(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予想被曝線量の算出前に、同一の前記被検体に対して実行済の撮影がある場合、前記被曝線量予想部は、前記予想被曝線量の算出時において、前記実行済の撮影における前記被検体の被曝線量を前記予想被曝線量に加算する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。
撮影条件の設定に用いられるスキャノ画像が前記操作者による前記撮影計画の選択前に撮影済であり、且つ、前記撮影計画が前記スキャノ画像のデータに基づいて管電流の変調を行うことで被曝線量を低減させるスキャン方法である場合、前記被曝線量予想部は、前記スキャノ画像によって示される領域内で被曝線量最大となるスキャン開始位置を算出後、算出した前記スキャン開始位置を撮影条件の1つとして前記予想被曝線量を算出する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるX線CT装置20の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、X線CT装置20は、ガントリ22と、X線管24と、回転部28と、寝台32と、X線検出器36と、高電圧発生器40と、回転駆動部44と、寝台制御部48と、システムバス52と、データ収集システム(Data Acquisition System:以下、DASという)56と、再構成部60と、システム制御部64と、記憶部68と、撮影計画支援装置70とを備える。
ガントリ22は、円環状または円板状の回転部28を回転可能に支持する。
【0013】
寝台32は、回転部28の中央部に設けられた開口部(図示せず)に挿入され、寝台32上には被検体Pが載置される。
【0014】
回転部28内では、X線管24の放射口と、X線検出器36とが被検体Pを間にして対向するように配置される。
【0015】
X線検出器36は、多チャンネルの検出素子を円弧状に配列した構成であり、X線管24から照射されて被検体Pを透過したX線を検出する。
【0016】
回転駆動部44は、システム制御部64から入力される駆動制御信号に基づいて回転部28を駆動し、回転部28に支持されたX線管24及びX線検出器36を被検体Pの周りで連続回転させる。
【0017】
寝台制御部48は、システム制御部64から入力される寝台制御信号に基づいて、寝台32の位置を制御する。
【0018】
高電圧発生器40は、不図示のスリップリングを介してX線管24の高電圧ケーブルに接続されている。高電圧発生器40は、システム制御部64から供給されるX線制御信号に基づいて、所定の管電流及び管電圧をX線管24に供給する。
【0019】
システム制御部64は、後述の入力部80から入力される各種設定条件等に従って、X線CT装置20の各部を制御する。また、システム制御部64は、X線管24の制御部(図示せず)に接続され、X線管24により照射されるX線を用いた撮影を制御する。
【0020】
DAS56は、X線検出器36の各検出素子からの出力を時間積分する積分器と、積分器の出力をチャンネル単位で高速かつシリアルに取り込むマルチプレクサと、マルチプレクサの出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータとを有する。DAS56は、システム制御部64から入力されるデータ収集制御信号に基づいて、X線検出器36により検出されるX線パス毎のX線透過率を反映した投影データを収集し、これを再構成部60及び記憶部68に入力する。
【0021】
再構成部60は、被検体Pの複数のスライス面に対して収集された投影データに対して再構成処理を施し、被検体Pの画像の画像データを生成する。画像データとしては、マルチスライス画像データでも、ボリュームデータでもよい。ボリュームデータは、3次元的な画像データ、即ち、厚みのある範囲の画像データであり、例えば、各ボクセル(各画素)がその輝度レベルを規定するCT値又は画素値を有するものである。
なお、CT値(Computed Tomography Number)は、物質のX線吸収率を、例えば水などの基準物質に対する相対値として表したものである。
【0022】
記憶部68は、被検体Pの複数のスライス面に対して収集された投影データを保存する。また、記憶部68は、再構成部60により生成された画像データ(或いはボリュームデータ)を保存し、システム制御部64の指令に従って、上記画像データ(或いはボリュームデータ)を表示部78に入力する。
【0023】
撮影計画支援装置70は、例えば、前記システムバス52と、撮影計画作成部72と、被曝線量予想部74と、判定部76と、表示部78と、入力部80とを含む。
【0024】
入力部80は、キーボード、マウス、表示パネルや選択ボタン等の入力デバイスを備える。操作者は、投影データの収集に先立ち、入力部80において被検体Pの情報の入力や後述の撮影計画の選択、投影データの収集条件、再構成条件、画像表示条件等の設定を行なうことができる。これにより設定された撮影条件は、撮影計画作成部72及びシステム制御部64に入力される。
【0025】
撮影計画作成部72は、入力部80から入力された撮影条件に基づいて、複数の撮影計画を作成する。撮影計画作成部72は、このように撮影条件に対応付けられた複数の撮影計画を記憶し、撮影計画記憶部としても機能する。撮影計画作成部72は、作成した複数の撮影計画を表示部78に入力する。
【0026】
被曝線量予想部74は、被検体Pに対する撮影計画毎の予想被曝線量を、撮影計画の選択前にそれぞれ算出する。
【0027】
判定部76は、過剰被曝を避けるために被検体に応じて設定された被曝線量の閾値(以下、基準値という)を取得する。なお、操作者が基準値を設定しない場合、判定部76が基準値を算出する。判定部76は、予想被曝線量が基準値を超えるか否かを撮影計画毎に判定し、判定結果を表示部78に入力する。
【0028】
表示部78は、撮影計画作成部72により作成された撮影計画のリストを(不図示のモニタに)一覧表示する。また、表示部78は、撮影計画のリストの一覧表示に際して、予想被曝線量が閾値を超える撮影計画のみを識別的な表示態様とする。また、表示部78は、再構成部60により生成された画像データに患者情報等の付帯情報を付加して表示用画像データを生成し、表示用画像データに基づいて被検体Pの画像を表示する。
【0029】
図2は、第1の実施形態において、表示部78のモニタに一覧表示される撮影計画のリストの表示の一例を示す模式図である。以下、撮影計画作成部72による撮影計画の作成方法について説明する。
【0030】
X線CT装置による撮影では、一回の撮影は部位毎に複数のエレメントで構成され、各エレメントについて撮影条件が設定される。ここで、「エレメント」とは、単一の撮影条件の下で行われるスキャン動作の単位である。それぞれのエレメントについて、入力部80を介して撮影計画作成部72に対して、例えば以下の項目が撮影条件として入力可能である。
【0031】
具体的には、スキャンエレメント番号、直前のエレメントの終了から当該エレメントの開始までの休止時間としての待ち時間、スキャン方式、エレメント内のスキャン回数、管電圧、管電流、再構成視野の直径、X線管が1回転するのに要するスキャン時間(回転時間)、スキャン総時間、撮影スライス厚などである。
【0032】
撮影計画作成部72は、既に入力された撮影条件を満たす範囲において、例えばスキャン方式などの主要な撮影条件が互いに異なる複数の撮影計画を作成する。なお、以下の説明では、スキャンとは、被検体PにX線を照射して、透過したX線を検出し、各検出素子毎に検出したX線を電気信号に変換することで得られた投影データを収集及び記録するまでの処理を指すものとする。また、撮影とは、上記スキャンと、スキャン後の画像再構成処理によって被検体の画像データを生成する動作とを合わせて指すものとする。
【0033】
スキャン方式には、例えば、コンベンショナルスキャン、ヘリカルスキャン、RealEC(Real Exposure Control)、VolumeEC(Volume Exposure Control)などがある。
【0034】
コンベンショナルスキャンは、寝台32の移動方向が例えば装置座標系のZ軸方向であるとすると、Z軸方向にスキャン位置を所定量だけ移動して、次のスキャンを順次行う方式である。
【0035】
ヘリカルスキャンは、投影角度の変化に同期して寝台32を所定速度で移動させ、スキャン位置を移動させながら投影データを収集する方式である。ヘリカルスキャン方式では、X線管24とX線検出器36とが被検体Pの周囲を螺旋状に回転する。
【0036】
RealECは、被曝線量を低減させるために、スキャノ画像のデータに基づいて、管電流の変調を行うスキャン方式である。スキャノ画像は、位置決めなどの撮影条件の設定のため、前もって撮影される予備的画像である。具体的には、スキャノ画像に基づいて、全スライスが同じ画像SDで画像表示できる管電流の最低値を計算し、ヘリカルスキャン中に電流制御を行う。
【0037】
なお、上記の画像SD(standard deviation)は、再構成した画像には含まれる画像ノイズを、均質ファントム像のCT値のばらつきを標準偏差として定義したものである。
【0038】
VolumeECは、全スライスが同じ画像SDで画像表示できる2方向からの最低管電流値をスキャノ画像に基づいて計算し、ヘリカルスキャン中に電流制御を行うものである。
【0039】
スキャノ画像は、撮影計画のリストの作成時において、撮影済の場合もあれば、未撮影の場合もある。撮影計画の選択後、撮影計画実行中に撮影計画の一環としてスキャノ画像を撮る場合もある。ここでは一例として、撮影計画作成部72により作成された撮影計画は、例えばスキャン開始位置などの未確定の撮影条件を含むものとする。
【0040】
図2において、選択ボタン150は、撮影計画のPLAN1として、コンベンショナルスキャンのものが選択可能であることを示す。選択ボタン150の右側の線量表示ウィンドウ150xには、被曝線量予想部74に算出された予想被曝線量が後から表示される(後述の
図3参照)。
【0041】
同様に、選択ボタン152は、撮影計画のPLAN2として、RealECのものが選択可能であることを示す。選択ボタン152の右側の線量表示ウィンドウ152xには、被曝線量予想部74に算出された予想被曝線量が後から表示される(後述の
図3参照)。
【0042】
同様に、選択ボタン154は、撮影計画のPLAN3として、VolumeECのものが選択可能であることを示す。選択ボタン154の右側の線量表示ウィンドウ154xには、被曝線量予想部74に算出された予想被曝線量が後から表示される(後述の
図3参照)。
【0043】
状況説明ウィンドウ170は、現在の設定状況を説明するものである。この例では、撮影計画のPLAN1〜3の予想被曝線量を計算中であることを示す。
ボタン172は、これがクリック等により選択されると、前の設定画面に戻すものである。
【0044】
図3は、第1の実施形態において、予想被曝線量が基準値を超えた撮影計画を識別表示した一例を示す模式図である。撮影計画作成部72が撮影計画のリストを作成後、被曝線量予想部74は、被検体Pに対する撮影計画毎の予想被曝線量を撮影計画の選択前にそれぞれ算出し、算出結果を表示部78に入力する。
【0045】
具体的には、被曝線量予想部74は、撮影計画の選択前に未確定の撮影条件については被曝線量が最大になる条件を代用すると共に、撮影計画の選択前に決定されている撮影条件を用いて、予想被曝線量を算出する。
【0046】
被曝線量の算出に際しては、ここでは一例として、CTDI(Computed Tomography Dose Index)及びDLP(Dose Length Product)を用いる。添え字のないCTDIは、1cmスライスの1枚あたりの概念上の被曝線量であるが、実際には種々の撮影条件を定めるため、その条件を添え字で表す。
例えばCTDI
100は、スライス面に対する垂直線状の線量プロファイルをD(z)としたとき、この線量プロファイルの−50mmから+50mmの範囲の積算線量を、放射線源の360°回転で生成されるスライスの面の数Nと、スライス厚Tとの積により除したものである。CTDI
100は、例えば以下の(1)式で表される。
【0048】
D(z)の(z)は、X線CT装置20の装置座標系のZ軸方向の位置座標の関数という意味である。このZ軸方向は、例えば、寝台32の移動方向に合致する。以下の説明では一例として、被検体Pの体軸方向(直立姿勢ならおよそ背骨の延在方向に沿った頭から足への方向)がZ軸方向に合致するように、被検体Pは寝台32上に載置されるものとする。
撮影範囲の中心におけるCTDI
100の値をCTDI
CENとし、周辺4箇所におけるCTDI
100の平均値をCTDI
AVEとすれば、CTDI
Wは次式で表される。
【0049】
CTDI
W={CTDI
CEN/3}+{CTDI
AVE×2/3} …(2)
【0050】
CTDI
WのWは、重み付け加算平均(weighted)の意味である。
DLPは、コンベンショナルスキャンの場合、例えばスライス厚Tと、X線検出器36における検出素子の列数N
DとをCTDI
Wに乗じることで得られる。なお、以下の例では、過剰被曝を避けるための基準値の指標として、CTDI
W及びDLPを用いるが、例えばCTDI
VOLやmSv(ミリシーベルト)などの他の指標を用いてもよい。
【0051】
判定部76は、予想被曝線量が前記基準値を超えるか否かを撮影計画毎に判定し、判定結果を表示部78に入力する。
【0052】
表示部78は、被曝線量予想部74から入力された予想被曝線量を、線量表示ウィンドウ150x、152x、154xにそれぞれ表示する。
【0053】
また、表示部78は、撮影計画のリストの表示に際して、
図2の表示状態から、予想被曝線量が基準値を超える撮影計画のみを識別表示するように、表示態様を変える。
図3の例では、撮影計画のPLAN1のみ、予想被曝線量が基準値を超える(「基準値を超える」とは、CTDI
W、DLPの少なくとも一方が基準値を超える場合である)。このため、PLAN1の選択ボタン150及び線量表示ウィンドウ150xの枠を点線且つ太線にすることで、他の撮影計画のPLAN2、3とは識別的にしている。
【0054】
なお、これは識別表示の一例にすぎない。例えば、選択ボタン150のみを点滅表示にすることで、或いは、選択ボタン150のみを他の撮影計画とは異なる有彩色(赤など)に色付けすることで、識別表示してもよい。或いは、識別表示すると共に警告音声を流してもよいし、識別表示せずに警告音声を流してもよい。警告音声としては、例えば、「撮影計画のPLAN1は、被曝声量が基準値を超えるおそれがあるので選択しないで下さい」といったものでよい。
【0055】
そして、状況説明ウィンドウ170には、撮影計画のPLAN1において予想被曝線量が基準値を超える旨が状況として説明表示される。
【0056】
図4は、第1の実施形態において、予想被曝線量が基準値を超えた撮影計画を表示せずに、予想被曝線量が基準値以下の撮影計画のみを一覧表示した一例を示す模式図である。
図4に示すように、表示部78は、予想被曝線量算出後の撮影計画のリストの表示に際して、予想被曝線量が基準値を超える撮影計画を表示せずに(表示に際して削除して)、予想被曝線量が基準値を超えない撮影計画を表示するようにしてもよい。
【0057】
図3及び
図4のように予想被曝線量算出後には、例えば選択ボタン152(又は154)をクリックすることで、撮影計画のプラン2(又はプラン3)を操作者は選択できる。撮影計画が選択されると、選択された撮影計画の詳細な撮影条件を設定するための画面が表示され(図示せず)、操作者は未確定の撮影条件を設定することができる。
【0058】
図5は、第1の実施形態のX線CT装置の動作の流れを示すフローチャートである。まず、
図5のステップS1の前段階として、同一被検体Pに対して他の撮影が行われている場合と、行われていない場合とがある。
【0059】
また、ステップS1の前段階として、同一の被検体Pに対してスキャノ画像を撮影済の場合と、未撮影の場合とがある。例えば同一の被検体Pに対して、前回の撮影の結果を見ながら、次の撮影計画を実施する場合、1回目の撮影計画の選択前にはスキャノ画像を未撮影であっても、1回目の撮影計画の実行中にスキャノ画像を撮影すれば、2回目の撮影を実施する前の撮影計画選択時には、スキャノ画像取得済という場合がある。
【0060】
そして、操作者によって、被検体Pの情報(患者情報)などの一部の撮影条件が入力部80を介して入力されている。
【0061】
過剰被曝を避けるための基準値が操作者によって任意に設定される。基準値が操作者によって設定されない場合、被検体Pの情報や、撮影部位が確定している場合には撮影部位の情報も加味して、判定部76が基準値のCTDI
W及びDLPを算出する。このとき、判定部76は、ICRP(International Commission on Radiological Protection:国際放射線防護委員会)やIEC(International Electrotechnical Commission)などにより推奨された照射線量を超えないように基準値を算出する。
【0062】
以下、前述の各図を参照しながら、
図5に示すフローチャートのステップ番号に従って、X線CT装置の動作を説明する。
【0063】
[ステップS1]撮影計画作成部72は、既に入力された撮影条件を満たす範囲において、例えばスキャン方式などの主要な撮影条件が互いに異なる複数の撮影計画を作成する。この作成方法については、
図2を用いて前述したので、更なる説明を省略する。表示部78は、
図2のように撮影計画のリストを一覧表示する。なお、この時点ではまだ、撮影計画は未選択である。この後、ステップS2に進む。
【0064】
[ステップS2]被曝線量予想部74は、予想被曝線量を未算出の撮影計画を1つ選択する(
図2の例では、PLAN1〜PLAN3のいずれか1つ)。この後、ステップS3に進む。なお、以下の例のように撮影計画の1つずつを順次算出するのではなく、被曝線量予想部74を複数設け、複数の撮影計画の予想被曝線量の算出を複数の被曝線量予想部74にそれぞれ並行して算出させ、計算時間を短縮してもよい。
【0065】
[ステップS3]同一の被検体Pに対して、既にスキャノ画像を撮影済であるか否かを被曝線量予想部74は判定する。スキャノ画像を撮影済である場合、ステップS4に進み、そうではない場合、ステップS7に進む。なお、スキャノ画像がある場合、一般にスキャン開始位置は不確定である。この場合、スキャン開始位置ごとの被曝線量を計算し、最大値を取ることにより予想被曝線量を算出する(後述のステップS5、S6参照)。
【0066】
[ステップS4]現在予想被曝線量の算出対象となっている撮影計画のスキャン方式が、RealEC又はVolumeECのいずれか一方であるか否かを、被曝線量予想部74は判定する。RealEC又はVolumeECである場合、ステップS6に進み、そうではない場合、ステップS5に進む。
【0067】
[ステップS5]ここでは一例として、被曝線量予想部74は、スキャン方式がコンベンショナルスキャンであるものとして、予想被曝線量を算出する。
【0068】
スキャン開始位置から、装置座標系のZ軸方向(この例では、寝台32の移動方向及び被検体Pの体軸方向に合致するものとする)に何ミリメートル動かしてスキャンするかは、ステップS1の前に撮影条件の1つとして定められている。例えば、Z軸方向に150ミリメートル移動してスキャンする場合を考える。
【0069】
この場合、被曝線量予想部74は、Z軸方向に例えば1センチメートル刻みで1次元的に位置を変えた、被検体Pを含む全ての150ミリメートルの各範囲の内、どの範囲が被曝線量最大になるかを算出する。具体的には例えば、各150ミリメートルの範囲に対してそれぞれ、予想被曝線量を算出してもよい。このとき、身長や体重などの被検体Pの情報に基づいて、公知の人体体格モデルを用いて、どの150ミリメートルの範囲において被曝線量が最大になるかを算出してもよい。
【0070】
被曝線量予想部74は、被検体Pの全身を対象範囲として、上記のようにして被曝線量が最大となるスキャン範囲を算出し、算出したスキャン範囲の端をスキャン開始位置と仮定する。このようにして、被曝線量予想部74は、未確定の撮影条件については、被曝線量は最大となる条件を求めて、求めた条件を被曝線量の算出に用いる(ステップS6も同様)。この後、ステップS8に進む。
【0071】
[ステップS6]被曝線量予想部74は、スキャノ画像に示されている被検体Pの範囲のみを対象として、ステップS5と同様に被曝線量が最大となるスキャン範囲を算出し、算出したスキャン範囲の端をスキャン開始位置と仮定する。この後、ステップS10に進む。
【0072】
[ステップS7]このステップS7に到達するのは、スキャノ画像がない場合である。
スキャノ画像がない場合、撮影計画のスキャン方式は、RealEC又はVolumeECに設定されていることはなく、撮影計画の中でX線の出力(管電流等)も既に設定済みである。なお、一般に管電圧は、ステップS1の前に所定値に設定済である。
【0073】
この場合、被曝線量予想部74は、スキャン開始時には寝台32が現在の位置にあると仮定することにより、スキャン開始位置を暫定的に決定する。具体的には例えば、現在の寝台32の位置において、X線管24の照射範囲となっている領域をスキャン範囲と仮定し、その一端をスキャン開始位置と仮定する。この後、ステップS8に進む。
【0074】
[ステップS8]被曝線量予想部74は、算出対象の撮影計画の予想被曝線量を算出する。この際、対象の撮影計画において確定している撮影条件については、その条件を用いるが、未確定の撮影条件については、ステップS7以前に求めた被曝線量最大となる条件を代用する。
【0075】
全撮影条件が確定している場合の予想被曝線量の算出方法は特許文献1などにより公知技術であるが、本実施形態では、その公知の算出方法において、未確定の撮影条件については被曝線量最大となる条件を代用する点が大きく異なる。この後、ステップS9に進む。
【0076】
[ステップS9]被曝線量予想部74は、ステップS1以前に、現在表示されている撮影計画の対象の被検体Pと同一の被検体Pに対して、既に他の撮影を実行済か否かを判定する。実行済の場合、被曝線量予想部74は、実行済の全ての撮影における同一の被検体Pへの実際の被曝線量の合計値を累積被曝線量(積算被曝線量)として算出する。
【0077】
被曝線量予想部74は、ステップS8で算出した予想被曝線量に累積被曝線量を加算することで、予想被曝線量を補正する。被曝線量予想部74は、補正後の予想被曝線量を判定部76及び表示部78に入力する。表示部78は、被曝線量予想部74から入力された予想被曝線量を、線量表示ウィンドウ(150x、152x、154x)に表示する(
図3参照)。この後、ステップS10に進む。
【0078】
[ステップS10]判定部76は、算出対象の撮影計画の予想被曝線量がステップS1の前に設定された基準値を超えるか否かを判定し、判定結果を表示部78に入力する。撮影計画の予想被曝線量が基準値を超える場合、ステップS11に進み、そうではない場合、ステップS12に進む。
【0079】
[ステップS11]表示部78は、ステップS10で入力された撮影計画、即ち、予想被曝線量が基準値を超える撮影計画の表示態様を識別的なものに変更する。このように、予想被曝線量が基準値を超える撮影計画の表示態様を識別的にすることで、予想被曝線量に対応する情報(例えば、基準値を超えるか否かの情報)が表示画面に付加される。識別表示については、
図3を用いて前述した通りである。
【0080】
なお、表示部78は、識別表示すると共に警告音声を流してもよいし、識別表示せずに警告音声を流してもよい。或いは、表示部78は、予想被曝線量が基準値を超える撮影計画を表示せずに、予想被曝線量が基準値を超えない撮影計画を表示するようにしてもよい(
図4参照)。この後、ステップS12に進む。
【0081】
[ステップS12]被曝線量予想部74は、ステップS1で撮影計画作成部72が作成した全ての撮影計画に対して予想被曝線量を算出したか否かを判定し、全て算出した場合にはステップS13に進む。そうではない場合、ステップS2に戻り、被曝線量予想部74は、別の撮影計画の予想被曝線量を算出する。
【0082】
[ステップS13]操作者により、表示部78の画面上で、入力部80を介して撮影計画のいずれかが選択される。撮影計画の選択後、未確定の撮影条件は、操作者により決定されるか、或いは撮影計画作成部72により適正な値が自動算出されて設定される。
【0083】
[ステップS14]システム制御部64は、ステップS13までに選択及び決定された撮影計画の撮影条件に基づいてX線CT装置20の各部を制御し、撮影を実行させる。具体的には、X線管24から放射されたX線が被検体Pを透過し、X線検出器36の検出素子によって検出される。この処理は、回転駆動部44によって回転部28を駆動し、回転部28に支持されたX線管24及びX線検出器36を被検体Pの周りで連続回転させながら行われる。
【0084】
DAS56は、X線検出器36により順次検出されるX線パス毎のX線透過率を反映した投影データを収集し、これを再構成部60及び記憶部68に順次入力する。投影データの収集が終了すると、再構成部60は、収集された投影データに対し再構成処理を施し、被検体Pの画像データ(或いはボリュームデータ)を生成し、これを記憶部68に記憶させる。システム制御部64は、入力部80に対する入力に応じて、画像データ(或いはボリュームデータ)から得られる被検体Pの所望の断面を表示部80に表示させる。
以上が本実施形態のX線CT装置20の動作説明であり、以下、従来との違いについて説明する。
【0085】
従来技術では、全撮影条件が確定しないと、即ち、スキャン直前のタイミングまで被曝線量を計算できず、撮影計画の選択前に予想被曝線量を表示できなかった。そのため、スキャン直前になって確定した全撮影条件に基づいて予想被曝線量を計算後、予想被曝線量が基準値を上回ることが通知され、撮影条件を設定し直す場合があった。
【0086】
一方、本実施形態では、未確定の撮影条件には被曝線量最大となる条件を求めて代用することで撮影計画の選択前に予想被曝線量を算出し、基準値を超えた撮影計画を識別表示する。このため、操作者は、かかるガイド表示に従って、予想被曝線量が基準値を超えない撮影計画を選択するだけで、過剰被曝及び撮影条件の設定し直しを確実に回避できる。予想被曝線量は、未確定の撮影条件について被曝線量最大の条件を代用しているため、どの撮影計画を選択して実施しても、実際の被曝線量が予想被曝線量を上回ることはないからである。
【0087】
また、予想被曝線量には、同一被検体P内での累積被曝線量を加算する(ステップS9)。従って、例えば非造影で撮影してから、同一の被検体Pに造影剤を投与後に撮影するといったように、複数の撮影計画を実行する場合にも、過剰被曝の点から安全性を容易に確保できる。即ち、被曝線量の観点から、確実に問題の無い撮影計画のみを早期の段階で提示することにより、操作者が撮影条件の設定に要する時間の短縮化、容易化を図ることができる。
【0088】
以上説明した実施形態によれば、X線CT装置などの患者への被曝を伴う診断装置において、スキャン直前に撮影条件を設定し直すことなく、過剰被曝を回避できるように撮影条件の設定を支援できる。
【0089】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態における放射線治療装置の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、放射線治療装置200は、寝台208と、ガントリ212と、スタンド216と、破線で示す治療ヘッド220と、放射線透視部224と、システム制御部228と、治療計画支援装置232とを備える。
【0090】
第2の実施形態は、未確定の照射条件には照射線量最大となる条件を求めて代用することで治療計画の選択前に予想照射線量を算出し、基準値を超えた照射計画を識別表示するものである。即ち、第2の実施形態は、X線CT装置としての第1の実施形態で述べた技術思想を放射線治療装置に適用したものであり、上記治療計画支援装置232は、第1の実施形態の撮影計画支援装置70と同様に機能する。
【0091】
図6において、寝台208は、システム制御部228の制御下で所定方向に移動可能であり、放射線治療の対象となる被検体Pが載置される。
【0092】
スタンド216は、ガントリ212を支持し、ガントリ212を回転させるための駆動装置(図示せず)を内部に備える。
【0093】
ガントリ212は、寝台208を挟んで対向するように治療ヘッド220と放射線透視部224とを支持しており、所定の方向に治療ヘッド220及び放射線透視部224を移動させ、それらの位置を調整する。また、ガントリ212は、不図示の電子銃等を内部に備える。
【0094】
治療ヘッド220は、被検体Pの治療に用いられる治療用放射線EBを発生する。具体的には、治療ヘッド220は、導波ガイド220aと、ベンディングマグネット220bと、ターゲット220cと、コリメータ220dとを内部に備える。
【0095】
ガントリ220内の電子銃によって発生した電子線ELは、導波ガイド220aによって加速されて、ベンディングマグネット220bに入射する。ベンディングマグネット220bは、入射した電子線ELの方向を下方に向けることで、電子線ELをターゲット220cに衝突させる。これにより、治療用放射線EBが発生する。発生した治療用放射線EBは、コリメータ220dによって照射形状や線量分布が調整された上で、被検体Pに照射される。
【0096】
放射線透視部224は、被検体Pを透過した放射線を検出して、被検体Pの位置合せや患部領域の再確認を容易に行うための透視画像を撮影する。
【0097】
システム制御部228は、放射線治療装置200全体を制御し、上記のように各部を機能させることで放射線治療を実行させる。例えば、システム制御部228は、操作者による指示に応じて、スタンド216が有する駆動装置を駆動することでガントリ212を回転させる。また、例えば、システム制御部228は、放射線透視部224が有する不図示のカメラによって撮影された画像に対して所定の画像処理を施し、画像処理を施した画像を後述の表示部248に表示する。
【0098】
治療計画支援装置232は、例えば、システムバス240と、治療計画作成部242と、照射線量予想部244と、判定部246と、表示部248と、入力部250とを含む。
【0099】
入力部250は、各種入力デバイスを備える。操作者は、この入力部250において被検体Pの情報の入力や治療計画の選択、照射条件等の設定を行なう。これにより設定された照射条件は、治療計画作成部242及びシステム制御部228に入力される。
【0100】
治療計画作成部242は、入力部250から入力された照射条件に基づいて、複数互いに異なる治療計画を作成する。治療計画作成部242は、このように照射条件に対応付けられた複数の治療計画を記憶し、治療計画記憶部としても機能する。治療計画作成部242は、作成した複数の治療計画を表示部248に入力する。
【0101】
照射線量予想部244は、被検体Pに対する治療計画毎の予想被曝線量を、治療計画の選択前にそれぞれ算出する。
【0102】
判定部246は、過剰照射を避けるために被検体Pに応じて設定された照射線量の閾値(以下、基準値という)を取得する。判定部246は、予想照射線量が基準値を超えるか否かを治療計画毎に判定し、判定結果を表示部248に入力する。
【0103】
表示部248は、治療計画作成部242により作成された治療計画のリストを(不図示のモニタに)一覧表示する。また、表示部248は、治療計画のリストの一覧表示に際して、予想照射線量が基準値を超える治療計画の表示態様を識別的にする。
【0104】
図7は、第2の実施形態の放射線治療装置の動作の流れを示すフローチャートである。まず、
図7のステップS31の前段階として、同一被検体Pに対して他の放射線治療が行われている場合と、行われていない場合とがある。また、操作者によって、被検体Pの情報(患者情報)などの一部の照射条件が入力部250を介して入力されている。
【0105】
過剰照射を避けるための照射線量の基準値が操作者によって任意に設定される。基準値が操作者によって設定されない場合、被検体Pの情報や、照射部位が確定している場合には照射部位の情報も加味して、判定部246が基準値を自動算出及び設定する。
以下、
図7に示すフローチャートのステップ番号に従って、放射線治療装置200の動作を説明する。
【0106】
[ステップS31]治療計画作成部242は、既に設定済みの照射条件を満たす範囲において、照射条件が互いに異なる複数の治療計画を作成する。表示部250は、治療計画のリストを一覧表示する(図示せず)。この後、ステップS32に進む。
【0107】
[ステップS32]照射線量予想部244は、予想照射線量を未算出の治療計画を1つ選択する。この後、ステップS33に進む。なお、以下の例のように治療計画の1つずつ順次算出するのではなく、照射線量予想部244を複数設け、複数の治療計画の予想照射線量の算出を複数の照射線量予想部244にそれぞれ並行して算出させ、算出時間を短縮してもよい。
【0108】
[ステップS33]照射線量予想部244は、未確定の照射条件については、照射線量が最大となる条件を求める。そして、照射線量予想部244は、未確定の照射条件については照射線量最大となる条件を代用すると共に、確定している照射条件を用いて、予想照射線量を算出する。この後、ステップS34に進む。
【0109】
[ステップS34]照射線量予想部244は、ステップS31以前に、現在表示されている治療計画の対象の被検体Pと同一の被検体Pに対して既に他の放射線治療を実行済か否かを判定する。実行済の場合、照射線量予想部244は、実行済の全ての放射線治療における同一の被検体Pへの実際の照射線量の合計値を累積照射線量として算出する。
【0110】
照射線量予想部244は、ステップS33で算出した予想照射線量に累積照射線量を加算することで、予想照射線量を補正する。照射線量予想部244は、補正後の予想照射線量を判定部246及び表示部248に入力する。表示部248は、照射線量予想部244から入力された予想照射線量を、第1の実施形態と同様に表示する。この後、ステップS35に進む。
【0111】
[ステップS35]判定部246は、算出対象の治療計画の予想照射線量が基準値を超えるか否かを判定し、判定結果を表示部248に入力する。治療計画の予想照射線量が基準値を超える場合、ステップS36に進み、そうではない場合、ステップS37に進む。
【0112】
[ステップS36]表示部248は、ステップS35で入力された治療計画、即ち、予想照射線量が基準値を超える治療計画の表示態様を識別的なものに変更する。このように、予想照射線量が基準値を超える治療計画の表示態様を識別的にすることで、予想照射線量に対応する情報(例えば、基準値を超えるか否かの情報)が表示画面に付加される。識別表示については、第1の実施形態の
図3と同様であるので、図示を省略する。
【0113】
なお、表示部248は、識別表示すると共に警告音声を流してもよいし、識別表示せずに警告音声を流してもよい。或いは、表示部248は、予想照射線量が基準値を超える治療計画を表示せずに、予想照射線量が基準値を超えない治療計画を表示するようにしてもよい。この後、ステップS37に進む。
【0114】
[ステップS37]照射線量予想部244は、ステップS1で治療計画作成部242が作成した全ての治療計画に対して予想照射線量を算出したか否かを判定し、全て算出した場合にはステップS38に進む。そうではない場合、ステップS32に戻り、照射線量予想部244は、別の治療計画の予想照射線量を算出する。
【0115】
[ステップS38]操作者により、表示部248の画面上で、入力部250を介して治療計画のいずれかが選択される。治療計画の選択後、未確定の照射条件が決定される。
【0116】
[ステップS39]システム制御部228は、ステップS38までに選択及び決定された治療計画の照射条件に基づいて放射線治療装置200の各部を制御し、放射線治療(被検体Pへの電子線の照射)を実行させる。以上が第2の実施形態の動作説明である。
【0117】
このように第2の実施形態では、未確定の照射条件には照射線量最大となる条件を求めて代用することで治療計画の選択前に予想照射線量を算出し、基準値を超えた治療計画を識別表示する。このため、操作者は、かかるガイド表示に従って、予想照射線量が基準値を超えない治療計画を選択するだけで、過剰照射及び照射条件の設定し直しを確実に回避できる。
【0118】
また、予想被曝線量には、同一被検体P内での累積照射線量を加算する。従って、同一被検体Pに対して放射線治療を複数回実行する場合にも、過剰照射の点から安全性を確保できる。
【0119】
以上説明した実施形態によれば、放射線治療装置において、照射直前に照射条件を設定し直すことなく、過剰照射を回避できるように照射条件の設定を支援できる。
【0120】
(実施形態の補足事項)
[1]第1の実施形態では、未確定の撮影条件として、ステップS5、S6ではスキャン開始位置を一例として挙げた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。未確定の撮影条件として他のパラメータが存在する場合にも、被曝線量が最大となる条件を同様に算出し、それを代用することで、予想被曝線量を算出すればよい。
【0121】
[2]第1の実施形態では、予想被曝線量の算出時において、未確定の撮影条件については、被曝線量が最大となる条件を算出して、それを代用する例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
【0122】
例えば未確定の撮影条件のパラメータ数が多い場合、未確定の各撮影条件について、最大被曝線量の例えば98%又は95%又は90%となる値を算出し、算出値を被曝線量が略最大となる条件として代用してもよい。未確定の撮影条件のパラメータ数が多い場合、全ての未確定の撮影条件について、被曝線量最大となる条件が撮影計画の選択後に決定される確率は低いと考えられるからである。第2の実施形態も同様に、未確定の照射条件について、最大照射線量の例えば98%又は95%又は90%となる値を算出して、算出値を被曝線量が略最大となる条件として代用してもよい。
【0123】
[3]第1の実施形態では、過剰被曝を避けるための基準値として、CTDI及びDLPの例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。例えば皮膚が焦げる限界の線量や、髪が抜ける限界の線量など、他の基準となる線量を用いてもよい。さらには、それぞれの基準値を用いて被曝線量を段階的にチェックすることによって、操作者に対して、レベルに応じて段階的に警告を通知するようにしてもよい。
【0124】
[4]第1の実施形態では、予想被曝線量が基準値を超える撮影計画を識別表示する例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。予想被曝線量が基準値を超えない撮影計画を識別表示することで、確実に基準値以下となる撮影計画と、それ以外の撮影計画とを画面上で区別(識別化)するようにしてもよい。第2の実施形態についても同様である。
【0125】
[5]第1の実施形態のように、未確定の撮影条件が含まれる場合に、被曝線量が最大となる条件を求めて代用することで予想被曝線量を算出し、確実に基準値以下となる撮影計画と、それ以外の撮影計画を識別する技術は、X線CT装置以外の診断装置にも適用可能である。例えば、マトリクス状に配列された複数の検出素子で被検体を透過したX線を検出し、各画素が検出素子毎のX線検出量に応じた輝度となるように、画像生成するX線診断装置にも適用可能である。
【0126】
[6]第2の実施形態では、放射線治療装置の一例として、電子線を照射する例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。第2の実施形態の技術思想は、X線などの他の放射線を用いる放射線治療装置にも適用可能である。
【0127】
[7]本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。