(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行モータにより自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され油圧ポンプを駆動する原動機を備えた上部旋回体と、該上部旋回体に設けられアクチュエータにより俯仰動するフロント装置とからなり、
前記上部旋回体は、平板状の底板を有し支持構造体を形成する旋回フレームと、該旋回フレームに設けられた制御弁ブロック取付板と、前記油圧ポンプから前記走行モータおよび前記アクチュエータへの圧油の給排を制御する複数の方向制御弁からなり前記制御弁ブロック取付板にまとめて取付けられた制御弁ブロックとを備えてなる建設機械において、
前記制御弁ブロック取付板のうち前記旋回フレームの底板と対面する裏面には、前記制御弁ブロックの重心位置を挟んで等距離となる位置に少なくとも2個の支持部材を設け、
これら各支持部材は、上側が開口端となって前記制御弁ブロック取付板の裏面に固着され、下側が前記旋回フレームの底板に取付けられる取付面となった断面U字状の枠体として形成され、
前記旋回フレームの底板には、前記各支持部材の前記取付面が取付けられる位置とは異なる位置に当該底板の重量を軽減するための重量軽減部を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
前記重量軽減部は、前記旋回フレームの底板を貫通する貫通孔および/または前記旋回フレームの底板に凹設された凹陥溝により構成してなる請求項1に記載の建設機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルは、通常、トラックの荷台に積載した状態で作業現場に搬送されるため、油圧ショベル全体の重量を、トラックの積載重量の制限内に納める必要がある。
【0006】
これに対し、制御弁ブロックを構成する各方向制御弁は、油圧ポンプから吐出した高圧の圧油に耐えられるように頑丈な金属性のブロック体によって形成されるので、複数の方向制御弁の集合体からなる制御弁ブロックは重量が大きくなる。このため、重量物である制御弁ブロックが旋回フレームに搭載されることにより、油圧ショベルの重量が増大してしまうという問題がある。
【0007】
一方、制御弁ブロックを構成する各方向制御弁とアクチュエータとの間は、油圧ホース等の油圧管路を介して接続されるので、旋回フレーム上に配置された各種の搭載機器を避けて油圧管路を配置(配策)するためには、制御弁ブロックを、旋回フレームの底板から上方に離間した高い位置に配置する必要がある。
【0008】
しかし、重量物である制御弁ブロックを旋回フレームの高い位置に安定して配置するためには、多数の頑丈なブラケット等を介して旋回フレームの底板上に制御弁ブロックを取付ける必要があり、このブラケット等の重量が加わることにより、油圧ショベル全体の重量がさらに増大してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、重量物である制御弁ブロックを、旋回フレームに対し安定して取付けることができ、かつ、全体を軽量化することができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、走行モータにより自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され油圧ポンプを駆動する原動機を備えた上部旋回体と、該上部旋回体に設けられアクチュエータにより俯仰動するフロント装置とからなり、前記上部旋回体は、平板状の底板を有し支持構造体を形成する旋回フレームと、該旋回フレームに設けられた制御弁ブロック取付板と、前記油圧ポンプから前記走行モータおよび前記アクチュエータへの圧油の給排を制御する複数の方向制御弁からなり前記制御弁ブロック取付板にまとめて取付けられた制御弁ブロックとを備えてなる建設機械に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記制御弁ブロック取付板のうち前記旋回フレームの底板と対面する裏面には、前記制御弁ブロックの重心位置を挟ん
で等距離となる位置に少なくとも2個の支持部材を設け、これら各支持部材は、上側が開口端となって前記制御弁ブロック取付板の裏面に固着され、下側が前記旋回フレームの底板に取付けられる取付面となった断面U字状の枠体として形成され、前記旋回フレームの底板には、前記各支持部材の前記取付面が取付けられる位置とは異なる位置に当該底板の重量を軽減するための重量軽減部を設けたことにある。
【0012】
請求項2の発明は、前記重量軽減部は、前記旋回フレームの底板を貫通する貫通孔および/または前記旋回フレームの底板に凹設された凹陥溝により構成したことにある。
【0013】
請求項3の発明は、前記旋回フレームの底板は、前記重量軽減部を除く部位を支持梁とし、前記支持部材は該支持梁に取付ける構成としたことにある。
【0014】
請求項4の発明は、前記旋回フレームは、前,後方向に延びる前記底板と、該底板上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びる左
縦板,右縦板と、前記底板の前,後方向の中間部に立設され前記右縦板から前記左縦板を越えて左,右方向に延びる横板とにより構成し、前記支持梁と前記重量軽減部は、前記底板のうち前記左縦板と前記横板とによって仕切られた左前角部に設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、制御弁ブロック取付板に対し、制御弁ブロックの重心位置を挟ん
で等距離となる位置に少なくとも2個の支持部材を設け、これら各支持部材を旋回フレームの底面に取付ける構成としている。即ち、各支持部材は、上側が開口端となって前記制御弁ブロック取付板の裏面に固着され、下側が前記旋回フレームの底板に取付けられる取付面となった断面U字状の枠体として形成されている。これにより、制御弁ブロック取付板に取付けられた制御弁ブロックを、その重心位置を挟む複数の位置で各支持部材を介して強度の高い底板に取付けることができるので、重量物である制御弁ブロックを底板上に安定して支持することができる。
【0016】
しかも、旋回フレームの底板のうち各支持部材
の取付面から離間した部位に、重量軽減部を設けることにより、旋回フレームの重量を軽減することができ、建設機械全体の軽量化を図ることができる。また、各支持部材は、制御弁ブロックの重心位置を挟んでほぼ等距離となる位置に配置されているので、最小限の支持部材を用いて制御弁ブロックを底板に対して安定して支持することができる。この結果、支持部材の数を減らすことができ、建設機械全体の重量を一層軽減することができる。
【0017】
さらに、制御弁ブロック取付板に設けた各支持部材によって、制御弁ブロックを底板よりも高い位置に配置することができるので、制御弁ブロックを構成する各方向制御弁と各アクチュエータとの間を油圧管路を介して接続するときの作業性を高めることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、旋回フレームの底板に貫通孔を設けることにより、旋回フレームの重量を低減し、建設機械全体の軽量化を図ることができる。また、旋回フレームの底板に凹陥溝を設けることにより、底板の強度を充分に確保しつつ旋回フレームの重量を低減することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、旋回フレームの底板のうち重量軽減部を除いた部位が強度の大きな支持梁となるので、制御弁ブロック取付板に設けた各支持部材を底板の支持梁に取付けることにより、重量軽減部によって軽量化された旋回フレームに対しても、重量物である制御弁ブロックを充分な強度をもって支持することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、支持梁と重量軽減部が設けられる底板の左前角部を、当該底板上に立設された左縦板と横板とによって補強することができる。この結果、支持梁の強度を一層高めることができ、この支持梁によって重量物である制御弁ブロックを安定して支持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に適用される建設機械として、キャノピ仕様の油圧ショベルを例に挙げ、
図1ないし
図13を参照しつつ詳細に説明する。まず、
図1ないし
図7は本発明の第1の実施の形態を示している。
【0023】
図1において、1は建設機械としてのキャノピ仕様の油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前端側に設けられ土砂の掘削作業等を行うスイング式のフロント装置5とにより大略構成されている。
【0024】
下部走行体2は、左,右のトラックサイドフレーム2Aを有し、各トラックサイドフレーム2Aの前,後方向の一側には遊動輪2Bが設けられ、各トラックサイドフレーム2Aの前,後方向の他側には駆動輪2Cが設けられている。そして、遊動輪2Bと駆動輪2Cとには履帯2Dが巻回されている。ここで、下部走行体2の左,右の駆動輪2Cは、それぞれアクチュエータとしての走行モータ2Eを備え、この走行モータ2Eは、例えば可変容量式の油圧モータによって構成されている。
【0025】
また、旋回装置3は、油圧モータ等からなるアクチュエータとしての旋回モータ3Aを有している。この旋回モータ3Aを駆動することにより、下部走行体2上で上部旋回体4を旋回させることができる。
【0026】
一方、フロント装置5は、後述する旋回フレーム6の前端側に左,右方向に揺動可能に設けられたスイングポスト5Aと、該スイングポスト5Aに俯仰動可能に取付けられたブーム5Bと、該ブーム5Bの先端側に俯仰動可能に取付けられたアーム5Cと、該アーム5Cの先端側に回動可能に取付けられたバケット5Dと、スイングポスト5Aを揺動させるスイングシリンダ5Eと、ブーム5Bを俯仰動させるブームシリンダ5Fと、アーム5Cを俯仰動させるアームシリンダ5Gと、バケット5Dを回動させるバケットシリンダ5Hとからなり、これら各シリンダ5E,5F,5G,5Hはアクチュエータを構成している。
【0027】
次に、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、エンジン9、カウンタウエイト11、運転席14、キャノピ17、制御弁ブロック取付板18、制御弁ブロック24等により構成されている。
【0028】
6は上部旋回体4のベースとなる旋回フレームを示し、該旋回フレーム6は、強固な支持構造体をなしている。この旋回フレーム6は、
図2および
図3に示すように、厚肉な鋼板材を用いて前,後方向に延びる長方形の平板状に形成された底板6Aと、底板6Aの上面側に立設され、左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板6Bおよび右縦板6Cと、底板6Aの前,後方向の中間部に立設され、右縦板6Cから左縦板6Bを越えて底板6Aの左端部近傍まで左,右方向に延びる横板6Dと、後述する重量軽減部7とにより大略構成されている。
【0029】
ここで、左,右の縦板6B,6Cは、左,右方向の間隔が後端部から前端部に向けて徐々に小さくなるように上方からみてV字型に配置されており、左,右の縦板6B,6Cの前端側には、フロント装置5のスイングポスト5Aを支持する円筒状のスイングブラケット6Eが設けられている。また、横板6Dは、左,右の縦板6B,6C間を連結することによりこれらを補強すると共に、後述するエンジン9と制御弁ブロック24との間を仕切るものである。
【0030】
7は旋回フレーム6の底板6Aに設けられた重量軽減部を示し、該重量軽減部7は、底板6Aのうち左縦板6Bと横板6Dとによって仕切られた左前角部6A1、即ち、左縦板6Bよりも左側で横板6Dよりも前側となる範囲に設けられ、底板6Aの重量を軽減するものである。
【0031】
ここで、重量軽減部7は、底板6Aを上,下方向に貫通し左,右方向に延びる横長な長方形状の3個の貫通孔7A,7B,7Cにより構成され、これら各貫通孔7A〜7Cは、前,後方向に間隔をもって並んでいる。このように、厚肉な鋼板材からなる底板6Aに3個の貫通孔7A,7B,7Cを形成することにより、底板6Aの重量を軽減することができる構成となっている。
【0032】
8は各貫通孔7A,7B,7Cの間に位置して底板6Aの左前角部6A1に形成された支持梁8を示し、該支持梁8は、後述する左,右の支持部材19,20が取付けられるものである。ここで、支持梁8は、貫通孔7Aと7Bとの間を左,右方向に延びる前支持梁8Aと、貫通孔7Bと7Cとの間を左,右方向に延びる後支持梁8Bとにより構成されている。そして、前支持梁8Aには、上,下方向に貫通する2個のボルト挿通孔8A1が左,右方向に離間して穿設され、後支持梁8Bにも、上,下方向に貫通する2個のボルト挿通孔8B1が左,右方向に離間して穿設されている。
【0033】
9は旋回フレーム6の後側に搭載された原動機としてのエンジンを示し、該エンジン9は、クランク軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態で配置されている。エンジン9の左端側には油圧ポンプ10が取付けられ、該油圧ポンプ10は、エンジン9によって駆動されることにより、下部走行体2の走行モータ2E、旋回装置3の旋回モータ3A、フロント装置5の各シリンダ5E,5F,5G,5H等のアクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。
【0034】
11は旋回フレーム6の後端側に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト11は、フロント装置5との重量バランスをとるものである。ここで、カウンタウエイト11は、エンジン9、油圧ポンプ10等を後側から覆うように、左,右方向の中央部が後方に突出して円弧状に湾曲する重量物として形成されている。また、カウンタウエイト11は、後述するキャノピ17を取付ける旋回フレーム6側の台座部材となるものである。
【0035】
12はエンジン9の上部前側を覆うように旋回フレーム6上に設けられたシートベースを示し、該シートベース12上には、後述の運転席14が取付けられている。また、13はシートベース12の前側に敷設された床板を示し、該床板13は、運転席14に着席したオペレータの足場を形成するものである。
【0036】
14はシートベース12上に取付けられた運転席を示し、該運転席14はオペレータが着席するものである。運転席14の左,右両側には、フロント装置5、旋回装置3を操作するための左,右の作業操作レバー15が配設され、運転席14の前側には、下部走行体2の走行モータ2Eを操作するための左,右の走行操作レバー16が配設されている。そして、これら作業操作レバー15、走行操作レバー16は、減圧弁型の油圧パイロット弁により形成され、作業操作レバー15、走行操作レバー16に対する操作に応じて、後述の制御弁ブロック24にパイロット圧が供給される構成となっている。
【0037】
17は上部旋回体4に設けられた2柱式のキャノピを示している。このキャノピ17は、カウンタウエイト11の上面に取付けられ上,下方向に延びる左,右の支柱17Aと、各支柱17Aの上端側に取付けられたルーフ17Bとにより構成され、運転席14を上方から覆うものである。
【0038】
次に、本実施の形態に用いられる制御弁ブロック取付板、および制御弁ブロックについて説明する。
【0039】
18は旋回フレーム6の底板6Aに設けられた制御弁ブロック取付板を示し、該制御弁ブロック取付板18は、後述の制御弁ブロック24が取付けられるものである。ここで、制御弁ブロック取付板18は、
図3ないし
図6に示すように、底板6Aよりも薄肉な鋼板材を用いて四角形の平板状に形成されている。制御弁ブロック取付板18には、上,下方向(板厚方向)に貫通する4個のボルト挿通孔18Aが、互いに前,後方向および左,右方向に間隔をもって穿設されている。そして、制御弁ブロック取付板18のうち旋回フレーム6の底板6Aと対面する裏面18Bには、後述する左,右の支持部材19,20が設けられ、制御弁ブロック取付板18のうち裏面18Bとは反対側となる上面18Cには、後述する制御弁ブロック24が取付けられる構成となっている。
【0040】
19,20は制御弁ブロック取付板18の裏面18Bに左,右方向に離間して設けられ左,右(2個)の支持部材を示している。これら左支持部材19と右支持部材20とは、旋回フレーム6の底板6Aから上方に離間した位置(底板6Aよりも高い位置)で制御弁ブロック取付板18を支持するものである。
【0041】
ここで、左支持部材19は、鋼板材等を折曲げることにより断面U字状の枠体として形成され、上側が開口端19Aとなると共に下側が取付面19Bとなっている。取付面19Bの中央部にはボルト挿通孔19Cが穿設され、取付面19Bのうち制御弁ブロック取付板18と対面する面には、ボルト挿通孔19Cと同心上にナット19Dが溶接されている(
図6参照)。一方、右支持部材20も、左支持部材19と同様に、開口端20Aと取付面20Bとを有する断面U字状の枠体として形成され、取付面20Bにはボルト挿通孔20Cが穿設されると共に、該ボルト挿通孔20Cと同心上にナット20Dが溶接されている。
【0042】
左支持部材19と右支持部材20とは、制御弁ブロック取付板18の裏面18B側に左,右方向に間隔をもって配置され、左支持部材19の開口端19Aと、右支持部材20の開口端20Aとは、それぞれ制御弁ブロック取付板18の裏面18Bに溶接等の手段を用いて固着されている。そして、底板6Aの左前角部6A1に設けられた前支持梁8Aの各ボルト挿通孔8A1に上向きにボルト21を挿通し、このボルト21を、左支持部材19のナット19Dと右支持部材20のナット20Dにそれぞれ螺合する。これにより、底板6Aの前支持梁8A上に、左,右の支持部材19,20を介して制御弁ブロック取付板18が取付けられる構成となっている。
【0043】
この場合、
図7に示すように、制御弁ブロック取付板18に取付けられる制御弁ブロック24の重心位置をGとすると、左支持部材19のナット19Dに螺合したボルト21の中心と制御弁ブロック24の重心位置Gとの間の距離Aと、右支持部材20のナット20Dに螺合したボルト21の中心と制御弁ブロック24の重心位置Gとの間の距離Aとは等しく設定されている。即ち、左支持部材19と右支持部材20とは、制御弁ブロック24の重心位置Gを挟んで等距離Aとなる位置において、制御弁ブロック取付板18の裏面18Bに固着されている。また、制御弁ブロック取付板18に固着された左支持部材19と右支持部材20とは、制御弁ブロック24の重心位置Gの直下となる位置で、旋回フレーム6の底板6Aに設けられた前支持梁8Aにボルト21を用いて取付けられている。
【0044】
22は左,右の支持部材19,20よりも後側に離間して制御弁ブロック取付板18の裏面18Bに設けられた補助ブラケットを示し、該補助ブラケット22は、旋回フレーム6の底板6Aに形成された後支持梁8Bに取付けられるものである。ここで、補助ブラケット22は、左,右の支持部材19,20よりも左,右方向に長尺な断面U字状の枠体として形成され、上側が開口端22Aとなると共に下側が取付面22Bとなっている。取付面22Bには、左,右方向に離間して2個のボルト挿通孔22Cが穿設されると共に、各ボルト挿通孔22Cと同心上に2個のナット22Dが固着されている。
【0045】
そして、底板6Aの左前角部6A1に設けられた後支持梁8Bの各ボルト挿通孔8B1に上向きにボルト23を挿通し、このボルト23を補助ブラケット22の各ナット22Dに螺合することにより、底板6Aの後支持梁8B上に補助ブラケット22を介して制御弁ブロック取付板18が取付けられる。これにより、制御弁ブロック取付板18は、左,右の支持部材19,20によって安定して支持されることに加え、補助ブラケット22によってさらに安定する構成となっている。
【0046】
次に、24は制御弁ブロック取付板18の上面18Cに取付けられた制御弁ブロックを示し、該制御弁ブロック24は、制御弁ブロック取付板18を介して、旋回フレーム6を構成する底板6Aの左前角部6A1に配置されている。ここで、制御弁ブロック24は、下部走行体2の走行モータ2E、旋回装置3の旋回モータ3A、フロント装置5の各シリンダ5E,5F,5G,5H等のアクチュエータに対する圧油の給排を制御する複数の方向制御弁24Aの集合体からなっている。
【0047】
ここで、制御弁ブロック24を構成する各方向制御弁24Aには、油圧ポンプ10から各アクチュエータに供給される圧油、および各アクチュエータからタンク(図示せず)に戻る戻り油が流通する油圧管路24Bがそれぞれ接続されている。一方、各方向制御弁24Aには、作業操作レバー15、走行操作レバー16の操作に応じたパイロット圧が供給されるパイロット管路24Cがそれぞれ接続されている。従って、各方向制御弁24Aが、パイロット管路24Cを通じて供給されたパイロット圧に基づいて各アクチュエータに給排される圧油の方向を制御することにより、所望のアクチュエータを操作することができる。
【0048】
そして、これら複数の方向制御弁24Aを、左,右方向に並べた状態で複数の長尺なボルト等(図示せず)を用いて一体化することにより、1つのブロック体からなる制御弁ブロック24が形成され、制御弁ブロック取付板18の各ボルト挿通孔18Aに上向きに挿通したボルト25を、制御弁ブロック24の下面側に螺合することにより、制御弁ブロック取付板18の上面18C側にまとめて取付けられた制御弁ブロック24が構成されている。この場合、制御弁ブロック24を構成する各方向制御弁24Aは、油圧ポンプ10から吐出した高圧の圧油に耐えられるように頑丈な金属性のブロック体によって形成されている。このため、複数の方向制御弁24Aの集合体からなる制御弁ブロック24は、その重量が大きな重量物となっている。
【0049】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、運転席14に着席したオペレータが走行操作レバー16を操作することにより、制御弁ブロック24を構成する方向制御弁24Aによって下部走行体2の走行モータ2Eに対する圧油の給排が制御され、下部走行体2を走行させることができる。また、オペレータが作業操作レバー15を操作することにより、制御弁ブロック24を構成する他の方向制御弁24Aによって旋回装置3の旋回モータ3A、フロント装置5の各シリンダ5E,5F,5G,5H等に対する圧油の給排が制御され、旋回装置3あるいはフロント装置5を作動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0050】
次に、本実施の形態に用いられる制御弁ブロック24を、制御弁ブロック取付板18を介して旋回フレーム6の底板6A上に取付ける手順について説明する。
【0051】
まず、
図4に示すように、複数の方向制御弁24Aを、左,右方向に並べた状態で複数の長尺なボルト等(図示せず)を用いて一体化し、1つのブロック体からなる制御弁ブロック24を形成する。そして、制御弁ブロック取付板18の各ボルト挿通孔18Aに対し、裏面18B側から上向きにボルト25を挿通し、このボルト25を制御弁ブロック取付板18の下面側に螺合する。これにより、複数の方向制御弁24Aをまとめて一体化した制御弁ブロック24を、制御弁ブロック取付板18の上面18C上に取付けることができる。
【0052】
次に、
図3に示すように、制御弁ブロック取付板18の裏面18Bに設けた左,右の支持部材19,20を、旋回フレーム6を構成する底板6Aの左前角部6A1に設けた前支持梁8A上に載置する。この状態で、前支持梁8Aに設けた各ボルト挿通孔8A1に対し、底板6Aの裏面側から上向きにボルト21を挿通し、このボルト21を、左支持部材19のナット19Dと右支持部材20のナット20Dにそれぞれ螺合する。これにより、底板6Aの前支持梁8A上に、左,右の支持部材19,20を介して制御弁ブロック取付板18を取付けることができる。
【0053】
また、左,右の支持部材19,20よりも後側に離間して制御弁ブロック取付板18の裏面18Bに設けた補助ブラケット22を、前支持梁8Aよりも後側に離間して旋回フレーム6の底板6Aに設けた後支持梁8B上に載置する。この状態で、後支持梁8Bに設けた各ボルト挿通孔8B1に対し、底板6Aの裏面側から上向きにボルト23を挿通し、このボルト23を補助ブラケット22のナット22Dに螺合する。これにより、底板6Aの後支持梁8B上に、補助ブラケット22を介して制御弁ブロック取付板18を取付けることができる。
【0054】
この場合、
図7に示すように、左支持部材19のナット19Dに螺合したボルト21の中心と制御弁ブロック取付板18に取付けられた制御弁ブロック24の重心位置Gとの間の距離Aと、右支持部材20のナット20Dに螺合したボルト21の中心と制御弁ブロック24の重心位置Gとの間の距離Aとは等しく設定されている。即ち、左支持部材19と右支持部材20とは、制御弁ブロック24の重心位置Gを挟んで等距離Aとなる位置において、制御弁ブロック取付板18の裏面18Bに固着されている。また、
図6に示すように、制御弁ブロック取付板18に固着された左支持部材19と右支持部材20とは、制御弁ブロック24の重心位置Gの直下となる位置で、旋回フレーム6の底板6Aに設けられた前支持梁8Aにボルト21を用いて取付けられている。
【0055】
かくして、本実施の形態によれば、制御弁ブロック取付板18の裏面18Bのうち、制御弁ブロック24の重心位置Gを挟んで等距離となる2箇所に、左支持部材19と右支持部材20とを設け、これら左,右の支持部材19,20を、強度の高い旋回フレーム6(底板6A)の前支持梁8Aに取付ける構成としている。これにより、重量物である制御弁ブロック24を、その重心位置Gを挟む2箇所で底板6A上に安定して支持することができる。
【0056】
しかも、旋回フレーム6の底板6Aのうち、制御弁ブロック取付板18の左,右の支持部材19,20が取付けられた前支持梁8A、および制御弁ブロック取付板18の補助ブラケット22が取付けられた後支持梁8Bから離間した部位には、3つの貫通孔7A,7B,7Cからなる重量軽減部7が設けられている。このため、旋回フレーム6の重量を軽減することができ、油圧ショベル1全体の軽量化を図ることができる。
【0057】
このように、各貫通孔7A,7B,7C間には、充分な強度を有する前支持梁8Aと後支持梁8Bとが形成されているので、制御弁ブロック取付板18に設けた各支持部材19,20を前支持梁8Aに取付けることにより、重量軽減部7によって軽量化された旋回フレーム6に対しても、重量物である制御弁ブロック24を充分な強度をもって支持することができる。
【0058】
一方、制御弁ブロック取付板18の左,右の支持部材19,20を、制御弁ブロック24の重心位置Gを挟んで等距離Aとなる位置に配置することにより、2個の支持部材19,20を用いて制御弁ブロック24を底板6Aに対して安定して支持することができる。この結果、支持部材19,20の数を最小限に減らすことができ、油圧ショベル1全体の重量を一層軽減することができる。
【0059】
また、制御弁ブロック取付板18に設けた左,右の支持部材19,20によって、制御弁ブロック24を底板6Aよりも高い位置に配置することができる。この結果、例えば制御弁ブロック24を構成する各方向制御弁24Aに、油圧管路24B、パイロット管路24Cを接続するときの作業性を高めることができる。
【0060】
さらに、前支持梁8A、後支持梁8Bからなる支持梁8と、貫通孔7A,7B,7Cからなる重量軽減部7とが設けられた底板6Aの左前角部6A1は、底板6A上に立設された左縦板6Bと横板6Dとによって補強されている。この結果、支持梁8の強度を一層高めることができ、重量物である制御弁ブロック24を一層安定して支持することができる。
【0061】
次に、
図8ないし
図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、旋回フレームの底板に、前,後方向に延びる縦長な長方形の貫通孔からなる重量軽減部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0062】
図中、31は旋回フレーム6の底板6Aに設けられた第2の実施の形態による重量軽減部を示している。この重量軽減部31は、第1の実施の形態による重量軽減部7と同様に、旋回フレーム6を構成する底板6Aのうち、左縦板6Bと横板6Dとによって仕切られた左前角部6A1に設けられている。しかし、第2の実施の形態による重量軽減部31は、後述する貫通孔31A,31Bの形状および個数が、第1の実施の形態による重量軽減部7とは異なるものである。
【0063】
ここで、重量軽減部31は、底板6Aを上,下方向に貫通し前,後方向に延びる縦長な長方形状の2個の貫通孔31A,31Bにより構成され、これら各貫通孔31A,31Bは、左,右方向に間隔をもって並んでいる。このように、厚肉な鋼板材からなる底板6Aに2個の貫通孔31A,31Bを形成することにより、旋回フレーム6の重量を軽減することができる構成となっている。
【0064】
32は各貫通孔31A,31Bの間に位置して底板6Aの左前角部6A1に形成された支持梁を示し、該支持梁32は、各貫通孔31A,31B間を前,後方向に延び、後述する前,後の支持部材34,35が取付けられるものである。そして、支持梁32には、上,下方向に貫通する2個のボルト挿通孔32Aが前,後方向に離間して穿設されている。
【0065】
33は制御弁ブロック24が取付けられる制御弁ブロック取付板を示し、該制御弁ブロック取付板33は、底板6Aよりも薄肉な鋼板材を用いて前,後方向に延びる長方形の平板状に形成されている。そして、制御弁ブロック取付板33のうち旋回フレーム6の底板6Aと対面する裏面33Aには、後述する前,後の支持部材34,35が設けられ、制御弁ブロック取付板33のうち裏面33Aとは反対側となる上面33Bには、制御弁ブロック24がボルト25を用いて取付けられている。
【0066】
34,35は制御弁ブロック取付板33の裏面33Aに前,後方向に離間して設けられ前,後(2個)の支持部材を示している。これら前支持部材34と後支持部材35とは、旋回フレーム6の底板6Aから上方に離間した位置(底板6Aよりも高い位置)で制御弁ブロック取付板33を支持するものである。
【0067】
ここで、前支持部材34は、断面U字状の枠体として形成され、上側が開口端34Aとなると共に下側が取付面34Bとなっている。取付面34Bの中央部にはボルト挿通孔34Cが穿設されると共に、該ボルト挿通孔34Cと同心上にナット34Dが溶接されている。一方、後支持部材35も、前支持部材34と同様に、開口端35Aと取付面35Bとを有する断面U字状の枠体として形成され、取付面35Bにはボルト挿通孔35Cが穿設されると共に、該ボルト挿通孔35Cと同心上にナット35Dが溶接されている。
【0068】
前支持部材34の開口端34Aと、後支持部材35の開口端35Aとは、それぞれ制御弁ブロック取付板33の裏面18Bに溶接等の手段を用いて固着されている。そして、底板6Aの左前角部6A1に設けられた支持梁32の各ボルト挿通孔32Aに上向きにボルト21を挿通し、このボルト21を、前支持部材34のナット34Dと後支持部材35のナット35Dにそれぞれ螺合する。これにより、底板6Aの支持梁32上に、前,後の支持部材34,35を介して制御弁ブロック取付板33が取付けられている。
【0069】
この場合、
図11に示すように、制御弁ブロック取付板33に取付けられる制御弁ブロック24の重心位置をGとすると、前支持部材34のナット34Dに螺合したボルト21の中心と制御弁ブロック24の重心位置Gとの間の距離Bと、後支持部材35のナット35Dに螺合したボルト21の中心と制御弁ブロック24の重心位置Gとの間の距離Bとは等しく設定されている。即ち、前支持部材34と後支持部材35とは、制御弁ブロック24の重心位置Gを挟んで等距離Bとなる位置において、制御弁ブロック取付板33の裏面33Aに固着されている。また、制御弁ブロック取付板33に固着された前支持部材34と後支持部材35とは、制御弁ブロック24の重心位置Gの直下となる位置で、旋回フレーム6の底板6Aに設けられた支持梁32にボルト21を用いて取付けられている。
【0070】
第2の実施の形態による油圧ショベルは、旋回フレーム6に上述の如き重量軽減部31を設けたもので、本実施の形態においても、制御弁ブロック取付板33に取付けられた制御弁ブロック24を、その重心位置Gを挟む2箇所で、強度の高い旋回フレーム6(底板6A)の支持梁32に取付けることができ、重量物である制御弁ブロック24を底板6A上に安定して支持することができる。
【0071】
しかも、旋回フレーム6の底板6Aのうち、制御弁ブロック取付板33の前,後の支持部材34,35が取付けられた支持梁32から離間した部位には、2つの貫通孔31A,31Bからなる重量軽減部31が設けられている。このため、旋回フレーム6の重量を軽減することができ、油圧ショベル1全体の軽量化を図ることができる。
【0072】
なお、上述した第1の実施の形態では、旋回フレーム6の底板6Aに設けられる重量軽減部7を、底板6Aを上,下方向に貫通する3つの貫通孔7A,7B,7Cによって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば
図12に示す第1の変形例のように、フライス加工等の手段を用いて底板6Aの上面を凹陥させることにより、3つの凹陥溝36A,36B,36Cからなる重量軽減部36を形成してもよい。この場合には、3つの貫通孔7A,7B,7Cからなる重量軽減部7を設ける構成に比較して、底板6Aの強度を高めることができる。このことは、第2の実施の形態による重量軽減部31についても同様である。
【0073】
また、例えば
図13に示す第2の変形例のように、2つの貫通孔37A,37Bと、1つの凹陥溝37Cとからなる重量軽減部37を底板6Aに設ける構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態による重量軽減部31についても同様である。
【0074】
また、上述した第1の実施の形態では、重量軽減部7を3つの貫通孔7A〜7Cによって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、1つの貫通孔または凹陥溝によって重量軽減部を構成してもよく、4つ以上の貫通孔および/または凹陥溝によって重量軽減部を構成してもよい。
【0075】
また、各実施の形態では、運転席14の上方を覆うキャノピ17を備えたキャノピ仕様の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、運転席14の周囲と上方を覆うキャブボックスを備えたキャブ仕様の油圧ショベルに適用してもよい。
【0076】
さらに、各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベル等に適用してもよい。