【実施例1】
【0010】
[焼き器]
図1は、たい焼き器の平面図、
図2は、たい焼き器の発熱部及び熱調整板を一部露出させた平面図、
図3は、たい焼き器の側面図、
図4は、たい焼き器の正面図である。
【0011】
図1〜
図4のように、焼き器1は、加熱部ケース3と焼き型5,7と発熱部9と熱調整板11とを備えている。
【0012】
加熱部ケース3は、上部に仕切り板12で仕切られた一対の開口部13a,13bを有する矩形箱形状であり、下部に制御部15が収容されている。開口部13a,13bの縁部幅方向中央にそれぞれ軸支部17a,17b,19a,19bが形成されている。
【0013】
焼き型5,7は、加熱部ケース3の上部に備えられ、開口部13a,13bを閉じるようにそれぞれ2列状に計4列に形成されている。なお、焼き型は、少なくとも2列状であればよく、列の数は任意である。焼き型5,7の片面焼き部5a,5b、片面焼き部7a,7bは、それぞれ対をなし、開いた状態で各開口部13a,13bをそれぞれ閉じるように配列されている。
【0014】
片面焼き部5a,5b、片面焼き部7a,7bは、各隣接側の縁部に沿った端部側でそれぞれ前記軸支部17a,17b,19a,19bに回転自在に支持され、
図4のように矢印A,Bのように回転させて重ね合わせができるようになっている。
【0015】
各片面焼き部5a,5b、7a,7bには、焼き型凹部5aa,5ba、7aa,7baが設けられ、取手部5ab,5bb、7ab,7bbが取り付けられている。
【0016】
発熱部9は、加熱部ケース3内に設けられ、各片面焼き部5a,5b、7a,7bに対応してそれぞれ備えられたミラーカーボンヒーター21a,21b(カーボンヒーター)で構成されている。なお、
図2では、片面焼き部5bのミラーカーボンヒーター21a,21bのみが見えている。
【0017】
ミラーカーボンヒーター21a,21bは、例えば、不活性ガス中に炭素繊維を封入した石英管が用いられ、相互に電気的に導通し、一体的に構成され、制御部15に接続されている。このミラーカーボンヒーター21a,21bは、石英管の底部に沿って、上方反射用のミラー部が形成されている。
【0018】
熱調整板11は、例えばステンレスで形成され、焼き型3と発熱部9との間に介設されている。
【0019】
図5は、熱調整板の斜視図、
図6は、熱調整板の平面図である。
【0020】
図5、
図6のように、熱調整板11は、貫通開口部11a及び熱流調整部11b、11cを有している。貫通開口部11aは、熱流上昇を許容し、熱流調整部11b、11cは、貫通形成した多数の孔11ba、11caにより熱流上昇を調整する。熱流調整部11b、11cは、貫通開口部11aの両側に一対有している。
【0021】
熱調整板11は、各開口部13a,13bの各2列状の焼き型に対応して各2列状に併設され、貫通開口部11a及び熱流調整部11b,11cが列方向に並ぶようにそれぞれ備えられている。
【0022】
この熱調整板11は、2列状の中央側(内側)、軸支部17a,17b,19a,19bに対応する熱流調整部11bの孔11baの径を、同側部側(外側)に対応する熱流調整部11cの孔11caの径よりも小さく形成して開口率を設定している。
【0023】
なお、各熱調整板11は、取り扱いを容易にするためそれぞれ別体に形成されているが、一体に形成することもできる。
【0024】
制御部15の制御によりミラーカーボンヒーター21a,21bに通電すると、ミラー反射も作用して赤外線が上方に向けて放射される。
【0025】
この赤外線放射により加熱部ケース3内温度が上昇すると共に、上昇流が発生する。この上昇流は、熱調整板11の貫通開口部11aによって熱流上昇が許容され、熱流調整部11b,11cによって、
図7の実線矢視に対し破線矢視のように熱流上昇を弱めるように調整することができる。
【0026】
このような熱流上昇の許容と調整とにより焼き型5,7の各片面焼き部5a,5b、7a,7bは底面を均一に加熱することができる。
【0027】
特に、軸支部17a,17b,19a,19bの位置する内側3a(2列状の中央側)は、熱が中央に寄っていくため同位置しない外側3bよりも温度が上昇し易く、外側3bは、外部へ熱が逃げ易い。
【0028】
このため、外側3bに対応する対流調整部11cの孔11caの径を内側3aよりも大きくしてミラーカーボンヒーター21a,21bからの中赤外線の光と熱流とを各片面焼き部5a,5b、7a,7bに対して多く集めるようにする。
【0029】
また、内側3aに対応する対流調整部11bの孔11baの径を外側3bよりも小さくしてミラーカーボンヒーター21a,21bからの中赤外線の光と熱流とを各片面焼き部5a,5b、7a,7bに対して調整する。
【0030】
なお、中赤外線の光と熱流との調整は、熱調整板11の開口率に係るものであり、内側3a、外側3bの孔11ba、11caの径が同じであっても、内側3aの孔の数を少なくし、外側3bの孔の数を多くすることで開口率を調整することができる。
【0031】
このような内側3a、外側3bでの中赤外線の光と熱流との調整により、各片面焼き部5a,5b、7a,7bは底面を均一に加熱することができる。
【0032】
各片面焼き部5a,5b、7a,7bでの片面焼きが適度に進んだ時、
図4のように回転させて合わせ、一体のたい焼きを作る。
【0033】
[実施例の効果]
本発明実施例の焼き器1は、加熱部ケース3と、この加熱部ケース3の上部に備えられた焼き型5,7と、加熱部ケース3内に設けられた発熱部9と、焼き型5,7と発熱部9との間に介設された熱調整板11を備え、熱調整板11は、熱流を許容する貫通開口部11a及び多数の孔11ba,11caにより熱流を調整する熱流調整部11b,11cを有する。
【0034】
このため、発熱部9による発熱で熱調整板11の貫通開口部11aを介し焼き型5,7に対し加熱部ケース3内に熱流上昇を許容することができる。また、熱流調整部11b,11cの孔11ba,11caによりこの部分で焼き型5,7に対する熱流を調整し、焼き型5,7の底面に対する温度分布を調整することができる。したがって、焼き型5,7を均一に加熱することが可能となり、焦げの無い、品質の良いたい焼きを一度に多数作ることができる。
【0035】
加熱部ケース3は、上部に開口部13a,13bを有して矩形箱形状であり、焼き型5,7は、開口部13a,13bを閉じるように少なくとも2列状に形成され、熱調整板11は、2列状の焼き型5,7に対応して2列状に併設され、貫通開口部11a及び熱流調整部11b,11cが列方向に並ぶようにそれぞれ備えられ、2列状の中央側(内側3a)に対応する熱流調整部11bの孔11baの径を、同側部側(外側3b)に対応する熱流調整部11cの孔11caの径よりも小さく形成した。
【0036】
このため、温度が上昇し易い軸支部17a,17b,19a,19bの位置する内側3a(2列状の中央側)の熱流上昇を規制し、焼き型5,7の底面に対する温度分布を確実に調整することができる。
[その他]
なお、加熱部ケース3、焼き型5,7、発熱部9、熱調整板11の形状は矩形に限らず任意であり、貫通開口部11aと熱流調整部11b,11cとの関係も、焼き型5,7の底面の形状及び温度分布調整に応じて任意に設定することができる。
【0037】
熱流調整部11b,11cは、スリットなどで形成することもできる。
【0038】
熱流調整部11b,11cは、一方を孔を形成しない閉じ平板形状に構成することもできる。
【0039】
熱流調整部11b,11cは、貫通開口部11a及び熱流調整部11b,11cの数、形状は任意である。
【0040】
焼き器1は、たい焼き以外にも適用することができる。