特許第5865588号(P5865588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865588
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】食材焼き器
(51)【国際特許分類】
   A21B 5/00 20060101AFI20160204BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20160204BHJP
   A23L 35/00 20160101ALN20160204BHJP
【FI】
   A21B5/00
   A47J37/06 306
   !A23L1/48
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-20164(P2011-20164)
(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公開番号】特開2012-157305(P2012-157305A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】599008931
【氏名又は名称】株式会社カジワラキッチンサプライ
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 巌雄
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−187384(JP,A)
【文献】 特開昭63−034426(JP,A)
【文献】 特開2008−113593(JP,A)
【文献】 特開平10−000161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21B 5/00
A47J 37/04
A23L 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部ケースと、
この加熱部ケースの上部に備えられた焼き型と、
前記加熱部ケース内に設けられた長尺の発熱部と、
前記焼き型及び前記発熱部間に介設された熱調整板とを備え、
前記熱調整板は、熱流上昇を許容する貫通開口部及び熱流上昇を調整する熱流調整部を有し、
前記貫通開口部は、前記発熱部の長尺の方向に沿って前記熱流調整部との関係で相対的に大きく開口し、
前記熱流調整部は、前記貫通開口部の両側で前記発熱部の長尺の方向に沿って配置され前記開口よりも相対的に小さな多数の孔で形成されて開口率が設定され、
前記貫通開口部の両側の一対の熱流調整部の孔の径を異ならせた、
ことを特徴とする焼き器。
【請求項2】
請求項記載の焼き器であって、
前記加熱部ケースは、上部に開口部を有して矩形箱形状であり、
前記焼き型は、前記開口部を閉じるように少なくとも2列状に形成され、
前記熱調整板は、前記2列状の焼き型に対応して2列状に併設され、
前記貫通開口部及び熱流調整部が列方向に並ぶようにそれぞれ備えられ、
前記2列状の中央側に対応する熱流調整部の孔の径を、同側部側に対応する熱流調整部の孔の径よりも小さく形成して開口率を調整した、
ことを特徴とする焼き器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の焼き器であって、
前記発熱部は、カーボンヒーターである、
ことを特徴とする焼き器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たい焼き器等の焼き器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のたい焼き器として、特許文献1に記載のものがある。このたい焼き器は、焼き型本体とコンロとからなり、コンロにより焼き型本体を加熱し、この焼き型本体でたい焼きを作るものである。
【0003】
したがって、所定形状のたい焼きを簡単に作ることができる。
【0004】
しかし、このたい焼き器では、コンロの熱を焼き型本体にむらなく伝達するという考慮がなされず、コンロから焼き型への熱伝導のむらが生じ、あるところでは焦げ、あるところでは生焼けになるといった状態が起こり易く、均一或いは適正な焼け具合のたい焼きを作ることが困難であるという問題があった。特に、多数の焼き型を一度に加熱して多数のたい焼きを作る場合には、問題が顕著になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、均一或いは適正な焼け具合のたい焼き等を作ることが困難であった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、均一或いは適正な焼け具合のたい焼き等を作ることができるようにするため、加熱部ケースと、この加熱部ケースの上部に備えられた焼き型と、前記加熱部ケース内に設けられた長尺の発熱部と、前記焼き型及び前記発熱部間に介設された熱調整板とを備え、前記熱調整板は、熱流上昇を許容する貫通開口部及び熱流上昇を調整する熱流調整部を有し、前記貫通開口部は、前記発熱部の長尺の方向に沿って前記熱流調整部との関係で相対的に大きく開口し、前記熱流調整部は、前記貫通開口部の両側で前記発熱部の長尺の方向に沿って配置され前記開口よりも相対的に小さな多数の孔で形成されて開口率が設定され、前記貫通開口部の両側の一対の熱流調整部の孔の径を異ならせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記構成であるから、発熱部による発熱で熱調整板の貫通開口部を介し焼き型に対し熱流上昇を許容することができる。また、熱流調整部の部分で焼き型に対する熱流上昇を調整し、焼き型に対する温度分布を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】たい焼き器の平面図である。(実施例1)
図2】たい焼き器の発熱部及び熱調整板を露出させた平面図である。(実施例1)
図3】たい焼き器の側面図である。(実施例1)
図4】たい焼き器の正面図である。(実施例1)
図5】熱調整板の斜視図である。(実施例1)
図6】熱調整板の平面図である。(実施例1)
図7】熱流調整を説明する概念図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0009】
均一或いは適正な焼け具合のたい焼き等を一度に多数作ることができるようにするという目的を、熱調整板により実現した。
【実施例1】
【0010】
[焼き器]
図1は、たい焼き器の平面図、図2は、たい焼き器の発熱部及び熱調整板を一部露出させた平面図、図3は、たい焼き器の側面図、図4は、たい焼き器の正面図である。
【0011】
図1図4のように、焼き器1は、加熱部ケース3と焼き型5,7と発熱部9と熱調整板11とを備えている。
【0012】
加熱部ケース3は、上部に仕切り板12で仕切られた一対の開口部13a,13bを有する矩形箱形状であり、下部に制御部15が収容されている。開口部13a,13bの縁部幅方向中央にそれぞれ軸支部17a,17b,19a,19bが形成されている。
【0013】
焼き型5,7は、加熱部ケース3の上部に備えられ、開口部13a,13bを閉じるようにそれぞれ2列状に計4列に形成されている。なお、焼き型は、少なくとも2列状であればよく、列の数は任意である。焼き型5,7の片面焼き部5a,5b、片面焼き部7a,7bは、それぞれ対をなし、開いた状態で各開口部13a,13bをそれぞれ閉じるように配列されている。
【0014】
片面焼き部5a,5b、片面焼き部7a,7bは、各隣接側の縁部に沿った端部側でそれぞれ前記軸支部17a,17b,19a,19bに回転自在に支持され、図4のように矢印A,Bのように回転させて重ね合わせができるようになっている。
【0015】
各片面焼き部5a,5b、7a,7bには、焼き型凹部5aa,5ba、7aa,7baが設けられ、取手部5ab,5bb、7ab,7bbが取り付けられている。
【0016】
発熱部9は、加熱部ケース3内に設けられ、各片面焼き部5a,5b、7a,7bに対応してそれぞれ備えられたミラーカーボンヒーター21a,21b(カーボンヒーター)で構成されている。なお、図2では、片面焼き部5bのミラーカーボンヒーター21a,21bのみが見えている。
【0017】
ミラーカーボンヒーター21a,21bは、例えば、不活性ガス中に炭素繊維を封入した石英管が用いられ、相互に電気的に導通し、一体的に構成され、制御部15に接続されている。このミラーカーボンヒーター21a,21bは、石英管の底部に沿って、上方反射用のミラー部が形成されている。
【0018】
熱調整板11は、例えばステンレスで形成され、焼き型3と発熱部9との間に介設されている。
【0019】
図5は、熱調整板の斜視図、図6は、熱調整板の平面図である。
【0020】
図5図6のように、熱調整板11は、貫通開口部11a及び熱流調整部11b、11cを有している。貫通開口部11aは、熱流上昇を許容し、熱流調整部11b、11cは、貫通形成した多数の孔11ba、11caにより熱流上昇を調整する。熱流調整部11b、11cは、貫通開口部11aの両側に一対有している。
【0021】
熱調整板11は、各開口部13a,13bの各2列状の焼き型に対応して各2列状に併設され、貫通開口部11a及び熱流調整部11b,11cが列方向に並ぶようにそれぞれ備えられている。
【0022】
この熱調整板11は、2列状の中央側(内側)、軸支部17a,17b,19a,19bに対応する熱流調整部11bの孔11baの径を、同側部側(外側)に対応する熱流調整部11cの孔11caの径よりも小さく形成して開口率を設定している。
【0023】
なお、各熱調整板11は、取り扱いを容易にするためそれぞれ別体に形成されているが、一体に形成することもできる。
【0024】
制御部15の制御によりミラーカーボンヒーター21a,21bに通電すると、ミラー反射も作用して赤外線が上方に向けて放射される。
【0025】
この赤外線放射により加熱部ケース3内温度が上昇すると共に、上昇流が発生する。この上昇流は、熱調整板11の貫通開口部11aによって熱流上昇が許容され、熱流調整部11b,11cによって、図7の実線矢視に対し破線矢視のように熱流上昇を弱めるように調整することができる。
【0026】
このような熱流上昇の許容と調整とにより焼き型5,7の各片面焼き部5a,5b、7a,7bは底面を均一に加熱することができる。
【0027】
特に、軸支部17a,17b,19a,19bの位置する内側3a(2列状の中央側)は、熱が中央に寄っていくため同位置しない外側3bよりも温度が上昇し易く、外側3bは、外部へ熱が逃げ易い。
【0028】
このため、外側3bに対応する対流調整部11cの孔11caの径を内側3aよりも大きくしてミラーカーボンヒーター21a,21bからの中赤外線の光と熱流とを各片面焼き部5a,5b、7a,7bに対して多く集めるようにする。
【0029】
また、内側3aに対応する対流調整部11bの孔11baの径を外側3bよりも小さくしてミラーカーボンヒーター21a,21bからの中赤外線の光と熱流とを各片面焼き部5a,5b、7a,7bに対して調整する。
【0030】
なお、中赤外線の光と熱流との調整は、熱調整板11の開口率に係るものであり、内側3a、外側3bの孔11ba、11caの径が同じであっても、内側3aの孔の数を少なくし、外側3bの孔の数を多くすることで開口率を調整することができる。
【0031】
このような内側3a、外側3bでの中赤外線の光と熱流との調整により、各片面焼き部5a,5b、7a,7bは底面を均一に加熱することができる。
【0032】
各片面焼き部5a,5b、7a,7bでの片面焼きが適度に進んだ時、図4のように回転させて合わせ、一体のたい焼きを作る。
【0033】
[実施例の効果]
本発明実施例の焼き器1は、加熱部ケース3と、この加熱部ケース3の上部に備えられた焼き型5,7と、加熱部ケース3内に設けられた発熱部9と、焼き型5,7と発熱部9との間に介設された熱調整板11を備え、熱調整板11は、熱流を許容する貫通開口部11a及び多数の孔11ba,11caにより熱流を調整する熱流調整部11b,11cを有する。
【0034】
このため、発熱部9による発熱で熱調整板11の貫通開口部11aを介し焼き型5,7に対し加熱部ケース3内に熱流上昇を許容することができる。また、熱流調整部11b,11cの孔11ba,11caによりこの部分で焼き型5,7に対する熱流を調整し、焼き型5,7の底面に対する温度分布を調整することができる。したがって、焼き型5,7を均一に加熱することが可能となり、焦げの無い、品質の良いたい焼きを一度に多数作ることができる。
【0035】
加熱部ケース3は、上部に開口部13a,13bを有して矩形箱形状であり、焼き型5,7は、開口部13a,13bを閉じるように少なくとも2列状に形成され、熱調整板11は、2列状の焼き型5,7に対応して2列状に併設され、貫通開口部11a及び熱流調整部11b,11cが列方向に並ぶようにそれぞれ備えられ、2列状の中央側(内側3a)に対応する熱流調整部11bの孔11baの径を、同側部側(外側3b)に対応する熱流調整部11cの孔11caの径よりも小さく形成した。
【0036】
このため、温度が上昇し易い軸支部17a,17b,19a,19bの位置する内側3a(2列状の中央側)の熱流上昇を規制し、焼き型5,7の底面に対する温度分布を確実に調整することができる。
[その他]
なお、加熱部ケース3、焼き型5,7、発熱部9、熱調整板11の形状は矩形に限らず任意であり、貫通開口部11aと熱流調整部11b,11cとの関係も、焼き型5,7の底面の形状及び温度分布調整に応じて任意に設定することができる。
【0037】
熱流調整部11b,11cは、スリットなどで形成することもできる。
【0038】
熱流調整部11b,11cは、一方を孔を形成しない閉じ平板形状に構成することもできる。
【0039】
熱流調整部11b,11cは、貫通開口部11a及び熱流調整部11b,11cの数、形状は任意である。
【0040】
焼き器1は、たい焼き以外にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 焼き器
3 加熱部ケー
5,7 焼き型
9 発熱部
11 熱調整板
11ba,11ca 孔
13a,13b 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7