることができる。可撓性チューブは(請求項記載の)薄膜を兼ねても良い。粒子の大きさは3mm以下が好ましく、更に好ましくは1mm以下である。
【0058】
無孔質ロールの材料として天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等のエラストマー材料及びゲル等が挙げられる。天然ゴムロールとして、ゴムノキより得られた樹液を架橋されて得られたものを用いることができる。合成ゴムロールとして、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムや、公知の高分子材料にポリエーテル構造やポリエステル構造等を導入して得られる合成ゴムを用いることができる。熱可塑性エラストマーロールとして、ウレタン系やスチレン系やオレフィン系等の公知の熱可塑性エラストマーを用いることができる。ゲルロールとして、シリコーンゲル等を用いることができる。
【0059】
清掃ロール50はこれら材料又はその他の材料と複合して構成されても良い。複合の様式には、積層、混合が挙げられる。混合にあって、溶融した材料を混合しても、微粒子化された一方の材料を他方の材料に分散させても良い。また、その他の材料としては公知の高分子材料が好適である。
【0060】
清掃ロール50の柔らかさの制御安定性、加工性、コスト等の点から、好ましくは、合成樹脂スポンジであり、更に好ましくはウレタンスポンジである。
【0061】
(薄膜53に用いられる材質の具体例)
本発明において薄膜53に用いられる具体的な材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンやエチレン酢酸ビニル共重合体やエチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル樹脂、セロハンやアセテート等のセルロース樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリメタクリル酸メチルやポリアクリロニトリル等のアクリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ウレタン系やスチレン系やオレフィン系等の熱可塑性エラストマーの他、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリブタジエン、ポリウレタン、シリコーン等が挙げられる。
【0062】
これら高分子材料は、ブレンドされポリマーアロイとして用いられても良い。また、積層フィルムとして用いられても良い。また、電子線や紫外線等、公知の方法によって架橋された樹脂でも良い。
【0063】
好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ウレタン系及びスチレン系熱可塑性エラストマー、ナイロンが挙げられる。更に好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0064】
使用時にフィルムが帯電することでダストの捕集性能を阻害しないため、帯電が抑制された材料が好ましい。具体的には、市販の帯電防止剤が配合された樹脂を用いる他、アセチレンブラックやカーボンナノチューブ等のカーボン系導電性フィラー、銀や銅やニッケル等の金属系導電性フィラーを練り込んだ樹脂を用いる、アルミニウム等の金属箔を積層した、又は金属蒸着層を有するフィルムを用いる等、公知の方法を用いることができる。
【0065】
清掃ロール50と薄膜53の材質は同じであっても良い(例:清掃ロール50が発泡ウレタン製のスポンジロールの場合には、薄膜53はスポンジのスキン層であっても良い。)
【0066】
上述した各実施形態に関し、本発明は更に以下の清掃具を開示する。
<1>清掃ヘッドに少なくとも1つの側面開口部と清掃ロールを有する清掃具であって、
側面開口部の下端沿いには、被清掃面から側面開口部へとゴミを導くゴミ誘い面部が設けられ、
清掃ロールは、表面を薄膜で被覆した弾性ロールからなるとともに、側面開口部を塞ぎ、被清掃面と接触する位置に回転可能に配置されてなり、
清掃ヘッドの移動に伴なって回転する清掃ロールが、被清掃面との間にゴミを押えながら、該ゴミをゴミ誘い面部から側面開口部に取り込む清掃具。
【0067】
<2>好ましくは前記清掃ヘッドの被清掃面に接する下面にシート状拭き材が設けられてなる前記<1>に記載の清掃具。
【0068】
<3>好ましくは前記清掃ヘッドが側面開口部を備えるゴミ収容部を有し、ゴミ収容部の底面にシート状粘着材が設けられてなる前記<1>又は<2>に記載の清掃具。
【0069】
<4>好ましくは前記清掃ヘッドの被清掃面に接し得る下面に清掃シートが着脱自在に設けられ、清掃シートの一面にシート状拭き材を備え、他の面にシート状粘着材を備える前記<3>に記載の清掃具。
【0070】
<5>好ましくは前記清掃ヘッドが自重により清掃ロールを被清掃面との間で押し潰し、該清掃ヘッドの下面を被清掃面に当接させる前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の清掃具。
【0071】
<6>好ましくは前記清掃ヘッドの下面とゴミ誘い面部の下端エッジとが同一水平面上に設定される前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の清掃具。
【0072】
<7>好ましくは前記清掃ロールの表面にらせん状の細長いストリップが設けられ、前記薄膜を該ストリップの上から該清掃ロールの表面に被覆してなる、又は前記薄膜が被覆された前記清掃ロールの表面にらせん状の細長いストリップが設けられている前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の清掃具。
【0073】
<8>好ましくは前記清掃ロールがゴミ誘い面部に当接せず、前記ストリップがゴミ誘い面部に当接する前記<7>に記載の清掃具。
【0074】
<9>好ましくは前記清掃ロールが硬さの異なる複数のロール材からなる前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の清掃具。
【0075】
<10>好ましくは前記清掃ロールがスポンジロールからなる前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の清掃具。
【0076】
<11>好ましくは前記スポンジロールが発泡ウレタンからなり、薄膜が熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる前記<10>に記載の清掃具。
【0077】
<12>好ましくは前記清掃ヘッドは上フレームと下フレームの結合体からなり、下フレームには、複数本の互いに平行をなす三角断面の桟が備えられている前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の清掃具。
【0078】
<13>好ましくは前記上フレームと下フレームの間に前記ゴミ収容部が形成されている前記<12>に記載の清掃具。
【0079】
<14>好ましくは前記下フレームの外側面が前記ゴミ誘い面部となる<12>又は<13>に記載の清掃具。
【0080】
<15>好ましくは前記ゴミ誘い面部の下端エッジが鋭角をなしている前記<6>に記載の清掃具。
【0081】
<16>好ましくは前記ゴミ誘い面部の上端エッジが鋭角をなしている前記<1>〜<15>のいずれか1に記載の清掃具。
【0082】
<17>好ましくは前記清掃ロールの硬度が10N〜100N(JIS K6400−2:2004(D法)の測定方法による測定値)である前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の清掃具。
【0083】
<18>好ましくは前記清掃ロールの硬度が15N〜70N(JIS K6400−2:2004(D法)の測定方法による測定値)である前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の清掃具。
【0084】
<19>好ましくは前記清掃ロールの硬度が15N〜60N(JIS K6400−2:2004(D法)の測定方法による測定値)である前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の清掃具。
【0085】
<20>好ましくは前記清掃ロールの硬度が15N〜50N(JIS K6400−2:2004(D法)の測定方法による測定値)である前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の清掃具。
【0086】
<21>好ましくは前記清掃ロールの硬度が15N〜40N(JIS K6400−2:2004(D法)の測定方法による測定値)である前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の清掃具。
【0087】
<22>好ましくは前記薄膜のフィルム厚みが10μm〜100μmである前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の清掃具。
【0088】
<23>好ましくは前記薄膜のフィルム厚みが10μm〜50μmである前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の清掃具。
【0089】
<24>好ましくは前記薄膜のフィルム厚みが10μm〜40μmである前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の清掃具。
【0090】
<25>好ましくは前記薄膜のフィルム厚みが20μm〜40μmである前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の清掃具。
【0091】
<26>好ましくは前記清掃ロールは、使用者の操作力により自ら被清掃面上を転動しながら回転し、その両端側に駆動車輪を伴なわない前記<1>〜<25>のいずれか1に記載の清掃具。
【0092】
<27>清掃ヘッドに少なくとも1つの側面開口部と清掃ロールを有する清掃具であって、
側面開口部の下端沿いには、被清掃面から側面開口部へとゴミを導くゴミ誘い面部が設けられ、
清掃ロールは、弾性ロールからなるとともに、側面開口部を塞ぎ、被清掃面と接触する位置に回転可能に配置されてなり、
清掃ロールが硬さの異なる複数のロール材からなり、
清掃ヘッドの移動に伴なって回転する清掃ロールが、被清掃面との間にゴミを押えながら、該ゴミをゴミ誘い面部から側面開口部に取り込む清掃具。
【0093】
<28>好ましくは前記清掃ロールの両端側に主となるロール材よりも硬いロール材が設けられている前記<27>に記載の清掃具。
【0094】
<29>清掃ヘッドに少なくとも1つの側面開口部と清掃ロールを有する清掃具であって、
側面開口部の下端沿いには、被清掃面から側面開口部へとゴミを導くゴミ誘い面部が設けられ、
清掃ロールは、弾性ロールからなるとともに、側面開口部を塞ぎ、被清掃面と接触する位置に回転可能に配置されてなり、
前記清掃ロールの表面にらせん状の細長いストリップが設けられ、
清掃ヘッドの移動に伴なって回転する清掃ロールが、被清掃面との間にゴミを押えながら、該ゴミをゴミ誘い面部から側面開口部に取り込む清掃具。
【0095】
<30>好ましくは前記清掃ロールがゴミ誘い面部に当接せず、前記ストリップがゴミ誘い面部に当接する前記<29>に記載の清掃具。