特許第5865536号(P5865536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5865536
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】ブラシ用毛材およびブラシロール
(51)【国際特許分類】
   B24D 11/00 20060101AFI20160204BHJP
   B24D 13/10 20060101ALI20160204BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20160204BHJP
   A46D 1/00 20060101ALI20160204BHJP
   D01F 1/10 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   B24D11/00 G
   B24D13/10
   B24D3/00 320Z
   A46D1/00 101
   D01F1/10
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-96545(P2015-96545)
(22)【出願日】2015年5月11日
【審査請求日】2015年5月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137096
【氏名又は名称】株式会社ホタニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩城
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−136594(JP,A)
【文献】 特表2001−502185(JP,A)
【文献】 特開平06−055460(JP,A)
【文献】 特開2010−137295(JP,A)
【文献】 特開2000−129478(JP,A)
【文献】 特開2005−000310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D3/00−99/00
A46B1/00−17/08
A46D1/00−99/00
A61C17/22−17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を圧延する圧延ロールを研磨するためのブラシロールに用いられるブラシ用毛材であって、
研磨材粒子を含有した熱可塑性樹脂製の1又は複数のモノフィラメントを含み、
前記研磨剤粒子は、ビッカース硬さが前記圧延ロールのビッカース硬さよりも小さくかつ前記金属板のビッカース硬さよりも大きく、
前記研磨剤粒子のビッカース硬さがHV80〜450の範囲であるブラシ用毛材。
【請求項2】
前記研磨剤粒子が、鉄製または非鉄金属製の粒子により構成されている請求項1に記載のブラシ用毛材。
【請求項3】
前記研磨剤粒子が、スチールグリットにより構成されている請求項2に記載のブラシ用毛材。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載のブラシ用毛材を備えたブラシロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延機のワークロールやワークロールのバックアップロールを研磨するためのブラシロールに用いられるブラシ用毛材およびブラシロールに関する。
【背景技術】
【0002】
圧延機のワークロールやワークロールのバックアップロール(以下、「圧延ロール」という。)には、鉄やアルミニウム等の金属板の圧延時に、金属板の表面に付着した金属板の屑(金属屑)等などの付着物が付着する。圧延ロールに金属屑等の付着物が付着していると、圧延後の金属板の表面品質が低下するため、これを防止するために、圧延ロールに付着した金属屑等の付着物を除去する必要がある。この金属屑等の付着物の除去には、例えばブラシロールが用いられる。
【0003】
ブラシロールは、圧延ロールの表面にブラシ用毛材を押し当てた状態で高速回転することで、圧延ロールの表面を研磨する。ブラシ用毛材は、例えばナイロン6やナイロン66、ナイロン612、ナイロン12等の熱可塑性樹脂よりなるフィラメントに研磨材粒子を混入してつくられる。混入される研磨材粒子としては、例えば炭化ケイ素や酸化アルミニウム等が一般的に用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−109620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研磨材粒子として炭化ケイ素や酸化アルミニウムを用いると、これらは硬度が大きく圧延ロールに付着した金属屑等の付着物を良好に削り落とすため、圧延ロールに対する優れた研磨力を発揮する。しかし、研磨力が強すぎるために、圧延ロール自体も削られてしまって圧延ロールが過度に磨耗してしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上記した課題に着目してなされたもので、適度な研磨力を有し、かつ、圧延ロールの磨耗を極力抑えることができるブラシ用毛材およびブラシロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、金属板を圧延する圧延ロールを研磨するためのブラシロールに用いられるブラシ用毛材であって、研磨材粒子を含有した熱可塑性樹脂製の1又は複数のモノフィラメントを含み、前記研磨剤粒子のビッカース硬さが前記圧延ロールのビッカース硬さよりも小さくかつ前記金属板のビッカース硬さよりも大きく、前記研磨剤粒子のビッカース硬さがHV80〜450の範囲であるブラシ用毛材によって達成される。
【0008】
上記構成のブラシ用毛材においては、前記研磨剤粒子が、鉄製または非鉄金属製の粒子により構成されていることが好ましく、その中でも、スチールグリットにより構成されていることがさらに好ましい。
【0009】
なお、前記研磨剤粒子は、少なくとも糠類およびフェノール樹脂を含む混合物を焼成してなる多孔性炭素粒子により構成されていてもよい。
【0011】
本発明の前記目的は、上記構成のブラシ用毛材を備えたブラシロールによっても達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るブラシ用毛材およびブラシロールによると、適度な研磨力を有し、かつ、圧延ロールの磨耗を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るブラシ用毛材の構成を示す斜視図である。
図2】ブラッシング部材の一例を示す斜視図である。
図3】ブラシロールの概略構成を示す正面図である
図4】ブラシロールの一使用例を示す説明図である。
図5】ブラシロールの他の使用例を示す説明図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るブラシ用毛材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るブラシ毛材1を示している。また、図2は、本発明の一実施形態に係るブラシ毛材1を用いたブラシロール用のブラッシング部材の一例(ブラシディスク10)を示している。ブラシディスク10は、円盤状のディスク11の周縁部に複数のブラシ毛材1が密に植設されている。ブラシ毛材1を、ディスク11の外周面に穿設された穴(図示せず)に通し、U字状に折り曲げた後、その折り曲げ基部を金属線(図示せず)などにより緊締することで、複数のブラシ毛材1がディスク11の周縁部に固定される。このディスク11をブラシロールのシャフト12に一体回転するように複数取り付けることで、図3に示すようなブラシロールBが形成される。ブラシロールBは、鉄やアルミニウム等の金属板Sを圧延するための圧延機のワークロールRの表面を研磨したり(図4を参照)、ワークロールRのバックアップロールBUの表面を研磨したり(図5を参照)するのに用いられる。なお、以下では、ワークロールRとバックアップロールBUとを合わせて圧延ロールともいう。
【0015】
本実施形態のブラシ用毛材1は、図1に示すように、1つ又は複数の断面視円形状のモノフィラメント2から構成されている。図1に示すブラシ用毛材1では、複数本(図示例では7本)のモノフィラメント2によって芯糸を構成し、この芯糸の外周をカバーリング糸3でカバーリングしてブラシ用毛材1を構成しているが、1本のモノフィラメント2で構成した芯糸にカバーリング糸3でカバーリングしてブラシ用毛材1を構成してもよい。また、芯糸(1つ又は複数のモノフィラメント2)の外周をカバーリング糸3でカバーリングすることなくブラシ用毛材1を構成するようにしてもよい。モノフィラメント2の直径は特に限定されるものではないが、1本のモノフィラメント2により芯糸を構成する場合は、その直径を0.2mm〜3.0mmとすることが好ましい。モノフィラメント2の直径が、上記範囲未満の場合には、モノフィラメント2の毛腰が弱いためにブラシ用毛材1の研磨力が小さくなるおそれがある一方で、上記範囲を超える場合には、モノフィラメント2の毛腰が強いために硬く曲げにくくなり、例えはディスク11などに対するブラシ用毛材1の植毛が困難になるおそれがあるからである。なお、複数本のモノフィラメント2によって芯糸を構成する場合は、全体として芯糸の直径が0.4mm〜5.0mmとなるように各モノフィラメント2の直径を設定することが好ましい。
【0016】
モノフィラメント2の材質としては、例えばポリエステルやポリアミド、ポリオレフィンなど熱可塑性樹脂を挙げることができる。ポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン12などを挙げることができ、ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などを挙げることができる。
【0017】
カバーリング糸3は、例えばナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどの合成樹脂製の極細の複数のモノフィラメントヤーン4からなるマルチフィラメントヤーンを、例えば芯糸(1つ又は複数のモノフィラメント2)の外周に螺旋状に巻き付けて合成樹脂製の接着剤で固めることで、芯糸(1つ又は複数のモノフィラメント2)の外周をカバーリングしている。なお、このカバーリング糸3は、1本のモノフィラメントヤーンを芯糸(1つ又は複数のモノフィラメント2)の外周に螺旋状に巻き付けてもよいし、また、マルチフィラメントヤーンを組紐状に編み込んだ状態で芯糸の外周に巻き付けることもできる。また、その他にも、芯糸を複数のモノフィラメント2から構成する場合は、図6に示すように、各モノフィラメント2をカバーリング糸3でカバーリングしておき、このカバーリング糸3でカバーリングされた各モノフィラメント2を複数本(図示例では3本)束ねた状態にして、さらにそれをカバーリング糸3でカバーリングするように構成することもできる。
【0018】
モノフィラメント2は、研磨材粒子(図示せず)を含有している。本実施形態では、モノフィラメント2に含有される研磨材粒子は、その硬さが、ブラシ用毛材1(ブラシロールB)による研磨対象の圧延ロール(ワークロールRまたはバックアップロールBU)の硬さよりも小さく、かつ、圧延ロールによる圧延対象の金属板Sの硬さよりも大きいことを特徴としている。
【0019】
研磨材粒子の硬さが、まず、圧延対象の金属板Sの硬さよりも大きいことで、ブラシ用毛材1は、圧延ロールに付着した金属板Sの金属屑を圧延ロール表面から削り取ることが可能であり、圧延ロールに対して優れた研磨力を発揮する。加えて、研磨材粒子の硬さが研磨対象の圧延ロールの硬さよりも小さいために、ブラシ用毛材1により圧延ロール自体を削ってしまうことを抑制することが可能であり、圧延ロールが過度に磨耗してしまうことを効果的に防止できる。このように、本実施形態のブラシ用毛材1は、上記硬さの研磨材粒子を含有することで、圧延ロールに対して良好な研磨性能を有し、圧延ロールの表面性状を均一かつ平滑にできるとともに、圧延ロール自体の磨耗量を効果的に抑制することができる。
【0020】
研磨材粒子、圧延ロールおよび金属板Sの硬さは、例えばビッカース硬さ試験(JIS Z2244)で測定して得られるビッカース硬さを用いて比較することができる。金属板Sの硬さとしては、材質が例えばアルミニウムである場合には、1kgfの押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さでHv80程度である。また、材質が例えば鉄である場合には、1kgfの押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さでHv200〜500程度である。また、材質がステンレス鋼である場合には、1kgfの押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さでHv200〜300程度である。一方で、圧延ロールの硬さとしては、材質が一般的に用いられる高炭素クロム鋼系である場合には、1kgfの押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さでHv600〜900程度である。また、材質がハイス鋼である場合には、1kgfの押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さでHv550〜750程度である。よって、研磨材粒子の硬さとしては、1kgfの押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さでHv80〜640の範囲であることが好ましく、Hv100〜600の範囲がより好ましい。なお、研磨材粒子、圧延ロールおよび金属板Sの硬さの比較は、1kgfの押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さで比較しているが、測定条件が同じであれば、ビッカース硬さでも、1kgfとは異なる押込荷重Fを与えた際のビッカース硬さで比較してもよい。また、硬さを示す指標はビッカース硬さ以外にも種々あり、研磨材粒子、圧延ロールおよび金属板Sの硬さを、ロックウエル硬さ試験(JIS Z2245)、ブリネル硬さ試験(JIS Z2243)、ショア硬さ計(JIS Z2246)などで測定して得られるロックウエル硬さ、ブリネル硬さ、ショア硬さなどを用いて比較してもよいし、測定により得られたロックウエル硬さ、ブリネル硬さ、ショア硬さなどを硬さ換算表(例えばSAE J417)や換算式などを用いてビッカース硬さに換算して比較することもできる。
【0021】
上述した硬さを有する研磨材粒子としては、例えば、例えば鉄製の粒子や、鋼や特殊鋼などの非鉄金属製の粒子を例示することができ、その中でも特に、少なくとも1つの鋭角を有しているスチールグリットを好ましく例示することができる。スチールグリットは、焼き入れされた硬度の高い多角形粒子であり、スチールグリットとしては、例えば、IKKショット株式会社製の「TG−20」を好適に挙げることができる。このスチールグリッドの硬さは、ビッカース硬さで概ねHv450である。なお、圧延ロールの硬さよりも小さく金属板Sの硬さよりも大きい硬さを有する材料であれば、鋭角を有する形状のものであれば、金属ワイヤーを切断した例えばスチールカットワイヤやステンレスカットワイヤーなどを用いてもよく、鋭角のない球形状のものであれば、鉄や鋼の球状粒子、例えばスチールショットやスチールビーズ、ステンレスショット、ステンレスビーズなどを用いてもよい。
【0022】
その他にも、上述した硬さを有する研磨材粒子としては、少なくとも糠類およびフェノール樹脂を含む混合物を焼成してなる多孔性炭素粒子を例示することができる。この多孔性炭素粒子は、脱脂した米糠や麩などの糠類およびフェノール樹脂の混合物に適量の糊料入り水溶液または水を加えて混練したものを、真空中または不活性ガス中で炭化焼成した後、冷却・粉砕分級することによって製造することができ、例えば、三和油脂株式会社製の「RBセラミックス粉体(RBC粉体)」を好適に挙げることができる。このRBC粉体の硬さは、ビッカース硬さで概ねHv440である。
【0023】
研磨材粒子の大きさ(粒径)は、研磨材粒度JIS R6001に規定される砥粒番号で#36〜#3000の範囲にあることが好ましく、#150〜#1000の範囲にあることが特に好ましい。
【0024】
モノフィラメント2における熱可塑性樹脂に対する研磨材粒子の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、例えばスチールグリットを例に挙げると、20重量部〜60重量部の範囲にあることが好ましく、40重量部〜50重量部の範囲にあることがより好ましい。研磨材粒子の添加量が上記範囲未満の場合には、ブラシ用毛材1の研磨力が不十分となるおそれがある一方で、上記範囲を超える場合には、モノフィラメント2の強度が低下し、ブラシ用毛材1の折損耐久性が低下するおそれがあるからである。なお、研磨材粒子以外にも、劣化防止剤などを熱可塑性樹脂に適宜添加することができる。
【0025】
上記した研磨材粒子が含有したモノフィラメント2を製造するには、従来公知の紡糸方法と同様であり、熱可塑性樹脂と研磨材粒子とを混合し、この混合物を溶融紡糸機に供して溶融紡出した後、冷却し、さらに必要に応じて延伸することによって製造することができる。
【0026】
上記構成のブラシ用毛材1およびブラシ用毛材1を用いたブラシロールBによると、モノフィラメント2に含有される研磨材粒子の硬さが、圧延ロールによる圧延対象の金属板Sの硬さよりも大きいので、まず、ブラシ用毛材1は、圧延ロールに付着した金属板Sの金属屑を圧延ロール表面から良好に削り取ることができる。よって、圧延ロールに対して優れた研磨力を発揮する。さらに、モノフィラメント2に含有される研磨材粒子の硬さが研磨対象の圧延ロールの硬さよりも小さいので、ブラシ用毛材1により圧延ロール自体を削ってしまうことを抑制することができる。よって、圧延ロールがブラシ用毛材1により過度に磨耗してしまうことを効果的に防止できる。このように、本実施形態のブラシ用毛材1およびブラシロールBは、適度な硬さの研磨材粒子をモノフィラメント2が含有することで、圧延ロールに対して良好な研磨性能を有し、圧延ロールの表面性状を均一かつ平滑にできるとともに、圧延ロール自体の磨耗量を効果的に抑制することができる。
【0027】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、モノフィラメント2の断面視形状は、円形状以外にも、楕円形状や三角形状、矩形状、その他の異形状に形成することができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
材質がナイロン6であり、直径が2.5mmであり、研磨材粒子として粒度が46メッシュのスチールグリットが混入されたモノフィラメント2を1本用意し、この1本のモノフィラメント2に対して、材質がナイロン6であり、直径が0.02mmである約940本のカバーリング糸3を4mmピッチでS巻方向に巻いた後、Z巻方向にも4mmピッチで巻いてカバーリングした。 そして、熱処理炉において、モノフィラメント2の外周に巻かれたカバーリング糸3を加熱し、カバーリング糸3をモノフィラメント2に接着させてブラシ用毛材1を作製した。
【0030】
以上のように作製したブラシ用毛材1を、ディスクに植設し、このディスクを11枚重ねてブラシロールBを作製した。なお、各ディスクは外周縁に等間隔で46個の穴が形成されており、1穴に10本のブラシ用毛材1が植設されている。また、ブラシロールBの外径は、φ320mmとなっている。
【0031】
(比較例1)
研磨材粒子としてスチールグリットに変えて炭化ケイ素をモノフィラメント2に混入した以外は、上記実施例1と同じ手順でブラシロールBを作製した。
【0032】
以上のように作製した実施例1及び比較例1のブラシロールBを用いて、以下の条件で研磨試験1,2を行い、その研磨量を測定した。研削試験1では、圧延機の圧延ロールの素材として一般的に用いられる鋼材(HAP40(日立金属工具鋼社製))を板状としたものを用意し、その表面に、市販されているスプレー塗料を塗布して付着物を形成した。この表面に付着物が形成された鋼材の表面を、ブラシ回転数900rpm、圧下量1mm(ブラシロールBの外周の1点が鋼材の表面に接触してから1mm押し付けた状態)の条件で、30℃の温水をスプレーしながら5秒間研磨し、付着物の研磨量を測定した。研削試験2では、研磨試験1で用いたものと同じ板状の鋼材(HAP40(日立金属工具鋼社製))の表面を、研磨試験1と研磨時間以外は同条件、つまりはブラシ回転数900rpm、圧下量1mmで、30℃の温水をスプレーしながら300秒間研磨し、鋼材の研磨量を測定した。測定結果を表1に示す。なお、研磨試験1において、付着物の研磨量は、まず、付着物を表面に形成する前の鋼材の重量を測定した後、表面に付着物を形成した鋼材の重量を測定することで、その重量差により、研磨前の付着物の単位面積あたりの重量g/mを測定する。その後、研磨後の付着物付きの鋼材の重量を測定し、鋼材のみの重量との重量差により、研磨後の付着物の単位面積あたりの重量g/mを測定する。そして、研磨前後の付着物の単位面積あたりの重量g/mを比較することで、付着物の研磨量を測定することができる。また、研磨試験2において、鋼材の研磨量は、研磨前の鋼材の重量を測定した後、研磨後の重量を測定し、研磨前後の鋼材の単位面積あたりの重量g/mを比較することで、鋼材の研磨量を測定することができる。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、実施例1のスチールグリットをモノフィラメント2に混入したブラシ用毛材を備えたブラシロールBでは、比較例1の炭化ケイ素をモノフィラメント2に混入したブラシ用毛材を備えたブラシロールBと比べて、鋼材(圧延ロール)の表面に付着した付着物の除去性について、同等以上に付着物を除去できることが確認された。一方で、鋼材(圧延ロール)の表面の研削性については、比較例1のブラシロールBでは鋼材(圧延ロール)の表面を過度に研削しているが、実施例1のブラシロールBでは鋼材(圧延ロール)をほとんど研削しないことが確認された。よって、実施例1のスチールグリットをモノフィラメント2に混入したブラシ用毛材を備えたブラシロールBでは、適度な研磨力を有するため、鋼材(圧延ロール)の表面に付着した付着物を良好に除去できるとともに、鋼材(圧延ロール)についてはほとんど研削しないため、圧延ロールの磨耗を極力抑えることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 ブラシ用毛材
2 モノフィラメント
B ブラシロール
S 金属板
R ワークロール
BU バックアップロール
【要約】
【課題】適度な研磨力を有し、かつ、圧延ロールの磨耗を極力抑えることができるブラシ用毛材およびブラシロールを提供する。
【解決手段】金属板Sを圧延する圧延ロールRを研磨するためのブラシロールBに用いられるブラシ用毛材1であって、研磨材粒子を含有した熱可塑性樹脂製の1又は複数のモノフィラメント2を含み、研磨剤粒子は、硬さが圧延ロールRの硬さよりも小さくかつ金属板Sの硬さよりも大きい。
【選択図】図4
図4
図5
図1
図2
図3
図6