特許第5865581号(P5865581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865581
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20160204BHJP
   F16L 59/06 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   F25D23/06 W
   F25D23/06 E
   F16L59/06
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-199810(P2010-199810)
(22)【出願日】2010年9月7日
(65)【公開番号】特開2012-57838(P2012-57838A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2013年6月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 樹一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆明
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 友康
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−105069(JP,A)
【文献】 特開2006−070908(JP,A)
【文献】 特開2006−077791(JP,A)
【文献】 特開平07−269779(JP,A)
【文献】 特開平03−113270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F16L 59/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の内部に収容される内箱と、
前記外箱と前記内箱との間に設けられる真空断熱パネルと、を備え、
前記内箱の壁部は、前記真空断熱パネルに向かって開口した凹部を有するとともに該凹部を覆うようにして前記真空断熱パネルが貼付けられる貼付面とされ、
前記真空断熱パネルは、芯材が袋体に収容されて該袋体の内部が減圧密封されて構成され、
前記袋体は、前記内箱側の面にあってガスバリア性を有するガスバリア層として金属箔層を有する第1のフィルムと、前記第1のフィルムとは反対側の面にあってガスバリア性を有するガスバリア層として金属蒸着層を有する第2のフィルムと、を有し、
前記真空断熱パネルは、前記第1のフィルムを前記貼付面に面して設けられ前記第1のフィルムが前記貼付面に貼付けられて固定されている冷蔵庫。
【請求項2】
前記真空断熱パネルは、前記袋体が前記芯材の周囲にはみ出す耳部を有し、該耳部は、前記貼付面とは反対側に折り返されている請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記凹部には、補助部材が設けられている請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記補助部材は、前記貼付面から前記真空断熱パネル側に突出しないようにして設けられている請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記補助部材は、前記凹部を埋めて前記貼付面の一部を構成している請求項3又は4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記貼付面には、前記凹部を覆うようにして覆い部材が設けられている請求項1から5いずれか一項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、家庭用の冷蔵庫において、その断熱箱体は、外箱と内箱との間に断熱材として断熱性能に優れる真空断熱パネルを使用することが行われてきている(例えば、特許文献1参照)。この真空断熱パネルは、例えば、グラスウールなどの無機繊維の積層材を圧縮硬化させた芯材を、ガスバリア性能を得るために金属層を含んで構成される袋体に収納し、その内部を真空排気して減圧密封させて構成されたものである。
【0003】
このような真空断熱パネルは、一般に平坦な板状であることが多い。このため、真空断熱パネルが貼付けられる貼付面も平坦であることが望ましい。しかし、断熱箱体を覆う真空断熱パネルの面積、言い換えれば、真空断熱パネルの被覆率を上げるためには、貼付面に凹部が存在することが避けられない場合がある。しかし、貼付面に凹部が存在すると、真空断熱パネルは、組立て時や組立て後の振動などによって凹部付近に局所的な負荷がかかり、袋体が破損してしまう虞があった。この場合、袋体の金属層が破損してそのガスバリア性能が失われると、内部の減圧状態を維持することができなくなり、真空断熱パネルの断熱性能は著しく低下してしまうという事情があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−260780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、凹部を有する面に真空断熱パネルが貼付けられる場合であっても、袋体の破損を防ぎ、真空断熱パネルの断熱性能を維持することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の冷蔵庫は、外箱と、前記外箱の内部に収容される内箱と、前記外箱と前記内箱との間に設けられる真空断熱パネルと、を備える。前記内箱の壁部は、前記真空断熱パネルに向かって開口した凹部を有するとともに該凹部を覆うようにして前記真空断熱パネルが貼付けられる貼付面とされる。前記真空断熱パネルは、芯材が袋体に収容されて該袋体の内部が減圧密封されて構成される。前記袋体は、前記内箱側の面にあってガスバリア性を有するガスバリア層として金属箔層を有する第1のフィルムと、前記第1のフィルムとは反対側の面にあってガスバリア性を有するガスバリア層として金属蒸着層を有する第2のフィルムと、を有する。前記真空断熱パネルは、前記第1のフィルムを前記貼付面に面して設けられ前記第1のフィルムが前記貼付面に貼付けられて固定されている
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態を示すもので、扉を除いた冷蔵庫本体の概略構成を示す斜視図
図2】真空断熱パネルの構造を示す部分断面図
図3】内箱に真空断熱パネルが貼付けられた状態を示す断面図
図4】第2実施形態を示す図3相当図
図5】第3実施形態を示す図3相当図
図6】第4実施形態を示す図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫を、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について、図1図3を参照して説明する。図1に示すように、冷蔵庫本体1は、前面が開口した縦長矩形箱状をなす断熱箱体2に、図示しない冷凍サイクルなどが組込まれている。詳しい説明は省略するが、断熱箱体2の内部は、上下及び一部で左右に仕切られ、冷蔵室、野菜室、冷凍室などの複数の貯蔵室3が設けられる。図示は省略するが、各貯蔵室3の前面部には、図示しないヒンジ開閉式の断熱扉、あるいは、引出し式の断熱扉が設けられる。この断熱箱体2は、鋼板製の外箱4の内部に、合成樹脂製の内箱5が収容される形態で構成されている。
【0009】
断熱箱体2の外箱4と内箱5との間には、周囲の各壁部に対応させた真空断熱パネルが設けられている。具体的には、左右側壁部には左右側壁部用の真空断熱パネル6が設けられ、天井部には天井部用の真空断熱パネル7が設けられている。そして、後壁部と底部にも、図示はしないが、後壁部用の真空断熱パネルと底部用の真空断熱パネルが設けられている。
【0010】
ここで、真空断熱パネル6,7、及び図示しない後壁部用、底部用の真空断熱パネルの構成について、真空断熱パネル6を代表させて説明する。図2に、真空断熱パネル6の端部の断面を示すが、真空断熱パネル6は、取付けられる壁部の形状、即ち、左右側壁部の形状に合わせて成形された矩形板状の芯材8を袋体たる外袋体9内に収容し、外袋体9の内部を真空減圧状態に保持したまま密封して構成されたものである。具体的には、芯材8は、断熱性の高い材料、例えば、グラスウールやシリカアルミナなどの無機繊維、又はシリカ粉末などの無機粉体からなる積層材8aを、例えばポリエチレンなどの合成樹脂フィルムからなる内袋8bに収納した後、矩形板状に圧縮硬化されて成形されたものである。この芯材8は、ガスバリア性能を有する外袋体9に収容された状態で、外袋体9内が真空排気されて減圧される。減圧を維持したまま外袋体9の開口部が熱溶着により密封されて外袋体9が密閉される。
【0011】
外袋体9は、2枚の積層フィルムを周囲部において熱溶着によって貼り合わされて構成されている。具体的には、外袋体9は、一方の面に、第1のフィルムたるアルミ箔フィルム10を有している。このアルミ箔フィムル10は、ガスバリア性を有する金属箔層たるアルミ箔層10bを含んで構成されている。また、他方の面には、第2のフィルムたるアルミ蒸着フィルム11を有している。このアルミ蒸着フィルム11は、ガスバリア性を有する金属蒸着層たるアルミ蒸着層11bを含んで構成されている。この場合、アルミ箔フィルム10は、外側から芯材8側に向かって、表面保護層10aと、ガスバリア層となるアルミ箔層10bと、熱溶着層10cとを順に有する3層構造とされている。これに対し、アルミ蒸着フィルム11は、外側から芯材8側に向かって、表面保護層11aと、ガスバリア層となるアルミ蒸着層11bと、熱溶着層11cとを順に有する3層構造とされている。このように、アルミ箔フィルム10とアルミ蒸着フィルム11とでは、ガスバリア層の材質をアルミ箔層10bとするかアルミ蒸着層11bとするかの点で異なっている。
【0012】
アルミ箔フィルム10及びアルミ蒸着フィルム11において、表面保護層10a,11aは、例えばポリエチレンテレフタレートなどの比較的熱に強い合成樹脂から構成されている。また、熱溶着層10c,11cは、例えば高密度ポリエチレンなどの熱溶着性を有する合成樹脂から構成されている。アルミ箔フィルム10の熱溶着層10c面と、アルミ蒸着フィルム11の熱溶着層11c面とを対向して重ね合わせた状態で周囲部を加圧及び加熱することで、アルミ箔フィルム10とアルミ蒸着フィルム11とが熱溶着され、密封された袋状の外袋体9が形成される。
【0013】
この場合、図2(a)に示すように、真空断熱パネル6は、その外周縁部に、外袋体9が芯材8の周囲にはみ出すようにして耳部6aを有している。この耳部6aは、図2(b)に示すように、アルミ蒸着フィルム11側に折り返されて、テープなどでアルミ蒸着フィルム11に固定される。この耳部6aは、アルミ箔フィルム10とアルミ蒸着フィルム11との間の十分なシール性を得るために、熱溶着面積を十分に広く確保する目的で設けられている。
【0014】
ここで、アルミ箔フィルム10とアルミ蒸着フィルム11について、これらガスバリア層となる金属層の構成を、アルミ箔層10b又はアルミ蒸着層11bとした理由について簡単に説明する。
通常、真空断熱パネルは、内部の真空減圧状態を維持するために、ガスバリア性能に優れた外袋体に芯材を収納して減圧密封されて構成される。外袋体にガスバリア性能を発揮させるために、アルミなどの金属層を有したフィルムが用いられる場合がある。この場合、前記金属層には、アルミ箔層を用いたり、アルミ蒸着層を用いたりすることが一般的である。アルミ蒸着層は、高真空状態でアルミを加熱蒸発させ、母材となるフィルムに蒸発させたアルミを付着、堆積させることで形成される。このアルミ蒸着層の膜厚としては、例えば0.1μm以下のものが一般に利用される。このようなアルミ蒸着層は、薄く均一に形成されるという利点がある。このため、真空断熱パネルの性能を左右する真空断熱パネル表面の金属層、即ち、ガスバリア層の熱伝導率を、アルミ蒸着層においては低くすることができる。その反面、アルミ蒸着層は、その膜厚を厚くし難くいという事情がある。従って、アルミ蒸着層は薄い層で構成されるため、母材フィルムの大きな変形に伴って亀裂が生じ易く、また、引っかきなどにより傷が付き易いという不都合がある。さらに、製造過程において高真空状態が必要であるため、高価な設備が必要となり、コスト高になり易いという不都合がある。
【0015】
これに対し、アルミ箔層は、材料となるアルミ板を圧延ローラーなどで圧延されたアルミ箔から構成される。このアルミ箔の両面を合成樹脂で挟んでラミネートすることで、アルミ箔層を有するフィルムが形成される。このアルミ箔層は、アルミ蒸着層に比べて安価に大量に生産できることから、コスト面で有利になる。アルミ箔層の膜厚としては、例えば5〜20μm程度のものが一般に利用される。この場合、アルミ箔層は、アルミ蒸着層に比べて厚いため、フィルムの変形に強く、また、引っかきなどに対しても比較的強いという利点がある。その反面、真空断熱パネル表面、つまり、ガスバリア層の熱伝導率は、アルミ蒸着層に比べてアルミ箔層の方が高くなってしまうという不都合がある。
【0016】
上記の理由により、本実施形態では、真空断熱パネル6の外袋体9において、一方の面はアルミ箔層10bを含む構成とし、他方の面はアルミ蒸着層11bを含む構成としている。この構成により、良好なガスバリア性能を維持するとともに、一方の面をアルミ箔層10bとして膜厚を厚いものとすることで、高い耐破袋性を確保し、他方の面をアルミ蒸着層11bとして膜厚を薄いものとすることで、真空断熱パネル6表面の熱伝導率をより低く抑えたものとすることができる。
【0017】
ここで、真空断熱パネル6は、外箱4と内箱5の間に設けられている。具体的には、外箱4と内箱5のうち、図3に示すように、内箱5の左右側壁部の外側が、真空断熱パネル6が取付けられる貼付面5aとされている。そして、真空断熱パネル6は、アルミ箔フィルム10を貼付面5aに面して配置されて、例えば熱可塑性接着剤、いわゆるホットメルトなどによって貼付面5aに貼付けられて固定されている。この場合、貼付面5aには、凹部たるビード裏部5bが形成されている。このビード裏部5bは、貯蔵室3の内方に突出するようにして設けられた内箱ビード5cにおける内箱5の外側、即ち、内箱ビード5cの裏側を構成していている。このため、ビード裏部5bは、真空断熱パネル6に向かって開口した凹状、即ち、貼付面5a側が開口した凹状をなしている。そして、このビード裏部5b、即ち、内箱ビード5cは、その断面がコ字状をなすとともに、下側が貯蔵室3に向けて若干上向き傾斜する形状をなしている。この場合、真空断熱パネル6は、ビード裏部5bを覆うようにして貼付面5aに貼付けられている。なお、内箱ビード5cには、貯蔵室3内を上下に仕切るようにして取外し可能な載置棚12が載置される。
【0018】
このように、真空断熱パネル6は、外袋体9のアルミ箔フィルム10を、ビード裏部5bを有する貼付面5aに対面させて設けられている。これにより、ビード裏部5bは、アルミ蒸着層11bよりも厚い金属層となるアルミ箔層10bを有したアルミ箔フィルム10で覆われることになる。この場合、真空断熱パネル6は、アルミ箔フィルム10の反対側の面、即ち、貼付面5aの反対側の面にアルミ蒸着フィルム11を有している。そして、耳部6aは、アルミ蒸着フィルム11側、即ち、貼付面5aとは反対側に折り返されている。
【0019】
上記した第1実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。
本実施形態の構成によれば、断熱箱体2は、外箱4と内箱5の間に各壁面部に対応させた真空断熱パネルを有して構成されている。このうち、左右側壁部の真空断熱パネル6は、内箱5の左右側壁部の外側に位置する貼付面5aに貼付けられている。この貼付面5aには、貯蔵室3の内方に突出するようにして設けられた内箱ビード5cの裏側によって、真空断熱パネル6に向かって開口した凹状のビード裏部5bが形成されている。そして、真空断熱パネル6は、ビード裏部5bを覆うように配置されている。つまり、真空断熱パネル6は、外袋体9の一方の面に設けられたアルミ箔層10bを含んで構成されるアルミ箔フィルム10を、ビード裏部5bを有する貼付面5aに面して貼付けられている。
【0020】
この構成によれば、ビード裏部5bに面しているアルミ箔フィルム10のガスバリア層、即ち、金属層は、アルミ蒸着層11bよりも厚く耐破袋性に優れるアルミ箔層10bから構成されている。このため、真空断熱パネル6の取付け時や取付け後の振動などによって、ビード裏部5b付近に局所的な負荷がかかった場合でも、外袋体9においてアルミ箔フィルム10のガスバリア層を構成するアルミ箔層10bの破損を極力防ぐことができる。これにより、外袋体9のガスバリア性能を維持、即ち、内部の減圧状態を維持するこができ、真空断熱パネル6の断熱性能を高い状態で維持することができる。
【0021】
そして、外袋体9は、アルミ箔フィルム10とは反対側の面にアルミ蒸着層11bを含むアルミ蒸着フィルム11を有している。この構成によれば、外袋体9は、アルミ箔フィルム10とは反対側の面、つまり、ビード裏部5bと面していないため局所的な負荷がかかり難く破袋の虞が少ない面を、アルミ箔層10bよりも薄く熱伝導率の低いアルミ蒸着層11bを有するアルミ蒸着フィルム11としている。これにより、真空断熱パネル6の断熱性能をより向上させることができる。
【0022】
ちなみに、貼付面5aと真空断熱パネル6との接着が完全でないなどにより互いの密着性が良くないと、振動などの影響によって、真空断熱パネル6が貼付面5aに対して相対的に動いてしまうことがある。この場合、真空断熱パネル6が貼付面5aに接着されている部分と、接着されていない部分、即ち、ビード裏部5bに面している部分とでは、外袋体9表面の動きに差が生じる。この動きの差によって、外袋体9は、接着されている部分とされていない部分との境目において、引っ張りや圧縮などの局所的な負荷がかかり、こすれ合うなどして破袋され易いという事情がある。
【0023】
ここで、貼付面5aと真空断熱パネル6との間に部分的に出っ張りなどの凹凸が存在すると、密着性が悪くなる原因となる。このため、本実施形態では、外袋体9が芯材8の周囲にはみ出す耳部6aは、アルミ蒸着フィルム11側、即ち、貼付面5aとは反対側に折り返されて、テープなどでアルミ蒸着フィルム11に固定されている。この構成によれば、貼付面5aと真空断熱パネル6との間において、耳部6aの厚みによる出っ張りを無くすことができる。これにより、貼付面5aと真空断熱パネル6との密着性を向上し、局所的な負荷がかからないようにして外袋体9の破袋を防ぐことができる。この結果、振動などがかかったとしても、真空断熱パネル6の破損を極力防いで断熱性能を維持することができる。
【0024】
(第2実施形態)
第2実施形態では、ビード裏部5bに、真空断熱パネル6や内箱5とは別部品となる補助部材が設けられている点において、第1実施形態とは異なっている。
即ち、図4に示すように、ビード裏部5bには、補助部材たる補強部材13が設けられている。この補強部材13を設けることによって、内箱ビード5cの強度を増している。この補強部材13は、内箱5よりも硬質の材料、例えばステンレスなどの金属板を曲げ加工して構成されている。具体的には、補強部材13は、ビード裏部5bに沿って形成されたコ字形状13aを有するとともに、コ字形状13aの端部13bから上下方向に延びるようにして鍔部13cを有している。この場合、補強部材13は、曲げ加工されて製作されるため、コ字形状13aの端部13b、即ち、コ字形状13aと鍔部13cとの接続部分はR形状となっている。
【0025】
また、内箱5には、ビード裏部5bの上下端部から上下方向に延びるようにして、鍔部13cを収容するための浅い凹状の受部5dが形成されている。補強部材13は、コ字形状13aがビード裏部5bに嵌り込んで固定されるとともに、上下の鍔部13cが受部5dに収容されるようにして設けられている。この場合、補強部材13は、内箱5の貼付面5aから、真空断熱パネル6側に突出しないようにして収容される。これにより、内箱5の左右側壁部の外側と、鍔部13cの外側面はほぼ同一面上となり、内箱5の壁面部の外側と鍔部13cの外側面とにより貼付面5aが構成されている。つまり、真空断熱パネル6は、内箱5の左右側壁部の外側と、鍔部13cの外側面とに貼付けられて固定される。
【0026】
このような第2実施形態の構成によれば、外袋体9のアルミ箔フィルム10は、補強部材13を有する貼付面5aに面して設けられている。このため、ビード裏部5bに、内箱ビード5cの補強のための補強部材13、つまり、内箱5よりも硬質の材料からなる補強部材13が設けられた場合であっても、アルミ箔層10bにより外袋体9の破袋を極力防ぐことができる。また、補強部材13は、ビード裏部5bと受部5dにおいて、貼付面5aから真空断熱パネル6側に突出しないようにして設けられている。このため、補強部材13、特には端部13bや鍔部13cと、真空断熱パネル6とがこすれて、真空断熱パネル6の外袋体9が破袋する虞を少なくすることができる。
【0027】
また、真空断熱パネル6は、鍔部13cの外側にも貼付けられている。そして、鍔部13cとコ字形状13aとは端部13bでR形状に接続されている。このため、真空断熱パネル6について局所的な負荷がかかりやすい箇所、つまり、真空断熱パネル6が貼付面5aに接着されている部分とされていない部分との境目となる端部13bは、丸みを帯びたR形状となっている。これにより、外袋体9と、補強部材13の鋭利な部分がこすれることがなく、外袋体9が破袋することを極力防止することができる。
【0028】
ちなみに、コ字形状13aの上下方向の外側寸法は、ビード裏部5bの上下方向の内側寸法よりも若干大きく設定されている。つまり、補強部材13は、コ字形状13aがビード裏部5bに対してしめしろを有して嵌合されている。これにより、補強部材13は、接着材やボルトなどの固定手段を用いなくても、内箱5にしっかりと固定される。さらに、コ字形状13aの水平方向の外側寸法は、ビード裏部5bの深さ寸法よりも短く設定されている。このため、コ字形状13aをビード裏部5bの奥までしっかりと嵌め込むことができ、補強部材13が貼付面5aから真空断熱パネル6側に突出することを防ぐことができる。
【0029】
(第3実施形態)
第3実施形態では、ビード裏部5bに、該ビード裏部5bを埋めるようにして補助部材が設けられている点において、第1、第2実施形態とは異なっている。
即ち、図5に示すように、ビード裏部5bには、補助部材たる埋込部材14が設けられている。この埋込部材14は、例えば発泡スチロールなどの合成樹脂から構成され、ビード裏部5bとほぼ同形状に形成されて該ビード裏部5bに埋め込まれるようにして設けられている。そして、埋込部材14の外側面、即ち、真空断熱パネル6側の面は、内箱5の左右側壁部の外側とほぼ同一面上となり、これら埋込部材14の外側面と内箱5の側壁部の外側とにより貼付面5aが構成されている。
【0030】
このような第3実施形態の構成によれば、埋込部材14によってビード裏部5bを埋められている。このため、真空断熱パネル6には、貼付面5aに対して接着されている部分とされていない部分との境目が無くなり、局所的な負荷がかかり難くなる。これにより、振動などによる外袋体9の破袋を防ぐことができ、真空断熱パネル6の断熱性能を維持することができる。また、埋込部材14によってビード裏部5bが埋められることで、真空断熱パネル6が貼付けられる貼付面5aの面積を増やすことができる。これにより、振動などによる、真空断熱パネル6のずれや剥がれを防ぐことができ、真空断熱パネル6の信頼性を向上させることができる。
【0031】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ビード裏部5bに、該ビード裏部5bを覆うようにして覆い部材が設けられている点において、第1〜第3実施形態とは異なっている。
即ち、図6に示すように、貼付面5aには、ビード裏部5bを覆うようして覆い部材たる薄板15が設けられている。この薄板15は、例えばアルミなどの金属、又は強化プラスチックなど剛性を有する薄板で構成され、真空断熱パネル6よりもやや大きいサイズに設定されている。つまり、真空断熱パネル6は、薄板15を介して貼付面5aに貼付けられている。
【0032】
この構成によれば、真空断熱パネル6は、ビード裏部5bを覆うようにして設けられた薄板15を介して、貼付面5aに貼付けられている。このため、真空断熱パネル6には、貼付面5aに対して接着されている部分とされていない部分との境目が無くなり、局所的な負荷がかかり難くなる。これにより、振動などによる外袋体9の破袋を防ぐことができ、真空断熱パネル6の断熱性能を維持することができる。また、真空断熱パネル6が貼付けられる面積を増やすことができるため、真空断熱パネル6のずれや剥がれを防ぐことができ、真空断熱パネル6の信頼性をさらに向上させることができる。
なお、覆い部材は、金属や強化プラスチックの薄板を、ビード裏部5bを覆う程度に部分的に設ける構成としても良い。また、覆い部材は、薄板に限らず、金属や樹脂などの非延性テープとしてもよい。さらには、非延性のテープに両面接着テープを用いれば、ホットメルトなどの接着剤を使用せずに真空断熱パネル6を貼付けることができる。
【0033】
以上のように、上記各実施形態の冷蔵庫によれば、外箱と内箱との間に真空断熱パネルが設けられ、外箱と内箱のうち一方の壁部は、真空断熱パネルに向かって開口した凹部を有するとともに、この凹部を覆うようにして真空断熱パネルが貼付けられる貼付面とされている。そして、この真空断熱パネルは、一方の面に耐破袋性に優れる金属箔層を含む第1のフィルムを有し、この第1のフィルムを貼付面に面して設けられている。
【0034】
この構成によれば、真空断熱パネルの取付けや取付け後の振動などによって、凹部付近に局所的な負荷がかかった場合でも、凹部に面する第1のフィルムのガスバリア層は耐破袋性に優れる金属箔層であるため、袋体は破損し難くい。これにより、凹部を有する面に真空断熱パネルが貼付けられる場合であっても、袋体のガスバリア性能を維持、即ち、内部の減圧状態を維持することができ、真空断熱パネルの断熱性能を維持することができる。
【0035】
なお、ビード裏部5bに設けられる補助部材は、補強部材13や埋込部材14のように補強の目的のものに限らず、部品を固定する目的のものでも良い。
さらに、金属箔層をアルミ箔層10bとし、金属蒸着層をアルミ蒸着層11bとしているが、金属箔層及び金属蒸着層に用いる金属はアルミニウムに限られず、例えば酸化アルミニウムや、チタン、又は酸化チタンなどを用いることもできる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
図面中、1は冷蔵庫本体、4は外箱、5は内箱、5aは貼付面、5bはビード裏部(凹部)、6、7は真空断熱パネル、6aは耳部、8は芯材、9は外袋体(袋体)、10はアルミ箔フィルム(第1のフィルム)、10bはアルミ箔層(金属箔層)、11はアルミ蒸着フィルム(第2のフィルム)、11bはアルミ蒸着層(金属蒸着層)、13は補強部材(補助部材)、14は埋込部材(補助部材)、15は薄板(覆い部材)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6