特許第5865524号(P5865524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ FONTEC R&D株式会社の特許一覧 ▶ 横浜油脂工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000009
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000010
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000011
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000012
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000013
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000014
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000015
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000016
  • 特許5865524-ゲンノショウコ組成物の製造方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865524
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】ゲンノショウコ組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/185 20060101AFI20160204BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20160204BHJP
   A61K 8/97 20060101ALI20160204BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20160204BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160204BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20160204BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20160204BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160204BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20160204BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20160204BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20160204BHJP
【FI】
   A61K36/185
   A61K31/7048
   A61K8/97
   A61K8/60
   A61P17/00
   A61P17/18
   A61P39/06
   A61P43/00 111
   A61Q15/00
   A61Q19/02
   A23L1/30 B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-2871(P2015-2871)
(22)【出願日】2015年1月9日
(62)【分割の表示】特願2010-275176(P2010-275176)の分割
【原出願日】2010年12月10日
(65)【公開番号】特開2015-107988(P2015-107988A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】514164926
【氏名又は名称】FONTEC R&D株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592007612
【氏名又は名称】横浜油脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】小泉 京子
【審査官】 春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−034138(JP,A)
【文献】 特開昭54−053110(JP,A)
【文献】 特開平07−025746(JP,A)
【文献】 特開昭53−031687(JP,A)
【文献】 特開2004−091390(JP,A)
【文献】 特開2007−186462(JP,A)
【文献】 奥田 拓男,日本の代表的民間薬ゲンノショウコ 生薬のタンニン研究の原点,生薬學雜誌(Natural Medicines),2000年 2月20日,Vol.53, Supplement No.2,p.52−54
【文献】 黄 素梅 外6名,ゲラニイン含有植物の加工処理と生成物の解析,日本食品化学学会誌,2006年12月30日,第13巻,第3号,p.118−124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−9068
A61K 31/00−80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
CiNii
医中誌WEB
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未乾燥あるいは乾燥したゲンノショウコの全草を、ゲラニインの加水分解を抑制するために酸を添加した、水、含水エタノール又は含水メタノールでゲラニインを抽出し、
上記抽出によって得られた抽出液を、臨界抽出法、膜処理法、再結晶法、透析膜処理法、遠心分離法、合成吸着剤処理法、イオン交換樹脂処理法の内の少なくとも1種類以上を用いて精製することを特徴とする、
ゲラニインを主成分とするゲンノショウコ組成物の製造方法。
【請求項2】
未乾燥あるいは乾燥したゲンノショウコの全草を、ゲラニインの加水分解を抑制するために酸を添加した、水、含水エタノール又は含水メタノールでゲラニインを抽出し、
上記抽出によって得られた抽出液をスチレンージビニルベンゼン系合成吸着剤に通液した後、エタノール水溶液で溶出し、
上記溶出によって得られた溶出液を、NaCl阻止率が55〜80%である逆浸透膜を用いて膜処理を行うことを特徴とする、
ゲラニインを主成分とするゲンノショウコ組成物の製造方法。
【請求項3】
前記酸が、クエン酸、酢酸及び酒石酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲンノショウコの栽培・収穫方法、ゲンノショウコ中の有効成分であるゲラニインを選択的かつ高含量に抽出、精製する製造方法、および当該製造方法により得られたゲンノショウコ組成物の機能性食品、食品素材、食品添加物、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等への利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゲンノショウコ(学名:Geranium nepakense Sweet sunsp. Thunbergii (Sieb.et Zucc. Hara)は、フクロソウ科の多年草で茎は分岐して地上をはい、また多少直立する。ゲンノショウコは昔より日本を代表する薬草の1つであり、一般には山野に自生しているゲンノショウコを採取し日干し乾燥したものを水で煎じて下痢止め、便秘、喉の痛みなどの解消の目的で服用され、よく効くので現在でも民間薬として広く薬局で販売されている。また、水やエタノール等で抽出したゲンノショウコ抽出液、抽出エキスは、デオドラント剤、化粧剤、医薬部外剤等として他の漢方薬等と併用した形で使用されている例があり特許出願されているものもある。
【0003】
しかし、これらの特許ではゲンノショウコを水またはアルコールで抽出した抽出液あるいは抽出エキスを他の薬草等と配合したものが殆どであり、ゲンノショウコの特定の有効成分の効果、効能を見出している例はないのが現状である。また、市販されている乾燥ゲンノショウコ中の有効成分であるゲラニインを分析するとその含量は極端に低下していることが分かった。これは、栽培方法、収穫時期、乾燥工程に問題があると考えられ、更に、後述する試験2に示したように、ゲンノショウコを水またはアルコールで抽出すると、ゲンノショウコの主要成分であるゲラニインは加熱時間の経過とともに加水分解され、コリラジン、エラグ酸、没食子酸等が生成されゲラニイン量は減少する。ゲラニインとこれらの分解物およびゲラニインとゲンノショウコ抽出物の抗酸化性、酵素阻害効果、SOD活性様効果を同じモル濃度で比較して調べると、ゲラニインの効果が最も高い結果となった。このことは、今までの民間薬やゲンノショウコ抽出物の効果はゲラニインの分解物およびその混合物に起因すると考えられ、ゲラニインの効能が最大限利用されていない可能性が高いと考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−136144号公報
【特許文献2】特開2009−143833号公報
【特許文献3】特開2009−91277号公報
【特許文献4】特開2001−181124号公報
【特許文献5】特開平7−25744号公報
【特許文献6】特開2007−63192号公報
【特許文献7】特開2000−128762号公報
【特許文献8】特開2004−323468号公報
【特許文献9】特開2006−52198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲンノショウコはエラグタンニンを含み、下痢止め、便秘、喉の痛みなどに効果があり、その主成分はゲラニインであると言われている。一般に、ゲンノショウコ乾燥品約60gを水1000mlに浸し20分〜60分煎じて飲まれている。ゆえに、加熱処理することによってゲラニインが加水分解されほとんどがコリラジン、エラグ酸、没食子酸などの分解物に変換し、その効能、働き、有効性は低下する傾向にあると考えられるが、これらについての科学的報告は全くない。
【0006】
本発明の課題は、ゲンノショウコの効能を最大限に利用するためにゲンノショウコの有効成分であるゲラニインを分解させないで抽出し、タンパク、ポリフェノールなどの不純物を除去したゲンノショウコ組成物を調製する方法確立し、更に、ゲンノショウコ組成物の効果、効能、機能性を科学的に解明することである。この課題を解決することによって、当該ゲンノショウコ組成物を食品、食品素材、医薬品、医薬部外品、化粧品などへ利用し新製品を創生することができると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、各地域のゲンノショウコを栽培しその特性を調査し、栽培方法、抽出・精製方法および有効成分の機能性について研究を鋭意行い、その一環としてゲンノショウコ中に存在するゲラニインを分解させないで抽出し、超臨界抽出法、膜処理法、透析膜処理法、再結晶法、遠心分離法、合成吸着剤処理法、イオン交換樹脂法等の少なくとも1種類以上を用いてタンパク、ポリフェノールなどの不純物を除去して精製し、エラグタンニンであるゲラニインを主成分とするゲンノショウコ組成物を得る製造方法を確立し、更に、当該ゲンノショウコ組成物がゲラニインの分解物であるコリラジン、没食子酸あるいは抽出液、抽出エキスより高い抗酸化性、酵素活性阻害効果、メラニン生成阻害効果、SOD活性様作用があることを見出した。これらの発見を基に、当該ゲンノショウコ組成物が機能性食品、食品素材、食品添加物、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等に広く利用できること見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
試験1(ゲンノショウコの栽培)
日中の気温が約15℃に達した3月〜4月頃にゲンノショウコの種子を定植用ポットに3〜5粒を播種した。定植後4週間後に5〜6cmに成長したゲンノショウコの苗を、マルチを張った畝(幅130cm、高さ30cm、長さ25m)に、一列6株、株間15cm間隔で定植した。定植後約2週間毎に5〜6株を採取し、一株当たりの各部位の新鮮重量(g)とゲンノショウコ有効成分であるゲラニインの含量(%)を測定し、その結果を表1に示した。表1の結果より、各部位に対するゲラニイン量は葉が最も多く、新鮮重量の最も多い定植後11週間後に葉を収穫するのが最も効果的であることがわかった。
【0009】
【表1】
【0010】
試験2(ゲンノショウコの抽出方法の検討)
定植後11週間後に収穫したゲンノショウコの葉1gに水100mlとクエン酸水100ml(クエン酸濃度0.2%)を添加したものをそれぞれ調製し、80℃、0分と80℃、60分の条件で加熱抽出し、濾過してHPLC分析を行った。HPLC条件は以下のとおりで行った。
カラム:Nucreosil
C18(φ4.6mm×250mm)、Detect:276nm、流速0.5ml/min、展開溶媒A;0.05%trifluoro acetic acid(TFA), B;CH3CN、グラジエント溶出パターン; (A;100%, B;0%, 0min)→(A;70%, B;30%, 50min)→(A;0%, B;100%, 70min)。図1に水で抽出した80℃、0分と80℃、60分およびクエン酸水で抽出した80℃、60分のHPLCパターンを示した。水抽出した場合、ゲラニインは経時的に加水分解され、コリラジン、没食子酸等の含量が増えゲラニインの含量は減少した。一方、クエン酸水で抽出した場合にはゲラニインの分解がほとんどおこっていないことが分かった。
【0011】
試験3(ゲンノショウコ中の各成分の効果)
ゲンノショウコの葉(1kg)を水(20L)で80℃の条件で抽出した液より、MS分析、NMR分析により同定した没食子酸260mg(分子量170、没食子酸含量99.9%)、コリラジン580mg(分子量634、コリラジン含量99.3%)、ゲラニイン150mg(分子量952、ゲラニイン含量99.5%)を分離した。また、ゲンノショウコの葉(1kg)をクエン酸水(0.2%、20L)で80℃の条件で抽出し乾固した粉末品(ゲラニイン含量12.4%)を得た。これらの4サンプルと試験4で得られたゲンノショウコ組成物(ゲラニイン含量50%)の合計5サンプルを後述する試験6、7、8と同じ方法で抗酸化効果、アルカリホスファターゼ(ALP)活性阻害効果、SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)活性様効果(活性酸素様消去効果)について、それぞれ各成分の最終濃度が1mMとなるようにして評価した。この結果、どの評価系においてもゲラニイン100%に対し、ゲンノショウコ組成物が90〜95%、コリラジンが60〜65%、没食子酸が40〜50%、抽出粉末品が25〜35%の効果を示した。このことは、ゲラニインの効果がコリラジン、没食子酸より高く、更にタンパク、ポリフェノールなどの不純物が混在するものより精製したものの方がより効果が高いことが分かった。
【0012】
試験4(ゲンノショウコの抽出および精製)
試験3の結果よりゲンノショウコ組成物のゲラニインを高含量にすることが効果的であるということが分かったので、ゲンノショウコの抽出・精製方法を以下のようにして行った。定植後11週間後に収穫したゲンノショウコ葉2.5kg、水50Lおよびクエン酸100gをステンレス容器(50L)に入れ、攪拌しながら80℃、1時間加熱処理し、25℃まで冷却した。金網ザル(30メッシュ)にて残渣を取り除き、濾紙フィルター(孔径1μm)にて濾過し抽出液50Lを得た。この抽出液を吸着樹脂(三菱化成、ダイヤイオンHP-20、2000ml)にて処理した。活性化(4%NaOH水2000mlを33ml/minの速度で通液した後、水6000mlで水洗する。次に4%H2SO4水2000mlを33ml/minの速度で通液した後、水6000mlで水洗した)したHP-20に抽出液50Lを33ml/minの速度で通液し、水6000mlで水洗した。ゲンノショウコ有効成分であるゲラニインの溶出には40%v/vEtOH+0.05%(2g)、2000mlを33ml/minの速度で通液したものを回収した。得られた溶出液を循環圧力10kg/cm2、循環流量5L/minの条件で逆浸透膜(膜面積0.8m2、NaCl阻止率55%〜80%)を用い膜処理し、真空濃縮(ロータリーエバポレーター)で濃縮した。更に、20%エタノールを用い5℃のもと再結晶法による精製を行い、結晶物は回収し再度50%エタノールに溶解した。この溶解液を真空濃縮乾固し、ゲンノショウコ組成物75gを得た。得られたゲンノショウコ組成物のゲラニイン含量は50%であった。
【0013】
ゲンノショウコに含有しているゲラニインの効果、効能、機能性を科学的に解明するために、当該ゲンノショウコ組成物(ゲラニイン50%)および更に高含量であるゲンノショウコ(ゲラニイン)を調製して用いた。ゲンノショウコ(ゲラニイン)の調製はゲンノショウコ組成物の再結晶を繰り返し含量99.9%の粉末5gを得た。以降の実験にはこのゲンノショウコ組成物(含量50%)およびゲンノショウコ(ゲラニイン)(含量99.9%、MSおよびNMRにより同定した)を使用した。
【0014】
試験5(メラニン合成阻害効果試験)
シミ、ソバカスの要因となるメラニンは、紫外線から皮膚を守るために存在することが知られているが、その一方、シミ、ソバカス、黒ずみの原因があることが知られている。メラニンはチロシンがL-DOPA、更にDOPAキノンに変換され、DOPAキノンが縮合して生成される。この2つの変換反応に関与しているのがチロシナーゼである。既に、松木らは(M.MATUKI et.al. YAKUGAKU ZASSHI 128(8) 1203-1207, 2008)グルタチオンにDOPAキノンの縮合反応を阻害しメラニン生成阻害効果が存在することを報告している。本発明では、L-DOPAがチロシナーゼによりDOPAキノンに変換され、その後DOPAキノンが縮合してメラニンを生成することを確認し、ゲンノショウコ(ゲラニイン)がDOPAキノンの縮合を阻害しメラニン生成を阻害することを解明した。
【0015】
実験には以下のように試薬、試料調製して使用した。リン酸緩衝液(buffer pH=7.2)は、4.0g/500ml(NaCl)、0.1g/500ml(KCl)、1.45g/500ml(Na2HPO4・12H2O)、0.1g/500ml(KH2PO4)で、L-DOPA 0.03944gをリン酸緩衝液で50mlにfill-upし789ppm、4mMに調製した。チロシナーゼは0.0037gを80mlにリン酸緩衝液にてfill-upし248units/mlに、グルタチオンは0.04912gを50mlにリン酸緩衝液にてfill-upし982ppm、3.2mMに調製した。ゲンノショウコ(ゲラニイン)は0.1gを200mlにリン酸緩衝液にてfill-upし500ppmに調製した。各試薬は和光純薬より購入した。
【0016】
試験5−1−1(L-DOPAによるメラニンの合成反応)
最終濃度が1、0.5、0.25、0.1、0mMとした L-DOPA溶液とチロシナーゼ(final 53.7units/ml)を混和後37℃ 30分間静置した後、DOPAキノンの吸収波長である490nmにおける吸光度(OD490)値を測定し、DOPAキノンを確認した(表2)。
その結果、L-DOPAの濃度依存的に吸光度(OD490)が高くなった。このことは、L-DOPAがDOPAキノンに変換していることを示唆していると考えられた。
【0017】
【表2】
【0018】
試験5−1−2(グルタチオンおよびゲンノショウコによるメラニンの合成反応阻害)
メラニン合成阻害効果があると知られているグルタチオンと比較してゲンノショウコ(ゲラニイン)のメラニン合成阻害能力を調べた。最初に、最終濃度が0.8、0.4、0.2、0.08、0mMとしたグルタチオン、L-DOPA溶液(final 1mM)およびチロシナーゼ(final 53.7units/ml)を混和後37℃ 30分間静置した後OD490値を測定し、吸光度測定し、DOPAキノン生成を確認した(表3)。その結果、グルタチオンの濃度依存的に吸光度が低くなった。また、グルタチオン濃度(0.8mM)を一定にし、L-DOPA濃度(1〜0mM)を変えた実験ではOD490の上昇は見られなかった。更に、生成されたDOPAキノン(OD490=0.921)にグルタチオン(final 0.8mM)を加え、8時間室温に放置したときメラニン生成が見られなかった。これらのことは、グルタチオンはチロシナーゼによりL-DOPAから変換されたDOPAキノンと反応してメラニンの合成を阻害していると考えられた。
【0019】
【表3】
【0020】
次に、ゲンノショウコ(ゲラニイン)(最終濃度500、250、125、62.5、25、0ppm)、 L-DOPA溶液(final 1mM)およびチロシナーゼ(final 53.7units/ml)を混和後37℃ 30分間静置した後OD490値を測定した。ゲンノショウコの場合には、それ自身が黄色の発色をすること、および酵素であるチロシナーゼと反応し褐変したので、基質であるL-DOPAを除いた同濃度のゲンノショウコ(ゲラニイン)とチロシナーゼで反応させた時の吸光度を差し引いてDOPAキノン生成を確認した(表4)。同様に最終濃度が1、0.5、0.25、0.1、0mMとしたL-DOPA溶液、ゲラニイン (Final 250ppm) およびチロシナーゼ(final 53.7units/ml)を混和したものも行った(表5)。
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】
表4よりゲンノショウコ(ゲラニイン)の濃度依存的に吸光度が低い結果となった。また、ゲラニイン濃度(250ppm)を一定にし、L-DOPA濃度(1〜0mM)を変えた実験(表5)ではOD490の上昇は見られなかった。更に、生成されたDOPAキノン(OD490=0.921)にゲラニイン(Final 250ppm)を加え、8時間室温に放置したとき、メラニン生成で見られる黒い沈殿物(コントロール)は見られず茶色の物質が観察された。これらのことは、ゲラニインはチロシナーゼ活性阻害し、或いはL-DOPAから変換されたDOPAキノンと反応してメラニンの合成を阻害していると考えられた。また、ゲンノショウコ組成物(ゲラニイン含量50%)を用い同じ実験を行ったところ全く同じ結果となった。
【0024】
試験5−2(ゲンノショウコのメラニン阻害方法の検索)
試験5−1−2の結果より、ゲンノショウコ中のゲラニインがメラニン合成阻害効果を有することが判明したが、チロシナーゼ酵素活性を低下させメラニン合成阻害しているのか、或いはL-DOPAがチロシナーゼにより変換されたDOPAキノンが縮合工程を阻害しているのかを調べた。ゲラニイン最終濃度が500、250、100、0ppmになるよう、グルタチオンは最終濃度が0.8、0.4、0.2、0.08、0mMになるようにリン酸緩衝液で調製し1ml、L-DOPA0.5ml(最終濃度196ppm、1mM)、チロシナーゼ0.5mlを(最終濃度62units/ml)を混合し、37℃のもと、一定時間インキュベートしてメンブレン濾過(0.45μm)したものをHPLC分析した。
【0025】
HPLC条件はカラムとしてODS Nucreosil C18(φ4.6×250mm)、溶媒A:0.5%TA水溶液、溶媒B;CH3CN、0分(溶媒B0%)→30分(溶媒B100%)、流速:1ml/min、検出波長:280nmで行った。
【0026】
試験5−2−1(L-DOPAのチロシナーゼによる変換)
最初に、L-DOPAのチロシナーゼによる変換について分析した。L-DOPA(1mM)およびL-DOPA(1mM)とチロシナーゼ(62 units/ml)を混合し、37℃、30分インキュベートした時のHPLCパターンを図2、3に示した。その結果、無色透明のリテンションタイム(Rt)3.8分にあるL-DOPA(図2)は、チロシナーゼによりRt;4.2分のDOPAキノン(図3)に変換した。
【0027】
試験5−2−2(L-DOPAとゲラニインとの反応性)
L-DOPA(1mM)とゲンノショウコ(ゲラニイン) (250ppm)を混合し、37℃、30分インキュベートした時のHPLC分析を行ったところ、両者は全く反応しなかった。
【0028】
試験5−2−3(ゲラニインとチロシナーゼの反応性)
ゲンノショウコ(ゲラニイン)とチロシナーゼの反応性を調べるためにゲラニイン濃度(100、250、500ppm)とチロシナーゼ(62 units/ml)とを混合し、37℃、30分インキュベートした。図4、5にはゲラニイン(500ppm)とチロシナーゼで反応させたゲラニイン(250ppm)のHPLCパターンを示した。ゲンノショウコ(ゲラニイン)(Rt;16.5分)はチロシナーゼにより元の成分とは異なる成分(Rt;22.5分)に変換することが判った。
【0029】
試験5−2−4(ゲラニイン、L-DOPAとチロシナーゼの反応性)
ゲンノショウコ(ゲラニイン)がメラニン合成のどの工程を阻害しているのかを調べるためにゲンノショウコ(ゲラニイン)(0、100、250、500ppm)、L-DOPA(1mM)とチロシナーゼ(62 units/ml)とを混合し、37℃、30分インキュベートした。その結果を図6に示した。図6より、DOPAキノン(Rt;4.2分)は殆ど存在しないことが分かり、更に、ゲンノショウコ(ゲラニイン)の添加濃度が上がるに従ってDOPAキノンの赤色が薄くなり、量が低下していた。このことは、ゲンノショウコ(ゲラニイン)はチロシナーゼにより他の成分(Rt;22.5分)に変換(キノン体であると考えられる)され、この成分とDOPAキノンが反応し、メラニン合成を阻害していると考えられた。本実験においてゲンノショウコ組成物(ゲラニイン含量50%)を用いた結果も同様の結果であった。
【0030】
以上の結果より、ゲンノショウコに含有するゲラニインはメラニンの合成を強く阻害していることが示唆され、ゲンノショウコ組成物は美白化粧剤等への利用が大いに期待できることが証明された。
【0031】
試験6(抗酸化性試験)
近年、糖尿病、高血圧、ガンなどの疾病に活性酸素が関与している可能性が高いことが知られるようになった。それにともない、この活性酸素を消去する様々な抗酸化物質の存在が報告されている。本実験ではゲンノショウコ(ゲラニイン)の抗酸化能について調べた。クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸(純度97%)、Torolox、カテキン、ルチン、モリン、クエルセチン、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)試薬は和光純薬より購入した。2-(N-Morpholino)ethanesulfonic Acid(MES; 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸分子量213.25)緩衝液は1.72gを水40mlに溶解し調製した(200mM、pH6.0)。DPPHは0.0128gをエタノールにて40mlに希釈して調製した(800μM)。クロロゲン酸、没食子酸、Torolox、カテキン、ルチン、モリン、クエルセチンは50%エタノール溶液で100ppmに調製した。ただし、エラグ酸は100ppmでは溶解しなかったので50ppmに調製した。ゲンノショウコ(ゲラニイン)は50%エタノールで溶解させ、ゲラニイン濃度100ppmに調製した。100ppmに調製した各試験液(エラグ酸は50ppm)を用い、最終濃度が0, 2.5, 5.0, 10, 25, 50 ppmになるように50%EtOHで1.5mlに希釈した。その後、MES緩衝液0.75mlとDPPH液0.75mlを試験管で混合し3mlにした。室温で20分間放置後、分光光度計で吸光度520nmを測定した。
【0032】
各試験液を混合した後20分室温で放置したときの各濃度における520nmの吸光度変化を図7に示した。ゲンノショウコ(ゲラニイン)は添加量25ppm付近で520nmの吸光度が0.1以下となり、エラグ酸、没食子酸と同程度の高い抗酸化性を有していることがわかった。本実験においてゲンノショウコ組成物(ゲラニイン含量50%)を用いた結果も同様の結果であった。
【0033】
以上の結果より、ゲンノショウコ組成物は抗酸化作用を期待する様々な機能性食品、健康食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品等への利用が可能であると考えられた。
【0034】
試験7:アルカリフォスファターゼ(ALP)酵素活性阻害効果
脇の臭いや体臭は、脂質やタンパク質などが皮膚の常在菌によって分解されて臭いが発生すると考えられている。現在市場に、臭いを防止するために、常在菌の殺菌剤や吸着剤による臭いの吸着、香りによるマスキング剤などが販売されている。一方、脂質やタンパク質などが分解する際に、常在菌中の酵素であるアルカリフホスファターゼ(ALP)が関与していることが新たに見出され、臭いの発生を抑える方法が検討されている。本実験では、ゲンノショウコ(ゲラニイン)がALP活性阻害を行うかを調べた。
【0035】
ALP活性測定はBioVision社製のAlkaline Phosphatase Assay Kitを用いて行った。また、抑制物質としてゲンノショウコ(ゲラニイン)を用いた。検量線の作成は、p-nitrophenyl phosphate(pNPP)溶液(5mM) 40μLに分析バッファー160μLを加え、1mM濃度のpNPP標準液を調整した。96wellプレートに0,4,8,12,16,20,40,60,80,100μL標準液を加え、分析バッファーで最終液量120μLにした。この時の各重量(mol)は0,4,8,12,16,20,40,60,80,100 nmol/wellのpNPPが添加されていることになる。次に、10μLの酵素溶液を添加、混合し、60分間25℃で光を遮断して保持した。次に、20μLのストップ溶液を添加し、ALPによりpNPPから変換された黄色を呈するp-Nitrophenol(pNP)の405nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。吸光度とpNPPから変換されたpNPの検量線一次方程式(Y=56.607X+0.0741, R2=0.9982)より算出した。本条件でpNPPが0〜60nmolの範囲で直線性のある検量線が得られた。
【0036】
次に、ゲンノショウコ(ゲラニイン)はbufferを用い1500ppm溶液を調製した。ゲラニインの最終濃度が0,200,400,800,1000ppmになるように調製した液に最終濃度が10,20,50,100nmolとなるようpNPP溶液を96wellプレートに添加し、405nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。ゲンノショウコ(ゲラニイン)にBufferを添加するとゲラニイン自身が発色するため、pNPP溶液無添加の系を設け吸光度を差し引いた値を採用した。検量線の時と同様にpNP検量線一次方程式(Y=56.607X+0.0741, R2=0.9982)より算出した結果を図8に示した。pNPP10、20,50、100nmol、ゲラニイン溶液1000ppm添加区全てpNPはほとんど生成されておらず、ゲラニインがALP酵素阻害活性を有していると考えられた。このことは、ゲンノショウコ(ゲラニイン)が、わきが脱臭剤の開発に役立つと考えられた。
【0037】
試験8(SOD活性様作用;活性酸素様消去効果)
スーパーオキサイド・ディスムターゼ(SOD)は、2つのスーパーオキシドアニオンの酸素分子と過酸化水素への変換を触媒する酵素である。生体の酸化防止能を強化すれば、活性酸素が関与する疾病のリスクを低下させることができるという考え方がある。食品中の有効成分には活性酸素の消去作用(superoxide anion scavenging activity;SOSA)を有するものがある。高い活性を有する食品素材の開発が活発に展開されている。そこで、ゲンノショウコ(ゲラニイン)がSOD活性様作用を有するかをCayman’s Superoxide Dismurase Assay Kitを用いて調べた。
【0038】
Cayman’s Superoxide Dismurase Assay KitはSODの基質となる活性酸素の発生には、酵素キサンチンオキシダーゼによるキサンチンの酸化反応が利用される。反応溶液には生成した活性酸素を検出するためプローブを共存させておく。プローブとしてtetrazolium saltを用い、活性酸素によりFormazan dyeに変換した時の450nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し、SOD活性を測定する。試料を添加していない時の検量線を作成し、各試料を添加した時の抑制率をその試料が示すSOD(U/ml)で表す。
【0039】
検量線の作成
最終SOD活性が0、0.025、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25U/mlになるよう緩衝液(Tris-HCl,pH8.0)で調製した溶液(10μl)にXanthine、Xanthine oxidase、およびTetrazolium saltを添加し230μlとし、20分間室温にてインキュベートした後、マイクロプレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。各SOD活性濃度における吸光度のLR(linearized rate;例えばStd BのLR値=Std A吸光度÷Std B吸光度)を用い検量線を作成した。
【0040】
試料のSOD活性測定
ゲンノショウコ(ゲラニイン)のSOD活性を評価するために、カテキン、ルチン、クロロゲン酸、没食子酸と比較して行った。各サンプルを最終濃度が1、5、10、25、50、100、250、500ppmの濃度になるように緩衝液(Tris-HCl,pH8.0)で調製した溶液にXanthine、Xanthine oxidase、およびTetrazolium saltを添加し230μlとし、20分間室温にてインキュベートした後、マイクロプレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。検量線作成時と同様なLR値用い、検量線の一次方程式より以下の計算式にてSOD(U/ml)を算出しその結果を図9に示した。
SOD(U/ml)={(サンプルLR−y軸切片)÷傾き×23}、(y=aX+b:a;傾き、b;y軸切片)、0〜500ppmのゲラニイン添加濃度の範囲で高いSOD活性様作用を有しており、市販品への利用が期待できる。また、ゲンノショウコ組成物を用いても同様の結果であった。
【発明の効果】
【0041】
本発明による栽培方法、抽出、精製方法を用いることにより、ゲンノショウコ中の有効成分であるゲラニインを効率的に高い濃度で含有するゲンノショウコ組成物を得ることができる。更に当該ゲンノショウコ組成物およびその製剤を使用することにより、抗酸化性、メラニン合成阻害、酵素阻害、活性酸素様消去効果等を有する機能性食品、食品素材、食品添加物、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等を創生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1はゲンノショウコの抽出条件による抽出成分の違いを示した説明図である。(試験2)
図2図2はL-DOPAをチロシナーゼ変換していない結果を示した説明図である。(試験5−2−1)
図3図3はL-DOPAをチロシナーゼ変換した結果を示した説明図である。(試験5−2−1)
図4図4はゲンノショウコ(ゲラニイン)をチロシナーゼ変換していない結果を示した説明図である。(試験5−2−3)
図5図5はゲンノショウコ(ゲラニイン)をチロシナーゼ変換した結果を示した説明図である。(試験5−2−3)
図6図6はゲンノショウコ(ゲラニイン)、L-DOPAをチロシナーゼ変換した結果を示した説明図である。(試験5−2−4)
図7図7はゲンノショウコ(ゲラニイン)および抗酸化性物質の各濃度での抗酸化性効果を示した説明図である。(試験6)
図8図8はゲンノショウコ(ゲラニイン)の各濃度におけるALP活性阻害効果を示した説明図である。(試験7)
図9図9はゲンノショウコ(ゲラニイン)および抗酸化剤の各濃度における活性酸素様消去効果を示した説明図である。(試験8)
【実施例1】
【0043】
ゲンノショウコ組成物の効果、作用について実施例で詳細に説明をするが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。飲料がコンビニエンスストアーに展示販売されるようになり天然色素の安定性が求められるようになった。現在では、ルチン製剤やクロロゲン酸製剤などの抗酸化性剤などが用いられ、天然色素の安定化を行っている。今回の実験では、抗酸化性を有するゲンノショウコ組成物が天然色素の安定化を向上させるかを検討した。紅花色素(市販品)吸光度402nm=3200のものを使用し市販の無着色炭酸飲料に着色した。天然色素安定化実験の対照区物質としてクロロゲン酸、没食子酸、Toroloxを用いた。これらは和光純薬より試薬として購入した。対照区物質およびゲンノショウコ組成物中のゲラニイン最終濃度がそれぞれ100、50、25ppmになるよう無着色炭酸飲料に添加し、更に紅花色素を402nm における吸光度が0.8となるように各6本ずつガラス製の容器(100ml容)に入れ調製した。太陽光下、3日、7日後に極大吸収波長(402nm)における吸光度を分光光度計にて測定し、処理する前の吸光度を100%とし処理した後の吸光度を残存率(%)として平均値を算出した。また、同時に対照区物質を添加しないもの12本作成しコントロールとした。
【0044】
表6に太陽光3日と7日後の紅花色素残存率(%)を示した。暗所に置き太陽光を遮光したコントロールでは紅花色素の退色はほとんど見られなかったが、太陽光下でのコントロールでの色素残存率は3日放置で55.4%、7日放置で16.5%であった。紅花色素は太陽光の照射により退色が促進されることが分かる。一方、各添加剤を添加した実験区において、ゲンノショウコ組成物は各添加濃度とも他の抗酸化成分に比べ高い残存率を示し、更に、ゲンノショウコ組成物は添加濃度に比例して紅花色素の残存率を向上させていた。このことは、ゲンノショウコ組成物が、他の添加剤に比べ太陽光による紅花色素の退色を強く抑制していることが示唆された。以上の結果より、ゲンノショウコ組成物は天然色素の安定剤として利用できることが期待される。
【0045】
【表6】
【実施例2】
【0046】
わきがを抑制する新たな方法として、脂質やタンパク質などの分解に関与しているアルカリホスファターゼ(ALP)の活性阻害を行い、臭い発生を抑えるというものがある。これは、アポクリン汗腺の活動を抑え、脇の臭いを根本改善するということを意味するものである。一般に、においが強い人ほどアポクリン分泌管腔が大きく、分泌活動が活発であり、アポクリン汗腺の活動全般にわたってALPが、わきがの原因となる酪酸、イソ吉草酸の生成を促進していると考えられている。植物エキスの中でセージ、オウゴンなどは、このALP活性を阻害する効果を有していることはよく知られている。そこで、ゲンノショウコ組成物中のゲラニイン最終濃度が3000ppmのローション(グリセリン3%、1,3-ブチレングリコール5%、ポリエチレングリコール2%、エタノール5%、メチルパラベン0.1%、キサンタンガム0.1%、クエン酸0.01%、クエン酸ナトリウム0.03%、ゲンノショウコ組成物0.6%、精製水84.16%)およびゲンノショウコ組成物無添加を調製し、成人男子4人でわきがの抑制を調べた。実験は、朝8:00に右の脇にゲンノショウコ組成物のローション、左にゲンノショウコ組成物無添加のローション約5mlをそれぞれ塗り、夕方18:00に右および左の脇をガーゼでふき取り密閉容器に入れ、1時間後に臭いを官能した。評価は5段階評価とし、この操作を5日間行った結果を表7に示した。個人により臭いの差はあるが、ローションを塗った右脇の臭いは左脇に比べ抑えられていた。このことは、ゲンノショウコ組成物がアルカリホスファターゼ(ALP)の活性阻害を行い脇の臭いを抑制したと考えられた。
【0047】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明では、ゲンノショウコ中に存在するゲラニインを分解させないで抽出し、更に超臨界抽出法、膜処理法、透析膜処理法、再結晶法、遠心分離法、合成吸着剤処理法、イオン交換樹脂法等の少なくとも1種類以上を用いてタンパク、ポリフェノールなどの不純物を除去して精製し、エラグタンニンであるゲラニインを主成分とするゲンノショウコ組成物を得る製造方法を確立し、更に、当該ゲンノショウコ組成物がゲラニインの分解物であるコリラジン、没食子酸あるいは抽出液、抽出エキスより高い抗酸化性、酵素活性阻害効果、メラニン生成阻害効果、SOD活性様作用があることを見出した。このことは、機能性食品、食品素材、食品添加物、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等にゲンノショウコ組成物を産業上広く利用することができ、その効果を期待できるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9