(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の排ガス浄化用触媒の一実施形態を模式的に表わす概略図である。
【0014】
図1において、排ガス浄化用触媒1は、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しない第1浄化部材2と、第1浄化部材2の排ガスに対する通過方向上流側および下流側の両側において、第1浄化部材2に隣接配置され、貴金属を含有する第2浄化部材3とを含んでいる。
【0015】
第1浄化部材2は、第1触媒担体4と、その第1触媒担体4の表面にコート層(図示せず)として担持される、3d遷移元素を含有(担持、または、組成として含有(以下同様))するとともに貴金属を含有しない複合酸化物とを備えている。
【0016】
第1触媒担体4としては、特に限定されず、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の担体が挙げられる。
【0017】
3d遷移元素を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物としては、例えば、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しないアルミナなどが挙げられる。
【0018】
3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(1)で示される。
【0019】
T/ABO
3 (1)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属および3d遷移元素を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Tは、3d遷移元素を示す。)
一般式(1)において、Aで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)などが挙げられる。
【0020】
また、Aで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0021】
一般式(1)において、Bで示される貴金属および3d遷移元素を除く遷移元素およびAlとしては、例えば、周期律表(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 19 February 2010)に従う。以下同じ。)において、原子番号39(Y)〜原子番号48(Cd)、および、原子番号57(La)〜原子番号80(Hg)の各元素(ただし、貴金属(原子番号44〜47および76〜78)を除く)、Alが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0022】
一般式(1)において、Tで示される3d遷移元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0023】
3d遷移元素として、好ましくは、V(バナジウム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)が挙げられ、より好ましくは、Cu(銅)が挙げられる。
【0024】
3d遷移元素としてCu(銅)を用いれば、より優れた排ガス浄化性能を確保することができる。
【0025】
このような3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によってペロブスカイト型複合酸化物を製造し、そのペロブスカイト型複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0063〕の記載に準拠して、3d遷移元素を担持することによって、製造することができる。
【0026】
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の3d遷移元素の担持量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
【0027】
一方、3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(2)で示される。
【0028】
ABTO
3 (2)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属および3d遷移元素を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Tは、3d遷移元素を示す。)
一般式(2)において、A、BおよびTは、それぞれ、上記一般式(1)におけるA、BおよびTと同意義を示す。
【0029】
このような3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0030】
なお、この3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物に、さらに、上記のように3d遷移元素を担持させることもできる。
【0031】
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の3d遷移元素の含有量(担持された3d遷移元素と、組成として含有された3d遷移元素との合計量)は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0032】
3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物は、下記一般式(3)で示される。
【0033】
T/MO・nAl
2O
3 (3)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、Tは、3d遷移元素を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(3)において、Mは、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)、Co(コバルト)およびNi(ニッケル)から選択される少なくとも1種の元素を示している。これらの元素は、単独でもよく、また、2種類以上併用もできる。
【0034】
また、一般式(3)において、Tは、上記一般式(1)におけるTと同意義を示す。
【0035】
なお、一般式(3)において、Mは、3d遷移元素に分類される元素であり、すなわち、このスピネル型複合酸化物は、3d遷移元素(T)を担持するとともに、3d遷移元素(M)を組成として含有している。
【0036】
また、一般式(3)において、nは、0.08〜5を示し、好ましくは、0.16〜5を示す。
【0037】
なお、nが1であれば、上記式(3)に記載の複合酸化物は、定比性(化学量論組成、ストイキオメトリ)のスピネル型結晶相を有する複合酸化物(以下、定比性スピネル型複合酸化物と称する。)として形成される。
【0038】
これに対して、nが1未満、または、1を超過する場合には、上記式(3)に記載の複合酸化物は、主な結晶相としてスピネル型結晶相を有するとともに、他の結晶相、例えば、マグネトプランバイト型結晶相、アルミナ型結晶相などを混合相などとして有する、不定比性(非化学量論組成、ノンストイキオメトリ)のスピネル型結晶相を有する複合酸化物(以下、不定比性スピネル型複合酸化物と称する。)として形成される。
【0039】
このような3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないは、例えば、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによってスピネル型複合酸化物を製造し、そのスピネル型複合酸化物に、上記したペロブスカイト型複合酸化物の3d遷移元素の担持方法と同様の方法によって3d遷移元素を担持することによって、製造することができる。
【0040】
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の3d遷移元素の担持量(上記式(3)におけるTで示される3d遷移元素の担持量)は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
【0041】
一方、3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物は、下記一般式(4)で示される。
【0042】
(M
1−xT
x)O・nAl
2O
3 (4)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、Tは、3d遷移元素を示し、xは、0<x≦1の原子割合を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(4)において、M、Tおよびnは、それぞれ、上記一般式(3)におけるM、Tおよびnと同意義を示す。
【0043】
このスピネル型複合酸化物は、3d遷移元素(T)を担持することなく、組成として含有している。
【0044】
また、一般式(4)において、xは0<x≦1のTの原子割合を示す。
【0045】
なお、上記式(4)においては、Tとして、Mと同様の元素(Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)を選択することもでき、そのような場合のスピネル型複合酸化物は、MO・nAl
2O
3、または、TO・nAl
2O
3として示される。
【0046】
また、Tで示される3d遷移元素として銅が選択され、x=1である場合、スピネル型複合酸化物は、例えば、下記一般式(4’)で表わされる、いわゆる銅スピネルである。
【0047】
CuO・nAl
2O
3 (4’)
一方、Mの原子割合は、1−x、つまり、1からTの原子割合(0<x≦1)を差し引いた残余の原子割合となる。すなわち、上記一般式(4)において、Mは、任意成分であり、含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0048】
このような3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0049】
なお、この3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物に、さらに、上記のように3d遷移元素を担持させることもできる。
【0050】
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の3d遷移元素の含有量(担持された3d遷移元素と、組成として含有された3d遷移元素との合計量)は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0051】
3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(5)で示される。
【0052】
T/Zr
1−(a+b)Ce
aL
bO
2−c (5)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Tは、3d遷移元素を示し、aは、Ceの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Zrの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(5)において、Lで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(1)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。また、Lで示される希土類元素としては、一般式(1)で示した希土類金属が挙げられる(ただし、Ceを除く。)。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0053】
また、一般式(5)において、Tは、上記一般式(1)におけるTと同意義を示す。
【0054】
また、aで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
【0055】
また、bで示されるLの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0056】
また、1−(a+b)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
【0057】
さらに、cは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびLの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0058】
このようなジルコニア系複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によってジルコニア系複合酸化物を製造し、そのジルコニア系複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0125〕の記載に準拠して、3d遷移元素を担持することによって、製造することができる。
【0059】
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の3d遷移元素の担持量は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
【0060】
一方、3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(6)で示される。
【0061】
Zr
1−(d+e+f)Ce
dL
eT
fO
2−g (6)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Tは、3d遷移元素を示し、dは、Ceの原子割合を示し、eは、Lの原子割合を示し、fは、Tの原子割合を示し、1−(d+e+f)は、Zrの原子割合を示し、gは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(6)において、Lは、上記一般式(5)におけるLと同意義を示す。
【0062】
dで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
【0063】
また、eで示されるLの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0064】
また、fで示されるTの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
【0065】
また、1−(d+e+f)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
【0066】
さらに、gは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、Ce、LおよびTの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0067】
このような3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して得られたジルコニア系複合酸化物に、3d遷移元素を含む塩の溶液(硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液など)を含浸させ、必要により乾燥させた後、例えば、350〜1000℃で1〜12時間焼成することにより、得ることができる。
【0068】
なお、この3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物に、さらに、上記のように3d遷移元素を担持させることもできる。
【0069】
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の3d遷移元素の含有量(担持された3d遷移元素と、組成として含有された3d遷移元素との合計量)は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0070】
3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物は、下記一般式(7)で示される。
【0071】
T/Ce
1-(h+i)Zr
hL
iO
2-j (7)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Tは、3d遷移元素を示し、hは、Zrの原子割合を示し、iは、Lの原子割合を示し、1−(h+i)は、Ceの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(7)において、Lで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(1)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。また、Lで示される希土類元素としては、一般式(1)で示した希土類金属が挙げられる(ただし、Ceを除く。)。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0072】
また、一般式(7)において、Tは、上記一般式(1)におけるTと同意義を示す。
【0073】
また、hで示されるZrの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のZrの原子割合よりも少なく、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
【0074】
また、iで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0075】
また、1−(h+i)で示されるCeの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合よりも多く、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲である。
【0076】
さらに、jは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0077】
このようなセリア系複合酸化物は、上記したジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって製造されたセリア系複合酸化物に、上記したジルコニア系複合酸化物の担持方法と同様の方法によって3d遷移元素を担持することによって、製造することができる。
【0078】
このようにして得られるセリア系複合酸化物の3d遷移元素の担持量は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
【0079】
一方、3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物は、下記一般式(8)で示される。
【0080】
Ce
1−(k+l+m)Zr
kL
lT
mO
2−n (8)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Tは、3d遷移元素を示し、kは、Zrの原子割合を示し、lは、Lの原子割合を示し、mは、Tの原子割合を示し、1−(k+l+m)は、Ceの原子割合を示し、nは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(8)において、Lは、上記一般式(7)におけるLと同意義を示す。
【0081】
kで示されるZrの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のZrの原子割合よりも少なく、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
【0082】
また、lで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0083】
また、mで示されるTの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
【0084】
また、1−(k+l+m)で示されるCeの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合よりも多く、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲である。
【0085】
さらに、nは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、Zr、LおよびTの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0086】
このような3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物は、例えば、上記した3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
【0087】
なお、この3d遷移元素を組成として含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物に、さらに、上記のように3d遷移元素を担持させることもできる。
【0088】
このようにして得られるセリア系複合酸化物の3d遷移元素の含有量(担持された3d遷移元素と、組成として含有された3d遷移元素との合計量)は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0089】
3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナは、例えば、アルミナに、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0126〕の記載に準拠して、3d遷移元素を担持することによって、製造することができる。
【0090】
アルミナとしては、例えば、αアルミナ、θアルミナ、γアルミナなどが挙げられる。
【0091】
αアルミナは、結晶相としてα相を有し、例えば、AKP−53(商品名、高純度アルミナ、住友化学社製)などが挙げられる。このようなαアルミナは、例えば、アルコキシド法、ゾルゲル法、共沈法などの方法によって得ることができる。
【0092】
θアルミナは、結晶相としてθ相を有し、αアルミナに遷移するまでの中間(遷移)アルミナの一種であって、例えば、SPHERALITE 531P(商品名、γアルミナ、プロキャタリゼ社製)などが挙げられる。このようなθアルミナは、例えば、市販の活性アルミナ(γアルミナ)を、大気中にて、900〜1100℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。
【0093】
γアルミナは、結晶相としてγ相を有し、特に限定されず、例えば、排ガス浄化用触媒などに用いられている公知のものが挙げられる。
【0094】
また、アルミナとして、Laおよび/またはBaが含まれる上記アルミナを用いることもできる。Laおよび/またはBaを含むアルミナは、特開2004−243305号の段落番号〔0073〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0095】
アルミナの3d遷移元素の担持量は、例えば、アルミナ100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
【0096】
これら3d遷移元素を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0097】
3d遷移元素を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物として、好ましくは、3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナが挙げられる。
【0098】
第1浄化部材2が3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナを含んでいれば(換言すると、第1浄化部材2がアルミナに担持されている3d遷移元素を含んでいれば)、3d遷移元素のOSC(酸素吸蔵放出能)が働くことで、リーン側まで高いNOx浄化性能を維持することができる。
【0099】
また、3d遷移元素を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物として、より好ましくは、3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナと、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物との併用が挙げられる。
【0100】
第1浄化部材2において、3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナと、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物とを併用すれば、3d遷移元素だけでなく、セリア系複合酸化物のOSCも働くことで、リーン側でのNOx浄化率をより高く維持することができる。
【0101】
また、第1浄化部材2は、さらに、必要により、アルミナや複合酸化物(例えば、ペロブスカイト型複合酸化物、蛍石型複合酸化物など)などの公知の耐熱性酸化物や、例えば、Ba、Ca、Sr、Mg、Laの硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩および/または酢酸塩などの塩を、適宜の割合で含有することができる。
【0102】
このような場合において、耐熱性酸化物や塩は、例えば、3d遷移元素を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物とともに、公知の方法により、第1触媒担体4に担持される。
【0103】
第1触媒担体4に対するコート層(3d遷移元素を担持するとともに貴金属を含有しない複合酸化物、および、必要により耐熱性酸化物、塩などを含む)の担持量は、特に制限されないが、例えば、第1触媒担体4 1Lあたり、例えば、50〜300g、好ましくは、100〜250gであり、また、3d遷移元素の担持量が、第1触媒担体4 1Lあたり、例えば、0.1〜60g、好ましくは、5〜30gである。
【0104】
また、このような第1浄化部材2において、コート層は、詳しくは図示しないが、例えば、第1触媒担体4上に、表面に形成される外側層と、その外側層の内側に形成される内側層とを有する多層(例えば、2層〜4層、好ましくは、2層)として形成することができる。
【0105】
第1浄化部材2のコート層を多層として形成する場合において、内側層は、上記と同様に、各成分を含むスラリーを触媒担体上にコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。また、外側層は、触媒担体上に形成された内側層上に、上記と同様に、各成分を含むスラリーをコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。
【0106】
第1浄化部材2のコート層を多層として形成する場合には、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物は、2つ以上の層に含まれていてもよく、いずれの層に含ませるかは、その目的および用途によって適宜決定される。このような場合において、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物を含まない層は、例えば、上記した公知の耐熱性酸化物や、塩から形成される。
【0107】
また、第2浄化部材3は、例えば、第2触媒担体5と、その第2触媒担体5の表面にコート層(図示せず)として担持される、貴金属を含有する複合酸化物とを備えている。
【0108】
第2触媒担体5としては、第1触媒担体4と同様の担体、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の担体が挙げられる。
【0109】
貴金属を含有する複合酸化物としては、例えば、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物、貴金属を含有するスピネル型複合酸化物、貴金属を含有するジルコニア系複合酸化物、貴金属を含有するセリア系複合酸化物、貴金属を含有するアルミナなどが挙げられる。
【0110】
貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(9)で示される。
【0111】
N/ABO
3 (9)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属および3d遷移元素を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示す。)
一般式(9)において、Nで示される貴金属としては、例えば、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)などが挙げられる。好ましくは、Rh、Pd、Ptが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0112】
また、一般式(9)において、AおよびBは、それぞれ、上記一般式(1)におけるAおよびBと同意義を示す。
【0113】
このような貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造されたペロブスカイト型複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0063〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0114】
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0115】
一方、貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(10)で示される。
【0116】
ABNO
3 (10)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属および3d遷移元素を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示す。)
一般式(10)において、AおよびBは、それぞれ、上記一般式(1)におけるAおよびBと同意義を示す。
【0117】
また、一般式(10)において、Nは、上記一般式(9)におけるNと同意義を示す。
【0118】
このような貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0119】
なお、この貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
【0120】
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0121】
貴金属が担持されたスピネル型複合酸化物は、下記一般式(11)で示される。
【0122】
N/MO・nAl
2O
3 (11)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(11)において、Mおよびnは、それぞれ、上記一般式(3)におけるMおよびnと同意義を示す。
【0123】
また、一般式(11)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
【0124】
このような貴金属が担持されたスピネル型複合酸化物は、例えば、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって製造されたスピネル型複合酸化物に、上記したペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の担持方法と同様の方法によって貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0125】
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0126】
一方、貴金属が組成として含有されたスピネル型複合酸化物は、下記一般式(12)で示される。
【0127】
(M
1−xN
x)O・nAl
2O
3 (12)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示し、xは、0<x≦1の原子割合を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(12)において、Mおよびnは、それぞれ、上記一般式(3)におけるMおよびnと同意義を示す。
【0128】
また、一般式(12)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
【0129】
このような貴金属が組成として含有されたスピネル型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0130】
なお、この貴金属が組成として含有されたスピネル型複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
【0131】
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0132】
貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(13)で示される。
【0133】
N/Zr
1−(a+b)Ce
aL
bO
2−c (13)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、aは、Ceの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Zrの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(13)において、L、a、bおよびcは、それぞれ、上記一般式(5)におけるL、a、bおよびcと同意義を示す。
【0134】
また、一般式(13)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
【0135】
このような、貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造されたジルコニア系複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0125〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0136】
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0137】
一方、貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(14)で示される。
【0138】
Zr
1−(d+e+f)Ce
dL
eN
fO
2−g (14)
一般式(14)において、L、d、e、fおよびgは、それぞれ、上記一般式(6)におけるL、d、e、fおよびgと同意義を示す。
【0139】
また、一般式(14)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、dは、Ceの原子割合を示し、eは、Lの原子割合を示し、fは、Nの原子割合を示し、1−(d+e+f)は、Zrの原子割合を示し、gは、酸素欠陥量を示す。)
このような貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して得られたジルコニア系複合酸化物に、貴金属を含む塩の溶液(硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液など)を含浸させ、必要により乾燥させた後、例えば、350〜1000℃で1〜12時間焼成することにより、得ることができる。
【0140】
なお、この貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
【0141】
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0142】
貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(15)で示される。
【0143】
N/Ce
1-(h+i)Zr
hL
iO
2-j (15)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、hは、Zrの原子割合を示し、iは、Lの原子割合を示し、1−(h+i)は、Ceの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(15)において、L、h、iおよびjは、それぞれ、上記一般式(7)におけるL、h、iおよびjと同意義を示す。
【0144】
また、一般式(15)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
【0145】
このような、貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造されたセリア系複合酸化物に、上記したジルコニア系複合酸化物の担持方法と同様の方法によって貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0146】
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0147】
一方、貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(16)で示される。
【0148】
Ce
1−(k+l+m)Zr
kL
lN
mO
2−n (16)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、kは、Zrの原子割合を示し、lは、Lの原子割合を示し、mは、Nの原子割合を示し、1−(k+l+m)は、Ceの原子割合を示し、nは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(15)において、L、k、l、mおよびnは、それぞれ、上記一般式(8)におけるL、k、l、mおよびnと同意義を示す。
【0149】
また、一般式(15)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
【0150】
このような貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、例えば、上記した貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
【0151】
なお、この貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
【0152】
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0153】
貴金属が担持されたアルミナは、例えば、上記したアルミナに、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0126〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0154】
アルミナの貴金属の担持量は、例えば、アルミナ100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0155】
これら貴金属を含有する複合酸化物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0156】
また、第2浄化部材3は、さらに、必要により、アルミナや複合酸化物(例えば、ペロブスカイト型複合酸化物、蛍石型複合酸化物など)などの公知の耐熱性酸化物や、例えば、Ba、Ca、Sr、Mg、Laの硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩および/または酢酸塩を、適宜の割合で含有することができる。
【0157】
このような場合において、耐熱性酸化物や塩は、例えば、貴金属を含有する複合酸化物とともに、公知の方法により、第2触媒担体5に担持される。
【0158】
第2触媒担体5に対するコート層(貴金属を含有する複合酸化物、および、必要により耐熱性酸化物、塩などを含む)の担持量は、特に制限されないが、例えば、第2触媒担体5 1Lあたり、例えば、50〜300g、好ましくは、100〜200gであり、また、貴金属の担持量が、第2触媒担体5 1Lあたり、例えば、0.05〜10g、好ましくは、0.1〜2gである。
【0159】
また、このような第2浄化部材3において、コート層は、詳しくは図示しないが、例えば、第2触媒担体5上に、表面に形成される外側層と、その外側層の内側に形成される内側層とを有する多層(例えば、2層〜4層、好ましくは、2層)として形成することができる。
【0160】
第2浄化部材3のコート層を多層として形成する場合において、内側層は、上記と同様に、各成分を含むスラリーを触媒担体上にコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。また、外側層は、触媒担体上に形成された内側層上に、上記と同様に、各成分を含むスラリーをコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。
【0161】
第2浄化部材3のコート層を多層として形成する場合には、貴金属を含有する複合酸化物は、2つ以上の層に含まれていてもよく、いずれの層に含ませるかは、その目的および用途によって適宜決定される。このような場合において、貴金属を含有する複合酸化物を含まない層は、例えば、上記した公知の耐熱性酸化物や、塩から形成される。
【0162】
そして、排ガス浄化用触媒1は、上記第1浄化部材2および上記第2浄化部材3が、
図1に示されるように、排ガスの通過方向に沿って隣接配置されることにより、形成される。
【0163】
排ガス浄化用触媒1において、第1浄化部材2に含まれる3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物と、第2浄化部材3に含まれる貴金属を含有する複合酸化物との含有割合は、3d遷移元素を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物100質量部に対して、貴金属を含有する複合酸化物が、例えば、10〜500質量部、好ましくは、30〜300質量部である。
【0164】
また、このような排ガス浄化用触媒1では、
図1に示されるように、第2浄化部材3が、第1浄化部材2に対する排ガスの通過方向上流側および下流側の両側において、第1浄化部材2に隣接配置される。
【0165】
すなわち、排ガスの通過方向上流側から下流側に向かって、排ガス浄化用触媒1を、順次、上流域、中流域および下流域の3つの流域に区画する場合、上流域には第2浄化部材3が、中流域には第1浄化部材2が、下流域には第2浄化部材3が、それぞれ配置される。
【0166】
なお、このような場合において、上流域、中流域および下流域の、それぞれの比率は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0167】
例えば、排ガス浄化用触媒1全体の、排ガスの通過方向に沿う長さ(以下、長さ)を1とした場合、上流域の長さ(第2浄化部材3の長さ)が、例えば、1/2〜1/4、好ましくは、1/2、中流域の長さ(第1浄化部材2の長さ)が、例えば、1/2〜1/4、好ましくは、1/4、下流側の長さ(第2浄化部材3の長さ)が、例えば、1/2〜1/4、好ましくは、1/4となるように、それぞれ設定される。
【0168】
また、上記した説明では、排ガス浄化用触媒1を、順次、上流域、中流域および下流域の3つの流域に区画し、排ガスの通過方向に沿って、3つの浄化部材を交互に配置しているが、浄化部材の数は特に制限されず、詳しくは図示しないが、必要により、排ガスの通過方向に沿って、4つ以上の浄化部材、すなわち、第1浄化部材2と第2浄化部材3とをそれぞれ2つ以上、交互に順次配置することができる。
【0169】
このようにして得られる排ガス浄化用触媒1は、ガソリンエンジンから排出される排ガス、具体的には、ガソリンエンジンにおけるストイキバーン領域(空燃比(A/F)が14.6をまたぐ領域(A/F=14.5〜14.7))およびその前後領域(A/F=13.5〜15.5)、とりわけ、リッチバーン領域(A/F=13.5〜14.5)において排出される排ガスを、浄化するために用いられる。
【0170】
そして、このような排ガス浄化用触媒1は、3d遷移元素を含有するとともに、貴金属を含有しない第1浄化部材2の排ガスに対する通過方向上流側および下流側の両側において、第1浄化部材2に、貴金属を含有する第2浄化部材3が隣接配置されているので、貴金属の使用量を低減させた場合にも、貴金属の使用量を低減させない場合と同等またはそれ以上の効率で、排ガス、とりわけ、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を浄化することができる。
【実施例】
【0171】
次に、本発明を製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<複合酸化物の製造>
製造例1(Cu/θ−Al
2O
3の製造)
θアルミナに、硝酸銅水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Cu担持θアルミナ(Pd/θ−Al
2O
3)粉末を得た。
【0172】
この粉末のCu担持量は、粉末50gに対して、Cu5gの割合であった。
【0173】
製造例2(Cu/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxideの製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をCe換算で0.030molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をZr換算で0.050molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をLa換算で0.005molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をY換算で0.005molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
【0174】
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce
0.30Zr0.50La
0.05Y
0.05Oxideで示されるセリア系複合酸化物の粉末を得た。
【0175】
次いで、得られた粉末45gに、硝酸銅水溶液(Cu換算で5g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Cu担持Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxide(Cu(10質量%)/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxide)の粉末を得た。
【0176】
この粉末のCu担持量は、粉末50gに対して、Cu5gの割合であった。
【0177】
製造例3(Pd/θ−Al
2O
3の製造)
θアルミナに、硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pd担持θアルミナ(Pd/θ−Al
2O
3)粉末を得た。
【0178】
この粉末のPd担持量は、粉末50gに対して、Pd0.5gの割合であった。
【0179】
製造例4(Pd/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxideの製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をCe換算で0.030molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をZr換算で0.050molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をLa換算で0.005molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をY換算で0.005molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
【0180】
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxideで示されるセリア系複合酸化物の粉末を得た。
【0181】
次いで、得られた粉末49gに、硝酸パラジウム水溶液(Pd換算で1g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pd担持Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxide(Pd(2.0質量%)/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxide)の粉末を得た。
【0182】
この粉末のPd担持量は、粉末50gに対して、Pd1gの割合であった。
【0183】
製造例5(Rh/Zr
0.84Ce
0.13La
0.01Nd
0.02Oxideの製造)
ジルコニウムメトキシプロピレートをZr換算で0.084molと、セリウムメトキシプロピレートをCe換算で0.013molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をLa換算で0.001molと、ネオジムメトキシプロピレート[Nd(OCH(CH
3)CH
2OCH
3)
3]をNd換算で0.002molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
【0184】
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr
0.84Ce
0.13La
0.01Nd
0.02Oxideで示されるジルコニア系複合酸化物の粉末を得た。
【0185】
次いで、得られた粉末39.8gに、硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.2g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Rh担持Zr
0.84Ce
0.13La
0.01Nd
0.02Oxide(Rh/Zr
0.84Ce
0.13La
0.01Nd
0.02Oxide)の粉末を得た。
【0186】
この粉末のRh担持量は、粉末40gに対して、Rh0.2gの割合であった。
<第1浄化部材および第2浄化部材の製造>
製造例6(第1浄化部材Aの製造)
製造例2で得られたCu/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxide、および、θ−Al
2O
3を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体(外径93mm、排ガスを通過させるように配置した場合において、排ガスの通過方向に沿う長さ22.5mm、0.15L)の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、内側層を形成した。
【0187】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Cu/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxideを100g(Cu担持量10g)および、θ―Al
2O
3を30g、それぞれ担持するように形成した。
【0188】
次いで、θ−Al
2O
3、および、製造例1で得られたCu/θ−Al
2O
3、の粉末をボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の内側層の表面全体に、後述する試験における排ガスの通過方向と直交する方向にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、外側層を形成した。
【0189】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、Cu/θ−Al
2O
3を100g担持するように形成した。
【0190】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を備えるモノリス担体を得、これを、第1浄化部材Aとした。第1浄化部材A全体でのCuの担持量は、20g/Lであった。
【0191】
製造例7(第1浄化部材Bの製造)
モノリス担体(外径93mm、排ガスを通過させるように配置した場合において、排ガスの通過方向に沿う長さ45mm、0.31L)を用い、排ガスの通過方向に沿う長さを第1浄化部材Aの2倍とした以外は、第1浄化部材Aと同様にして、第2浄化部材Bを得た。
【0192】
製造例8(第2浄化部材Aの製造)
製造例3で得られたPd/θ−Al
2O
3、製造例4で得られたPd/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxideの粉末、および、BaSO
4を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体(外径93mm、排ガスを通過させるように配置した場合において、排ガスの通過方向に沿う長さ22.5mm、0.15L)の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、内側層を形成した。
【0193】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Al
2O
3を50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce
0.30Zr
0.50La
0.05Y
0.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSO
4を20g、それぞれ担持するように形成した。
【0194】
次いで、θ−Al
2O
3、および、製造例8で得られたRh/Zr
0.84Ce
0.13La
0.01Nd
0.02Oxideを、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の内側層の表面全体に、後述する試験における排ガスの通過方向と直交する方向にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、外側層を形成した。
【0195】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Al
2O
3を40g、および、Rh/Zr
0.84Ce
0.13La
0.01Nd
0.02Oxideを40g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
【0196】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を備えるモノリス担体を得、これを第2浄化部材Aとした。第2浄化部材A全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
【0197】
製造例9(第2浄化部材Bの製造)
モノリス担体(外径93mm、排ガスを通過させるように配置した場合において、排ガスの通過方向に沿う長さ45mm、0.31L)を用い、排ガスの通過方向に沿う長さを第2浄化部材Aの2倍とした以外は、第2浄化部材Aと同様にして、第2浄化部材Bを得た。
【0198】
製造例10(ダミー部材の製造)
モノリス担体(外径93mm、排ガスを通過させるように配置した場合において、排ガスの通過方向に沿う長さ22.5mm、0.15L)を用意し、これを、ダミー部材(コート層なし)とした。
<排ガス浄化用触媒の製造>
実施例1
排ガスの通過方向に沿って、製造例9で得られた第2浄化部材B、製造例6で得られた第1浄化部材A、および、製造例8で得られた第2浄化部材Aを順次配置し、排ガス浄化用触媒を作製した。
【0199】
比較例1
排ガスの通過方向に沿って、製造例9で得られた第2浄化部材B、製造例10で得られたダミー部材、および、製造例8で得られた第2浄化部材Aを順次配置し、排ガス浄化用触媒を作製した。
【0200】
比較例2
排ガスの通過方向に沿って、製造例9で得られた第2浄化部材B、製造例8で得られた第2浄化部材A、および、製造例8で得られた第2浄化部材Aを順次配置し、排ガス浄化用触媒を作製した。
【0201】
比較例3
排ガスの通過方向に沿って、製造例9で得られた第2浄化部材B、および、製造例7で得られた第1浄化部材Bを順次配置し、排ガス浄化用触媒を作製した。
【0202】
各実施例および比較例における排ガス浄化用触媒の浄化部材構成を、表1に示す。
【0203】
【表1】
性能評価
実施例および各比較例で得られた各排ガス浄化用触媒(モノリス状触媒)を排気管に取り付けた、直列3気筒、排気量0.660Lのガソリンエンジンを、低慣性動力計(明電舎製)により、導入ガスの空燃比(A/F)が、13.5から15.5まで変化するように運転した。
【0204】
そして、上流域に導入されるガス(以下、入ガス)、上流域と中流域との間のガス(以下、中ガス)、および、下流域から排出されたガス(以下、出ガス)中のそれぞれについて、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO
x)の濃度を排ガス分析装置(HORIBA社製)で測定した。
【0205】
実施例1の排ガス浄化用触媒の、入ガス、中ガスおよび出ガスの空燃比と経過時間との関係を、
図2に、実施例1における入ガス、中ガスおよび出ガスのHC濃度と経過時間との関係を
図3に、実施例1における入ガス、中ガスおよび出ガスのCO濃度と経過時間との関係を
図4に、実施例1における入ガス、中ガスおよび出ガスのNO
x濃度と経過時間との関係を
図5に、それぞれ示す。
【0206】
また、比較例1の排ガス浄化用触媒の、入ガス、中ガスおよび出ガスの空燃比と経過時間との関係を、
図6に、比較例1における入ガス、中ガスおよび出ガスのHC濃度と経過時間との関係を
図7に、比較例1における入ガス、中ガスおよび出ガスのCO濃度と経過時間との関係を
図8に、比較例1における入ガス、中ガスおよび出ガスのNO
x濃度と経過時間との関係を
図9に、それぞれ示す。
【0207】
また、比較例2の排ガス浄化用触媒の、入ガス、中ガスおよび出ガスの空燃比と経過時間との関係を、
図10に、比較例2における入ガス、中ガスおよび出ガスのHC濃度と経過時間との関係を
図11に、比較例2における入ガス、中ガスおよび出ガスのCO濃度と経過時間との関係を
図12に、比較例2における入ガス、中ガスおよび出ガスのNO
x濃度と経過時間との関係を
図13に、それぞれ示す。
【0208】
また、比較例3の排ガス浄化用触媒の、入ガス、中ガスおよび出ガスの空燃比と経過時間との関係を、
図14に、比較例3における入ガス、中ガスおよび出ガスのHC濃度と経過時間との関係を
図15に、比較例3における入ガス、中ガスおよび出ガスのCO濃度と経過時間との関係を
図16に、比較例3における入ガス、中ガスおよび出ガスのNO
x濃度と経過時間との関係を
図17に、それぞれ示す。
(考察)
図2〜17が参照されるように、実施例1の排ガス浄化用触媒によれば、各比較例の排ガス浄化用触媒に比べ、優れたガス浄化性能、とりわけ、HCおよびCOに対する浄化性能を有効に発現させることができた。
【0209】
とりわけ、実施例1の排ガス浄化用触媒は、比較例2の排ガス浄化用触媒に比べ、貴金属の使用量を低減することができ、また、このような貴金属の使用量が低減された実施例1の排ガス浄化用触媒であっても、
図2〜4および
図10〜12が参照されるように、貴金属の使用量が低減されていない比較例2の排ガス浄化用触媒よりも優れたガス浄化性能、とりわけ、HCおよびCOに対する浄化性能を有効に発現させることができた。