(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、前記更新されたスタンプ数情報に基づいて表示情報を生成し、前記通信部を用いて前記利用者通信端末に送信するように構成され、前記利用者通信端末は前記表示情報を受信して、該表示情報に基づく画像を前記タッチパネル上に表示することを特徴とする請求項2に記載のスタンプシステム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の一例としての実施形態におけるスタンプシステム1の全体構成図である。スタンプシステム1は、スタンプ10と、利用者通信端末20と、利用者通信端末20と通信ネットワーク30を介して接続されたサーバ装置40と、サーバ装置40と通信回線を介して接続された店舗端末50とを含んで構成されている。このシステムは、店舗に来訪した利用者の利用者通信端末20のタッチスパネル21に、店舗に備えられたスタンプ10を押印することによって、サーバ装置40にスタンプを蓄積し、蓄積したスタンプ数に応じて利用者に対して商品の無料クーポン等の特典を提供するものである。なお、本明細書において、スタンプ10を利用者通信端末20のタッチパネル21上に押圧することを「押印」と呼んでいる。
【0026】
図2は、スタンプ10の形状の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図である。スタンプ10は、持ち手部11とスタンプ本体12とを含んで構成される。持ち手部11は、スタンプ10を押印するのに人の手に持つ部分である。
図2(a)の持ち手部11の形状は例示であり、これ以外に、人の手に持つのに適した種々の形状を有することができる。
【0027】
また、スタンプ本体12は、スタンプ固有のパターンを有する部分である。スタンプ本体12の底面側外周には、底部外枠13が設けられている。(b)に一例を示すように、スタンプ10の底面側は、楕円形の外周に沿って底部外枠13が下側に突き出ている。また、スタンプ本体12は、底部外枠13からさらに下側に突き出た6つの外側突起部14(第1の突起部)と、底部外枠13の内側の面から下側に突き出た6つの内側突起部15(第2の突起部)とを有している。なお、下側とはスタンプ押印時の下側を指し、すなわち持ち手11からスタンプ本体12方向を指すものとする。また、上側は下側の反対方向を意味するものとする。
【0028】
底部外枠13は、スタンプ本体12に対して、下側に付勢された状態で上下に摺動可能に取り付けられている。また、6つの外側突起部14の先端部(下端)は仮想的な同一平面上に位置し、6つの内側突起部15の先端部(下端)は、外側突起部14の先端部よりも上側に位置する別の仮想的な同一平面上に位置する。ここで、外側突起部14の先端が形成する仮想的な平面と、外側突起部15の先端が形成する仮想的な平面とは、互いに略平行である。これによって、スタンプ10をスタンプ本体12の底面を下に向けて、平坦面上に置くと先ず外側突起部14が平坦面に接し、次に、持ち手部11を下に押下すると、底部外枠13に対してスタンプ本体12の底面が下に変位して、内側突起部15が平坦面に接する。
【0029】
外側突起部14および内側突起部15の先端は、円形の平坦面または例えば半球面のような平坦面と点状に接する曲率を有する形状となっている。外側突起部14には、導電性のゴム、例えば導電性シリコンゴムにより形成されているものと、場合により、導電性を有さないゴムで形成されているものを含む。一方、内側突起部15は導電性のゴムで形成されているもののみで構成される。さらに、導電性のゴムで形成された外側突起部14および内側突起部15は、電気的に持ち手部11に接続されている。
【0030】
次に、
図1の利用者通信端末20について説明する。利用者通信端末20は、少なくともタッチパネル21とCPU等の情報処理手段とRAMなどの記憶素子とアンテナや変復調器等の通信手段とを有する携帯可能な端末であり、例えば、スマートフォンやタブレット端末などである。利用者通信端末20は、タッチパネル21上での複数の接触点を識別可能な、いわゆるマルチタッチポイント方式に対応した表面型静電容量方式のタッチパネル21を有している。このような技術については、例えば米国特許第7479949号明細書に記載されるように公知である。また、複数の接触点を識別可能なタッチパネルを有する利用者通信端末としては、携帯電話やパソコン、タブレット端末等で、種々の製品が上市されている。
【0031】
利用者通信端末20は、図示しないGPS(Global Positioning System)位置情報検出手段を有し、GPS衛星60からのGPS衛星信号を受信し端末の位置座標を示す端末位置情報を特定する。GPSについては公知であるから詳しい説明を省略する。さらに、利用者通信端末20は、端末の識別情報を有する。例えば、利用者通信端末20が携帯電話の場合は、携帯電話が有する携帯電話番号やMEID(Mobile Equipment Identifier)などがこれに当たる。または、利用者通信端末20はサーバ装置40から与えられた、会員番号などの識別情報を有しても良い。利用者通信端末20は、これらの端末の識別情報またはサーバ装置40から与えられた識別情報を、利用者識別情報として保持する。
【0032】
さらに、利用者通信端末20は、サーバ装置40から提供されたスタンプ識別用のアプリケーションプログラムをメモリ内に格納し、このアプリケーションを実行することができる。スタンプ識別用のプログラムは、タッチパネル21にスタンプ10が押印されたときに、スタンプ10の外側突起部14および内側突起部15のタッチパネル21上での接触点の配置を識別し、この接触点配置から接触点配置情報である1次ユニークIDと2次ユニークIDとを識別することができる。利用者通信端末20における、これら接触点配置情報の識別方法を以下に説明する。
【0033】
図3は、スタンプ10の外側突起部14および内側突起部15によるタッチパネルの接触点の配置によるデータ表現を説明する図であり、(a)は1次ユニークIDに対応する外側接触点を示し、(b)は、2次ユニークIDに対応する内側接触点を示す図である。
【0034】
まず、利用者通信端末20のタッチパネル21にスタンプ10の底面を接触させると、
図3(a)に示すように、網掛けした外側突起部14a〜14fがタッチパネル21に接触する。外側突起部14a〜14fのうち導電性のゴムにより形成されるものは、持ち手部11を介して人の手に電気的に接続されるので、タッチパネル21は人体の静電容量に反応して接触点を認識する。一方、外側突起部14a〜14fのうち非導電性のゴムで形成されるものは、電気を通さないためタッチパネル21により認識されない。そこで、タッチパネル21により認識される接触点の数および配置から、1次ユニークIDが生成される。
【0035】
次に、
図3(b)のように、スタンプ10がタッチパネル21に向けて押圧されると、網掛けした内側突起部15a〜15fがタッチパネル21に接して認識される。利用者通信端末20は、認識された外側突起部14a〜14fの接触点の何れかに最も近い内側突起部15a〜15fによる接触点を基準ポイントとして識別する。
図3(b)では、内側突起部15aの接触点が基準ポイントとなる。次に、利用者通信端末20は、基準ポイントとなった内側突起部15aの接触点から、他の内側突起部15b〜15fによる接触点までの距離をそれぞれ算出し、2次ユニークIDを生成する。
【0036】
利用者通信端末20は、
図1に示したように、上述のようにして生成した1次ユニークIDと2次ユニークIDとを、通信ネットワーク30を介してサーバ装置40へ送信する。
【0037】
通信ネットワーク30は、例えば、インターネットやセルラーネットワーク、WWAN(Wireless Wide Area Network)等種々のネットワークを使用することができる。また、利用者通信端末20から通信ネットワーク30への接続には、例えばIEEE802.11やIEEE802.16規格に準拠したWi−Fi、WiMAXや、LTE、W−CDMA、CDMA2000等のモバイル通信規格に準拠した通信技術、Bluetooth(登録商標)、ADLS、FTTH等種々の通信技術を単独であるいは組み合わせて用いることができる。また、通信ネットワーク30とサーバ装置40の後述する通信部41との間も、同様の通信技術を用いて接続される。
【0038】
次に、
図1を参照して、サーバ装置40について説明する。サーバ装置40は、通信部41、処理部42、記憶部43、表示部44および入力部45を備えるコンピュータである。通信部41は、利用者通信端末20および店舗端末50との間で情報を送受信する。
【0039】
通信部41は、利用者通信端末20から、接触点配置情報である1次ユニークIDおよび2次ユニークIDと、利用者識別情報とGPSによる位置情報とを受信することができる。また、利用者通信端末20に対しては、タッチパネル21上に表示するための種々の情報を送信することができる。また、通信部41は、店舗端末50との間も通信ネットワークや専用回線を用いて接続されている。
【0040】
処理部42は、サーバ装置40の処理を行うCPUを含み、コンピュータ読み取り可能なプログラムによって、サーバ装置40全体を制御するとともに、利用者通信端末20から受信した情報を基に利用者ごとの累積スタンプ数の更新処理、利用者通信端末へ送信する情報の生成や、店舗端末50からの各種設定情報の変更要求の処理等を行う。このため、処理部42は、記憶部43に格納される利用者情報、特典情報および店舗情報等を読出し、および、書き込みをすることができる。また、処理部42は、サーバの表示部44にサーバの管理情報やエラーメッセージ等を表示し、入力部45からの入力を受け付けることができる。表示部44は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置であり、入力部45は例えばキーボードやマウス等である。
【0041】
記憶部43は、ハードディスク等の記憶装置や、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリにより構成される。記憶部43は、データベースを内部に持ち利用者情報を記憶する利用者情報記憶部46、特典情報を記憶する特典情報記憶部47および店舗情報を記憶する店舗情報記憶部48等を含み、各種情報を読出しおよび書き込み可能に記憶する。なお、データベースとしては、RDBやオブジェクトデータベース等種々のデータベースを用いることが可能である。また、記憶部43には処理部42で実行するための、各種プログラムも格納される。
【0042】
利用者情報記憶部46は、利用者情報として、利用者識別情報、年齢や性別などの利用者属性、保有する累積スタンプ数、獲得済みの無料クーポンなどの情報を格納する。
図4に利用者情報記憶部に格納される利用者情報テーブルの構成の一例を示す。なお、性別などの情報は、データベース内ではコード化されて格納される。
【0043】
また、特典情報記憶部47は、店舗から利用者に提供する特典情報を格納する。特典情報としては、特典の内容、特典と交換することのできる交換スタンプ数、その特典を獲得することができる有効期限などが格納される。
図5に特典情報記憶部に格納される特典情報テーブルの構成の一例を示す。
【0044】
さらに、店舗情報記憶部48は、店舗情報として、店舗ID、店舗の保有するスタンプに対応する1次ユニークID、2次ユニークID、店舗位置情報、店舗属性、イベント情報等を格納する。ここで、店舗IDとは記憶部のデータベース上で店舗に割り当てられた識別情報である。また、店舗位置情報とは店舗の位置情報を示すものであって、緯度および経度を用いて表すことができる。店舗情報は、例えば、東京地区、神奈川地区など店舗の地理的位置、駅前や郊外などの店舗の立地条件や、大型店、小型店などの店舗の規模などの店舗の属性を示すものである。例えば、特定の属性の店舗について、販売促進のためのキャンペーンを行う場合に、これらの店舗属性をキーにして店舗を検索することができる。なお、販売促進のためのキャンペーンとは、例えば、時間限定でスタンプを2倍与えること等を意味する。このような、キャンペーン情報はイベント情報として、店舗側の店舗端末50から通信回線を介して入力することができる。
図6に店舗情報記憶部に格納される店舗情報テーブルの構成の一例を示す。
【0045】
記憶部43に格納された各情報は、表示部44および入力部45を用いて参照し、操作することができる。さらに、店舗側には店舗端末50が設けられ、店舗端末からは当該店舗に関する店舗情報を操作することができる。店舗端末は、必ずしも専用の機器を必要とせず、パソコンなどの汎用的なコンピュータを用い、インターネットのブラウザ等のインタフェースを用いてサーバ装置40の情報にアクセスすることができる。また、サーバ装置40と店舗端末50との間は、通信ネットワーク30と同様の種々のネットワークで接続することができる。
【0046】
次に、
図7を参照して、スタンプシステム1の処理の流れを説明する。
図7は、スタンプシステム1のスタンプ処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
まず、飲食店や物販等の店舗を訪れた利用者が、スタンプシステム1の利用者通信端末20用のアプリケーションを起動する(ステップS1)。これによって、タッチパネル21には、スタンプ10の押印を待ち受ける画像が表示される。店舗で買い物をすると、店舗の店員が店舗に備え付けられたスタンプ10を、利用者通信端末20のタッチパネル21に押印する(ステップS2)。スタンプ押印処理ステップS2の内容は、
図8により説明する。
【0048】
図8は、利用者通信端末におけるスタンプ押印処理を示すフローチャートである。まず、スタンプ10の底面をタッチパネル21に接触させると(ステップS101)、タッチパネル21には外側突起部14の先端のみが接触する。タッチパネル21は、外側突起部14の6つの接触点のうち、導電性ゴムにより形成された外側突起部14の接触点のみで静電容量が変化するので、これらの接触点のみをタッチパネル21上の位置とともに認識する(ステップS102)。
【0049】
次に、利用者通信端末20は、認識された外側突起部14の接触点の数および位置関係から、1次ユニークIDを生成する処理を行う(ステップS103)。この1次ユニークIDは、例えば、整数値として与えることができる。
【0050】
その後、店舗の店員がスタンプを下向きに押圧すると(ステップS104)、内側突起部15の先端が利用者通信端末20のタッチパネル21に接触し、タッチパネル21上の静電容量の変化により、6つの接触点がタッチパネル21上の位置とともに認識される(ステップS105)。利用者通信端末20は、認識された外側突起部14の何れかに最も近い接触点を基準点とし、残り5点の基準点からの距離情報を算出し、2次ユニークIDを生成する(ステップS106)。ここで、距離情報は、基準となる接触点の中心から他の接触点の中心までの距離をタッチパネルのピクセル単位で表すことができる。しかし、他の尺度で距離を表すことも可能である。
【0051】
以上のようにして、スタンプシステム1のアプリケーションによって、利用者通信端末20は、スタンプ10がタッチパネル21に押印されると、接触点の配置情報を示す1次ユニークIDと2次ユニークIDとを生成する。
【0052】
次に、
図7のフローチャートに戻り、利用者通信端末20は、生成した1次ユニークID、2次ユニークID、利用者通信端末20の有する利用者識別情報およびGPSにより得られる端末位置情報を、通信ネットワーク30を介して、サーバ装置40へ送信する(ステップS3)。これにより、スタンプシステム1の処理はサーバ装置40に移る。
【0053】
サーバ装置40の処理部42は、通信部41を介して、利用者通信端末20から1次ユニークID、2次ユニークID、利用者識別情報および端末位置情報を受信すると(ステップS4)、対応する店舗情報および利用者情報を、それぞれ店舗情報記憶部48および利用者情報記憶部46から読み出す(ステップS5)。店舗情報の読出しは、店舗情報のデータから、利用者通信端末20から受信した2次ユニークIDと一致する2次ユニークIDを有する店舗を検索することによって行う。これによって、店舗側で使用されたスタンプ10に対応する店舗情報を取得することができる。また、利用者情報の読み出しは、利用者情報のデータから、利用者通信端末20から受信した利用者識別情報と一致する、利用者識別情報を有する利用者の情報を取得する。
【0054】
店舗情報と利用者情報とを取得すると、サーバ装置40の処理部42は、情報の整合性を確認する(ステップS6)。具体的には、利用者通信端末20から受信した1次ユニークIDおよび端末位置情報と、記憶部43から取得した店舗情報の1次ユニークIDおよび位置情報とを比較し、これらが実質的に一致していれば、情報の整合性があるものとし、一致していない場合は情報の整合性がないものとする。GPSにより得られる店舗位置情報は、店舗の2次元座標を示す。これに対して、1次ユニークIDは、同一ビル内の異なるフロアに別個の店舗が存在する場合や、店舗が近接して存在する場合など、実質的に同一の2次元座標に位置する複数の店舗を、互いに区別する情報を示すものである。GPSの店舗位置情報と1次ユニークIDを組み合わせることによっても、店舗を識別することが可能になる。なお、店舗位置情報と端末位置情報とが実質的に一致するあるいは同一であるとは、店舗の大きさやGPSの誤差を勘案して一致または同一であると判断されることを意味する。例えば、10m程度の差異は実質的に同一と判断される。
【0055】
ステップS6において、情報の整合性がないとされた場合は、エラー処理(ステップS7)へ移行する。エラー処理は、
図9のフローチャートに示すように、サーバ装置40の処理部42において、「スタンプが正しくありません」などのエラーメッセージを生成し(ステップS201)、このメッセージを利用者通信端末20へ送信する(ステップS202)。利用者通信端末20は、エラーメッセージを受信すると(S203)、表示画像を生成してタッチパネル21上に表示してエラーが生じたことを利用者に通知する(ステップS204)。
【0056】
なお、エラーメッセージ表示後は、利用者通信端末20は再びスタンプ10の押印の待ち状態となり、サーバ装置40は利用者通信端末20からの情報を受信可能な状態とすることができる。あるいは、サーバ装置40は、利用者通信端末20に対して再度スタンプを押すように促すメッセージを表示させ、連続して3回ステップS6において情報の不整合が生じた場合には、問い合わせ連絡先を表示して利用者通信端末20のアプリケーションを終了させるようにしても良い。その他、エラー処理には種々の方法が可能である。
【0057】
図7のステップS6において、情報の整合性があると判断されると、処理部42は、利用者情報記憶部46に格納される累積スタンプ数を更新する処理を行う(ステップS8)。例えば、累積スタンプ数を1増加させる。
【0058】
また、処理部42は、店舗情報にイベント情報が入力されている場合は、その店舗情報に従って累積スタンプ数の更新を行う。例えば、各店舗は、特定の時間帯だけ集客力を高めるために、獲得できるスタンプ数を2倍にすることを、本スタンプシステム1の利用者通信端末用アプリケーション、メール、または、インターネット上のホームページなどの伝達手段によって、登録された利用者に通知することができる。この場合、店舗運営者は、店舗端末50から店舗情報記憶部48の当該店舗のイベント情報にスタンプを2つ与えることを示すコードを入力する。処理部42は、このイベント情報を参照して、利用者情報記憶部46の累積スタンプ数に2を加えて累積スタンプ数を更新する。
【0059】
次に、処理部42はクーポン発行条件に従い(ステップS9)、累積スタンプ数が所定の数に達すると、保有クーポン数に1を加えて、累積スタンプ数を0に戻す(ステップS10)。ここで、クーポンの発行条件は、予め特典情報記憶部47に格納された特典情報に従うものとする。例えば、
図5に示したように、無料クーポンがスタンプ20個と交換されることが規定されていれば、処理部42はこれに従って、クーポンとスタンプとの交換を行う。なお、処理部42がスタンプの交換を自動的に行うのではなく、特典情報のデータに従って利用者に特典を無料クーポンや商品Aなどの中から選択させることも可能である。
【0060】
累積スタンプ数の更新(ステップS8)および、場合により、クーポンの発行(ステップS10)を実行した後、処理部42は利用者通信端末20に表示すべき表示情報を生成する(ステップS11)。ここで、表示情報とは、スタンプが追加された場合の「スタンプの数が18個になりました。あとスタンプ2つで無料クーポンを進呈します」や、クーポンが発行された場合は「クーポンが発行されました」などのメッセージ情報を含み、音やアニメーションを組み合わせることができる。また、特典情報に複数の特典があり、利用者が選択可能な場合は、「スタンプが60個になりました。現在選択できる特典は、無料クーポン、商品Aです」のようなメッセージを表示させ、スタンプの交換を促すようにすることができる。同時に、スタンプカードに累積スタンプ数に応じた刻印がなされたスタンプ画像を表示させるようにしても良い。
【0061】
処理部42は通信部41を介して、これら表示内容を利用者通信端末20へ送信する(ステップS12)。
【0062】
利用者通信端末20は、表示情報を受信すると(ステップS14)、これに基づいてタッチパネル21上にスタンプ数やクーポンの情報等の表示情報を表示する(ステップS15)。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、底面に複数の突起部を有するスタンプ10が利用者通信端末20のタッチパネル21に押圧されることにより、利用者通信端末20が識別した複数の外側突起部14および内側突起部15の配置を示す1次ユニークIDおよび2次ユニークIDが、利用者通信端末20の有する端末位置情報および利用者識別情報とともにサーバ装置40に送信され、サーバ装置40ではこれら1次ユニークID、2次ユニークID、端末位置情報、利用者識別情報に基づいて累積スタンプ数の更新処理を行うので、店舗側ではスタンプ10のみを保有すれば良く、特別な読取装置等のハードウエアに投資する必要が無く、容易に導入することができる。さらに、店舗側で運用やメンテナンスにかかる費用も発生しない。
【0064】
また、本実施形態のスタンプシステム1によれば、1次ユニークID、2次ユニークIDおよび端末位置情報を用いて、店舗を特定することができるので、利用者の獲得したスタンプを店舗ごとに振り分けることが容易である。さらに、スタンプ10から得られる2次ユニークIDから得られる店舗情報と、1次ユニークIDおよびGPSを用いた端末位置情報から得られる店舗情報とを対比することができる。特に、GPSの位置情報と1次ユニークIDの組み合わせは、地理的座標が実質的に同一である複数の店舗を区別して識別することを可能にする。これによって、スタンプ10が正規のスタンプであることを確認することができ、スタンプ10の偽造などによる不正なスタンプの獲得を防止することができる。
【0065】
さらに、モノとしての実体のあるスタンプ10を利用者通信端末20のタッチパネルに押印することは、従来の紙のスタンプカードを用いたスタンプシステムとの類似性があり、より現実感を与えることができるので、店舗の顧客である利用者に対して面白みを提供することができる。
【0066】
また、スタンプ10は導電性を有する突起部を備え、表面型静電容量方式のタッチパネルで検知可能にしたので、現在広く普及している携帯電話や携帯型情報端末に適用することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、スタンプ10の突起部は内側突起部および外側突起部のように分けなくとも良く、突起部の数も種々の数に設定することができる。さらに、スタンプ10の全体および底面の形状も種々の形状を採用することができる。
【0068】
例えば、スタンプの底面の形状は、
図10(a)、
図10(b)に示すように正方形とすることもできる。このスタンプの底面は、正方形の底部外枠17と、底部外枠17の4つの頂点から下側に突き出た4つの外側突起部18と、底部外枠17の内側の面から下側に突き出た6つの内側突起部19とを有している。スタンプを押印する際の、底部外枠17、外側突起部18および内側突起部19の機構は、
図3の底部外枠13、外側突起部14および内側突起部15と同様である。したがって、このスタンプを利用者通信端末のタッチパネルに接触させると、利用者通信端末により、
図10(a)に網掛けして示す4つの外側突起部18が識別される。この4つの接触点の位置情報は1次ユニークIDとして、サーバ装置に送信されて、同一場所内の店舗を特定するために使用することができる。さらに、スタンプがタッチパネルに対して押圧されると、
図10(b)に網掛けして示す6つの内側突起部19が認識される。この場合も、利用者通信端末は、外側突起部の接触点の何れかに最も近い内側突起部(図では、19a)を基準ポイントとして、他の各内側接触点までの距離を計算する。そして、利用者通信端末は、識別した接触点の数と、各内側接触点と基準ポイントとの間の距離情報から店舗の情報を示す2次ユニークIDを生成し、サーバ装置に送信する。以降の処理は、上述の実施の形態において説明したものと同様に行うことができる。なお、
図11に示すように、スタンプの底面の形状を長方形としたり、あるいは、三角形や五角形等の多角形としたりすることもできる。
【0069】
また、接触点配置情報の与え方は、スタンプの外枠上の頂点における接触点の有無や、基準ポイントからの距離などに限られない。例えば、
図10のような正方形の底面を有するスタンプを用いた場合に、利用者通信端末は、4角の接触点から2次元座標の方向を特定し、内側の接触点の位置を2次元座標で表現したデータを生成して、サーバ装置に送信するようにしても良い。この場合、2次元座標のデータにより、店舗の識別情報が規定される。
【0070】
また、突起部の素材は導電性のゴムとしたがこれに限られない。複数の導電性を有する突起部がタッチパネル上に同時に接触するように構成できれば、導電性の樹脂や金属、繊維等種々の素材を用いることができる。
【0071】
さらに、タッチパネルは、表面型静電容量方式のものとしたが、複数の接触点を識別可能であれば、投影型静電容量方式、抵抗膜方式、超音波表面弾性波(SAW)方式あるいは赤外線方式等種々のタッチパネルを用いることができる。その場合、スタンプの突起部は必ずしも導電性の素材を用いる必要は無い。
【0072】
また、利用者通信端末の端末位置情報を検出する手段は、GPSを用いたものに限られず、携帯電話基地局やWi−Fi基地局により提供される位置情報を用いることもできる。例えば、利用者通信端末が携帯電話の場合は、携帯電話の複数の基地局の位置と利用者通信端末との間の距離を計算して、位置情報を算出することができる。このような端末位置情報は、携帯電話事業者から提供されている。したがって、利用者通信端末用のスタンプシステムのアプリケーションを、携帯電話事業者から位置情報を取得するようにプログラムすることによって、基地局からの距離に基づく位置情報の取得が可能になる。
【0073】
また、本スタンプシステムは、利用者通信端末のタッチパネルに、タッチパネルが識別可能な突起部を有するスタンプを押圧すると、このスタンプの突起部による接触点の配置情報がサーバ装置に送信され、サーバ装置がこの接触点配置情報に基づいた種々の処理を行うことに特徴を有するものである。したがって、本スタンプシステムの用途は、店舗の販売促進用のスタンプシステムに限られない。
【0074】
例えば、観光地や鉄道駅、テーマパーク等の遊戯施設等で、異なる場所を順次回って備え付けられたスタンプを集める、スタンプラリー等のイベントにも本システムを活用することができる。その場合、本発明のスタンプを各スタンプ設置場所に配置し、スタンプラリー参加者は携帯電話などの利用者通信端末にスタンプを押印する。サーバ装置は、スタンプの接触点配置情報によりイベント参加者が、回った場所を特定し、参加者が全てのスタンプ設置場所を回って最後のスタンプを押印した時に、特典を携帯電話に表示するようにすることができる。
【0075】
あるいは、本スタンプシステムを、事業所の出退勤管理に用いることもできる。その場合、従業員は出社時および退社時に利用者通信端末のタッチパネルにスタンプを押し、利用者通信端末は利用者識別情報と共にスタンプの接触点配置情報をサーバ装置に送信する。サーバ装置は、受信した情報を情報の送信された時間とともに出退勤管理用のデータベースに格納することができる。