(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
チャック外周設置型回転搬送方式の電子部品搬送装置は、高速搬送と搬送経路への自力供給及び排出により、電子部品の生産効率の飛躍的な向上をもたらした。しかし、従来、この電子部品搬送装置が形成する搬送経路には、両面電極の電子部品の電気特性を測定する電気特性測定ユニットを組み入れることはできなかった。
【0008】
すなわち、ターレットテーブルは、円盤形状を有し、外縁にチャックを備える。チャックの停止位置の直下に電気特性測定ユニットのステージを配置しようとすると、上側コンタクトとステージ兼下側コンタクトの間にターレットテーブルの外縁が常在する。そのため、上側コンタクトはステージ兼下側コンタクトに載置された電子部品に向けて降下することができないからである。
【0009】
また、チャックの停止位置には、ターレットテーブルの外縁のほか、進退駆動部が不動に設置されている。チャック下端から進退駆動部の上端までの高さは、上側コンタクトとステージ兼下側コンタクトとの間の空間の高さを超える。そのため、上側コンタクトとステージ兼下側コンタクトを対向配置する電気特性測定ユニットを搬送経路に配置することが物理的に不可能である。たとえ上側コンタクトとステージ兼下側コンタクトとの間を拡げても、進退駆動部とターレットテーブルとが常在すれば、上側コンタクトを降下させることができない。
【0010】
チャック外周設置型回転搬送方式の電子部品搬送装置が構成する搬送経路から一時的に電子部品をアンロードして、当該搬送経路と電気特性測定ユニットとの間をシャトル等で電子部品を往復させることが考え得る。しかしながら、シャトルの往復をターレットテーブルの高速な搬送速度に合わせることは困難であり、この方式を採用すると、シャトルの搬送速度に電子部品搬送装置の動き全てが律速されてしまう。すなわち、チャック外周設置型回転搬送方式の電子部品搬送装置が持つ高速搬送という利点が失われてしまう。
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するために提案されたもので、チャック外周設置型回転搬送方式の電子部品搬送装置において高速搬送の利点を失うことなく、両面電極の電子部品の電気特性を測定可能とすることを目的とする。
【0012】
また、電気特性測定ユニットのほかにも、ステージと構造物とを搬送経路を挟んで対向配置させなくてはならない場合には、同様にチャック外周設置型回転搬送方式の電子部品搬送装置に組み入れることが困難であろう。そこで、本発明は、更に、チャック外周設置型回転搬送方式の電子部品搬送装置において高速搬送の利点を失うことなく、ステージと構造物とを搬送経路を挟んで対向配置させることのできる電子部品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電子部品搬送装置の第1の態様は、電子部品を搬送する電子部品搬送装置であって、全周に亘って同一半径を有する円形状を有し、円周方向に所定回転角ずつ間欠的に回転するターレットテーブルと、前記ターレットテーブルの外縁に前記回転角の2倍角のピッチで設けられ、放射状にテーブル外側に向かって水平に延び、電子部品を保持するチャックと、前記ターレットテーブルと中心を同一とする円周上に、前記ターレットテーブルの前記回転角で分割した各点に設定され、前記チャックが停止する各停止位置と、前記チャックの各停止位置の少なくとも一箇所に配置され、前記チャックにより電子部品が載置されるステージと、
前記ステージに載置された電子部品の下面電極と接触する下側通電接触子と、前記ステージの上方に前記チャックが入り込む余地を空けて対向配置され、
前記ステージに載置される電子部品の上面電極と接触する上側通電接触子と、
前記上側通電接触子及び下側通電接触子を有し、前記上側通電接触子を降下させ前記ステージに載置された電子部品に電気特性を測定する電気特性測定ユニットと、前記チャックの停止位置のうち、前記ステージ及び前記
上側通電接触子の隣に設定され、前記ステージで電子部品の
電気特性が測定される間、前記チャックが前記ステージと前記
上側通電接触子から退避する退避位置と、を備えること、を特徴とする
【0014】
また、本発明に係る電子部品搬送装置の第2の態様は、電子部品を搬送する電子部品搬送装置であって、円周方向に所定回転角ずつ間欠的に回転するターレットテーブルと、前記ターレットテーブルの外縁に前記回転角の2倍角のピッチで設けられ、放射状にテーブル外側に向かって水平に延び、電子部品を保持するチャックと、前記ターレットテーブルと中心を同一とする円周上に、前記ターレットテーブルの前記回転角で分割した各点に設定され、前記チャックが停止する各停止位置と、前記チャックの各停止位置の少なくとも一箇所に配置され、前記チャックにより電子部品が載置されるステージと、
前記ステージに載置された電子部品の下面電極と接触する下側通電接触子と、前記ターレットテーブルの最外径部が通る軌跡の上方に固定設置され、前記チャックを前記ステージに向けて降下させる進退駆動部と、前記ステージの上方に前記チャックが入り込む余地を空けて対向配置され、
前記ステージに載置される電子部品の上面電極と接触する上側通電接触子と、
前記上側通電接触子及び下側通電接触子を有し、前記上側通電接触子を降下させ前記ステージに載置された電子部品の電気特性を測定する電気特性測定ユニットと、前記チャックの停止位置のうち、前記ステージ及び前記
上側通電接触子の隣に設定され、前記ステージで電子部品の
電気特性が測定される間、前記チャックが前記ステージと前記
上側通電接触子から退避する退避位置と、を備えること、を特徴とする。
【0015】
前記退避位置から数えて一つ置きの前記停止位置の少なくとも一箇所に配置され、前記ステージでの
電気特性が測定とは異なる処理の処理ユニットを更に備えるようにしても良い。
【0016】
前記各停止位置は、前記ステージ及び前記
上側通電接触子の設置位置から数えて一つ置きの少なくとも一箇所であり、前記チャックが電子部品をピックアップ又は離脱させるのみの前記異なる処理を行わない第1種の停止位置と、前記退避位置から数えて一つ置きの少なくとも一箇所であり、前記第1種の停止位置でのピックアップ又は離脱に要する時間以上、前記ステージでの処理時間未満の前記異なる処理が行われる第2種の停止位置と、を含むようにしても良い。
【0017】
前記ステージと前記
上側通電接触子の組を複数備え、各組は、一の組から数えて一つ置きの前記停止位置の何れかに設置され、前記退避位置は、前記各組の各隣に有するようにしても良い。
【0019】
前記
上側通電接触子は、前記ステージの電子部品に向けて下降するとともに、下降からの復帰位置では、前記チャックが入り込む余地を空けて静止するようにしても良い。
【0020】
前記異なる処理の処理ユニットは、電子部品の外観を検査する外観検査ユニット、電子部品の姿勢を補正する検査支援ユニット、又は電子部品を収容するとともに収容の適正を判定する収容ユニットであるようにしてもよい。
【0021】
前記チャックは、前記ターレットテーブルから下方に延びて途中で水平方向に屈曲するL字形状を有し、前記屈曲位置は、前記
上側通電接触子と前記ステージとの間の高さに設けられるようにしても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ステージと構造物とを電子部品の搬送経路を挟んで対向配置することができるため、電子部品の高速搬送性を失うことなく、該ステージと構造物とによる電子部品への処理が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(電気特性測定ユニット)
はじめに、本実施形態に係る電子部品搬送装置が備える電気特性測定ユニットについて
図1を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示すように、電気特性測定ユニット41は、電子部品Wの電気特性を測定する。この電気特性測定ユニット41は、電子部品Wの電極に電気的に接触し、電子部品Wに電圧印加又は電流注入を行い、電気特性を検査する。電気特性は、電子部品Wへの電流注入又は電圧印加に対する電子部品Wの電圧、電流、抵抗、又は周波数、ロジック信号に対する出力信号等である。
【0025】
電子部品Wは、電気製品に使用される部品であり、半導体素子等がパッケージングされてなる。半導体素子としては、トランジスタやダイオードやコンデンサや抵抗等のディスクリート半導体や集積回路等が挙げられる。この電子部品Wは、表裏両面に外部接続用の電極を備えた両面電極パッケージを有する。
【0026】
両面電極を有する電子部品Wに対する電気特性測定ユニット41は、ステージ兼下側コンタクト412と上側コンタクト411を備えている。ステージ兼下側コンタクト412は、電子部品Wが載置され、また通電接触子として電子部品Wの底面電極に電気的に接触する。ステージ兼下側コンタクト412は、電子部品Wを載置するステージと下面電極に接触する下側コンタクトを分離して有し、ステージの裏から下側コンタクトが挿入される場合もある。
【0027】
上側コンタクト411は、電子部品Wの上面電極に接触する通電接触子である。上側コンタクト411は、ステージ兼下側コンタクト412よりも背の高い上側ベース413に支持されている。上側コンタクト411は、上側ベース413から電子部品Wの搬送経路2(
図2参照)側へ張り出して支持され、ステージ兼下側コンタクト412の直上まで延出する。
【0028】
この上側コンタクト411は、昇降可能となっている。上側コンタクト411は、昇降によりステージ兼下側コンタクト412に対して接近及び離反する。すなわち、電気特性測定ユニット41は、上側コンタクト411を昇降させる昇降駆動部414を備える。昇降駆動部414は、回転運動を上側コンタクト411の直線運動に変換する駆動源及び伝動機構のモジュールである。
【0029】
この昇降駆動部414は、引っ張りバネ415、モータ416、及びカム417とカムフォロア418からなる。引っ張りバネ415は、上側コンタクト411がステージ兼下側コンタクト412へ向かうように、上側ベース413を付勢する。モータ416は水平に延びる回転軸を有する。水平は、上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412の並びと直交する方向である。カム417は、モータ416の回転軸に軸支され、扁平形状を有し、周面にカム面を構成している。カムフォロア418は、上側ベース413の底面に固定され、上側からカム417に当接し、カム面を従動する。
【0030】
カムフォロア418がカム417の短径箇所に向けて従動すると、引っ張りバネ415の下方への付勢力が効いて、上側コンタクト411はステージ兼下側コンタクト412へ向けて下降する。カムフォロア418がカム417の長径箇所に向けて従動すると、上側コンタクト411は、引っ張りバネ415に抗して上方に持ち上げられ、ステージ兼下側コンタクト412から一定距離を保つように離れる。
【0031】
この電気特性測定ユニット41は、ステージ兼下側コンタクト412に電子部品Wが載置されると、上側コンタクト411を下降させる。そして、ステージ兼下側コンタクト412を下面電極に接触させ、上側コンタクト411を上面電極に接触させ、電流注入、電圧印加、又はロジック信号の入力を行い、出力信号を解析する。
【0032】
(電子部品搬送装置の構成)
図2は、この電気特性測定ユニットを備える電子部品搬送装置の全体構成図である。
図3は、電子部品搬送装置を側面から見た部分拡大図である。
図2及び3に示す電子部品搬送装置1は、電気特性の測定を含む各種検査項目の測定のために電子部品Wを搬送する。この電子部品搬送装置1は、電子部品Wの搬送経路2を構成し、搬送経路2に沿って、各種のユニットを配置している。各種のユニットは、供給ユニット3、電気特性測定ユニット41を含む各種の検査ユニット、検査支援ユニット5、排出容器6及び収容ユニット7である。本実施形態では、検査ユニットとして、更に外観検査ユニット42を備える。
【0033】
搬送経路2は、ターレットテーブル21とチャック22で構成される。ターレットテーブル21は、水平方向に拡がり、全周に亘って同一半径を有する円形状の円盤である。ターレットテーブル21の駆動源は、ダイレクトドライブモータ23である。ダイレクトドライブモータ23は、ターレットテーブル21の底面に接続され、ターレットテーブル21を支持するとともに、ターレットテーブル21を円周方向に所定角度ずつ間欠的に回転させる。
【0034】
チャック22は、ターレットテーブル21の外縁に取り付けられる。そのため、チャック22は、ターレットテーブル21の間欠回転によって各停止位置24に順次停止する。換言すると、停止位置24は、ターレットテーブル21と中心を同一とする円周上に、ターレットテーブル21の1ピッチの回転角で分割した各点に設けられる。このチャック22は、ターレットテーブル21の外縁から水平に延出する。このチャック22は、ターレットテーブル21から離れた先端で電子部品Wを保持する。すなわち、搬送経路2は、チャック22の先端が通る軌跡であり、ターレットテーブル21の一回り外側に形成される。チャック22の種類は特に限定はないが、チャック22は例えば吸着チャックである。
【0035】
吸着チャックであるチャック22は内部に中空管を有する。チャック22の先端には、下方に向く開口22aを有し、開口22aは中空管に繋がっている。中空管は、開口22aとは反対側で真空ポンプやエジェクタ等の負圧発生装置の空気圧回路と連通する。このチャック22は、空気圧回路に負圧が発生することにより、電子部品Wを開口22aで吸着し、真空破壊や大気解放されると、吸引力を失って開口22aから電子部品を離脱させる。
【0036】
チャック22は、ターレットテーブル21の外縁に軸受け又はスライダを介して取り付けられ、昇降可能となっている。チャック22は、昇降により供給ユニット3から電子部品Wを受領し、検査支援ユニット5や電気特性測定ユニット41や外観検査ユニット42と電子部品Wを授受する。特に、チャック22は、電気特性測定ユニット41のステージ兼下側コンタクト412に電気特性が未測定の電子部品Wを載置し、またステージ兼下側コンタクト412から電気特性の測定が終了した電子部品Wを回収する。
【0037】
チャック22は、進退駆動部25によって押し下げられることで下降する。進退駆動部25は、ターレットテーブル21の外縁直上に設置される。進退駆動部25から延ばした鉛直線上にチャック22の基端が存在する。進退駆動部25とターレットテーブル21に固定関係は無く、進退駆動部25は位置不動である。この進退駆動部25は、モータとカム機構とロッドを有し、モータの回転力をカム機構で直線運動に変換して、ロッドに伝達する。ロッドは、チャック22の停止位置24に向けて延び、停止位置24に存在するチャック22の基端に対して上方から当接し、更にチャック22を下方に押し下げる。
【0038】
各ユニット3、41、42、5、6、7、チャック22、進退駆動部25、及びターレットテーブル21の配置関係について説明する。
図3に示すように、チャック22は、電気特性測定ユニット41の上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412との間に入り込む高さを維持して延びる。換言すると、上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412は、ターレットテーブル21の外縁及び進退駆動部25よりもテーブル半径方向外方に設置され、上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412との間に、ターレットテーブル21の外縁と進退駆動部25はない。
【0039】
尚、上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412との間の空間がターレットテーブル21の高さと合致していない場合、チャック2を、基端から下側に延びて途中で外側に屈曲したL字形状とすることにより、該空間の高さに延出させることができる。
【0040】
また、
図2に示すように、チャック22の停止位置24の数はチャック22の配置数の2倍となっている。すなわち、チャック22はターレットテーブル21の周りに円周等配位置で配置され、その配置間隔を角度2aとすると、ダイレクトドライブモータ23は、ターレットテーブル21を1ピッチにつき角度aずつ回転させる。例えば、16機のチャック22に対して、32箇所の停止位置24が設定されている。
【0041】
各ユニット3、41、42、5、6、7は、チャック22の停止位置24の何れかに設置される。電子部品搬送装置1は、電子部品Wを搬送経路2に沿って搬送させ、少なくとも各ユニット3、41、42、5、6、7で停止させ、停止中に各ユニット3、41、42、5、6、7に電子部品Wを処理させる。
【0042】
電気特性測定ユニット41は、2機が設けられ、停止位置24を一つ空けて、各々停止位置24に配置されている。2機の電気特性測定ユニット41の各隣の停止位置24は、電気特性の測定時間帯におけるチャック22の退避位置41aであり、ユニットが未配置の空きとなっている。例えば、退避位置41aは、電気特性測定ユニット41の搬送方向下流側に設定される。
【0043】
外観検査ユニット42、検査支援ユニット5及び収容ユニット7は、退避位置41aから数えて一つ置きの停止位置24の何れかに配置される。供給ユニット3及び排出容器6は、電気特性測定ユニット41の配置位置から数えて一つ置きの停止位置24の何れかに配置される。すなわち、停止位置24を偶数箇所設けた場合、外観検査ユニット42、検査支援ユニット5及び収容ユニット7は、電気特性測定ユニット41から数えて奇数番目の停止位置24に、供給ユニット3及び排出容器6は偶数番目の停止位置24に配置される。
【0044】
ここで、供給ユニット3は、電子部品Wを搬送経路2に供給する。供給ユニット3は、例えば、滑り移動装置、トレイ移動装置、又はウェハホルダ装置等の電子部品Wに対する処理を行わないユニットである。滑り移動装置は、すり鉢状の容器に多数収容した電子部品Wを振動により整列搬送し、搬送経路2の入口に移動させる。トレイ移動装置は、トレイを直交2軸方向に移動させる。トレイは、格子状に仕切られ、各格子内に電子部品Wが収容される。トレイの拡がり平面に沿った直交2軸方向にトレイを移動させることで、各格子内の電子部品Wを搬送経路2の入口に移動させる。ウェハホルダ装置は、ウェハリングを直交2軸方向に移動させる。ウェハリングは、電子部品Wをアレイ状に並べてなる。ウェハリングの拡がり平面に沿った直交2軸方向にウェハリングを移動させることで、各電子部品Wを搬送経路2の入口に移動させる。供給ユニット3と搬送経路Wとの間には、電子部品Wを中継するロータリーピックアップが設置される場合もある。
【0045】
排出容器6は、検査の結果が良好でなかった電子部品Wを受け取るのみで、電子部品Wに対する処理を行わないユニットである。また、収容ユニット7は、検査の結果が良好であった電子部品Wを収容する。この収容ユニット7は、例えば、テーピング装置、チューブ装置、トレイ移動装置、又はウェハホルダ装置等であり、収容が適正かの判定処理を含むユニットである。テーピング装置は、ポケットが帯長手方向に沿って並ぶテープを走行させる装置であり、各ポケットを搬送経路2の出口に移動させる。チューブ装置は、電子部品Wを収容するチューブを移動させる。
【0046】
検査支援ユニット5は、検査の精度向上のために、検査を受ける電子部品Wの姿勢を予め補正する処理を行う。検査支援ユニット5は、電子部品Wを載置するXYθステージを有する。XYθステージは、ステージ平面に沿った直交2軸方向に移動し、またステージ平面と垂直な軸で回転する。検査支援ユニット5は、搬送経路2から渡された電子部品WをXYθステージに載置し、XYθステージを移動及び回転させることで、電子部品Wの向き及び位置を補正する。この検査支援ユニット5は、電子部品Wを撮像するカメラを備えており、画像内の電子部品Wの向き及び位置を解析して、XYθステージの移動量及び回転量を制御する。
【0047】
外観検査ユニット42は、カメラで電子部品Wを撮影し、電子部品Wを画像解析して、表面の傷や汚れの有無を検出する。
【0048】
これら各ユニット3、41、42、5、6、7のうち、電気特性測定ユニット41による測定時間をA、外観検査ユニット42、検査支援ユニット5及び収容ユニット7による処理の最長時間をB、供給ユニット3及び排出容器6による処理の最長時間をCとすると、A≧B>Cである。つまり、一般に、電気特性測定ユニット41による測定時間は長時間に及ぶ。電子部品Wの搬送経路2への供給及び排出は、相対的に短時間で完了する。電子部品Wの外観検査、電子部品Wの姿勢補正、及び電子部品Wの収容は、搬送経路2への供給及び排出よりは時間がかかるが、電気特性測定ユニット41による測定時間には及ばない。
【0049】
すなわち、この電子部品搬送装置1では、このような中程度の時間Bで処理が完了するユニット42、5、7は、退避位置41aから数えて一つ置きの停止位置24に配置している。短時間Cで処理が完了するユニット3、6は、電気特性測定ユニット41の配置位置から数えて一つ置きの停止位置24に配置している。ただし、停止位置24に余裕があるならば、短時間Cで処理が完了するユニットは、退避位置41aから数えて一つ置きの停止位置24に配置してもよい。
【0050】
(電気特性測定制御)
このような電子部品搬送装置1の制御態様について説明する。
図4及び5に示すように、電子部品搬送装置1は、電気特性を未測定の電子部品Wが2機の電気特性測定ユニット41に揃った段階(図中、段階(a)から段階(d)へ順に遷移)で、電子部品Wをステージ兼下側ステージ412に載置する(図中、段階(e))。このとき、各電気特性測定ユニット41の上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412との間には、チャック22が介在している(図中、段階(e))。
【0051】
次に、電子部品Wを載置した両チャック22は、1ピッチ移動して退避位置41aに移動する(図中、段階(f))。このとき、チャック22は、各電気特性測定ユニット41の上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412との間から離れ、この間には構造物が電子部品Wを除き不介在となっている(図中、段階(f))。従って、電気特性測定ユニット41は、両チャック22が退避位置41aに移動した段階で、電気特性の測定を開始する(図中、段階(g))。すなわち、電気特性測定ユニット41は、上側コンタクト411をステージ兼下側コンタクト412に接近させ、上側コンタクト411で上面電極に接触するとともに、ステージ兼下側コンタクト412で下面電極に接触し、電流注入又は電圧印加を開始し、電子部品Wからの出力信号を解析する。
【0052】
電気特性の測定が終了すると、上側コンタクト411を上昇させ、電子部品Wを載置した両チャック22は、1ピッチ戻って退避位置41aから電気特性測定ユニット41に移動し(図中、段階(h))、電気特性の測定が終了した電子部品Wを受け取る(図中、段階(i))。そして、電気特性の測定が終了した電子部品Wを保持したチャック22は、電気特性測定ユニット41から離れる方向へ移動する(図中、段階(j))。
【0053】
電気特性が未測定の電子部品Wを保持したチャック22の次のペアは、前のペアが段階(g)を経た後、順番に当該段階(a)から段階(j)を繰り返し、整列搬送する電子部品Wの電気特性を測定させていく。すなわち、ターレットテーブル21は、チャック22を3ピッチ前進させ、次いで1ピッチ後退させる回転ルーチンを繰り返す。尚、N機の電気特性ユニット41を設置すると、1回の回転ルーチンは、2N+1回の前進と1回の後退により構成される。
【0054】
(全体制御)
更に、この回転ルーチンに含まれる各停止時間が異なっている。まず、
図6に示すように、電気特性が未測定の電子部品Wを保持した先頭のチャック22Aが最初の電気特性測定ユニット41に到着した際の第1種の停止時間は、電子部品Wの搬送経路2への供給又は排出が可能な最短時間Cである。
【0055】
先頭のチャック22Aが最初の電気特性測定ユニット41に到着したとき、この先頭のチャック22Aは、電子部品Wを保持したまま静止し続ける。一方、他のチャック22Bは、供給ユニット3に到着し、また他のチャック22F、22Gは排出容器6に到着し、それぞれ電子部品Wのピックアップと電子部品Wの排出を行う。すなわち、最短の停止時間は、チャック22Bの降下、電子部品の保持、及びチャック22Bの上昇の一連の工程、又は、チャック22F、22Gによる電子部品Wの離脱の何れか遅い方である。一般的には、チャック22Bの一連の工程の方が遅い。
【0056】
搬送経路2上の検査支援ユニット5、外観検査ユニット42、及び収容ユニット7は、電気特性測定ユニット41の隣の退避位置41aから数えて一つ置きの停止位置24に設置されており、チャック22が到着していないので、これらユニット5、42、7は稼動せず、この第1種の停止時間はこれらユニット5、42、7の処理時間に規制されない。
【0057】
第1種の停止時間が経過すると、
図7に示すように、全体のチャック22が1ピッチ移動する。そして、電気特性が未測定の電子部品Wを保持した先頭のチャック22Aが最初の電気特性測定ユニット41の隣にある退避位置41aに到着する。このタイミングでの第2種の停止時間は、検査支援ユニット5、外観検査ユニット42、又は収容ユニット7のうちの最長時間であり、電気特性の測定時間よりも短い時間Bである。
【0058】
すなわち、このタイミングでは、他のチャック22B、22G、22Fが電子部品Wを保持したまま、検査支援ユニット5、外観検査ユニット52、及び収容ユニット7に到着する。そして、検査支援ユニット5では、チャック22Bの降下、電子部品WのXYθステージへの離脱、チャック22Bの上昇、XYθステージの変化、チャック22Bの再降下、電子部品WのXYθステージからのピックアップ、及びチャック22Bの再上昇の一連の工程が実行される。外観検査ユニット42では、電子部品Wの撮像が行われる。収容ユニット7では、チャック22Fの降下、電子部品Wの収容箇所への離脱、適正な収容の成否の検査、チャック22Fの上昇の一連の工程が実行される。これら各一連の処理は、最短時間Cよりも長時間を要し、停止時間Bは、これら各一連の処理の最長時間である。
【0059】
第2種の停止時間が経過し、
図8に示すように、再びチャック22が1ピッチ移動する。そして、電気特性が未測定の電子部品Wを保持したチャック22A、22Bのペアが各電気特性測定ユニット41に到着する。このタイミングでの停止時間は、第1種の停止時間と同じでよい。このタイミングでは、このチャック22A、22Bのペアは、電気特性測定ユニット41に電子部品Wを載置するのみであり、電気特性測定ユニット41による処理は行われない。また、検査支援ユニット5、外観検査ユニット42、及び収容ユニット7には、何れのチャック22も到着していない。供給ユニット3、排出容器6、及び電気特性測定ユニット41にチャック22A、22B、22C、22G、22Hが存在するのみである。従って、電気特性搬送装置1では、電子部品Wのピックアップ、ステージ兼下側コンタクト412への載置、及び排出のみが行われる。
【0060】
尚、このタイミングでは、電子部品Wの供給ユニット3からのピックアップは実行しなくともよい。2回先の停止タイミングで同じ状況が発生するためである。このタイミングで電子部品Wをピックアップするより、2回先の停止タイミングで電子部品Wをピックアップしたほうが、電子部品Wの搬送経路2中での間欠移動の回数が少なくなり、急停止及び急加速による慣性力を受ける回数が減るため、電子部品Wにズレが発生する可能性が低下する。
【0061】
図9に示すように、更にチャック22が1ピッチ移動し、電気特性測定ユニット41に電子部品Wを載置したチャック22A、22Bが退避位置41aに移動した際の第3種の停止時間は、電気特性の測定が可能な最長時間Aである。このタイミングでは、電子部品Wをステージ兼下側コンタクト412に電子部品Wを載置したチャック22A、22Bが退避位置41aに存在するため、上側コンタクト411とステージ兼下側コンタクト412との間に構造体は不存在であり、上側コンタクト411を下降させて上側電極と接触可能となっている。
【0062】
そこで、このタイミングで電気特性の測定が行われる。一方、このタイミングでは、チャック22C、22H、22Gが電子部品Wを保持したまま、検査支援ユニット5、外観検査ユニット42、及び収容ユニット7に到着する。そのため、このタイミングで、検査支援、外観検査、及び収容も行われる。但し、これら検査支援、外観検査、及び収容は、電気特性の測定よりも短時間であるため、このタイミングでは、最長時間Aの停止時間となる。
【0063】
電気特性の測定を伴う第3種の停止時間が経過し、
図10に示すように、再びチャック22A、22Bが電気特性測定ユニット41へ後退する。そして、電気特性の測定が終了した電子部品Wをチャック22A、22Bが再び保持する。このタイミングでの停止時間は、第1種の停止時間と同じでよい。このタイミングでは、このチャックのペアは、電気特性測定ユニット41から電子部品Wをピックアップするのみである。また、検査支援ユニット5、外観検査ユニット42、及び収容ユニット7には、検査支援及び外観検査が終了した電子部品Wが戻っただけである。
【0064】
尚、電気特性測定ユニット41に電子部品Wが揃ったタイミングで、チャック22Cが供給ユニットから電子部品Wをピックアップしていなければ、このタイミングでピックアップするようにすればよい。
【0065】
(作用効果)
以上のように、電子部品搬送装置1には、搬送経路2を構成するターレットテーブル21が全周に亘って同一半径を有するチャック外周設置型回転搬送形式が採用される場合がある。この電子部品搬送装置1においては、電子部品Wを保持するチャック22を、放射状にテーブル外側に向かって水平に延びるようにした。これにより、チャック22により電子部品Wが載置されるステージ兼下側コンタクト412の上方に上側コンタクト411を配置しても、チャック22のみがステージ兼下側コンタクト412と上側コンタクト411との間に入り込み、上側コンタクト411とターレットテーブル21とが接触することはないので、ステージ兼下側コンタクト412に電子部品Wを載置可能となる。
【0066】
また、チャック22をターレットテーブル21の間欠回転角の2倍角のピッチでターレットテーブル21の外縁に設け、ステージ兼下側コンタクト412及び上側コンタクト411の隣に、チャック22が退避する退避位置41aを設定した。これにより、ステージ兼下側コンタクト412と上側コンタクト411の電子部品Wに対する処理がチャック22に妨害されることがない。特に、上側コンタクト411がチャック22に妨害されることなく、電子部品Wの上面電極に接触するために下降できる。
【0067】
従って、この電子部品搬送装置1によれば、搬送経路2を構成するターレットテーブル21が全周に亘って同一半径を有するチャック外周設置型回転搬送形式が採用しても、電気特性測定ユニット41をターレットテーブル21が構成する搬送経路2に設置することができ、この搬送経路2上で両面電極を有する電子部品Wの電気特性を測定できる。すなわち、チャック外周設置型回転搬送形式のみで構成した搬送経路2で両面電極を有する電子部品Wの電気特性を測定することができる。従って、両面電極を有する電子部品Wを回転搬送形式の利点である高速搬送で処理することができ、生産効率が向上する。
【0068】
ターレットテーブル21をアームが放射状に延びる星形とすると、アーム間ではステージ兼下側コンタクト412と上側コンタクト411との間にターレットテーブル21が不存在と成し得る。しかし、電子部品搬送装置1には、ステージ兼下側コンタクト412に電子部品Wを載置するために、チャック22をステージ兼下側コンタクト412に向けて降下させる進退駆動部25を、ターレットテーブル21の最外径部が通る軌跡の上方に固定設置する場合がある。このケースにおいても、チャック22を放射状にテーブル外側に向かって水平に延びるようにすることで、上側コンタクト411と進退駆動部25と接触することがなくなり、ステージ兼下側コンタクト412に電子部品Wを載置可能となる。
【0069】
従って、この進退駆動部25を有する電子部品搬送装置1においても、回転搬送形式のみで構成した搬送経路2で両面電極を有する電子部品Wの電気特性を測定することができる。従って、両面電極を有する電子部品Wを回転搬送形式の利点である高速搬送で処理することができ、生産効率が向上する。
【0070】
尚、電気特性測定ユニット41以外にも、下側にステージを設置し、そのステージに対向させて構造体を配置する例がある。例えば、ステージの直上からカメラで電子部品を撮像したい場合もある。すなわち、上側コンタクト411以外にもレーザーマーキング装置やカメラ等の他の構造体もステージの上方に存在させる場合もある。この電子部品搬送装置1は、このような上側コンタクト411以外の構造体をステージの上方に配置する必要がある場合であっても、ターレットテーブル21で構成された搬送経路2から一旦離脱させる必要が無く、ターレットテーブル21で構成された搬送経路2上で構造体による作用を電子部品Wに付与することができ、回転搬送形式の利点である高速搬送を発揮し、生産効率を向上させることができる。
【0071】
また、退避位置41aは、電気特性測定ユニット41から見て搬送方向下流側の隣に配置しても、搬送方向上流側の隣に配置してもよい。チャック22は、吸着チャック以外にも、静電チャック、ベルヌーイチャック、又は挟みを有して機械的に挟持するチャックを配してもよい。
【0072】
更に、ターレットテーブル21の間欠回転角のピッチに対してチャック22の配置を2倍角のピッチとしたため、電気特性測定ユニット41から数えて一つ置きの停止位置24の群と、退避位置41aから数えて一つ置きの停止位置24の群とが存在する。この電子部品搬送装置1では、このうち、退避位置41aから数えて一つ置きの停止位置24に電気特性測定ユニット41とは異なる処理の処理ユニット5、42、7を配置するようにした。
【0073】
電気特性測定ユニット41に電子部品Wを載置したチャック22が退避位置41aに存在する際の停止時間は、電気特性の測定に規制されて長時間Cとなる。この電子部品搬送装置1によれば、この電気特性の測定に伴う長時間Cの停止の際に、他のチャック22が停止した処理ユニット5、42、7で他の処理を行うことができる。換言すると、電気特性測定ユニット41に電子部品Wを載置するのみのタイミングでは、他の処理は行われず、このタイミングでの停止時間を短くすることができる。電気特性の測定が検査項目に含まれる場合であっても、電子部品搬送装置1による電子部品Wの搬送を更に高速化することができ、生産効率を更に向上できる。
【0074】
異なる処理の処理ユニットとしては、電子部品Wの外観を検査する外観検査ユニット42、電子部品Wの姿勢を補正する検査支援ユニット5、及び電子部品Wを収容するとともに収容の適正を判定する収容ユニット7を挙げた。この他にも、電子部品Wのピックアップ及び排出以上に時間のかかる処理を行う処理ユニットであれば、退避位置41aから数えて一つ置きの停止位置24に置くようにすればよい。
【0075】
他方、電気特性測定ユニット41の設置位置から数えて一つ置きの停止位置24では、処理を行わず、供給ユニット3や排出容器6を設置し、チャック22が電子部品Wをピックアップ又は離脱させるのみとしてもよい。電気特性測定ユニット41で電子部品Wの載置を行うため、チャック22による電子部品Wのピックアップ又は離脱が停止時間に影響を与えないためである。一方で、この停止位置を活用することでターレットテーブル21の大型化を回避することもできる。
【0076】
更に、2機の電気特性測定ユニット41を備え、各電気特性測定ユニット41は、一の電気特性測定ユニット41から数えて一つ置きの停止位置24の何れかに設置するようにし、退避位置41aは、各電気特性測定ユニット41の各隣に有するようにした。この態様では、全ての電気特性測定ユニット41に電子部品Wが揃ってから1度に電気特性の測定が可能となる。
【0077】
これにより、1度の電気特性の測定で2個の電子部品Wが測定終了するため、電子部品Wが搬送経路2に供給されて排出されるまでの間に電気特性の測定が発生する回数が少なくなり、電子部品搬送装置1の搬送速度が向上する。
【0078】
尚、電気特性測定ユニット41は、2機に限らず、複数機設置することができ、設置機数に反比例して電気特性の測定発生回数が少なくなり、電子部品Wの搬送速度を向上させることができる。また、電気特性測定ユニット41以外の処理ユニットであっても同一種を複数機設置し、全ての処理ユニットに電子部品Wが揃ってから処理を行うようにしてもよい。
【0079】
(他の実施形態)
以上のように本発明の各実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【課題】チャック外周設置型回転搬送方式の電子部品搬送装置において高速搬送の利点を失うことなく、ステージと構造物とを搬送経路を挟んで対向配置できる電子部品搬送装置を提供する。
【解決手段】全周に亘って同一半径を有する円形状を有するターレットテーブル21と、ターレットテーブル21の最外径部が通る軌跡の上方に固定設置され、チャック22をステージ兼下側コンタクト412に降下させる進退駆動部25を備える。ステージ兼下側コンタクト412の上方にチャック22が入り込む余地を空けて対向する上側コンタクト411を設ける。チャック22は、ターレットテーブル21の外縁にテーブルの1ピッチの回転角の2倍角のピッチで設けられ、テーブル外側に向けて水平に延ばす。停止位置24のうち、ステージ兼下側コンタクト412と上側コンタクト411の隣にチャック22の退避位置41aを設定する。