特許第5865191号(P5865191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865191
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】双輪キャスタ
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20160204BHJP
【FI】
   B60B33/00 F
   B60B33/00 U
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-143533(P2012-143533)
(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公開番号】特開2014-4967(P2014-4967A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390027867
【氏名又は名称】東海キャスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 保之
(72)【発明者】
【氏名】福田 和展
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−109603(JP,A)
【文献】 実開昭64−044801(JP,U)
【文献】 実開昭55−068603(JP,U)
【文献】 実開昭61−070101(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスタ本体と、このキャスタ本体両側に同一軸芯の車軸を介して回転自在に支持された車輪とを備え、被取付体に旋回軸を介して旋回可能に固定される双輪キャスタにおいて、
キャスタ本体に、両車輪の内面側に形成された制動部と係脱して車輪の回動を阻止するストッパ機構を設けるとともに、キャスタ本体または車輪とのうち少なくともいずれか一方には、このストッパ機構と干渉しない部位に車軸側への異物の進入を阻止する防塵手段を設け、
キャスタ本体を胴切り状ブロックから構成するとともに、この防塵手段を、キャスタ本体の両側面にそれぞれ、車輪側に突出して設けられた環状の突部と、前記環状突部とにより狭隘な空間を形成するように前記環状の突部を受け入れる凹陥部が設けられた車輪とを備えて構成し、前記凹陥部を制動部より方向外側に設けたことを特徴とする双輪キャスタ。
【請求項2】
キャスタ本体両側面の環状突部は外側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の双輪キャスタ。
【請求項3】
車輪には、凹陥部に嵌装され、内周面が前記環状突部の突出端縁に臨みこの突出端縁との間に狭隘な隙間を形成する環形部材を設けて構成されることを特徴とする請求項2に記載の双輪キャスタ。
【請求項4】
環状突部の突出端縁には外側に膨出して形成された膨出縁を設け、環状突部の膨出縁を断面T字状に形成された環形部材の屈曲面に臨ませた状態で、この膨出縁と膨出縁に臨む環形部材の屈曲面との間に狭隘な隙間を形成したことを特徴とする請求項3に記載の双輪キャスタ。
【請求項5】
防塵手段を、一端開口が車輪側に延び他端有孔底面がキャスタ本体両側面の軸孔回りに設けられた有底円筒状部材と、
車輪の制動部より軸孔側に形成された環状凹陥部の周面に設けられた套体とを備えて構成し、
套体の内周面を、前記有底円筒状部材の開口端縁に臨ませた状態で、套体の内周面とこの開口端縁との間に狭隘な隙間を形成することを特徴とする請求項1に記載の双輪キャスタ。
【請求項6】
開口端縁を外側に折曲するように形成された有底円筒状部材と、キャスタ本体側開口端を内側に折曲するように形成した套体とを備え、有底円筒状部材の折曲するように形成された開口端縁を套体の開口端縁に臨ませた状態で套体内面との間に狭隘な隙間を形成したことを特徴とする請求項5に記載の双輪キャスタ。
【請求項7】
ストッパ機構を、キャスタ本体の旋回軸後方側に形成された収納部に変位可能に収納され両端が車輪の制動部に係脱可能な車輪ロック部材と、この車輪ロック部材を外部からの操作により変位させ、車輪をロックするロック位置または車輪のロックを解除する非ロック位置のうちいずれか一方に切り換える操作部材とを備えて構成したことを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1に記載の双輪キャスタ。
【請求項8】
車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された係止溝により構成し、
キャスタ本体の収納部を、キャスタ本体の両側面を左右に貫通し両側面に開口する貫通孔とこの貫通孔からキャスタ本体上面に開口し操作部材が挿入される挿入口とを有して構成し、
車輪ロック部材両端には、車輪の係止溝と係合する係合部を形成し、この車輪ロック部材を、弾性部材を介在させてこの貫通孔に差し入れ両端係合部をキャスタ本体から露出させて車輪の係止溝に臨ませ、
操作部材を外側操作プレートとこの外側操作プレートから下方に延長され延長端にカム面が形成されたカム部とを備えて構成し、
この操作部材のカム部を挿入口から挿通してキャスタ本体に揺動可能に支持しカム部を貫通孔内の車輪ロック部材上面に当接させ、異なるカム面により車輪ロック部材の両端係合部を車輪の係止溝に係脱させ、操作部材の各揺動端位置で車輪を制動状態または制動解除状態のうちいずれか一方に保持することを特徴とする請求項7に記載の双輪キャスタ。
【請求項9】
車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された周面により構成し、車輪ロック部材の両端係合部を、この周面に接触するブレーキゴムにより構成したことを特徴とする請求項8に記載の双輪キャスタ。
【請求項10】
車輪ロック部材上面には、操作部材のカム部に当接し左右方向の変位が規制される横ずれ防止部が形成されることを特徴とする請求項8または9に記載の双輪キャスタ。
【請求項11】
ストッパ機構を、キャスタ本体の旋回軸後方側に形成された収納部に揺動可能に支持され左右両端が車輪の制動部に係脱可能な揺動ロック部材と、
収納部に装着されこの揺動ロック部材を常時一方の揺動端位置に保持し、車輪をロック状態またはロック解除状態のうちいずれか一方に保持する弾性部材とを備えて構成し、
外部からの操作により揺動ロック部材を他方の揺動端位置に揺動させて車輪のロック状態またはロック解除状態を逆の状態に切り換えるよう構成したことを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1に記載の双輪キャスタ。
【請求項12】
車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された係止溝により構成し、
キャスタ本体の収納部を、キャスタ本体の両側面を左右に貫通し両側面に開口する貫通孔とこの貫通孔からキャスタ本体上面に開口し揺動ロック部材が挿入される挿入口とを有して構成し、
揺動ロック部材を、外側操作プレートとこの外側操作プレートから下方に延長され延長端にカム面が形成されたカム部とを備えて構成するとともに、カム部の左右両側には、車輪の係止溝と係合する係合部を形成し、
揺動ロック部材を、上面が弾性復帰可能に上下動するカム面接触子を介在させて貫通孔に差し入れ、左右両側係合部を車輪の係止溝に臨ませてキャスタ本体に揺動可能に支持しカム部を貫通孔内のカム面接触子に当接させ、異なるカム面により揺動ロック部材を車輪のロック位置または非ロック位置のうちいずれか一方に保持することを特徴とする請求項11に記載の双輪キャスタ。
【請求項13】
車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された周面により構成し、揺動ロック部材の両側係合部を、この周面に接触するブレーキゴムにより構成したことを特徴とする請求項12に記載の双輪キャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双輪キャスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、双輪キャスタは、左右の車輪と、これら車輪が車軸を介して回転自在に支持されたキャスタ本体と、このキャスタ本体の上記車軸から偏心した位置に設けられ家具等の被取付け体の底部に固定される旋回軸とを備えている。通常は、キャスタ本体が上記旋回軸を中心に自由に旋回するとともに車輪が回転して任意の方向に走行可能な自在車として使用される。ところで、上記従来の双輪キャスタでは、キャスタ本体と車輪との間に車軸への異物の進入を防ぐ防塵部材を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発明では、キャスタ本体側面に防塵カバーが固着されて車輪の内周面に沿って覆うように延びるとともに、車輪の内側平坦面に輪形部材が固着され、内周縁を防塵カバーの外周側端縁に臨ませて外周側端縁との間に狭隘な隙間を形成し、防塵構造を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−213737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されたキャスタでは、キャスタ本体に、車輪のキャスタ本体と向き合う側の面を覆う防塵カバーを固着し、車輪のキャスタ本体側内側面の外周部に、内周縁がこの防塵カバーの外周側端縁に臨む輪形部材を固着してこれらの部材により狭隘な隙間を形成し、防塵機構を構成するようにしている。防塵カバーはキャスタ本体の側面のうち車輪に対応する部位に設けられているため、車輪をロックして車輪を制動させるストッパ機構を設けるには、防塵部材と干渉しない位置に設けなければならないという問題がある。このため、ストッパ機構を防塵部材と干渉しない位置に設けようとすると、ストッパ機構自体が複雑化し双輪キャスタが大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、防塵構造を有する双輪キャスタであっても車輪のストッパ機構をキャスタ本体内に設け、コンパクト化を図ることができる双輪キャスタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る双輪キャスタは、キャスタ本体と、このキャスタ本体両側に同一軸芯の車軸を介して回転自在に支持された車輪とを備え、被取付体に旋回軸を介して旋回可能に固定される双輪キャスタにおいて、キャスタ本体に、両車輪の内面側に形成された制動部と係脱して車輪の回動を阻止するストッパ機構を設けるとともに、キャスタ本体または車輪とのうち少なくともいずれか一方には、このストッパ機構と干渉しない部位に車軸側への異物の進入を阻止する防塵手段を設け、キャスタ本体を胴切り状ブロックから構成するとともに、この防塵手段を、キャスタ本体の両側面にそれぞれ、車輪側に突出して設けられた環状の突部と、前記環状突部とにより狭隘な空間を形成するように前記環状の突部を受け入れる凹陥部が設けられた車輪とを備えて構成し、前記凹陥部を制動部より方向外側に設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項1に係る双輪キャスタでは、キャスタ本体と、このキャスタ本体両側に同一軸芯の車軸を介して回転自在に支持された車輪とを備え、被取付体に旋回軸を介して旋回可能に固定される双輪キャスタにおいて、キャスタ本体に、両車輪の内面側に形成された制動部と係脱して車輪の回動を阻止するストッパ機構を設けるとともに、キャスタ本体または車輪とのうち少なくともいずれか一方には、このストッパ機構と干渉しない部位に車軸側への異物の進入を阻止する防塵手段を設け、キャスタ本体を胴切り状ブロックから構成するとともに、この防塵手段を、キャスタ本体の両側面にそれぞれ、車輪側に突出して設けられた環状の突部と、前記環状突部とにより狭隘な空間を形成するように前記環状の突部を受け入れる凹陥部が設けられた車輪とを備えて構成し、前記凹陥部を制動部より方向外側に設けたことにより、キャスタの防塵構造と車輪のストッパ機構とがキャスタ本体に一体的に設けられ複数の機能が両立させられるので、キャスタ本体がコンパクト化される。
【0012】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、キャスタ本体両側面の環状突部外側に傾斜していることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、車輪には、凹陥部に嵌装され、内周面が前記環状突部の突出端縁に臨みこの突出端縁との間に狭隘な隙間を形成する環形部材を設けて構成されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、環状突部の突出端縁には外側に膨出して形成された膨出縁を設け、環状突部の膨出縁を断面T字状に形成された環形部材の屈曲面に臨ませた状態で、この膨出縁と膨出縁に臨む環形部材の屈曲面との間に狭隘な隙間を形成したことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、防塵手段を、一端開口が車輪側に延び他端有孔底面がキャスタ本体両側面の軸孔回りに設けられた有底円筒状部材と、車輪の制動部より軸孔側に形成された環状凹陥部の周面に設けられた套体とを備えて構成し、套体の内周面を、前記有底円筒状部材の開口端縁に臨ませた状態で、套体の内周面とこの開口端縁との間に狭隘な隙間を形成することを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、口端縁を外側に折曲するように形成された有底円筒状部材と、キャスタ本体側開口端を内側に折曲するように形成した套体とを備え、有底円筒状部材の折曲するように形成された開口端縁を套体の開口端縁に臨ませた状態で套体内面との間に狭隘な隙間を形成したことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、ストッパ機構を、キャスタ本体の旋回軸後方側に形成された収納部に変位可能に収納され両端が車輪の制動部に係脱可能な車輪ロック部材と、この車輪ロック部材を外部からの操作により変位させ、車輪をロックするロック位置または車輪のロックを解除する非ロック位置のうちいずれか一方に切り換える操作部材とを備えて構成したことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された係止溝により構成し、キャスタ本体の収納部を、キャスタ本体の両側面を左右に貫通し両側面に開口する貫通孔とこの貫通孔からキャスタ本体上面に開口し操作部材が挿入される挿入口とを有して構成し、車輪ロック部材両端には、車輪の係止溝と係合する係合部を形成し、この車輪ロック部材を、弾性部材を介在させてこの貫通孔に差し入れ両端係合部をキャスタ本体から露出させて車輪の係止溝に臨ませ、操作部材を外側操作プレートとこの外側操作プレートから下方に延長され延長端にカム面が形成されたカム部とを備えて構成し、この操作部材のカム部を挿入口から挿通してキャスタ本体に揺動可能に支持しカム部を貫通孔内の車輪ロック部材上面に当接させ、異なるカム面により車輪ロック部材の両端係合部を車輪の係止溝に係脱させ、操作部材の各揺動端位置で車輪を制動状態または制動解除状態のうちいずれか一方に保持することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項に係る双輪キャスタは、車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された周面により構成し、車輪ロック部材の両端係合部を、この周面に接触するブレーキゴムにより構成したことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項10に係る双輪キャスタは、車輪ロック部材上面には、操作部材のカム部に当接し左右方向の変位が規制される横ずれ防止部が形成されることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項11に係る双輪キャスタは、ストッパ機構を、キャスタ本体の旋回軸後方側に形成された収納部に揺動可能に支持され左右両端が車輪の制動部に係脱可能な揺動ロック部材と、収納部に装着されこの揺動ロック部材を常時一方の揺動端位置に保持し、車輪をロック状態またはロック解除状態のうちいずれか一方に保持する弾性部材とを備えて構成し、外部からの操作により揺動ロック部材を他方の揺動端位置に揺動させて車輪のロック状態またはロック解除状態を逆の状態に切り換えるよう構成したことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項12に係る双輪キャスタは、車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された係止溝により構成し、キャスタ本体の収納部を、キャスタ本体の両側面を左右に貫通し両側面に開口する貫通孔とこの貫通孔からキャスタ本体上面に開口し揺動ロック部材が挿入される挿入口とを有して構成し、揺動ロック部材を、外側操作プレートとこの外側操作プレートから下方に延長され延長端にカム面が形成されたカム部とを備えて構成するとともに、カム部の左右両側には、車輪の係止溝と係合する係合部を形成し、揺動ロック部材を、上面が弾性復帰可能に上下動するカム面接触子を介在させて貫通孔に差し入れ、左右両側係合部を車輪の係止溝に臨ませてキャスタ本体に揺動可能に支持しカム部を貫通孔内のカム面接触子に当接させ、異なるカム面により揺動ロック部材を車輪のロック位置または非ロック位置のうちいずれか一方に保持することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の請求項13に係る双輪キャスタは、車輪の制動部を、車輪内側面の外周側に形成された周面により構成し、揺動ロック部材の両側係合部を、この周面に接触するブレーキゴムにより構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る双輪キャスタは、キャスタ本体と、このキャスタ本体両側に同一軸芯の車軸を介して回転自在に支持された車輪とを備え、被取付体に旋回軸を介して旋回可能に固定される双輪キャスタにおいて、キャスタ本体に、両車輪の内面側に形成された制動部と係脱して車輪の回動を阻止するストッパ機構を設けるとともに、キャスタ本体または車輪とのうち少なくともいずれか一方には、このストッパ機構と干渉しない部位に車軸側への異物の進入を阻止する防塵手段を設け、キャスタ本体を胴切り状ブロックから構成するとともに、この防塵手段を、キャスタ本体の両側面にそれぞれ、車輪側に突出して設けられた環状の突部と、前記環状突部とにより狭隘な空間を形成するように前記環状の突部を受け入れる凹陥部が設けられた車輪とを備えて構成し、前記凹陥部を制動部より方向外側に設けたので、防塵性能の確保とストッパ機構の設置とを両立させるとともに、キャスタ本体をコンパクト化して装置全体の構成を簡素化しコストダウンを図る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の第1の実施例に係る双輪キャスタを示す斜視図である。(実施例1)
図2図2図1の双輪キャスタのキャスタ本体を示す側面図である。
図3図3図1の双輪キャスタの一方の車輪を取り外した状態を示す要部の斜視図である。
図4図4の(A)ないし(C)はそれぞれ、車輪ロック部材の側面図、正面図および平面図である。
図5図5の(A)、(B)はそれぞれ、操作部材の側面図および正面図である。
図6図6の(A)、(B)はそれぞれ、図1の双輪キャスタのロック解除時とロック時の状態を示す要部の一部破断側面図である。
図7図7図2の双輪キャスタのVII−VII線に沿った断面図で、(A)および(B)はそれぞれ、ロック解除時とロック時の状態を示す断面図である。
図8図8の(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第2の実施例に係る双輪キャスタの車輪ロック部材の側面図および正面図である。(実施例2)
図9図9の(A)、(B)はそれぞれ、第2の実施例に係る双輪キャスタの操作部材の側面図および正面図である。
図10図10は第2の実施例に係る双輪キャスタの車輪の内側面を示す側面図である。
図11図11の(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第2の実施例に係る双輪キャスタのロック解除時とロック時の状態を示す断面図である。
図12図12は本発明の第3の実施例に係る双輪キャスタを側方から見た要部の一部破断拡大図である。(実施例3)
図13図13図12の双輪キャスタを後方から見た要部の一部破断拡大図である。
図14図14図12の双輪キャスタの揺動ロック部材の揺動端位置を示す説明図である。
図15図15は本発明の第4の実施例に係る双輪キャスタを示す縦断面図である。(実施例4)
図16図16の(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第5の実施例に係る双輪キャスタを示す縦断面図および車輪の係止溝を示す説明図である。(実施例5)
図17図17の(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第6の実施例に係る双輪キャスタのストッパ機構を示す説明図および縦断面図である。(実施例6)
図18図18は本発明の第7の実施例に係る双輪キャスタを示す縦断面図である。(実施例7)
【発明を実施するための形態】
【0026】
防塵構造の形成とストッパ機構の設置とを両立させ、かつ、双輪キャスタのコンパクト化を図るという目的を、キャスタ本体と、このキャスタ本体両側に車軸を介して回転自在に支持された車輪とを備え、被取付体に旋回軸を介して旋回可能に固定される双輪キャスタにおいて、キャスタ本体に、両車輪の内面側に形成された制動部と係脱して車輪の回動を阻止するストッパ機構を設けるとともに、キャスタ本体または車輪とのうち少なくともいずれか一方には、このストッパ機構と干渉しない部位に車軸側への異物の進入を阻止する防塵手段を設け、防塵手段を、キャスタ本体両側面から車輪側に環状に突出させかつ同心円状に複数形成して構成し、ストッパ機構を、キャスタ本体の旋回軸後方側に収納部を形成し、この収納部に変位可能に収納され両端が車輪の制動部に係止可能な車輪ロック部材と、この車輪ロック部材を外部からの操作により変位させ、車輪をロックするロック位置と車輪のロックを解除する非ロック位置とに切り換える操作部材とを備えて構成したことにより実現した。
【実施例1】
【0027】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。本発明の第1の実施例に係る双輪キャスタ2は、図1および図2に示すように、キャスタ本体3と、このキャスタ本体3に車軸4を介して回転自在に支持された車輪5A、5Bと、キャスタ本体3に、上記車軸4から偏心させて垂直に形成された取付け孔6内に回転自在に嵌合された旋回軸7とを備えている。本実施例の双輪キャスタ2は、キャスタ本体3の両側に車軸4を介して2個の車輪5A,5Bが回転自在に支持されている。旋回軸7は、下部がキャスタ本体3の取付け孔6内に嵌合されるとともに、上部には家具等の被取付体(図示せず)側に螺合されるねじ部7Aが形成され、さらに、この旋回軸7を固定する際に回転操作を行なうフランジが設けられる。車輪5A、5Bにはそれぞれ、環状に凹陥した内側面8(図7の(A)、(B)参照)の外周側に係止溝(制動部)9、9が形成される。
【0028】
ところで、本実施例に係る双輪キャスタ2のキャスタ本体3は、胴切り状の円形ブロックに軸孔11が穿設されて構成される。キャスタ本体3の両側面12A、12B、すなわち、各車輪5A、5Bの内側面と向かい合う面には、環状の突部(防塵手段)13A〜13Cが軸孔11を取り囲んで形成される。これら環状突部13A〜13Cは、キャスタ本体両側面12A、12Bから車輪5A、5B側に環状に突出されかつ同心円状に複数形成して構成される。これら環状突部13A〜13Cの突出端は、車輪5A、5Bの内面との間で狭隘な空隙を形成し、外部から車軸4側へ異物が浸入するのを阻止するようになっている。軸孔11に最も近い環状突部13Aと最も遠い環状突部13Cはそれぞれ環状に閉じられて形成される。これら環状突部13A、13Cの中間に位置する環状突部13Bは一部が欠けて、キャスタ本体両側面12A、12Bに開口する貫通孔15の開口部15A、15Bに臨むようになっている。このように、キャスタ本体3と一体成形される環状突部13A〜13Cは多重の壁を形成して異物の進入を阻止するようになっている。
【0029】
双輪キャスタ2には、キャスタ本体3に、車輪5A、5Bの係止溝9、9と係合し、車輪5A、5Bの回動を阻止するストッパ機構30が設けられる。キャスタ本体3には、旋回軸7の後方側に収納部14が形成される。この収納部14は、キャスタ本体3の両側面12A、12Bを左右に貫通し両側面に開口する貫通孔15とこの貫通孔15から上面に開口する挿入口16A、16Bとを有して構成される。貫通孔15には、車輪ロック部材17が挿通され、ばね(弾性部材)18を介して貫通孔15内に収納される。車輪ロック部材17は、図4の(A)〜(C)に示すように、断面コ字状の中央部20とこの中央部20の端縁から外側に延びる両端部19、19とを有し、両端部19、19は貫通孔15の開口部15A、15Bから突出し、車輪5A、5Bの係止溝9に臨むようになっている。車輪ロック部材17は、貫通孔15内で車軸4に対して経方向に進退動するようになっている。車輪ロック部材17の、係止溝9に臨む両端部19、19には、係止溝9と係合する係合部が形成される。車輪5A、5Bの係止溝9、9は凹凸状に形成され、係合部19、19はこれら凹凸状の係止溝9、9に嵌合するように凹凸状に形成される。車輪ロック部材17の中央部20は上面が平坦に形成されるとともに、この中央平坦部20の左右両側には、後述する操作部材21のカムプレート24、25が当接する突部(横ずれ防止部)20A、20Bが形成される。車輪ロック部材17の中央部20の凹陥した下面側には、ばね18が介装されて貫通孔15内に収容されるようになっている。
【0030】
キャスタ本体3の挿入口16A、16Bには、操作部材21が挿入され、キャスタ本体3にピン22により揺動自在に支持される。操作部材21は、図5の(A)、(B)に示すように、折曲された外側操作プレート23とこの外側操作プレート23下面から下方に延長され延長端にカム面C1、C2が形成された一対のカムプレート(カム部)24、25とを備えて構成される。操作部材21は、カムプレート24、25が挿入口16A、16Bから挿通されキャスタ本体3に揺動可能に支持されると、カムプレート24、25のカム面C1、C2のうちいずれか一方が貫通孔15内に収納された車輪ロック部材17の中央平坦部20に当接されるようになっている。このため、操作部材21は、異なるカム面C1、C2が中央平坦部20に当接すると、いずれか一方の揺動端位置で保持される。両カムプレート24、25は、端縁側の外側面が車輪ロック部材17の中央平坦部20の左右両側に形成された突部20A、20Bに当接するようになっており、車輪ロック部材17は左右方向への横ずれが防止されるようになっている。
【0031】
そして、操作部材21の外側操作プレート23が外部からの操作により折曲前方部23Aがキャスタ本体3に押し付けられると、車輪ロック部材17をばね18の弾発力に抗して押し下げ、カム面C1を中央平坦部20に圧接させて保持すると、操作部材21はその揺動端位置で保持され、車輪ロック部材17の両端係合部19、19を車輪5A、5Bの係止溝9、9から離れた位置に、すなわち、車輪5A、5Bの回動を許容しロックを解除するロック解除位置に保持するようになっている(図6の(A)および図7の(A)参照)。また、操作部材21の外側操作プレート23が外部からの操作により異なる方向に、すなわち、折曲後方部23Bが押し下げられてカムプレート24、25が揺動操作されると、車輪ロック部材17の中央平坦部20に当接する面がカム面C1からカム面C2に移動し、車輪ロック部材17はばね18の弾発力により上方に押し上げられ、両端係合部19、19が車輪5A、5Bの係止溝9、9に係合し、操作部材21は他方の揺動端位置で保持され、車輪5A、5Bの回動をロックするロック位置に保持されるようになっている(図6の(B)および図7の(B)参照)。このように、双輪キャスタ2のストッパ機構30は、キャスタ本体3の収納部14に収容されたばね18および車輪ロック部材17と、キャスタ本体3に揺動自在に支持された操作部材21と車輪5A、5Bの内側凹陥部の外周側に形成された係止溝9とにより構成される。
【0032】
次に上記第1の実施例に係る双輪キャスタ2の作用について説明する。本実施例に係る双輪キャスタ2は、操作部材21の外側操作プレート23のうち折曲前方部23Aが外部からの操作によりキャスタ本体3側に押し付けられると、カムプレート24、25がピン22を中心に揺動し、カム面が車輪ロック部材17をばね18の弾発力に抗して押し下げ、カム面C1が中央平坦部20に接触すると、ばね18は車輪ロック部材17をカム面C1に圧接させ、操作部材21はそれ以上の揺動が規制され揺動端で保持される。このとき、車輪ロック部材17は貫通孔15内で経方向車軸側に後退しており、両端係合部19、19が車輪5A、5Bの係止溝9、9から離れた位置に、すなわち、車輪5A、5Bの制動解除位置に保持される(図6の(A)、図7の(A)参照)。このため、車輪5A、5Bは自在に回動される状態になっている。
【0033】
そして、車輪5A、5Bをロックして制動状態にするには、外側操作プレート23の折曲後方部23Bを外部からの操作により下方に押し下げ、外側操作プレート23を起立させると、カムプレート24、25がピン22を中心に逆方向に揺動し、中央平坦部20に接触するカム面がC1からC2に移動する間に車輪ロック部材17はばね18の弾発力に抗して一旦押し下げられた後、カム面C2が中央平坦部20に接触すると、ばね18は車輪ロック部材17をカム面C2に圧接させ、操作部材21はそれ以上の揺動が規制され他方の揺動端で保持される。このとき、車輪ロック部材17は貫通孔15内で車軸4側から経方向外側に進んでおり、両端係合部19、19が車輪5A、5Bの係止溝9、9に噛合した状態となっている。すなわち、車輪ロック部材17は車輪5A、5Bの制動位置に保持される(図6の(B)、図7の(B)参照)。こうして、双輪キャスタ2は、ストッパ機構30の外側操作プレート23を操作することにより、車輪5A、5Bをロックしたり、ロックを解除することができるようになっている。
【0034】
さらに、双輪キャスタ2のキャスタ本体両側面12A、12Bには、環状突部13A〜13Cが形成され、その突出端と車輪5A、5Bの内面との間で狭隘な空隙(防塵空間)を形成しているので、双輪キャスタ2が使用される際、外部からの異物の浸入が阻止される。しかも、環状突部13A〜13Cは、環状の突部を同心円状に複数形成し、多重の壁として形成しているので、異物の浸入を効果的に阻止することができる。また、ストッパ機構30は、内外周側の環状突部13A、13Cと干渉することなくキャスタ本体3と車輪5A、5Bとの間に設けられているので、防塵性能を確保してキャスタ本体3をコンパクト化することができる。
【実施例2】
【0035】
次に、本発明の第2の実施例に係る双輪キャスタ102について、図8ないし図11に基づいて説明する。本実施例に係る双輪キャスタ102は、上記第1の実施例に係る双輪キャスタ2では、車輪5A、5Bの制動部を凹陥した内側面8の外周側面に凹凸状の係止溝9、9を形成し、車輪ロック部材17の両端係合部19、19を凹凸状係止溝9、9に嵌合するよう凹凸状に形成し、車輪5A、5Bのロックを行うようにしているのに対し、車輪105A、105Bの制動部を、車輪105A、105Bの環状に凹陥した内側面108の外周側に形成された滑らかな周面109により構成し、車輪ロック部材117の両端には、この周面に接触するブレーキゴム119、119を取り付けて構成した点、上記第1の実施例に係る双輪キャスタ2では、操作部材21のカム部を一対のカムプレート24、25から構成しているのに対し、カム部をブロック状のカムブロック124から構成し、このカムブロック124に異なるカム面C1、C2を形成した点が異なっている外は上記第1の実施例とほぼ同一の構成を有している。カムブロック124は、貫通孔15からキャスタ本体3の上面に開口する単一の挿入口16から挿入され、貫通孔15内に揺動可能に収納されるようになっている。
【0036】
上記第2の実施例に係る双輪キャスタ102は、上述のように構成されているので、操作部材121の外側操作プレート123のうち折曲前方部123Aが外部からの操作によりキャスタ本体3側に押し付けられると、カムブロック124が揺動し、カム面が車輪ロック部材117をばね18の弾発力に抗して押し下げ、カム面C1が中央平坦部20に接触すると、ばね18は車輪ロック部材117をカム面C1に圧接させ、操作部材121は揺動端で保持される。このとき、車輪ロック部材117は貫通孔15内で経方向車軸側に後退しており、両端ブレーキゴム119、119が車輪105A、105Bの凹陥した内側面108の外周側周面109、109から離れた位置に、すなわち、車輪105A、105Bの制動解除位置に保持される(図11の(A)参照)。そして、車輪105A、105Bをロックして制動状態にするには、外側操作プレート123の折曲後方部123Bを外部からの操作により下方に押し下げ、外側操作プレート123を起立させてカムブロック124を逆方向に揺動させ、中央平坦部20に接触するカム面がC1からC2に移動する間に車輪ロック部材117はばね18の弾発力に抗して一旦押し下げられた後、カム面C2が中央平坦部20に接触すると、ばね18は車輪ロック部材117をカム面C2に圧接させ、操作部材121はそれ以上の揺動が規制され他方の揺動端で保持される。このとき、車輪ロック部材117は貫通孔15内で車軸4側から経方向外側に変位した位置にあり、両端ブレーキゴム119、119は車輪105A、105Bの周面109、109に圧接された状態となっている。すなわち、車輪ロック部材117は車輪105A、105Bの制動位置に保持される(図11の(B)参照)。こうして、双輪キャスタ2は、ストッパ機構130の外側操作プレート123を操作することにより、車輪105A、105Bをロックしたり、ロックを解除することができる。
【実施例3】
【0037】
次に、本発明の第3の実施例に係る双輪キャスタ202について、図12ないし図13に基づいて説明する。本発明の第3の実施例に係る双輪キャスタ202は、上記第1、第2の実施例に係る双輪キャスタ2、102が、車輪ロック部材17、117を操作部材21、121により進退動させて車輪5A、5B、105A、105Bをロックするようにしているのに対し、操作部材と車輪ロック部材とを一体に構成した揺動ロック部材221で構成した点が異なっている。すなわち、揺動ロック部材221は、外側操作プレート223とこの外側操作プレート223下面から下方に延長され延長端にカム面C1、C2が形成されたカムブロック(カム部)224とを備えて構成される。揺動ロック部材221は、挿入口16から挿入されて貫通孔15内に収納され、ピン22によりキャスタ本体3に揺動可能に支持されるようになっている。揺動ロック部材221のカムブロック224の一方のカム面C2側の両側面にブレーキゴム219、219を車輪205A、205B側に突出させて設け、揺動ロック部材221の揺動操作により、ブレーキゴム219、219を車輪205A、205Bの凹陥した内側面208の外周側周面209、209に圧接させ、車輪205A、205Bをロックするようにしている。
【0038】
本実施例に係る双輪キャスタ202は、キャスタ本体203に形成された収納孔204(貫通孔15と挿入口16)にばね218を収容し、このばね218に有底筒体(カム面接触子)217を被せて上下動可能に収容し、揺動ロック部材221を収納孔204に挿入してキャスタ本体203に揺動可能に支持させ、揺動ロック部材221のカム面C1、C2をこの筒体217の上面平坦部220に当接させるようになっている。揺動ロック部材221は、揺動操作されて一方のカム面C1が筒体217の上面220に当接するとその位置で保持される。そのとき、ブレーキゴム219、219は、車輪205A、205Bの周面209、209から離れた位置に保持される。このため、車輪205A、205Bは制動が解除される。そして、揺動ロック部材221が逆に揺動操作され、他方のカム面C2が筒体217の上面220に当接するとその位置で保持されるとともに、ブレーキゴム219、219は、車輪205A、205Bの周面209、209に圧接されて車輪205A、205Bはロックされるようになっている。なお、本実施例では、車輪205A、205Bのロックを操作部材のカムブロック224に設けたブレーキゴム219、219と車輪205A、205Bの周面209、209とにより行うようにしているがこれに限られるものではなく、第1の実施例のように、車輪205A、205B側に凹凸状の係止溝を形成し、ブレーキゴム219、219に代えてカムブロック224に係止溝に係合する凹凸状の係合部を設けるようにしてもよい。
【実施例4】
【0039】
次に、本発明の第4の実施例に係る双輪キャスタ302について、図15に基づいて説明する。本発明の第4の実施例に係る双輪キャスタ302は、上記第1の実施例に係る双輪キャスタ2が、車軸4側への異物の進入を阻止する環状突部13A〜13Cを、キャスタ本体両側面12A、12Bから車輪5A、5B側に環状に突出させかつ同心円状に複数形成して構成しているのに対し、車輪305A、305Bには、ストッパ機構30の係止溝9の経方向外側に、環状の凹陥溝(凹陥部、防塵手段)306、306を形成している。そして、キャスタ本体303の左右両側面312A、312Bから車輪305A、305B側に向かって突出する環状突部(防塵手段)313をこの環状凹陥溝306、306内に収めるようにした点が異なっている。すなわち、本実施例では、キャスタ本体303の環状突部313、313を車輪305A、305Bの環状凹陥溝306、306に受け入れるようにしている。このように構成することにより、環状突部313、313外面と環状突部313、313に臨む環状凹陥溝306、306の内面との間に狭隘な空間が形成される。しかも、この狭隘な空間は屈曲されて長く続くので、良好な防塵機能を果たすようになっている。
【実施例5】
【0040】
次に、本発明の第5の実施例に係る双輪キャスタ402について、図16の(A)、(B)に基づいて説明する。本発明の第5の実施例に係る双輪キャスタ402は、上記第1および第4の実施例に係る双輪キャスタ2、302が、環状突部13A〜13C、313をキャスタ本体側面12A、12B、312A、312Bの平坦な面から垂直に立ち上げて形成しているのに対し、環状突部413、413をキャスタ本体側面412A、412Bから外側に傾斜させて形成した点が異なっている。すなわち、本実施例に係る双輪キャスタ402は、キャスタ本体403の両側面412A、412Bの環状突部(防塵手段)413、413を外側に傾斜させて形成するとともに、車輪405A、405Bには、ストッパ機構30の係止溝9より経方向外側に環状突部413、413を受け入れる環状凹陥溝(防塵手段)406、406を形成している。環状突部413の突出端縁には、図16の(A)に示すように、外側に向かって膨出する膨出縁413Aが形成されるようになっている。このように構成することにより、環状突部413、413の膨出縁413A、413Aとこの膨出縁413A、413Aに臨む環状凹陥溝406、406の内面との間に狭隘な空間を曲げて長く確保することができる。
【実施例6】
【0041】
次に、本発明の第6の実施例に係る双輪キャスタ502について、図17の(A)、に基づいて説明する。本発明の第6の実施例に係る双輪キャスタ502は、上記第4および第5の各実施例に係る双輪キャスタ302、402が、車輪305A、305B、405A、405B側に環状突部313、313、413、413をそれぞれ受け入れる環状凹陥溝306、306、406、406を形成しているのに対し、車輪505A、505Bには、外側に傾斜して形成された環状突部(防塵手段)513、513を受け入れる凹陥部(防塵手段)506、506を形成し、この凹陥部506、506に環形部材540、540を固着し、この環形部材540、540の内周面を環状突部513、513の突出端縁513A、513Aに臨ませ、この突出端縁513A、513Aとの間に狭隘な隙間を形成するようにした点が異なっている。環状突部513、513の突出端縁には外側に膨出する膨出縁513A、513Aが形成される。環形部材540、540は断面T字状に形成され、頭部540A、540Aとスリーブ状部540B、540Bとにより屈曲面541が形成されるようになっている。そして、環状突部513、513の膨出縁513A、513Aを頭部540A、540Aとスリーブ状部540B、540Bとにより形成される屈曲面541に臨ませるようになっている。このため、膨出縁513A、513Aと屈曲面541との間に屈曲して連続する狭隘な隙間を形成するようにしている。
【実施例7】
【0042】
次に、本発明の第7の実施例に係る双輪キャスタ602について、図18に基づいて説明する。本発明の第7の実施例に係る双輪キャスタ602は、上記第4ないし第6の各実施例に係る双輪キャスタ302、402、502が、ストッパ機構30の外側にキャスタ本体側の環状突部とそれを受け入れる車輪側の環状凹陥溝(凹陥部)を形成し、防塵手段を構成するようにしているのに対し、ストッパ機構30の内側、すなわち、ストッパ機構30より軸孔側に防塵手段を設けるようにした点が異なっている。本実施例に係る双輪キャスタ602は、一端が開口し、他端に有孔環状底面が形成された有底円筒状部材(防塵手段)613A、613Bをキャスタ本体両側面603A、603Bの軸孔回りに固着し、車輪605A、605Bには、係止溝9の内側に配置された車輪ロック部材17の両端部19、19より経方向軸孔側に環状凹陥部606、606が形成される。この環状凹陥部606の周面には、内周面が円筒状部材613A、613Bの開口端縁614、614に臨むスリーブ(套体、防塵手段)640、640が固着される。これらスリーブ640、640はキャスタ本体側開口部640A、640Aが内側に折曲される。円筒状部材613A、613Bの開口端縁614、614は外側に折曲されて形成される。このように構成したことにより、スリーブ640、640の、折曲された端部614、614の外周面とスリーブ640、640の、屈曲された内周面との間に狭隘な隙間が形成され、防塵機能を果たすようになっている。このように、本発明では、キャスタ本体または車輪とのうち少なくともいずれか一方には、このストッパ機構と干渉しない部位であって、ストッパ機構の内外側のうち少なくともいずれか一方の部位に車軸側への異物の進入を阻止する防塵手段を設けるようにしている。
【0043】
なお、上記各実施例では、操作部材21、121および揺動ロック部材221を揺動端に保持して車輪のロックとロック解除を行うようにしているがこれに限られるものではなく、操作部材のカム面を一面のみとし弾性部材により常時一方の揺動端のみに保持して、車輪を常時、ロック状態またはロック解除状態のうちいずれか一方に保持しておき、操作部材に外力が与えられると、すなわち、外部から力が加えられる限りこれら一方の状態を解除し、外力が失われると、元のロック状態またはロック解除状態のうちいずれか一方の状態に復帰するように切り換える構成としてもよい。また、上記各実施例では、環状突部13A〜13Cをキャスタ本体の軸孔を中心に同心円状に多重に形成しているがこれに限られるものではなく、軸孔回りに単一の環状突部のみを形成してもよい。さらに、環状突部13A〜13Cに沿って別体の環状のブラシ材(防塵部材)を取り付け、防塵性能を向上させるようにしてもよい。また、上記実施例では、キャスタ本体側に環状突部を、車輪側に環状突部を受け入れる凹陥部を形成しているが、これに限られるものではなく、車輪側にキャスタ本体側に突出する環状突部を、キャスタ本体側にこの環状突部を受け入れる凹陥部を形成し、狭隘な防塵空間を確保するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
2 双輪キャスタ
3 キャスタ本体
4 車軸
5A、5B 車輪
7 旋回軸
8 車輪内面
9 係止溝(制動部)
11 軸孔
12A、12B キャスタ本体両側面
13A〜13C 環状突部(防塵手段)
30 ストッパ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
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図18