(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応剤が、1当量のエポキシに対して0.1〜0.8モルのリン酸、ならびに1当量のエポキシあたり0.01〜0.4モルのホスホン酸および/または有機ホスフィン酸を含む、請求項2に記載の系。
前記硫黄官能性アゾールは、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、および/またはメルカプトアリールチアゾールを含む、請求項6に記載の系。
前記混合物は、1当量のエポキシに対して0.1〜0.8モルのリン酸、ならびに1当量のエポキシあたり、0.01〜0.4モルのホスホン酸および/または有機ホスフィン酸を含む、請求項12に記載の分散物。
前記硫黄官能性アゾールは、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、および/またはメルカプトアリールチアゾールを含む、請求項11に記載の分散物。
水性樹脂状分散物に浸漬されたアノードおよびカソードを備える電気回路中でアノードとして機能する電気伝導性基材をエレクトロコーティングする方法であって、該方法は、
該アノードおよび該カソードの間に電流を流し、樹脂状組成物を該アノード上に堆積させることを含み、
該分散物は、
アミノプラストおよび/またはフェノールプラストを含む硬化剤、ならびに
(a)ポリエポキシド;
(b)硫黄官能性アゾールであって、1当量のエポキシに対して0.01〜0.25モルのチオールの量で存在する、硫黄官能性アゾール;および
(c)リン酸、有機ホスホン酸および/または有機ホスフィン酸を含む混合物
を含む反応剤から形成された反応生成物を含むアニオン性樹脂を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の実施形態の詳細な説明
以下の詳細な記載のために、明らかな反対の記載がない限り、本発明では、種々の代わりとなる改変および工程順序が推定されてもよいことが理解されるべきである。さらに、作業実施例におけるもの以外、または特に指示のない場合、例えば、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量をあらわすあらゆる数は、すべての場合に「約」という用語で修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書および添付する特許請求の範囲に記載される数値パラメータは概算値であり、本発明によって得られるべき望ましい特性によって変わってもよい。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとする意図はなく、それぞれの数値パラメータは、少なくとも報告されている有効桁数の観点で、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0009】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは概算値であるが、具体的な実施例に記載する数値範囲は、可能な限り正確に報告される。しかし、いかなる数値も、それぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0010】
さらに、本明細書で引用する任意の数値範囲は、その範囲に包含されるあらゆる部分的な範囲を含むことを意図していると理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、引用されている最小値である1、および引用されている最大値である10の間の(ならびに1および10を含む)すべての部分範囲、すなわち、最小値が1に等しいか1より大きく、最大値が10に等しいか10より小さいすべての部分範囲を含むことを意図している。
【0011】
上に示すように、本発明の特定の実施形態は、コーティング/シーラント系に関する。本明細書で使用する場合、「コーティング/シーラント系」という用語は、コーティングの層、およびコーティングの少なくとも一部にわたって堆積したシーラントを含む組み合わせを指す。本明細書で使用する場合、「コーティング」という用語は、基材に支えられた実質的に連続したポリマー層を指し、均一な厚みであってもよく、均一な厚みでなくてもよい。本明細書で使用する場合、「シーラント」という用語は、開口部(例えば、2つの部分の界面によって形成された接合部または空間)に適用されたときに、大気条件、例えば、水分および温度に耐える能力を有し、開口部で生じ得る材料(例えば、水、燃料ならびに/または他の液体および気体)の透過を少なくとも部分的に遮断する固体エラストマーを指す。したがって、シーラントはある構成部分の周辺端部表面に適用されることが多く、それはこのような部分へ、またはこのような部分からの材料の移動を妨げる目的のためである。特定の実施形態では、本発明のコーティング/シーラント系は、宇宙空間用燃料タンクで有用である。したがって、本発明の特定の実施形態では、シーラントは、「耐燃料性」であり、耐燃料性とは、本明細書で使用する場合、ASTM D792またはAMS 3269a(本明細書に参考として組み込まれる)に記載される方法と同様の方法に従って、1型ジェットリファレンス流体(jet reference fluid(JRF))に140°F(60℃)および周囲圧力(1気圧)で1週間浸漬した後に、体積膨潤率が40%以下であり、いくつかの場合には25%以下であり、いくつかの場合には20%以下である硬化したシーラントを指す。1型ジェットリファレンス流体JRFは、耐燃料性を決定するために本明細書で使用される場合、以下の組成を有する(1989年7月1日に発行されたAMS 2629を参照)、§3.1.1以下参照、SAE(Society of Automotive Engineers、ワレンデール、PA)から入手可能(本明細書に参考として組み込まれる):
トルエン 28±1体積%
シクロヘキサン(工業用) 34±1体積%
イソオクタン 38±1体積%
三級ジブチルジスルフィド 1±0.005体積%
(ドクタースイート(doctor sweet))。
【0012】
本発明のコーティング/シーラント系を、任意の種々の基材の上に堆積させることができる。しかし、特定の実施形態では、チタン、ステンレス鋼、アルミニウムを含む基材の場合、および電気伝導性コンポジット材料、例えば、十分な量の伝導性フィラー(例えばカーボンブラック)を含むポリマー系材料の場合のように、基材は電気伝導性である。理解されるように、基材がその電気伝導性を維持している限り、基材は場合により腐食抑制処理、例えば、変換コーティング組成物(例えば、米国特許公開第2010−0243108 A1号の[0014]〜[0019]に記載されるもの、この引用部分は本明細書に参考として組み込まれる)の陽極処理または堆積で前処理することができる。いくつかの実施形態では、基材は、本発明のコーティング/シーラント系を適用する前に、洗浄され、脱酸素されるだけである。このような洗浄および脱酸素は、上述の米国特許公開第2010−0243108号の[0014]〜[0017]に記載されている。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、基材は、航空機の構成部品、例えば、翼、機体、または尾翼組立て物の形態で具現化される。さらに具体的には、基材は、任意の種々の航空機部品、例えば、補助翼、翼の縁(前部または後部)またはスパー、スラット、スポイラー、フラップ、舵、フィン、水平安定板、昇降舵、尾部、管、シートトラック、フロアトラック、支柱、縦通材、外板、リブ、隔壁、車輪、ストリンガー、ヘリコプター回転ブレード(スパーおよび外側表面を含む)、または任意の種々のフランジ、ヒンジ、クリップ、および固定具、例えば、部品を一緒に接続するリベット、ボルト、ナットとして具現化されてもよい。
【0014】
先に示したように、本発明のコーティング/シーラント系は、リン酸化エポキシ樹脂を有する反応剤から形成された反応生成物を含むコーティングを含む。本明細書で使用する場合、「リン酸化エポキシ樹脂」という用語は、少なくともポリエポキシドおよび亜リン酸から誘導されるゲル化していない樹脂を指す。
【0015】
適切なポリエポキシドとしては、1分子あたり1.0個より多いエポキシ基を有する任意の化合物または化合物の混合物を含む。数種類のポリエポキシドが当該技術分野で公知である。ポリエポキシドの例は、Handbook of Epoxy Resins、Lee and Neville、1967、McGraw−Hill Book Company中に見つけることができる。
【0016】
本発明の特定の実施形態では、ポリエポキシドは、ポリフェノール(例えば、ビスフェノールA)のポリグリシジルエーテルを含む。理解されるように、このようなポリエポキシドは、アルカリ存在下、エピクロロヒドリンによるポリフェノールのエーテル化によって製造することができる。適切なポリフェノールとしては、限定されないが、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ三級ブチルフェニル)プロパン;ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン;1,5−ジヒドロキシナフタレン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)エタン;および4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸が挙げられる。別の有用なクラスのポリエポキシドは、ポリフェノール樹脂から同様に製造される。
【0017】
上述のポリエポキシドに加え、ペンダントエポキシ基を含む付加重合ポリマーを使用することもできる。このようなポリマーは、少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和モノマーがエポキシ含有モノマーである(例えば、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレート)、種々の重合可能なエチレン性不飽和モノマーを共重合させることによって作ることができる。
【0018】
エポキシ基と反応する基を含有しない適切なエチレン性不飽和モノマーを、コモノマーとして使用することができる。このようなモノマーの例としては、α,β−エチレン性不飽和モノマー、例えば、1〜約8個の炭素原子を含む飽和アルコールの不飽和カルボン酸エステル、ならびにモノビニル芳香族モノマー(例えば、スチレンおよびビニルトルエン)が挙げられる。
【0019】
特定の実施形態では、ポリエポキシドは、エポキシ当量が172〜5000、例えば、300〜1000である。
【0020】
ポリエポキシドに加え、反応混合物は、モノマー性モノエポキシド、例えば、アルコールのモノグリシジルエーテルおよびフェノールのモノグリシジルエーテル、例えば、フェニルグリシジルエーテル、ならびにモノカルボン酸のグリシジルエステル、例えば、グリシジルネオデカノエートを含有し得る。
【0021】
特定の実施形態では、ポリエポキシドと反応する亜リン酸は、例えば、100%のオルトリン酸またはリン酸水溶液(例えば、85%リン酸と呼ばれる)のようなリン酸を含む。超リン酸(superphosphoric acid)、ジリン酸およびトリリン酸といった他の形態のリン酸も本明細書で使用することができる。さらに、リン酸の重合性または部分的な酸無水物を使用することができる。いくつかの実施形態では、約70〜90%、好ましくは約85%のリン酸であるリン酸水溶液を使用する。
【0022】
いくつかの実施形態では、ポリエポキシドと反応する亜リン酸は、本質的にリン酸からなる。言い換えると、これらの実施形態では、リン酸は、ポリエポキシドと反応する亜リン酸の合計モル数に対して、少なくとも98モル%、少なくとも99%モル%、またはいくつかの場合には100モル%の量で存在する。
【0023】
あるいは、リン酸に加えて、またはリン酸の代わりに、ホスホン酸および/またはホスフィン酸をポリエポキシドと反応させることができる。ホスホン酸の例は、以下の構造:
【0025】
(式中、Rは、有機基、例えば、合計で1〜30個、例えば、6〜18個の炭素を有する有機基である)
の有機ホスホン酸である。Rは、脂肪族、芳香族または混合した脂肪族/芳香族であり得、また非置換炭化水素または置換炭化水素であり得る。
【0028】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素または有機基である)
の有機ホスフィン酸である。このような基の例は、合計で1〜30個、例えば、6〜18個の炭素を有する基である。ホスフィン酸(R、R’)の有機成分は、脂肪族、芳香族、または混合した脂肪族/芳香族であり得る。RおよびR’は、非置換炭化水素または置換炭化水素であり得る。
【0029】
代表的な適切な有機ホスホン酸および有機ホスフィン酸は、3−アミノプロピルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、ブチルホスホン酸、カルボキシエチルホスホン酸、ジフェニルホスフィン酸、ドデシルホスホン酸、エチリデンジホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、メチルベンジルホスフィン酸、ナフチルメチルホスフィン酸、オクタデシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、メチルフェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、スチレンホスホン酸、ドデシルビス−1,12−ホスホン酸、ポリ(エチレングリコール)ホスホン酸であり、これらの混合物を含む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、亜リン酸は、(a)リン酸;ならびに(b)有機ホスホン酸および/または有機ホスフィン酸の混合物を含む。これらの実施形態では、理解されるように、得られるリン酸化エポキシ樹脂は、(i)ポリエポキシド;(ii)リン酸;ならびに(iii)有機ホスホン酸および/または有機ホスフィン酸を含む反応剤から形成された反応生成物の混合物を含む。理解されるように、このような反応生成物の混合物は、リン酸化部分がリン酸のみから誘導されるリン酸化エポキシ樹脂、リン酸化部分が有機ホスホン酸および/もしくは有機ホスフィン酸のみから誘導されるリン酸化エポキシ樹脂、ならびに/またはリン酸化部分がリン酸および/もしくは有機ホスホン酸および/もしくは有機ホスフィン酸の両方から誘導されるリン酸化エポキシ樹脂を含んでいてもよい。特定の実施形態では、互いに反応するポリエポキシドとリンの酸(phosphorus acid)の相対量は、1当量のエポキシに対し、リン酸が0.1〜0.8モル、有機ホスホン酸および/または有機ホスフィン酸が0.01〜0.4モルであり、リン酸と有機ホスホン酸および/または有機ホスフィン酸のモル比は、1:0.01〜0.5の範囲である。リン酸化エポキシ樹脂は、多くは、樹脂の固形分を基準として、酸価が10〜60、例えば、15〜50である。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、リン酸化エポキシ樹脂を製造するために使用された反応剤は、硫黄官能性アゾールをさらに含む。本明細書で使用する場合、「アゾール」は、複素環に2個の二重結合、窒素原子、炭素原子以外の少なくとも1個(例えば、別の窒素原子、酸素原子または硫黄原子)、および1個以上の炭素原子を含む5員複素環化合物を意味する。アゾールの例としては、限定されないが、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、およびチアトリアゾールが挙げられる。本明細書で使用する場合、「硫黄官能性アゾール」は、アゾール環の外側に少なくとも1個の硫黄原子を含むアゾールを意味する。
【0032】
特定の実施形態では、硫黄官能性アゾールは、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、および/またはメルカプトアリールチアゾールを含む。
【0033】
さらに具体的には、特定の実施形態では、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、またはメルカプトアリールチアゾールは、構造(I)または(II):
【0035】
(式中、(i)Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し;(ii)Rは、ヒドロキシル、水素、アリール、アルキル、アラルキルまたはハロゲン原子を表し;そして(iii)nは、0〜4の整数である)
によって表されるか、またはその互変異性体である。
【0036】
本発明で使用するのに適した構造(I)の化合物の具体例としては、メルカプトベンゾイミダゾール、メルカプトメチルベンゾイミダゾール、メルカプトヒドロキシベンゾイミダゾール、メルカプトヨードベンゾイミダゾール、メルカプトクロロベンゾイミダゾール、メルカプトテトラヒドロキシブチルフェニルイミダゾール、メルカプトベンゾオキサゾール、メルカプトメチルベンゾオキサゾール、メルカプトヒドロキシベンゾオキサゾール、メルカプトヨードベンゾオキサゾール、メルカプトクロロベンゾオキサゾール、メルカプトテトラヒドロキシブチルフェニルオキサゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトメチルベンゾチアゾール、メルカプトヒドロキシベンゾチアゾール、メルカプトヨードベンゾチアゾール、メルカプトクロロベンゾチアゾール、メルカプトテトラヒドロキシブチルフェニルチアゾール、メルカプトヒドロキシベンゾチアゾールなどが挙げられ、これらの混合物を含む。
【0037】
本発明で使用するのに適した構造(II)の化合物の具体例としては、メルカプトナフトイミダゾール、メルカプトクロロナフトイミダゾール、メルカプトヒドロキシナフトイミダゾール、メルカプトメチルナフトイミダゾール、メルカプトナフトチアゾール、メルカプトヨードナフトチアゾール、メルカプトヒドロキシナフトチアゾール、メルカプトメチルナフトチアゾールなどが挙げられ、これらの混合物を含む。このような化合物は、米国特許第5,498,502号の第4欄、8〜40行に開示されており、この引用部分は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0038】
複素環に3個以上の窒素原子を含有する硫黄官能性アゾール(すなわち、トリアゾールおよびテトラゾール)も適している。いくつかの実施形態では、硫黄官能性アゾールは、式(III):
【0040】
(式中、Rは、有機基、例えば、合計で1〜30個、例えば、1〜18個、または6〜18個、または1〜6個の炭素原子を有する有機基を表す)
の硫黄官能性テトラゾールを含む。Rは、脂肪族、芳香族または混合した脂肪族/芳香族であり得、非置換炭化水素または置換炭化水素であり得る。
【0041】
式(III)のこのような化合物の具体例は、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、1−エチル−5−メルカプトテトラゾール、1−シクロプロピル−5−メルカプトテトラゾール、1−アリル−5−メルカプトテトラゾール、1−ベンジル−5−メルカプトテトラゾール、1−(2−メトキシエチル)−5−メルカプトテトラゾール、およびフェニル−1H−テトラゾール5−チオールである。
【0042】
硫黄官能性トリアゾールの例としては、5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、3−メルカプト−1,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、および5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール−3−酢酸、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、および3,5−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールが挙げられる。
【0043】
硫黄官能性オキサゾールの例としては、2−メルカプトオキサゾロ[4,5]ピリジン;2−メルカプトオキサゾール、5−ニトロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール;5−クロロ−メルカプトオキサゾール;2−メルカプト−5−フェニルオキサゾール;2−メルカプト−4,5−ジメチルオキサゾール;2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール;6−アミノ−メルカプトベンゾオキサゾール;2−メルカプトベンゾオキサゾール;2−チオキソ−4−オキサゾリジノンが挙げられる。
【0044】
硫黄官能性チアゾールの例としては、2−メルカプトチアゾール;4,5−ジフェニル−2−メルカプトチアゾール;4−メチル−2−メルカプトールチアゾール(4−methy−2−mercaptolthiazole);4,5−ジメチル−2−メルカプトチアゾール;チオ−ローダニン;2−メルカプト−4−フェニルチアゾール;5−チオローダニン酢酸;ローダニン酸が挙げられる。
【0045】
硫黄官能性チアジアゾールの例としては、5−エチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール;5−フェニルメチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール;5−アミノメチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール;2−スルホンアミド−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール;5−(プロピルチオ)−2−メルカプト−1、3,4−チアジアゾール;2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール;5,5チオビス(1,3,4−チアジアゾール−2−チオール);5−フェニル2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール;5−アミノ−1,3,4チアジアゾール−2−チオールが挙げられる。
【0046】
特定の実施形態では、互いに反応するポリエポキシドと硫黄官能性アゾールの相対量は、1当量のエポキシに対し、チオールが0.01〜0.25モルである。
【0047】
特定の実施形態では、上述の反応剤に加え、リン酸化エポキシ樹脂を製造するために用いられた反応剤は、エポキシ基と反応する2個の官能基、例えば、数例を挙げると、ジオール、ジフェノール(ビスフェノールAを含む)、ジカルボン酸、ジチオール、および/またはジアミンを有する化合物をさらに含んでいてもよい。
【0048】
本明細書に記載するリン酸化エポキシ樹脂を調製するのに適した方法を実施例によって説明する。いくつかの場合には、硫黄官能性アゾールを、まずポリエポキシドと反応させ、得られた反応生成物をリンの酸(phosphorus acid)と反応させる。このような反応は、多くは、実施例に記載されるように有機溶媒中で行われる。
【0049】
本発明の特定の実施形態では、リン酸化エポキシ樹脂は、主に、または主要成分として水を含む連続媒体中に、リン酸化エポキシ樹脂の水性分散物の形態で存在する。例えば、特定の実施形態では、連続相は、連続媒体の合計重量に対して、少なくとも80重量%の水である。特定の実施形態では、水性分散物中に存在する有機溶媒の量は、20重量%未満、例えば10重量%未満、またはいくつかの場合には、5重量%未満、さらに他の場合には、2重量%未満であり、重量%は、連続相の合計重量を基準としている。
【0050】
分散されるリン酸化エポキシ樹脂を水系連続媒体に適用する際、塩基で中和する。適切な塩基は、有機塩基と無機塩基の両方を含む。適切な塩基の具体例は、アンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリアルキルアミン、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミンおよびシクロヘキシルアミン;モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミンおよびジエチルエタノールアミン;モルホリン、例えば、N−メチルモルホリンまたはN−エチルモルホリンである。中和率は、樹脂を水分散可能にし、電気泳動可能な率である。典型的には、樹脂は、20〜200%、40〜150%、例えば、60〜120%の中和であるように少なくとも部分的に中和される。
【0051】
結果として、本発明の特定の実施形態は、塩基で中和した樹脂状組成物を含む水性樹脂状分散物に関し、この樹脂状組成物は、(a)ポリエポキシド;(b)硫黄官能性アゾール;および(c)亜リン酸を含む反応剤の反応生成物を含むゲル化していないリン酸化エポキシ樹脂を含む。
【0052】
先に示したように、本発明のコーティング/シーラント系では、コーティングは、リン酸化エポキシ樹脂(例えば、上述のいずれか);および(ii)硬化剤を含む反応剤の硬化された反応生成物を含む。したがって、上述の水性樹脂状分散物の特定の実施形態は、さらに硬化剤を含む。
【0053】
適切な硬化剤としては、必ずしも限定されないが、アミノプラスト樹脂およびフェノールプラスト樹脂が挙げられる。適切なアミノプラスト樹脂は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、およびベンズアルデヒド)と、アミノ基またはアミド基を含有する材料(例えば、尿素、メラミン、およびベンゾグアナミン)の縮合生成物である。アルコールおよびホルムアルデヒドと、メラミン、尿素およびベンゾグアナミンとの反応から得られた生成物を使用することが多い。
【0054】
有用なアミノプラスト樹脂の具体的ではあるが非限定的な例は、Cytec Industries製の商標名CYMELおよびSolutia Inc.製のRESIMENEで入手可能なものである。具体例は、CYMEL 1130および1156、ならびにRESIMENE 750および753である。
【0055】
(a)リン酸化エポキシ樹脂と(b)硬化剤の相対量は、(a)と(b)の固形分の重量に対して、50〜90重量%、例えば、60〜75重量%のリン酸化エポキシ樹脂と、10〜50重量%、例えば、25〜40重量%の硬化剤である。本発明のいくつかの実施形態では、リン酸化エポキシ樹脂は、コーティングを形成する液体組成物の樹脂固形分の合計重量に対して、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%の量で存在する。
【0056】
最終的なコーティング組成物を調製するとき、上述の成分を任意の従来の様式で、水中で混合し得る。典型的なコーティング添加剤(例えば、顔料、フィラー、腐食防止剤、酸化防止剤、流動制御剤、界面活性剤など)も使用することができる。
【0057】
適切な腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、および2−アミノチアゾールである。他の適切な腐食防止剤としては、限定されないが、リン酸亜鉛、例えば、オルトリン酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム一水和物、カルシウムイオン交換シリカ、コロイド状シリカ、合成アモルファスシリカ、およびモリブデート、例えば、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸バリウム、モリブデン酸ストロンチウム、およびこれらの混合物が挙げられる。適切なカルシウムイオン交換シリカは、W.R.Grace & Co.からSHIELDEX(登録商標)AC3および/またはSHIELDEX(登録商標)C303として市販されている。適切なアモルファスシリカは、W.R.Grace & Co.からSYLOID(登録商標)の商標名で入手可能である。適切なリン酸亜鉛は、HeubachからHEUCOPHOS ZP−10として市販されている。
【0058】
クロムを含有する腐食防止剤も適している。このような腐食防止剤の例は、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム、クロム酸ストロンチウムおよび/またはクロム酸バリウムである。
【0059】
特定の実施形態では、腐食防止剤が、存在する場合には水性分散物中に、水性分散物の合計重量に対して、0.001%、例えば、0.001〜10重量%と少ない量で存在する。この組成物は、多くは、固形分含有量が5〜25%、例えば、5〜15%である。
【0060】
特定の実施形態では、コーティングは、アニオン電着プロセスによって基材の上に堆積される。このようなプロセスでは、アノードおよびカソードを備える電気回路中でアノードとして機能する電気伝導性基材(例えば、すでに記載したもののいずれか)を、上述の種類の塩基で中和した樹脂状組成物を含む水性樹脂状分散物に浸漬する。アノードおよびカソードの間に電流を流して、樹脂状組成物をアノードの上に堆積させる。
【0061】
電着浴は、多くは、操作時の浴伝導率が200〜3000マイクロモー/センチメートル、例えば、500〜1500マイクロモー/センチメートルである。浴中でコーティングされる基材の滞留時間は、多くは、30〜120秒である。
【0062】
エレクトロコーティングの後、基材を取り出し、次いで、硬化させるのに十分な温度および時間にわたって、オーブン中で焼き付けする。多くは、コーティングされた基材を、225°Fまたは225°Fより下、例えば、200°Fまたは200°Fより下の温度で20〜60分間焼き付けする。いくつかの場合には、基材を180°Fで20分間硬化させ、硬質で耐溶媒性であり、かつ非粘着性の膜を製造する。所望な場合、エレクトロコーティングした基材を、より高い温度(例えば350°F)で焼き付けし得る。
【0063】
先に示したように、本発明のコーティング/シーラント系は、コーティングの少なくとも一部の上に堆積したシーラントを含む。本発明のこれらの実施形態では、硫黄含有ポリマーを含む組成物からシーラントを堆積させる。本明細書で使用する場合、「硫黄含有ポリマー」という用語は、少なくとも1個の硫黄原子を有する任意のポリマーを指す。
【0064】
特定の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィドを含む。実際に、驚くべきことに、ポリスルフィドを含む組成物から形成されたシーラントが、塩基で中和した樹脂状組成物を含む水性樹脂状分散物から形成された特定のコーティングに対して特に良好に接着することができることを発見し、樹脂状組成物は、上述のように、(a)ポリエポキシド;(b)硫黄官能性アゾール;および(c)亜リン酸を含む反応剤の反応生成物を含むゲル化していないリン酸化エポキシ樹脂を含む。
【0065】
本明細書で使用する場合、「ポリスルフィド」という用語は、ポリマー骨格中および/またはポリマー鎖の末端位置もしくはペンダント位置に1個以上のジスルフィド結合、すなわち、−[S−S]−結合を含有するポリマーを指す。多くは、ポリスルフィドポリマーは、2個以上の硫黄−硫黄結合を有するものである。適切なポリスルフィドは、Akzo NobelからTHIOPLASTの名称で市販される。THIOPLAST製品は、例えば、1100未満から8000超の広範囲の分子量のものが入手可能であり、分子量は、グラム/モルの単位での平均分子量である。いくつかの場合には、ポリスルフィドは、数平均分子量が1,000〜4,000である。これらの製品の架橋密度も、使用する架橋剤の量に依存してさまざまである。これらの製品の「−SH」含有量、すなわち、メルカプタン含有量もさまざまに変えることができる。ポリスルフィドのメルカプタン含有量および分子量は、ポリマーの硬化速度に影響を与えることがあり、硬化速度は分子量に伴って増加する。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、先に記載したポリスルフィドに加えて、またはその代わりに、シーラントは、以下を含むポリマー混合物を含む組成物から堆積され、該ポリマー混合物は(a)90モルパーセント〜25モルパーセントの式HS(RSS)
mR’SHの末端がメルカプタンのジスルフィドポリマー;および(b)10モルパーセント〜75モルパーセントの式HS(RSS)
nRSHの末端がジエチルホルマールメルカプタンのポリスルフィドポリマーを含み、式中、Rは、−C
2H
4−O−CH
2−O−C
2H
4−であり;R’は、2〜12個の炭素原子のアルキル、4〜20個の炭素原子のアルキルチオエーテル、4〜20個の炭素原子および1個の酸素原子のアルキルエーテル、4〜20個の炭素原子および2〜4個の酸素原子のアルキルエーテルであって、それぞれの酸素原子が、互いに少なくとも2個の炭素原子で分離されているアルキルエーテル、6〜12個の炭素原子の脂環式、ならびに芳香族低級アルキルから選択される二価の部分であり、mおよびnの値は、末端がジエチルホルマールメルカプタンのポリスルフィドポリマーおよび末端がメルカプタンのジスルフィドポリマーが、平均分子量が1,000〜4,000、例えば、1,000〜2,500になるような値である。このようなポリマー混合物は、米国特許第4,623,711号の第4欄、18行〜第8欄、35行に記載されており、この引用部分は本明細書に参考として組み込まれる。いくつかの場合には、上の式のR’は、−CH
2−CH
2−;−C
2H
4−O−C
2H
4−;−C
2H
4−S−C
2H
4−;−C
2H
4−O−C
2H
4−O−C
2H
4−;または−CH
2−C
6H
4−CH
2−である。
【0067】
ポリスルフィドに加えて、またはその代わりに、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテルを含んでいてもよい。本明細書で使用する場合、「ポリチオエーテル」という用語は、ポリマー骨格中および/またはポリマー鎖の末端位置もしくはペンダント位置に少なくとも1つのチオエーテル結合、すなわち、−[−C−S−C−]−を含むポリマーを指す。多くは、ポリチオエーテルは、これらの結合を8〜200個有する。本発明で使用するのに適したポリチオエーテルとしては、例えば、式(IV):
【0069】
(式中、(1)R
1は、C
2−6n−アルキレン、C
3−6分岐アルキレン、C
6−8シクロアルキレンまたはC
6−10アルキルシクロアルキレン基、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−、または−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−を示し、ここで、少なくとも1つの−CH
2−単位は、メチル基で置換されており;(2)R
2は、C
2−6n−アルキレン、C
2−6分岐アルキレン、C
6−8シクロアルキレンまたはC
6−10アルキルシクロアルキレン基、または−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−を示し、Xは、O、Sおよび−NR
6−からなる群から選択される1つを示し、R
6は、Hまたはメチルを示し;(3)mは、0〜10の合理的な数であり;(4)nは、1〜60の整数であり;(5)pは、2〜6の整数であり;(6)qは、1〜5の整数であり、そして(7)rは、2〜10の整数である)
を有する構造を含むものが挙げられる。このようなポリチオエーテルは、米国特許第6,172,179号の第2欄、29行〜第4欄、34行に記載されており、この引用部分は、本明細書に参考として組み込まれる。適切なポリチオエーテルの例は、PRC−Desoto International,Inc.からPERMAPOLの商標名、例えば、PERMAPOL P−3.1eまたはPERMAPOL P−3で入手可能である。
【0070】
本発明の特定の実施形態では、シーラントは、(a)上述のポリスルフィド;(b)式(III)を有する構造を含むポリチオエーテル;(c)上述の種類のポリマー混合物、例えば、ポリスルフィド、有機ジメルカプタン(例えばジメルカプトジエチルスルフィド)およびアミンの反応から得られるものを含むポリマーブレンドを含む組成物から堆積する。いくつかの実施形態では、このようなポリマーブレンド中の(a)と(b)の重量比は、10:90〜90:10、例えば、50:50である。このようなポリマーブレンドは、米国特許第7,524,564号の第1欄、51行〜第2欄、67行に記載されており、この引用部分は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0071】
特定の実施形態では、硫黄含有ポリマー、またはそのブレンドは、シーラントを形成する組成物中に、組成物の非揮発性成分の合計重量に対して少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、またはいくつかの場合には、少なくとも45重量%の量で存在する。特定の実施形態では、硫黄含有ポリマー、またはそのブレンドは、シーラントを形成する組成物中に、組成物の非揮発性成分の合計重量に対して90重量%以下、例えば、80重量%以下、またはいくつかの場合には、75重量%以下の量で存在する。
【0072】
特定の実施形態では、シーラントを形成する組成物は、硬化剤も含む。本発明の特定の組成物で有用な硬化剤(特に、チオール官能性硫黄含有ポリマーを使用する場合には)としては、エポキシ樹脂、例えば、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシド、および任意のエポキシ化した不飽和フェノール樹脂、ならびに不飽和化合物、例えば、市販のポリオールのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、不飽和合成または天然由来の樹脂化合物、トリアリルシアヌレート、および本発明のポリチオエーテルの末端がオレフィンの誘導体が挙げられる。
【0073】
さらに、チオール官能性硫黄含有ポリマーを使用する場合には、当業者にとって公知の有機過酸化物および無機過酸化物(例えば、MnO
2)を用いて、チオール基の酸化的カップリングによって、有用な硬化を得ることができる。
【0074】
シーラントが堆積する組成物の特定の実施形態で有用なフィラーとしては、従来の無機フィラー、例えば、カーボンブラックおよび炭酸カルシウム(CaCO
3)、ならびに軽量フィラーを含め、当該技術分野で一般的に使用されるものが挙げられる。適切な軽量フィラーとしては、例えば、米国特許第6,525,168号の第4欄、23〜55行(この引用部分は、本明細書に参考として組み込まれる)に記載されるものが挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、組成物の合計重量に対して5〜60重量%、例えば、10〜50重量%のフィラーまたはフィラーの組み合わせを含む。
【0075】
上述の成分に加え、シーラント組成物は、場合により、以下の1つ以上を含み得る:他の成分の中でも特に、着色剤、チキソトロープ剤、促進剤、抑制剤、接着促進剤、溶媒およびマスキング剤。
【0076】
チキソトロープ剤(例えば、シリカ)は、組成物の合計重量に対して、0.1〜5重量%の量で使用することが多い。
【0077】
当該技術分野で公知の硬化触媒(例えばアミン)は、組成物の合計重量に対して、0.1〜5重量%の量で存在することが多い。有用な触媒の具体例は、限定されないが、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO(登録商標)、Air Products、Chemical Additives Division、アレンタウン、PAから市販されている)およびDMP−30(登録商標)(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含む促進剤組成物、Rohm and Haas、フィラデルフィア、PAから市販されている)である。
【0078】
抑制剤(例えば、ステアリン酸)も、同様に、組成物の合計重量に対して0.1〜5重量%の量で使用することが多い。接着促進剤を、使用する場合には組成物の合計重量に対して0.1〜15重量%の量で存在することが多い。適切な接着促進剤としては、フェノール樹脂(phenolics)、例えば、Occidental Chemicalsから入手可能なMETHYLONフェノール系樹脂、ならびに有機シラン、例えば、エポキシ、メルカプトまたはアミノ官能性シラン、例えば、Momentive Performance Materialsから入手可能なSilquest A−187およびSilquest A−1100が挙げられる。マスキング剤(例えば、組成物の任意の低レベルの臭気を隠すのに有用な松香料または他の香り)は、組成物の合計重量に対して0.1〜1重量%の量で存在することが多い。
【0079】
特定の実施形態では、シーラント組成物は、可塑剤を含み、少なくともいくつかの場合には、組成物は、宇宙空間用シーラントで通常は有用であるT
gよりも高いT
gを有する硫黄含有ポリマーを含み得る。すなわち、可塑剤の使用によって、組成物のT
gを効果的に下げてもよく、そのため、硬化した重合可能な組成物について、硫黄含有ポリマー単独のT
gを基本として予想されるよりも低い温度での柔軟性が高まってもよい。本発明の組成物の特定の実施形態で有用な可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、および水素化ターフェニルが挙げられる。可塑剤または可塑剤の組み合わせは、組成物の1〜40重量%、例えば、1〜10重量%を構成することが多い。特定の実施形態では、組成物に用いられる可塑剤の性質および量に依存して、T
g値が−50℃まで、例えば、−55℃までを有する本発明のチオエーテルを使用することができる。
【0080】
特定の実施形態では、シーラント組成物は、組成物の合計重量に対して、例えば、0〜15重量%、例えば、15重量%未満、いくつかの場合には、10重量%未満の量の1つ以上の有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール)をさらに含み得る。
【0081】
本発明のコーティング/シーラント系は、少なくともいくつかの場合では、優れた層間接着性および基材への接着性を示すことができる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のコーティング/シーラント系は、本明細書の実施例で記載するように、AS 5127/1Bに従って測定する場合、少なくとも150N/25mm、例えば、少なくとも200N/25mmの平均剥離強度、および少なくとも50%、例えば、少なくとも90%、またはいくつかの場合には、100%の凝集率%を示す。
【0082】
請求される発明のこれらの態様および他の態様は、以下の非限定的な実施例によってさらに示される。
本願明細書は、以下の項目に関する構成を記載する。
(項目1)
コーティング/シーラント系であって、
(a)
(i)リン酸化エポキシ樹脂;および
(ii)硬化剤
を含む反応剤から形成された反応生成物を含むコーティング;ならびに
(b)上記コーティングの少なくとも一部にわたって堆積したシーラント
を含み、
上記シーラントが、チオール官能性ポリスルフィドを含む硫黄含有ポリマーを含む組成物から堆積する、
コーティング/シーラント系。
(項目2)
上記リン酸化エポキシ樹脂が、
(1)ポリエポキシド;
(2)リン酸;ならびに
(3)有機ホスホン酸および/または有機ホスフィン酸
を含む反応剤から形成された反応生成物の混合物を含む、項目1に記載の系。
(項目3)
上記反応剤が、1当量のエポキシに対して0.1〜0.8モルのリン酸、ならびに1当量のエポキシあたり0.01〜0.4モルのホスホン酸および/または有機ホスフィン酸を含む、項目2に記載の系。
(項目4)
上記硬化剤がアミノプラストを含む、項目1に記載の系。
(項目5)
上記リン酸化エポキシ樹脂が、上記コーティングを堆積させる液体組成物の樹脂固形分の合計重量に対して少なくとも50重量%の量で存在する、項目1に記載の系。
(項目6)
上記リン酸化エポキシ樹脂反応生成物を形成する上記反応剤は、硫黄官能性アゾールをさらに含む、項目2に記載の系。
(項目7)
上記硫黄官能性アゾールは、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、および/またはメルカプトアリールチアゾールを含む、項目6に記載の系。
(項目8)
上記メルカプトアリールイミダゾール、上記メルカプトアリールオキサゾール、または上記メルカプトアリールチアゾールは、構造(I)または(II):
【化6】
(式中、(i)Xは、N、OまたはSを表し;(ii)Rは、ヒドロキシル、水素、アリール、アルキル、アラルキルまたはハロゲン原子を表し;そして(iii)nは、0〜4の整数である)によって表される、項目7に記載の系。
(項目9)
上記硫黄官能性アゾールは、1当量のエポキシに対して0.01〜0.25モルのチオールの量で存在する、項目6に記載の系。
(項目10)
上記チオール官能性ポリスルフィドが、
(a)90モルパーセント〜25モルパーセントの式HS(RSS)mR’SHの末端がメルカプタンのジスルフィドポリマー;および
(b)10モルパーセント〜75モルパーセントの式HS(RSS)nRSHの末端がジエチルホルマールメルカプタンのポリスルフィドポリマー
を含むポリマー混合物を含み、
式中、Rは、−C2H4−O−CH2−O−C2H4−であり;
R’は、2〜12個の炭素原子のアルキル、4〜20個の炭素原子のアルキルチオエーテル、4〜20個の炭素原子および1個の酸素原子のアルキルエーテル、4〜20個の炭素原子および2〜4個の酸素原子のアルキルエーテルであって、それぞれの酸素原子が、互いに少なくとも2個の炭素原子で分離されているアルキルエーテル、6〜12個の炭素原子の脂環式、ならびに芳香族低級アルキルから選択される二価の部分であり;
mおよびnの値は、末端がジエチルホルマールメルカプタンのポリスルフィドポリマーおよび末端がメルカプタンのジスルフィドポリマーが、平均分子量が1,000〜4,000になるような値である、項目1に記載の系。
(項目11)
(a)ポリエポキシド;
(b)硫黄官能性アゾール;および
(c)亜リン酸
を含む反応剤から形成された反応生成物を含むゲル化していないリン酸化エポキシ樹脂を含む、塩基で中和した樹脂状組成物を含む水性樹脂状分散物。
(項目12)
上記亜リン酸は、
(1)リン酸;ならびに
(2)有機ホスホン酸および/または有機ホスフィン酸
を含む混合物を含む、項目11に記載の分散物。
(項目13)
上記混合物は、1当量のエポキシに対して0.1〜0.8モルのリン酸、ならびに1当量のエポキシあたり、0.01〜0.4モルのホスホン酸および/または有機ホスフィン酸を含む、項目12に記載の分散物。
(項目14)
アミノプラストを含む硬化剤をさらに含む、項目11に記載の分散物。
(項目15)
上記リン酸化エポキシ樹脂は、上記分散物の樹脂固形分の合計重量に対して少なくとも50重量%の量で存在する、項目11に記載の分散物。
(項目16)
上記硫黄官能性アゾールは、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、および/またはメルカプトアリールチアゾールを含む、項目11に記載の分散物。
(項目17)
上記メルカプトアリールイミダゾール、上記メルカプトアリールオキサゾール、または上記メルカプトアリールチアゾールは、構造(I)または(II):
【化7】
(式中、(i)Xは、N、OまたはSを表し;(ii)Rは、ヒドロキシル、水素、アリール、アルキル、アラルキルまたはハロゲン原子を表し;そして(iii)nは、0〜4の整数である)
によって表される、項目16に記載の分散物。
(項目18)
上記硫黄官能性アゾールは、1当量のエポキシに対して0.01〜0.25モルのチオールの量で存在する、項目11に記載の分散物。
(項目19)
水性樹脂状分散物に浸漬されたアノードおよびカソードを備える電気回路中でアノードとして機能する電気伝導性基材をエレクトロコーティングする方法であって、上記方法は、
上記アノードおよび上記カソードの間に電流を流し、樹脂状組成物を上記アノード上に堆積させることを含み、
上記分散物は、
(a)ポリエポキシド;
(b)硫黄官能性アゾール;および
(c)亜リン酸
を含む反応剤から形成された反応生成物を含むアニオン性樹脂を含む、方法。
(項目20)
上記基材がアルミニウムを含む、項目19に記載の方法。
【実施例】
【0083】
(実施例1:水性樹脂状分散物の調製)
12リットルの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに2949.8グラム(7.845モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、948.8グラム(4.162モル)のビスフェノールA、418.9グラムの2−n−ブトキシエタノール、および335.3グラムの2−エチルヘキサノールを入れた。窒素ブランケット(nitrogen blanket)の下、これを攪拌し、115℃に加熱した。115℃で、2.9グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を加えた。発熱が始まるまでこれを加熱し、反応混合物を165℃または165℃より上に60分間維持した。90℃に冷却しつつ、反応混合物に、383.3グラムのEktasolve EEH(Eastman Chemical Companyから入手可能)、および83.6グラムの2−エチルヘキサノールを加えた。90℃で、67.9グラム(0.430モル)のフェニルホスホン酸、115.6グラム(1.003モル)の85% o−リン酸、および24.7グラムのEktasolve EEHの混合物を加えた。発熱した後、反応混合物を120℃で30分間保持し、次いで、100℃に冷却した。100℃で、257.6グラムの脱イオン水を約1時間にわたって加え、その後に、反応混合物を100℃にて2時間保持した。この時点で、90℃に冷却し、324.2グラム(2.437モル)のジイソプロパノールアミン、および1487.2グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)を加えた。この混合物を90℃で30分間保持した。この材料のうち、7000グラムを5511.4グラムの脱イオン水中で攪拌し、その後、1317.0グラムの脱イオン水をさらに加えた。これに、366.4グラムの2−ヘキソキシエタノール、225.5グラムのOptifilm 400(Eastman Chemical Companyから入手可能)、および5.5グラムのTektronic 150R1(BASF Corporationから入手可能)を加えた。その後、1045.5グラムの脱イオン水を加え、110℃で1時間後に、固形分39.4%を示す分散物を得た。
【0084】
(実施例2:水性樹脂状分散物の調製)
3リットルの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに705グラム(3.75モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、222.6グラム(1.952モル)のビスフェノールA、39グラム(0.237モル)のメルカプトメチルベンゾイミダゾール(Sigma−Aldrichから入手可能)、および180.3グラムの2−n−ブトキシエタノールを入れた。窒素ブランケットの下、これを攪拌し、115℃に加熱した。115℃で、0.7グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を加えた。発熱が始まるまでこれを加熱し、反応混合物を165℃または165℃より上に60分間維持した。90℃に冷却しつつ、反応混合物に、112グラムの2−n−ブトキシエタノールを加えた。90℃で、27.6グラムの85% o−リン酸を加えた。発熱した後、反応混合物を120℃で30分間保持し、次いで、100℃に冷却した。100℃で、61.6グラムの脱イオン水を約1時間にわたって加え、その後に、反応混合物を100℃にて2時間保持した。この時点で、90℃に冷却し、63.8グラムのジイソプロパノールアミン、330.5グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)、および40.1グラムのメルカプトメチルベンゾイミダゾールを加えた。この混合物を90℃で30分間保持した。この材料のうち、1650グラムを1350グラムの脱イオン水中で攪拌し、その後、315.8グラムの脱イオン水、次いで、最後に、390.1グラムの脱イオン水を加えた。最終的な分散物は、110℃で1時間後に、固形分が30.3%であることを示した。
【0085】
(実施例3:水性樹脂状分散物の調製)
3リットルの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに450グラム(2.39モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、142.1グラム(1.25モル)のビスフェノールA、15.9グラム(0.135モル)のフェニル−1H−テトラゾール5−チオール(Sigma−Aldrichから入手可能)、および115.1グラムの2−n−ブトキシエタノールを入れた。窒素ブランケットの下、これを攪拌し、115℃に加熱した。115℃で、0.5グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を加えた。発熱が始まるまでこれを加熱し、反応混合物を165℃または165℃より上に60分間維持した。90℃に冷却しつつ、反応混合物に、71.2グラムの2−n−ブトキシエタノールを加えた。90℃で、17.6グラムの85% o−リン酸を加えた。発熱した後、反応混合物を120℃で30分間保持し、次いで、100℃に冷却した。100℃で、39.3グラムの脱イオン水を約1時間にわたって加え、その後に、反応混合物を100℃にて2時間保持した。この時点で、90℃に冷却し、40.7グラムのジイソプロパノールアミン、211.0グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)、および26.1グラムのフェニル−1H−テトラゾール−5−チオールを加えた。この混合物を90℃で30分間保持した。この材料のうち、1000グラムを814グラムの脱イオン水中で攪拌し、分散物を1時間攪拌し、その後、190.9グラムの脱イオン水を加え、次いで、最後に235.9グラムの脱イオン水を加えた。最終的な分散物は、110℃で1時間後に、固形分が36.1%であることを示した。
【0086】
(実施例4:水性樹脂状分散物の調製)
3リットルの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに727.9部(3.87モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、229.8グラム(2.02モル)のビスフェノールA、および186.1グラムの2−n−ブトキシエタノールを入れた。窒素ブランケットの下、これを攪拌し、115℃に加熱した。115℃で、0.7グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を加えた。発熱が始まるまでこれを加熱し、反応混合物を165℃または165℃より上に60分間維持した。90℃に冷却しつつ、反応混合物に、115.2グラムの2−n−ブトキシエタノールを加えた。90℃で、42.2グラムの2−メルカプトベンゾチアゾールを加え、反応を30分間維持した。この反応混合物に、28.5グラムの85% o−リン酸を加えた。発熱した後、反応混合物を120℃で60分間保持し、次いで、100℃に冷却した。100℃で、63.6グラムの脱イオン水を約1時間にわたって加え、その後に、反応混合物を100℃にて2時間保持した。この時点で、90℃に冷却し、65.8グラムのジイソプロパノールアミン、および341.3グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)を加えた。この混合物を90℃で30分間保持した。この材料のうち、1600グラムを1267.4グラムの脱イオン水中で攪拌し、分散物を1時間攪拌し、その後、301.8グラムの脱イオン水を加え、次いで、最後に372.8グラムの脱イオン水を加えた。最終的な分散物は、110℃で1時間後に、固形分が34.0%であることを示した。
【0087】
(実施例5〜8:コーティング組成物の調製)
表1で列挙した成分および量(重量部)を用い、コーティング組成物を調製した。最終組成物のpHおよび伝導率も表1に記載する。
【0088】
【表1】
【0089】
1 灰色顔料ペーストACPP−1120、PPG Industries,Inc.から入手可能、固形分51.4%。
2 Fisher Scientificから市販されるACCUMET pH計を用いて測定した。
3 YSI,Inc.から市販される伝導計(conductivity meter)で測定した。
【0090】
それぞれの場合に、分散物をガロン容器に加えた。攪拌下、この分散物に、脱イオン水とともに顔料ペーストを加えた。最終的な浴固形物は、約20%であり、顔料と樹脂の比率は0.2:1.0であった。浴全体の50%を限外濾過によって除去し、脱イオン水で置き換えた。
【0091】
(試験基材)
Henkel Corporationから入手可能なアルカリ性洗浄剤RIDOLINE 298の溶液に130°Fで2分間浸漬することによって、アルミニウム2024−T3のむき出しのパネルを洗浄した。アルカリ洗浄の後、パネルを水道水に浸漬し、周囲条件で1分間すすいだ。次いで、パネルを、Henkel Corporationから入手可能な酸性脱酸素剤DEOXIDIZER 6/16溶液に周囲条件で2分30秒間浸漬した。酸による脱酸素の後、パネルを水道水に周囲条件で1分間浸漬し、その後、脱イオン水で最終的に噴霧によるすすぎを行った。パネルを風乾して使用した。
【0092】
実施例5、6、7、8のコーティング組成物を、2と4分の3インチ×6インチの洗浄し、脱酸素したパネル上に堆積させた。これは、実施例5および6のコーティング組成物を75°F(24℃)に加熱し、実施例7および8のコーティング組成物を90°F(32℃)に加熱することによって行った。パネルを、攪拌下、コーティング組成物の浴に浸漬し、次いで、85〜275ボルトを90秒間印加し、200°F(93℃)で30分間熱硬化させ、約0.8ミルの膜厚を得た。
【0093】
PRC−DeSoto International,Inc.から市販されるPR−1776 M B−2シーラントを用いて、シーラントの接着性を評価した。AS5127/1Bに従って、以下の改変を行ってパネルを調製した:ワイヤスクリーンまたは布での強化の代わりに、アルミニウム箔片を使用した。箔片は、0.005インチの厚さであり、幅が1インチ×長さが12インチであった。箔の調製には、灰色SCOTCH BRITEパッド
(TM)で擦って研磨すること、AS5127/1Bに従って溶媒を用いて溶媒洗浄すること、および製造業者の指示に従ってPRC−DeSoto International,Inc.から市販されるPR−148接着促進剤を適用することを含んでいた。パネルを75°F、相対湿度50%で14日間硬化させ、次いで、AS5127/1Bに従って剥離強度を試験した。
【0094】
結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
1 剥離強度は、基材から箔片を引き離すのに必要な力の測定値である。
2 凝集率%は、箔片を基材から引き離した後、シーラントが接着したままの基材の表面積部分を指す(結果は、4回の読みの平均として報告する)。
【0097】
(実施例9:水性樹脂状分散物の調製)
12リットルの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに2337.4グラム(6.216モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、751.9グラム(3.298モル)のビスフェノールA、332.0グラムの2−n−ブトキシエタノール、および265.7グラムの2−エチルヘキサノールを入れた。窒素ブランケットの下、これを攪拌し、115℃に加熱した。115℃で、2.3グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を加えた。発熱が始まるまでこれを加熱し、反応混合物を165℃または165℃より上に60分間維持した。90℃に冷却しつつ、反応混合物に、303.8グラムのEktasolve EEH(Eastman Chemical Companyから入手可能)、および66.2グラムの2−エチルヘキサノールを加えた。90℃で、53.8グラム(0.340モル)のフェニルホスホン酸、91.6グラム(0.794モル)の85% o−リン酸、および19.6グラムのEktasolve EEHの混合物を加えた。発熱した後、反応混合物を120℃で30分間保持し、次いで、100℃に冷却した。100℃で、204.1グラムの脱イオン水を約1時間にわたって加え、その後に、反応混合物を100℃にて2時間保持した。この時点で、90℃に冷却し、256.9グラム(1.932モル)のジイソプロパノールアミン、1178.5グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)、および136.1グラム(1.144モル)の2−メルカプトベンゾチアゾールを加えた。この混合物を90℃で30分間保持した。この材料のうち、5600グラムを4484.5グラムの脱イオン水中で攪拌し、その後、1061.5グラムの脱イオン水をさらに加えた。これに、295.4グラムの2−ヘキソキシエタノール、181.8グラムのOptifilm 400(Eastman Chemical Companyから入手可能)、および4.4グラムのTektronic 150R1(BASF Corporationから入手可能)を加えた。その後、842.7グラムの脱イオン水を加え、110℃で1時間後に、固形分38.6%を示す分散物を得た。
【0098】
(実施例10:水性樹脂状分散物の調製)
12リットルの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに2102.9グラム(5.593モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、663.9グラム(2.912モル)のビスフェノールA、118.3グラム(0.707モル)の2−メルカプトベンゾチアゾール、および537.7グラムの2−n−ブトキシエタノールを入れた。窒素ブランケットの下、これを攪拌し、115℃に加熱した。115℃で、2.1グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を加えた。発熱が始まるまでこれを加熱し、反応混合物を165℃または165℃より上に60分間維持した。90℃に冷却しつつ、反応混合物に、332.9グラムの2−n−ブトキシエタノールを加えた。90℃で、82.4グラム(0.715モル)の85% o−リン酸を加えた。発熱した後、反応混合物を120℃で30分間保持し、次いで、100℃に冷却した。100℃で、183.7グラムの脱イオン水を約1時間にわたって加え、その後に、反応混合物を100℃にて2時間保持した。この時点で、90℃に冷却し、190.2グラム(1.430モル)のジイソプロパノールアミン、および985.9グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)を加えた。この混合物を90℃で30分間保持した。この材料のうち、4800グラムを3926.5グラムの脱イオン水に加え、その後、918.6グラムの脱イオン水を加え、次いで、最後に1134.7グラムの脱イオン水を加えた。最終的な分散物は、110℃で1時間後に、固形分が37.1%であることを示した。
【0099】
(実施例11:水性樹脂状分散物の調製)
3000mlの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに400.8グラム(1.0660モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、128.9グラム(0.565モル)のビスフェノールA、および102.5グラムの2−n−ブトキシエタノールを入れた。窒素ブランケットの下、これを攪拌し、115℃に加熱した。115℃で、0.4グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を加えた。発熱が始まるまでこれを加熱し、反応混合物を165℃または165℃より上に60分間維持した。90℃に冷却しつつ、反応混合物に、66.8グラムの2−n−ブトキシエタノールを加えた。90℃で、19.1グラム(0.166モル)の85% o−リン酸を加えた。発熱した後、反応混合物を120℃で30分間保持し、次いで、100℃に冷却した。100℃で、35.0グラムの脱イオン水を約45分にわたって加え、その後に、反応混合物を100℃にて2時間保持した。この時点で、90℃に冷却し、53.5グラム(0.402モル)のジイソプロパノールアミン、202.1グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)、および90.9グラムの実施例12の付加物を加えた。この混合物を90℃で30分間保持した。この材料のうち、900グラムを708.6グラムの脱イオン水中で攪拌し、その後、169.3グラムの脱イオン水を加え、次いで、最後に209.2グラムの脱イオン水を加えた。最終的な分散物は、110℃で1時間後に、固形分が38.7%であることを示した。
【0100】
(実施例12:付加物の調製)
1リットルの丸底4ッ口フラスコにベアリング付スターラー、水冷凝縮器、窒素注入アダプター付き熱電対プローブ、および電気加熱マントルを取り付けた。このフラスコに、40.2グラムのメルカプトベンゾチアゾール、92.5グラムのEPON 828、および192.0グラムのメチルアミルケトンをこの順で入れた。反応物を50℃に加熱し、1時間保持した。還流が起こるまで(116℃)、温度を上げた。反応を6時間保持し、凝縮器を蒸留ヘッドおよび凝縮器に置き換えた。加熱マントルを118℃に設定し、設定温度に達するまでに、揮発性成分を除去した(173g)。最終的な材料は、固形分が86%であり、核磁気共鳴によって所望の生成物を確認した。
【0101】
(実施例13〜15:コーティング組成物の調製)
表3に列挙した成分および量(重量部)を用い、コーティング組成物を調製した。最終組成物のpHおよび伝導率も表3に記載する。
【0102】
【表3】
【0103】
それぞれの場合に、分散物をガロン容器に加えた。攪拌下、この分散物に、脱イオン水とともに顔料ペーストを加えた。最終的な浴固形物は、約20%であり、顔料と樹脂の比率は0.2:1.0であった。浴全体の50%を限外濾過によって除去し、脱イオン水と置き換えた。
【0104】
(試験基材)
Henkel Corporationから入手可能なアルカリ性洗浄剤RIDOLINE 298の溶液に130°Fで2分間浸漬することによって、アルミニウム2024−T3のむき出しのパネルを洗浄した。アルカリ洗浄の後、パネルを水道水に浸漬し、周囲条件で1分間すすいだ。次いで、パネルを、Henkel Corporationから入手可能な酸性脱酸素剤DEOXIDIZER 6/16溶液に周囲条件で2分30秒間浸漬した。酸による脱酸素の後、パネルを水道水に周囲条件で1分間浸漬し、その後、脱イオン水で最終的に噴霧によるすすぎを行った。パネルを風乾して使用した。
【0105】
実施例5、13、14、および15のコーティング組成物を、2と4分の3インチ×6インチの洗浄し、脱酸素したパネル上に堆積させた。これは、実施例5および13のコーティング組成物を75°F(24℃)に加熱し、実施例14および15のコーティング組成物を90°F(32℃)に加熱することによって行った。パネルを、攪拌下、コーティング組成物の浴に浸漬し、次いで、85〜275ボルトを90秒間印加し、200°F(93℃)で30分間熱硬化させたが、但し、実施例15では、60分間硬化させ、約0.8ミルの膜厚を得た。
【0106】
PRC−DeSoto International,Inc.から市販されるPR−1776 M B−2シーラントを用いて、シーラントの接着性を評価した。AS5127/1Bに従って、以下の修正を行ってパネルを調製した:ワイヤスクリーンまたは布での強化の代わりに、アルミニウム箔片を使用した。箔片は、0.005インチの厚さであり、幅が1インチ×長さが12インチであった。箔の調製には、灰色SCOTCH BRITEパッド
(TM)で擦って研磨すること、AS5127/1Bに従って溶媒を用いて溶媒洗浄すること、および製造業者の指示に従ってPRC−DeSoto International,Inc.から市販されるPR−148接着促進剤を適用することを含んでいた。パネルを周囲温度、および湿度条件で14日間硬化させ、次いで、AS5127/1Bに従って剥離強度を試験した。
【0107】
結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
【0109】
1 剥離強度は、基材から箔片を引き離すのに必要な力の測定値である。
2 凝集率%は、箔片を基材から引き離した後、シーラントが接着したままの基材の表面積部分を指す(結果は、4回の読みの平均として報告する)。
【0110】
本発明の特別な実施形態を説明のために記載してきたが、添付の特許請求の範囲に記載する発明から逸脱することなく、本発明の詳細の多くの改変を行ってもよいことが当業者には明らかである。