(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的なフォトカプラは、2つのリードフレームが対向して間隔をおいて配され、入力側のリードフレームに発光素子(例えば、発光ダイオード)がマウント及びボンディングされ、出力側のリードフレームに受光素子(例えば、受光IC)がマウント及びボンディングされ、発光素子と受光素子とが対向して間隔をおいて配された構成となっている(例えば、特許文献2の
図5参照)。このようなフォトカプラでは、入出力間(発光素子−受光素子間)において寄生容量(浮遊容量)が等価的に存在するため、ノイズ信号や高速スイッチング動作によって急激に変化する電圧が寄生容量に加わると、発光素子が点灯していなくても入力側(発光素子及びリードフレーム)から受光素子に電流(変位電流)が流れて、出力の誤作動を起こすことがある。
【0003】
このような誤作動に関し、誤動作のしにくさを表す指標としてCMR(Common Mode Rejection;瞬間同相除去電圧)と呼ばれるものがある。CMRとは、フォトカプラの出力状態を正しい状態に維持し得る最大の同相電圧V
CMのスルーレートをいい、1μsあたりの電圧変化値として表される(非特許文献1参照)。
【0004】
以上のような一般的なフォトカプラにおいて、ノイズ信号や高速スイッチング動作で電圧が急激に変化することによる入出力間の寄生容量を介して流れる変位電流i
dは、[数式1]のように表すことができる。
【0005】
[数式1]
D:電束密度
t:時間
n:単位法線ベクトル
S:導体面積
ρ:入力側の電荷密度
Q:電荷密度ρの積分値
C:入出力間の容量
V:入出力間の電圧
V
CM:同相電圧
t
r:立ち上がり時間
【0006】
同相電圧V
CMのスルーレートは「ΔV
CM/t
r」であるから、スルーレートを高くすると入力側(発光素子側)から出力側(受光素子側)へ向かって変位電流i
dが多く流れる。変位電流が多く流れても誤作動しない(フォトカプラの出力状態を正しい状態に維持しうる)ことは、流れた変位電流が受光素子に入りにくいことを意味する。
【0007】
CMR特性を向上させる1つの手法として、例えば、特許文献1では、受光ICの受光部に透光性で導電性のポリシリ層を形成し、ポリシリ層の電位をグランドにしたものが開示されている。この手法では、変位電流をポリシリ層で受けてグランドに逃がすことによって出力の誤動作を防止している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
【
図2】実施形態1に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
【
図3】実施形態1に係るフォトカプラにおける入力側リードフレーム及び発光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図4】実施形態1に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図5】比較例に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図6】実施形態1に係るフォトカプラにおける電界ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【
図7】比較例に係るフォトカプラにおける電界ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【
図8】実施形態1に係るフォトカプラにおける電流ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【
図9】比較例に係るフォトカプラにおける電流ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【
図10】実施形態2に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
【
図11】実施形態2に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
【
図12】実施形態2に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図13】実施形態3に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
【
図14】実施形態3に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
【
図15】実施形態3に係るフォトカプラにおける入力側リードフレーム及び発光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図16】実施形態3に係るフォトカプラにおける発光素子からの光の経路を模式的に示した図である。
【
図17】実施形態4に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
【
図18】実施形態4に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
【
図19】実施形態4に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図20】実施形態5に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
【
図21】実施形態5に係るフォトカプラの素子付近の構成を模式的に示した拡大側面図である。
【
図22】実施形態6に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
【
図23】実施形態6に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
【
図24】実施形態6に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係るフォトカプラについて図面を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
図2は、実施形態1に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
図3は、実施形態1に係るフォトカプラにおける入力側リードフレーム及び発光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
図4は、実施形態1に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【0018】
フォトカプラ1は、入力された電気信号を発光素子4で光に変換し、その光を受光素子5で電気信号に変換して当該電気信号を出力する素子(電子部品)である(
図1、
図2参照)。フォトカプラ1は、内部(遮光性樹脂8の内側)に発光素子4と受光素子5が収められ、外部からの光を遮断する遮光性樹脂8に封じ込められた構造になっている。フォトカプラ1は、内部において2つのリードフレーム2、3が対向して間隔をおいて配され、入力側リードフレーム2に発光素子4がマウント及びボンディングされ、出力側リードフレーム3に受光素子5がマウント及びボンディングされ、発光素子4と受光素子5とが対向して間隔をおいて配された構成となっている。フォトカプラ1は、入力側リードフレーム2と、出力側リードフレーム3と、マウント部3aと、発光素子4と、受光素子5と、透明樹脂6と、透光性樹脂7と、遮光性樹脂8と、ボンディングワイヤ9a、9b、9cと、ワイヤ突起物10と、を有する。
【0019】
入力側リードフレーム2は、電気信号が入力されるリードフレームである(
図1、
図2、
図3参照)。入力側リードフレーム2は、導体よりなり、例えば、銅、銅系合金、鉄系合金等を用いることができる。入力側リードフレーム2は、マウント部2aと、リード部2bと、リード部2cと、を有する。マウント部2aには、出力側リードフレーム3のマウント部3a側の面にて、発光素子4がマウント(搭載、接着、表面実装)されており、発光素子4を覆うようにして透明樹脂6がマウントされている。マウント部2aは、発光素子4のカソードと電気的に接続されている。リード部2bは、マウント部2aから遮光性樹脂8の外部に引き出されたリード端子である。リード部2bは、マウント部2aを介して発光素子4のカソードと電気的に接続されている。リード部2cは、マウント部2aに接続されていない外部に引き出されたリード端子である。リード部2cは、内部にて発光素子4のアノードとボンディングワイヤ9aを介して電気的に接続されている。入力側リードフレーム2は、マウント部2a、及び、リード部2bの一部(内部)、並びに、リード部2cの一部(内部)が透光性樹脂7によって覆われており、透光性樹脂7の外側にて、リード部2bの一部(中間部)、及び、リード部2cの一部(中間部)が遮光性樹脂8によって覆われており、遮光性樹脂8の外側にて、リード部2bの一部(外部)、及び、リード部2cの一部(外部)が露出している。
【0020】
出力側リードフレーム3は、電気信号が出力されるリードフレームである(
図1、
図2、
図4参照)。出力側リードフレーム3は、導体よりなり、例えば、銅、銅系合金、鉄系合金等を用いることができる。出力側リードフレーム3は、マウント部3aと、リード部3bと、リード部3cと、を有する。マウント部3aには、入力側リードフレーム2のマウント部2a側の面にて、受光素子5がマウント(搭載、接着、表面実装)されている。マウント部2aは、ボンディングワイヤ9bを介して受光素子5のエミッタと電気的に接続されている。マウント部2aは、受光素子5の周囲の領域の一部(所定の部分)にて、1又は複数のワイヤ突起部10が設けられており、ワイヤ突起部10と電気的に接続されている。リード部3bは、マウント部3aから遮光性樹脂8の外部に引き出されたリード端子である。リード部3bは、マウント部3a及びボンディングワイヤ9bを介して受光素子5のエミッタと電気的に接続されている。リード部3bは、マウント部3aを介してワイヤ突起部10と電気的に接続されている。リード部3cは、マウント部3aに接続されていない外部に引き出されたリード端子である。リード部3cは、内部にて受光素子5のコレクタとボンディングワイヤ9cを介して電気的に接続されている。出力側リードフレーム3は、マウント部3a、及び、リード部3bの一部(内部)、並びに、リード部3cの一部(内部)が透光性樹脂7によって覆われており、透光性樹脂7の外側にて、リード部3bの一部(中間部)、及び、リード部3cの一部(中間部)が遮光性樹脂8によって覆われており、遮光性樹脂8の外側にて、リード部3bの一部(外部)、及び、リード部3cの一部(外部)が露出している。
【0021】
発光素子4は、入力された電気信号を光に変換する素子である(
図1、
図2、
図3参照)。発光素子4には、例えば、発光ダイオードを用いることができる。発光素子4は、受光素子5と対向するように配される。発光素子4は、入力側リードフレーム2のマウント部2aにおける出力側リードフレーム3のマウント部3a側の面にマウント(搭載、接着、表面実装)されており、透明樹脂6を介して透光性樹脂7によって覆われている。発光素子4は、カソードが入力側リードフレーム2のマウント部2a及びリード部2bと電気的に接続されており、アノードがボンディングワイヤ9aを介してリード部2cに電気的に接続されている。
【0022】
受光素子5は、入力された光を電気信号に変換する素子である(
図1、
図2、
図4参照)。受光素子5には、例えば、フォトトランジスタを用いることができる。受光素子5は、発光素子4と対向するように配される。受光素子5は、出力側リードフレーム3のマウント部3aにおける入力側リードフレーム2のマウント部2a側の面にマウント(搭載、接着、表面実装)されており、透光性樹脂7によって覆われている。受光素子5は、エミッタがボンディングワイヤ9bを介して出力側リードフレーム3のマウント部3a及びリード部3bに電気的に接続されており、コレクタがボンディングワイヤ9cを介してリード部3cに電気的に接続されている。
【0023】
透明樹脂6は、入力側リードフレーム2のマウント部2a上にマウントされた発光素子4を覆う透明な樹脂である(
図1、
図2参照)。透明樹脂6には、例えば、透明シリコン樹脂を用いることができる。
【0024】
透光性樹脂7は、入力側リードフレーム2のマウント部2a、リード部2b、2cの一部(内部)、透明樹脂6、ボンディングワイヤ9a、出力側リードフレーム3のマウント部3a、リード部3b、3cの一部(内部)、受光素子5、ボンディングワイヤ9b、9c、ワイヤ突起物10を覆う透光性の樹脂である(
図1、
図2参照)。透光性樹脂7には、例えば、透光性白色エポキシ樹脂を用いることができる。
【0025】
遮光性樹脂8は、入力側リードフレーム2のリード部2b、2cの一部(中間部)、出力側リードフレーム3のリード部3b、3cの一部(中間部)、透光性樹脂7を覆う遮光性の樹脂である(
図1、
図2参照)。遮光性樹脂8には、例えば、黒色エポキシ樹脂を用いることができる。
【0026】
ボンディングワイヤ9aは、発光素子4のアノードと入力側リードフレーム2のリード部2cとを電気的に接続するワイヤである(
図1、
図2、
図3参照)。ボンディングワイヤ9aは、発光素子4の近傍の部分で透明樹脂6に覆われており、その他の部分で透光性樹脂7に覆われている。ボンディングワイヤ9aには、例えば、金、アルミニウム、銅等よりなるワイヤを用いることができる(ボンディングワイヤ9b、9c、ワイヤ突起物10についても同様)。
【0027】
ボンディングワイヤ9bは、受光素子5のエミッタと出力側リードフレーム3のマウント部3a及びリード部3bとを電気的に接続するワイヤである(
図1、
図2、
図4参照)。ボンディングワイヤ9bは、透光性樹脂7に覆われている。
【0028】
ボンディングワイヤ9cは、受光素子5のコレクタと出力側リードフレーム3のリード部3cとを電気的に接続するワイヤである(
図1、
図2、
図4参照)。ボンディングワイヤ9bは、透光性樹脂7に覆われている。
【0029】
ワイヤ突起物10は、ボンディングワイヤで形成された突起物である。ワイヤ突起物10は、受光素子5から離間して受光素子5の周囲の領域の一部に設けられている。ワイヤ突起物10は、ボンディングワイヤの両端部が出力側リードフレーム3のマウント部3aに接続(接合)されており、ボンディングワイヤの中間部が入力側リードフレーム2のマウント部2bに向かって突出している。ワイヤ突起物10は、マウント部2bには接触していない。ワイヤ突起物10は、受光素子5の厚さより高く突出しており、突出した先端部が尖がっていることが望ましい。ワイヤ突起物10は、発光素子4から受光素子5への光路上に配されないように形成されている。ワイヤ突起物10は、ボンディングワイヤ9b、9cと同一材料(9aと同一材料でも可)であることが好ましい。ボンディングワイヤ9b、9cを形成する工程でワイヤ突起物10も形成でき、製造コストを低減することができるからである。
【0030】
ここで、CMR(瞬間同相除去電圧)特性をパッケージ構造の工夫で向上させるには、(1)発光素子−受光素子間の容量が減るような構造にして発生する変位電流量を減らす、(2)変位電流を逃がして、受光素子に入る変位電流量を減らす、ということが考えられる。実施形態1に係るフォトカプラの構造は、上記(2)を利用したものである。
【0031】
次に、実施形態1に係るフォトカプラにおける電界ベクトル及び電流ベクトルのシミュレーション結果を比較例と対比しながら図面を用いて説明する。
図5は、比較例に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
図6は、実施形態1に係るフォトカプラにおける電界ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
図7は、比較例に係るフォトカプラにおける電界ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
図8は、実施形態1に係るフォトカプラにおける電流ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
図9は、比較例に係るフォトカプラにおける電流ベクトルのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【0032】
ここで、比較例は、ワイヤ突起物(
図4の10)を有さない構成となっており(
図5参照)、その他の構成は実施形態1(
図1〜
図3参照)と同様である。
【0033】
フォトカプラにおける電界ベクトル、電界分布、電流ベクトル、電流分布、Sパラメータ、パッケージの容量、全変位電流量について、市販の電磁界シミュレータを用いて検証を行った。
【0034】
[電界ベクトル、電界分布]
図7を参照すると、比較例のようにワイヤ突起物10がない場合、電気力線が受光素子5やマウント部3aに向かって入る電気力線12のみである。一方、
図6を参照すると、実施形態1のようにワイヤ突起物10がある場合、ワイヤ突起物10に向かって入る電気力線12が存在し、電界分布からワイヤ突起物10の先端で電界集中している。
【0035】
[電流ベクトル、電流分布]
図9を参照すると、比較例のようにワイヤ突起物10がない場合、変位電流路が受光素子5に向かって入る変位電流路13のみである。一方、
図8を参照すると、実施形態1のようにワイヤ突起物10がある場合、ワイヤ突起物10に向かって入る変位電流路13が存在し、受光素子5に入る変位電流経路13が比較例よりも減少している
【0036】
以上より、実施形態1では、ワイヤ突起物10側に変位電流が流れ、受光素子5に入る変位電流量が減少するので、CMR特性を向上させることができる。
【0037】
実施形態1によれば、入力側リードフレーム2と出力側リードフレーム3との間の隙間に、出力側リードフレーム3に接続されたワイヤ突起物10を設けることにより、電気力線は等電位面に対して垂直に入射するため、ワイヤ突起物10に電界が集中し、ワイヤ突起物10側にも変位電流が流れる。その結果、受光素子5に入る変位電流が減り、CMR特性を向上させることができる。また、ワイヤ突起物10は発光素子4から受光素子5に入る光を妨げないので、CTR(出力側光電流と入力側順電流の比)特性は維持することができる。さらに、ボンディングワイヤでワイヤ突起物10を形成しているので、出力側リードフレーム3と受光素子5とをボンディングワイヤ9b、9cで結線する工程においてワイヤ突起物10を形成することができ、部材の製造コストを低減することができる。
【0038】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係るフォトカプラについて図面を用いて説明する。
図10は、実施形態2に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
図11は、実施形態2に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
図12は、実施形態2に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【0039】
実施形態2は、実施形態1の変形例であり、受光素子5から離間して受光素子5の周囲の領域の全般にワイヤ突起物10を設けたものである。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0040】
実施形態2によれば、実施形態1と同様な効果を奏するとともに、実施形態1よりも受光素子5に入る変位電流をさらに減らすことができる。
【0041】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係るフォトカプラについて図面を用いて説明する。
図13は、実施形態3に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
図14は、実施形態3に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
図15は、実施形態3に係るフォトカプラにおける入力側リードフレーム及び発光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
図16は、実施形態3に係るフォトカプラにおける発光素子からの光の経路を模式的に示した図である。
【0042】
実施形態3は、実施形態1の変形例であり、出力側リードフレーム3のマウント部3aにワイヤ突起物10を設ける点は実施形態1と同様であるが、入力側リードフレーム2のマウント2aを、リードフレーム製造時のエッチング又はスタンピングでへこませた凹部2dを設け、凹部2dに発光素子4をマウントしたものである。凹部2dに発光素子4をマウントすることで、発光素子4の側面から出た光が、凹部2dの側面で反射して受光素子5に入るようにすることができる。凹部2dには発光素子4を覆うように透明樹脂6が充填される。その他の構成は、実施形態1と同様である。なお、実施形態3において、実施形態2を適用してもよい。
【0043】
実施形態3によれば、実施形態1と同様に、ワイヤ突起物10でCMR特性を向上させることができるとともに、発光素子4の側面から出た光が、凹部2dの側面で反射して受光素子5に入るようにすることができるため、実施形態1よりもCTR(出力側光電流と入力側順電流の比)特性を向上させることができる。
【0044】
[実施形態4]
本発明の実施形態4に係るフォトカプラについて図面を用いて説明する。
図17は、実施形態4に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
図18は、実施形態4に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
図19は、実施形態4に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【0045】
実施形態4は、実施形態1の変形例であり、出力側リードフレーム3のマウント部3aを、リードフレーム製造時のエッチング又はスタンピングでへこませた凹部3dを設け、凹部3dに受光素子5をマウントし、凹部3dの周囲の領域にワイヤ突起物10を設けたものである。凹部3dには受光素子5を覆うように透光性樹脂7が充填される。その他の構成は、実施形態1と同様である。なお、実施形態4において、実施形態2を適用してもよい。
【0046】
実施形態4によれば、発光素子4と受光素子5との間の間隔が遠ざかるのでCTR特性は劣るが、突起物の高さを実施形態1と同じにすると、受光素子5の受光面が発光素子4から遠い分、変位電流がワイヤ突起物10に流れやすくなり、実施形態1よりもCMR特性をさらに向上させることができる。
【0047】
[実施形態5]
本発明の実施形態5に係るフォトカプラについて図面を用いて説明する。
図20は、実施形態5に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
図21は、実施形態5に係るフォトカプラの素子付近の構成を模式的に示した拡大側面図である。
【0048】
(構成)
実施形態5は、実施形態1の変形例であり、実施形態1の構造において、実施形態3の入力側リードフレーム2の凹部2dと実施形態4の出力側リードフレーム3の凹部3dとを組み合わせたものである。その他の構成は、実施形態1と同様である。なお、実施形態5において、実施形態2を適用してもよい。
【0049】
実施形態5によれば、実施形態3の効果と実施形態4の効果の両方が得られる。
【0050】
[実施形態6]
本発明の実施形態6に係るフォトカプラについて図面を用いて説明する。
図22は、実施形態6に係るフォトカプラの構成を模式的に示した側面図である。
図23は、実施形態6に係るフォトカプラの構成を模式的に示した平面図である。
図24は、実施形態6に係るフォトカプラにおける出力側リードフレーム及び受光素子の構成を模式的に示した斜視図である。
【0051】
実施形態6は、実施形態1の変形例であり、実施形態1のワイヤ突起物(
図1、
図2、
図3の10)の代わりに導電性バンプを積み重ねたバンプ突起物11を、受光素子5から離間して受光素子5の周囲の領域の一部に設けたものである。バンプ突起物11は、受光素子5の厚さより高く、先端が尖がっていることが望ましい。バンプ突起物11には、例えば、Au、Pb/Sn系合金等を用いることができる。その他の構成は、実施形態1と同様である。なお、実施形態6のバンプ突起物11は、実施形態2〜5のワイヤ突起物の代わりに用いてもよい。
【0052】
実施形態6によれば、実施形態1と同様な効果を奏する。
【0053】
なお、上記一視点に係るフォトカプラにおいては、以下のようにすることが好ましい。
【0054】
前記フォトカプラにおいて、前記突起物は、前記受光素子の厚さより高く突出している。
【0055】
前記フォトカプラにおいて、前記突起物は、先端部が尖っている。
【0056】
前記フォトカプラにおいて、前記突起物は、前記発光素子から前記受光素子への光路上に配されていない。
【0057】
前記フォトカプラにおいて、前記入力側リードフレームは、前記出力側リードフレーム側の面に凹部を有し、前記発光素子は、前記凹部内にマウントされている。
【0058】
前記フォトカプラにおいて、前記出力側リードフレーム側は、前記入力側リードフレームの面に他の凹部を有し、前記受光素子は、前記他の凹部内にマウントされている。
【0059】
前記フォトカプラにおいて、前記受光素子と前記出力側リードフレームとを電気的に接続する他のボンディングワイヤを備え、前記突起物がボンディングワイヤよりなる場合、前記他のボンディングワイヤは、前記突起物と同一材料である。
【0060】
また、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0061】
さらに、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。